古代戦士ハニワット
漫画:古代戦士ハニワット
作者:武富健治,
出版社:双葉社,
掲載誌:漫画アクション,
レーベル:ACTION COMICS,
発表期間:2018年7月9日 -,
巻数:既刊10巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『古代戦士ハニワット』(こだいせんしハニワット、英:Ancient Warrior HANIWATT)は、武富健治による日本の漫画作品。『漫画アクション』(双葉社)にて、2018年14号から連載中。突如出現した土偶に類似した破壊者「ドグーン」とそれに戦いを挑む戦士「ハニワット」を描く。
年表
- 2010年 - 『ハニワット』の連載が決定。
- 2018年7月 - 『漫画アクション』で連載を開始。
- 2021年5月 - SNSで打ち切りを発表。
- 2021年6月 - 書店フェア「ドグーン祭り」を開催。
- 2021年10月 - 「連載続行を祈念する原画展」を開催。
- 2021年11月 - 連載の継続が決定。
- 2023年5月 - 萩原佐代子主演で第1部・長野善光寺編が朗読劇になる。原作者・武富健治も出演し、また会場に原画も展示される。
制作
連載開始まで
本作はヒーローに憧れた武富が、少年時代から構想を温めてきた作品である。本作は土偶や『日本書紀』などがテーマとして取り入れられた「伝奇ヒーローもの」で、設定を説明せず、謎が「一つ一つが明かされていく過程そのものがストーリー」として描かれている。
武富が小学生のころ、映画『大魔神』をテレビで観たことがきっかけとなり、刺激を受けたことにより「かなり大きいサイズ」のハニワットが登場する漫画を執筆。中学時代には「仮面ライダーのような人間と同じサイズ」の内容に描き直した。その作品は『『古代戦士ハニワット』中二版』として、『webアクション』(双葉社)にて公開された。武富が大学時代に本作の第1話を執筆し、他社に持ち込みをするが、掲載には至らなかった。そのため武富は、本作を寝かせておくことにした。本作の土台は、この大学時代の作品である。
2010年、『鈴木先生』が連載されていたころ、次回作のアイデアを担当編集者と話し合っていた武富は、「どうせ選ばないだろうけど、(作品の)数を多く出したい」と考えて提出したところ、本作が通ってしまったという。それが子供時代に描いていた本作を「プロとして大真面目に描いてみよう」と企画される。連載が開始される前、2011年10月7日から2012年1月29日まで開催された「武富健治の世界展『古代戦士ハニワット』から『鈴木先生』まで」では、展示会の名称にも用いられた。『鈴木先生』の終盤で、頭がいっぱいの状態であった武富は、原作つきの作品で作画を担当したいと考えていた。そのため本作の執筆に取りかかれず、武富はプレッシャーを感じていた。他社の仕事を終え、いよいよ本作と向き合う段階となった時に、又吉直樹の『火花』のコミカライズを又吉直々に依頼され、断れないと考えた武富は、双葉社に「土下座に近い形で謝ってお願い」し、連載開始を延期して貰った。2010年の企画が8年越しとなる2018年に、ようやく連載が実現する。
連載開始
2018年7月3日発売の『漫画アクション』(同)14号より、連載を開始する。「連載が始まるまでのプレッシャーが大きかった」という武富は、連載が開始されたことにより「肩の荷が降りた」と感じたという。『鈴木先生』では雑誌で「ヒットしたけど実は売れてないマンガ」と書かれたこともあり、武富は部数がコンプレックスとなっていた。そこで武富は連載開始時に「マンガ好きの人も、マンガをあまり読まない人もかっさらっていく」と誓い、本作では部数を出したいと考えていた。
第1巻から第4巻までの展開は、初代『ウルトラマン』の「第1話に登場する宇宙怪獣ベムラーとの戦いを映画1本分の間合いで演出する」というコンセプトで執筆されている。そのため、物語の展開スピードは遅いが、渾身の筆致で丁寧に描かれている。
「特撮寄りのマンガ」は「そういう世界感が好きな人には受ける」が、「そうでない人は遠ざかっていくような閉じた感じ」と考えていた武富は苦労して執筆するが、打ち切られる可能性が浮上する。
打ち切りの発表以降
単行本第1巻と第2巻は全く売れず、武富は「ヤバい」と感じていた。武富によると普通は2巻までに売れなければ第4巻で完結させるが、本作はそうならずに済んだ点においては「良かった」が、「いつ首を切られる」かと心配しつつも、単行本第5巻からの第2部を書き終えるまでは大丈夫かもしれないと「気が緩んでいたときに打ち切りの話」をされる。「第9巻で連載終了」という内容であった。当初の予定より構想が膨らみ、第2部を第10巻で終わらせる予定であったため、武富は「内容を詰めて描かないといけなくなったことがつらかった」という。連載続行となってほしいと考えつつも、第9巻で終了するようなストーリー構成を苦労して制作。アクションシーンを削る算段であった。
2021年5月25日、武富は打ち切りについてTwitterで発表する。岡田斗司夫がYouTubeのチャンネルで本作を紹介し、読者から声援があるなどの反響を得る。武富によると一番大きな影響は、同年6月に紀伊國屋書店新宿本店において開催された本作のフェア「ドグーン祭り」であったといい、フェアでの「熱量の高い店頭装飾」が話題となった。同年10月1日から31日まで、東京都のマンガナイトBOOKSにて本作の原画展が開催。武富が個人のSNSで、単行本第9巻で打ち切りとなる可能性を示唆し、それが反響を呼んだことから、連載続行の気運を高めようと同展の開催が決定された。
書店での売上増加と品切れにより全巻に重版がかかったため、同年11月2日に第2部を構想していた通りの尺で執筆し、第3部を『漫画アクション』誌上で連載することが決定し、打ち切りが回避された。2022年1月8日には単行本第8巻の発売を記念して、前述の「復活劇」や物語について語るオンライントークイベントが開催された。
登場人物
御衣乃柔里(みそのゆり)
日向凛(ひゅうがりん)
仁(じん)
片野(かたの)
矢立卓留(やだてすぐる)
井中門丁(いなかもんちょう)
ハニワット
作中では埴輪土(はにわど)と呼ばれる、土でできた埴輪のような姿をした戦闘俑。仮具土(かぐつち)タイプと真具土(まぐつち)タイプがある。
仮具土タイプは、埴輪徒の魂を埴輪土を依り憑とすることで埴輪土を操る。埴輪徒と埴輪土はシンクロしており、埴輪土が受けたダメージは埴輪徒にも反映されてしまう。
真具土タイプは、依り代としての埴輪土は必要とせず埴輪徒が自ら兵装体に化身する。仮具土の埴輪徒は人間であるが、真具土の埴輪徒は埴輪徒自身が埴輪土であり人間の姿の方が擬態と言える。
各地の神社に伝わる埴輪土
- 布留の埴輪土(戸隠神宮)『ハニワット・フル』
- 多胡甘楽の埴輪土(榛名大社)『ハニワット・カンラ=タゴ』
- 沙伽の埴輪土(蜂子三山神社)
- 守矢の埴輪土(諏訪大神社)
ドグーン
土偶のような姿をした謎の怪物。関係者の間では蚩尤(しゆう)と呼ばれるが、一般にはドグーンという呼び方が広まっている。出現してからはどこかに向かって漸進するが、刺激を与えると反撃することがある。電磁波のようなものを発しており、デジタル機器では至近距離からの撮影ができない。目視やフィルムによる撮影には影響はない。
第1のドグーン
『仮面の女神』のような姿をしている。攻撃形態になると手足が伸びるなど変形する。
格闘技のような攻撃のほか、手などから光撃を発して攻撃する。
第2のドグーン
『縄文のビーナス』のような姿をしている。戦闘形態になると頭の上の鉢が前にずり落ちて顔面を覆う形になる。
強烈な悪臭を放つ。
第3のドグーン
『縄文の女神』のような姿をしている。島民曰く「島神さま」。
猫のような声を上げ、その影響か周囲の猫や人間が発情する(発情しない人もいる)。
足の部分は大きく伸び縮みし、泳ぐこともできる。
用語
蚩尤収め(しゆうおさめ)
巫女の舞、弓や笛や太鼓等の演奏を奉納し、埴輪土の力を高めてドグーンと戦い、丁重に“もてなす”。
戦いによりドグーンの身の汁を天に放出させることで収めることができる。
収め終えるとドグーンの魂(たま)が飛び去り、ドグーンの周りには磐垣(いわがき)が立つ。
真具土タイプの埴輪土で蚩尤収めをすると、ドグーンの恨みは霧散せず荒御魂が別の場所に移るだけになる。場合によっては御魂が分裂して数が増えてしまう。
型
光撃(こうげき)型は光球等を飛ばして攻撃する。
剣技(けんぎ)型は剣などの得物を使い攻撃する。
相撲技(すめらぎ)型は格闘技のような肉弾戦で攻撃する。
得意とする型は埴輪徒により異なり、ドグーンが望む型を得意としている埴輪徒が出陣する。
主巫女(アチメ)
戸隠などでは埴輪徒1人につき主巫女も1人だが、榛名では埴輪徒1人につき主巫女が3人いる。榛名には南方系の影響があるとされる。
睡り(ねぶり)
睡り中のドグーンの肌は半透明に透け、白い粒(霊光、プラーナ)が立ち上るように見える。
書誌情報
- 武富健治『古代戦士ハニワット』双葉社〈アクションコミックス〉、既刊10巻(2023年1月26日現在)
- 2019年4月26日発売、ISBN 978-4-575-85300-1
- 2019年5月28日発売、ISBN 978-4-575-85313-1
- 2019年10月28日発売、ISBN 978-4-575-85366-7
- 2020年2月28日発売、ISBN 978-4-575-85412-1
- 2020年9月28日発売、ISBN 978-4-575-85496-1
- 2021年1月28日発売、ISBN 978-4-575-85544-9
- 2021年8月26日発売、ISBN 978-4-575-85628-6
- 2021年12月27日発売、ISBN 978-4-575-85673-6
- 2022年6月28日発売、ISBN 978-4-575-85731-3
- 2023年1月26日発売、ISBN 978-4-575-85806-8