侠客 (たがみよしひさの漫画)
題材:ヤクザ,
以下はWikipediaより引用
要約
『侠客』(きょうかく)は、たがみよしひさによる日本の漫画。『ヤングアニマル』(白泉社)にて、1992年1号から1993年3号まで断続的に連載された。全15話。単行本は全2巻。
概要
地方都市を舞台に、陰謀渦巻く組織間の抗争を描いたヤクザもの。中盤以降、極端に早いペースで進行し、クライマックスで事態が収拾しないまま物語は終わる。抗争をしかけた人物の正体と、その破綻によるカタストロフは描かれたものの、そもそもの動機や計画の全貌など、伏線をすべて消化したとは言い切れない結末となっている。
全体としては3章の構成となっており、暗闘編(1 - 10)・死闘編(1 - 2)・決戦編(1 - 3)は、それぞれ『ヤングアニマル』1992年1号 - 10号と1992年13号 - 14号および1993年1号 - 3号に掲載された。
あらすじ
人口約13万人の地方都市「N県笹沼市」では、滝織組と加佐登組のふたつの暴力団組織が勢力を争い、長きにわたる抗争を繰り返してきた。一般人をも巻き込む大規模な衝突から数年、街が平穏さを取り戻しつつあるなか、再び抗争の火種が生まれようとしていた。「鬼」と呼ばれた人斬りの出所と、侠客・庄野常秀の死。解散したはずの庄野組の動向をきっかけとして、三つ巴の抗争事件の幕が開ける。
登場人物
庄野組・関係者
由良屋 裂丸(ゆらや さきまる)
主人公。後ろ髪を結った長髪の若い男。
元・滝織組内庄野組の組員。物語の冒頭で刑務所から仮出所し、4年3か月ぶりに笹沼に舞い戻る。
「鬼の裂丸」の異名をとる凄腕の「人斬り」。得物は長ドスで、常に2本所持している。
その凶暴性と異常な戦闘能力は、暴力団同士の抗争事件(後述の真田による浅野謀殺事件が原因の抗争)に巻き込まれて死亡した両親の仇討ちのため、下部団体一つを壊滅させ死者1名重傷者8名を出した少年時代の一件に端を発する。父親は剣術(古武術)の道場を営んでおり、庄野組の組員も多数入門していたためも抗争に巻き込まれた模様。
滝織組と加佐登組の前回の抗争(5年前)において、後頭部に銃弾を受けて瀕死の重傷を負っている。傷跡を伸ばした髪で隠すためか、服役中も髪を切らせなかったため、出所した時点でも長髪になっていた。
庄野 常秀(しょうの つねひで)
真田 俊作(さなだ しゅんさく)
竹田橋 万吾郎(たけだばし まんごろう)
清武 集(きよたけ あつむ)
陣場 創円(じんば そうえん)※後述→滝織組
元・滝織組内庄野組の組員。現・滝織組の幹部。通称「坊(ぼん)さん」。スキンヘッドで、顔つきも一見すると柔和なため和服姿なら僧侶にも見える。
前回の抗争後に庄野が引退した際、庄野組組員としては唯一滝織組に残留した人物。庄野組サイドにおける建前上としては、破門となり引退した庄野とそれに同調して引退した元組員たちのために、庄野常秀の功績と元組員の復帰の足がかりを確保するため、本体の組織に残ったとしている。
庄野の暗殺以後、事態の進展につれて敵方となる滝織組幹部という立場ながら、結果的に東屋=庄野組残党と共闘。その最中にはヤクザそのものを嫌うような心情(一連の計略の動機の一部でもある)を吐露する場面もあった。
須原 条太郎(すはら じょうたろう)
ダニエル・バーグ・ウィルマン
宇和久下田一家滝織組・関係者
八木原 正太(やぎはら しょうた)
陣場 創円(じんば そうえん)※前述→庄野組
小柳 利夫(こやなぎ としお)
経吾会系加佐登組・関係者
加佐登 善次郎(かさと ぜんじろう)
登場組織
宇和久下田一家(うわくげたいっか)
前身である「宇和組」と呼ばれた時代には、滝織友敬・庄野常秀ら「宇和四天王」がその名を馳せた。
滝織組(たきおりぐみ)
笹沼市の東側を縄張りとするヤクザ組織。傘下の3次団体まで含めると約50人の構成員を抱える。
八木原組(やぎはらぐみ)
表向きは商事会社「八木原物産株式会社」を経営。八木原と小納谷が、それぞれ社長と専務を務める。
前塔組(まえとうぐみ)
磯田組(いそだぐみ)
皆聞組(かいもんぐみ)
棋式(きしきぐみ)
庄野組(しょうのぐみ)
10人に満たない少人数ながら、「鬼の裂丸」を筆頭に武闘派として恐れられたヤクザ組織。
約5年前(作中では1987年という設定)に、滝織組対加佐登組の抗争の手打ち条件として、組長の庄野が(名目上の)破門・引退となり、庄野組は解散する。
庄野を慕う組員達は、ヤクザを引退して一般人となりながらも、かつての本拠である東屋に出入りしている。東屋(ひがしや)は、笹沼市内を流れる「菊輪川(きくわがわ)」に浮かぶ中州にある庄野の邸宅であり、旧庄野組の本拠となっている。ちなみに偽の借用書の額面は2億1千万円だが、評価額は3億6千万円との事。
経吾会(けいあかい)
加佐登組(かさとぐみ)
笹沼市の西側を縄張りとするヤクザ組織。構成員は総勢150人前後を動員できる模様。直接の下部団体は登場せず、企業舎弟を多数抱える。他方、覚醒剤の密売にも着手している事が示唆されている。所轄の警察幹部と癒着している場面もあった。
書誌情報
- たがみよしひさ 『侠客』 白泉社〈ジェッツコミックス〉、全2巻
- 1993年2月28日初版発行、ISBN 4-592-13569-5
- 1993年11月30日初版発行、ISBN 4-592-13570-9