飛ぶ教室 (漫画)
以下はWikipediaより引用
要約
『飛ぶ教室』(とぶきょうしつ)は、ひらまつつとむによる日本のSF漫画作品。
概要
読み切りとして描かれた同名作品(後述)を元に、『週刊少年ジャンプ』(集英社)1985年5月27日号(第24号)から宮下あきらの『魁!!男塾』(第22号)、天沼俊の『すもも』(第23号)に続く新連載第3弾として開始され、第38号まで全15話が連載された。作品名はエーリッヒ・ケストナーの同名小説である『飛ぶ教室』からつけられたものであるほか、副題などにも児童文学からつけられたものがある。
埼玉の小学校を舞台として、その校庭に設置されていた核シェルターのおかげで核戦争を生き延びた小学生たちが核の冬に襲われつつある過酷な世界を学校での共同生活によって生き抜こうとする姿を描く作品となっている。後年、作者のひらまつが明かしたところによれば、ライフラインが整備されて資金があれば何でも買える便利な生活が無くなることを想像し、恐怖を覚えたことが本作の執筆動機になっているという。
後に発売されたひらまつの短編集『ミアフィールドの少女アニー』には、本作の主要人物の3年後の姿を描き「元気です。」と題されたイラストが掲載されている。
2015年7月16日には多数の要望を受け、復刊ドットコムから復刻された。同年10月3日には大阪のLoft PlusOne Westで「『飛ぶ教室』復刊記念 -子供たちの核戦争サバイバル- ひらまつつとむスペシャルトーク&サイン会」が開催されたほか、第2部を制作中であることが公表された。
2020年5月25日には『完全版 飛ぶ教室』が発売された。連載された全話に加え、読み切り版ならびに描き下ろしの第2部も3話掲載されている。そのあとがきにてひらまつは、今後も第2部を描き続けることを出版社や雑誌掲載などの詳細については、未定ながら公言している。2022年12月20日には全編書き下ろしの『完全版 飛ぶ教室 2』が発売され、2022年現在も続編を執筆中である。
世界設定
『飛ぶ教室』は、冷戦最中にある1980年代において198x年の近未来を舞台として描かれている。サバイバルの中情報が得られない設定となっているため、断定はされていないが核戦争の理由はアメリカ・ソ連どちらかの戦略核基地付近に隕石が墜落し、自動報復システムによって開始された物であり、その中でソ連の水爆が東京を襲ったのであろうと仮定されている。
主な舞台となるのは主人公のオサム達が通う埼玉第八小学校で、同校の校庭に関東に10箇所のみ作られた民間の試作シェルターの中の1つ・8号シェルターがあったため、偶然近くに居た1年3組の39人、4年2組の41人、6年2組の42人で合計122人の生徒と、6年2組の担任であった北川先生が生存することができた。校舎はシェルターを脱出後のオサム達の共同生活の場となっている。
あらすじ
第1部
198x年9月3日、小学6年生の安田オサムはいつも通り彼女のみつ子と共に埼玉第八小学校(所在地は埼玉県G市S町、埼玉古墳群へは5㎞の距離がある)に登校すると、その日は校庭の大掃除が待っていた。その校庭には夏休みの間に試作の8号シェルターが作られていた。クラスメイトのタローとサトルが校庭の大掃除をさぼりシェルターの中へと忍び込んだことに気づいたサトル達は、担任の北川先生を呼び、タローを追っかけシェルターの中へと入って行く。そして警報機が鳴り、タイマーが2分を切っていることに気づく。急いでシェルターの近くに居た生徒をシェルター内へと避難させると、タイマーが切れるのと同時に東京に水爆が着弾し、衝撃で崩れた天井から生徒を救おうとして北川先生が怪我を負う。そして天井崩れによって北川先生は死の灰を浴びてしまうが、生徒達を不安にさせまいとこのことを隠し続ける。
外の放射能濃度の下がるのを待って1ヶ月をシェルターの中で過ごした後に外に出ると、見慣れたはずの風景は荒廃しており生存者を確認することは出来なかった。唯一の大人である北川先生も寝込んでいるため、6年生が中心となって学校での共同生活を始めるが、それは街の商店などから放射能で汚染されていない密封された食料や水を探し出しながらのサバイバル生活であった。
オサムとサトルは代表として他の生存者を求め、比較的近いO市とS市のシェルターの探索へと出かけるがO市のシェルターでは生存者を確認できなかった。土砂崩れによって閉じ込められたS市の7号シェルターを発掘すると、中に居たのは立花ユウ子とカオルの小学生姉妹と25人の乳幼児のみで、こちらのシェルターにも大人はいなかった。そしてその夜、劣悪な環境の中で衰弱していた乳児が1人死亡する。オサム達は7号シェルターのメンバーと共に第八小学校へと帰って行った。
先が長くないことを悟った北川先生は事後のリーダーを決めるため大統領選を提案し、サトルが選ばれる。そして北川先生は息を引き取り、北川先生の死を乗り越え子供達は再び歩み出す。
第2部
第2部は災害の日は19xx年9月3日に変更され、北川先生の死後から1ヶ月を過ぎた時点から話が始まる。「大いなる遺産の巻」(『飛ぶ教室完全版』収録)から「美月と空 冷却塔の二人の巻」(『飛ぶ教室完全版2』収録)が序章、「恐るべき事実の巻」(『飛ぶ教室完全版2』収録)からが本章とされている。
登場人物
埼玉第八小学校
安田 オサム(やすだ オサム)
みつ子(みつこ)
サトル
タロー
ノボル
北川ひろみ(きたがわ ひろみ)
7号シェルター
第八小学校から比較的近いS市の公民館に設置されたシェルター。婦人会のおばさんと幼児や乳児ばかりが避難していたが、乳児達のためにと大人達が外にミルクを探しに出た所で入り口が塞がれてしまい、生存者を求めてオサム達が訪れた頃には子供しか中にはいなかった。脱出後第八小学校へと合流する。
立花 ユウ子(たちばな ユウこ)
立花 カオル
第2部から登場の人物
埼玉第八小学校
美歌、サツキ、大地
綾辻 レナ(あやつじ レナ)
F市大型冷却塔
読切版
1984年の『フレッシュジャンプ』(集英社)7月号に鷹沢圭の名義で掲載された同名読み切り作品。連載版のプロトタイプとなった。連載版『飛ぶ教室』のジャンプ・コミックス2巻に併録されている。
「7号シェルターは登場しない」といったいくつかの差異はあるが、既に設定はほぼ出来上がっており主な登場人物や大筋は連載版と同一。
書誌情報
- ひらまつつとむ『飛ぶ教室』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、全2巻
- 1986年2月15日初版発行、ISBN 4-08-852169-2
- 1986年4月15日初版発行、ISBN 4-08-852170-6
- ひらまつつとむ『ミアフィールドの少女アニー』発行:創美社・発売:集英社〈ジャンプスーパーコミックス〉1991年10月14日初版発行、ISBN 4-420-13231-0
- ひらまつつとむ『飛ぶ教室』復刊ドットコム、全2巻
- 2015年7月16日発売 ISBN 978-4-8354-5225-8
- 2015年8月18日発売 ISBN 978-4-8354-5226-5
- ひらまつつとむ『完全版 飛ぶ教室』潮出版社
- 2020年5月25日発売 ISBN 978-4-267-02241-8
- 2022年12月20日発売 ISBN 978-4-267-02377-4