国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ
以下はWikipediaより引用
要約
『国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ』(こっかまどうさいしゅうへいきしょうじょアーク・ロウ、NATIONAL WIZARD ULTIMATE WEAPON GIRL ARKLOW)は、ツカサによる日本のライトノベル。イラストはゆーげんが担当している。富士見ファンタジア文庫から刊行されている。
作品背景
今回の作品について著者のツカサは、自身にとって初めてとなる完全なファンタジー世界での話となると述べている。今までの作品はファンタジーの要素がありつつも、舞台は現代と地続きのものだったとしており、一から世界を作っていく行程はとても楽しかったと述べている。またタイトルについては様々な経緯があったものの、アーク・ロウの部分に関しては基本的に変わっていないとの趣旨で本作が出来あがるまでの経緯を語っている。なお、覚えづらい場合は「アーク・ロウ」と覚えていただければと述べている。
あらすじ
かつてこの大陸に存在したとされる巨神たち。その巨神の神骸を用いることで開発された巨大魔導兵器「虚神」は、今までの戦争に大きな変化をもたらした。そんな虚神を開発・運用する世界最大の軍事国家エルファレスの第三皇帝・エルク・リード・エルファレスは、隣国フレアリアで自身の身分を隠しながら生活をしていた。エルクはエルファレスとフレアリアが長きにわたる戦争を止めるべく不可侵条約が締結された際、フレアリアに差し出された人質なのだった。そんな世界に殺意を抱くエルクだが自身にそれを叶える力はなく、ただ無意味な学園生活を送るのだった。
ある日、エルクはクラス内序列1位でフレアリアの数少ない戦略級魔導士でもあるミラ・ルビーレッドが、エルクの幼馴染でエルファレスにいるはずのイスカ・カリバーンに襲われている場面に遭遇する。ミラを護るべく助けに入ったエルクだが、イスカの圧倒的な一撃に窮地に追い込まれてしまう。更にイスカは、エルファレスでクーデターが起こり、エルクも殺害の対象であることを告げる。いよいよ殺されるその時、ミラが運んでいた荷台の中で1人の少女が目を覚ます。彼女はフレアリアが対虚神用に開発していた秘密兵器「虚人」だったのだ。故郷を失ったエルクは世界を殺すため、虚人の力を手にするのだった。
登場人物
メインキャラクター
エルク・リード・エルファレス
本作の主人公。フレアリア魔導学園に通っている。16歳。
エルファレスの第三皇子であるが、4年前にエルファレスとフレアリアが不可侵条約を締結した際に人質としてフレアリアに差し出され、現在はフレアリアで暮らしている。学園では本当の身分を明かさず、エルファレス出身の留学生として生活している。エルクの身分を知っているのはフレアリアで後見人にあたるアッシュ・バトロスをはじめとする限られた者のみとなっている。成績は優秀でクラス内の序列は2位。世界を殺したいほど憎んでいるが自身にそのような力はなく、自分より力を持つ人間を羨ましがることもある。
ミラたちフレアリア軍の戦略級魔導士がイスカに襲われていた場面に遭遇した時に、起動したスピネルと命主としての契約を交わしてしまう。また同時期に故郷のエルファレスでは皇帝崩御の混乱に乗じてクーデターが起こり、エルクも殺害対象であることが判明する。そのためエルクはフレアリアに忠誠を誓い、スピネルの命主として、そして自身の故郷を取り戻すためフレアリアと共に戦うことになる。
ミラ・ルビーレッド
ブルースピネル・アークロウ
フレアリアの秘密兵器。魔神の神骸を肉体に融合させたホムンクルスで、対虚神用兵器として開発された。スピネルと呼ばれている。外見の年齢は13〜4歳ほどで、その顔立ちは作り物のように美しい。
スピネルが動くためには命主の魔力が必要となり、長時間供給が途絶えると死んでしまう。そのため基本的には命主であるエルクとともに行動しなければならない。魔力波長は人によって異なり、スピネルはエルクの波長に適合するようフォーマットされている。最初期化はできないため、エルクが死んでしまうとスピネルも後を追うことなる。魔力の充填はエルクから離れていても供給されるが、直接肌を触れ合わせた方が効率よく魔力を充填することができる。
かつて全ての巨神を滅ぼしたアークロウの虚人であるスピネルは、アークロウが持つあらゆる巨神のデータや殺し方といった知識を、神骸細胞から引き出せる機能を持つよう設計されている。しかしスピネル自身はアークロウの記憶を持っていないため、虚神の名前や姿などの情報を絞り込んで検索しないと必要なデータを取り出すことができない。
イスカ・カリバーン
その他登場人物
クレス・クレール
フローラ・プリムローズ
アッシュ・バトロス
トーマス・グラナード
マリア・ミストラル
用語
国家・組織
フレアリア
その歴史は浅く、およそ200年前のまだ剣や弓矢が戦争の中核を担っていた時代に、人々の暮らしを豊かにしようと、1人の魔女が魔術を広めようとした。しかし既存のパワーバランスが崩れることをおそれた当時の権力者たちは魔術を使用する者たちを弾圧し、その迫害から逃れるために魔女は"禁断の地"と呼ばれる土地に新たな国を作ったのがフレアリアの興りとされている。その後フレアリアは凄まじい勢いで魔導技術を発展させ大きな軍事力を手に入れた。周辺諸国は当初、魔導技術を妬み嫌っていたがフレアリアに対抗するべく相次いで魔導技術に手をだし、剣や弓矢の時代は終わりを告げた。
フレアリアでは赤が最も美しい色であるとされており、赤煉瓦の建物や赤い屋根が目立つ。王宮の建物は白色であるが、それは王族こそが最も高貴な赤であり、白は赤を最も引き立たせることができるという理由からである。そのためミラのような貴族や王族の髪は炎のように赤い色をしている。
フレアリアの民は魔術を使えるものと使えない者によって区別される。魔導士の育成は長期間に及ぶ教育が必要となる。資質がないと優秀な魔導士にはなれないものの、必要な教育を受ければ誰でも魔術の施行は可能となる。しかし魔導士の育成には多額の費用がかかり、かつ学費が免除となる特待生の枠は競争が非常に激しいためほとんどの平民は零れ落ちる。そうして魔導士になれなかった平民は工場の労働者として働くことになるが、魔導士との格差が大きく不満を抱く人も多い。
フレアリアには昔から「夜の闇に踏み込むな。魔神にとって喰われるぞ。」という言い伝えがある。フレアリアでは夜間に行方不明となる人がそれなりにおり、それが魔神による仕業であると信じている人もいる。
フレアリアは東、西、南の三方を山に、北はフレアリアの国土よりも広い湖に囲まれている。南の山は東西の山と比べると低いものの、「奈落」と呼ばれる底の見えない大きな亀裂が走っており、人が通ることはできない。そのため北の湖が唯一の交易路となっている。街の北にある港には毎日荷物を積んだ沢山の船で賑わっている。
エルクが魔導学園に転入した当初、フレアリアは世界の覇権を握ろうとしていた魔導先進大国であったが、エルファレスが虚神の開発に成功したのを機に立場が変わり、フレアリアは魔術だけに頼る時代遅れの国であるといわれるようになった。
エルファレス
皇帝崩御の混乱に乗じて第二皇子のレナード・ダスク・エルファレスがクーデターを起こし、第一皇子やエルクの母は殺害、皇女たちは幽閉されてしまった。
長老議員(エルダー)
フレアリア魔導学園
学園内の留学生はフレアリアと出身国との力関係が如実に反映され、それによって扱いが変わってくる。
武器・兵力
魔導技術
魔術を使用するには発動させるための魔法陣を描く必要がある。魔法陣を描くにはまず円陣を作り、その内側に精霊語で魔術の属性や効果、威力など様々な術式を記述し、発動方法もこの時に設定する。記述に不備があると魔術は暴発するか発動すらしなくなる。発動方法は一定の条件下で発動するような設定も可能だが、一般的には自分で発動のタイミングを調整できる音声発動式を用いる。
正確かつすばやく魔法陣を描くということはとても難しく、円陣が少しでも歪んでいると魔力は散逸してしまう。また魔術には難解な精霊語を暗記しそれを状況に応じて記述できる能力が求められる。そのため最初はひたすらに真円を描く練習を積み重ねたり、精霊語の暗記から始まる。学生の魔術戦はほとんどが先に魔術を描き終えた人の攻撃によって一瞬で終わることが多く、序列下位になるとどちらも魔術を完成させることができずグダグダとなることも多い。
魔術は攻撃魔術や防御魔術、結界魔術、更に一般には公開されていない軍用の諜報魔術など様々な種類がある。
虚神(ゴーレム)
虚神は魔導士に神骸の一部を埋め込み魔力回路を無理やり繋ぐことで、その者を息絶えた巨神の心臓に代わる命主(マスター)とする。そうして空っぽの亡骸は新たな心臓の意志に従って動くようになる。移植された神骸とうまく適合しなかったり、虚神を動かせるだけの魔力が無い場合、命主は死亡する可能性が高い。
虚人(ドーレム)
虚神と比べると小さな体だが性能は虚神に劣らず、命主は虚術を使用できるようになると言われている。虚人は戦闘時に神骸細胞を活性化させることで絶大な力を発揮するが魔力を大量に消費し、充填した魔力を使い切ってしまうと虚人は動くことができなくなってしまう。全力で戦えるのは半刻が限度であると推測されているが、途中で命主が魔力を補給すれば稼働時間は延びる。しかし命主の魔力枯渇は虚人の生死にかかわるため、命主は魔力の無駄遣いを極力避け、引き際も見極める能力が求められる。神骸細胞が活性化していない待機中の状態であっても人間より圧倒的に強く、魔力は一切効かないうえに身体能力も非常に高い。物理防御力は脆くなっているが、傷ついても即死のような攻撃でなければ魔力のある限り再生することができる。なお、神骸細胞の活性化率には一定の上限が設けられている。規定のコードを用いて解除をすれば、巨神に限りなく近い存在となり神域の力を使用することができる。ただしそれに伴う魔力の量も格段に増えるため、下手をすると命主の魔力は根こそぎ奪いつくされ虚人共々死に至ることがある。
フレアリアが完成にこぎつけた虚人は現時点でスピネルのみである。
戦略級魔導士
魔導士になれる条件はただ一つ、国を滅ぼしうる大量破壊魔術を使用できるか否かで決まる。ミラは戦略級魔導士のなかで最弱であるが屋敷を壊すことは造作もない。
神代魔導具(アーティファクト)
その他
魔神アークロウ
虚術(ホロウ)
アークロウの虚術は他の人や巨神の傷、弱点となる黒い裂け目が見える。
既刊情報
富士見ファンタジア文庫より刊行。
タイトル | 発売日 | ISBN | 表紙 | |
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1 | 国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ | 2014年6月20日 | ISBN 978-4-04-070203-2 | スピネル |
2 | 国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ 2 | 2014年11月20日 | ISBN 978-4-04-070204-9 | ミラ、アイシス |