鬼滅の刃
以下はWikipediaより引用
要約
『鬼滅の刃』(きめつのやいば、英: Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba)は、吾峠呼世晴による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2016年11号から2020年24号まで連載された。略称は「鬼滅」。単行本(全23巻)の累計発行部数は、2021年2月時点で1億5000万部を突破している。
概要
日本の大正時代を舞台に、主人公の少年が鬼と化した妹を人間に戻すために鬼たちと戦う姿を描く、和風の剣戟奇譚。
2019年にはufotable制作でテレビアニメ化され、物語の序章を描く第一期『竈門炭治郎 立志編』が放送された。
2020年には物語の中盤を描く劇場アニメ『無限列車編』が公開された。同作品の日本国内での興行収入は404.3億円に達し、日本歴代興行収入第1位となった。2021年10月から2022年2月まで、テレビアニメ第二期として『無限列車編』の再編集版とその続編となる『遊郭編』が、2023年4月から6月まで、テレビアニメ第三期として『刀鍛冶の里編』が放送された。更に、続編となる『柱稽古編』の放送が決定している。
その他、舞台化やゲーム化、玩具化、企業やテーマパークとのコラボレーションなど、メディアミックスが多様に展開されている。
制作背景
沿革
『過狩り狩り』
本作の源流は、吾峠呼世晴が2013年までに初めて描いた読み切り作品『過狩り狩り』であった。
同作は明治から大正ごろの日本を舞台とし、海外から来た吸血鬼、日本の鬼と『鬼狩り』との戦いを描く作品であり、その一部の登場人物や技が本作『鬼滅の刃』に引き継がれている。
吾峠は同作について「どうせ評価されないだろう」と考えていたが、家族に「どうせなら一番好きな雑誌に投稿すればいい」と促され、後述の自身がファンでもあった「銀魂」が連載されている、週刊少年ジャンプへ投稿した。
同作はその扉絵で主人公の顔が隠されているなどの特異な構成によって、ジャンプ編集部では「1ページ目から気になる漫画が来た」と話題になった。その結果、同作は第70回JUMPトレジャー新人漫画賞(2013年4月期、審査員:篠原健太)で佳作を受賞した。
吾峠の初代担当編集者である大西恒平は「ジャンプ志望の作家の中では珍しいタイプ。センスは感じたが、基本的な漫画づくりの基礎がまだできておらず、今後この才能をどう開花させられるか」と評した。
のちに本作の初代担当編集者となる片山達彦は「初見では分かりにくかったが、2度読んだときに構成や振りの巧みさに気づいた」、「圧倒的な才能は周りも認めていたし、私も感じていた」と評価した。
『鬼殺の流』
さらに吾峠は2015年、『呼吸』や『鬼殺隊』の設定を追加した連載作品『鬼殺の流』のネームを作成した。これが本作の前身である。しかし、「世界観のシビアさと主人公の寡黙さ」を理由に、編集部による連載会議で落選して雑誌掲載へは至らなかった。
同作の主人公は盲目、隻腕、両足が義足であった。世界設定は「読みやすくなった」という評価を得たが、主人公のキャラクター性が課題とされた。
主人公の変更
そこで、片山の先輩編集者が「『HUNTER×HUNTER』のように、主人公を普通の人物とし、その周囲に異常性のある人物を配置したほうが、読者が感情移入しやすく、また他の人物が引き立つのではないか」と提案した。
片山が吾峠へ「この物語にもっと普通の人物はいないか」と訪ねたところ、吾峠は脇役の構想として「炭売りの少年がいる。彼は家族全員を鬼に殺され、さらに妹が鬼になる。妹を人間へ戻すために『鬼狩り』になる」と考えていたことを明かした。片山はその人物こそ主人公にふさわしいと考え、「宿命を背負ったキャラクターは、物語を動かす推進力になる」として、主人公を変更することを提案した。吾峠はその提案を受け入れた。
連載直前
そして吾峠は『鬼滅の刃』の連載へ向けたネームを執筆した。前作までと比べて主人公が親しみやすく、物語がわかりやすく調整されており、また第一話で主人公を兄貴分が叱責する場面などの台詞の力に片山は圧倒されたという。
そのネームは紙面掲載時の内容とほぼ同じで、完成されたものであったが、ある人物が和装であったことに対して片山は「大正らしさがほしい」と提案したところ、吾峠は「詰め襟に羽織り」という現行のデザインを考案した。他の片山からの意見としては「目に留まるデザインは読者に受けるので、何かしらチャームポイントがあるといい」、「主人公の同期に、仲の悪い人物がいると面白い」という程度のみだった。その結果、『鬼滅の刃』は編集部から承認され、連載が開始された。
編集者の意見に対する姿勢
吾峠と担当編集者との打ち合わせでは、編集者による意見・提案に対して、吾峠は自身の信念を譲らずに構想通りに描くこともあれば、意見を柔軟に取り入れて原稿を修正することもあった。これについて、「吾峠は『物語として成立しているかどうか』を最も大切にしている」と、初代担当編集者の片山達彦が推測している。
例えば、作中序盤における主人公が修行を重ねる場面について、片山は「序盤に置くには引きが弱い」と指摘したが、吾峠は「普通の人間がすぐに強くなることはない」という持論を譲らず、構想どおりに描いた。また、その後に主人公が試練を受ける際にも、片山は「兄貴分が主人公を見守る描写を追加してはどうか」と提案したが、吾峠は「兄貴分はそのような立場ではない」として断った。
一方で、主人公の師匠役の容姿について片山が「インパクトがない」と指摘したところ、吾峠はそれを受けて容姿を修正した。また、主人公が憎むべき仇敵を殺したあとに哀れんで優しく手を握る場面について、吾峠は描いたものの「少年誌らしくないから削除しようかな」と言っていたが、片山が感動して「ここだけは絶対に入れるべきだ。こんな主人公は見たことがない」と熱弁し、存続されたという。
本作が影響を受けた作品
本作が影響を受けている作品として、吾峠がファンだと公言する『ジョジョの奇妙な冒険』における「不死身の吸血鬼」や「波紋の呼吸」というモチーフとの関連を、編集者の片山達彦が指摘している。また、吾峠は『銀魂』も大好きであることから、コメディ要素を好んで描くという。
ほか、上述のとおり『HUNTER×HUNTER』における「主人公は普通の人物で、周囲に異常性のある人物を置く」という要素を取り入れている。
読者人気
本作は『週刊少年ジャンプ』2016年11号から2020年24号まで連載された。
連載途中まで他の並み居るジャンプ作品と比べて人気は控えめで、一部噂では「初期は不人気で打ち切り寸前であった」とする声があるが、実際にはそのような懸念はなかった。
人気が確立された時期は、序盤で主人公が試練を終えたところ、また主人公の同期二人が出揃ったところだったという。
アニメ化後の人気爆発
その後、2019年にテレビアニメ化されたことで、さらに爆発的に人気が高まった。
過去の人気作品は連載最初から最後まで高い人気が続く例が多かったが、本作は右肩上がりでどんどん人気が加速していくという異例な存在だった。片山が入社して以来の10年間でもこのような例は見たことがなかったという。また、これほどの人気作品になることも片山は全く予想していなかった。
人気を獲得できた理由として、「小中学生でも理解できるわかりやすさと、作家性の両方を兼ね備えた作品であること。吾峠が連載を獲得するまでに何度も葛藤しながら培ったものと、もともと吾峠が備えていた才覚が重なり合った結果」と片山は分析している。
その他
連載誌にはミニコーナー「鬼殺隊報」が掲載されている。ジャンプ公認ツイキャス「スクールオブジャンプ」では、本作の主要登場人物の年齢や裏エピソードなどが発表され、公式設定とされている。
2019年に週刊少年ジャンプ連載の電子版だけの特典としてJネットワークスの着色による当該話のカラー版が掲載されている。連載終了後の『週刊少年ジャンプ』2020年44号には炎柱・煉󠄁獄杏寿郎の初任務を描いた特別読切が掲載された。
あらすじ
竈門炭治郎 立志編(1巻 - 6巻)
鬼殺隊入隊(1巻 ー 2巻)
義勇の導きで「育手」鱗滝左近次の元を訪れた炭治郎は、禰󠄀豆子を人間に戻す方法を求め、鬼を追うため剣術の修行に身を費やす。2年後、炭治郎は命を賭けた最終関門である選別試験を経て、「鬼殺隊」に入隊する。
浅草:鬼舞辻󠄀無惨との邂逅(2巻 ー 3巻)
その後、鬼でありながら無惨を殺そうと考える珠世と愈史郎に出会うが、無惨もまた刺客を差し向け、戦いとなる。炭治郎は、珠世と協力関係を結び、無惨に近しい鬼の血液を採取するという新たな目的を持つ。
鼓屋敷:仲間との出会い(3巻 ー 4巻)
那田蜘蛛山:蜘蛛の鬼(4巻 - 6巻)
こうして那田蜘蛛山の戦いは終結するが、炭治郎と禰󠄀豆子は処遇を巡って「柱合裁判」にかけられる。「柱」たちの厳しい追及を受ける竈門兄妹だったが、禰󠄀豆子が血への欲望と怒りに耐えきったことで、鬼殺隊当主・産屋敷耀哉の元、在籍を認められる。
蝶屋敷:機能回復訓練(6巻 ー 7巻)
一方、「下弦の伍」が倒されたことに業を煮やした無惨は、下弦の鬼四体を役立たずと粛清し、最後の下弦「下壱」を強化して、炭治郎への追手に放つ。
無限列車編(7巻 - 8巻)
炭治郎たちは、ヒノカミ神楽の手掛かりを求め、炎柱・煉󠄁獄杏寿郎を訪ねて無限列車に乗り込む。杏寿郎とは会えたもののヒノカミ神楽の情報は得られず、しかも列車は鬼絡みの事件の渦中にあるという。3人と杏寿郎は、「下弦の壱」眠り鬼・魘夢の術に嵌り、夢の中に閉じ込められる。何とか覚醒に成功し、乗客を守りつつ、魘夢を倒す。
だが直後に現れた「上弦の参」猗窩座との戦いで、杏寿郎が殉職する。杏寿郎は炭治郎と禰󠄀豆子を認め、また猗窩座は炭治郎を標的視するようになる。
遊郭編(8巻 - 11巻)
無限列車の事件から四か月後、音柱・宇髄天元の嫁が、遊郭「吉原」への潜入捜査中に消息を絶つ。天元は救出のために隊を組み、炭治郎・善逸・伊之助を女装させて潜入させる。炭治郎は「上弦の陸」堕姫と対峙し、潜入調査は一転して上弦の討伐任務となる。堕姫との実力差と自分に合わない水の呼吸・ヒノカミ神楽の技に、苦戦を強いられる。天元たちが合流し、なんとか堕姫の頸を落としたものの、死なないばかりかその体内からもう一匹の鬼・妓夫太郎が現れる。「上弦の陸」の正体はお互いの命を共有する兄妹鬼だった。毒を操る妓夫太郎と堕姫の連携攻撃に、全滅必至の負傷を負わされた剣士たちだったが、限界を超えた闘志でこれを打ち破る。
これにより、鬼殺隊にとって百年ぶり勝利がもたらされ、病身の耀哉は歓喜する。無惨は上弦の五鬼を集め、次の作戦を指示する。
刀鍛冶の里編(12巻 - 15巻)
幾度の強敵との戦いの度に刀を折ってくる炭治郎に、刀鍛冶・鋼鐵塚蛍は堪忍袋の緒が切れ刀を作らないと宣告する。鋼鐵塚に直談判するため炭治郎は秘匿されている刀鍛冶の里に足を延ばす。そこでたびたび夢に出てくる「耳飾りの剣士」についての足跡に触れる。
また、炭治郎は里を訪れていた恋柱・甘露寺蜜璃と霞柱・時透無一郎の二人の柱と、最後の同期にして風柱の弟である不死川玄弥と再会を果たす。
平穏だった刀鍛冶の里だが、無惨の命を受けて「上弦の伍」玉壺と「上弦の肆」半天狗が襲撃してくる。玉壺は刀鍛冶を狙い、半天狗は剣士を襲う。犠牲者が出るも、防衛戦の末に、無一郎が玉壺を討伐、炭治郎が半天狗を討伐する。
柱稽古編(15巻 ー 16巻)
禰󠄀豆子が太陽を克服した。それを知るや無惨は歓喜し、標的を「青い彼岸花」から「禰󠄀豆子」に変える。彼女を食らうことで、自らも太陽を克服するというのである。無惨は鬼たちを退き、禰󠄀豆子を巡る総力戦へと備える。
一方、柱合会議。かつて戦国時代、無惨をあと一歩のところまで追い詰めた剣士たちには、ことごとく鬼の文様に似た「痣」が現れていたと産屋敷耀哉の妻・産屋敷あまねは語る。無一郎は、自分の体験から「痣」を出す条件を具体的に把握していた。これを受け岩柱・悲鳴嶼行冥は、全ての柱を動員した合同強化訓練「柱稽古」を提案する。隊員たちは能力の強化を、柱たちは「痣」の発現をそれぞれ目指す。
無限城編(16巻 - 23巻)
無惨は産屋敷邸を突き止め、耀哉の命を奪うべく、深夜に来訪する。死病を気力で生き永らえていた耀哉は、自らを罠にして屋敷を爆破。未知の血鬼術を持つ伏兵の支援のもと、珠世が無惨に「鬼を人間に戻す薬」を吸収させる。さらに悲鳴嶼が追い打ちをかけるも、無惨は絶命しない。お館様の緊急事態に、炭治郎や柱たちも続々と集結し、弱体化中の無惨へと総攻撃を仕掛ける。夜明けまでの持久戦に持ち込めるかという状況で、鳴女によって鬼殺隊全員が無限城へと落とされ、鬼殺隊と鬼たちの総力戦が始まる。鬼殺隊は禰󠄀豆子を隠し、愈史郎が通信網を張り、お館様を継承した産屋敷輝利哉が指揮を取る。無惨は戦いを鬼たちに任せ、肉繭に籠り解毒を試みる。
vs新上弦の陸・獪岳(17巻)
vs上弦の参・猗窩座(17巻 ー 18巻)
vs上弦の弐・童磨(16巻 ー 19巻)
カナヲと童磨はそのまま戦闘にもつれ込むが、その最中に伊之助が乱入する。伊之助の素顔を見た童磨は、記憶から「伊之助にそっくりな女性」を思い出し、それが伊之助の母親であると断定する。童磨は伊之助の母も殺していたのである。カナヲと伊之助は、仇への憎悪に燃える。殉職したしのぶの仕込みを後押しする形で、カナヲと伊之助は童磨を斬首し、撃破。
vs上弦の壱・黒死牟(19巻 - 21巻)
継国縁壱(幕間)
vs鬼舞辻󠄀無惨(21巻 - 23巻)
無惨は炭治郎に血を注入し、毒殺しようとする。剣士たちが無惨と戦っている間に、死に瀕した炭治郎は血の記憶から継国縁壱と日の呼吸の型を夢に見て、起き上がり再び戦いを挑む。また珠世が薬に隠していた複数の効果が、無惨をじわじわ蝕む。無惨の逃走を封じ、ついに朝日が無惨を焼き、炭治郎と義勇が無惨にとどめを刺す。戦死者多数、誰もが満身創痍の激闘であった。
だが無惨は死の間際に、残る力の全てと己の想いを注ぎ込んで炭治郎を鬼の王に変える。鬼の王として覚醒した炭治郎は日光を容易に克服して剣士たちを攻撃するも、カナヲによって「鬼を人間に戻す薬」を打ち込まれる。炭治郎の中では、無惨の血と薬がせめぎ合い、最終的に炭治郎は人間として目を覚ます。無惨と鬼たちは滅び、鬼殺隊は活動を終え、炭治郎と禰󠄀豆子は家に帰る。
鬼のいない世界(最終話)
登場人物
声はアニメ版の声優。演は舞台版の俳優。登場人物の名前は創作のほか、「奇抜に見えるが実在する」姓名が多用された。
主要人物
竈門 炭治郎(かまど たんじろう)
声 - 花江夏樹、佐藤聡美(幼少期)
演 - 小林亮太(1 - 3作目)→阪本奨悟(4作目)、髙原華乃(2作目・幼少期)
本作の主人公。年齢は13歳→15歳。身長は156→165cm。体重53→61kg。炭焼の家系である竃門家の長男で、家族思いな少年。父親は物語開始時点で亡くなっている。額左側の痣と、日輪が描かれた花札風の耳飾りが特徴的。額の痣は元は幼い時に弟を庇ってできた火傷痕で、最終選別での手鬼との戦闘で同じ箇所に傷を負ったことで更に色濃くなり、後の堕姫・妓夫太郎戦で炎の様な痣へと変化し、真の痣者となる。髪と瞳が赤みがかった「赫灼の子」であり、火仕事をする家系に生まれると縁起が良いという。頑固で石頭と二つの意味で頭が固く、生真面目過ぎてズレた言動をすることがある。
嗅覚が非常に優れており、相手の感情すら嗅ぎ取ることができる。これは戦闘時において敵の気配を読む力としても機能し、鍛練後は「隙の糸」として可視化されるようになった。鬼と人間を嗅ぎ分け、仇である無惨を匂いで見抜く。他にも、戦闘に関して優れた直感や柔軟な思考力を発揮する。
反面、非常に心優しく、鬼を前にしても非情になりきれない。問答無用で鬼を斬り捨てる鬼殺隊の在り方にも公然と異を唱え、柱達からも異端視される。
隊服の上に市松模様の羽織を着用し、禰󠄀豆子を収納した鱗滝特製の霧雲杉製の箱を背負って行動する。現状は十二鬼月を倒し、その血液を珠世に送る事を最優先の目的としている。
炭売りの帰りに三郎(さぶろう)の宅に泊まり一晩家を不在にした夜、禰󠄀豆子以外の家族全員を無惨に殺される。鬼化して辛うじて生き残った禰󠄀豆子を人間に戻すため、冨岡義勇の紹介で鱗滝の元を訪れる。鬼を追う力を求め、2年間の鍛練を経て「水の呼吸」を身につける。また、生家に伝わる「ヒノカミ神楽」を下弦の伍・累との戦闘から剣技に変換し、使用し始める。
担当の刀鍛冶は鋼鐵塚蛍。日輪刀の色は漆黒で、拵は日輪を思わせる透かし鐔の他、柄や鞘を含めて黒と銀を基調としている。水の呼吸は資質的に合っていないことから極めることが叶わず、伝承したヒノカミ神楽も技の威力に身体がついていかない。その自覚から、新たな自分の呼吸法を模索し、堕姫・妓夫太郎戦の中でヒノカミ神楽に水の呼吸の体捌きを組み合わせた複合型の呼吸を編み出した。刀は激戦で折れたり紛失したりしている。最新の刀は、縁壱零式の機体内に収納されていた戦国時代の刀を鋼鐵塚が研ぎ直したもの。鍔は煉󠄁獄杏寿郎の遺品。
無限城では、冨岡とともに上弦の参・猗窩座と交戦。圧倒的な実力を誇る猗窩座の前に劣勢を強いられるが、戦いの途中で「透き通る世界」を会得し、辛勝する。
無惨との戦いでは自身ら鬼殺隊を「異常者の集まり」、殺された人達についても「大災に遭ったと思え」と言う彼に無表情のまま怒りと憎悪を滲ませて「無惨、お前は存在してはいけない生き物だ」と言い放ち、同期や柱たちと共に交戦するも無惨の猛攻で右目と左腕を失う。しかし、夢を通じてヒノカミ神楽の真実を知り、死闘の末に無惨討伐に成功する。無惨が滅びる寸前、「想いは不滅であり永遠である」という産屋敷耀哉の言葉を曲解した無惨に自身の血と力を注ぎ込まれ「鬼の王」に変えられてしまい、仲間に牙を剥くも、禰豆子の必死の呼びかけやカナヲが放った「鬼を人間に戻す薬」によって人間に戻る。
戦後はこれまでの関係者とのやりとりや戦死した隊士たちの墓参りを済ませた後、善逸・伊之助・禰豆子と実家に戻って暮らす。右目と左腕は鬼の王となった際に再生はしたものの、感覚は戻らず後遺症を負っている。
当初は『鬼殺の流』に出す予定のサブキャラクターだったが、連載に向けて提出したネームが没となった後、主人公をより普通の人物に変える事となり、吾峠が「家族全員を殺され、鬼となった妹を人に戻すために鬼殺隊に入った炭売りの少年」の話をしたところ、担当が「宿命を背負ったキャラクター」だと感じ主人公に抜擢された。
技一覧
ヒノカミ神楽(ヒノカミかぐら) / 日の呼吸(ひのこきゅう)
継国縁壱の日の呼吸(ひのこきゅう)を、炭焼きの神楽として受け継いでいたもの。無惨との最終決戦時には日の呼吸に名称が変化した。
円舞(えんぶ)
真円に近い弧を描いて打ち下ろす太刀筋が特徴の技。
碧羅の天(へきらのてん)
日輪の様に円を描く太刀筋を縦に叩きつける技。
烈日紅鏡(れつじつこうきょう)
太刀筋が∞の様な軌道を描き、左右対称の鋭い斬撃を広範囲に放つ技。
灼骨炎陽(しゃっこつえんよう)
激しい動きをして繰り出す高速の回転斬り。鬼がこの斬撃を受けると、灼けるように痛みを感じ上手く再生できなくなる。
陽華突(ようかとつ)
上空へ向かって飛び上がり、攻撃の威力を一点集中させて放つ突き技。
日暈の龍・頭舞い(にちうんのりゅう・かぶりまい)
龍が舞うような動きで接近し、禰󠄀豆子の爆血を纏った刀で斬る。敵の回復速度を遅らせる特性を持つ。
斜陽転進(しゃようてんしん)
空中で反転した体制で剣を振るう。敵の動きを読み、ギリギリで反転して相手が攻撃を出し切る前に斬り込む。
飛輪陽炎(ひりんかげろう)
斬りつける瞬間、刀の刃先が陽炎のように揺らぎ敵の目算を狂わせるため、攻撃範囲を読まれにくい。
輝輝恩光(ききおんこう)
鋭く力強い踏み込みと素早い剣の振り抜きが特徴の技。
火車(かしゃ)
相手の真上を飛んで背後に回り、空中から放つ技。
幻日虹(げんにちこう)
高速の捻りと回転による躱し特化の技。視覚が優れた者ほど、くっきりとした残像を捉えてしまう。
炎舞(えんぶ)
円舞の上下二連撃。特訓の末、使用できる様になった。一撃目をかわされても即座に二撃目を繰り出せる。
拾参ノ型
上記の12の型(順番は決まっておらず、番号もない)を繰り返すことで13番目の型になる。円舞と炎舞を繋げる事で日輪の様に円環を描く仕様になり、これを無惨相手に夜明けまで繰り返し続ける事が無惨を滅ぼす為の必勝法となる。
竈門 禰豆子(かまど ねずこ)
声 - 鬼頭明里
演 - 髙石あかり(1・2作目)→髙橋かれん(3作目以降)
本作のヒロイン。年齢は12歳→14歳。身長は150→153cm。体重39→45kg。炭治郎の妹で、竃門家の長女。人間だったころは家族思いの心優しい性格で、聞き分けが良く、我が儘を言った事も無いという。
炭治郎不在時に鬼舞辻󠄀無惨の襲撃を受けるが、その血が傷口から混入した事で鬼化して生き残る。鬼の習性で助けに来た炭治郎を襲うが、必死の呼び掛けで涙を流す、飢餓状態で人の血肉が必要な状態ながら冨岡に倒された炭治郎をかばう等、普通の鬼とは違う様子を見せたことで見逃される。以降は竹製の口枷がつけられ、意識が混濁している状態となる。
鬼の能力の一つとして、身長をある程度拡縮できる。普段は日差しを避け、身体を少し小さくして背負い箱に入った状態で炭治郎に運ばれているが、戦闘時には身体の大きさを戻して蹴りをメインに戦う様になる。また、累との戦闘時に死んだ母親と深層意識で出会ったことがきっかけで、血が燃えて爆ぜる血鬼術「爆血(ばっけつ)」が開花する。
普段は日差しを嫌うなど、鬼の本能の一部を見せるが、ぼーっとしていることが多い。しかし、炭治郎が危機に陥っていたり、強く呼びかけられたりすると活動的になる。鱗滝から暗示をかけられ、人間が自分の家族に見え、鬼を敵と認識するようになる。人間の血に対する欲求は強く残るが、強靭な自意識で無理やり押さえ込んでいる。しかし、自身の中にある無惨の血が呼応する事で成人女性ほどの体格となり、右側頭部に角が生えるほか、体の各所に枝葉の様な紋様が入った姿になる。この状態になると上弦並の戦闘力が覚醒するが、人間に対する食欲も高まり襲おうとしてしまう。刀鍛冶の里での上弦との死闘の後、太陽の光を克服し、片言ながら言葉を話せるようになる。
鱗滝は、通常の鬼が人間の血液で活力を得るところを、禰󠄀豆子は睡眠で代替していると見ている。肉体的な再生能力は通常の鬼より鈍いが、鬼化の進行が進めば「上弦の陸」の堕姫すら上回り、五体が切断されても凝結させた血を繋げ、それぞれを引き戻して復元できる。また、珠世は最初の二年間の睡眠中に、禰󠄀豆子の鬼としての性質が変質したと推測している。
また、当初は表情が少なかったが、炭治郎に頭を撫でて欲しくて寝ている彼に頭突きをし、その石頭から額が割れて泣き出したり、甘露寺に撫でられて嬉しそうにするなど、初期に比べて表情豊かになってきている。
太陽を克服した後は無惨を炙り出す鍵として鱗滝らに預けられる形で残り、後にしのぶと珠世の共同研究で作られた薬によって人間に戻る事ができた。その後は「鬼の王」となってしまった炭治郎に必死の呼び掛けをし、炭治郎は無事に人間に戻った。決戦終結後は炭治郎や善逸、伊之助と共に実家に戻った。最終的には善逸の想いを受け入れて結ばれる。
技一覧
我妻 善逸(あがつま ぜんいつ)
声 - 下野紘
演 - 植田圭輔
炭治郎の同期に当たる鬼殺隊剣士。年齢は16歳。身長は164.5cm。体重58kg。非常に臆病で、消極的・後ろ向き思考の利己的な面が強い少年。
金色(黄色)の髪と太い眉が特徴的。隊服の上に鱗文様の羽織を着用する。日輪刀は刀身に稲妻のような刃文が走っており、鐔は四ツ木瓜型で、拵は白を基調としている。彼のみなぜか、鎹鴉ではなく「鎹雀のチュン太郎」をつけられている。師に才を評価され、それに見合った実力を持ちながらも、自分が強いはずがないという劣等感に縛られ、情緒不安定気味である。女性に対しての執着心が非常に強く、しばしば顔芸と迷台詞を披露する。禰󠄀豆子に惚れている。
「雷の呼吸(かみなりのこきゅう)」で鬼を倒す。「雷の呼吸」の六つの型のうち、「壱ノ型 霹靂一閃」しか会得できなかったが、それのみを鍛え上げ、雷光に例えられる疾さに至っている。作中当初はプレッシャーに弱く、緊張や恐怖が極限まで高まると気絶するように眠ってしまうも、それによって半覚醒状態となり、緊張から開放されることで本来の強さを発揮する。作中で炭治郎達と共に戦闘経験や柱修行などで力を積んでいき、無限城での獪岳との戦闘では自意識覚醒のまま獪岳を単騎で討ち取るほどに技も判断力も成長していく。
聴覚が非常に優れ、その能力で他人の感情を読み取ることもできる。そのうえで「信じたいこと」を優先して信じるので、何度も騙されてきた。女に騙されて借金苦に陥った所を後の師である桑島に救われ、剣士としての訓練を受けた。修行中に雷に打たれたことで、生来の黒髪から金髪に変わった。最終選別に合格してからしばらく後、同期の炭治郎と再会し、以降は彼と行動を共にする。
己の弱さに対する嘆きは、誰かの役に立ちたいという願いの裏返しである。先述の経緯から、鬼への負の感情をモチベーションにはしていない。鬼に追われても子供を置いて逃げる事はせず、禰󠄀豆子が入った箱が伊之助に斬られそうになった際には毅然と相対し、炭治郎が鬼である禰󠄀豆子を連れている事を最初から分かっていたうえで、本人曰わく、「泣きたくなる様な優しい音」がするという炭治郎を信じて命懸けで箱を守り切るなどの一面も見せる。
蜘蛛山編、無限列車編、遊郭編に参戦。無限城では、鬼となった兄弟子・獪岳と交戦し、新技「漆の型」で葬る。無惨との戦いにも参加し、最後まで生き残った。戦後は炭治郎達と共に彼の実家へ移り、禰豆子と結ばれる。
嘴平 伊之助(はしびら いのすけ)
声 - 松岡禎丞
演 - 佐藤祐吾
炭治郎の同期に当たる鬼殺隊剣士。年齢は15歳。身長は164cm。体重63kg。猪に育てられた捨て子。名前は本名。「藤の家」の老婆・ひさ(声 - 谷育子)が作った天ぷらを食べてから好物となった。
奇怪な猪の被り物をしているが、素顔は女性的で非常に端整な顔立ちをしており、上半身は裸で、隊服はズボンのみ。腰や脛に毛皮を巻いている。日輪刀は最初は他の隊士から奪って手に入れた鍔と柄が無く、茎に布を直接巻き付けたのみの刃こぼれした2本の刀で、「千切り裂くような切れ味」と嘯く。鞘がなく非戦闘時は茎と同様、布を巻きつける。那田蜘蛛山の戦闘で折れた後、刀鍛冶・鉄穴森の手で伊之助用の日輪刀として正式に打ち直され、藍鼠色に変化するが、受領直後に石で叩いて最初の刀と同様、刃こぼれの形状に戻してしまい、鉄穴森の怒りを買った。
鬼殺隊隊員と力比べをして日輪刀を奪い、最終選別や鬼のことを聞きだした。育手の指導を介さず最終選別を生き残り、鬼殺隊に入隊した傑物。「稀血」の少年・清(きよし)(声 - 土岐隼一)を巡る響凱との戦いに、猛然と割り込む。炭治郎と同期ではあるが、最終選別にて生き延びて合格後に誰よりも早く下山した為にその時は炭治郎との面識はなく、初対面は鼓屋敷の闘いの時である。
戦いたいがゆえに戦うという好戦的な野生児で、高笑いしながら「猪突猛進、猪突猛進」と叫び、喧しく剣を振るう。常識に疎く文盲だが、語彙は豊富であり、突然難解な熟語を使う事がある。これは幼少のころ、一時期面倒を見てくれた老人の読み聞かせやその孫とのやり取りが影響している。他人の名前を覚えられず、勝手にあだ名をつけて呼ぶ。ちゃんと名前を言えるのは7回に1回ほど。
粗野粗暴だが、精神的には打たれ弱い部分があり、自分が手も足も出ず、負けると人が変わったように落ち込んでしまう。反面、自分より優勢の人物がいたり、他人から煽られると逆にやる気を出すなど、非常に負けず嫌いな一面もある。人の情けや、優しさを知らずに育ったため、それらが理解できていなかったが、炭治郎達と行動を共にすることで情緒が育ち始め、自らの変化に困惑する様になる。
我流の呼吸法である「獣の呼吸(ケダモノのこきゅう)」で鬼を倒す。触覚が非常に優れ、集中することにより空気のかすかな揺らぎすら感知し、直接触れていないものでも捉えられる。特に、視線や殺気を感知する力は優れており、全方位の攻撃を避けたり下弦の壱・魘夢の血鬼術の発動を感知したりした。服を着ると触覚が鈍るため、常に上半身は裸になっている。毒や薬が効きにくい体質。関節の脱着による軟体化、内臓を移動させて致命傷を避けるといった芸当を見せる。
蜘蛛山編、無限列車編、遊郭編に参戦。無限城で童磨と遭遇し、自分の出生と母・琴葉の存在を知らされる。カナヲと共闘して童磨を斬首し、恩あるしのぶと母の仇を取る。無惨との戦いにも参加し、最後まで生存した。最終決戦後は炭治郎宅で同居する。
技一覧
鬼殺隊
柱
冨岡 義勇(とみおか ぎゆう)
声 - 櫻井孝宏
演 - 本田礼生
「水の呼吸」を使用する水柱(みずばしら)。年齢は19歳→21歳。日輪刀は水の呼吸の適性を示す青みがかった刀身で、拵は鐔が亀甲型である他、全体的に白と黒、赤紫色を基調としている。
初登場は1話。禰󠄀豆子に襲われる炭治郎の前に現れ、鬼化した禰󠄀豆子を殺そうとする。しかし、妹を助けるために命懸けで勝とうとする炭治郎の意志や、飢餓状態でも兄を守ろうとする禰󠄀豆子を見たことで剣を引く。妹を助ける道として鬼殺隊としての訓練を受けるように勧め、鱗滝左近次に紹介状を送る。
現実的で冷めた雰囲気を見せ、感情を表に出すことはほとんどないが、炭治郎の生きる気力や覚悟を引き出すためにわざと厳しいことを言ったり、前述の経緯から禰󠄀豆子を見逃したりと、根は優しく情に厚い面がある。だが無表情で口下手なため、誤解を招き、しばしばトラブルを生む。嫌な奴といった印象を他人に与えがちで、胡蝶しのぶに「皆から嫌われている」と指摘されるが、自覚が無く強く否定している。
鱗滝と共に炭治郎と禰󠄀豆子を後援しており、柱合裁判で読み上げられた鱗滝の手紙により、「禰󠄀豆子が人を喰ったら切腹して詫びる」覚悟を持っていることが明らかになる。
隊服の上から、左右で違う柄を継いだような羽織を着用する。右半分が後述の蔦子の形見である色付きの無地、左半分は錆󠄀兎の形見である着物。
祝言間近の姉・蔦子を鬼に殺された過去を持つ。錆󠄀兎とは同じ時期に鱗滝に入門し、親友同士だった。作中での2度目の柱合会議の際、他の柱に対し「俺には関係ない」「俺はお前たちとは違う」と発言、柱稽古に出ないなどして顰蹙を買う。しかしこれは、最終選別を実力で突破したのではなく錆󠄀兎に守られ生き残っただけであるという負い目があったためである。「他の柱と肩を並べていていい人間ではない」と劣等感と自己嫌悪の念を抱えていたが、炭治郎に「錆󠄀兎が残したものを繋いでいかないのか」と問いかけられ、嘗て錆󠄀兎に自分自身を貶める言葉を張り手と共に叱咤された事を思い出し、柱稽古に参加する事を思いあらためる。
自己評価は低いが柱にふさわしいだけの実力が備わっている。水の剣術は炭治郎を上回り、自ら独自に「拾壱ノ型」も作り出した。
無限城では、炭治郎と上弦の参・猗窩座と交戦。痣の者として覚醒するが、それでも実力が及ばない。炭治郎が猗窩座を斬首するも倒し切れず、満身創痍の弟弟子を必死で守り、最終的には猗窩座が自ら負けと死を受け入れるという形での辛勝となった。
無惨との戦いでは、右腕を失うも実弥とともに最後まで戦い抜いた。戦いの後は、長かった髪を切っている。
『冨岡義勇外伝』では主人公として描かれている。
初期案では着物を着用していたが、担当の片山から「大正感」が欲しいと要望を受け、詰め襟の隊服に羽織りという設定に変更された。
技一覧
胡蝶 しのぶ(こちょう しのぶ)
声 - 早見沙織
演 - 門山葉子
「蟲の呼吸(むしのこきゅう)」を使用する蟲柱(むしばしら)。年齢は18歳。蝶の羽根を模した髪飾りや羽織を着用する。薬学に精通し藤の花から「鬼を殺せる毒」を作り出した。栗花落カナヲを継子に持つ。嘗てはカナヲ以外にも継子が三人いたが、全員鬼に殺害されている。
初登場は那田蜘蛛山編。蝶屋敷編の主要人物。身長151センチで体重は37㎏。
女性隊士の中でも特に小柄で華奢な人物であるが、その分瞬発力や移動速度に優れていて、後述の童磨から今まで出会った柱の中で一番早いと言われていた。刀を振る筋力が弱いため柱の中で唯一鬼の頚を斬ることができない剣士だが、突く筋力が非常に強く、岩を貫通させるほど。日輪刀はその能力を活かすため、刀身は反りが少なく、銛の様な独特な形をしており、刺突技に特化した戦い方をする。刺突では鬼を殺せないため、鬼ごとに調合を変えた毒を刃に纏わせて毒殺する。担当の刀鍛冶は鉄地河原鉄珍。草履の踵部分に仕込み刃が施してある。
常に笑顔を絶やさず、誰に対しても敬語を崩さない物腰柔らかな女性。善逸が顔だけで食べていけそうと評価する程の美人。「鬼も人も仲良くすればいい」という持論を掲げており、命乞いをしてきた鬼を助け様とする素振りもみられるが、「殺した人の分だけ拷問することで仲良くできる」という条件を提示するなど、言動に見合わない苛烈さや歪んだ価値観を見せる事がある。
那田蜘蛛山にて初対面の禰󠄀豆子を殺そうとするも、冨岡に阻止される。柱合会議後は彼とならぶ炭治郎の数少ない理解者となる。「蝶屋敷」という鬼殺隊専門の病院のような施設を運営しており、重傷を負った隊員の治療やリハビリを受け持っている。屋敷の子供達を妹のように可愛がっている。
嘗ては姉カナエと両親と幸せに暮らしていたが、鬼によって両親を殺害され、悲鳴嶼に助けられた。まだ壊されていない誰かの幸福を守るため、姉と共に鬼殺隊士となった経緯を持つ。
最愛の姉であるカナエは「鬼と仲よくしたい」という夢を持つ剣士であったが、惨殺されている。姉の好いてくれた笑顔を絶やさずにその夢を受け継がなくてはならないと考える一方、保身のために嘘をつき、剥き出しの本能で人を襲う鬼に対し、どうしようもない嫌悪感が心の奥底に蓄積されていき、その葛藤の結果、上記のような振る舞いをする様になった。その相反する想いは、自分と同じ様な過去を持ちながら、鬼を救う信念が決して揺るがない炭治郎に託される。
無限城編で、上弦の弐・童磨と遭遇。カナエの仇と悟り交戦するが、毒も全力の剣技もおよばず、肋骨や鎖骨、肺を斬られた挙句、最期はカナヲの目の前で全身の骨を砕かれ童磨に吸収される。戦いの最中も彼に軽くあしらわれていて、カナエより実力が劣っている。実は、童磨への執念で藤の花を少しずつ摂取し続ける事で身体を作り変えており、致死量の700倍と称するほどの猛毒の塊と化している。あえて童磨に己を喰わせる事で猛毒を盛り、カナヲにとどめの斬首を託す。童磨の死後、その魂はカナエと共にカナヲを称賛した後、両親と再会を果たす。
技一覧
煉󠄁獄 杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)
声 - 日野聡、伊瀬茉莉也(幼少期)
演 - 矢崎広
「炎の呼吸(ほのおのこきゅう)」を使用する炎柱(えんばしら)。年齢は20歳。日輪刀は刀身が赤色で、拵は炎の様な形状の鐔を備えている。無限列車編の主要人物。
服装は隊服の上から、下方先端が炎を思わせる意匠の白いマントのような羽織を羽織っている。
隊律違反を犯した炭治郎と鬼である禰󠄀豆子の斬首を問答無用で主張するが、鬼に対する怨みや憎しみは見せず、正論を好んで語る。柱合裁判後、炭治郎の心意気に一人感ずる様子も見せ、後に再会した時には継子に勧誘する。また、最期には人間を守るために戦った禰󠄀豆子を鬼殺隊の一員として認める。
歴代「炎柱」を輩出している名家・煉󠄁獄家の出身。幼いころから父の指導の下、鬼狩りとしての腕を磨いていたが、突如剣を捨て無気力となった父より突き放され、深く傷つきながらも、表向きは常に快活な笑顔を浮かべ、弟・千寿郎を導きつつ柱の一人として鬼殺隊も支えた。
戦闘力は凄まじく、無限列車内では五両間を一瞬で移動、技の威力で横転の衝撃を和らげるほどの実力を持つ。リーダーシップと判断力も優れ、炭治郎達に列車の事態を収拾するための的確な指示を出す。他の柱達からも高評価されている。
無限列車の調査に赴き、炭治郎達と共闘して魘夢を倒すが、直後に上弦の参・猗窩座の強襲を受ける。彼からはその卓越した戦闘能力や剣技、精神性を絶賛され、鬼となる様、再三勧誘を受けるも、最後までこれを跳ね除けて人間として戦い抜いた。互角以上の戦いを演じるが、再生能力の前に徐々に追い詰められ、ついには致命傷を負い、猗窩座を取り逃がしてしまう。それでも、幾人もの柱を殺してきた上弦の鬼を相手に死力を尽くして渡り合い、自身以外の誰も傷つけさせずに守り切った。最期に炭治郎達へ遺言を残し、家族への想いを胸に抱きつつ笑顔で息絶える。今代の柱では最初の戦死者となったが、その戦う姿勢と信念は炭治郎達に多大な影響を与え、死後もなお、尊敬され続けている。
『煉󠄁獄杏寿郎 外伝』では主人公として描かれる。
技一覧
宇髄 天元(うずい てんげん)
声 - 小西克幸
演 - 辻󠄀凌志朗
「音の呼吸(おとのこきゅう)」を使用する音柱(おとばしら)。年齢は23歳。「派手」が口癖で、宝石が散りばめられた額当てをはめ、左目の周囲に化粧をしている派手な出で立ちの大柄な剣士。自称「祭りの神」。素顔は非常に端正だが、本人は「地味だから」と嫌い、化粧で派手な容姿を作っている。三人の妻、須磨・まきを・雛鶴がいる。遊郭編の主要人物。
得物は鎖でつながれた大包丁の様に幅広の二本の日輪刀で、戦闘時以外は刀身に細い布を巻いて背負う。補助に火薬玉も使用する。
体格と腕力は柱の二番手。元忍であるため、大柄な体格に反する柱随一の俊敏さや隠密性を併せ持ち、毒への耐性も高い。聴覚に優れる(雷の派生が音。善逸は雷)。敵の攻撃動作を音の律動に変換し、その攻撃の癖や死角を把握する『譜面』という独自の戦闘計算式を構築する事により、いかなる難敵にも対応する実力を有する。忍の一族として生まれるも、忍自体は時代遅れとなっており、存続を焦った父による苛酷な訓練で多くの兄弟を亡くしている。嫁たちも「道具」として扱われていたくノ一であった。父を拒否して忍をやめ、産屋敷輝哉と出会い鬼殺隊に居場所を得る。
柱合裁判の際は炭治郎の斬首を主張したが、根は豪快で気のいい性格。妻たちの安否を心から案じ、蝶屋敷で強引に任務に連行しようとする神崎を守る炭治郎達の直訴もあっさりと聞き入れる度量も持つ。自分は柱の中では大したものではないと評しているが、今代において113年ぶりに上弦の鬼を倒した立役者である。
吉原・遊郭にて十二鬼月の上弦の陸である堕姫・妓夫太郎と戦うも、左目と左腕を失い、血鬼術の猛毒に冒される。禰󠄀豆子の血鬼術によって解毒され一命は取り留めるも、負傷は大きく、柱を引退する。
柱稽古では第一の試練・基礎体力の向上担当として、隊員たちをスパルタで鍛えている。柱引退後は纏めていた髪を下ろし、額当てを外して同じ宝石が着いた眼帯に着流しというスタイルとなっている。無限城戦の裏では、元炎柱である煉󠄁獄槇寿郎と共に産屋敷輝利哉を護衛する。
技一覧
時透 無一郎(ときとう むいちろう)
声 - 河西健吾
演 - 奥田夢叶
「霞の呼吸(かすみのこきゅう)」を使用する霞柱(かすみばしら)。年齢は14歳。当代最年少の柱であり、刀を握って僅か2か月で柱となった天才。「日の呼吸の剣士」の子孫と伝わっているが、正確にはその双子の兄・継国巌勝(上弦の壱・黒死牟)の子孫。日輪刀は霞の様に白い刀身。担当の刀鍛冶は鉄井戸、後に鉄穴森鋼蔵。刀鍛冶の里編の主要人物。
一人称は「俺」と「僕」が混在し、不安定。常に無表情で他者への関心が希薄な茫洋とした性格。その場とは無関係な事を考えている場合が多く、柱合会議での竈門兄妹の処遇においても「すぐに忘れるのでどちらでも良い」と関心を示さなかった。反面、徹底的な合理主義を貫き、柱としての活動を妨げる者には実力行使もいとわないある種の冷酷さも併せ持つが、これは彼なりの責任感や正義感の裏返しでもあり、決して悪意はない。
記憶障害を患っており、刀を握る以前の記憶を持たず、隊士となってからも新たな事柄を長く覚えておく事ができない。マイペースな言動の一因である。
かつては父親(声 - 杉山紀彰)と母親(声 - 沼倉愛美)と双子の兄・有一郎の四人家族で、杣人であった父親の手伝いをしながら暮らしていたが10歳の時に両親を亡くし、以降は有一郎と共に生活を送っていた。11歳の春ごろに訪ねて来た産屋敷あまねから自分達が「始まりの呼吸の剣士」の子孫である事を伝えられ剣士に憧れを抱くが有一郎から猛反対され、有一郎があまねに水を浴びせたことで喧嘩をしたきり口を利かなくなる。しかし、同年の夏に鬼の奇襲を受け、深手を負った有一郎を前に放った鬼の言葉に激しい怒りを覚え、朝日が昇り鬼が塵になるまで交戦した。その後、瀕死状態の有一郎から本音を聞き、彼の死後は気を失っていた所をあまね達に保護される。この一件から記憶障害を患う。
刀鍛冶の里にて上弦の肆・半天狗と上弦の伍・玉壺の襲撃を受け、当初は炭治郎と共に半天狗と交戦するが、強風で飛ばされて離脱させられる。身を立て直し、最も優れた技術を持つ里長を最優先に救出しようと再び行動を開始。道中に玉壺の使い魔に襲われている小鉄を目撃するが、優先度の低い彼を見捨てようとする。しかし、「人のために行った事は巡り巡って自分に返ってくる」という炭治郎の言葉を思い出し、救出した。続いて、鋼鐵塚が刀を研ぐ小屋で、彼と小鉄を守りつつ、玉壺と交戦となる。呼吸を封じられ、成す術が無いと死を直感するが、命がけの小鉄の行動と機転により危機から脱出。嘗ての記憶を取り戻し、痣の者として覚醒した事で玉壺の頸を切り落とす。この時、痣の条件を把握した事で、柱達も知るところとなる。
記憶を取り戻して以降は朗らかな面も見せるようになり、特に記憶を取り戻す切っ掛けとなった炭治郎には深く感謝しており、柱稽古の上達の速さも相俟って非常に好意的に接している。一方で呑み込みの悪い隊士には相変わらず辛辣である。
無限城にて、上弦の壱・黒死牟と邂逅。己の先祖であると教わった後、交戦するも成す術無く一蹴され、左腕、左足を欠損し重症を負う。しかし、死を覚悟して玄弥と共に実弥と悲鳴嶼に加勢し、黒死牟の身体を貫き胴体を切断されるも、赫刀を発現させたことで勝利に貢献する。戦闘後は力尽きて死亡し、その魂は有一郎と再会を果たす。
技一覧
甘露寺 蜜璃(かんろじ みつり)
声 - 花澤香菜
演 - 川崎愛香里
「恋の呼吸(こいのこきゅう)」を使用する恋柱(こいばしら)。年齢は19歳。元は煉󠄁獄の継子。
社交的で心優しく、無視されると泣きじゃくるほど、繊細な性格。非常に惚れっぽく、周囲のあらゆる人物に男女問わずときめいている。伊黒には特別視されている様子。刀鍛冶の里編の主要人物。
見た目こそ可憐な女性であるが、特異体質により常人の8倍の密度の筋肉を備え、容姿にそぐわぬ怪力を有する。この肉体は旺盛な食欲によって支えられている。長髪を三つ編みにしており、桜餅の食べ過ぎが原因で髪色は桜色と緑色に変色している。隊服は胸元が露出している。
戦闘では、鉄地河原が制作したウルミのようにしなる日輪刀を使用する。
柱の中では最も禰󠄀豆子に好意的であり、頭を撫でたり、くすぐって遊んだりと大変可愛がっており、禰󠄀豆子もまた甘露寺によく懐いている。復讐目的で戦っているわけではないが、人を傷付ける鬼には毅然と立ち向かう。
鬼殺隊に入った理由は「添い遂げる殿方を見つけるため」。家族は父(声 - 野島健児)と母(声 - 皆川純子)、五人姉弟で家族仲は良く、鬼とは無縁である。17歳でお見合いをするが体質や髪色等により破談してからは、力の弱いふりをし髪色を黒く染め食事を我慢する等、結婚するために自分自身に嘘をつく様になる。しかし、途中で自分じゃない振りをするのはおかしいと思うようになり、人の役に立ちたいと鬼殺隊に入隊。ありのままの自分を受け入れてくれる鬼殺隊の面々を大切に想っていたが、また拒絶されることを恐れて本領を発揮しきれずにいた。しかし、上弦の肆・半天狗との苦境において、炭治郎から「希望の光」と言われたことで力を抑えることを止め、憎珀天を足止めし、半天狗討伐に大きく貢献する。無限城決戦前半では伊黒と共に鳴女と戦闘するものの、彼女の血鬼術に悪戦苦闘する。
最終決戦の際に無惨に立ち向かうものの、重傷を負い一旦戦線を離脱する。無惨に立ち向かいダメージを与えるも、致命傷を受ける。無惨消滅直後、伊黒に気持ちを伝えて両思いとなり、来世で添い遂げる約束をし、共に力尽きる。
技一覧
伊黒 小芭内(いぐろ おばない)
声 - 鈴村健一
演 - 宮本弘佑
「蛇の呼吸(へびのこきゅう)」を使用する蛇柱(へびばしら)。年齢は21歳。左右で瞳の色が異なり、口元を包帯で隠した、比較的小柄な男性。右眼は弱視で、包帯の下は口元を裂かれている(理由は後述)。ネチネチした責める様なしつこい話し方をする。「鏑丸(後述)」という雄の白蛇を連れており、視力の弱い伊黒を補助している。蜜璃に好意を持っている。
日輪刀はフランベルジュのようなうねる刀身。抜刀できないため鞘は開閉式となっている。
蛇じみた女の鬼が支配する女系の一族に生まれる。一族は蛇鬼が殺して奪った金品で生計を立てており、自分たちが産んだ赤ん坊を生け贄として差し出していた。小芭内は370年ぶりに生まれた男で、左右違う色の目をしていた事から、食べる量を増やすため生贄として座敷牢で育てられた。小芭内は一度蛇鬼に会わされた際に、生き血を飲む為に口を割かれている。その後は生きる為に脱走を決意、盗んだ簪で毎日少しずつ座敷牢の木の格子を削る日々を送り、この時に鏑丸とも出会っている。脱走後に捕まり、煉獄槇寿郎に救われる。親族は50人ほどいたが、小芭内の脱走に怒った蛇鬼に殺され全滅した。唯一生き残った従姉妹には理不尽な理由で罵倒されている。
生い立ちが原因で、自分の血は汚れており死ぬまで消えないと考えている。蜜璃に惹かれているが、釣り合うとも結ばれるとも思っておらず、想いを伝えるつもりもない。
柱合会議で炭治郎と衝突し、遊郭編でも駆けつけたがすでに戦闘が終わっていた。本格的な活躍は無惨戦までない。無惨との決戦では、赫刀で戦うも、両目を斬られ失明する。無惨と炭治郎の戦闘に真っ先に介入し、鏑丸の援護と愈史郎の血鬼術である紙眼の札で鏑丸と視界を共有し炭治郎や他の隊士らと共に無惨を追い詰める。無惨消滅後、蜜璃に想いを伝え、来世で添い遂げることを約束し、共に力尽きる。友人を失った鏑丸は実弥を経由してカナヲに託された。
技一覧
不死川 実弥(しなずがわ さねみ)
声 - 関智一
演 - 前田隆太朗
「風の呼吸(かぜのこきゅう)」を使用する風柱(かぜばしら)。年齢は21歳。不死川玄弥の兄。短い白髪の青年で身体中に傷痕がある。非常に粗暴かつ苛烈な言動が目立ち、柱の中でも鬼への憎悪や敵意はずばぬけて強い。その反面お館には非常に丁寧な言葉遣いをしたり、前田まさおのセクハラ行為を目撃した時には激昂し、彼が失禁するほど叱責するなど礼儀や正義に溢れた人物。前の大きく開いた隊服を着る。日輪刀は緑色の刀身を持ち、拵は風車を思わせる鐔を備えている。
柱の中では禰󠄀豆子の存在を最も強く否定し、自身を傷付け血を見せることで鬼の本性を引き出そうとするが、禰󠄀豆子が理性を保ちきったため、逆に「人を襲わない証明」が公式になされることとなる。
稀血の中でも希少な匂いをかいだ鬼を酔わせる血を持つ。また、実戦経験豊富で無一郎を一瞬で切り刻んだ黒死牟の技にも対応できている。
鬼化した母に兄弟を殺され、唯一残った玄弥を守るために夜が明けるまで母と戦い続け手に掛けた過去を持つ。顔の大きな傷はその時についたもの。しかし、生き残った玄弥は母が死んだことに混乱し「人殺し」と実弥を罵倒した。その後、稀血と喧嘩殺法でひたすら夜明けまで足止めして殺すという無茶な戦い方で鬼を倒し続ける内に粂野匡近と出会い鬼殺隊の存在を知る。入隊し当時の下弦の壱を倒して柱入りしたが、その際に大恩ある粂野を失った。顔合わせするまでは、命令するばかりで前線に立たない輝哉に反感を抱いていたが、彼が亡くなった鬼殺隊員の名前を全て記憶していることを知って驚愕し、意識を改める。
玄弥に対しては、亡き母親や弟妹達の分も幸せになって欲しいという思いから、過去を悔やみ、謝ろうと自分を追って鬼殺隊に入隊してきた彼を「自分には弟はいない」と冷たく突き放して才覚の無さを理由に鬼殺隊を辞めるよう迫り、鬼を喰ってまで戦っていることを知ると激昂し、目を潰そうとするなど、常軌を逸した行動をとる。そこへ助けに入った炭治郎と乱闘騒ぎに発展し、彼との接近禁止が命ぜられた。義勇の事も言動や他の柱と協力しようとしない態度から嫌っている。
無限城にて、上弦の壱・黒死牟に殺されかけている玄弥を助け、己の真意を語った後、玄弥を刻んだ黒死牟に立ち向かう。稀血の匂いで酔わせるも、剣技を鈍らせるに至らず追い詰められた所を悲鳴嶼に助けられる。黒死牟の強さに苦戦するも、無一郎と玄弥の死力をつくした援護により勝利すると同時に玄弥と死別する。無惨との戦いでも冨岡とともに最後まで生存し、決戦終結後は禰豆子に今までの非礼を詫び、純粋で優しい禰豆子の笑顔(と寝るのが好きという発言)に玄弥を重ね見て優しく頭を撫でていた。
小説『風の道しるべ』では主人公として描かれる。
技一覧
悲鳴嶼 行冥(ひめじま ぎょうめい)
声 - 杉田智和
演 - チャンヘ
「岩の呼吸(いわのこきゅう)」を使用する岩柱(いわばしら)。年齢は27歳。僧侶を思わせる風体で、盲目の大男。失明は幼少期の高熱によるもの。性格は穏やかで優しく涙脆い。
柱の中では最年長のまとめ役で、耀哉の信頼も厚い。体格と腕力は柱一で、心技体に優れ、総合的な戦闘力は突出して高い。複数の剣士たちから鬼殺隊最強と評価されるに留まらず、上弦の壱・黒死牟をして絶賛せしめる。玄弥は弟子として彼の許にいた。
戦闘時には修羅となり、最前線では毅然として戦闘指揮を執る。他者の恋愛の機微に敏い。
手斧と棘付き鉄球を鎖で連結した特製の日輪刀を武器に用いる。この鎖鉄球をぶつけて鬼の頭部を粉砕する。
「子供」の負の面をよく知っており、柱合会議の初対面時は、炭治郎を疑っていたが、柱稽古に至り炭治郎をはっきりと認めた。
病や飢えで両親と兄弟を全員失くした天涯孤独の身。寺で育ち、身寄りのない子供たち9人の世話をして生活していた。だが、鬼がやって来たことで、1人が自分が助かるために裏切り、4人がすぐ殺され、3人も言うことを聞かずに殺される。もはや最後の1人となった女児を守るべく、日が昇るまで鬼の頭を殴り潰し続け守り切るも、彼女はショックを受けており正確な説明ができず、不幸にもその証言が誤解され、殺人犯として投獄される。鬼の犯行であることに気づいた輝哉に助けられたことで、鬼殺隊に入隊する。
無限城にて、上弦の壱・黒死牟と交戦。痣を出し、強さを絶賛されるも、圧倒的な実力の前に劣勢を強いられる。痣により余命一晩と告げられるも動じず、実弥・玄弥・無一郎の死力を尽くした加勢により勝利した。無惨戦でにて致命傷を負い、死の間際にかつての子供達の魂に会い、謝罪の言葉を聞き双方の誤解が解けたところで息を引き取る。
技一覧
当主家
産屋敷 耀哉(うぶやしき かがや)
声 - 森川智之
演 - 廣瀬智紀
鬼殺隊の頭目で産屋敷家第97代当主。23歳。隊士達からは「お館様」と呼ばれ、鬼殺隊の剣士たちを「私の子供達」と呼ぶ。
代々短命の一族で病に冒され、顔面上部の皮膚が変質している。初登場の柱合会議時点では視力を失っている。さらに時間の経過とともに病が進行し、身体が衰弱している。声質は「1/fゆらぎ」(えふぶんのいちゆらぎ)を帯び、聴く相手を心地よく高揚させる。我と個性が強すぎて纏まりがつかない「柱」達も、全員が彼を心酔し敬っている。鬼・禰󠄀豆子の存在を知りつつ炭治郎の行動を黙認していたが、柱達の自主性・使命感からの反対意見を頭ごなしに否定することもなく、最終的には禰󠄀豆子を組織的に認めるに至る。また、柱達にも秘密裏に珠世の存在をも把握している。
実は千年前に鬼舞辻󠄀無惨を出した一族の末裔であり、一族の病を無惨を産み出した罪による呪いとみなし、執念で短命の血筋と鬼殺隊を千年維持してきた。病弱ながら知に優れ、築いた財で鬼殺隊を支えている。無惨の打倒こそが、一族の悲願である。彼ら2人の顔は「双子のように瓜二つ」だという。遊郭編で天元・炭治郎らの活躍により「上弦の陸」を撃破したときには吐血しながらも歓喜した。
屋敷の場所を隠していたが無惨に突き止められ、病状の進行から喋ることもままならない状態で対面を果たす。しかし、無惨が来ることを予測しており、自分を囮にした無惨討伐の策を練っていた。永遠の命を求める無惨に対し、「永遠に不滅なもの」が「人の想い」である事を語り、「ありがとう 無惨」という言葉と共に妻や娘2人諸共自爆する。無惨は何か仕掛けられているとは感づいていたが、家族を道連れに自爆するとは予想しておらず、「あの男は完全に常軌を逸している」と評している。
産屋敷 あまね(うぶやしき あまね)
声 - 佐藤利奈
産屋敷耀哉の妻。27歳。旧姓は神籬(ひもろぎ)。代々神職の家系の出身で、断片的な予知夢を見ることもあった。生まれ付きの白髪と美しい容姿から、初めて彼女と会った無一郎は「白樺の精」と彼女を称した。病状が悪化して人前に出られなくなった耀哉の代理を務める。耀哉とはお見合いを機に結婚。前述の通り、耀哉・娘2人と運命を共にした。
産屋敷 輝利哉(うぶやしき きりや)
声 - 悠木碧
演 - 久家心
産屋敷夫妻の五つ子の内、一人だけいる黒髪の子供。唯一の男児で跡継ぎ。瞳孔が大きく、母や姉妹とよく似ている。父同様に病弱で、魔よけの風習から女児の着物を着ている。
炭治郎の時の最終選別では、姉妹と共に案内役を務めた。このときはおまけページで「二人のどちらかが男の子」と紹介されたが、後に耀哉の実子・跡継ぎの男児であることなどが判明する。父亡き後は齢8歳で第98代当主となる。無限城の裏では、愈史郎と鴉から情報を得て、無限城の図面を描きながら総指揮を取る。現代が舞台の最終話の時点でも生存しており、「日本最高齢記録を更新した産屋敷さん」としてテレビで紹介されている。
産屋敷 ひなき(うぶやしき ひなき)、産屋敷 にちか(うぶやしき にちか)、産屋敷 くいな(うぶやしき くいな)、産屋敷 かなた(うぶやしき かなた)
剣士
栗花落 カナヲ(つゆり かなお)
声 - 上田麗奈
演 - 舞羽美海(1作目)、内田未来(2作目)
炭治郎の同期に当たる鬼殺隊の女剣士。年齢は16歳。才覚を認められ、蟲柱・胡蝶しのぶの「継子」となっている。胡蝶カナエと同じ「花の呼吸(はなのこきゅう)」の剣士。しのぶより体格と力に優れており、戦い方も異なる。
視覚が非常に優れており、特にずばぬけた反応速度と動体視力を持ち、潜在能力はしのぶをも上回るのではないかと見込まれている。
任務では優秀だが、普段はぼんやりとしており表情も乏しい。全てにおいて「どうでもいいから何も決められない」という一種の虚無感を抱え、指示を受けたこと以外の行動は銅貨を投げた結果(コイントス)で決めていたが、炭治郎との出会いがその胸中に一石を投じる。炭治郎と出会ってからは、コイントスをせず自分の意思で行動することもみられるようになり、成長している。
幼少のころ、実の親からの虐待の末に感情を失い、何も感じなくなる。その後、親に売られて人買いが連れ歩いているところを胡蝶姉妹が保護し、引き取った。カナエによって「カナヲ」と名付けられるが、前述の経緯から自己主張する事ができなくなってしまったため、カナエから銅貨を贈られる。
態度には出づらかったとはいえ、カナエとしのぶのことは自分の肉親と断言するほど心から慕っており、二人に引き取られた後に養子に出る話もあったが留まっている。無自覚のうちにカナエや両親を失ったしのぶや、鬼に家族を殺されたアオイやきよ達と接する中で、そして優しく接してくれた隊士達や継子達を殺した鬼への怒りの感情を持つようになり、最終選別にもしのぶ達に無断で参加していた。
選別試験の後、那田蜘蛛山で再登場したものの、長らく戦闘面での登場がなかった。無限城では、しのぶが上弦の弐・童磨に殺される様を見せつけられ、今まで抑えていた感情が爆発する。感情を持たない童磨を挑発して戦いにもつれ込んだものの徐々に追い詰められていく。しかし、伊之助の乱入により2対1で戦う事になり、更にあらかじめしのぶから作戦を聞かされており、戦いの中でしのぶの毒により体が崩れ始めた童磨の頸を伊之助と共に斬ることに成功する。鬼の王となった炭治郎に最後の薬を打ち込んで人に戻す。
終ノ型・彼岸朱眼の負荷は大きく、童磨戦で右眼を失明、鬼の王戦で左眼の視力を大きく落とした。戦後は実弥から鏑丸を託されている。
技一覧
不死川 玄弥(しなずがわ げんや)
声 - 岡本信彦
演 - 森田力斗
炭治郎の同期にあたる鬼殺隊剣士。年齢は16歳。風柱・不死川実弥の弟。悲鳴嶼行冥の弟子。刀鍛冶の里編の主要人物。
顔に大きな傷があり、目つきが鋭く、髪型はモヒカンにしている。無口で粗暴な性格に見られがちだが、実は意外に常識的で人が好く、変人だらけの周りに引く事もしばしば。選別後に女童を殴り日輪刀を催促したところを激怒した炭治郎に止められ、腕を折られた。選別時には炭治郎と同じくらいの背丈だったが、蝶屋敷で再会した際は劇的に体格が良くなっていた。刀鍛冶の里にて再び炭治郎と顔を合わせるが、前述の件を根に持っており、当初は敵意を剥き出しにしていた。しかし、戦いの中で和解し、以降はその人の好さが前に出るようになっている。突っ張っているが、根は女や子供に弱い。
体格は良いが、呼吸の才能が全く無い。武器は特製大型弾を撃ち出す南蛮銃(水平二連式ソードオフ・ショットガン)で、補助に日輪刀を持つが色変わりしておらず刀身も短い。特異体質を持ち、強力な顎と特殊な消化器官(味覚)により、鬼の肉を喰い取り込む事で、その力を一時的に使う事ができる鬼殺隊にとって唯一無二の人材である。鬼もどきの再生力で強引に戦う。
不死川家の次男。鬼になった母から守ってくれた兄・実弥に「人殺し」と言ってしまったことを謝るため、才能が無いながらも様々な手を使って後を追って、鬼殺隊に入隊した。柱稽古で念願の兄との再会を果たすも、鬼殺隊を辞めろと酷評され、更に鬼喰いのことを告げると激怒される。
無限城では黒死牟と対峙するも、まるで相手にならず一方的に斬られ、絶体絶命の所を実弥に救われた後、実弥の本心を聞いて涙を流す。負傷しながらも拾った黒死牟の髪と虚哭神去の刃を喰うことで戦線復帰し「吸血の樹木」の血鬼術を習得。黒死牟の動きを止め、師や兄たちの勝利に貢献するが、脳天から両断されて致命傷を負う。鬼喰いの代償で、身体が鬼のように崩壊し、今際の際に実弥に過去の謝罪と感謝の言葉を告げて死亡した。
技一覧
胡蝶 カナエ(こちょう かなえ)
声 - 茅野愛衣
しのぶの姉で鬼殺隊の隊士。花の呼吸を使用する花柱(はなばしら)であった。享年17歳。長い髪を結わず両サイド上部に大きな髪飾りをつけているのが特徴。穏やかで心優しい性格。しのぶより体格に恵まれていた。人買いに連れて歩かされている幼いカナヲをしのぶと共に保護し育て、心を閉ざし人に言われなければどんなに空腹でも食事すら出来ないカナヲに銅貨を投げて意思決定することを提案。怒るしのぶに「そんなに重く考えなくていいじゃない、カナヲは可愛いもの!」「いつか好きな男の子でも出来たらカナヲだって変わるわよ」と言った。
鬼を元は人間と知り、「鬼と仲良くする」という鬼殺隊員としては異端な理想論を持っていたが鬼殺隊内で迫害されることは無かった。4年前、上弦の弐・童磨によって殺されるが、彼のことも憐んでいたという。童磨いわく「朝日が昇って食べそこねた子」。今際の際、しのぶに鬼殺隊を辞め普通に暮らすよう諭したが、敵を討つという妹に根負けし、自分を襲った童磨の身体的な特徴や女を喰うことへの執着を伝えた。その一方戦闘に有益な血鬼術等の情報は一切伝えられなかったことから童磨との実力差は大きかったと思われる。
童磨の死後、その魂はしのぶと共にカナヲを称賛した後、両親と再会を果たす。
現在のしのぶの姿には彼女の思想が強く反映されている。また、しのぶの羽織とカナヲの髪飾りは彼女の遺品。
村田(むらた)
声 - 宮田幸季
演 - 掛川僚太
鬼殺隊士。サラサラツヤツヤの黒髪がトレードマーク。気のいい先輩隊員。
肉親を鬼に殺されたことで天涯孤独になったことを機に、冨岡と同じ時期に鬼殺隊へ入隊。水の呼吸の使い手。水を可視化できるほどの技量はない、並の剣士である。階級は「庚」。
初登場は那田蜘蛛山編で、何度か死にかけるも生還。その後もしばしば脇役的に登場する。無限城戦では、数名の剣士と班を組み、異形の鬼たち(下弦級)を相手に、地味に奮闘している。無惨との最終決戦では冨岡から炭治郎の治療を頼まれ、竹内や愈史郎と共に炭治郎の治療を行った後は彼らと共に無惨の攻撃を受けた柱や隊士の治療に専念していた。
粂野 匡近(くめの まさちか)
累に刻まれた隊士
声 - 坂泰斗
演 - 鳥居留圭
名前、階級は不明。項目名はファンブックの記述による。人気キャラクター投票では「サイコロステーキ先輩」と呼称される。
「安全に出世したい」という考えを持っており、那田蜘蛛山において炭治郎が累と遭遇した際に現れ、累の実力を見誤り、手柄を得ようと斬りかかるが、蜘蛛の糸でバラバラに刻まれる。
隊士
神崎 アオイ(かんざき あおい)
声 - 江原裕理
演 - 牧浦乙葵
鬼殺隊士。蝶屋敷で負傷した隊士らの治療、および訓練の指揮を執る女性隊員。その指導はかなり厳しい。
自身も鬼の出現により孤児となり、カナヲより前に蝶屋敷に引き取られた。水の呼吸の使い手で、最終選別にも合格した正規隊員である。しかし、鬼への恐怖心から前線で戦うことができなくなったため、現在は後方支援に回っている。
吉原・遊郭編の冒頭で遊廓への潜入任務に女の隊士が必要だと、宇髄により無理やり連れ去られそうになったのを炭治郎に助けられ、その結果炭治郎・善逸・伊之助が女装して遊郭に潜入することになる。遊郭編の任務後、意識不明だった炭治郎が蝶屋敷にて目を覚ました際には号泣していた。
後藤(ごとう)
声 - 古川慎
鬼殺隊事後処理部隊「隠」(カクシ)に所属。23歳。隠部隊専用のマスクで顔を隠している。正規隊員だが戦う才が足りず、事後処理部隊になった。
階級は不明だが那田蜘蛛山編の時点ではカナヲより下で炭治郎より上。柱合会議の時に炭治郎を起こした時から登場し、吉原・遊郭編でも戦闘終結後き意識不明の炭治郎たちを見つけるなどそこそこ縁がある。自分よりも年下ながら剣士として命懸けで戦う炭治郎達を尊敬する。
無惨との最終決戦では地上で無惨が大きくなった時に他の隠らと共に非戦闘員ながら自動車で突っ込み、車に乗っていた他の隠たちの先陣を切った。
鬼殺隊関係者
育手
鱗滝 左近次(うろこだき さこんじ)
声 - 大塚芳忠
演 - 高木トモユキ
天狗の面をつけた鬼殺隊の元水柱。前線を引退してからは次代の鬼殺隊員候補を育てる育手を担う。教え子には炭治郎や義勇の他、手鬼に殺された錆󠄀兎や真菰を含めた13人の子供達がいる。
「水の呼吸」を用いた剣術を教えている。炭治郎と同じく鼻が利き、彼の真摯過ぎるゆえに非情になれない性格を嗅ぎ分け、当初は彼を弟子とすることに難色を示していた。課題を突破した弟子には「厄除の面」としてその弟子に合わせた狐の面を贈っている。しかし、これが最終試験において手鬼への目印になってしまい、これまでの弟子達は義勇と炭治郎を除き13人全員が彼に殺されてしまっていた。
訪れた炭治郎が試練を突破したことで彼を弟子と認め、1年間殺意さえ感じるスパルタ訓練を施す。また、炭治郎の訓練期間と最終選別の間、長期の睡眠に入っていた禰豆子に「人間はお前の家族だ、守るべき命だ」という暗示をかけ続ける。鬼になってしまった禰豆子が人間の血に対する欲求を抱えながらも人間を守ろうとするのは生来の優しさによるものと家族思いのためだが、左近次がかけ続けた暗示によってその守るべき対象が炭治郎だけではなく一般人全員に拡大した。
炭治郎には最終選別の前に、教えた技術を使って大岩を斬る課題を課す。この課題は、これ以上弟子を死なせまいと炭治郎に剣士になるのを諦めさせるために無理を承知で課していた。
竈門兄妹の仔細を産屋敷に報告する手紙の中で、禰󠄀豆子が人を襲った時には義勇と共に腹を切って詫びる覚悟であることを表明し禰豆子の助命を訴えていた。
当初の案は面を付けていない普通の老人だったが、担当から「インパクトが無い」と指摘され天狗の面を付けることになった。素顔の設定はあるが、吾峠以外には初代担当の片山しか見たことがないという。
桑島 慈悟郎(くわじま じごろう)
声 - 千葉繁
演 - 星賢太
鱗滝と並ぶ元柱の育手。左目の下に大きな傷痕があり、右足は義足となっている老人の男性。嘗ては雷の呼吸を極めた鳴柱(なりばしら)として活躍していたが、35歳の時に前述の右足の負傷で引退する。その後は桃農場を経営しながら弟子の育成も並行して行っている。アニメのクレジットでは「善逸の師匠」だが、小説版および単行本17巻にて姓名が判明している。
修行が遅々として進まず、その過酷さからたびたび逃げ出していた善逸に対して非常に厳しい態度で接し、荒療治とも言える手段にも出ていたが、反面、その才能を誰よりも評価しており、彼を決して見捨てず、一つの技を極め抜くことを教え続けた。己を「師範」と呼ぶよう再三言うが、実際には彼から「じいちゃん」と慕われるのも内心満更ではない様で、善逸から好意を示された際には照れた表情を見せるなど、何だかんだで弟子への愛情は深い。
弟子の獪岳が鬼になったことを詫びて切腹する。善逸が獪岳を倒して死にかけた際、三途の川らしき場所で姿を見せ、獪岳と和解できなかった事や柱に上り詰めた姿を見せられなかった事を詫びる善逸を「儂の誇りじゃ」と涙を流して称賛している。
煉󠄁獄 槇寿郎(れんごく しんじゅろう)
声 - 小山力也
演 - 細見大輔
杏寿郎・千寿郎兄弟の父親。先代の炎柱。作中で唯一、日の呼吸の存在を知る人間でもある。
歴代の炎柱の書から日の呼吸の存在を知り、それに対する無力感から気力を無くしていた所に最愛の妻・瑠火の病死も相俟って酒に溺れた生活を送っていた。杏寿郎の訃報には「大した才能もないのに剣士になるから死んだ」、「愚かな息子」と切り捨て、残された千寿郎にはつっけんどんに当たっており、炭治郎に対しても彼が付けていた日輪の耳飾りを見て、日の呼吸の使い手と思い込み、更に辛く当たるが、怒った彼から頭突きを食らって倒れる。その後、突き放してきた自分に恨み言一つ言わず、自分の身体を大切にする様、気遣った杏寿郎の遺言を聞いたことでそれまでの自分の行動を涙ながらに悔い、炭治郎宛の手紙で先述の非礼を詫びた上で本心を明かした。その後は気概を取り戻し、無限城戦では鱗滝・宇髄とともに産屋敷輝利哉を護衛する。最終決戦の後は炭治郎と病室で再会し、杏寿郎の鐔を付けて戦った事に感謝の言葉を述べる。
柱時代には幼少の伊黒小芭内を救っている。
継国 縁壱(つぎくに よりいち)
声 - 井上和彦
「始まりの呼吸の剣士」。日の呼吸の使い手で、戦国時代に現在の鬼殺隊の基盤を作った鬼狩り。生まれつき額から目元まで炎の様な痣を持ち、「透き通る世界」にも物心付いた段階で入っていた。日輪が描かれた花札風の耳飾りを付けている。日輪刀の刀身の色は漆黒(炭治郎よりもはるかに黒い)で、戦闘の際は赫刀となる。拵は四ツ木瓜型鍔、出鮫式柄、黒鞘。
他者の目を眩ませるほどの剣才を持つ一方で、その生涯は苦悩に満ちた不遇なものだった。武家・継国家に双子で生まれるが、当時双子は跡目争いの原因となるため不吉とされ、さらに生まれつき痣があったことから父に気味悪がられ、母の抗議の末に10歳で出家する事を条件に、忌子として兄・巌勝とは待遇に明確に差をつけて育てられた。巌勝からは母の左脇にぴたりとくっついている姿を哀れまれつつ、父の見ていないところでは部屋に訪ねてきた巌勝と遊んだり手作りの笛をもらったりしていた。7歳になるまで一言も話さなかった事から、巌勝や母親からは耳が聞こえないと思われていた。この国で一番強い侍になることを望む巌勝に対して、自分は二番目に強い侍になると語り、巌勝の稽古を見ていたが、巌勝からはその立場と母親をみればすぐにしがみつきに行く姿から無理だと判断されていた。しかし、指南役に戯れに袋竹刀を持たされた際に持ち方と構え方を口頭で軽く伝えられただけで、指南役に4発叩き込み失神させる。兄が危機感を覚えるほどの剣才の発露であったが、縁壱自身は人を打つ感触に耐え難い嫌悪感を覚え、侍になりたいとは言わなくなった。時を経ずして母が身罷り、これを機に7歳で出奔する。母の左脇にしがみついているように見えていたのは病で左半身が不自由になっていた母を支えるためであった。
出奔後、家族を流行り病で失ったうたという少女と出会い、山中の家で共に暮らすようになる。十年後にうたを妻に娶るが、うたの出産に備えて産婆を呼ぶために家を空けていた時に鬼にうたとお腹の子を殺される。10日間妻子の亡骸を抱えながら呆然としたところに鬼狩りの剣士と出会ったことをきっかけに鬼狩りとなる。剣士たちに呼吸法を教え、巌勝も合流し順調に成果を挙げる中で、鬼舞辻󠄀無惨と珠世に遭遇する。
無惨と出会った瞬間、「私はこの男を倒すために生まれて来たのだ」と悟り、闘いの中で無惨が複数の心臓と脳があることを見て日の呼吸の型を完成させる。かすり傷でも死に至るであろう攻撃を受けずに無惨を追い詰めたが、無惨の奇策により仕留め損なう。無惨討伐に失敗したこと、珠世を見逃したこと、鬼になった兄が裏切りお館様を殺したことなどの責任を追及されて自刃を要求されるも、新たな当主となったばかりのお館様によって要求は止められ、縁壱が鬼殺隊から追放されることで場を収めた。
うたと共に暮らしたあばら家に立ち寄った際、新たに住んでいた竈門炭吉と出産間近の妻・すやこを鬼から救ったことで夫妻と友人となる。自らの人生を炭吉に語り、自分の失敗を責め続ける心情を吐露するも、二人の娘であるすみれが抱き上げられた際に無邪気な笑顔を見せた事で見失いかけていた自分の守りたかったものを思い出し、涙する。餞別として日の呼吸の型を炭吉らに見せ、別れ際に耳飾りを渡した。痣の代償で早死にする事すらなく、60年後に老いた身で黒死牟(兄・巌勝)と再会、彼の変わり果てた姿に涙を見せるが全く衰えぬ剣技で死を覚悟させるも、寿命で力尽きる。
高い実力を持ちながらも非常に謙虚で、剣技を伝える才ある者がいないと嘆く兄に対し、次世代がすぐに現れるだろうと前向きに回答している。
母親に似て争いを好まないおっとりした性格であり、他人が幸せそうにしていると嬉しくなる素直で素朴な人柄。うたは縁壱の感情を表情以外から読み取ることができた。生涯でうただけを愛し、死別後も独身を貫いたため直系の子孫はいない。兄からもらった笛を、うたの着物から作った袋に収めて持ち歩いていた。
透き通る世界
相手の体内が透けて見え、筋肉や骨格の動きから次の動作を予測できる技術。縁壱は物心付いた段階で既に会得していた。
刀鍛冶の里
隠れ里に暮らす鬼殺隊の刀鍛冶達。全員がひょっとこ面を被る。
鋼鐵塚 蛍(はがねづか ほたる)
声 - 浪川大輔
演 - 佐藤祐吾(1作目、2作目〈声〉)、奥田夢叶(2作目)
鬼殺隊の刀鍛冶。笠に幾つもの風鈴を下げたひょっとこ面の男。素顔は精悍で整っているが、後述の性格が災いして独身。37歳。
落ち着きが無い上に人の話を聞かずに一方的に喋るなど、自己中心的で非常に癇癪持ちな性格。自分の打った刀に極めて強い愛情を持ち、炭治郎が激戦で刀を破損するたびに刃物を持って追い回す。技能は確かだがこれらの性格が災いし、剣士から嫌われて担当から外される事が多いという。
みたらし団子が好物で、差し出されると機嫌が治まり、両脇をくすぐられると大人しくなる。
幼少期から癖が強過ぎて両親がノイローゼになってしまい、鉄珍に預けられ育てられた。蛍という名は鉄珍による命名で、「可愛すぎる」と本人は嘆いている。
その後、刀鍛冶の里編では前述の出来事からへそを曲げ、炭治郎が遊郭での戦いによって意識を失ってる間に新たな刀では無くて呪いの手紙を炭治郎に送っていて、炭治郎が直談判するために里を訪れた時は、癇癪を起こして行方不明になっていた。しかし、炭治郎が無一郎に説いた刀鍛冶の大切さを聞き、考えをあらためる。縁壱零式に収納されていた刀を研ぎ直す際には、戦争状態の周囲や自身の身体を傷つけられていても、意に介さないほど、心身を集中させていた。
鉄穴森 鋼蔵(かなもり こうぞう)
声 - 竹本英史
鬼殺隊の刀鍛冶。26歳。
普段は落ち着きのある穏やかな性格だが、刀を傷つけられると語気がかなり荒くなる。鋼鐡塚の数少ない理解者であり、炭治郎に対して彼の心境を代弁する。鉛(えん)という名の妻がおり、仲が良過ぎて顔立ちが似て来たほどのおしどり夫婦。
担当の剣士は嘴平伊之助と時透無一郎。両名とも別の刀鍛冶が打った日輪刀を彼が引き継いで整備する事になった。破損した伊之助の二刀を修復するも、伊之助に譲渡した直後に伊之助が石を使って自分で刀を刃こぼれさせるという暴挙をされて激怒する。
小鉄(こてつ)
声 - 村瀬歩
刀鍛冶の里の子供。戦闘用絡繰人形「縁壱零式」を作った絡繰技師の子孫。
自分の才能の限界を感じ、技師を諦めようとしようとしたが、炭治郎に激励を受け、縁壱零式で特訓をさせる。やると決めたらとことん追い詰めるなど、実は頑固でかなりの毒舌家であり、零式を用いた特訓の際も、人間の肉体の限界が分からないがために炭治郎が課題を突破しなければ、水も食事も与えないというスパルタな訓練を課した。
鉄地河原 鉄珍(てっちかわはら てっちん)
声 - 屋良有作
刀鍛冶の里長。小柄で言動が軽い好々爺で鋼鐵塚蛍の名付け親にして育ての親。
担当の剣士は甘露寺蜜璃と胡蝶しのぶで、彼女らの特性を最大限に活かす特殊な刀を鍛造した。
刀鍛冶の技術は里の中で最も優れており、刀を折ったことを反省する炭治郎に対し「すぐ折れるようなナマクラを作る方(鋼鐵塚)が悪い」と一蹴するなど高いプロ意識を持つ。
伊黒小芭内の刀を担当する願鉄(がんてつ)という息子がいる。
縁壱零式(よりいちぜろしき)
鉄井戸(てついど)
蝶屋敷
寺内 きよ(てらうち きよ)、中原 すみ(なかはら すみ)、高田 なほ(たかだ なほ)
動物
鎹鴉(かすがいがらす)
声 - 高木渉、檜山修之
主に鬼殺隊本部と鬼殺隊員との連絡用に使われる鴉。次の任務や現場の方角、隊士の戦果・生死等の情報を伝え、鬼との戦闘において無くてはならない重要な存在。種類はほぼ全てが「ハシブトガラス」であり、「ハシボソガラス」は極めて少ない。
各隊員に専任の鴉がついているが、善逸だけが何故か雀である。伝令を人語で復唱するだけでなく、自意識で会話ができるほど知能が高い。また、外見上では一部を部を除いて区別できないが、それぞれに個性があり、支給された隊員に似ているものから正反対のタイプまで様々。基本的に男性隊士には雄の鴉が、女性隊士には雌の鴉が充てられるが、時透無一郎のように例外もある。
鬼殺隊を脱退(殉職又は退職)した場合、鎹烏の使用権も解除されるため、鱗滝は炭治郎が最終選別で生き残ったことは炭治郎が自身の元に生還するまで知らずにいた。だが、煉獄家では杏寿郎の死後も千寿郎が炭治郎とのやりとりのため鎹烏を飛ばしていたことから、条件によっては使用契約は継続されるものと見られる。
天王寺 松衛門(てんのうじ まつえもん)
声 - 山﨑たくみ
炭治郎についている鎹鴉。性別は雄。名前はアニメの次回予告より判明。鎹鴉の中では珍しく、名字まで付いている。優秀だが不遜な性格で口数も多く、任務と関係ないことまで喋りだす事がある。
無限城の後は、無一郎の死のショックから痩せ細っていった銀子を慰めたことをきっかけに、後に夫婦となる。
うこぎ / チュン太郎(ちゅんたろう)
声 - 石見舞菜香
善逸についている鎹雀(かすがいすずめ)。性別は雄。本名の由来がうこぎご飯が大好物だからという理由がアニメ第15話の次回予告にて判明。一人称は「僕」。
発声できないが人の言葉は理解している。当然伝令はまるで伝わらないが、匂いを嗅ぐだけで感情を察知できる炭治郎とは意志疎通ができている。機械的な鎹鴉に比べてかなり豊かなキャラクター性が与えられており、善逸を叱咤しつつも鼓舞する場面も多い。
家族を鬼に殺されており、少しでも役に立ちたいという思いから伝令役を志願している。他の鴉からは可愛がられている。
銀子(ぎんこ)
声 - 釘宮理恵
時透無一郎についている鎹鴉。性別は雌。睫毛が長いのが特徴であり、作中で見られる唯一のハシボソガラスである。
無一郎を溺愛している。天王寺松衛門を初めとした他の鎹鴉たちとは仲が悪い。銀子が嫉妬するので無一郎は動物を飼えないでいる。
無限城での最終決戦後は無一郎が死んだことのショックから憔悴し痩せ細っていったが、炭治郎の鎹鴉である松衛門が献身的に慰めていったことで回復し、後に夫婦となった。
寛三郎(かんざぶろう)
冨岡義勇についている鎹鴉。性別は雄。
見た目には解りづらいが結構な年寄りである。それ故に伝令を聞き間違えたり伝令が無いにも関わらず戦闘中に現れたりしてしまい、義勇を困らせている。
どんぐり丸
嘴平伊之助についている鎹鴉。性別は雄。
伊之助に食料と認識されており、姿を見せる度に食われそうになる為、身を隠すのがかなり上手くなった。
五十鈴(いすず)
栗花落カナヲについている鎹鴉。性別は雌。
感情表現に乏しいカナヲの事を密かに心配している。
榛(はしばみ)
不死川玄弥につく鎹鴉。性別は雄。
支給された際に「どうでもいい!」と追い払われたらしい。松衛門と仲が悪い。
艶(えん)
胡蝶しのぶについている鎹鴉。性別は雌。
炭治郎と煉獄杏寿郎を繋ぐ際に伝令役になった。
要(かなめ)
声 - 千葉進歩
煉獄杏寿郎についている鎹鴉。性別は雄。
彼の事は「杏寿郎様」と呼んで慕っており、彼が死んだ際は涙を流した他(劇場版において)、亡き主の意を汲み、静かに煉獄家の道を示した。
虹丸(にじまる)
宇髄天元についている鎹鴉。性別は雄。
宇髄に似て派手好き(元からなのかは不明)で宝石などで着飾っており、鴉界では洒落者で通っている。
麗(うらら)
声 - 堀江由衣
甘露寺蜜璃についている鎹鴉。性別は雌で、頭のハートが特徴的。表情からも見て取れる、内気な性格をしている。
蜜璃とお茶をする事が多いことから甘党になったという噂。
夕庵(ゆうあん)
伊黒小芭内についている鎹鴉。性別は雄。
時透無一郎が刀身を赫くした様子を小芭内に伝えている。
爽藾(そうらい)
不死川実弥についている鎹鴉。性別は雄。
元からなのか実弥に似たのかは不明だが、強面をしている。鬼舞辻の産屋敷邸襲撃を迅速に伝えた。
絶佳(ぜっか)
悲鳴嶼行冥についている鎹鴉。性別は雄。
無限城内では変化する戦況を逐一悲鳴嶼に伝えていた。
産屋敷輝哉の鴉
マフラーのようなものを巻いており、伝言を一言一句正確に伝える。
各隊員に専任の鴉がついているが、善逸だけが何故か雀である。伝令を人語で復唱するだけでなく、自意識で会話ができるほど知能が高い。また、外見上では一部を部を除いて区別できないが、それぞれに個性があり、支給された隊員に似ているものから正反対のタイプまで様々。基本的に男性隊士には雄の鴉が、女性隊士には雌の鴉が充てられるが、時透無一郎のように例外もある。
鬼殺隊を脱退(殉職又は退職)した場合、鎹烏の使用権も解除されるため、鱗滝は炭治郎が最終選別で生き残ったことは炭治郎が自身の元に生還するまで知らずにいた。だが、煉獄家では杏寿郎の死後も千寿郎が炭治郎とのやりとりのため鎹烏を飛ばしていたことから、条件によっては使用契約は継続されるものと見られる。
天王寺 松衛門(てんのうじ まつえもん)
声 - 山﨑たくみ
炭治郎についている鎹鴉。性別は雄。名前はアニメの次回予告より判明。鎹鴉の中では珍しく、名字まで付いている。優秀だが不遜な性格で口数も多く、任務と関係ないことまで喋りだす事がある。
無限城の後は、無一郎の死のショックから痩せ細っていった銀子を慰めたことをきっかけに、後に夫婦となる。
うこぎ / チュン太郎(ちゅんたろう)
声 - 石見舞菜香
善逸についている鎹雀(かすがいすずめ)。性別は雄。本名の由来がうこぎご飯が大好物だからという理由がアニメ第15話の次回予告にて判明。一人称は「僕」。
発声できないが人の言葉は理解している。当然伝令はまるで伝わらないが、匂いを嗅ぐだけで感情を察知できる炭治郎とは意志疎通ができている。機械的な鎹鴉に比べてかなり豊かなキャラクター性が与えられており、善逸を叱咤しつつも鼓舞する場面も多い。
家族を鬼に殺されており、少しでも役に立ちたいという思いから伝令役を志願している。他の鴉からは可愛がられている。
銀子(ぎんこ)
声 - 釘宮理恵
時透無一郎についている鎹鴉。性別は雌。睫毛が長いのが特徴であり、作中で見られる唯一のハシボソガラスである。
無一郎を溺愛している。天王寺松衛門を初めとした他の鎹鴉たちとは仲が悪い。銀子が嫉妬するので無一郎は動物を飼えないでいる。
無限城での最終決戦後は無一郎が死んだことのショックから憔悴し痩せ細っていったが、炭治郎の鎹鴉である松衛門が献身的に慰めていったことで回復し、後に夫婦となった。
寛三郎(かんざぶろう)
要(かなめ)
麗(うらら)
鬼殺隊を脱退(殉職又は退職)した場合、鎹烏の使用権も解除されるため、鱗滝は炭治郎が最終選別で生き残ったことは炭治郎が自身の元に生還するまで知らずにいた。だが、煉獄家では杏寿郎の死後も千寿郎が炭治郎とのやりとりのため鎹烏を飛ばしていたことから、条件によっては使用契約は継続されるものと見られる。
鏑丸(かぶらまる)
ムキムキねずみ
声 - 木村昴
宇髄天元が使役するネズミ。名前通りに筋肉がムキムキ。
特別な訓練を受けた「忍獣」であり、隊士の刀を運ぶ役目を担っている。
なお、ネズミがムキムキネズミになるには筋力に加えて自分の筋肉に自惚れられるナルシストな部分が必要らしい。
親族関係者
竈門 炭十郎(かまど たんじゅうろう)
声 - 三木眞一郎
演 - 廣瀬智紀
炭治郎と禰󠄀豆子の父。病弱で長く床に臥せっており、物語開始前に死去している。竈門家は代々炭焼きの家系で、日輪の耳飾りとヒノカミ神楽を伝承している。また、伝承者には才能の顕れとして生まれつき痣があったという。竈門家の跡継ぎの男子は顔もよく似ている。
真冬の時期に竈門家の近くに現れた巨大な人喰い熊に対して、斧を武器に圧倒的な力で首をはねて倒した強者であるらしい。
また、神楽の呼吸を使うと体に大きな負担が掛かった炭治郎に対し、晩年のころには「ここ数年、神楽が辛いと思った事は無い」と発言するなど、炭治郎よりもヒノカミ神楽の適性が高かった事が示唆されている。
竈門 葵枝(かまど きえ)、竹雄(たけお)、花子(はなこ)、茂(しげる)、六太(ろくた)
竈門 炭吉(かまど すみよし)
声 - 野島裕史
戦国時代の炭治郎の先祖。嘗て縁壱とうたが住んでいたあばら屋に妻・すやこと共に住み着いていたが、鬼に襲われた所を縁壱に助けられた事が切っ掛けで彼と親しくなる。1年後、彼と再会。
自身の生い立ちを語り、自分の失敗を責め続ける縁壱に深く同情するも、掛ける言葉も見つける事ができなかったが、日の呼吸の型の披露と自身の耳飾りを餞別に自分達の下から去ろうとする縁壱に対し、日の呼吸も彼の耳飾りも後世に伝えることを約束し、「貴方は価値の無い人なんかじゃない」と縁壱に激励を送る。
この縁は炭治郎の血の記憶に刻まれている。
竈門 すやこ(かまど すやこ)
声 - 福圓美里
炭吉の妻。すみれを身ごもった身重のところを鬼に襲われたが、夫・炭吉共々、縁壱に救われる。朗らかな性格。
居候していた縁壱に対し、日の呼吸の型を見せて欲しいと頼み込み、夫と共にその美しさを目に焼き付ける。
煉󠄁獄 瑠火(れんごく るか)
声 - 豊口めぐみ
煉󠄁獄槇寿郎の妻で杏寿郎・千寿郎兄弟の母親。故人。聡明かつ芯の強い女性。
病で床に臥せって死期が近い事を悟りながらも強く生まれた者の責務を杏寿郎に説き、彼の人生観に多大な影響を与えた。
煉󠄁獄 千寿郎(れんごく せんじゅろう)
声 - 榎木淳弥
演 - 下川恭平
杏寿郎の弟。父や兄と顔が似ているが八の字眉毛をしている。性格は穏やかで礼儀正しいがやや気弱で控えめでもある。
本来なら炎柱の継子となる立場であったが、剣才に恵まれなかった事から剣士の道を諦め、自分なりのやり方で人の役に立てる道を探す決意を固めた。
兄の最期とその遺言を語った炭治郎に、彼の日輪刀の鍔を贈る。その後も炭治郎と手紙でやり取りをしている。
須磨(すま)
声 - 東山奈央
演 - 西葉瑞希
天元の3人の嫁の一人。19歳。気弱で泣き虫のくノ一。勝気なまきをとは天元を巡って喧嘩をする。
遊郭に巣食う鬼を探るため、「ときと屋」に遊女として潜入していたが堕姫に見つかり、血鬼術の帯に封印されてしまう。地下の食糧庫に幽閉されていたが、伊之助によって救出される。
ファンブック第2弾によると実は本来天元に嫁ぐのは須磨の妹だったが、「どうしても自分が行きたい!」と須磨が泣きながら襖を突き破ってごねたので須磨になった。男性・女性どちらも好きらしく、最終決戦後炭治郎のお見舞いに来た筈なのに、炭治郎そっちのけで禰󠄀豆子に抱きついていたのでその様子がうかがえる。
まきを
声 - 石上静香
演 - 倉持聖菜
天元の3人の嫁の一人で、天元とは元々親戚同士でもあった。20歳。気が強く短気で姉御肌のくノ一。気弱な須磨と天元を巡っては張り合う。
遊郭に巣食う鬼を探るため、「荻元屋」に遊女として潜入していたが堕姫に見つかり、血鬼術の帯に封印されてしまう。地下の食糧庫に幽閉されていたが、伊之助によって救出される。
雛鶴(ひなつる)
声 - 種﨑敦美
演 - 蛭薙ありさ
天元の3人の嫁の一人。21歳。左目の下に泣きぼくろがある。忍の里では宇髄家に次ぐ序列の家の娘。気が強そうな容姿とは裏腹に真面目で優しい性格のくノ一で、よく喧嘩をする須磨とまきをの仲裁役になっている。
遊郭に巣食う鬼を探るため、「京極屋」に遊女として潜入。蕨姫花魁が鬼だと気づくも、向こうからも怪しまれたため身動きが取れずにいた。服毒して病に罹ったふりをして京極屋を出ようとするも、血鬼術の帯を仕込まれる。救出に来た天元から薬をもらって回復し、情報を伝える。妓夫太郎との戦闘では藤の毒を塗ったクナイでサポートを行った。
時透 有一郎(ときとう ゆういちろう)
声 - 河西健吾
時透無一郎の双子の兄。容姿はほぼ瓜二つだが、無一郎に比べると目つきが鋭く、吊り眉。一人称は「俺」であり、無一郎が「記憶の無い時の僕は兄に似ていた気がする」と回想している通り、現実主義的で辛辣な言動をする人物だった。享年11歳。
風邪を拗らせて死んだ母や彼女のために薬草を採りに行き、崖から落ちて死んだ父を「馬鹿の極み」と酷評していた。そんな態度を咎める無一郎も「無一郎の無は無能の無、無意味の無」と揶揄したり、訪ねてきたあまねにも非常に攻撃的な対応をして追い返していた。兄弟仲は険悪で日常的に喧嘩ばかりしていたが、本来は家族を思いやる優しい少年であり、あまねを邪険に扱っていたのも残された弟を失いたくないという想いからのものだった。
鬼の襲撃を受けて致命傷を負い、最期は無一郎に自身の本心と「無一郎の無は無限の無」である事を告げ、彼の無事を祈りながら息絶えた。
不死川 恭梧(しなずがわ きょうご)、志津(しづ)、寿美(すみ)、貞子(ていこ)、こと、弘(ひろし)、就也(しゅうや)
嘴平 琴葉(はしびら ことは)
声 - 能登麻美子
嘴平伊之助の実母。伊之助と容姿が似ている。伊之助に対して指切りの歌を歌っていた。童磨曰く、頭は鈍いが、勘は鋭い。
夫と姑から暴力を受けていたが、夫が生後間もない伊之助に暴力を振るおうとした事を機に家を飛び出し、伊之助を連れて童磨を教祖とする「万世極楽教」に入門する。
入門当初、童磨から捕食の対象とされていなかったが、彼が信者を喰らっている現場を目撃してしまった事で抹殺対象となる。童磨に追われる中、伊之助を連れて逃亡を図るも最終的に伊之助を守るために彼を崖から投げ捨て、自身は童磨に喰われる。
鬼
鬼舞辻󠄀 無惨(きぶつじ むざん)
声 - 関俊彦
演 - 佐々木喜英
千年以上前に生まれた鬼の始祖たる男。鬼達の絶対的支配者で、自身の血を人間に与え大量の鬼を作り出した。炭治郎の家族を殺し、禰󠄀豆子を鬼に変えた仇である。
鬼達を血に仕込んだ呪いで支配し、「あの方」と呼ばれ恐れられている。外見や攻撃は自由自在で、不死身の鬼を殺すことができる。性格は冷酷非情かつ支配的で、自らの意志に沿わない者は決して許さず、忠実に従っていた下弦の鬼達を些細なことで何ら躊躇なく惨殺するという正に鬼の中の鬼である。珠世からはその人物像を「いつも何かに怯えている臆病者」と皮肉られている。癇癪で暴力を振るったり、自分を棚に上げた言動をすることも多い。
平安時代の貴族として生まれる。産屋敷家の先祖。身体が弱く二十歳までに死ぬと言われていた。医者が回復を願って新薬を処方するも、病状がよくならないことに癇癪を起こして医者を殺害する。しかし皮肉にもその直後に薬の効果が出始め、強靭な肉体を持ったが日光の下に出られなくなった。こうして人の血肉を欲する最初の人喰い鬼となる。
その目的は、日光を克服して完全な不老不死となることであり、そのために2つのプラン「太陽を克服した鬼を産み出して吸収する」「(自分を鬼にした新薬の原材料たる)青い彼岸花を探す」を進める。鬼を作り続けるのは、あくまで自分が利用するためであり、本音は自分以外の鬼など上弦をも含めて「増やしたくもない同類」である。
神出鬼没・正体不明で、柱ですら接触した者はいなかった。炭治郎が匂いを辿り遭遇した事で、人間社会に溶け込んでいることが判明。いくつかの容姿・身分を使い分け、渡り歩いている。妻の麗(れい / 声 - 皆口裕子)と娘(声 - 白石晴香)がいる貿易会社の実業家「月彦」や、資産家の養子の子供「俊國」、人を使った青い彼岸花の捜索時に使う芸妓の女性の姿などの、複数の姿を使い分けている。日光の下を出歩けないため、病気などと理由をつけて偽装している。
「日輪の耳飾りをした剣士」こと継国縁壱と深い因縁を持つ。同じ耳飾りをした剣士の炭治郎、支配から外れた珠世と禰󠄀豆子の3人を特に警戒し、抹殺対象とする。
目に見える人型の頸部がそのまま急所ではなく、たとえ頭部ごと粉砕しても再生し、体内には脳が5つ、心臓が7つのスペアを複数備えしかも位置が移動しており狙えない。戦闘時には、全身に複数の口と牙を備えた異形の姿に変貌し、体当たりがそのまま捕食攻撃となる。さらに無数の触腕を高速で振り回して周囲の敵を切り裂く。その強さは柱5人を含む9人を同時に相手にして押すほどである。それでも縁壱には全く歯が立たず、再戦を目指さず、縁壱の寿命まで逃げ隠れた後、黒死牟と共に日の呼吸の関係者を皆殺しにした。
耀哉の自爆、珠世の人間化の薬、悲鳴嶼の頚への渾身の一撃を受け、無限城に鬼殺隊を落とした後に肉の繭で回復を待ち復活。髪は白く染まり、体の大半が大量の口がついた赤黒いものに覆われた異形の姿へと変貌を遂げ、自らの手で鬼殺隊を殲滅する事を宣言する。
鬼殺隊との激しい死闘の末、ついに朝日を浴び倒される。滅びる寸前、「想いは不滅であり永遠である」という耀哉の言葉を身勝手に曲解し、感動し落涙したあげく、炭治郎に自分の血と力を注ぎ込んで「鬼の王」に変え、鬼狩りを滅ぼすという自分の想いを託す。しかし禰豆子や鬼殺隊の尽力で炭治郎が人間に戻りかけたため引き留めようとするも失敗し、無惨自身は地獄の最下層である阿鼻地獄に堕ちることとなる。
技一覧
十二鬼月
上弦
黒死牟(こくしぼう)
声 - 置鮎龍太郎
上弦の壱。顔面に三対六つの眼を持つ異形の鬼。侍の出で立ちをしており、痣が左の額と右首筋から右顎にかけて浮かび上がっている。継国縁壱の双子の兄にして、時透無一郎の先祖。ファンブックによると、戦国時代の武家の人間だった名残で常に周りの動向に目を光らせている他、会話の間合いが長く丁寧に発声して話すため、会話するのに忍耐が必要になるらしい。
月の呼吸の剣士。虚哭神去を持つ。また、筋肉の動きを視覚として修得している。
人間の時の名は継国巌勝(つぎくに みちかつ)。戦国時代の武家・継国家に弟の縁壱と双子として生まれる。生い立ちは継国縁壱と重複するためそちらを参照。母が病死した事を機に出奔した縁壱を見送った後、実は縁壱は母の左半身を支えていたと知り、嫉妬と憎悪を抱く。継国の家督を継承し、妻子を持ったが、野営していたところを鬼に襲われ、鬼狩りになっていた縁壱に救われる。再会した弟の強さと剣技を欲して、地位も家族も捨てて鬼狩りとなる。入隊後は独自の月の呼吸を習得し痣を発現させるが、痣により己の余命がほとんど残っていないことを知る。その後無惨と出会い、技を極めるために鬼となる。60年後、老いた縁壱に再会し、力量差に死を悟るも、縁壱が寿命死してしまう。縁壱の遺体から笛を回収し、最期まで持っていた。
無限城では、無一郎と玄弥を容易く倒し、実弥も追い詰めるが、増援として現れた鬼殺隊最強の柱たる悲鳴嶼と交戦、痣者となった実弥・悲鳴嶼を相手になお優位であったが、無一郎の赫刀と玄弥の血鬼術に力を削がれ、斬首される。斬首すら克服して異形の姿(鬼を超越しかけた姿)で再生するも、実弥の刀身に映る己の姿を見て侍とはほど遠い異形になったことに動揺した隙に、剣士たちの総攻撃を浴びてようやく消滅した。最期は縁壱になりたかったと気づき、己の存在理由を問いながら塵となった。
童磨(どうま)
声 - 宮野真守
上弦の弐。白橡色の頭から血を被った様な文様の長髪に、洋風に改造した着物を着る青年の鬼。生まれつき虹色の瞳を持つ。万世極楽教の教祖。姿は人間時代と変わらず、人間としての表の肩書で活動している。
飄々としており、常に笑みを絶やさず鬼狩りにも親しげに接する飄々とした陽気な人物。他人の痛みや感情に無頓着で無意識に相手の感情を逆撫ですることが多く、鬼の中では浮いているが、本人は皆と仲良しだと思っている。無惨に心酔し、先輩の上弦の鬼たちを「〇〇殿」と呼ぶ。
喜怒哀楽は表面上だけで、その真の人物像は非常に無機質で虚無的な性格であり、自身の肉体の損傷すら気にも留めないなど、現代でいうサイコパスである。
二十歳のころに無惨に出会い鬼となる。鬼としては猗窩座よりも新参だが、それを追い上げて上弦の弐となった。上弦の陸時代に妓夫太郎と堕姫を鬼にスカウトした。
人間のころ、万世極楽教の教祖だった両親に稀有な容姿と高い知性から神童だと担ぎ上げられたが、自身は極楽も地獄も全く信じていない無神論者で、「馬鹿で可哀想な民を救ってやらねば」という信条で教祖をしていた。鬼となってからは苦しみから解放するという名目の下、自らの一部として永遠の存在にしてやることで救済するという「善行」を行動原理と称して信者らを食っている。基本的に男は食わず、栄養が豊富だからと女性を好んで食す。女好きだが嗜好はかなり歪んでいる。
鉄扇を武器に、冷気の血鬼術を用いる。術を霧状にばらまく事で、敵の感覚器や呼吸器系を冒し弱らせる。氷像による大技も強力。合理的で、情報を集める目的で敵に全力を出させてから仕留めようとする。
かつて胡蝶カナエを殺害した鬼であり、無限城ではその因縁でしのぶと対決。彼女の毒を食らうも分解し、殺した後で全身丸ごと体内に取り込む。しかしその後、カナヲと伊之助との交戦の最中、しのぶの仕込み毒が効き、弱ったところを斬首され、敗れる。今際の際にしのぶの魂と再会し、彼女に惚れて「一緒に地獄に行こう」と口説くも却下され、滅びる。
技一覧
猗窩座(あかざ)
声 - 石田彰
演 - 蒼木陣
上弦の参。全身に紋様めいた刺青を施した、紅梅色の短髪を有する青年の鬼。作中で最初に登場した上弦。無惨からは忠実で真面目だと気に入られている。無限城では無口だが、対人になると饒舌になる。自身も人間と話すのは好きであると明言しており、強者と認めた人間は下の名前で呼ぶ。ファンブックによると、人間時代の名残なのか鬼には珍しく、人を食うより鍛錬に時間を費やしていた。
愚直に強さを求め続ける武術家じみた一面を持ち、敵でも実力者には尊敬の念を持つ一方、自身が弱者と見定めた者は露骨に見下し、些細な理由で真っ先に殺害しようとする。若く強いまま何百年も鍛錬し続け、自分のような強い鬼になる事を「至高の領域」と賛美し、逆にどんな強者も「老い」によって弱体化する人間という種に対しては嫌悪感を抱く。その価値観から高い実力を備えた者に対しては敬意を払い、同じ鬼になるように勧誘する。
「拳鬼」と呼ばれ、戦闘スタイルは己の体で戦う体術戦。また、闘気を感知する血鬼術を用いる。
人間時代は江戸時代に生まれた狛治(はくじ)という名の青年。病気の父親のためにスリで薬代を稼いでいたが、心を痛めた父親は自殺し、罪人として江戸を追放される。世を恨み喧嘩を繰り返していた所を、素手で戦う武術道場を営む慶蔵に拾われその娘の恋雪(こゆき)と恋仲になり、恋雪を守るため誰よりも強くなる事を誓う。しかし隣接する剣術道場の嫌がらせで井戸に毒を入れられ慶蔵と恋雪が死に、それに激昂して剣術道場の67人を虐殺。自暴自棄になっていたところを無惨に鬼にされ、記憶を失ったことでただ強さのみを求める亡霊と化した。構え、雪の陣、花火にちなんだ技などは、人間だった頃の思い出が土台となっている。鬼と化しても恋雪への思いは潜在的に残っているのか、童磨とは正反対で女性を一切食わない。そのためか一方的に親しくしてくる所も含め、童磨を毛嫌いしている。「狛治・猗窩座」ともに狛犬に因んだ名であり、彼の過去を掘り下げた第155話のタイトルは「役立たずの狛犬」。
魘夢が倒された直後、無惨の指令で現れる。煉󠄁獄の強さを認め、鬼になるよう勧誘するも決裂して交戦。致命傷を与えるが、動きを封じられてしまう。差し始めた陽光に焦り逃げようとする。その直後に炭治郎が投げた日輪刀が体に刺さるが炭治郎に逃げた事を卑怯者呼ばわりされつつ日輪刀が刺さったまま退散する。無惨に任務の結果を報告をした際にはその場にいた鬼狩りを仕留め損なった事を咎められ制裁を受けてしまう。この事から炭治郎を標的視する。
無限城編では、炭治郎・義勇と2対1で戦う。痣に覚醒した義勇と、柱に準じた実力を持つ炭治郎でさえも実力で上回るが、炭治郎の「透き通る世界」の闘気を感知することができず、斬首される。それでも鬼の執念で頚を再生しようとするが、人間だったころの記憶が蘇り自分が既に強くなる理由を失っていた事、殺したいほど毛嫌いしていた弱者は大切な人を守れなかった自分であったことを自覚し、死を受け入れて自分に攻撃を打ち込み、崩れ去った。死後は父や慶蔵及び恋雪と再会を果たし、恋雪に対して守ってやれなかった事を涙ながらに謝罪。自分を待っていてくれた彼女と共に地獄の業火に包まれた。
技一覧
鈴割り(すずわり)
血鬼術ではないが猗窩座が人間時代から得意としていた技。敵の刀を側面から拳で叩き折る。
半天狗(はんてんぐ)
声 - 古川登志夫
上弦の肆。額に大きなコブと二本の角がある老人の姿をした鬼。見た目の年齢は87歳ほど。常に何かを怖れているような様子で、事あるごとに「ヒィィィィ」と悲鳴を上げる。無惨からの評価は「許容範囲内のウザさがあるが、普通。」
潜入を得意とし、柱でも目視するまで確認できないほど気配の同化に優れる。身のこなしも軽い。戦闘ではその時の感情を具現化し、新たな分裂体を生み出す血鬼術を使用する。作中では頚を切られると、舌に「喜怒哀楽」のそれぞれ一字が刻印された4人の鬼に分裂し、主に戦闘を担当する。戦闘面は分身に任せて「小さな本体」は身を隠している。喜怒哀楽で能力が異なり、合体した憎珀天は全ての能力を強化して組み合わせて使用できる。ファンブックによると、分裂してできた鬼達は若い頃の半天狗の姿であるらしい。
人間の頃から嘘つきで、自分の都合の良い様に事実や解釈をねじ曲げる思考の持ち主だった。自身を「善良で弱い被害者」、向かってくる者を「弱者を虐める加害者」として同情を引こうとする。名前も年齢も生い立ちもその場その場で変え続けていたため、自分の本当の名前も年齢も生い立ちもわからなくなっていた。何度か妻子がいた時期があったが、自らの不誠実さや虚言癖を責められたら逆上して妻子を殺すということを繰り返した。虐められた時には自分と分からないように陰湿な仕返しをしていたという。
盲目と偽り、盗みと殺人を繰り返していた卑劣な悪党。同僚の盲人から窃盗を咎められたことで、逆上して殺害。奉行所での取り調べで、責任転嫁して正当化しようとするが、逆に全ての悪事と嘘を暴かれ「二枚舌の大嘘付き」と吐き捨てられた。死罪を宣告されたが無惨によって鬼化され、自身を罰した奉行を殺害するが、彼には「その命をもって罪を償う時が必ず来る」と吐き捨てられる。
無惨の命で刀鍛冶の里に玉壺と共に出向き、剣士の始末を担当する。無一郎・炭治郎・禰󠄀豆子・玄弥と戦い、頚を斬られた事で「喜怒哀楽」の4人に分裂して戦う。本体はひたすら隠れていたが、能力の絡繰りに気付いた炭治郎達に追い詰められ、新たに憎珀天を生み出す。新たに参戦した蜜璃が、憎珀天の攻撃を防いで時間を稼ぐ。残りのメンバーが本体を追い、最終的には前述の嘗て自分が殺した奉行の言葉通り、炭治郎に頚を斬られ、自らの非業にまみれた走馬灯を見ながら消滅した。
積怒(せきど)
声 - 梅原裕一郎
「怒」の鬼。怒りを滲ませた表情をしている。雷撃を放つ錫杖を持つ。分裂体の中ではリーダー格。相手との戦闘の愉悦に浸らず的確に仕留めようとする。
分裂後、主に他の3鬼に指示を出したり、敵の追撃を邪魔する等のサポートを行う。本体部分が見つかると、本体の感情に呼応して他3体を吸収し憎珀天となる。
可楽(からく)
声 - 石川界人
「楽」の鬼。ニヤリと笑ったような表情をしている。突風を放つ天狗の団扇を持つ。団扇は爆風も起こせる。相手との戦闘の愉悦を優先する性格で、そのことで積怒にいつも呆れられている。主に禰󠄀豆子と交戦。
空喜(うろぎ)
哀絶(あいぜつ)
「恨」の鬼
憎珀天(ぞうはくてん)
声 - 山寺宏一
「憎」の鬼。怒が喜哀楽を吸収して誕生した、小柄な鬼。背中に「憎」の字が書かれた雷様の太鼓を持つ。喜怒哀楽の血鬼術と、新たに樹木を操る術を用いる。
本体「怯」の半天狗を「小さく弱き者」と守り、敵を「極悪人」「鬼畜の所業」と一方的に断罪する。半天狗の強烈に身勝手な保守性が具現化した分身。 攻撃力は高く、痣の発現した蜜璃をも防戦一方に追い込む。
技一覧
玉壺(ぎょっこ)
声 - 鳥海浩輔
上弦の伍。壺と肉体が繋がった状態で、両目部分に2つの口、額と口部分に両目がある異形の鬼。頭などからも小さな腕が複数生えている。壺は無惨の財源にもなっている。特に子供の肉が好き。
「至高の芸術家」を自称し、人間を見下す傲慢な性格。自己顕示欲も非常に強く、特に己が作品に対して捻じ曲がった執着心を持ち、他者にそれらを侮辱されると激怒する。その本質は作品を創り上げるために犠牲者の遺体をおぞましく変形させるなど、人命はおろか死者の尊厳すら踏み躙る、鬼の中でも際立った異常性の持ち主。反面、年若い無一郎を舐めてかかりとどめを刺さず、鋼鐵塚の集中を削ごうと夢中になるあまりに彼の反撃を許すなど、狭量さや詰めの甘さが見受けられる。
同僚である上弦相手でも不遜さは変わらず、自分よりも上位の猗窩座に慇懃無礼な態度をとっている。無惨への忠誠心は高いが、彼に首をもがれて恍惚とするなど、その思いはどこか歪んでいる。語尾に「それもまた良し!」とつける癖がある。
人間のころの名前は益魚儀(まなぎ)といい、漁村で生まれ育った。猟奇性は生来のもので、気がふれていると忌み嫌われていた。あるとき、自分をからかった子供を殺して壺に詰めていたことを知った子供の親に滅多刺しにされ、瀕死の状態で放置されていたところに通りかかった無惨によって鬼にされた。
戦闘では自身の掌から生み出した壺を使ったトリッキーな戦術を用いる。壺から壺への瞬間移動も可能で、移動の媒体となる壺も神出鬼没に出現するため、高い敏捷性があり回避に優れる。脱皮する事で本人曰く「完全なる美しき姿」に変容でき、変身後は屈強な半魚人の様な上半身に蛇のような下半身を持つ。この形態では直接戦闘を行う様になり、鱗と肉体のバネにより俊敏な動きを可能とし、鱗は金剛石より硬いと豪語する。
刀鍛冶の里の居所を突き止め、無惨の命を受けて半天狗と共に強襲を仕掛ける。刀鍛冶達の殲滅を狙い、介入してきた無一郎を水獄鉢で捕え、止めを刺さずに溺死を目論む。そのまま鋼鐵塚がいる家屋に侵入するも刀を砥ぐのに極限まで集中していた彼の姿を見て、「芸術家として負けている、この男の集中を削ぎたい」と対抗意識を燃やし、すぐに殺さず痛めつける。その内に小鉄に助けられ記憶を取り戻した無一郎と再戦、真の姿を解放するも、痣を発現した無一郎に頸を斬られて完敗する。その後も負けを認めずに喚き散らすも、更にとどめを刺されて絶命する。
技一覧
堕姫(だき)、妓夫太郎(ぎゅうたろう)
上弦の陸。吉原を根城に暗躍する鬼の兄妹。殺した柱は堕姫が7人、妓夫太郎が15人。主に堕姫がメインで動き戦闘時に妓夫太郎が現れる。
二人で一人の鬼でどちらかが生存していれば頚を斬られても消滅しない。但し、兄妹には明確な実力差があり堕姫は無惨から妓夫太郎の足手まといだと思われていた。無惨の評価は堕姫に対しては頭の悪い子供、妓夫太郎は貪欲な性格を高く評価しお気に入りにしている。
兄妹共に死にかけていたときに、童磨(当時上弦の陸)に助けられ鬼となった。音柱・宇随天元と炭治郎たちによって討伐され、113年ぶりの上弦の敗北者となる。
コミックスの『キメツ学園』では、謝花 妓夫太郎(しゃばな ぎゅうたろう)・謝花 梅(しゃばな うめ)と名字が付けられている。
堕姫 / 梅(うめ)
声 - 沢城みゆき
演 - 佐竹莉奈
妖艶な美女の姿をした鬼で、普段は花魁に化けている。非常に性悪で傲慢な性格だが、兄の前では口調が幼くなり、泣き虫な素の性格が表れるほか、妓夫太郎によると素直で染まりやすいらしい。
花魁時は着物だが、鬼の姿ではランジェリー風の服装に三本歯下駄、身体に着物の帯を身に着けるという極めて露出度が高い服装をしている。気に食わないことがあると首を傾けて下から睨めつけてくる癖がある。あまり頭が良くないらしく、実兄の妓夫太郎からも度々「足りねえ頭で〜」と発言されている。
100年近く吉原に潜んで、時代に応じて様々な「姫」という名の付く花魁になりすましていた。現代での仮名は蕨姫花魁(わらびひめおいらん)。不細工な人間を忌み嫌い、「(不細工は)生きてる価値がない」などの発言を繰り返す。鬼の中でも偏食で、見目麗しい女性を好んで喰らう。人間だったころに生きたまま焼かれたため、炎にトラウマがある。
血鬼術は「帯」を用いる。この帯は彼女が力を切り離した分身であり、帯を全て回収すると髪色が銀に変わり、更に強くなる。頸を帯状に軟体化させることで防御するため斬りづらく、例え斬首に成功しても妓夫太郎が生命を補っているために死なず再生する。
単体の実力は下弦の鬼よりは遥かに高いが上弦の鬼としては力不足で、負けた際は無惨から「案の定、堕姫が足手まといだった」と言われている。当時の炭治郎のヒノカミ神楽での極限状態をも上回るが、柱の天元には「上弦じゃないだろう、弱すぎる」と酷評される。
人間だったころの名前は「梅(うめ)」。遊郭の最下層である羅生門河岸で生まれる。亡くなった母親の病名「梅毒」から名前をつけられたが、赤子時代に母親に髪や目の色を気味悪がられ、縊り殺されそうになったのを兄に救われている。とはいえ、幼い内から周りをたじろがせるほどの美少女だったため、髪色等から「白梅ちゃん」と呼ばれていた。成長した梅は遊女となるが、妓夫太郎を侮辱した客の侍の左目を簪(かんざし)で突いて失明させたことへの報復として生きたまま焼かれ、死に瀕していた所を童磨に血を与えられ、兄と共に鬼となる。
無惨から禰󠄀豆子の殺害を依頼されていた。天元が遊郭に潜入させた嫁達を捕らえ、捜しにきた新入りの善子に扮した善逸も鬼狩りと見抜き捕らえた。吉原を離れる鯉夏花魁を喰らうためにときと屋に自ら出向き、炭治郎と遭遇・交戦する。炭治郎を圧倒するも禰󠄀豆子に苦戦し、柱の天元にはあっさり頚を斬られてしまう。妓夫太郎が出てきてからは、主に善逸・伊之助の2人と交戦。妓夫太郎の左目を額に移されパワーアップするも、連携の前に頚を斬られてしまう。
同時に頚を斬られた妓夫太郎との口喧嘩の末、先に消滅する。暗闇の中で人間の姿で妓夫太郎と再会し一人だけ地獄に行こうとする妓夫太郎に「ずっと一緒にいる」「何回生まれ変わってもお兄ちゃんの妹になる」と言って、仲直りして泣きながら共に地獄の業火の中へ消えていった。
技一覧
八重帯斬り(やえおびぎり)
無数の帯で退路を塞ぎながら切り裂く技。
分裂体
声 - 伊藤静
吉原の地下深くに張り巡らせており、食料や邪魔者となる人間を保管する役割を持つ。本体から独立して行動することも可能。帯に目と口が付いた姿のため、伊之助からは「蚯蚓帯」と呼ばれた。
妓夫太郎
声 - 逢坂良太
演 - 遠山裕介
堕姫の兄の青年の鬼。先が緑の癖毛で、顔や体に斑模様が無数に浮かんでいる。また肋骨から下が異常に痩せているものの、腕や胸筋は人並み以上に発達している。
普段は堕姫の背中に融合し張り付いている。彼の方が真の「上弦の陸」であり、堕姫よりも桁違いに強い。自身の血肉で生成した鎌と自らの血を利用した猛毒の血鬼術を使う。堕姫に左目を貸与することも可能で、彼女を遠隔操作しつつ、自分は右の視覚だけで戦ってなお鬼殺隊を圧倒するほどの実力がある。
喋り方に独特の癖があり、「〜なぁ」と語尾を伸ばす。見目麗しい宇髄天元に対して強い嫉妬心をあらわにし、死んで欲しいと繰り返す。堕姫には「お兄ちゃん」と呼ばれ、堕姫の事を「可愛い妹」と呼ぶ。堕姫を甘やかしている。
名前は人間時代からの物だが、この名はほぼ遊郭での役割名そのままであり、人間扱いされていなかったことを意味する。一見すると異形の鬼のようであるが、この容貌は人間時代と同じで、怖がられることを利点と思っているためそのままにしており、元を辿れば母子感染した先天梅毒の病状である。江戸時代に羅生門河岸(遊郭の最下層)で生まれる。遊郭では子供は邪魔者扱いとされ、さらに羅生門河岸という貧困と不衛生な環境の中、生まれてきたこと自体を否定されつつ、容貌を嘲笑され、忌み嫌われながら罵詈雑言を浴びて育つ。やがて、妹・梅が生まれてからは彼女を守り育てつつ、自身は醜い容姿と喧嘩の強さを活かして取り立て屋を開業する。梅を誇りに思っていたが、梅が13歳のとき客の侍に生きたまま焼かれ、自身も過剰な取り立ての繰り返しによって疎まれていたため梅が失明させた侍に襲われるが、持っていた鎌で侍と自分を討つよう依頼した女将を殺害。その後、丸焦げになった梅を抱えて死に瀕しながら深夜の遊郭を彷徨っていた所を通りすがりの童磨に救われ、妹と共に鬼となった。
堕姫が追い詰められて天元に頚を刎ねられたことで眠りから目覚める。堕姫の首をくっつけたり火傷を治癒して以後は天元・炭治郎と交戦する。天元を毒に冒し腕を切断し、伊之助の心臓を貫くなど、上弦の実力を見せつける。炭治郎のことは鬼になるようにと勧誘し心を折らせようとするも、それでも立ち向かう炭治郎によって頚を斬られる。
同時に斬られた堕姫と罵り合いをするも、堕姫が消滅した時に呼んだ名前によって人間だった頃の記憶を思い出す。自分が育てたがために、梅を自分と同じような道に歩ませてしまった後悔を思い出した暗闇の中で、本来の人間の姿に戻った梅と再会し、彼女だけ光がある方に向かわせるため一旦は突き放すものの、梅に「ずっと一緒にいる」「何度生まれ変わってもお兄ちゃんの妹になる」と言われたことで彼女の気持ちを受け入れ、梅を背負いながら地獄の業火の中へ消えていった。残された血溜まりは炭治郎に採血され、珠世の元へと届けられた。
技一覧
血鎌(ちがま)
自身の血で作られた二対の鎌状の武器。血が弾けるまで鎌として扱える。直接切りつける他、投擲にも用いられる。猛毒が含まれており、少し切り付けられただけでも毒に冒される。
飛び血鎌(とびちがま)
血の斬撃を飛ばす技。軌道を意のままに操る事も可能で、敵に当たるまで追尾する。
円斬旋回(えんざんせんかい)
螺旋状に飛び血鎌を放つ技。意図的に体から出血させることが可能なので技の出が速く、広範囲を攻撃する事も可能。闘いの終盤では天元によって攻撃パターンを看破され、命中しなくなる。妓夫太郎が首を斬り落とされたのち身体に残っていた術が暴走し、その威力によって吉原の街一帯は瓦礫と化した。
跋扈跳梁(ばっこちょうりょう)
血の斬撃を身の回りに巡らせる全方位を防御する技。
堕姫 / 梅(うめ)
声 - 沢城みゆき
演 - 佐竹莉奈
妖艶な美女の姿をした鬼で、普段は花魁に化けている。非常に性悪で傲慢な性格だが、兄の前では口調が幼くなり、泣き虫な素の性格が表れるほか、妓夫太郎によると素直で染まりやすいらしい。
花魁時は着物だが、鬼の姿ではランジェリー風の服装に三本歯下駄、身体に着物の帯を身に着けるという極めて露出度が高い服装をしている。気に食わないことがあると首を傾けて下から睨めつけてくる癖がある。あまり頭が良くないらしく、実兄の妓夫太郎からも度々「足りねえ頭で〜」と発言されている。
100年近く吉原に潜んで、時代に応じて様々な「姫」という名の付く花魁になりすましていた。現代での仮名は蕨姫花魁(わらびひめおいらん)。不細工な人間を忌み嫌い、「(不細工は)生きてる価値がない」などの発言を繰り返す。鬼の中でも偏食で、見目麗しい女性を好んで喰らう。人間だったころに生きたまま焼かれたため、炎にトラウマがある。
血鬼術は「帯」を用いる。この帯は彼女が力を切り離した分身であり、帯を全て回収すると髪色が銀に変わり、更に強くなる。頸を帯状に軟体化させることで防御するため斬りづらく、例え斬首に成功しても妓夫太郎が生命を補っているために死なず再生する。
単体の実力は下弦の鬼よりは遥かに高いが上弦の鬼としては力不足で、負けた際は無惨から「案の定、堕姫が足手まといだった」と言われている。当時の炭治郎のヒノカミ神楽での極限状態をも上回るが、柱の天元には「上弦じゃないだろう、弱すぎる」と酷評される。
人間だったころの名前は「梅(うめ)」。遊郭の最下層である羅生門河岸で生まれる。亡くなった母親の病名「梅毒」から名前をつけられたが、赤子時代に母親に髪や目の色を気味悪がられ、縊り殺されそうになったのを兄に救われている。とはいえ、幼い内から周りをたじろがせるほどの美少女だったため、髪色等から「白梅ちゃん」と呼ばれていた。成長した梅は遊女となるが、妓夫太郎を侮辱した客の侍の左目を簪(かんざし)で突いて失明させたことへの報復として生きたまま焼かれ、死に瀕していた所を童磨に血を与えられ、兄と共に鬼となる。
無惨から禰󠄀豆子の殺害を依頼されていた。天元が遊郭に潜入させた嫁達を捕らえ、捜しにきた新入りの善子に扮した善逸も鬼狩りと見抜き捕らえた。吉原を離れる鯉夏花魁を喰らうためにときと屋に自ら出向き、炭治郎と遭遇・交戦する。炭治郎を圧倒するも禰󠄀豆子に苦戦し、柱の天元にはあっさり頚を斬られてしまう。妓夫太郎が出てきてからは、主に善逸・伊之助の2人と交戦。妓夫太郎の左目を額に移されパワーアップするも、連携の前に頚を斬られてしまう。
同時に頚を斬られた妓夫太郎との口喧嘩の末、先に消滅する。暗闇の中で人間の姿で妓夫太郎と再会し一人だけ地獄に行こうとする妓夫太郎に「ずっと一緒にいる」「何回生まれ変わってもお兄ちゃんの妹になる」と言って、仲直りして泣きながら共に地獄の業火の中へ消えていった。
技一覧
八重帯斬り(やえおびぎり)
無数の帯で退路を塞ぎながら切り裂く技。
分裂体
声 - 伊藤静
吉原の地下深くに張り巡らせており、食料や邪魔者となる人間を保管する役割を持つ。本体から独立して行動することも可能。帯に目と口が付いた姿のため、伊之助からは「蚯蚓帯」と呼ばれた。
鳴女(なきめ)
声 - 井上麻里奈
長い黒髪で目元を隠した女性の鬼。髪の下は大きな単眼である。十二鬼月からは「琵琶女」、「琵琶の君」と呼ばれている。無惨は鳴女を便利という意味でお気に入りにしている。
必要以上の会話をしたがらず、上弦の壱から伍が集められた際も質問に短く答える程度。内心は「早く帰ってくんないかな」と思っていた様子。
十二鬼月とは別枠の側近であったが、半天狗が死んだ事で空位となった上弦の肆へと昇格する。
琵琶を奏でる事で異空間・無限城の無数ある部屋を自在に操り、直接的な殺傷能力が無いとは言え、広大な空間を操作する能力は響凱を遥かに凌ぐ。鬼達への干渉能力も高く、上弦ですら気付かれずに無限城へ呼び寄せ、城内の鬼や人間を部屋から部屋へ琵琶の奏で一つだけでテレポートさせる事もできる。上弦になった後には探知探索の血鬼術を会得し眼球に三本触手の足を持つ使い魔による遠隔探知ができる。
人間時代は無名ながら琵琶演奏で日銭を稼いでいたが、夫が博打ばかりするため生活は常に困窮しており、挙句の果てには演奏用の着物を勝手に売られて博打に使われた事で逆上し夫を金槌で殴り殺した。しかし、殺人後の震える手とボロボロの着物で演奏したことにより賞賛を受け、以降は日課の如く人を殺してから演奏していた。その後は殺す相手として目をつけた相手が無惨だったため、返り討ちに遭った後、気に入られて鬼にしてもらった。
無限城決戦時には髪で壁に根を張り動く事はできないが、部屋を自在に動かして鬼殺隊を分断する。蜜璃と小芭内に捕捉されるも猛攻を凌ぎ続けて無惨の回復まで時間稼ぎをし、回復した無惨の覚醒後にも生き残った柱を集結させない様に城の構造変換を続けていたが、この隙に彼女に接近していた愈史郎に脳を乗っ取られた事により視界を操作され、無限城の制御も奪われてしまい、この事実を知った無惨が鳴女を切り捨て、自壊の呪いを発動させた事で頭部を破裂させられてしまい死亡。その結果、制御不能に陥った無限城は崩壊して地上に露出した。
獪岳(かいがく)
声 - 細谷佳正
演 - 千葉雅大
善逸の兄弟子にあたる元鬼殺隊剣士。鬼殺隊の隊服の上に着物と帯を着用し、勾玉の首飾りをしている。人間時は善逸と色違いの日輪刀だったが、鬼となってからは自分の血と骨から作った刀を背負っている。
真面目で努力家な性格である一方自尊心がとても強く、傲慢で承認欲求が強い。ひたむきに努力する姿勢を善逸からは尊敬されていたが、自分の未熟さを顧みず、他者から評価されない事に不満を抱えていた。善逸からは「どんな時も不満の音がしており、心の中の幸せを入れる箱に穴が開いている」と評されている。
嘗ては悲鳴嶼が世話をしていた寺の孤児であったが、ある日寺の金を盗んだことで他の子供達から責め立てられ、寺から追い出される。その夜に鬼と出くわし悲鳴嶼と子供達の命を与えるといった鬼を手引きした過去を持つ。その後、桑島に拾われ雷の呼吸を教わり鬼殺隊の剣士となる。臆病で壱ノ型しか使えない善逸を見下していたが、反対に全ての型の基本である壱ノ型が使えないため他の剣士からは大したことないと陰口を言われていた。「生きてさえいれば勝てる」という考え方から、黒死牟に遭遇した際、その圧倒的な実力を戦わずして感じ取り、命乞いをして鬼となる。妓夫太郎・ 堕姫が死んだことで空位になった上弦の陸になるが、善逸からは「適当な穴埋めで入れた上弦の下っ端」と皮肉を言われる。
体得した弐ノ型から陸ノ型からなる雷の呼吸と血鬼術を組合せた技を使用する。受けた相手の体はひび割れが起きる。
無限城で善逸と交戦。お互い挑発の果てに、善逸が編み出した新たな雷の呼吸「漆ノ型」に敗れる。しかしそれでも自身の敗北を受け入れられず、善逸も力尽き転落死しようとした事から自分と共倒れになることをほくそ笑むが、突如現れた愈史郎によって善逸は救出され、自身は「人に与えない者はいずれ人から何も貰えなくなる」「欲しがるばかりの奴は結局何も持ってないのと同じ 自分では何も生み出せないから」と嘲りと哀れみの言葉を愈史郎に浴びせられ、あらゆる物を踏みにじってまで保とうとしていた己の自尊心が覆しようのない形で折れていく事実に声にならない断末魔をあげながら消滅した。
上弦の陸ながら善逸に単独で倒されたが、愈史郎は「善逸が生き残れたのは獪岳がまだ自分の血鬼術を使いこなせていなかったから」「(負傷した善逸に対して)戦いが1年後だったら即死だった」と評している。
技一覧
下弦
累(るい)
声 - 内山昂輝
演 - 阿久津仁愛
下弦の伍。趣味は綾取り。那田蜘蛛山に住まう鬼の一家の末子で、蜘蛛めいた髪型の小柄な少年。鬼になって二十年弱。下弦の中では壱(魘夢)、弐(轆轤)ほどはあったとされる等、実力が高く、無惨に気に入られていた。基本は冷静な性格だが、頭に血が上ると感情的になるタイプで、攻撃も単調になる。
配下に「母」「父」「兄」「姉」役を演じる鬼がおり、家族の「末弟」にあたるとして彼らとの絆を主張するが、その実態は暴力で無理矢理従わせている恐怖支配に過ぎず、口ぶりや内容も妄執めいている。以前はもっと多くの家族がいたようだが、累に逆らったり、望むように家族を演じられなかった為に処刑されて4人になっていた。家族役の鬼たちの容姿は元々異なっており、累によって顔の皮をはぎ取られ、無理やり作り替えられている。累は家族が元の姿に戻る事を嫌い、元の子供の姿に頻繁に戻ってしまう母蜘蛛を頻繁に虐待していた。
繰り出す糸に血液を乗せることで、鋼に勝る硬度を与える血鬼術を持つ。切れ味そのままに網状にすることもできる。
人間時の名前も累。人間だったころは非常に病弱で床から起き上がれず、歩く事さえ苦しい状態であったが、ある日無惨に血を与えられ、鬼となる。鬼化後は人を喰らい続けなければならず、その事実を知った両親(声 - 立花慎之介、桑谷夏子)により無理心中を図られるも、一時の激情に駆られ返り討ちにしてしまった過去を持つ。
那田蜘蛛山山中にて、炭治郎・禰󠄀豆子と交戦。禰󠄀豆子が示した兄への絆に感動し、自分の新たな「妹」役として目をつける。血鬼術の糸で炭治郎の日輪刀を破壊する等、絶望的な戦力差を見せつけ、新たな力に目覚めた竈門兄妹に反撃されるが、先んじて首を自切することで日輪刀を回避。激怒して竈門兄妹を殺そうとするも、救援に来た冨岡に止めを刺される。
身体が崩れゆく中で、かつて両親の自身に対する命を賭した愛情を自らの手で断ってしまった事に気付き、死後その魂は両親と再会。謝罪を果たして、共に地獄の業火へと消えていく。この戦いでは、炭治郎は十二鬼月の採血に失敗する。
因みに「家族ごっこ」は無惨に認められた行為であり、反乱者が徒党を組む事を危惧して共食いという習性を故意に与えている無惨が累の配下ともとれる鬼が増えることを認めたのは、「父母の代用品を求めている」「気に入らない代用品は捨てる」といった累の幼稚性を見抜いていたためである。
技一覧
魘夢(えんむ)
声 - 平川大輔
演 - 掛川僚太(2作目)、内藤大希(3作目)
下弦の壱。優男風の洋装の鬼。増血されてからは全体に血管が浮かんだ姿になっている。
目玉と口が存在する異形の左手を分身として身体から切り離し、独自に行動させることができる。他者の不幸や苦しみを見ることを何よりも好む。
魘夢は最初、小腹が空いた無惨に腑を食われたが、致命傷で痛みを感じず無惨を羨み褒めそやして死亡した後、無惨が気まぐれに鬼にした。
「眠り鬼」と呼ばれ、夢に関する血鬼術を使い、術の効力を持ったギミックを作成する事も得意とする。閉じ込められた夢から覚めるためには、その中で自刃する胆力が必要となる。
無惨による下弦の鬼の粛清時に、「他の鬼たちの断末魔を聞けて幸せだった」と本心で言い放ち、歪んだ恭順を気に入られて唯一見逃され、「増血」されて炭治郎に対する追手として放たれた。無限列車にて、鬼殺隊と直接対峙しないように人間を配下に置く。車掌を使って鬼殺隊の一行を眠らせ、子供達に無意識空間の「精神の核」を破壊させようとするが、それ自体は時間稼ぎに過ぎず、炭治郎が覚醒した時には列車そのものと融合が完了していた。200人の乗客を人質兼食料にしようと企んでいたが、煉󠄁獄と善逸・禰󠄀豆子の働きで阻止された上、炭治郎と伊之助に列車の運転室の床下に隠していた頚骨を破壊される。結果として1人も食えなかった上に全力を出せず敗北、「何という惨めな悪夢だ」と嘆きながら消滅する。
技一覧
那田蜘蛛山の鬼一家
それぞれが母・父・兄・姉役を演じているが、累に恭順を示した鬼たちが、言われるままに容姿を作り変えただけで血縁はない。全員が蜘蛛や糸にちなんだ術を使用するが、元々は累から蜘蛛の形にした力を飲み込む形で与えられたもので、自身で獲得した血鬼術ではない。因みに顔は累によって皮を剥がれて作り変えられている。家族は他にも居たが累にそぐわない者や逆らう者、演じられなかった者が日光で焼かれたり切り刻まれたりして処分されたため、那田蜘蛛山編の時点では4人しかいない。アニメ版のみ作中過去で「姉」の姉を演じていた鬼(声 - 伊藤かな恵)が出ている。
「母」
声 - 小清水亜美
演 - 髙原華乃
那田蜘蛛山で最初に登場した鬼。妖艶な女性の姿をしている。糸を使って人間を操る血鬼術を持つ。
元は幼女の鬼だったが、累の命令で容姿を変えて大人の女性の姿になっている。精神年齢は幼女のままのため、累の要求に応えきれない事が多く、「父」に暴力を振るわれ恐怖で支配されていた。度々元の幼女姿に戻ってしまう為に累にも虐待されており、母とは名ばかりで、家族で一番立場が低い。
那田蜘蛛山に入った尾崎ら鬼殺隊を操り同士討ちさせていたが、伊之助に位置を把握された後、炭治郎によって首を切られる。その際、累から解放されたい思いから一切の抵抗をせず、自ら首を差し出したことで、炭治郎に「伍ノ型・干天の慈雨」で情けを掛けられた。炭治郎が自分に向けた優しい眼差しから人間だったころは幼女であり、今際の際には母親と思われる女性に愛情を受けていたものの、彼女を食い殺してしまったらしきことを思い出し、死に際に十二鬼月がいると注意を促しながら痛みもなく安らかに消滅していった。
「父」
声 - 稲田徹
演 - 夛田将秀
屈強な体格を誇る蜘蛛鬼。顔面が蜘蛛そのものに変貌しているので異形の姿である。
累によって知性を奪われ、いいように操られている。川底を殴れば底まで水が吹き飛び、太い丸太をバットの様に振り回す等、桁違いの身体能力・回復力を持つ。脱皮による強化が可能で、身体が一回り大きくなり強くなる。
山中で伊之助を叩きのめし、殺す一歩手前まで追い込むが、現れた冨岡に瞬殺されバラバラになる。
「兄」
声 - 森久保祥太郎
演 - 鳥居留圭
蜘蛛の胴体に人間の頭が付いている異形の鬼。母鬼を嘲笑っていた。普段は蜘蛛の巣で浮く小屋の中に居る。
自身の毒を受けた者を「蜘蛛」に変える血鬼術、および強酸性の毒液を吐き出す血鬼術「斑毒痰(ふどくたん)」を持つ。
山中で善逸と交戦。蜘蛛人間たちを使って善逸に毒を注入する。毒で衰弱しつつも突如雰囲気が変わった善逸に対して、警戒しつつ迎撃を行うも、それすら凌駕する「霹靂一閃 六連」で一瞬で斬首される。
「姉」
声 - 白石涼子
演 - 遥りさ
白い着物を着た少女の鬼。掌から作り出した繭で獲物をくるみ、消化液で溶かして捕食するという血鬼術「溶解の繭」を持つ。
一見おとなしそうに見えるが、実は自分さえ良ければ良いという自己中心的な性格で嘘を平然と吐く、狡猾で卑劣かつ極悪な利己主義者。元々強い鬼ではないため、累に捨てられることを恐れており、彼が禰󠄀豆子に興味を示した際は必死に自分が「姉」であることを主張する。
アニメ版では自分の姉を演じていた鬼に脱走計画を打ち明けられ共に脱走したが、実は保身のために累に計画を密告していたため、「姉」の鬼は処刑された。
先遣隊の中で生き残っていた村田を、血鬼術の繭で包み溶かそうとしていた所、胡蝶しのぶと遭遇。実力の差を見せつけられて命乞いをするが、嘘を見破られた上拷問による贖罪を宣告され、反撃しようとするも、鬼殺しの藤の花の毒で毒殺され、遺体はその場に打ち捨てられている。
珠世一派
珠世(たまよ)
声 - 坂本真綾
演 - 舞羽美海
四百年以上生きている女性の鬼。肉体年齢は19歳。普段は医師として活動している。
元々病で死にかけていたところを無惨によって鬼にされた事で生き延びるが、これにより自ら最愛の息子と夫を食い殺してしまったため、その怨みから鬼舞辻󠄀無惨一派と敵対し、追われる立場にある。自力で無惨の呪いを解除して支配から逃れ、人を喰わず少量の血液を飲むだけで生きる事を可能とした。自分の血液を介して、幻術をかける事ができる。
鬼を人に戻す方法を確立すべく、炭治郎に鬼の血液の採取を依頼する。鬼であることを隠しつつ無惨の追跡を躱すため、一箇所には長く留まれない。
禰豆子と十二鬼月の血を研究するうちに鬼化された人間の自我を取り戻すことに成功し、禰󠄀豆子が近いうちに太陽を克服すると推測する。禰󠄀豆子の日光克服と同時期に、耀哉に声をかけられ、無惨への罠を張る。その後は無惨に恨み節を言い放つも取り込まれて殺害された。しかし、無惨に放った「鬼を人間に戻す薬」、「老化を促進する薬」、「分裂を阻害する薬」、「細胞を破壊する薬」は無惨討伐に大いに役立った。
前身となった短編『過狩り狩り』から引き続いて登場。
技一覧
惑血(わくち)
珠世の血鬼術。自らの身体を傷つけ、出血することによって発動する。自身の血の匂いを嗅がせ幻覚で惑わせる。匂いが及ぶ範囲なら無差別に影響する。
視覚夢幻の香(しかくむげんのこう)
匂いを嗅いだ者の視界に不可思議な紋様が現れ、身動きを取れなくする。
白日の魔香(はくじつのまこう)
自白剤のように匂いを嗅がせた者の脳の機能を低下させ、情報を引き出す。虚偽を述べたり秘密を守ることが不可能となる。人体には害があるため、人間は吸い込んではならない。鬼に対し尋問の誘導に成功すると、強制的に「呪い」を発動させることもできる。
融通無碍の香 (ゆうずうむげのこう)
番外編4コマ漫画のネタ。真面目すぎて四角四面な炭治郎の性格を矯正できないか試すも失敗、頭の悪い発言をするだけの結果となった。
肉の種子
肉で形成された種のようなものを無数にばらまき、その種から細かく枝分かれする黒い棘が無数に出現して相手を串刺しにする。
本来は浅草で無惨が鬼にした男性の血鬼術であり、珠世が解析し再現する形で使用された。
産屋敷邸に現れた無惨をこの技で拘束し、対無惨用の四種の薬を打ち込む時間を作った。
愈史郎(ゆしろう)
声 - 山下大輝
演 - 佐藤永典
珠世に付き従う青年の鬼。無惨由来ではない例外的な鬼であり、人を喰らわず、珠世よりも少量の血液を飲むだけで生きることが可能。実年齢は35歳。
病により瀕死の状態にあったところを珠世により鬼とされる事で救われる。その時から珠世に心酔しており、珠世以外には毒舌且つ攻撃的な態度をとる。毎日、珠世日記を書いているらしい。
視界に関わる血鬼術を使用する。札術を応用した目隠しや、又札を対象の顔に貼り付ける事で自身や鴉の視力を貸与する事もできる。工学の心得と手先の器用さから採血器も開発し、炭治郎が採血した鬼の血の回収時は術で姿を消した猫「茶々丸」を遣わす。
珠世の覚悟を理解し、無限城戦に参戦。鬼殺隊士を装って村田の班で救護と支援を担当した。鴉たちに血鬼術の紙眼札を与えることで通信網を張り、指揮を執る産屋敷輝利哉に情報を提供する。また甘露寺と共闘し、鳴女を攻略して無限城を破壊した。地上に戻ってからは隊士達の治療に従事する。この戦いを経て竹内と友人になった。
最終決戦後には炭治郎の見舞いに赴き、心からその功績を労った。その後は「山本 愈史郎(やまもと ゆしろう)」の名で生きる道を選び、画家として珠世の絵を描き続けており、現代において世界的に高い評価を受けている。輝利哉とは現代でも友人である。
前身となった短編『過狩り狩り』から引き続いて登場。
技一覧
紙眼(しがん)
楡士郎の血鬼術。目の様な模様が描かれた札を貼る事で、視覚に関する血気術を発動させる。人や人物を視界から隠すステルス戦法も可能。
可視化(かしか)
札を貼り目を貸す事で、見えない血鬼術の作用を見れるようにする。
視覚共有(しかくきょうゆう)
札を貼った者同士の視覚を共有する。人間と動物間でも可能で、最終決戦時には鎹鴉の視覚を隊士達に共有し、鏑丸の視覚を伊黒に共有する。この血鬼術は無限城陥落に大きな戦力となった。
その他の鬼
お堂の鬼
声 - 緑川光
演 - 星賢太
仮称。炭治郎が旅立ちの直後に遭遇した。
作中で最初に登場した鬼。首を切られても側頭部から腕を生やして抵抗する。炭治郎に倒されて失神し、鱗滝の問答で炭治郎がとどめをためらっているうちに夜明けの日光に晒されて消滅した。
手鬼(ておに)
声 - 子安武人、豊崎愛生(幼少期)
演 - 竹村晋太朗
仮称。47年前、江戸時代・慶応年間のころに鱗滝に捕まった鬼。仮称通りに全身に幾つもの腕を纏った、大型の異形の鬼。
最終試練の場「藤襲山」に封じられているが、その中でしぶとく生き延び、50人もの人間を喰らった。自分を捕まえた鱗滝を心から憎んでおり、彼の彫った狐面を目印に13人の弟子を殺している。
弱点である首はとりわけ多く腕がまとわりついているせいか非常に硬く、錆󠄀兎が切りつけた際は逆に刀が折れてしまったほど。だが山中の鬼(声 - 鶴岡聡、福島潤 他)も倒していた炭治郎の力には敵わず、「壱ノ型・水面斬り」で首を刎ねられて敗北。今際の際に兄(声 - 小市眞琴)と過ごした人間時代を思い出し、涙を流しながら消滅する。
アニメ劇場特別上映版ではボス敵。また、「(明治から大正に)年号が変わっている」というセリフを発するが、テレビアニメでの放送時期と平成・令和の改元とが一致したことで話題になり(後述)、このキャラクターのグッズ化も行われた。
沼の鬼(ぬまのおに)
声 - 木村良平
仮称。 1本角・2本角・3本角の三身一体で行動する鬼。三つ子ではなく能力による分身・分裂の類であり、お互いを「俺」と呼ぶ。
十六歳になったばかりの娘を好んで食い殺し、殺した娘たちが身に着けていたかんざしや髪飾りを蒐集品として集めている。血鬼術を扱える異能の鬼であり、壁や地面に対し沼地を発生させ沼の中を自在に動き回れる。キャラブックによるとナルシストで、歯ぎしり癖は人間時代からの名残らしい。
炭治郎が最初の仕事で倒した鬼。トキエ(声 - 冨岡美沙子)を襲撃した際、和己(かずみ)(声 - 酒井広大)と共に失踪事件の調査をする炭治郎と鉢合わせる。沼に飛び込んできた炭治郎に「陸ノ型 ねじれ渦」で2人が倒され、最後の一人も首を刎ねられて全滅した。炭治郎からの尋問に対し、鬼舞辻󠄀無惨について答えることを極度に恐れている。
朱紗丸(すさまる)
声 - 小松未可子
演 - 西分綾香
無惨直属の配下。おかっぱ頭で、古風な口調と童女のような振る舞いをする少女の鬼。十二鬼月を自称するが、無惨に言いくるめられているだけある。
血鬼術「毬(手毬)」を使用し、手毬を投擲したり蹴ったりして攻撃したり、手毬を複製したりする。腕と手鞠は血鬼術により6個ずつまで増える。また、破壊力が尋常ではない。
矢琶羽と共に、無惨の命を受けて、浅草で炭治郎・珠世を襲撃する。血鬼術の手毬で建物の壁をぶち抜いたり、愈史郎の頭を粉々に砕いたり、鞠を蹴り返そうとした禰豆子の足を逆に吹き飛ばすなどいかんなく力を発揮していたが、矢琶羽が倒された後、珠世の術にかけられて無惨の名を口にしてしまった事で「呪い」が発動し、口から巨大な手が生え、体内に残留していた無惨の細胞に肉体をミンチのように破壊され、朝日に照らされて塵となる。炭治郎は人間だった頃はただ手毬遊びが好きな少女だったのだろう、と想いをを馳せていた。
ファンブックによると、手毬は人間時代に父親に買ってもらったもの。
矢琶羽(やはば)
声 - 福山潤
演 - 星乃勇太
無惨直属の配下。両掌に瞳孔が矢印の目玉が付いた青年姿の鬼。両目は閉じられている。一人称は儂。神経質で病的な潔癖症。
掌の目は矢琶羽が人間時代に盲目だったわけではなく、普通に目があるより掌にある方が能力が使いやすいから、という理由からこうなった。
朱紗丸と共に無惨の命を受けて、浅草で炭治郎・珠世を襲撃する。血鬼術の見えない矢印と朱紗丸の鞠とのコンボで初めは炭治郎を苦しめたが、愈史郎の視力を借りたことで矢印を見切られ、術を逆手に取られて距離を詰められて首を切られ、激昂して最後の足掻きとして血鬼術を連発し、炭治郎を道連れにしようとするもそのまま死亡する。
血鬼術「紅潔の矢」を使用し、両掌に存在する眼により発動させる不可視の矢印(ベクトル)を操る技や追跡・探知能力を用いる。また、矢印は日輪刀では切れない他、放たれた順にしか発動しない。弱点として、矢印の方向の先に技を繰り出して衝撃を相殺出来る、当人が矢印と同じ方向に動けば巻き取れる、という二つがある。
響凱(きょうがい)
声 - 諏訪部順一
演 - 高木トモユキ
元・十二鬼月の下弦の陸。両肩や腹、両脚から鼓を生やした鬼。
一人称は小生、もしくは俺。計画的で賢明だがぼそぼそと呟くように喋るなど、陰気で神経質且つプライドが高い。また、土足で家に上がり込んだ鬼殺隊の面々に苛立つなど、礼儀に煩い一面もみせている。
炭治郎と善逸が指令を受け向かった先の屋敷の主。
身体各部の鼓を打つ事で、部屋を回転させたり斬撃を飛ばす空間支配の血鬼術を持つ。部屋の空間を転移させる鼓も背中に生やしていたが、血の匂いを嗅ぎつけてきた舌の鬼(声 - 新垣樽助)、角の鬼(声 - 川原慶久)との争いで鼓の1つを落とし、これが清に拾奪され、皮肉にも利用される。
人間だったころは里見八見伝が好きな事から伝奇小説を書く文筆家で、鬼となってからも文筆をしていたが、彼の作品を酷評した上に原稿用紙を踏みつけにした知人を惨殺した過去を持つ。
嘗ては十二鬼月の下弦(陸)にまで登り詰めたほどの実力者だったが、やがて身体が人肉を受け付けなくなり、これ以上の向上が見込まれないと鬼舞辻無惨から見限られ、数字を剥奪された。十二鬼月に復格するために「稀血」を持つ清を狙う。
転移の鼓を逆利用する清を捕らえきれず、清の弟妹・正一(しょういち)(声 - 市来光弘)、てる子(てるこ)(声 - 岡咲美保)と行動を共にしていた炭治郎と一騎討ちとなり前述の血鬼術で苦しめるが、「玖の型 水流飛沫・乱」で攻略され倒された。戦いの最中でも手書きの原稿用紙を踏まなかったことや炭治郎の血鬼術に対する賞賛の言葉に「自分は認められた」と涙を流しながら消滅する。
技一覧
蛇鬼
笛を操る老鬼
佩狼(はいろう)
『煉獄杏寿郎外伝』に登場した軍服を着用した鬼。
杏寿郎が炎柱になる前に遭遇した下弦の弐であり、影を操る血鬼術を使う。また影の中に重火器を隠し持っている。
かつて炎柱だった槇寿郎と遭遇した際に殺されかけ、どうにか逃げ延びた際に「卑怯者」呼ばわりされた事で力をつけて槇寿郎に復讐する事を決意し、下弦の弐に上り詰めた。
前述の出来事からか情緒不安定で、感情が昂ると自分で自分の頭や口の中を撃ち抜いて冷静になる癖を持つ。
槇寿郎を誘き寄せるためにある町で無差別爆破事件を起こし影で作った狼に人々を襲っていた所で杏寿郎と遭遇、彼を槇寿郎と勘違いし激昂しながら襲い掛かるも攻撃を悉く弾かれ次第に追い詰められていく。
そして影の中に用意した武器が刀一本だけになった時、自分が新選組に所属していた事や自身の武士道を全否定されて銃で殺されかけた人間時代の過去を思い出す。
武士としての矜持も思い出したことで杏寿郎の実力を認め、刀での一騎打ちを仕掛けるも、「奥義 玖ノ型 煉獄」の前に敗れ、杏寿郎の剣技を称賛しながら満足げに消滅した。
なお、この一戦の功績により杏寿郎は槇寿郎に代わる新たな炎柱に昇格することになる。
姑獲鳥(うぶめ) / 弥栄(やえ)
小説『風の道しるべ』に登場した着物を着た小柄な女性の鬼。
実弥が風柱になる前に遭遇した下弦の壱であり、お香を焚いて嗅いだ者に幻術を見せる血鬼術を使う。稀血の者を含む多くの子供を捕食している。
親からの愛に恵まれなかった子供や隊士を攫ってはお香で精神を操り、母を演じて自己満足の育児で衰弱させてから自分の胎内に還すという名目で攫った人間を喰らっている。自分の寵愛を受け付けない場合は、暴言を吐いて無慈悲に始末している。
人間のころは早くに亡くなった両親から屋敷や骨董品などを相続し数人の使用人と共に暮らしていたが、夫に財産を勝手に売られ暴力を振るわれ、使用人にも逃げられてしまう。後に夫は川で溺死するも今度は献身的な看病も虚しく娘を病気で亡くすなど、悲運に見舞われた女性とされていた。
だが、実際は自分が家族を持って幸せになりたい為に他者を踏みつけにできる利己主義にまみれた人物で娘の遺した日記によれば「娘に尽くす健気な母親」を演じるために娘に毒を盛って衰弱させ自分を突き放そうとすれば虐待する、今で言う所謂代理ミュンヒハウゼン症候群のような事をしていた。また、自分から逃げようとした娘や別の女性と駆け落ちしようとした夫を自分の手で殺害したことが本人の口から語られている。
屋敷に訪れた実弥と匡近と遭遇した際、実弥が父親に虐待されていたことを見抜いて気に入り、自分の新たな子供にしようと幻術に嵌めるが匡近の起点によって幻術を破られ、実弥の稀血によって酩酊状態に陥り追い詰められる。
だが、彼女を母だと思い込まされた一人の少女が戦闘に割って入り、その少女を守ろうとした事で匡近が致命傷を負う。直後に実弥に首を落とされ、作り物の様な笑顔を浮かべたまま絶命した。
なお、この一戦の功績により実弥は風柱に昇格することになるが、匡近が殉職した事で彼の心に大きな傷を残すことになる。
切り裂き魔の鬼
声 - 伊藤健太郎
名称不明であり仮称。アニメオリジナル。身体に刺青が入った坊主頭の鬼。
無限列車編・第1話に登場。自身のスピードには自信があり、そのスピードを発揮する際は刺青が青く発光する。
無限列車が発着する駅近辺で無差別に人々を襲っていた。鬼になってからは人間の食べ物の匂いを嗅ぐ事すら嫌悪する様になっており、人間に対しても不味そうな血だと判断すれば長く苦しめてから殺そうとしている。無限列車の整備場で杏寿郎と遭遇し、整備員の一人を人質に取るも始末する前に手首を落とされ、撤退する。
最後は殺人を邪魔された腹いせに駅まで走りトミとふくを襲うが、追いかけてきた杏寿郎に呆気なく首を落とされ、消滅した。
鬼殺隊の末裔・現代の人々
竈門 炭彦(かまど すみひこ)
竈門 カナタ(かまど かなた)
我妻 善照(あがつま よしてる)
その他の人物
錆󠄀兎(さびと)
声 - 梶裕貴
演 - 星璃
炭治郎の兄弟子。右頬に大きな傷痕が描かれた狐面をつけた、宍色の髪の少年。素顔も狐面と同じ位置に傷痕がある。厳格だが正義感が強く、心優しい性格。大岩斬りの課題が難航している炭治郎の前に現れ、半年間剣の訓練を施した。炭治郎からも絶賛される流麗で卓越した剣技の持ち主。
最終選別で手鬼に遭遇するも、固い首を切り裂けず刀が折れてしまい、頭を潰され殺されているため、炭治郎に稽古をつけた彼は亡霊である。
歴代の鱗滝水流派13人中最強。天涯孤独の身で鱗滝に入門した。冨岡義勇とは同い年で同門の親友。姉に庇われて生き残った事を嘆く義勇を厳しく叱咤し、彼女が身を呈して繋いでくれた命を更に繋げていくことを諭した。13歳の時に義勇と共に最終選別を受け、前述通り手鬼との戦闘で命を落としたが、藤襲山の鬼をほとんど一人で討伐していたため、その年の選別での死者は彼だけだった。またこの過去が義勇の心に深く翳を落とすこととなる。
真菰(まこも)
声 - 加隈亜衣
演 - 其原有沙
炭治郎の姉弟子。花柄の着物を着た謎めいた雰囲気の可憐な少女。錆󠄀兎とは血縁関係はない。狐面には右頬に花が描かれている。錆󠄀兎と共に炭治郎の前に現れ、体捌きの改善点を指摘したり身体能力を強化する全集中の呼吸を教えた。剣士としては、素早いが小柄で非力であったという。
孤児の自分達を育ててくれた鱗滝を慕っていたが、最終選別で手鬼に遭遇し、彼が鱗滝からの厄除の面を目印に自分の先輩達を狙って食い殺していた事実に動揺してしまい、殺される。
三郎(さぶろう)
声 - てらそままさき
竈門家の住む雲鳥山の麓に住む老人。職業は不明だが、登場時は和傘を作っていた。家族を喪って以降1人で生活しており、元々炭治郎や禰󠄀豆子とも交流があった。
作中で初めて鬼の存在に言及した人物でもあり、物語冒頭で炭を売りに来て夜道を帰ろうとした炭治郎を「鬼が出る」と引き留めて自宅に宿泊させた事で炭治郎は無惨の手に掛からずに済む事になる。また、炭治郎に鬼について語った際には「鬼狩り様が鬼を斬ってくださる」と鬼殺隊についても話している。
自分の家を出た後の炭治郎達の身を案じていたようで、物語終盤、無惨を斃した炭治郎と禰󠄀豆子達が雲鳥山に帰ってきた際には喜びのあまり嬉し泣きをしながら出迎えた。
豊(とよ)
声 - 岩田光央
浅草に来た炭治郎が立ち寄ったうどん屋の店主。炭治郎に山掛けうどんを提供するが、無惨の匂いを嗅ぎつけた彼にうどんを食べて貰えず激怒。その後、帰ってきた炭治郎に山掛けうどんを食べるよう強要するが、炭治郎がうどんを食べた事で納得して快く送り出す。
人買いの男
声 - 堀井茶渡
虐待の末両親に売り飛ばされた幼少時代のカナヲを連れて歩いていた人買い。カナヲを連れて客先にいく道中の橋で胡蝶カナエ・しのぶ姉妹と出会う。カナヲの身請けをしようとする二人に代金を要求したもののしのぶにばらまかれ、それに気を取られた隙にカナヲを奪われる。
アニメDVD10巻に収録されたドラマCD内で、姉達と縁日に来ていたカナヲと遭遇、再び捕まえて売り飛ばそうとするも、駆けつけたカナエに倒された。
鯉夏(こいなつ)
声 - 斎藤千和
吉原遊郭の「ときと屋」で働く花魁。
自身の部屋に荷物を運んだ炭治郎にお菓子を渡して労を労う他、彼が男であることを最初から知っていても事情を察して黙認したり、消息を絶った須磨の安否を心から気遣う温和で優しい女性。その人柄から非常に人に好かれ、女の子達を甘やかし過ぎて女将から怒られてしまうほど。身請け先が決まった矢先にそれを知った堕姫に襲われ彼女の帯に取り込まれるも、炭治郎に救出される。
トミ
声 - 井上喜久子
アニメオリジナルキャラ。無限列車編・第1話に登場。無限列車が発着する駅で駅弁を販売している高齢の女性。かつて鬼に襲われていた所を槇寿郎に救われており、杏寿郎が切り裂き魔の鬼を倒した際はその剣技から槇寿郎のことを思い出し涙を流しながら杏寿郎に感謝の気持ちを述べた。無限列車発車時には、乗り込む杏寿郎の無事を祈りながら大量の駅弁をふくと共に手渡した。
ふく
声 - 水瀬いのり
アニメオリジナルキャラ。無限列車編・第1話に登場。トミの孫で駅弁販売の手伝いをする少女。杏寿郎と出会った当初は鬼の存在そのものを信じていなかったため、彼を不審者と勘違いしたが、後に切り裂き魔の鬼に襲われたところを杏寿郎に救われる。
用語
鬼殺隊関連
鬼殺隊(きさつたい)
構成員は数百名。剣士は十干(甲から癸)の階級が割り当てられ、さらに「お館様」と呼ばれる産屋敷家の当主、および「柱」と呼ばれる幹部級の隊士がいる。
鍛練で超人的な技を身に付けてはいるが、あくまで生身の人間であるため傷つき痛みもある。
各地に散在する「育手」に訓練を受けた後、藤襲山で行われる「最終選別」に合格すると入隊が認められる。
隊員には「日輪刀」と隊服が支給され、人語を喋る「鎹鴉(かすがいがらす)」の伝令に従い任務に就く。
隊服は洋装で、背に「滅」の文字が書かれている。特別な繊維でできており、通常衣類よりもずっと頑丈。隊士の中には隊服の上から自前の羽織などを着用する者も多く、特に厳しい規定はない模様。その一方、「鬼殺妨害」など鬼を見逃す行為は重大な隊律違反。隊律による斬首や、責任を示すための切腹が行われる。
政府非公認であるがゆえに、都会では表立って帯刀できないなど不便が生じる。女性隊士もいるが、割合は低い。
最終目標である鬼舞辻無惨を倒し、人喰い鬼の絶滅をもって千年の歴史に幕を閉じ解散した。
産屋敷家(うぶやしきけ)
鬼殺隊を統括する一族。歴代当主を鬼殺隊最高統率者(お館様)としており、鬼舞辻󠄀無惨の討伐を悲願としている。産屋敷邸の所在は隊内でも秘匿とされているため、「隠」の案内なしに辿り着くことは決して出来ない。
鬼舞辻無惨を先祖としているためか、千年以上もの間、呪いを背負っている。かつてはその呪いの短命による早逝から一族が途絶えようとしていたが、神主の助言から鬼殺隊を創設し、また神職から妻を迎え始めた事で危機を脱するも、それ以降も代々30歳未満で亡くなっている。病弱であるため、魔除けとして産屋敷家の男児は13歳まで女児として育てられる。しかし、長男相続制であるため13歳以下で当主となる場合は正装になる。97代目当主は産屋敷耀哉。98代目当主は耀哉の長男・産屋敷輝利哉。
鬼舞辻無惨を倒したことにより、一族の呪いは解かれる。
産屋敷家(うぶやしきけ)
鬼舞辻無惨を先祖としているためか、千年以上もの間、呪いを背負っている。かつてはその呪いの短命による早逝から一族が途絶えようとしていたが、神主の助言から鬼殺隊を創設し、また神職から妻を迎え始めた事で危機を脱するも、それ以降も代々30歳未満で亡くなっている。病弱であるため、魔除けとして産屋敷家の男児は13歳まで女児として育てられる。しかし、長男相続制であるため13歳以下で当主となる場合は正装になる。97代目当主は産屋敷耀哉。98代目当主は耀哉の長男・産屋敷輝利哉。
鬼舞辻無惨を倒したことにより、一族の呪いは解かれる。
呼吸法(こきゅうほう)
著しく増強させた心肺活動により、一度に大量の酸素を血中に取り込むことで、身体能力を瞬間的かつ大幅に上昇させ、鬼と互角以上の剣戟を繰り出す。これを「全集中の呼吸」と呼び、剣技に用いて鬼を狩る。
「日の呼吸」を開祖とし、そこから「水」「雷」「炎」「岩」「風」の基本五流派が派生、後にはさらに多くの流派へと枝別れしていき、それぞれの特性に合った技を開発している。日輪刀の色で、どの系統の特性が合っているのかある程度推測できる。現代にも受け継がれており、一年に一度、産屋敷家の管理する神社で舞いとして奉納されている。
ほかにも全集中の呼吸を常態化して継続する技術「常中(じょうちゅう)」、身心強化の「反復動作(はんぷくどうさ)」などの技術がある。
習熟度が高い剣士の技は、エフェクトが可視化に至る(呼吸が薄いと見えない、と説明される)。
日の呼吸(ひのこきゅう)
始まりの呼吸。すべての呼吸はここから派生した。別の言い方をすれば、他の呼吸法はこれを真似た亜種にすぎない。習得者は継国縁壱と竈門炭十郎及び炭治郎。型には文字通り太陽を冠した名前が付けられており、13の型を持つが、他の呼吸法とは異なり、型に番号が振られているのは後述の拾参の型のみ。この拾参ノ型には技名がなく、無惨を夜明けまで太陽の元に釘付けにするために編み出された円舞から炎舞までの12の型を絶え間なく繋ぐ動作そのものを指す。日輪刀の色は黒色。
かつて継国縁壱のみが使えた呼吸で、他の誰も日の呼吸を習得できなかったため特性に応じてアレンジしながら伝えたのが他の呼吸法の始まりである。
炭治郎が持つ日輪が描かれた花札風の耳飾りが継承者の証であり、素質ある使い手には生まれつき額に赤い痣(あざ)があるとされ、縁壱と炭十郎の痣は先天的な物だが、炭治郎の痣は、後天的な火傷と傷痕で、痣としては偽物、あるいは上書きされており見えなくなっている状態である。しかし後に、堕姫・妓夫太郎戦で炎の様な赤い痣に変化し覚醒した。
ヒノカミ神楽(ひのかみかぐら)
竈門家に代々伝わる神事で、正月に先祖と炭竈の神に奉納する。七支刀を持ち、正月の日没から翌朝の夜明けまで神楽を舞い続ける過酷なもので、寿命を縮めかねない命懸けの神事である。
その正体は、かつて戦国時代において縁壱より日の呼吸の型を見せられた炭吉が、「後世に伝える」という縁壱と交わした約束の下、例外的に竈門家に伝えられ、ひっそりと脈々受け継がれた日の呼吸その物だった。呼吸法は「日の呼吸」に関連し拾弐ノ型まであるが、竈門家には型だけが受け継がれ、後に竈門家が代々行ってきた神楽の舞とは、いずれ訪れるであろう鬼舞辻無惨との決戦において「十三個目の型」へと繋げ、頸を斬り落としても殺せない無惨を日の出まで地上に拘束するための戦闘訓練だったことが判明する。炭治郎が全集中の呼吸で剣技に使うと水の呼吸を上回る威力を発揮するが、反動が強すぎて当初は肉体がついていけず、その都度行動不能に陥っていた。だが、遊郭での戦闘でヒノカミ神楽に水の呼吸を混ぜた、それぞれの長所を活かした複合型の呼吸法を独自に編み出し、これを克服した。
「ヒノカミ神楽」という名称は、炭吉が縁壱の剣の型を精霊の舞のように見えることで名付けられたと推測している。
鬼殺隊が解散したあとの現代にも受け継がれており、炭治郎の子孫であるカナタと炭彦どちらも舞えて、年に1度産屋敷家が管理する神社で舞っている。
月の呼吸(つきのこきゅう)
「日の呼吸」の直接的な派生技。修得者は継国巌勝(黒死牟)。呼吸法の中では最多の16の型を持つ。日輪刀の色は紫色。一振りで三日月型の変則的な軌跡の刃を放つため、回避は困難となっている。
水の呼吸(みずのこきゅう)
基本の呼吸法の1つ。作中での修得者は竈門炭治郎・冨岡義勇・鱗滝左近次。基本型は10つ。日輪刀の色は青色。容れ物によって形を自在に変える水の如く、相手の攻撃を利用したり、いなしたりと、あらゆる状況に柔軟に対応する技で鬼の頸を狩る。また基本型を応用、組合せることでも技のバリエーションは増えていく。11番目の型「凪」は義勇の独自技。
基本の五つの呼吸法の中でも特に基本に沿った技が多いため、派生した呼吸も多い。修得者も最多。
蛇の呼吸(へびのこきゅう)
「水の呼吸」の派生。修得者(創設者)は伊黒小芭内。日輪刀の色は青紫色。基本型は6つ。関節の柔らかさを活かした狭い隙間をすり抜けるほどの正確な太刀筋による変幻自在なうねる一撃を特徴としている。
花の呼吸(はなのこきゅう)
「水の呼吸」の派生。作中での修得者は栗花落カナヲ・胡蝶カナエ。基本型は6つ。日輪刀の色は桃色。高い身体能力が求められる上、連続技も多いため、呼吸法の鍛錬が重要となる。
蟲の呼吸(むしのこきゅう)
「花の呼吸」の派生。修得者(創設者)は胡蝶しのぶ。基本型は6つ。日輪刀の色は藤色。呼吸法の中では唯一、鬼の首を斬るための斬撃技が無く、鬼にとって有害な藤毒を刺突技を駆使して注入するという、例外的な攻撃法が特徴。技が全て刺突技であるため、素早い体捌きが求められる。また、技名は他の呼吸法の様に「型」では無く、「舞」と呼称される。
炎の呼吸(ほのおのこきゅう)
基本の呼吸法の1つ。作中での修得者は煉󠄁獄杏寿郎・煉󠄁獄槇寿郎。基本型は9つ。日輪刀の色は赤色。烈火の如く激しい突進技が多く、伝統的な剣術の様に下半身に力を込めたその踏み込みは走行中の無限列車をも跳ね上げる。「日の呼吸」に通じるため、「火の呼吸」と呼ぶことは固く禁じられている。基本五流派の中でも、日の呼吸との関連が一番深いようで、その資料が煉獄家に伝承されていた。
恋の呼吸(こいのこきゅう)
「炎の呼吸」の派生。修得者(創設者)は甘露寺蜜璃。基本型は6つ。日輪刀の色は赤紫色。音感と柔軟性を肝としており、その柔軟性と関節の可動域の広さ、そして独自の薄く柔い日輪刀を駆使した新体操を思わせる動きの高い攻撃速度を特徴としている。
風の呼吸(かぜのこきゅう)
基本の呼吸法の1つ。作中修得者は不死川実弥。基本型は9つ。日輪刀の色は緑色。苛烈な連撃と軽快な身のこなしを特徴とする攻めの呼吸法で、素早い振りを担う柔軟な体幹と連撃に耐える持久力も求められる。また、他の呼吸法で可視化される水や炎はあくまでエフェクトに過ぎないが、風の呼吸の場合は実際に刀の振りで鎌鼬状の突風を発生させている。
霞の呼吸(かすみのこきゅう)
「風の呼吸法」の派生。作中での修得者は時透無一郎。日輪刀の色は白色。基本型は6つ。7番目の型「朧」は、無一郎の独自技。筋肉の弛緩と緊張を常に意識した正確無比な足捌きを活かした敵を翻弄するほどの高速移動を特徴としている。
獣の呼吸(けだもののこきゅう)
修得者は嘴平伊之助。日輪刀の色は藍鼠色。基本型は10つ。伊之助自身が我流で修得した呼吸法で、単純な斬撃、突きが目立つが、身体能力の高さと全集中の呼吸による強化により非常に高い攻撃力を誇る。伊之助は攻撃技を「牙」、それ以外を「型」と呼称する。伊之助の我流だが「風の呼吸」に近いとのこと。
雷の呼吸(かみなりのこきゅう)
基本の呼吸法の1つ。作中での修得者は我妻善逸・獪岳・桑島慈悟郎。基本型は6つ。日輪刀の色は黄色。速度を重視した技の多い攻めの呼吸法で、足の筋肉繊維、血管の一本まで意識する事で稲妻の如き動きとなるという。移動時や技が当たると、落雷のような轟音が鳴り響く。また、基本の五大流派の呼吸法の中では唯一、現役の柱が存在しない。
音の呼吸(おとのこきゅう)
「雷の呼吸」の派生。修得者(創設者)は宇髄天元。基本型は6つ。体術と剣術を組み合わせた技が多く、走力や跳躍力といった基礎体力による高い運動能力が求められる。また、斬撃を打ち込むごとに、その僅かな摩擦で着火する火薬玉を併用するため、凄まじい轟音が響く。日輪刀の色は橙色。
岩の呼吸(いわのこきゅう)
基本の呼吸法の1つ。作中での修得者は悲鳴嶼行冥。基本型は6つ。日輪刀の色は灰色。高い筋力を活かした攻防一体型の呼吸法で、筋力の向上か、もしくは正しい呼吸と反復動作を合わせる事で爆発的な力を引き出す事が重要とされる。また、基本の五大流派の呼吸法の中では唯一、派生した呼吸法が存在しない。
日の呼吸(ひのこきゅう)
かつて継国縁壱のみが使えた呼吸で、他の誰も日の呼吸を習得できなかったため特性に応じてアレンジしながら伝えたのが他の呼吸法の始まりである。
炭治郎が持つ日輪が描かれた花札風の耳飾りが継承者の証であり、素質ある使い手には生まれつき額に赤い痣(あざ)があるとされ、縁壱と炭十郎の痣は先天的な物だが、炭治郎の痣は、後天的な火傷と傷痕で、痣としては偽物、あるいは上書きされており見えなくなっている状態である。しかし後に、堕姫・妓夫太郎戦で炎の様な赤い痣に変化し覚醒した。
ヒノカミ神楽(ひのかみかぐら)
竈門家に代々伝わる神事で、正月に先祖と炭竈の神に奉納する。七支刀を持ち、正月の日没から翌朝の夜明けまで神楽を舞い続ける過酷なもので、寿命を縮めかねない命懸けの神事である。
その正体は、かつて戦国時代において縁壱より日の呼吸の型を見せられた炭吉が、「後世に伝える」という縁壱と交わした約束の下、例外的に竈門家に伝えられ、ひっそりと脈々受け継がれた日の呼吸その物だった。呼吸法は「日の呼吸」に関連し拾弐ノ型まであるが、竈門家には型だけが受け継がれ、後に竈門家が代々行ってきた神楽の舞とは、いずれ訪れるであろう鬼舞辻無惨との決戦において「十三個目の型」へと繋げ、頸を斬り落としても殺せない無惨を日の出まで地上に拘束するための戦闘訓練だったことが判明する。炭治郎が全集中の呼吸で剣技に使うと水の呼吸を上回る威力を発揮するが、反動が強すぎて当初は肉体がついていけず、その都度行動不能に陥っていた。だが、遊郭での戦闘でヒノカミ神楽に水の呼吸を混ぜた、それぞれの長所を活かした複合型の呼吸法を独自に編み出し、これを克服した。
「ヒノカミ神楽」という名称は、炭吉が縁壱の剣の型を精霊の舞のように見えることで名付けられたと推測している。
鬼殺隊が解散したあとの現代にも受け継がれており、炭治郎の子孫であるカナタと炭彦どちらも舞えて、年に1度産屋敷家が管理する神社で舞っている。
月の呼吸(つきのこきゅう)
「日の呼吸」の直接的な派生技。修得者は継国巌勝(黒死牟)。呼吸法の中では最多の16の型を持つ。日輪刀の色は紫色。一振りで三日月型の変則的な軌跡の刃を放つため、回避は困難となっている。
ヒノカミ神楽(ひのかみかぐら)
その正体は、かつて戦国時代において縁壱より日の呼吸の型を見せられた炭吉が、「後世に伝える」という縁壱と交わした約束の下、例外的に竈門家に伝えられ、ひっそりと脈々受け継がれた日の呼吸その物だった。呼吸法は「日の呼吸」に関連し拾弐ノ型まであるが、竈門家には型だけが受け継がれ、後に竈門家が代々行ってきた神楽の舞とは、いずれ訪れるであろう鬼舞辻無惨との決戦において「十三個目の型」へと繋げ、頸を斬り落としても殺せない無惨を日の出まで地上に拘束するための戦闘訓練だったことが判明する。炭治郎が全集中の呼吸で剣技に使うと水の呼吸を上回る威力を発揮するが、反動が強すぎて当初は肉体がついていけず、その都度行動不能に陥っていた。だが、遊郭での戦闘でヒノカミ神楽に水の呼吸を混ぜた、それぞれの長所を活かした複合型の呼吸法を独自に編み出し、これを克服した。
「ヒノカミ神楽」という名称は、炭吉が縁壱の剣の型を精霊の舞のように見えることで名付けられたと推測している。
鬼殺隊が解散したあとの現代にも受け継がれており、炭治郎の子孫であるカナタと炭彦どちらも舞えて、年に1度産屋敷家が管理する神社で舞っている。
月の呼吸(つきのこきゅう)
水の呼吸(みずのこきゅう)
基本の五つの呼吸法の中でも特に基本に沿った技が多いため、派生した呼吸も多い。修得者も最多。
蛇の呼吸(へびのこきゅう)
「水の呼吸」の派生。修得者(創設者)は伊黒小芭内。日輪刀の色は青紫色。基本型は6つ。関節の柔らかさを活かした狭い隙間をすり抜けるほどの正確な太刀筋による変幻自在なうねる一撃を特徴としている。
花の呼吸(はなのこきゅう)
「水の呼吸」の派生。作中での修得者は栗花落カナヲ・胡蝶カナエ。基本型は6つ。日輪刀の色は桃色。高い身体能力が求められる上、連続技も多いため、呼吸法の鍛錬が重要となる。
蟲の呼吸(むしのこきゅう)
「花の呼吸」の派生。修得者(創設者)は胡蝶しのぶ。基本型は6つ。日輪刀の色は藤色。呼吸法の中では唯一、鬼の首を斬るための斬撃技が無く、鬼にとって有害な藤毒を刺突技を駆使して注入するという、例外的な攻撃法が特徴。技が全て刺突技であるため、素早い体捌きが求められる。また、技名は他の呼吸法の様に「型」では無く、「舞」と呼称される。
蛇の呼吸(へびのこきゅう)
花の呼吸(はなのこきゅう)
蟲の呼吸(むしのこきゅう)
炎の呼吸(ほのおのこきゅう)
恋の呼吸(こいのこきゅう)
風の呼吸(かぜのこきゅう)
霞の呼吸(かすみのこきゅう)
獣の呼吸(けだもののこきゅう)
雷の呼吸(かみなりのこきゅう)
音の呼吸(おとのこきゅう)
岩の呼吸(いわのこきゅう)
痣(あざ)
かつて戦国時代、無惨を後一歩のところまで追い詰めた剣士たちにはことごとく鬼の文様に似た「痣」が現れていたとされ。
炭治郎が上弦の陸・妓夫太郎と交戦したときに、初めて発現する。その際に原因は判明しなかったが、刀鍛冶の里での戦いで「痣の者(痣者)」となり、上弦の伍・玉壺を打ち倒した時透によって条件を満たすことで発現する後天的なものと判明する。痣の形は呼吸によって様々。
時透が明かした痣発現の必要条件は「39℃を超える体温」と「200を超える心拍数」。しかし、そのような状態に身体が耐えられないだけでなく、痣の発現とは「寿命の前借り」であるため、この状態で戦闘を行った者は例外なく短命となり、25歳を超えて生存した事例は稀有であり生まれながらに痣を持つ継国縁壱がそれに該当する。
柱(はしら)
柱未満の隊員は死亡率が非常に高く、逆説的に柱剣士は鬼と戦っても死なない実力者たちである。十二鬼月の下弦の鬼でも圧倒させるほど強い。それでも柱合会議のたびに顔ぶれが変わらないことは珍しいと言われるほどに任務は過酷であり、また上弦の鬼を倒した柱は100年以上いない。
柱剣士の日輪刀は、刃元に特別に「惡鬼滅殺」の四文字が刻まれる。柱になると、継子を選んで育てる権利、多額の給料や屋敷を得る権利、お館様への謁見並びに柱合会議に参加する権利(義務)が与えられる。柱への昇格条件は、9枠に空きがあり、階級が甲で「十二鬼月の討伐」か「鬼を50体討伐」を成し遂げ、加えて柱に相応しいと認められていること。性格的に個性が非常に強すぎる人物が多く、一般隊員や「隠」部隊からはひどく恐れられている。
継子(つぐこ)
鬼喰いの剣士(おにくいのけんし)
隠(カクシ)
事後処理や後方支援を専門としている。構成される隊員は全て剣技の素質に劣る者が任に就く。剣士同様に階級がある。
育手(そだて)
最終選別(さいしゅうせんべつ)
山中には人を2・3人程度しか喰っていない程度の「弱い鬼」しかいないとされているが、実際には手鬼という規格外強者が混ざっている。
藤の家(ふじのいえ)
採血器(さいけつき)
炭治郎が鬼を倒すごとに使用したことで鬼のデータが球世に送られ、最終的には鬼舞辻無惨を殲滅するに至る毒の生成に大いに役立った。
日輪刀(にちりんとう)
持ち主の呼吸の適正によって色が変わり、刀としての特性が変わるため「色変わりの刀」と呼ばれる。呼吸の才能がない者や一定の剣術を修得してない者が手にしても刀の色は変化しない。
炭治郎のような黒い日輪刀は呼吸法の適正が不明で詳細が分からないため、出世できない剣士だと言われているが、この黒刀こそが日の呼吸適性の証である。無惨に警戒されたことで念入りに狩られ、鬼殺隊内で日の呼吸が失伝しており、ゆえに黒刀適性の者がいても日の呼吸の剣技を学ぶことができないという状況にあった。
赫刀(かくとう・しゃくとう)
中でも縁壱の赫刀は別格で、無惨の再生能力を阻害するだけに留まらず、その後数百年にも渡って陽光の様に無惨の細胞を灼き続けた。
鬼関連
鬼(おに)
人間の体内に鬼舞辻󠄀無惨の血が入り込むと、人を喰う鬼に変貌する。飢餓状態に陥るとさらに凶暴化し、肉親さえ喰い殺す。通常は人間であったころの記憶は曖昧になり、本能が剥き出しになるとされるが、愈史郎や黒死牟に童磨、獪岳の様に人間のころの記憶が鮮明に残っている者も存在する。未知なる生命体とは違い、元は人間だったため人語を話し、飢餓状態でなければ普通に言葉も交わせる。驚異的な身体能力を持つだけでなく、生命力も異常なまでに強く、人間なら致命傷となるような傷はおろか、たとえ首や手足がもげてさえも忽ちのうちに再生、病気にもならず、更には老いて死ぬことすらない。致命的な弱点は日光と日輪刀。直射日光を浴びたり、日輪刀で頸を斬られると崩壊して塵となり、消滅する。その際、失われた記憶や理性を取り戻すことも多い。
共食いの性質があり、基本的に群れることはない(累などの例外はいる)。共食いは故意に与えられた習性で、集団で反乱を起こされる事態を防ぐための措置である。
藤の花を嫌う習性がある。かなり強い鬼でさえ、藤の花の結界からは出られない。鬼殺隊にはしのぶの様に、藤の花から抽出した毒を用いる剣士がいる。
基本的に人を多く食べた鬼ほど強くなり、「血鬼術」という異能を発揮できるようにもなる。また、肉体の形状を変貌させ、異形の外見となっていく。鬼それぞれの資質により伸びしろに差があり、上限に達すると人喰いを身体が受け付けづらくなる。
無惨は鬼たちに「呪い」をかけており、鬼が彼の名を口にすることで発動し、口封じを行う。
人を喰わない鬼は愈史郎のみ。珠世と禰󠄀豆子は強靭な意思により食人の本能を抑えてはいるが、やはり危険性は残っている。また、太陽を克服した鬼は禰󠄀豆子と炭治郎のみ。
鬼は人間だった頃、貧困や病気、愛する人を理不尽に殺害される等、筆舌にしがたい不幸により心に深い闇を抱えていた者が多く、鬼舞辻無惨はそうした者たちに近づいては救済と称して唆し、運命を呪う者たちは地獄から抜け出したい一心で鬼となる道を選んでいた。継国巌勝(後の黒死牟)のように裕福な武家に生まれ育ち、健全な精神も持ちながら、ただ只管に強さを求めるため鬼となった者は極少数派である。
本作における「鬼」は、いわゆる「鬼退治」「吸血鬼退治」ものの諸設定を踏襲し、「太陽の光が弱点」「鬼舞辻󠄀無惨からのみ血液感染する」という設定となっている。
十二鬼月(じゅうにきづき)
「上弦」6人と「下弦」6人で分かれ、それぞれ「壱から陸の6つの数字」で位付けされる。「上弦の壱」が最も強く、「下弦の陸」が最も弱い。下弦の鬼は左瞳のみに漢字2文字が刻まれ(例:下陸・下伍)、上弦の鬼は片方の瞳に「上弦」の文字、もう片方の瞳に「数字」が刻まれる。また十二鬼月間での入替戦とされる通称「血戦(けっせん)」という制度が設けられており、強さを証明することで階級が変動し、より上の位が手に入る。
上弦は無惨の血が色濃く体中に流れ、その血を飲ませる事で無惨同様の鬼生成能力を持ち、上弦の鬼たちが各々の裁量で鬼にしている。しかし無惨の血を色濃く持っているため、敗北の危険に瀕すると無惨が継国縁壱に追い詰められたころの記憶がフラッシュバックしてしまう。
作中時期の上弦・下弦の間で実力の差がかなり大きい。上弦6人は過去100年以上顔ぶれに変化は無く、末席の堕姫ですら柱を7人殺しており、数字が一つ上がると実力はさらにはね上がる。対して下弦は鬼殺隊に倒されたり、無惨に成長が見込めないと判断されて数字を剥奪されることもあるため入れ替わりが激しい。累が敗北したことから遂に「下弦」は存在自体を見限られ、無惨に粛清される。最後の下弦・魘夢も炭治郎たちの闘いに敗れ、「下弦」は壊滅した。
遊郭編で宇髄天元たちが上弦の陸を倒したが、上弦が倒されたのは113年ぶりのこと。
血鬼術(けっきじゅつ)
青い彼岸花(あおいひがんばな)
ファンブック第2弾によると、炭治郎は兄弟の中で唯一、母・葵枝の知る場所で青い彼岸花を見せて貰った事があったとの事で、累戦で見た走馬灯の中で少し思い出していたという。また、その場所は縁壱の妻・うたの埋葬された場所だったとの事。生態に関しては、気候等の条件次第では一年に一度も咲かない場合すらあり、花が咲いたとしても、その咲く瞬間は鬼達の活動できない昼間である事に加え、ほんの数分から数十分で閉じてしまい、閉じると大きめの土筆にしか見えないとの事で、無惨らが1000年以上掛けても発見できなかった理由付けが成されている。更に、伊之助の子孫である青葉が枯らしてしまい、種も育たなかった上、山に残っていた物も傍の物が採取された影響からか、此方も枯れてしまい、絶滅したとされている。
稀血(まれち)
現時点では清と不死川実弥が確認されている。両名ともに兄弟がいるが、彼らのみが稀血とされ、血筋ではなく当人だけの突然変異的な体質によるものである。その血が与える影響は個々によっては異なり、中には実弥のように鬼を泥酔させるほどの稀血を持つ者もいる。
鬼の王(おにのおう)
鬼の弱点であるはずの日光をも僅かな時間に克服しかつて無惨が目指した「完璧な生命体」となって、無惨らとの戦闘でほぼ全ての戦力を消耗した鬼殺隊に襲いかかるが、僅かに残った炭治郎の自我やカナヲの打ち込んだ鬼を人間に戻す薬、多くの仲間達の声により炭治郎が正気に戻ったことで消滅した。
スピンオフ
鬼滅の刃 しあわせの花
鬼滅の刃 片羽の蝶
鬼滅の刃 風の道しるべ
きめつのあいま!
冨岡義勇外伝
煉󠄁獄杏寿郎 外伝
キメツ学園!
反響・評価
ジャーナリストの数土直志は、作品の人気が沸騰した理由として以下の4点をあげた。1点目はアニメ化で、緻密な作画や残酷描写など、万人受けする作風ではなかった原作に対し、シンプルな作画で躍動感を出したアニメが、作品へのハードルを下げてヒットに貢献したこと。2点目は読者層の厚さで、電子コミックの決済手段を持たない小学生がコミックスを買い集める一方、キャラクターの魅力がヤングアダルト層(13〜19歳)の男女を惹きつけたこと。3点目は物語の魅力である。鬼と鬼殺隊の対立関係という単純明快な構図に加え、複数の隊に分かれた鬼殺隊は、柱と隊員の間で友情やライバル、先輩後輩などの関係により色々な設定を作ることが可能で、これは『聖闘士星矢』や宝塚歌劇団にも共通するシステムであると述べている。4点目はコミックスの品切れで、2019年秋以降、急速に売り上げが伸びたためにコミックスの供給が追い付かない、という事態がインターネット上で話題となり、それまで関心を持たなかった層の興味を引いたことである。
創価大講師の森下達は「和風」の要素に着目し、作品の掲載紙である週刊少年ジャンプでは、『るろうに剣心』『銀魂』などの人気作に先例があったことを指摘した。さらに時代設定を大正としたことにより、大正デモクラシーやモダニズムといったハイカラな雰囲気の魅力と、戦争や動乱といった史実に振り回されることのない時代が、ファンタジーものの舞台に向いていたとしている。その上で、鬼殺隊も鬼もそれぞれに事情を抱えていること、しかし人を食うことを選んだ鬼に対しては、理解を示しつつも悪と断じる健全性があり、主人公の姿勢がぶれないことに安心感があると分析した。また、女性人気という視点においてはゲーム『刀剣乱舞』に通じる洋服と刀の組み合わせというファッションの魅力、主人公の炭治郎とヒロイン禰豆子が恋人ではなく兄妹であるため、二人ながら安心して応援できる存在である点をあげている。
ホットリンクのTwitter上のデータ調査ではアニメ1期終了後から少年ジャンプ+の定期購読促進のための舞台版のチケット情報、スピンオフ、画集、プレゼント企画など関連コンテンツ展開によりライト層、コア層ともに心をつかんだと分析した。
2017年3月、本作の主人公「竈門炭治郎」を名乗る人物から、養護施設への寄付として愛知県豊田市役所に菓子や緑茶飲料が届けられた。
芸能人や著名人の間では鬼滅の刃のキャラクターのコスプレがインスタグラムなどのSNSにアップされ、話題を集めている。
国会においても、2020年11月2日の衆議院予算委員会で、江田憲司の質問に対して総理大臣・菅義偉は「『全集中の呼吸』で答弁させていただきます」と発言した。また、11月4日の同委員会でも辻元清美が無惨のセリフを引用して政権の姿勢を批判した。
2020年11月、香港の警察が炭治郎の格好をした警察のマスコットキャラクターをフェイスブック上に登場させたことに対して、主に香港市民から「警察が著作権を侵害している」として批判を浴びた。
週刊少年ジャンプで掲載されていたことなどから読者の裾野が広いこともあり、本作やそのファンに否定的な者も一部では存在する。例えば、作者の吾峠が女性であると報じられると波紋を呼び、「幻滅」「ガッカリした」といった声が挙がった。こうした「軽口」は「女性蔑視」や「ミソジニー」がSNSによって表出されたものではないかと指摘されており、特に一昔前は、作者が女性というだけで拒絶する者も存在したため、ペンネームを男性名にする女性漫画家も多かったという。また、本作の鑑賞を押し付けるような行為や批判しづらい空気が存在すると主張する者もおり、「『鬼滅の刃』ハラスメント」を略して「キメハラ」という言葉が存在するという。
有識者の評価
鈴木おさむは、過去のジャンプ作品と比べてテンポが速く、鬼が各々の事情でそうなってしまった経緯を読むことで悪役に対してとてつもない情が湧くとした。
日経エンタテインメント!は、シリアスさもあるがコミカルさも持ち合わせ、吾峠の独特の言葉選び、台詞回しが絶妙なバランスで成立して圧倒的な読後感と早く続きを知りたい渇望感を生み出しているとみる。
島田一志は、友情努力勝利を活かしながらも、雑誌の売り上げのために毎回できる限り盛り上げ、強烈な引きで以下次号とする後先考えない展開ではなく、単行本で読んだときに大きな感動や驚きを与えるように伏線を張る、ゆとりあるネーム作りがジャンプの方向性になっている可能性を指摘した。
小新井涼は、友情努力勝利に代わって人情堅実救済があり、縁で繋がる人情、特訓は超人的ではなく長男だからという理由で頑張る堅実さ、鬼を倒すことが苦しむ鬼の救済だとして、少年漫画というより朝ドラのような面があり、アニメファンだけでなく老若男女に受け入れられやすい要素があるとする。
伊藤剛は、最近のバトル漫画は戦闘ルールや知略が複雑する中で、本作はシンプルで子供にもわかりやすいが、ジャンプらしからぬ作品でもある。キャラクターデザインや色彩は敵味方双方に気味悪さがあって、かつてなら俗悪だと批判されたがそうではない。独特な絵柄や異質な内容という点では『進撃の巨人』と似ているが、閉塞感など説明しやすいものがある『進撃』に対し、本作はうまく説明がつかない。炭治郎の鬼への無私の優しさは、社会の摩擦を表したのような今までの批評には収まらず、イデオロギーを超えたものを感じていると述べた。また、『鬼滅』には残酷な描写も多いが、批判が大きくないのは炭治郎たちのいい子さが全体に明るさを添えているためであり、激闘の末に倒した鬼の手を握り締めたり、鬼の武器であった手鞠を亡骸に添えるシーンなど、人と鬼の分け隔てなく優しく接しているからだ、としている。
品田英雄は、悪側の事情に寄り添う作品の特徴はかつてのベトナム戦争への反戦活動により国家への信用低下、それによるアメリカン・ニューシネマのはみ出し者の主人公の生き方が共感を得たり、中国の文化大革命が若者中心で起こり、権威や体制に刃向うことが正義とされた現象と同じで、テレビドラマ『子連れ狼』の一族を殺された拝一刀が唯一生き残った息子、大五郎を連れて剣客として活躍、悪でもみるところがあって否定せず受け入れる物語と通じ、時代が一周して本作が登場、現代は閉塞感やストレスを感じやすい反動で否定しないものを強く求めるのは心理的に必然だとみている。
2016年10月から2019年3月まで本作の編集を担当し、アニメ化企画の立ち上げにも携わった週刊少年ジャンプ編集部の高野健は、露出がなくほとんど人物を知られていない作者の吾峠について「読者を大切にしており、アンケートを丁寧に分析していたこと、また嘘がつけず正直な性格であり、それが作品のハードな展開に表れている。恐ろしく強い鬼に人間が勝ち続けることはできず、吾峠はそうした世界観に実直であり、命のやりとりをリアルに描こうとしている」と語った。また、「絵、デザインと同様にセリフも漫画の要素の一つだが、吾峠の書くセリフは心に残る。リズムが良く、繰り返しや倒置法などの使い方に大きな魅力があり、こうしたセンスは真似ようと思ってもできるものではない」という。高野はジャンプの人気作である『ONE PIECE』の担当でもあり、落語に由来する言い回しを得意とする尾田と比較したうえで、両者には共通する「言葉の力」があるとした。
別の担当編集浅井友輔も、リアルな駆け引きの懸命さを見て元気をもらったり応援したり、涙をこぼしたり色んな感情が起こって引き込まれるのが大きな魅力だとする。
ジャンプ編集長の中野博之は、ここ10年における本作のヒットは特殊で、急に面白くなったのではなく、アニメを通してやっとその面白さが伝わったと言い、主人公の存在が大きい今のジャンプでは、敵を丁寧に描写する『鬼滅』の作風は少し外れていて、初期には「もっと主人公の描写が見たい」との声もあったはずだが、むしろそこがストロングポイントとして刺さった、と感じていると述べた。
アニメ版プロデューサーの高橋祐馬は、友情努力勝利のジャンプ王道作品で、単なる勧善懲悪ではなく、登場人物の敵味方に哀しい過去があって人物造形が深いと分析した。
富野由悠季は明確なコンセプトとキャラクターラインがあると評価している。また吾峠のセンスを文学者に近いと分析している。
受賞
ウェブ上で流行した言葉を決めるドワンゴ・ピクシブによる2019年度の「ネット流行語100」では、本作に関する言葉が多くノミネートした。pixivに投稿された作品に付けられたタグのうち、2018年と比較して最も多かった単語を選出するpixiv賞に「鬼滅の刃」が選出され、トップ20単語賞にも「我妻善逸」(2位)、「鬼滅の刃」(4位)、「竈門炭治郎」(8位)、「柱(鬼滅の刃)」(9位)、「十二鬼月」(13位)、「胡蝶しのぶ」(17位)がランクインした。2020年度もノミネート100単語中19単語が本作関連の言葉という多さで、「鬼舞辻󠄀無惨」が年間大賞を受賞した。ほか、トップ20単語賞に「煉󠄁獄杏寿郎」(3位)、「鬼の王」(4位)、「竈門禰󠄀豆子」(9位)、「継国縁壱」(11位)、「上弦の鬼」(14位)がランクインした。
2020年11月に野間出版文化賞を受賞。同年12月1日発表の2020ユーキャン新語・流行語大賞で「鬼滅の刃」がトップ10に選出された。同日発表のガジェット通信によるネット流行語大賞2020では「鬼滅の刃」が金賞に輝き、アニメ流行語大賞2020では金賞「◯◯の呼吸」、銀賞「全集中」、銅賞「煉獄さん200億の男」と上位3ワード全て本作関連のワードが席捲する事態となった。同年12月9日に発表されたYahoo!JAPAN「Yahoo!検索大賞2020」ではアニメ部門に「鬼滅の刃」、映画部門に「劇場版「鬼滅の刃」無限列車篇」、声優部門に主人公・竈門炭治郎役の「花江夏樹」が選出された。「鬼滅の刃」は2019年に続き2年連続の授賞となり、検索数も前年以上となった。
2021年3月には、芸術選奨文部科学大臣新人賞(2020年度、メディア芸術部門)を受賞、同年4月に25回手塚治虫文化賞の特別賞を受賞し、7月には第50回日本漫画家協会賞コミック部門で大賞を受賞した。
那田蜘蛛山編に登場し、下弦の伍・累に刻まれた剣士について、原作では4ページ、テレビアニメでは約40秒という短い登場でありながら、SNS上では「サイコロステーキ先輩」という呼称で話題となり、2020年10月17日・2021年9月19日にフジテレビ系にて那田蜘蛛山編の特別編集版が放送された際にはTwitterのトレンド上位となっていた。また人気キャラクター投票では第1回投票では10票で46位だったが、第2回投票では223票を集め35位に入った。また前述の「ネット流行語100 2020」では「サイコロステーキ先輩」が13位にランクインした。
売上
単行本
漫画の単行本はアニメ放送前の2019年3月の第14巻の時点で累計発行部数は450万部を突破していたが、アニメ放送終了直後の同年9月29日の第16巻の時点で1200万部を超え、アニメ放送期間中に累計発行部数を750万部伸ばした。
放送終了から約1か月後の10月23日時点で累計発行部数は1600万部を突破し、約1か月で累計発行部数を400万部伸ばした。さらに約1か月後の11月27日には累計発行部数が2500万部を突破し、第18巻はシリーズ初の初版100万部を記録した。12月23日時点で既刊18巻すべての売上が100万部を突破しており、テレビアニメの相乗効果により短期間で売上を伸ばした。 『オリコン年間コミックランキング 2019』では期間内の売上部数1205.8万部を記録し、シリーズ初TOP10入りにして初の1位を獲得した。2020年2月10日付の週間オリコンランキングでは1位から10位を本作が独占する史上初の記録を達成している。
2020年5月に発売された第20巻は初版280万部が発行され、その時点で累計発行部数は6000万部を超えた。また、『オリコン年間コミックランキング 2019』では期間内の売上が1205.8万部を記録し第1位となり、『2019年集英社本ランキング』では期間内の売上が1270万部を記録した『ONE PIECE』が第1位に、1080万部を記録した本作が第2位となった。続く第21巻では初版300万部を発行し、累計発行部数は8000万部を超えた。第22巻では初版で370万部を刷り上げ、これにより累計発行部数は1億部の大台を突破することとなった。最終巻である第23巻の初版発行部数は395万部になることが決定し、シリーズ累計発行部数は1億2000万部(電子版含む)を突破した。さらに、2021年2月にはシリーズ累計発行発行部数が1億5000万部(電子版含む)を超え、最終巻発売から約2カ月で3000万部増を達成している。
小説
小説版『しあわせの花』『片羽の蝶』は2020年2月19日の重版を以て累計発行部数は116万部を記録し、レーベル史上最速の100万部突破となった。人気の理由は本編で描かれていない話が吾峠によるイラスト付きで読めるからだという。2020年7月時点で小説版シリーズの累計発行部数は280万部を突破している。また、2023年7月時点で『鬼滅の刃 ノベライズ』(集英社みらい文庫)のシリーズ累計発行部数は136万部を突破している。
その他
『鬼滅の刃 塗絵帳』シリーズの累計発行部数は2021年10月時点で143万部を突破している。
読者層
ファンには小中学生の男女も多いが、ブームを牽引したのは10代から40代の女性であり、TSUTAYAではアニメ放送前は男性の購入者が多かったが放送中から女性が急増、理由として日経MJの調査では過去のジャンプ作品と違い男女ともに強く戦いの場に出ることや、そこで一見弱く思えるような人に助けてもらえるシーンの熱さが社会人に身につまされたり、鬼舞辻󠄀無惨が十二鬼月の下弦を粛清するシーンが「パワハラ会議」の通称で話題になったが反面教師として学びがあったなど、王道もありながら現代のビジネスパーソンたる女性の心をとらえた。
批評家の石岡良治は、近年人気の『進撃の巨人』『東京喰種トーキョーグール』『亜人』のような人間を喰らう敵との戦いだが、やや残虐さもあるものの、敵側の事情を描くことにより女性や子供が苦手なグロテスクさは抑えられている。必殺技の描写はジャンプの王道であるバトル作品に通じ、外連味溢れる大ゴマが魅力の1つとなっている。洋と和の雰囲気を合わせて近代の闇を描いたことや、泉鏡花の作品を思わせる幻想的な近代日本の舞台設定での、華麗なビジュアルによる展開で人気が出た、とみており、昔のジャンプ作品のように展開が早く、キャラがよく死んでいくのも若年層に新鮮に映った可能性をあげた。
アニメコラムニストの小新井涼は、魅力的なキャラやアニメの豪華声優陣といった要素もあるが、それが刺さらない層にも家族愛、泥臭い修行や成長、迫力の剣劇や無慈悲な命のやり取りといった万人受けする魅力がある。そのため年齢性別、漫画やアニメへの興味など関係なしに勧めることができ、勧められた側も手を出しやすい。こうして興味を持ってくれそうな普遍的な要素をとっかかりとして"布教"され、人気が広まったと考えている。
観光
竈門神社
正確な関係性は吾峠や集英社側から明かされおらず、また作中にも描かれてはいないが、主人公の竈門炭治郎の姓と同じなどの共通点から次の三つの「竈門神社」を中心に全国の「竈門神社(竈神社)」が鬼滅の刃の聖地と話題を集め、参拝者が急増している。
- 宝満宮竈門神社(福岡県太宰府市)
- 八幡竈門神社(大分県別府市)
- 溝口竈門神社(福岡県筑後市)
- 全国の竈門神社(竈神社)
観光スポット
全国で、登場人物の名前や見た目、動物や世界観等が関連付けられている場所が話題となっている。
- 鬼舞辻󠄀無惨の本拠地「無限城」に似たロビーがある芦ノ牧温泉・大川荘
- 炭治郎が狭霧山の修行で斬った大岩と似た岩
- 劇場版に登場する車両と同じ形式や「無限」の装飾をした蒸気機関車
- 人物名や世界観を想起する場所
この他、宮城県塩竈市の公式サイト内で「竈」の書き順を解説している「『竈』の字について」のページへのアクセス数が、主人公・竈門炭治郎にも使われている難字であることから劇場版公開時より急増している。同市の市民安全課では「塩竈市の竈の字の書き方」という印刷物も配布しており、こちらも俄かに注目を集めた。
コラボレーション
JR九州では、劇場版『無限列車編』の公開に合わせ、特急「かもめ」・「ソニック」にて同作品のラッピング列車の運行を実施。また、「SL人吉」の蒸気機関車・客車を使用した特別仕様の臨時列車「SL鬼滅の刃」を熊本 - 博多間で運行された。
同じく劇場版公開に合わせ、JR東日本と荻野屋とのコラボとして「鬼滅の刃×SLぐんま〜無限列車大作戦〜」が企画され、無限列車特別仕様の「SLぐんま よこかわ」の運行や「無限列車駅弁〜峠の釜めし 〜」の発売などが行われた。
京都鉄道博物館、東映太秦映画村、嵐電とのコラボでは、「鬼滅の刃 京ノ御仕事」としてコラボ食品が発売された他、「無限」と記したプレートを装着した蒸気機関車が京都鉄道博物館で運行された。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは期間限定で「鬼滅の刃 XRライド」や「鬼滅の刃×ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」が運行された。
全日本空輸とのコラボでは、ボーイング767-300ERやボーイング777-200ERの機体に炭治郎らキャラクターがデザインされた「鬼滅の刃じぇっと」が就航し、成田空港発着の遊覧飛行も行われた。
ベネッセコーポレーション「進研ゼミ小学講座」とのコラボでは、特製の漢字計算ドリルが全国の小学生を対象に無償提供された。
その他、トミカやプラレールなどの玩具、ダイドーブレンド「鬼滅缶」や「鬼シゲキックス」やビックリマン「鬼滅の刃マンチョコ」などの飲料・菓子、ユニクロ「UT」やGUなどの衣類といった、様々な企業とのコラボが展開されている。
展覧会
TVアニメ鬼滅の刃「全集中展」
各地でTVアニメ「鬼滅の刃」"竈門炭治郎 立志編"と劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の展覧会。
- 大阪(2020年7月22日-8月3日):大丸ミュージアム<梅田>
- 石川(2020年8月5日-8月17日):香林坊大和
- 愛知(2020年8月19日-8月31日):松坂屋名古屋店
- 宮城(2020年9月11日-9月27日):仙台駅前イービーンズ
- 岡山(2020年9月30日-10月12日):岡山天満屋(中止)
- 北海道(2020年10月17日-11月8日):サッポロファクトリー3条館
- 宮崎(2020年11月16日-11月29日):宮交シティ
- 福岡(2020年12月2日-12月14日):博多阪急
- 兵庫(2020年12月17日-12月26日):神戸阪急
- 静岡(2020年12月29日-2021年1月11日):遠鉄百貨店
- 沖縄(2021年1月16日-2月2日):PARCO CITY
- 香川(2021年2月9日-2月21日):瓦町FLAG
- 新潟(2021年2月27日-3月17日):新潟市マンガ・アニメ情報館
- 東京(2021年3月23日-4月5日):松屋銀座
「TVアニメ『鬼滅の刃』×『京都南座 歌舞伎ノ舘』」
2020年11月6日-11月23日、京都・南座でキャラクター13人が歌舞伎の登場人物の衣装をまとったパネルを設置。
『鬼滅の刃』吾峠呼世晴原画展
全国を巡回する原画展。
- 東京(2021年10月26日-12月12日):森アーツセンターギャラリー
- 大阪(2022年7月14日-9月4日):グランフロント大阪
- 福岡(2022年12月16日-2023年2月19日):福岡市博物館
- 名古屋(2023年3月25日-5月28日):金山南ビル
- 仙台(2023年7月1日-8月27日):TFUギャラリー ミニモリ
- 岡山(2023年12月15日-2024年2月18日):岡山県立美術館
TVアニメ鬼滅の刃「全集中展」無限列車編・遊郭編
アニメ「無限列車編」、「遊郭編」の展覧会。
- 東京(2022年4月20日-5月9日):松屋銀座
- 福岡(2022年6月16日-7月4日):博多阪急
- 北海道(2022年7月15日-8月7日):サッポロファクトリー3条館
- 石川(2022年8月18日-9月5日):香林坊大和
- 大阪(2022年9月28日-10月17日):大丸ミュージアム<梅田>
- 宮城(2022年10月22日-11月13日):仙台フォーラス
- 広島(2022年11月19日-12月6日):福屋広島駅前店
- 愛知(2022年12月14日-12月30日):松坂屋名古屋店
- 大分(2023年1月7日-1月22日):ビーコンプラザ
- 香川(2023年2月11日-3月5日):瓦町FLAG
- 兵庫(2023年3月15日-4月3日):神戸阪急
書誌情報
漫画
本編
コミックスには本編に加えて、おまけラフ「大正コソコソ」、ジャンプGIGA掲載の出張4コマ漫画、巻末のおまけ「中高一貫!!キメツ学園物語」などが収録されている。
副題 | 発行日(発売日) | ISBN | |
---|---|---|---|
1. | 2016年6月8日(6月3日) | 978-4-08-880723-2 | |
2. | お | 2016年8月9日(8月4日) | 978-4-08-880755-3 |
3. | 2016年10月9日(10月4日) | 978-4-08-880795-9 | |
4. | 2016年12月7日(12月2日) | 978-4-08-880826-0 | |
5. | 2017年3月8日(3月3日) | 978-4-08-881026-3 | |
6. | 2017年5月7日(5月2日) | 978-4-08-881076-8 | |
7. | 2017年8月9日(8月4日) | 978-4-08-881193-2 | |
8. | 2017年10月9日(10月4日) | 978-4-08-881212-0 | |
9. | 2017年12月9日(12月4日) | 978-4-08-881283-0 | |
10. | 2018年3月7日(3月2日) | 978-4-08-881355-4 | |
11. | 2018年6月9日(6月4日) | 978-4-08-881399-8 | |
12. | 2018年8月8日(8月3日) | 978-4-08-881540-4 | |
13. | 2018年11月7日(11月2日) | 978-4-08-881626-5 | |
14. | 2019年1月9日(1月4日) | 978-4-08-881695-1 | |
15. | 2019年4月9日(4月4日) | 978-4-08-881799-6 | |
16. | 2019年7月9日(7月4日) | 978-4-08-881867-2 | |
17. | 2019年10月9日(10月4日) | 978-4-08-882080-4 | |
18. | 2019年12月9日(12月4日) | 978-4-08-882141-2 | |
19. | 2020年2月9日(2月4日) | 978-4-08-882204-4 | |
20. | 2020年5月18日(5月13日) | 978-4-08-882282-2 978-4-08-882306-5(特装版) |
|
21. | 2020年7月8日(7月3日) | 978-4-08-882349-2 978-4-08-882363-8(特装版) |
|
22. | 2020年10月7日(10月2日) | 978-4-08-882424-6 978-4-08-908381-9(特装版) |
|
23. | 2020年12月9日(12月4日) | 978-4-08-882495-6 978-4-08-908379-6(特装版) |
外伝
外伝2編に加えて、「きめつのあいま!」も収録されている。
- 平野稜二(漫画)・吾峠呼世晴(原作)『鬼滅の刃 外伝』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2020年12月4日発売、ISBN 978-4-08-882521-2
スピンオフ
- 帆上夏希『キメツ学園!』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、既刊5巻(2023年12月4日現在)
- 「キメツ学園は遅刻厳禁」 2022年1月4日発売、ISBN 978-4-08-882888-6
- 「キメツ学園ナイトツアー」 2022年7月4日発売、ISBN 978-4-08-883188-6
- 「蝶飾りのゆくえ」 2022年12月2日発売、ISBN 978-4-08-883390-3
- 「こんがり鮭マヨチーズパン」 2023年7月4日発売、ISBN 978-4-08-883609-6
- 「炎上注意!? 道場を救え!」 2023年12月4日発売、ISBN 978-4-08-883835-9
小説
- 吾峠呼世晴(原作)・矢島綾(小説)『鬼滅の刃』(スピンオフ短編集)、集英社〈JUMP j BOOKS〉
- 『鬼滅の刃 しあわせの花』 2019年2月4日発売、ISBN 978-4-08-703473-8
- 『鬼滅の刃 片羽の蝶』 2019年10月4日発売、ISBN 978-4-08-703485-1
- 『鬼滅の刃 風の道しるべ』 2020年7月3日発売、ISBN 978-4-08-703498-1
- 吾峠呼世晴(原作・絵)・松田朱夏(小説)『鬼滅の刃 ノベライズ』、集英社〈集英社みらい文庫〉
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜炭治郎と禰󠄀豆子、運命のはじまり編〜』 2020年6月26日発売、ISBN 978-4-08-321585-8
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜きょうだいの絆と鬼殺隊編〜』 2020年7月17日発売、ISBN 978-4-08-321595-7
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜遊郭潜入大作戦編〜』 2021年7月16日発売、ISBN 978-4-08-321663-3
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜おそわれた刀鍛冶の里編〜』 2021年11月26日発売、ISBN 978-4-08-321689-3
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜無限城突入! しのぶの想い編〜』 2022年3月18日発売、ISBN 978-4-08-321713-5
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜猗窩座との戦いと伊之助の過去編〜』 2022年7月15日発売、ISBN 978-4-08-321735-7
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜カナヲと無一郎! 命をかけた闘い編〜』 2022年11月25日発売、ISBN 978-4-08-321753-1
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜最終決戦と禰豆子の目覚め編〜』 2023年3月17日発売、ISBN 978-4-08-321774-6
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜死闘決着!炭治郎と鬼殺隊の未来編〜』2023年7月14日発売、ISBN 978-4-08-321796-8
- 『鬼滅の刃 しあわせの花』 2019年2月4日発売、ISBN 978-4-08-703473-8
- 『鬼滅の刃 片羽の蝶』 2019年10月4日発売、ISBN 978-4-08-703485-1
- 『鬼滅の刃 風の道しるべ』 2020年7月3日発売、ISBN 978-4-08-703498-1
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜炭治郎と禰󠄀豆子、運命のはじまり編〜』 2020年6月26日発売、ISBN 978-4-08-321585-8
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜きょうだいの絆と鬼殺隊編〜』 2020年7月17日発売、ISBN 978-4-08-321595-7
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜遊郭潜入大作戦編〜』 2021年7月16日発売、ISBN 978-4-08-321663-3
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜おそわれた刀鍛冶の里編〜』 2021年11月26日発売、ISBN 978-4-08-321689-3
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜無限城突入! しのぶの想い編〜』 2022年3月18日発売、ISBN 978-4-08-321713-5
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜猗窩座との戦いと伊之助の過去編〜』 2022年7月15日発売、ISBN 978-4-08-321735-7
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜カナヲと無一郎! 命をかけた闘い編〜』 2022年11月25日発売、ISBN 978-4-08-321753-1
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜最終決戦と禰豆子の目覚め編〜』 2023年3月17日発売、ISBN 978-4-08-321774-6
- 『鬼滅の刃 ノベライズ 〜死闘決着!炭治郎と鬼殺隊の未来編〜』2023年7月14日発売、ISBN 978-4-08-321796-8
公式ファンブック
- 吾峠呼世晴『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』 2019年7月4日発売、ISBN 978-4-08-882043-9
- 吾峠呼世晴『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』 2021年2月4日発売、ISBN 978-4-08-882567-0
公式画集
- 吾峠呼世晴『『鬼滅の刃』吾峠呼世晴画集 -幾星霜-』2021年2月4日発売、ISBN 978-4-08-792587-6
塗絵帳
- 吾峠呼世晴『鬼滅の刃 塗絵帳 -蒼-』 2021年3月4日発売、ISBN 978-4-08-790025-5
- 吾峠呼世晴『鬼滅の刃 塗絵帳 -紅-』 2021年3月4日発売、ISBN 978-4-08-790026-2
- 吾峠呼世晴『鬼滅の刃 塗絵帳 -橙-』 2021年3月4日発売、ISBN 978-4-08-790049-1
- 吾峠呼世晴『鬼滅の刃 塗絵帳 -藍-』 2021年3月4日発売、ISBN 978-4-08-790050-7
アニメ
アニメーション制作はufotable。
原作コミックス第1巻から第7巻の冒頭までの物語を映像化した第1期『竈門炭治郎 立志編』が、2019年4月から9月まで放送された。
テレビアニメ第1期『竈門炭治郎 立志編』の続編として原作コミックス第7巻および第8巻までの物語を映像化した劇場アニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が2020年10月16日に劇場公開された。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で語られることがなかった「煉獄杏寿郎が無限列車へ乗り込むまでの道程」や未公開シーン、新規の次回予告が追加された『テレビアニメーション「鬼滅の刃」無限列車編』が2021年10月10日より全7話で放送された。
劇場アニメの続編として、第2期『遊郭編』が2021年12月5日より2022年2月13日まで、フジテレビ系列・TOKYO MXほかにて放送された。
第3期『刀鍛冶の里編』は2023年4月9日より6月18日まで、フジテレビ系列にて放送された。
更に続編となる『柱稽古編』の放送が決定している。
舞台版
舞台『鬼滅の刃』シリーズ | |
---|---|
イベントの種類 | 舞台芸術、演劇(2.5次元ミュージカル) |
通称・略称 | キメステ |
初回開催 | 2020年(初演) |
主催 | 舞台「鬼滅の刃」製作委員会 |
共催 | 集英社(監修) |
協賛 | ローソンチケット |
企画制作 | ネルケプランニング |
協力 | 一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会 |
運営 | 舞台「鬼滅の刃」製作委員会 |
公式サイト |
2019年9月30日に舞台化を発表、2023年までに4作品が上演された。脚本・演出は末満健一、音楽は和田俊輔。初日や楽日を中心に全国の映画館でライブビューイング、DMM.comでライブ配信も実施される。
公演概要
舞台『鬼滅の刃』
2020年1月18日 - 26日、天王洲 銀河劇場 / 1月31日 - 2月2日、AiiA 2.5 Theater Kobe
2020年1月18日 - 26日、天王洲 銀河劇場 / 1月31日 - 2月2日、AiiA 2.5 Theater Kobe
舞台『鬼滅の刃』其ノ弐 絆
2021年8月7日 - 15日、天王洲 銀河劇場 / 8月20日 - 22日、梅田芸術劇場 メインホール / 8月27日 - 31日、TACHIKAWA STAGE GARDEN
2021年8月7日 - 15日、天王洲 銀河劇場 / 8月20日 - 22日、梅田芸術劇場 メインホール / 8月27日 - 31日、TACHIKAWA STAGE GARDEN
舞台『鬼滅の刃』其ノ参 無限夢列車
2022年9月10日 - 11日、TOKYO DOME CITY HALL / 9月16日 - 25日、京都劇場 / 10月15日 - 23日、TOKYO DOME CITY HALL
2022年9月10日 - 11日、TOKYO DOME CITY HALL / 9月16日 - 25日、京都劇場 / 10月15日 - 23日、TOKYO DOME CITY HALL
舞台『鬼滅の刃』其ノ肆 遊郭潜入
2023年11月14日 - 19日、メルパルクホール / 12月1日 - 10日、TOKYO DOME CITY HALL
11月12日に開幕予定だったが、舞台稽古に想定以上の時間を要したことで進行に遅れが生じ、中止となった。また、竈門炭治郎役の阪本奨悟が稽古中に負傷したため、一部シーンにてアンダースタディの伊東征哉が代役として出演し阪本は舞台袖から発声する一部演出の変更が生じた。
2023年11月14日 - 19日、メルパルクホール / 12月1日 - 10日、TOKYO DOME CITY HALL
11月12日に開幕予定だったが、舞台稽古に想定以上の時間を要したことで進行に遅れが生じ、中止となった。また、竈門炭治郎役の阪本奨悟が稽古中に負傷したため、一部シーンにてアンダースタディの伊東征哉が代役として出演し阪本は舞台袖から発声する一部演出の変更が生じた。
映像作品
タイトル | 発売日 | 規格品番 | |
---|---|---|---|
BD | DVD | ||
舞台『鬼滅の刃』 | 2020年7月22日 | ANZX-10175 - 10176 | ANZB-10175 - 10176 |
舞台『鬼滅の刃』其ノ弐 絆 | 2022年3月23日 | ANZX-10218 - 10219 | ANZB-10218 - 10219 |
舞台『鬼滅の刃』其ノ参 無限夢列車 | 2023年3月8日 | ANZX-10248 - 10249 | ANZB-10248 - 10249 |
ゲーム
コンピュータゲーム
鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚
鬼滅の刃 目指せ!最強隊士!
鬼滅の刃 血風剣戟ロワイアル
リアル謎解きゲーム
鬼滅の刃×リアル謎解きゲーム 玩具店に潜む鬼を討て!
持ち帰り謎として、謎解きクリアファイル『我妻善逸編 「恐怖!女学校の怪異を探れ!」』『嘴平伊之助編 「猪突猛進!森の王、帰る」』が同年2月に、謎解き柱として『冨岡義勇編 「人喰い鮭鬼を討て!」』『胡蝶しのぶ編 「鬼滅の隊士を救出せよ!」』が同年3月に発売されている。
鬼滅の刃×サンシャインシティ 〜全集中!太陽の都市伝説〜
また、10月30日から12月10日まで、「オンライン太陽の都市伝説〜幻影の秘宝を探せ!〜」を実施。サンシャイン60展望台での展示をオンライン上で閲覧できるほか、オンライン展示会のみでの謎解きが楽しめる。
リアル脱出ゲーム×鬼滅の刃 鬼棲まう那田蜘蛛山からの脱出
リアル脱出ゲーム×鬼滅の刃 無限列車さまよう悪夢からの脱出
能狂言
能 狂言 『鬼滅の刃』(のう きょうげん きめつのやいば)として、2022年に初演、2023年に追加公演を開催。演出・出演は野村萬斎。
監修
演出
作詞
補綴(ほてつ)
主な配役
大槻裕一(竈門炭治郎、竈門禰豆子)
野村萬斎(鬼舞辻無惨、竈門炭十郎、天王寺松右衛門)
野村裕基(我妻善逸、錆兎)
野村太一郎(嘴平伊之助、鋼鐵塚蛍)
福王和幸、福王知登(冨岡義勇)※交互出演
歌舞伎
2024年2月・3月に東京・新橋演舞場にて、「スーパー歌舞伎II(セカンド)『鬼滅の刃』」として上演することが予定されていたが、2023年8月2日、公演見合わせとなることが発表された。
参考文献
- アニメの旅人『すべてがわかる!日本アニメ史入門 1956-2021』彩流社、2021年9月22日、168-171頁。ISBN 978-4-7791-2776-2。
- 「五輪書」 - 宮本武蔵
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