メルヘン・メドヘン
小説
著者:松智洋,
出版社:集英社,
レーベル:ダッシュエックス文庫,
巻数:全5巻,
漫画
原作・原案など:中村尚儁,
作画:山縣清継,
出版社:集英社,
掲載誌:ジャンプスクエア,
レーベル:ジャンプ・コミックス,
発表期間:2017年10月4日 - 2018年5月2日,
巻数:全2巻,
話数:全8話,
アニメ
原作:MMM,
原案:松智洋,
総監督:斎藤久,
シリーズ構成:松智洋,
キャラクターデザイン:森川侑紀,
音楽:rionos,
アニメーション制作:フッズエンタテインメント,
製作:メルヘン・メドヘン製作委員会,
話数:全12話,
以下はWikipediaより引用
要約
『メルヘン・メドヘン』 (Märchen Mädchen、Maerchen Maedchen)は、松智洋・StoryWorks・カントクによるメディアミックス作品。略称は「メルメド」。シナリオ原案を松、イラストをカントクが担当する形で、オリジナルテレビアニメーションを含むメディアミックス企画として、2014年に始動。2016年5月に松が急逝するが、松が代表を務めていた創作集団StoryWorksが松の遺稿を引き継ぐ形でプロジェクトを続行。2017年2月にプロジェクト第1弾としてダッシュエックス文庫(集英社)より小説が刊行、『ジャンプスクエア』(集英社)にて2017年11月号から2018年6月号まで漫画が連載。2018年1月から3月までと2019年4月にテレビアニメが放送された(詳細は後述)。
テーマは「物語」。「物語」と関わることによって起こるさまざまな出来事を糧にしながら、少女たちが自分だけの「物語」と出会い、紡ぎ、成長していく様子を描いている。なお、ドイツ語のMädchenの発音はメートヒェンが近い。
あらすじ
物語をこよなく愛する妄想過多な少女・鍵村葉月は、友達もおらず、新しい家族ともうまくいかずに物語の世界に逃避する日々を送っていた。そんなある日、謎の少女・土御門静を見かけた葉月は、世界中のありとあらゆる物語から生まれた魔法の本・原書に選ばれた少女 = メドヘンたちが学ぶクズノハ女子魔法学園へと迷い込み、自分がメドヘンとして『シンデレラ』の原書に選ばれたことを知る。
静と友達になるため、本物の魔法使いになって今までの自分から変わるため、葉月の学園生活が幕を開ける。
登場人物
クズノハ女子魔法学園(日本校)
日本にある魔法学園。所在地は東京都千代田区で、文科省から正式に認可された高等学校である。明治時代の開国に伴う学校制度導入期に、魔法の技術継承もそれまでの徒弟制度や一子相伝から変革する必要が生じたことで設立された。校舎も明治時代のままで、西洋の城のような外観をしている。在籍するメドヘンの数こそ中国校の方が多いものの、付属の原書図書館に所蔵される原書の冊数はアジア1を誇る。基本的に全寮制だが、例外として「あちら側」の世界の住人の葉月は自宅から通学している。
ヘクセンナハトにおいて、たった一度だけだがここ100年間でドイツ校を唯一破って優勝した実績を持っている。今年度のヘクセンナハトの開催地。
7年前の魔法獣襲撃事件で日本の原書及び原書使いが多く失われたことで、今の日本には現存する原書を守るだけの戦力が不足しているという意見が十三人委員会で上がっており、廃校にして日本校が所有する原書を各国間で分割移譲するという提案が極秘裏になされている。そのためヘクセンナハトで好成績を残して十分な戦力があることを示そうとしているが、予選時点でメンバー4名中2名が怪我で脱落し、最終戦には人数不足で出場が困難となったため、魔法経験皆無で実力は未知数だが強力な原書と契約している葉月が勧誘される。その後補欠の舞と怪我から復帰したさちが合流したことで、5名のフルメンバーとなる。
鍵村 葉月(かぎむら はづき)
声 - 楠木ともり
本作の主人公。日本校のメンバーで、魔法に縁のない普通の人間が暮らす「あちら側」の世界の住人。幼いころに実の母親(声 - 中原麻衣)を亡くし、研究者の父親が再婚したことで田舎から東京の高校へ転入した。父親は海外へ単身赴任中のため、現在は継母の冴子、継姉の美沙と3人で暮らしている。状況を問わず空想・妄想にふける癖があるが、これは実母がよく言っていた「自分の物語を見つけなさい」という言葉を自分なりに解釈した結果である。普段は辛い状況・苦しい状況を空想で紛らわせているが、それでも処理しきれなくなったときは本を読むことで物語の世界に逃げ込み現状を逃避する癖があり、これを「物語症候群」と呼んでいる。
街中で静を見かけて追いかけるうちにクズノハ女子魔法学園へと迷い込み、そこで崇神から自分が『シンデレラ』の原書と契約してメドヘンになったことを知らされ、自分が求めていた非日常、そして静と友達になりたいという思いから学園へと仮編入(小説版第2巻で正式に転校)する。「あちら側」の世界の住人のために魔法に関しては全くの素人だが、メドヘンが最初に覚える魔法であるブーフ・ヒュレは使えないのに大量のカボチャを召喚したり、カボチャに意思を持たせるなどの高等魔法を意図せずに使い、静に「異常」と言わしめている。
カザンからヘクセンナハトについて知らされた際、静が「友達としてではなく、戦力としての自分に期待している」と落ち込む。さらにその後の露天風呂でのアーサーとの会話、カザンの襲撃、静の突き放す言動にショックを受け、『シンデレラ』との契約を破棄して一度は学園を去るが、崇神の独白と美沙の励ましを受け、自分だけの「物語」を見つけるためにヘクセンナハトの予選に乱入。原書使いが原書の物語の通りに生きなければならないという現状を真っ向から否定して封印されていた『シンデレラ』と再契約、「誰も傷つけず、不幸にしない、とびきり優しい結末」を実現するために、原書を『シンデレラは振り向かない』に書き換え、改めてメドヘンとしてヘクセンナハトに臨む。
ややネガティブな思考の持ち主だが、その心優しさから作中の登場人物のほぼ全員から好感を抱かれている。また、物語が進むごとに静とは友情を深めている。物語開始時点では家族仲はあまり良好ではなかったが、クズノハ女子魔法学園への仮入学を機に互いに歩み寄っている。
身体能力は平均以下だが、逃げ足だけは早い。父の再婚前は体が弱かった実母の代わりに家事全般を1人でこなしていたため、料理や裁縫が得意。読書家なので知識量は豊富であり、静もその博識さには驚いている。説明は下手。
『シンデレラ』 → 『シンデレラは振り向かない』
葉月が契約する原書。強力な力を持つ原書のひとつ。長年行方不明になっており、その在りかが注目されていたが、いつからか葉月が母の形見のドレスとともに所持していた。一度は契約を破棄され、十三人委員会によって封印されるが、ヘクセンナハトの予選中に出現して葉月と再度契約を交わし、葉月の思いを受けて新たなる原書『シンデレラは振り向かない』へと書き換わる。ブーフ・ヒュレを発動した際は胸元に花のコサージュ、腰回りにリボンと大きな花、深いスリットの入った白いドレス、ガラスのヒールという姿に変身し、髪は銀色に変化する。
本来はアーリア家に代々受け継がれていた原書で、身持ちが固く契約者も数えるほどしかおらず死蔵状態だったところ、ルクレツィアの時代に日本人(葉月の前に『シンデレラ』と契約していたメドヘン)が突然契約者として認められたという経緯がある。前契約者が「白紙の頁」を使って新たな契約者が現れないように願ったため、本来であれば二度と契約者が現れることはないはずだったが、偶然「白紙の頁」を扱う資質を持つ葉月が魔法使いになりたいと願ったことで再び原書として契約を結ぶことになる。葉月との契約は「白紙の頁」ありきのものだったため、「暴食」との戦いで全てのページを使い切ったことで契約は解除されたが、小説版第4巻のラストで再び葉月の前に現れる。
私のお城
葉月が幼少期から空想していた透明な城を召喚し、相手の攻撃を防ぐ防御魔法。城の底部にはタービンエンジンが設置されており、これを用いて空を飛んだり相手の攻撃を相殺することができる。葉月に敵意を持つ者の侵入を拒み、ダンスを踊る人形を作り出したり、城内に溜め込んだ大量のカボチャを放出することで相手の行動を阻害することもできる。非常に強固な防御魔法だが、受けたダメージ量に比例して城に設置された時計の針が動き、針が12時を指すと城は消滅する。また飛行中は風船のように膨らむため、強度が低下してしまう。葉月の想像力次第でさまざまな形に変化し、小説版第3巻では、アメリカ校のドリューの固有魔法「グレートオーズ」に対抗するため巨大ロボ「ノイシュヴァンシュタイン」に変形する。
葉月はこの魔法を、他人と触れ合うことを恐れ自分と周囲に壁を作りながらも、そのくせ誰かに見つけて欲しいという思いを反映したものだと推察している。
ガラスの心(グラスハート)
「誰も傷つけない」という葉月の思いを体現する魔法。当初は葉月の「心に秘めた想いを相手に伝えたい」という思いを受けて発動した魔法で、魔法の効果は広範囲に及び、「あちら側」の世界にさえも干渉する。「相手に本当に大事なものを気付かせる」「相手の気持ちをダイレクトに伝える」「相手の過去や気持ちを読み取る」「破損した原書を修復する」など、さまざまな効果を発揮する。葉月にかかる負担が大きく、使用後はブーフ・ヒュレがしばらく使えなくなる。
その真実は『シンデレラ』の原書に収められていた「白紙の頁」の効果であり、言うなれば「葉月の願いを何でも叶える魔法」。葉月が何かを願うたびにページを消費して願いを叶えていた。
土御門 静(つちみかど しずか)
声 - 末柄里恵
日本校のリーダーで、メドヘン三強の一角。「鉄壁要塞」の二つ名を持つ。平安時代のお姫様を連想させるような黒髪の長髪を持つ少女。魔法使いの名家である土御門家の現当主で、十三人の始祖の一人の末裔でもある。7年前の事件で母・土御門巴を亡くしており、原書『かぐや姫』と契約して以降は土御門家の悲願である「凋落した土御門家の再興および十三人委員会への再抜擢」のため、身を粉にして十三人委員会に尽くしている。分家の加澄家とは主従関係にあり、有子とは幼いころから親交がある幼なじみ。
崇神の指示で「あちら側」に原書を探しに行った際に立ち寄ったファストフード店で葉月に姿を目撃され、葉月がクズノハ女子魔法学園に来るきっかけを作る。葉月が『シンデレラ』のメドヘンだと判明すると葉月に魔法の基礎を教え、ヘクセンナハトの日本校メンバーとして育てる。「自分のために葉月を利用している」という良心の呵責に苦しみながら、彼女と交流していくうちに互いに友情を深めて友達になるが、カザンに襲撃されてボロボロになった葉月を見て私欲のためにヘクセンナハトに巻き込んだことを後悔し、葉月を守るためにわざと冷たい態度を取る。諸国連合とのヘクセンナハト最終予選では、カザンの「大泥棒」によって自分の固有魔法をすべて奪われて窮地に陥るが、乱入した葉月に救われ、改めて葉月との友情を確認する。
魔法使いの社会では「土御門の跡取り」として扱われるため対等な友人がおらず、権威に関係なく自分を1人の女の子として接してくれる葉月のことを非常に大切に思っている。葉月が起こす魔法を誇らしく思う反面、葉月が無茶をすると心配からイライラしたり、他校のメンバーと仲良くしていると嫉妬心を抱くこともある。
現代の魔法使いには珍しく機械音痴な上に「あちら側」の世情に疎く、小説版第1巻で所持している携帯電話はスマートフォンではなくガラケーで、ツイッターやLINEのことも知らない。好きな食べ物はハンバーガーだが、これは幼少期のころから厳しく育てられ、親子らしいことを何一つしたことがなかった母親の巴と一度だけハンバーガーを食べた時、母が見せた優しさが忘れられないため。日本校への愛と信頼が強く、学園長の趣味としか思えないような奇妙な風習も、きっと意味があるはずだと素直に信じ込んでいる。
リンの策略で審問会にかけられた際に十三人委員会の腐敗ぶりを垣間見て失望し、本当に母が守りたかったものを理解する。
『かぐや姫』
静が契約する原書。日本最古の物語にして現存する最古の原書であり、強力な力を持つ。土御門家が世襲で継承する原書だが、土御門家の長い歴史の中でも契約したのは静とその母・巴を含めて3名だけ。静は7年目に先代契約者の母・巴が死亡した際に受け継いでいる。歴代の契約者が5つの固有魔法を生み出しており、静は其の内の殲滅力に長けた3つの固有魔法を習得しており、それらを融合した特殊な魔法を有する。静が原書に「母のように強くなりたい」と願ったことから、固有魔法も母親に酷似している。ヘクセンナハト第二夜において、静によって新しい物語が書き加えられ、新たな世界魔法が作り出される。ブーフ・ヒュレを発動した時は、色鮮やかな十二単に白い天女のような羽衣を纏った姿に変身する。
火鼠の皮衣
月の船
加澄 有子(かすみ ありこ)
声 - 本渡楓
日本校のメンバーで、10代前半に見えるほどのとても小柄な少女。土御門家の分家にあたる。土御門家の警備を担当してる長女の朋子、次女の礼子、四女の鈴子がいる。怠惰・怠慢・退屈を信条とする怠け者で、姉の朋子からは「怠惰で口が悪く愛想もない」と評されており、事実、試験では合格点をとるものの、居眠りが多すぎて補修の常連になっている。かなりの毒舌家でブラックジョークを好む。低身長がコンプレックスで、バカにした相手にはかなり手の込んだやり方で報復している。誰に対しても愛想がなく、滅多に感情を表に出すことがないが、静や日本校メンバーのことを大切に思っており、小説版第3巻でリンが静に対して行った謀略に対して怒りを露わにする。面倒ごとが嫌いで、訓練を強要する家族にも反感を抱いていたが、静に初めて会った際に思わず護衛に立候補してしまい、さらにタイミング良く『一寸法師』の原書にも選ばれたことで意図せずエリートコースを歩むことになる。
土御門家の現当主である静とは主従関係にあるが、静と話す際は特にへりくだったりはしない。しかし諸国連合とのヘクセンナハト予選で焦りのあまり舞に対してキツく当たろうとした静を諫めたり、審問会にかけられた静の意思(ヘクセンナハトに勝利してほしい)を果たすために、土御門の里に残された超希少金属であるヒヒイロカネを無断で持ち出したりと、静に対する忠誠心は本物。一方で、「土御門の人間」という枠組みから抜け出せないために静を助けられなかった自分を責めたりもしている。
佐渡原 舞(さどはら まい)
声 - 新田ひより
日本校に在籍するメドヘンで、補充メンバーとしてヘクセンナハト予選最終戦から参加する。原書『鶴の恩返し』の契約者。
物静かで大人っぽい見た目だが、ちょっぴり抜けたところがある。葉月が「人類としての規格が根本から違う」と言うほどのメリハリが効いたスタイルの持ち主。おっとりしているが空手道四段の実力があり、クラヴ・マガの心得もある。
ものすごいお金持ちのお嬢様で、実家は迷子になるほどの大豪邸。家業は魔法を使った服飾産業で財を成したが、現在は機械化が進んで魔法なしで服を作っている。
予選最終戦では訓練不足もあってあまり活躍できずに退場したが、第二夜ではリンに戦力外とみなされていた隙をついて勝利に貢献する活躍をする。
日野 さち(ひの さち)
声 - 田所あずさ
日本校のメンバー。原書『舌切り雀』の契約者。
外見上はあまり個性がない少女だが、突飛な言動を取り、初対面で葉月が「変な人」と思うような人物。黙っていることが苦手な目立ちたがり屋で、「うるさい」と有子から評されている。調子に乗って後先考えずに行動して失敗するという欠点がある。舞とは幼馴染みで、そのスタイルゆえに男子にからかわれる彼女をいつも助けていた。佐渡原邸の隣にある、異様に細長い築60年の木造の一軒家に住んでいる。妹(望)と弟(雄喜)がいる。
メドヘンとしての力量は高いのだがかなりの不幸体質らしく、予選では試合終了間際に相手が放った流れ弾に当たって3年生の先輩を巻き込んで脱落してしまう。その試合で負った怪我で長期入院して戦列を離れるが、ヘクセンナハト第二夜より復帰、日本校のメンバーとして出場する。
崇神 壱与(すがみ いちよ)
声 - 岡村明美
クズノハ女子魔法学園の学園長。ウェーブがかった髪にキリッとした眉の妖艶な美女。見た目は若いが、実際の年齢は不詳。趣味は農園での野菜作りで、学園内に趣味のために庵と畑と露天風呂を作っている。神道に連なる古式魔術における日本一の権威。魔法で9人に分身でき、分業で同時に複数の仕事を処理している。
『シンデレラ』の前契約者や土御門巴、ルクレツィア・アーリアとは同世代で、ヘクセンナハトで日本校が唯一優勝した時の日本校代表メンバーのひとり。『シンデレラ』の前契約者とは友人だったが、彼女がヘクセンナハトで優勝した直後に姿を消した際、彼女の苦悩に気付けなかった悔恨から薬を飲んで記憶を消している(後に前契約者が「白紙の頁」を使って記憶を消す魔法を使っていたことが判明する)。そのため、『シンデレラ』の原書に選ばれた葉月のことを気に掛けており、さまざまな面でアドバイスや助力を行う。
普段は飄々として掴みどころがないが、日本校の最高責任者として、学園と生徒を守るためならたとえ十三人委員会の決定であろうと反発する。小説版第3巻では土御門家にかけられた嫌疑の不自然さから独自に調査を開始、カザンと手を組んで情報の精査を行なっている。
白銀 蓉子(しろがね ようこ)
声 - 渡部恵子
クズノハ女子魔法学園の寮長兼歴史教師。オールバックにひっつめた白髪の年配女性。日本校の卒業生で、原書『竜宮』と契約する現役最高齢の原書使い。戦闘系の原書使いの中でも特に優秀な者しか取得できない「司書」の資格を持つ。日本校の教師全員が教え子で、誰も頭が上がらない。
家族・関係者
真田 冴子(さなだ さえこ)
声 - 長谷川暖
葉月の継母。出版社の社員で、ファッション誌を作っている。自己主張が弱い葉月が何を考えているのか分からず、夫(葉月の実父)からは有効なアドバイスももらえずにいたため子育てに悩んでいたが、開き直って自分の欠点を教えることで、きちんと言葉に出せるようになった葉月と和解する。家事が苦手。
真田 美沙(さなだ みさ)
声 - 清水彩香
葉月の継姉。葉月と同じ高校の2年生。細身で背の高いギャル風の美女で、ファッション誌の読者モデルをしている。話の合わなそうな葉月のことを面倒だと思っていたが、葉月の静と友達になりたいという願いを「葉月に好きな男性ができた」と勘違いしたことで、相手との仲を応援し、葉月に歩み寄るようになる。学園を去って落ち込む葉月に「葉月が読んでいる物語の中には、葉月のことはひとつも書いてない」と諭し、立ち直るきっかけを与える。クリスマスの日のプロムナード(舞踏会)で葉月の『ガラスの心』に後押しされ、片思いしていた先輩の王寺と交際を始める。
ブンちゃん
小説版に登場する、熱海の山中でシミに侵食されていたところを葉月に助けられた謎の動物。犬と狸の中間のような姿で、「ブゥン」と鳴く。
正体は原書『分福茶釜』から生まれた、ブーフ・ヒュレに近い擬似生物。原書『分福茶釜』は、始祖の十三人のひとりで「始祖の書」の編纂にも関わった土御門家の先祖とともに暮らしていた、守鶴(しゅかく)という名の法力が使える狸が自分の生涯を描いた物語である。化け狸の物語であるため、変身能力を持っている。
葉月を心配してそのまま異空間を飛び出して東京にやって来るが、預けられていた中国校の元から脱走して審判の食事を台無しにしたことで正体がばれてしまい、原書が動物の形になっていることが許せない十三人委員会より消滅させるように指示が出される。その処遇を巡って生物として擁護する葉月、カザン、シュエメイのチームと、原書に戻すことを主張する静、アガーテ、リンのチームでヘクセンナハト形式で対決が行われることになる。
アガーテの魔弾で破壊されてしまうが、破片を静が泰山府君祭で過去に送り、葉月が「ガラスの心」で破片に込められた守鶴の想いを先祖に届ける。この後、「ブンちゃん」という存在は儀式を行った葉月と静以外からは失われるが、守鶴の魂は新たな主人(静)とともにあることを望み、巴の形見の狸の根付に宿り、葉月たちのもとに帰ってくる。
諸国連合
ヘクセンナハトの予選で日本校と対戦する、原書図書館を持たない国々のメドヘンが集まってできたチーム。原書図書館のない国にはメドヘンたちの居場所はないに等しく、各国が原書の所有権を主張し合うせいであちこちの学園をたらい回しにされるような扱いを受けている。
ユーミリア・カザン
声 - Lynn
諸国連合チームのリーダー。あまり手入れしていない赤い髪と意思の強そうな瞳のワイルド系女子。原書『酒呑童子』の契約者。
はみ出し者の集まりに過ぎなかった諸国連合をきちんとまとまりのある組織に変え、十三人委員会にヘクセンナハト出場を認めさせた立役者。シャルルとモリーを守り、自分たちの居場所を手に入れるために、ヘクセンナハトで優勝しようと考えている。裏でアメリカ校のスパイとしてリンと内通しており、各国の魔法学園に留学を繰り返し、入手した情報を売ることで金銭を受け取っている。短期留学中の日本校を廃校に追い込む計画の中で、リンから葉月を潰して『シンデレラ』の原書をフリーにするように依頼されて葉月を痛めつけ、静が彼女を日本校から追放するように仕向ける。ヘクセンナハトの予選では、葉月の追放で心に隙ができていた静から固有魔法を全て奪って追い詰めるが、乱入してきた葉月の「ガラスの心」で戦意を喪失し、負けを認める。以降はスパイ活動を止め、葉月たちとも和解して正式に日本校への短期留学を継続することが許され、いつか自分たちの学校を復活させる夢を持つようになる。現在は当座の資金を蓄えるために、いろいろなアルバイトに励んでいる。
一見粗野だが元々はかなり良いところのお嬢様で、昔通っていたフィニッシングスクールで厳しく躾けられていたために所作が洗練されている。東ヨーロッパの家庭料理全般が得意で、一部のロシア料理や四川料理も作れるが、シャルルによるとやたら手が込んでいて量が少ないとのこと。面倒見が良く、仲間2人との関係はまるで親子のようだが、面と向かって母親扱いされるとショックを受ける。
『分福茶釜』を巡る対決では葉月に協力を求められて擁護側に入り、シュエメイから宝貝を2つ借りて静とリンと戦う。土御門の里が封鎖された際にはシャルルとモリーに葉月の護衛を任せ、自身はアメリカ校の背後で十三人委員会と繋がっている黒幕を探る。
シャルル・ジョバーニ
声 - 宮島えみ
諸国連合チームのメンバー。短い赤毛に吊り目で猫のような印象の少女。原書『長靴をはいた猫』の契約者。もともとはストリートチルドレンだったが、食べ物をくれたカザンに懐き、後を付いてくるようになる。
よく嘘をつき、一言多いせいでよく怒られる。方向音痴。
日本校との予選では有子の足止めを任される。予選後は日本校への短期留学が認められる。
ヘクセンナハト予選でカザンを救ってくれた葉月に感謝しており、「姐さん」と慕っている。
モリー・C・クイン
声 - 金子彩花
諸国連合チームのメンバー。灰色の髪を後ろで無造作に束ねたひどく陰気な少女。原書『ハーメルンの笛吹き』の契約者。もともとは紛争地帯で戦わされていた少女兵で、窮地に陥ったところをカザンに救われて以降、彼女を慕い後を付いてくるようになる。その来歴から愛用のライフルを常に身に着けており、風呂場にまで持ち込もうとしたこともある。
基本的に人見知りだが、気に入った相手にはべったり懐く。カザンからもらったネズミのヌイグルミを大事にしており、シャルルに壊されたのを直してくれた葉月にも懐く。
日本校との予選ではカザンの固有魔法を発動させるためのサポートに徹する。予選後は日本校への短期留学が認められる。
アメリカ校
ヘクセンナハト出場校のひとつで、第二夜の日本校の対戦相手。魔法学校としては新興勢力であり、金と国力にものを言わせて原書を買い漁っているといわれ、その様は「拝金主義」と揶揄されている。
リン・デイヴス
声 - 日高里菜
アメリカ校のリーダー。金髪の巻き毛に下がり気味の目尻のふんわりとした印象の少女。原書『マッチ売りの少女』の契約者。
ガールズバンド「ファイヤキャンディ」のボーカルとしても活躍する芸能人。12歳までゴーストタウン化したデトロイトの養護施設で教会の神父に犯罪の片棒を担がせられながら育ち、その中で偶然盗品の原書と契約して施設を焼き払い、ジェームズに拾われて同じ姓を与えられる。表向きは無邪気を装い屈託のない笑顔を見せるが、その内面は腹黒く、狡猾で打算的。自分の利益のためなら、どんなに卑劣な行為でもためらうことなく平気な顔をして行う。口から出る言葉は借りて来たように都合がよく、その言葉に本心は欠片もないという子供と大人の悪いところを寄せ集めたような性格で、葉月に「何もない」「未来も過去も持たない」と評される。仲間意識もなく、チームの同僚にも高圧的。メドヘンでありながら魔法や奇跡が大嫌いで、ヘクセンナハトでは魔法の他に手榴弾や自動小銃といった銃火器を召喚して使用する。また、魔法的な情報媒体は一切信用していない。だが、その歪んだ性格は、長い間魔法獣に精神を食い荒らされていたのが原因であった。
ヘクセンナハト第一夜では中国校を相手に勝利。『分福茶釜』を巡る対決では破棄側で参加、葉月を探るために裏切って擁護側につこうとしたが葉月に拒絶されて激怒し、そのままカザンと戦う。第二夜では静を警戒して事前に母親の嫌疑を追及させることで試合から排除、試合では銃火器を召喚して有子とさちに重傷を負わせ、ルーシーに命じて彼女たちを操り、腹いせに葉月を痛めつけるが、途中参戦した静の「月世界」で押しつぶされる。第二夜終了後に捕縛されるが、ルーシーに命じて事前に潜伏させておいたゾンビウイルスを覚醒させて混乱を引き起こして脱走。別々に囚われていた他のメンバーと合流するも、ドリューとキャメロン、さらにはルーシーにまで協力を拒絶されて激昂、「パパ」と呼んでいた「暴食」を解放して決勝戦の舞台を襲撃する。ほどなく「パパ」の正体に気づき、「暴食」に食われそうになるがアンジェリーナが犠牲となる間にカザンに匿われてその場を逃れる。その後は負の感情が抜け落ちた反動で自我を失い、自失状態となっていたが、葉月の叱咤で正気を取り戻す。
アニメ版では、自らが解放した魔法獣に最初に食われてしまう。
アンジェリーナ・デイヴス
声 - 佐藤亜美菜
アメリカ校のメンバー。栗色の髪のおっとりした優しそうな少女で、自己主張が薄く気弱な性格。原書『サンタクロース』の契約者。
リンとは同じ施設で育った姉妹のような関係で、性格を歪めていくリンに心を痛めているが、気の弱さが災いして結局はリンに言われるがままになっている。リンとは対照的に熱心なキリスト教徒。舞によって拘束され、リンの魔法に巻き込まれて退場する。リンに精神的に依存していたため、彼女と別々に拘留された際には精神の均衡を崩してしまう。「暴食」からリンを守って食われてしまうが、葉月の「最高の結末」で救出される。
ドリュー・バーホーベン
声 - 小市眞琴
アメリカ校のメンバー。赤毛でメガネのギーク。原書『オズの魔法使い』の契約者。
人間と一緒に地球を守る正義の味方の勇者ロボが大好き。正義のハッカーを気取る引きこもりの犯罪者だったが、ジェームズに正体がバレたことでリンに弱みを握られて懐柔され、協力者となる。
ヘクセンナハト第二夜では、葉月と巨大ロボ同士の戦いを繰り広げて引き分ける。だがリンに抗議したため、彼女に銃撃されて退場する。
アニメでは、第二夜直前にリンの卑劣なやり方に抗議して反旗を翻し、キャメロンと共に第二夜への参加を辞退する。
キャメロン・ウェルズ
声 - 角元明日香
アメリカ校のメンバー。チョンマゲのように髪を頭頂部で結んだ侍好きな少女。原書『宇宙大戦』の契約者。
語尾に「ござる」を付けて話し、間違った日本の諺を多用する。『ばくまつ☆お侍さま!』というアドベンチャーゲームの大ファンで、少年になった勝海舟推し。猫アレルギー。父親が自分を道具としてしか見ていない家で育ち、14歳で20歳年上の相手と結婚させられそうになって家出した。
ヘクセンナハト第二夜では、気絶したルーシーを連れてリンの元へ帰還するが、リンの所業に抗議したことで命令されたルーシーに噛まれて昏倒する。
アニメでは、第二夜直前にリンの卑劣なやり方に抗議して反旗を翻し、ドリューと共に第二夜への参加を辞退する。
ルーシー・バートン
声 - 河野ひより
アメリカ校のメンバー。青白い顔を半分以上髪で隠した中国系アメリカ人の少女。何かの陰に隠れていないと落ち着かない性格。原書『ゾンビ』の契約者。過去のトラウマから、その素顔(美貌)を完全に髪で隠してしまっている。
ボーイズラブ好きの腐女子。帰る場所がなく、顔を隠しているのもその事情に関係している。
ヘクセンナハト第二夜では、ゾンビ軍団で日本校を圧倒するが、失神して一時撤退。その後はリンに脅されてキャメロン、有子、さちを次々とゾンビ化させたが、隠れていた舞によって拘束され、リンの魔法の巻き添えを食って退場する。ドイツへの移送準備中、再びリンから命令されて執行官をゾンビ化させ大混乱を引き起こすが、ついに罪悪感から彼女を拒絶する。その後は魔法で他人に迷惑をかけたことを反省し、魔法や他人に頼らず自分で考え自分で決められる人間になることを目指す。
アニメではドリューたちから第二夜への参加辞退を勧められるが、父親がジェームズに対して多額の借金をしていることをネタに、リンに脅迫されて強制的に第二夜に参加させられる。
ジェームズ・デイヴス
声 - 栗田圭
リンの保護者。兵器を製造販売する会社の経営者で、いくつもの企業を束ねる。一般人だがアメリカ校のスポンサーでもあり、十三人委員会とも内通している。リンに頼まれて7年前の魔法獣襲撃事件における土御門巴の嫌疑を蒸し返させる。予選の対戦相手の変更、委員会が管理する原書の横流し、商売での魔法の悪用などさまざまな悪事に手を染めていた。だが実際は「暴食」に操られていただけで、本人は半年以上前に用済みとされ、デトロイトで路上生活していたことが判明する。
ロシア校
ヘクセンナハト出場校のひとつで、第一夜の日本校の対戦相手。最年長で17歳のマリヤから最年少で11歳のウピールチカまでと年齢層が広いが、チームの結束力が非常に強い。小説ではほとんど記述がなかったが、アニメでは第一夜およびそこに至るまでの詳細が描かれており、日本校を倒すためにさまざまな作戦を立てて実行するが、メンバー全員がお人よしのため、大半が間の抜けた作戦になっている。
マリヤ・ラスプーチン
声 - 大津愛理
ロシア校のリーダー。ハキハキした声、短めに刈り揃えたシルバーブロンドの髪とキリッとした眉が印象的な女性。原書『大きなカブ』の契約者。
ヘクセンナハトで優勝して、破損したタチアナの原書を修復してもらおうと考えている。第一夜での日本校との試合で、劣勢になりながらも諦めない姿に心を打たれた葉月が「ガラスの心」でタチアナの原書を修復したことに感謝し、自分たちの敗北を宣言。以後はタチアナを救った葉月のことを親しみと尊敬をこめて「同志」と呼ぶ。
「暴食」との決戦時、自分に何ができるか悩む葉月に対して『大きなカブ』の話をし、この戦いで葉月がなすべき道を示す。
タチアナ・ボヤールスキー
声 - 小澤亜李
ロシア校のメンバー。原書『イワンのばか』の契約者。
馬鹿がつくほどの正直者で、相手を疑うことを知らない。第一夜の前日に風呂で葉月と出会い、意気投合する。
小説ではヘクセンナハトの本番直前に原書が破損した状態で無理に魔法を使ったために再起不能状態となるが、葉月の「ガラスの心」で原書を修復してもらったことで後遺症もなく回復する。
アニメでは十三人委員会の使者を名乗るリンによって原書をだまし取られて破損されるが、小説とは異なり魔法を使っても身体や精神にはダメージを負わず、ヘクセンナハト第一夜にも参加する。
ナディア・イヴァノヴァ
声 - 伊藤彩沙
ロシア校のメンバー。原書『てぶくろ』の契約者。
もともと人里離れた山奥で人間社会と隔絶して暮らしていたために言葉遣いがたどたどしいが、身体能力はロシア校の中で一番高い。アニメでは書庫に手袋を置き、タチアナに内緒で試合前に日本校のメンバーを全吸収で手袋に吸収、監禁して試合を放棄させる計画を立て、葉月と静、そして計画を知ったカザンを吸収するが、計画を知ったタチアナの肉体労働の喜びによって魔法を無効化される。
エヴァ・ホドシェンコヴァ
声 - 平山笑美
ロシア校のメンバー。原書『笑わない王女』の契約者。いつもマリヤの隣に居る。アニメでは葉月の監禁計画の打ち合わせで葉月の身体を心配し、監禁部屋の掃除を提案する。第一夜では厳選に厳選を重ねた爆笑ネタを集めて日本校メンバーを足止めし、その隙にナディアに仕留めさせる予定だったが、あと一歩のところで小話のストックが切れてしまう。
ウピールチカ
声 - 赤尾ひかる
ロシア校のメンバー。原書『吸血鬼』の契約者。身長が135cmとアニメ公式プロフィールの中で一番低い。アニメでは葉月監禁計画の一環で、葉月を監禁部屋に呼び出すための電子メールを作成して送る。第一夜では「風邪を引けば降参する」と考えて飛翔と天候操作を使って雪を降らせるが効果はなく、有子の打ち出の小槌と舞の羽織物によって撃ち落とされる。
ドイツ校
ヘクセンナハト参加校のひとつ。所在地はヘッセンのハーナウ。最古の魔法学園であり、魔法学園の中で最も多くの原書を有するため、シミの発生頻度は他国と比べ物にならないほど高く、メドヘンたちは入学直後からシミや魔法獣との実戦に参加している。そのため桁違いの戦闘経験を持ち、ヘクセンナハトでもここ100年間で優勝を逃したのは日本校に敗北した1度きりと、絶対王者として君臨している。ただその方針の陰で、戦えるが呪われているような原書も優先して生徒にあてがわれるという問題もある。
アガーテ・アーリア
声 - 加隈亜衣
ドイツ校のリーダーで、メドヘン三強の一角。「神眼」の二つ名を持つ。背の高いキリッとした風格のある女性。十三人委員会直属の執行官でもある。原書『魔弾の射手』の契約者。
戦いの最前線であるドイツ校で、誰よりも多くのシミや魔法獣を駆除してきた実力者であり、ドイツ校始まって以来の天才と言われている。クールな印象とは裏腹に賑やかなのが好きで、周囲から避けられがちでひとりぼっちなことを気にしている。また、可愛いものが好きで、実家の豪邸にある自室はぬいぐるみやドールハウスなどで可愛らしく飾られているが、感性が普通の人と少しズレており、葉月が魔法で作るカボチャのようなものが好み。加えて手先がかなり不器用で性格も天然気味である。
『魔弾の射手』の呪いで他人と心を通わせることができない。かつてはチームメンバーとも親密で、ヒルデガルドとは特に仲が良かったが、1年前の戦いで追い詰められて「第七の魔弾」を使い、彼女を傷つけてしまったことから周囲と意図的に距離をおき、自分の魔法に仲間を巻き込まないよう単独での行動をとるようになる。同じ執行官で母親のルクレツィアのことも「先生」としか呼べない。
ヘクセンナハト第一夜では、インド校を一人で相手取り、長距離からの狙撃で圧勝する。『分福茶釜』の処遇については最初から破棄を主張し、静と組む。試合では予知を覆すシュエメイに苦戦し足止めされたが、「第七の魔弾」で葉月ごとブンちゃんを撃ち抜き、勝利する。第二夜ではアーサーに圧倒されるが、彼女が棄権を宣言したため結果的に勝利する。「暴食」との戦いにおいても活躍したが、一瞬の隙を突かれて食われてしまい、自身の姿と魔法を真似られてしまう。最後は葉月の「最高の結末」で救出され、仲間たちとの再会を果たす。自身の原書についても魔弾の呪いがあるから、大切なものをより大切に思えると前向きな心境を抱いている。
ヒルデガルド・フェレ
声 - 首藤志奈
ドイツ校のメンバー。プライドの高いナルシストの、髪の長い少女。長身でファッションモデル系の美人。原書『ラプンツェル』の契約者。
極貧の家庭に生まれたが、高い魔法使いの資質を持っていたことで3歳の時に謝礼金と引き換えに魔女の元へ引き取られて養育される。ヘクセンナハト優勝にかける願いは生き別れた両親との再会である。友達がいないために謝肉祭に友達と参加できず訓練に身の入らないアガーテに対して、ヘクセンナハトの成績を案じて自分が友人になることを提案し、彼女のこれまで知らなかった側面に触れていく。
状況判断、思い切りの良さ、魔法の力が優れているため、独断専行が増えたアガーテに代わってチームの指揮を執る。
ノーマ・パウル
声 - 高橋花林
ドイツ校のメンバー。小柄でドMな少女。他人に服従・隷属したいという倒錯的な嗜好の持ち主。原書『白雪姫』の契約者。
生粋の魔法使いでも名門と呼ばれる家系の出身。グラマーで、葉月曰く仕草がえっち。かつて「魔法の鏡」を使ってアガーテの姿を見て以降、彼女に心酔しており、アガーテの専属奴隷になりたいと思っている。自分の目指す地位にいると思い込んでいるヒルデガルドを勝手にライバル視しているため彼女とは仲が悪い。
ブリギッテ・ヘルム
声 - 香坂さき
ドイツ校のメンバー。原書『赤ずきん』の契約者。
目つきが鋭く乱暴な口調だが、本来は気弱で人見知りな性格で、他人と目を合わせたり顔を見られるのが苦手。そのためパーカーのフードを目深に被り、その上からヘッドホンを装着して外れないよう固定している。
幼馴染で親友のイザベラが唯一心を許せる相手。彼女を試合中にマーリンに封印されてしまい、魔法を解く交換条件としてアーサーの騎士となって動くことになる。
葉月が『シンデレラ』と契約したことでアガーテが『魔弾の射手』と契約することになり、結果として魔弾の呪いに苦しんでいると思い込んでおり、葉月に対して強い敵愾心を抱く。
イザベラ
声 - 清水彩香
ドイツ校のメンバー。アイアンメイデンの中に入っており、ブリギッテに引きずられて移動する。原書『ヘンゼルとグレーテル』の契約者。
魔法使いの家系に生まれながら、先天的に言葉が話せないという魔法使いとして致命的なハンデを抱えていたが、家族からは大切に育てられてきた。幼馴染のブリギッテとは仲がいい。
イギリス校
ヘクセンナハト参加校のひとつ。大昔から徹底した秘密主義を貫く閉鎖的な魔法学園で、他校との交流を一切持とうとしない。その目的はアーサーと共に戦う円卓の騎士を探すことで、今大会では第一夜をシードで通過し、第二夜のドイツ校戦では相手を終始圧倒的したが、目的を果たしたことで棄権している。アニメ版では全員が辞表を出したことで戦わずに棄権。理由を聞きに来たアガーテに「7年前のあの悲劇、蘇るあの悪夢を、私たちイギリス校は滅ぼさなければならない」と告げて会場を去る。
アーサー・ペンドラゴン
声 - 上田麗奈
イギリス校のリーダーで、メドヘン三強の一角。無造作に伸ばした長い金髪と白い肌の妖精のような美しさを持つ少女。シュエメイからは龍の子と呼ばれている。原書『ブリタニア列王史(アーサー王伝説)』の契約者。
人間と妖精のハーフで、10歳でペンドラゴン家に引き取られるまでずっと動物と森の中で暮らしていた。動物と話すことができ、しばしば自室に野生動物を連れ込んで巣を作る。半妖精の異能で感情を色として認識でき、野生的な直感と匂いによって相手の感情を嗅ぎ分けるという特技を持っている。また、服を着ると落ち着かず、放っておくとすぐ服を脱いでしまう。かなりマイペースかつ天然で、生き物の中ではウナギが可愛いと思っている。
『ブリタニア列王史』に記されている、日本で遠くない未来に起こる「来るべき災厄」から人々を救うことが使命であり、ヘクセンナハト参加も優勝ではなく12人の騎士ともう1人の王を集める成聖が目的である。来たるべき災厄の時に備えるという使命感は非常に強いが、それゆえに使命を果たすための犠牲はやむを得ないという考えを持つ。
人間が持つ色の濃い感情が好きで、4年前に義理の姉になって自分に人間の良いところを教えてくれたマーリンを慕っている。
葉月のことは預言に出てこないことから「預言の遂行に邪魔な存在」と位置づけているが、「最高の結末」発動時には「暴食」から自ら葉月を守り、自らの預言にはない未来の行く末を見守る。
トリスタン
声 - 櫻庭有紗
イギリス校のメンバー。緑髪で背が高く引き締まったスタイルで王子様のような男装の麗人。原書『ロビン・フッド』の契約者。
騎士の家系の出身で昔から騎士に憧れていたが、女子では家督が継げず騎士にもなれないという現実に絶望し、ヘクセンナハトで「騎士に相応しい男になる」という願いを叶えようとし、その欲求を満たすために、女子生徒をナンパし、男装して口調も男性風に変えている。アーサーに自分の葛藤を侮辱されたと思い込んで決闘を挑むが、完敗したことで自分が憧れていたのは性別には関係なく、騎士の誇り高い精神だったことに気付く。
マーリン・ペンドラゴン
声 - 米山明日美
イギリス校のメンバー。アーサーの義理の姉で、緑の髪であり、ペンドラゴン家に代々受け継がれる「マーリン」の名を継いだ少女。原書『マザー・グース』の契約者。
予言された災厄の時が来た時に聖剣を持つ王を補佐する使命を託されている。4年前までは窓のない部屋に監禁され叡智を詰め込まれる日々を送っていたが、遂に予言の王であるアーサーと出会い、その教育係になる。常識がなくしばしば行方をくらますアーサーを探すために、『ブリタニア列王史』の魔力を探知するための片眼鏡をかけている。
幻を見せる魔法が得意。純粋な遠距離型なので接近戦は苦手。
チームでは参謀役だが、結成当初はまとまりのなさに加えて、アーサーの万能性では自分は不要ではないかと悩む。
『マザー・グース』
マーリンと契約する原書。イギリスに伝わる童謡群の総称。ペンドラゴン家が代々受け継ぐ家宝であり、これを継承した者が「マーリン」の名を襲名する。
600の魔法
マーリンの固有魔法。歴代のマーリン・ペンドラゴンが受け継いで来た数多の童謡を元とする魔法群。全力を出して連発すれば要塞はおろか山すら砕くほどの天変地異を引き起こすが、相応に魔力消費も大きい。
偵察用の使い魔「テンジクネズミ(リトルギニーピッグ)」、大地を崩落させる「ロンドン橋落ちた(ロンドンブリッジ・イズ・フォーリングダウン)」、竜巻級の烈風を起こす「吹けよ風吹けよ(ブロウ・ウインド・ブロウ)」、光の矢に転じる十数羽の駒鳥を召喚する「誰が駒鳥を殺したの?(フー・キルド・クックロビン)]、列車ほどもある大砲から砲撃する「ハンプティ・ダンプティ落っこちた(ハッド・ア・グレートウォール)」、鳩時計型時限爆弾「チクタク・チクタク・ボーン(ヒッコリー・ディッコリー・ドック)」、放電する獅子と一角獣をぶつけて稲妻を発生させる「獅子と一角獣(ザ・ライオン・アンド・ザ・ユニコーン)」、隕石を落下させる最強の魔法「キラキラと煌めく小さな星よ(ティンクルティンクル・リトルスター)」、炎で敵を包み込む「十人のインディアン(Ten little Indian boys)」、超圧縮された水で円錐状の壁を作る「ラバダバダ(Rub-a-dub-dub)」、黒い鉄の鎖で対象を繋ぎ止め封印する「バビロンまでは何マイル?(How many miles to Babylon?)」などがある。
アリス
声 - 吉田有里
イギリス校のメンバー。幼くメルヘンな雰囲気で、可愛らしさを追求するオレンジの髪色をしたツインテールの少女。原書『不思議の国のアリス』の契約者。
イギリスのスラム街で生まれ育ち、本名はジャッキーという。親がロクデナシの母子家庭で、はした金でこき使われる日々の中で『不思議の国のアリス』に出会い、メドヘンたちと自分のみすぼらしさを対比して悲しんでいたが、奇しくも憧れていた『不思議の国のアリス』の原書と契約することになり、その時に本来の名前を捨てている。あどけない少女の魅力の指標として「少女力」を自分で定め、お菓子や洋服でキュートさを上昇させることに余念がない。迂闊な性格で、挑発に弱い。
ヘクセンナハトにかける願いは「世界で一番可愛い女の子になる」こと。物語の主人公のような出自のアーサーに嫉妬し劣等感から決闘を挑むが、彼女は自分を主人公だとは思っていないことを知り、自分の望みは安住の居場所を見つけることだったと気付き、和解する。
グレーティア
声 - 原田彩楓
イギリス校のメンバー。髪の色が銀色で筋肉質で公式プロフィールで182cmと、原書使いで1番の長身だが、女性らしい顔立ちをしている。原書『ジャックと豆の木』の契約者。
寡黙だと思われているが、頭が悪い自分が軽々しく口出しすべきではないという判断で黙っているだけ。10歳で自分の頭脳に見切りをつけてからはひたすらに体を鍛えている。本人は頭が悪いと主張しているが、意外に思慮深く理論的な考えもできるので、マーリンは考えるのを面倒がっているだけではないかと疑っている。言動からは分かりづらいが優しい性格。パフェが好物だが、自分の長身に対するコンプレックスでオシャレな店に気後れしていて、一人では入店できない。
戦わなければならない時が必ずあると信じており、力と闘争を信奉しているため、「あらゆる悲劇を打ち破れるほど強くなりたい」と願っている。
中国校
ヘクセンナハト参加校のひとつで、第一夜でアメリカ校と対戦する。
李雪梅(リ・シュエメイ)
声 - 吉岡麻耶
中国校のリーダー。髪の長い穏やかな顔立ちの女性。原書『八仙東遊記』の契約者。
普段は温厚だが怒ると人が変わる。また、強者との戦いに快感を感じる性格で、戦闘中にスイッチが入ると恍惚とした表情を浮かべる。魔法の才能はそれほどないが武術の腕を磨き、人間を超越した体術を会得して魔法の力を補っており、アガーテに「バケモノ」と言わしめている。
治安の悪い街で不良のリーダーとして生活していた時期があり、大人からも恐れられるほどだったが、本物のマフィアと問題を起こした際に後に師父となる仙人に救われ、弟子入りする。師父から中庸たることを指示されており、さまざまな立場の考えを知るために相手につい問答をしてしまう癖がある。熱海で葉月と問答したことで彼女の考え方を知り、その性格を高く評価している。
『分福茶釜』の一件では葉月から世話を依頼されていたブンちゃんに逃げられ、正体発覚に繋がる事件に関わったために葉月と組んで擁護側で対決に参加し、アガーテの足止めを担当する。
李雪蘭(リ・シュエラン)
声 - 篠原侑
中国校のメンバー。少年のように笑う短髪で元気のいい少女。シュエメイの妹。原書『西遊記』の契約者。
シュエメイも認める仙術の才能を持つが、武術の鍛錬の方が好き。勝気に振る舞うが、根は繊細であれこれ抱え込んでしまう。仲間たちからは大切に扱われているが、子供扱いだと不満に思っているところもある。
ヘクセンナハト第一夜のアメリカ校との試合では、リンの挑発に乗せられて敗北。その不満を抱えていた時に同じ妹同士ということで葉月と言葉を交わし、励まされたことで仲良くなる。
パドマ魔法学校(インド校)
ヘクセンナハト参加校のひとつで、第一夜でドイツ校と対戦する。インドは口伝を源流とする物語が多く、世界的に見ても並外れた規模の蔵書を誇る。魔法を使う時の精神状態を絵で表現して形を明確化するために、「砂マンダラ」という独自の訓練を行っている。
マハーカーリー
声 - 鎌倉有那
インド校のリーダー。褐色の肌の美しい女性。原書『ラーマーヤナ』の契約者。
大人びた外見とは裏腹に天衣無縫な性格で、もの凄く気まぐれで子供っぽいところがある。学校内でのわがままが大抵通ってしまうほどの権力を持ち、気に入った女の子たちを集めてハーレムを形成しているらしく、国外でも周囲に常にお供を連れている。表の世界でもインド政府が目をつけるほどの影響力を持ち、各方面から使い道を探しあぐねるほど多額の付け届けを押し付けられている。ただ孤高であるがゆえの孤独を感じており、初めて自分の後ろではなく隣に立ちたいと言ってくれたラヴェーナとは友になりたいと思っている。
固有魔法の影響で今回のヘクセンナハトに何となく不穏なものを感じ取っており、自分の周りに誰もいなくなるような破滅を予感している。
ヘクセンナハト第一夜ではドイツ校と対戦するが、アガーテの狙撃戦術によって遠距離から味方を次々と削られ、相手の元にたどり着いた時には消耗が酷くそのまま敗れてしまう。
ラヴェーナ
声 - 岩﨑春奈
インド校のメンバー。凹凸の少ない体型で癖のある黒髪にターバンを巻いたアメジスト色の目の少女。原書『千夜一夜物語』の契約者。
インド有数の商人コミュニティ・マルワリに連なる豪商の娘。商人としてマハーカーリーのご利益に預かっているが、それを抜きにしても彼女へ強い好意を抱いている。ここ1番の集中力と洞察力は双子以上。商人のネットワークでハーレムに商品を取り寄せる役目を担当している。父の教えで「価値には質量がある」と信じているため、滅多なことでは値引きせず、「がめつい」「守銭奴」と呼ばれることも多い。
元々は女に商人は無理だとバカにする兄弟たちを見返すために、いつでも、どこでも、どんな物でも取り寄せられる大商人を目指していたが、今では敬愛するマハーカーリーの欲する物を取り寄せられる商人を目標としている。マハーカーリーの隣に立てる人間になりたいと願っており、いつか必ず自信を持って友人になることを決意している。
アムリタ
声 - 伊藤彩沙
インド校のメンバー。緑がかった短髪の、優しそうな垂れ目の少女。素直で人を疑うことを知らず、献身的で愛らしいという、控えめに言っても天使のような性格の持ち主。原書『王子と指輪』の契約者。
その他
暴食(グラー)
7年前の12月、突如日本を襲撃した強力な魔法獣。人を捕食して自分の体の欠損を補充し、食った者の姿を真似、その魔法すら真似る能力を持っている。土御門巴をはじめとする多くの原書使いが対処に当たったものの多大な犠牲が生まれ、魔法使いだけでは対処できず、大量の爆弾やミサイルなど「あちらの世界」の兵器まで借り受け、異空間に閉じ込めたところを攻撃する事態となった。最後は弱らせたところで魔法使いがとどめを刺したとされているが、わずかな欠片が残っていた。
その欠片は『始祖の書』の「白紙の頁」を求めて活動を再開する。まずはジェイムズ・デイヴスを依り代としてリンに接触し、彼女の「パパ」として心を負の感情で蝕み、決勝直前になって正体を現して『始祖の書』を奪い取る。これによって力を増し、観客やメドヘンたちを次々に食らって巨大化を続け、食ったアガーテの姿と能力を真似てアーサーたちと対峙する。最後は円卓の騎士たちの猛攻を受け、葉月の「最高の結末」で食った人間を全て奪還されたことで力を保てないほどに弱体化し、静の「月世界」で浄化されて消滅する。
用語
魔法
使い方によれば剣や大砲など及びもつかないほどの破壊をもたらすことから、権力者から戦争などさまざまに利用されてきており、戦争が終わった後は強大な力を恐れられて魔女狩りや魔女裁判の形で迫害を受けてきた。加えてシミの存在によって何も知らない人が狂わされるのを防ぐため、表の歴史からは姿を消すようになった。ただ魅了の魔法などの精神に作用するものを一般人に使うことこそ禁止されているものの、バレないように上手く魔法を使って商売している魔法使いも多い。魔法使いにはいくつかのルールがあり、殺人や無闇に魔法使いの存在を明かすことは禁止され、中でも死者に対する蘇生魔法は最大の禁忌とされている。
本来魔法は使う者の意志の強さで魔力という材料のかたちを変えて、思うままの現象を起こすというもの。魔法を効率よく使うために考え出されたものを「魔導」といい、これらを扱う者たちは厳密には魔術師や魔導師と呼ばれて「原書使い」とは区別されている。魔力を餅米に例えると、餅をつき形を整える作業が魔法で、餅を温めるために鍋を使って加熱する行為が魔導に相当する。
通常の魔法にはきっちりとした理論や法則、公式が存在する。教科としての「魔法」は、「魔術」と「魔導」に分かれている。魔法の仕組みや応用について学ぶ「魔導理論」は数学と物理と化学の合わせ技のような教科。魔法を「かける」という表現からも推察できる通り、基本的に目の前に相手がいて初めて意味があるものがほとんど。
なお、本作ではネットを含めたコンピュータ由来の仕組みは魔法世界から輸出されたものであり、電子化への対応では魔法世界の方が進んでいる。
原書
一般的に力があるのは、童話のように長年語り継がれてきたようなもので、映画や漫画のような「若い」物語はメドヘンと契約できるほどの力を持っていないことも多く、原書の増加に比してメドヘンになれる者の数は減少傾向にある。長く受け継がれてきたものは、その時々の契約者が生み出した固有魔法について記録され、それを分析・研究して1から5までの等級をつけられている。例として、原書だけの格付けなら、『かぐや姫』『ブリタニア列王史』は1級に分類される。近年では作者の情念が強い同人誌、いわゆる「薄い本」が増えているとのこと。
契約者やその周囲に害を及ぼす危険な原書は「封印書架(チェインドライブラリー)」に収められる措置がとられ、契約者を持てずただ魔力を絞り取られることになる。
原書が破損すると魔法も壊れてしまい、契約者の記憶や精神にも重大な欠損が及ぶ。原書自体は何十年、何百年という時間をかければ自然に修復されるが、契約者のダメージは基本的に癒せない。
原書図書館
世界中のほぼ全ての図書館は魔法使いが運営しており、一般人の世界に転移魔法の扉がつながる場所も図書館であることが多い。
複合原書(メディアミックス)
原書使い/原書使い見習い(メドヘン)
たった1人で軍隊にも匹敵するという戦争を左右するほどの力を持ち、本気を出せば国家すら相手にできる。戦力としての優秀さゆえに、ドイツ校のように魔力の大きい子供が貧しい家に産まれた場合、謝礼金を対価に身元を引き受けて英才教育を施す仕組みを作っているところもある。通常の魔術理論では説明がつかない現象を引き起こすため、魔法使いの中での突然変異のようなものだともされている。また、小さな1つの世界を魔法として扱えるため、普通の魔法の仕組みを感覚的に理解しやすいという恩恵がある。一方で原書使いは契約した原書に似るという法則があると言われており、実際に原書の登場人物によく似た性格のメドヘンも少なくない。
卒業後の進路としては原書の力で戦うか、研究職かの大きく2つに分けられている。前者には世界中を飛び回りシミや魔法獣と戦う「狩人」、要人や重要施設の警護をする「守人」があり、守人の中でも特に優秀な者は原書図書館を守護する「司書」となり、場合によっては魔法学園の教師も兼任する。こちらの進路を選ぶものはヘクセンナハト出場経験者が多い。後者は既存の魔法とは根本的に違うものを研究し、これまでにない新たな魔法や道具、素材などを生み出すことを目的としており、進路を決めるころになると企業などがこぞってスカウトにやって来る。
固有魔法
普通の魔法とは根本的に違うことと、本人の性格や願望が反映されるために常に変化していることから、その性格な効果や条件を確定させるには何年もの時間がかかる。そのため本人でも効果がよくわかっていない場合も存在する。
ブーフ・ヒュレ
世界魔法
シミ
魔法獣(フレック)
魔法学園
扉の間
始祖の十三人
十三人委員会
執行官
ヘクセンナハト
儀式魔法としての「ヘクセンナハト」は『始祖の書』を要に発動する強大な魔法で、戦う者の資質や状況に合わせてその時点でもっとも相応しい戦場(宴の地)が用意され、大きく攻城戦、占領戦、王冠戦、殲滅戦の4つのルールから派生する。また、世界規模で行われる魔術儀式でもあり、メドヘンたちの戦いによって発生する「白の魔法」が世界を満たすことで、シミなどの「黒の魔法」による浸食が抑えられる。
世界中で戦争が行われていた時代から、原書使いが人を傷つける目的で利用されるのを防ぐために国同士の争いに決着をつける時に用いられており、現在でもそれは変わらない。
ここ100年間はドイツ校のほぼ1強状態。魔法界を守る重要な儀式であると同時に、メドヘンのお披露目という意味合いもあるため、実際優勝狙いの参加者は少ない。
本当の目的は「白紙の頁」を作り出すことだが、システムを作った始祖たちの真の目的は口伝が途絶えたために忘れ去られ、十三人委員会の意思で儀式だけが粛々と執り行われ続けている。
宴の地
ヘクセンナハトの魔法が作り出す異空間。現実世界とは別の法則で成り立っている。ブーフ・ヒュレを失った物は戦闘不能と判断され、戦場の外へと転移させられる。内部では魔法以外でダメージを与えることはできないが、魔法で出した武器などは例外的に有効となる。
始祖の書
白紙の頁(レーレ・ザーテ)
土御門家(つちみかどけ)
福井にある「土御門の里」は、魔法使いとそうでない人間が共存しているというとても珍しい土地で、戦国時代に魔法の力で里を隠して守ったという経緯から土御門家への信頼が極めて高い。隠れ里の住民はみんなのんびりした性格で、異様なまでにもてなし好き。
戦争で日本が孤立した際に十三人委員会のメンバーから外れたことで一気に凋落してしまい、委員会への復位を目指して代々の当主は執行官として働き続けていた。7年前に起きた魔法獣との戦闘で、先代当主の巴をはじめ若い働き盛りの魔法使いを多く失ってしまう。だがジェームズと癒着した委員の一部が巴が戦闘を放棄したと言いがかりをつけて『かぐや姫』を提出させようとしたことから、腐敗に失望した静の判断で袂を別つ。
泰山府君祭(たいざんふくんさい)
レプラコーン
霊脈
熱海
ファイヤキャンディ
ヒヒイロカネ
小説
- 松智洋・StoryWorks、集英社〈ダッシュエックス文庫〉、既刊4巻(2018年4月25日現在)
- 『メルヘン・メドヘン』、2017年2月24日発売、ISBN 978-4-08-631171-7
- 『メルヘン・メドヘン2』、2017年7月25日発売、ISBN 978-4-08-631193-9
- 『メルヘン・メドヘン3』、2017年12月22日発売、ISBN 978-4-08-631218-9
- 『メルヘン・メドヘン4』、2018年4月25日発売、ISBN 978-4-08-631238-7
- オーディオドラマダウンロードシリアルコード付き限定版 ISBN 978-4-08-631228-8
- 伊瀬ネキセ/斧名田マニマニ/慶野由志(著)・松智洋/StoryWorks(原作)・カントク(イラスト)・林けゐ(口絵・挿絵) 『メルヘン・メドヘン フェスト〜魔法少女たちの前日譚〜』、2018年2月23日発売、ISBN 978-4-08-631229-5
- オーディオドラマダウンロードシリアルコード付き限定版 ISBN 978-4-08-631228-8
漫画
『ジャンプスクエア』(集英社)にて、2017年11月号から2018年6月号まで連載。諸国連合との予選までをコミカライズしている。コンテ構成を中村尚儁、漫画を山縣清継が担当している。
- 松智洋/StoryWorks(原作)・カントク(キャラクターデザイン)・中村尚儁(コンテ構成)・山縣清継(漫画) 『メルヘン・メドヘン』 集英社〈ジャンプ・コミックス〉、全2巻
- 2018年1月9日第1刷発行(1月4日発売)、ISBN 978-4-08-881325-7
- 2018年6月9日第1刷発行(6月4日発売)、ISBN 978-4-08-881490-2
テレビアニメ
2018年1月よりAT-X・TOKYO MX・BS11にて放送開始。
2018年3月、作画クオリティ改善のために第9話・第10話の放送が延期され、代わりに第1話・第2話が再放送された。これにより3月中に全12話を放送することが不可能となったため、第10話終了時点で一旦放送を終了。第11話と第12話は当初12月の公開予定と報道されたが、その後再度延期され、2019年4月25日にAT-Xで放送された。 9話の修正版の作画については、ごく一部の美術を除き全カット作り直しとなり、リテイクではなくリメイクであるとした。
スタッフ
- 原案・シリーズ構成 - 松智洋
- 原作 - MMM
- 原案協力 - StoryWorks
- キャラクター原案 - カントク
- 総監督 - 斎藤久
- 監督 - 上田繁、木村卓夫(第11・12話)
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 森川侑紀
- 色彩設計 - 斉藤麻記
- 美術監督 - 下元智子
- 撮影監督 - 村上優作
- 編集 - 廣瀬清志
- 音楽 - rionos
- 音楽制作 - ランティス
- 音響監督 - 森下広人
- 音響製作 - 叶音
- 音楽プロデューサー - 吉江輝成、佐藤純之介
- プロデューサー - 服部健太郎、吉江輝成、礒谷徳知、森田淳、篠崎真哉、林俊安、藍谷厚史
- アニメーションプロデューサー - 永井理
- アニメーション制作 - フッズエンタテインメント
- 製作 - メルヘン・メドヘン製作委員会(NBCユニバーサル・エンターテインメント、バンダイナムコアーツ〈旧ランティス〉、AT-X、DMM GAMES〈旧DMM.comラボ〉、集英社、フッズエンタテインメント、メディコス・エンタテインメント、叶音、日本ナレーション演技研究所)
主題歌
「わたしのための物語 〜My Uncompleted Story〜」
映像は、第5話までは本編のシーンを組み合わせたものを使用しており、第6話から完全版が放送された。また、第8話の後に放送された第1話と第2話の再放送では完全版が使用された。
「sleepland」
「誰もわたしを知らない世界へ」
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
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第一話 | 物語症候群 | 斎藤久 | 上田繁 |
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第二話 | はじめての魔法 |
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第三話 | ヘクセンナハトがやってきた | 日高政光 |
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第四話 | いるべき場所、帰る場所 | 川畑えるきん | 上田繁 |
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第五話 | さよなら、私の魔法 | 名村英敏 |
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第六話 | シンデレラは振り向かない | 斎藤久 | 石橋潤基 |
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第七話 | 正直者の寓話 |
| 小島正幸 | 上田繁 | 立石聖 |
第八話 | 大きなカブを抜け | 佐野隆史 |
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第九話 | 旅は道連れ罠は気まぐれ |
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第十話 | 月の花は二度咲く | 斎藤久 | 小林孝史 |
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第十一話 | 魔弾の黄昏 |
| 藤本義孝 | 小林利充 | |
第十二話 | ハッピーエンドの魔法 |
| 小林博満 | 小島えり |
放送局
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 | 備考 |
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2018年1月11日 - 3月29日 | 木曜 21:00 - 21:30 | AT-X | 日本全域 | CS放送 / 製作参加 / リピート放送あり |
木曜 22:30 - 23:00 | TOKYO MX | 東京都 | ||
2018年1月12日 - 3月30日 | 金曜 2:00 - 2:30(木曜深夜) | BS11 | 日本全域 | BS放送 / 『ANIME+』枠 |
配信開始日 | 配信時間 | 配信サイト |
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2018年1月12日 | 金曜 12:00 更新 | |
金曜 22:00 - 22:30 | ニコニコ生放送 | |
2018年1月16日 | 火曜 12:00 更新 | |
火曜 22:30 - 23:00 | AbemaTV | |
2018年1月17日 | 水曜 0:00 更新 | ビデオパス |
2018年1月19日 | 金曜 12:00 更新 |
BD
Webラジオ
『メルヘン・メドヘン 楠木ともりの見習いラジオ』は鍵村葉月役の楠木ともりがパーソナリティを務めるWebラジオ。2017年11月17日から2018年4月25日まで、音泉、HiBiKi Radio Stationにて配信された。全16回。当初は隔週金曜に更新されていたが、2018年1月12日からは毎週更新となった。また、2018年1月7日から4月1日まで超!A&G+においても毎週日曜14時30分 - 15時に配信された。
ゲスト
・第1・5・15・SP回(11月17日・2018年1月12日・4月13日・10月8日) 末柄里恵
・第1・10回(11月17日・2018年2月16日) Lynn
・第2・6回(12月1日・2018年1月19日) 上田麗奈
・第2・9・15・SP回(12月1日・2018年2月9日・4月13日・10月8日) 加隈亜衣
・第3・7・14・15・SP回(12月15日・2018年2月2日・3月30日・4月13日・10月8日) 日高里菜
・第3・11・12回(12月15日・2018年2月23日・3月2日) 大津愛理
・第4回(12月29日) 岡村明美
・第7回(12月6日) 本渡楓
・第12回(3月2日) 小澤亜李
・第13回(3月23日) 田所あずさ 新田ひより
・第14回(3月30日) 佐藤亜美菜