ベルサイユのばら
以下はWikipediaより引用
要約
『ベルサイユのばら』は、池田理代子による漫画作品。通称「ベルばら」。フランス革命前から革命前期のベルサイユを舞台に、男装の麗人オスカルとフランス王妃マリー・アントワネットらの人生を描く、史実を基にしたフィクション作品。
この項目では、集英社のマーガレットコミックス第1巻から第10巻までを「本編」、第10巻の『外伝』を「黒衣」、第11巻以降の『新エピソード(エピソード編)』を「新」、実業之日本社の『外伝』を「外伝」、朝日新聞出版の『ベルばらKids』を「Kids」と記述する。
概要
1972年21号から1973年52号まで『週刊マーガレット』(集英社)にて連載。フランス・ブルボン朝後期、ルイ15世末期からフランス革命でのアントワネット処刑までを描いている。前半はオスカルとアントワネットの2人を中心に描き、中盤以降はオスカルを主人公として、フランス革命に至る悲劇を描いた。
宝塚歌劇団による舞台化の大成功が作品のヒットに拍車をかけ社会現象化。1970年代末には実写映画やテレビアニメなどが制作された。
オーストリアの作家・シュテファン・ツヴァイクの小説『マリー・アントワネット』に感銘を受けた池田が、同小説を(史実部分の多くは訳文から)参考にして描いた作品。作中で描かれたオスカルのフランス衛兵隊ベルサイユ常駐部隊長時代の軍服は、フランス革命期のものではなく、より豪華絢爛なナポレオン帝政期のものを基にしたとされている。
新書版・文庫版・愛蔵版など多くの単行本が発売され、現在は文庫刊行15周年記念の新装版が発売中。
2014年8月25日に集英社から40年ぶりに新エピソードの単行本が発売される。『新エピソード』ではアンドレ編を雑誌掲載時から15ページ加筆。更に2014年7月1日にマーガレットコミックス1 - 10巻を復刻発売した。
2013年12月時点で累計発行部数は2000万部を突破している。
2022年に50周年を迎えるにあたり、それを記念した展覧会「誕生50周年記念 ベルサイユのばら展 -ベルばらは永遠に-」を同年9月17日から11月20日まで東京・六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビュー(展望台)にて2022年11月20日まで開催、2022年11月30日から2022年12月12日まで阪急うめだ本店で開催され、次年度2023年6月18日からは高知県立文学館で開催される。
2022年9月7日、誕生50周年を記念した完全新作の劇場アニメの制作が発表された。
あらすじ
1755年、ヨーロッパの3つの国に、やがてフランスのベルサイユで宿命的な出会いを待つことになる3人が生まれた。マリー・アントワネット、ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン、そしてオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェである。
1770年春。オーストリア帝国・ハプスブルク家の皇女マリー・アントワネットは14歳でフランスのブルボン家に嫁いできた。王太子妃を護衛する近衛士官オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェは由緒ある将軍家の末娘でありながら、後継ぎとして剣も学問も修め、男として育てられる。異国の宮廷で孤独を深めるアントワネットはパリ・オペラ座の仮面舞踏会でスウェーデンの貴公子フェルゼン伯爵と知り合い、恋に落ちる。3人は共に18歳。運命の出会いの夜だった。
国王ルイ15世逝去により孫のルイ16世が即位。アントワネットはフランスの王妃となった。自己の栄達ばかりを願う人々に囲まれ、おしゃれで遊び好きな王妃の浪費ぶりは国家の財政難に拍車をかけてしまう。重税と貧困に喘ぐフランス民衆の非難の目は長年の敵対国であったオーストリアから嫁いだ王妃に向けられ、折からのフェルゼンとの不倫の噂は一層その憎悪を煽りたてた。そこには幾分かの憶測と国王の力を弱めようとする貴族の悪意を真に受けた誤解も含まれていたが、憎悪を膨らませる民衆の眼には王妃が元凶だとしか映らなかった。道ならぬ恋に苦しむ2人を見守るオスカルもまた秘めたる愛に耐えていたが、オスカルはそんな自身に身分ゆえに想いを口にすることすら出来ずに恋い焦がれるアンドレの想いに微塵も気づいていなかった。
宮廷中の貴婦人の憧れの的であるオスカルの初めての恋、王妃の恋人フェルゼンに対する片恋は叶うことはなかった。彼女の悲しみをそっと見守るオスカルの乳母の孫アンドレ・グランディエ。オスカルとは幼い時から兄弟以上に魂を寄せ合い、青春のすべてを分かち合って生きてきたアンドレ。いつしかアンドレはオスカルを深く愛するようになっていた。しかし、自身の普通の貴族令嬢としての幸福を諦めて男性として生きることと王妃だけを想うフェルゼンに対する片恋の苦悩しか見えないオスカルは、近すぎるアンドレの想いに気づくことが出来なかった。その頃、貴族の屋敷を襲う「黒い騎士」と名乗る盗賊を捕えたオスカルは、その男から民衆の不満の高まりを思い知らされる。それと相前後してコンティ大公妃の舞踏会で外国の伯爵夫人と称して自身と踊った貴婦人がオスカルだと気づいたフェルゼンと決別し、また、近すぎて視界にも入れずにいた不覚ゆえにアンドレの気も狂わんばかりの自身に対する恋心を知るのだった。
黒い騎士ベルナールの訴えでパリ民衆の悲惨な状態を知ったこともあり、オスカルは王宮守護の近衛隊を辞めて衛兵隊を志願した。貧困と貴族の間にすら存在する格差ゆえに荒んだ部下と格闘の末に心を開かせて部隊を掌握した頃、ジャルジェ将軍は結婚話を持ちかける。求婚者は財産目当ての堕落した貴族と思いきや、元部下のジェローデルだった。彼は最初からオスカルを女性として見つめていたのだと告げるジェローデルを突っぱねるオスカル、恐れていた身分の壁の向こうでオスカルが誰かのものになってしまうと動揺するアンドレ。「黒い騎士」騒動の頃より自身を人形扱いしていると父レニエに反発するようになったオスカルは縁談もその一つだと思い込むも実は娘に男性としての人生を強いたことを悔いる父の親心だと母に諭され、自身のものにならないのならと無理心中を図ったアンドレも自身の過失から死刑にされかけてオスカルに救われ、彼女を守るという誓いを思い出してオスカルの毒殺を思い留まる。それを察したオスカルはジェローデルの想いに応えられないと「アンドレが不幸になれば、私も不幸になる。」とアンドレを愛しているかは自身でも理解できないながらも求婚を断る理由を真摯に告げ、それに納得したジェローデルは愛する人の不幸は我が身の不幸と潔く身を引くのだった。
1789年5月5日。僧侶・貴族・平民からなる三部会が開かれた。国王・貴族と平民議員の対立は激化し、革命の色を帯びるのだった。7月13日、衛兵隊にパリ出動命令が下った。オスカルは暴徒に襲われた際に思わず「私のアンドレ」と口走って初めて長年影のように添い愛し続けてくれたアンドレを自身も愛していることを悟り、漸く彼の想いを受け入れる。出動前夜、永遠の愛を誓い2人は結ばれた。
貧しさと王侯貴族の横暴に対する不満を爆発させた民衆の憎悪は革命にと繋がり、その焔は燎原の火のように全土に燃え広がる。オスカルと衛兵隊は民衆側につき、国王軍と戦う決心をする。激しい戦闘のさなか、アンドレが倒れた。そして1789年7月14日、バスティーユ陥落。民衆の勝利の歓声のなかでオスカルは静かに息絶えた。
革命軍は、ベルサイユから国王一家をパリに移し監禁した。幽閉された王妃アントワネットの元に駆けつけ、自身の気持ちを伝えるフェルゼン。アントワネットを愛するがゆえに国王一家の救出に奔走するフェルゼンだったが、運命の歯車を止めることは叶わず、ルイ16世に続きアントワネットもまた処刑された。失意の内に祖国スウェーデンに帰り着いたフェルゼンは1810年の自身の罪の日と呪うヴァレンヌ逃亡失敗の日に民衆によって惨殺されると共に物語は幕を下ろす。
革命の嵐の中で一瞬の生を悔いなく生きた恋人たちの物語。
登場人物
メインキャラクター
マリー・アントワネット
声 - 上田みゆき(TVアニメ、映画版)、雨宮天(webアニメ版)、井上喜久子(旧ドラマCD版)、鈴木達央(新ドラマCD版)
本作の主人公のひとり。オーストリアの女帝マリア・テレジアの皇女。ルイ16世の王妃。美しく誇り高く、人を惹き付ける天性の魅力を持つが、幼い頃から物事を深く考えることができず裏の事情を推察するということができない皇女として致命的な欠点を併せ持つ。オスカルを親友のように思い何でも打ち明け頼りにしている。王妃の公務や世継ぎ誕生を望む周囲の重圧から逃れようと自由で贅沢な生活を送り、フェルゼンとの仲をオスカルに諫められても彼女が女心を理解できていなかったこともあり、愛する以前に恋すらも知らずに嫁いだ政略結婚の苦しさを訴えた。その一方で、ポリニャック夫人だけでなく自身が好意を抱く相手を妄信する癖があり、デュ・バリー夫人との対立の件が個人的な感情ではなく国益を損なう事で、オーストリアの母マリア・テレジアの耳に入ったことには全然気づかずにカウニッツの訓令文を聞き流した際、メルシー伯がテレジアに報告したことに気づかずに不思議に思っていた。周囲を心配させるも王女誕生後は落ち着き、漸く本来の気高さに目覚めるも自身が民衆の言葉に最後まで目を向けずにいたため、また王家の人間は神より統治する使命を授かったという考え(王権神授説)に固執し、守るべき国民を神聖なる使命を汚す暴徒と看做して武力で潰そうとしたことも彼らの怒りの火に油を注ぎ牙を向けられてしまう。兄ルイ・ジョゼフのお見舞いに連れて行って欲しいとねだるルイ・シャルルやマリー・テレーズと共に2人の王弟プロヴァンス伯とアルトア伯の話を偶然立ち聞きしてしまい、ルイ・ジョゼフの死を待ち望み彼が死んでもシャルルがいるとしてもフェルゼンとの不義の子だとの陰口にその場を後にし「なぜ…わたくしにはただ一つの恋もゆるされないの…?」と部屋で泣き崩れていた。既に守るべき国民を敵だと考えていたが、平民だけでなく王侯貴族の中にも敵が潜んでいたことにショックを受けつつ我が子の正統性を守るべく戦うことを決意した。革命勃発後、ベルサイユから脱出しようとヴァレンヌ逃亡を企てるも革命軍に捕まってしまい、パリへ強制送還された直後、逃亡生活の恐怖で美しかったブロンドの髪が「老婆のような白髪」に変わってしまう。後に一家でテュイルリー宮殿からタンプル塔へ移され、コンシェルジュリー牢獄に投獄されたのち、断頭台で処刑された。
史実との比較
史実では2男2女の4子を授かるが、本作では1歳に満たずに夭逝した第2王女マリー・ソフィー・ベアトリスのことは描かれなかった。王侯貴族の中で長年敵対関係にあったオーストリア皇女がルイ16世の妃になったことに反発して憎悪を抱く者により悪評をビラという形でばら撒かれて民衆には浪費家の悪妻だと誤解されていたが、実際には王家が使える宮廷費は国家予算の約6%であり、自身が使える金額はその一部だった。プチ・トリアノンでの生活も外部の想像とは異なっていた。また有名な「パンがなければ」発言も別人の言葉だったが、彼女が発言したことだと思い込んだ民衆の思い違いで憎悪が深まった。
一方で「軽はずみで資質に欠ける王妃」という作中でのマイナス描写や現在も続くイメージは、母マリア・テレジアからの散々の苦言や滅びの預言、ヴァレンヌ事件での彼女の我儘を原因とする迷走と逮捕(作中ではここは触られてないが)など数々の史実的裏付けが存在している。
オーストリア皇女時代のドイツ語名は「マリア・アントーニア」だが、本作では読者の混乱を避けるために最初から「マリー・アントワネット」に統一されている。ジャルジェ夫妻のなれそめの話で名前の1つが父フランツ1世の故国の名であることが語られた。
史実との比較
史実では2男2女の4子を授かるが、本作では1歳に満たずに夭逝した第2王女マリー・ソフィー・ベアトリスのことは描かれなかった。王侯貴族の中で長年敵対関係にあったオーストリア皇女がルイ16世の妃になったことに反発して憎悪を抱く者により悪評をビラという形でばら撒かれて民衆には浪費家の悪妻だと誤解されていたが、実際には王家が使える宮廷費は国家予算の約6%であり、自身が使える金額はその一部だった。プチ・トリアノンでの生活も外部の想像とは異なっていた。また有名な「パンがなければ」発言も別人の言葉だったが、彼女が発言したことだと思い込んだ民衆の思い違いで憎悪が深まった。
一方で「軽はずみで資質に欠ける王妃」という作中でのマイナス描写や現在も続くイメージは、母マリア・テレジアからの散々の苦言や滅びの預言、ヴァレンヌ事件での彼女の我儘を原因とする迷走と逮捕(作中ではここは触られてないが)など数々の史実的裏付けが存在している。
オーストリア皇女時代のドイツ語名は「マリア・アントーニア」だが、本作では読者の混乱を避けるために最初から「マリー・アントワネット」に統一されている。ジャルジェ夫妻のなれそめの話で名前の1つが父フランツ1世の故国の名であることが語られた。
オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ
声 - 田島令子(TVアニメ版)、鈴木れい子(TVアニメ版幼少期)、戸田恵子(映画版)、涼風真世(webアニメ版)、三咲レア(旧ドラマCD版)、森川智之(新ドラマCD版)
ジャルジェ将軍の娘。後継の男児を求める父親の期待に反して女児ばかり5人が生まれた後に生を受けるが、鳴き声のあまりの元気の良さに、父レニエにより後継として育てられた男装の麗人。もう1人の主人公とも言える人物であり、中盤以降から彼女の視点を中心に物語は進んでいく。
女性ゆえに王太子妃付きの近衛士官に選ばれ、フランスとオーストリアの同盟が結ばれて輿入れしたアントワネットを護衛することになった。冷静沈着に見えて父親譲りの沸騰しやすい性格であり、黒い騎士事件の際はアンドレの髪を切って黒い騎士の偽者を演じることを彼に強制して好き勝手に飛び跳ねている髪とは違うと拒絶され、「これでも毎朝苦労してセットしている。」と激怒しており、自身の髪は密かな悩みの種である。
最初からアントワネットに忠誠を誓い尽くしているように見えるが、アントワネットにサロンに誘われるも「女とはいえ武人としてフランスと王室を守ることが務め」と断った直後にデュ・バリー夫人との諍いを面白がって見物したりしていたりするなど、心の底からフランスと王室のために命を賭けていたわけではない。価値観が少々普通と異なっており、出世のために取り入ったり賄賂の授受をする貴族を堕落だと蔑む一方で、アントワネットが(ルイ15世の娘達であるアデライードら)3人の(義理の)叔母に唆され、フランスとオーストリアの同盟の決裂を招きかねない争いを繰り広げる様を見物するだけだった。母親が諍いに巻き込まれて渋々と未来のフランス王妃たるアントワネットを選び、彼女が嫁いで2年後、新春の挨拶でようやくデュ・バリー夫人へ声をかけた件では「王太子妃が娼婦に敗れた」と屈辱に震え泣き崩れる彼女の姿に誠心誠意仕えてゆくことを決意する。しかし、民衆の苦しみを目の当たりにして近衛隊を辞し、フランス衛兵隊に移った。その際、大貴族で苦労知らずの生い立ちゆえに見えなかった現実をアランらに突きつけられる。しばらくして、自身が労咳を患っていることに気づく。革命勃発を機に一市民として衛兵隊を率いて民衆側につき、参戦したバスティーユ襲撃で銃撃により、要塞の陥落を見届けて戦死した。アニメ版では陥落の1時間前に絶命。
原作・アニメ版双方においてフェルゼンに心奪われ、失恋後に強姦されかけるまでアンドレは完全に恋愛対象としては視界になかった。フェルゼンしか視界になかったため、幼い頃から友人として対等な関係を求めたアンドレがあまりに近すぎたことで自身の心に宿るアンドレに対する感情を見誤っていた。
激しやすい性情ゆえに「首飾り事件」の裁判では、ジャンヌのレズ発言で攻撃されカッとなって「ぶった斬ってやる」と剣を抜きかけ、傍聴席からジャンヌに反論しようとして裁判官に厳しく叱責される一幕を演じた。
なお、フェルゼンに対する初めての恋を断ち切るために生涯にただ一度だけドレスを纏い彼と踊ったが、カラーでピンクに見えるも影を付けるつもりで色を足しただけで作者の池田曰く「ウェディングドレスのつもりで着せた」ということで白いドレスである。オダリスク風のデザインになったのは、「ロココ様式のドレスが(オスカルには)似合わないから」とのこと。
アンドレ・グランディエ
声 - 志垣太郎(TVアニメ版)、野崎貴美子(TVアニメ版幼少期)、水島裕(映画版)、FROGMAN(webアニメ版)、三木眞一郎(旧ドラマCD版)、鈴村健一(新ドラマCD版)
ジャルジェ家の馬丁。オスカルの従卒かつ幼馴染。ジャルジェ家の領地の村で育つが、父親はだいぶ前に死んだらしく母子家庭だった模様。母親が死んで唯一の肉親の祖母に引き取られたとのことである。身分の別なく育ったことでオスカルとはタメ口だが、分不相応の特別扱いを気にする祖母にたしなめられることが多い。身分違いの恋に苦しみ、ジェローデルの求婚によりオスカルが奪われると戦々恐々とする日々にのた打ち回り、大貴族であるジャルジェ家では単に貴族の身分を得ただけでは結婚は不可能だという現実が見えなくなる程に貴族の身分を欲した。しかし、貴族との結婚自体が許されない第三身分の平民ではあるが、歴代の王室守護を自負する大貴族の邸宅で何不自由なく育ったこともあり、貧困とは無縁で身分だけしか頭にないことで貴族でも平民より貧しい生活を余儀なくされるアランの怒りを買う。
黒い騎士との戦いで左眼を鞭で打たれ、医師から「指示があるまで包帯を外してはいけない」と言われていたにも関わらず、病身の身でありながらパレ・ロワイヤルへと向かいオスカルを救出するも左眼を完全に失明し、残った右眼にその分の負担がかかったことで徐々にかすみがちになりオスカルを守るべく衛兵隊に入隊し、アランら隊員に「めっかち!」と罵声を浴びる。三部会あたりで完全に盲目になってしまい、失明の事実を祖母や恋敵アランに覚られる。三部会を巡る騒動でレニエに殺されかけたオスカルを救った際、愛していると告げられ相思相愛の仲になる。オスカルとともに革命で民衆側につき戦うが、オスカルを庇って戦死した。
当初はオスカルの伴侶を誰にするかは定まっておらず、候補としても設定されていなかったため、その他大勢の1人として描かれて地味だった。心はオスカル一筋だが、18歳の時にパレ・ロワイヤル界隈の娼婦と経験済み。
アニメ版では、序盤はルイ15世の死を前に居ても立っても居られないオスカルの心情が理解できないのかと声に出してジェローデルを蔑んでおり、従僕としての身分や立場を原作以上に顧みなくなっている。しかし、徐々に従僕としてわきまえた言動に変化する。恋人の時間が持てた原作とは異なり、オスカルと相思相愛になったのと夫婦の契りを交わしたのは衛兵隊B中隊に出動命令が下った直後であり、民衆の時間稼ぎの搖動として死闘を繰り広げた帰路、敵兵に見つかりオスカルが射殺するもその敵兵の撃った流れ弾に心臓を貫かれて死亡した。
ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン
声 - 野沢那智(TVアニメ版)、堀勝之祐(TVアニメ版6〜8話)、富山敬(映画版)、杉田智和(webアニメ版)、家中宏(旧ドラマCD版)、遊佐浩二(新ドラマCD版)
スウェーデン貴族。4人の主人公の1人。容姿端麗で思慮深く知性的な青年。オスカルを親友として慕う。アントワネットを庇ってオスカルが負傷するまで彼女が女性だと知らなかった。長年彼女の自身に対する恋心に気づかなかったが、オスカルがフェルゼンへの恋慕を思い切るために素性を伏せて出席した夜会で踊ったことをきっかけに彼女の心情を知り、決別することになる。自身との醜聞に曝されるアントワネットのことを思い悩み、アメリカ独立戦争に身を投じて彼女のもとを去るが、帰国後は一層彼女の支えとなるべく努める。フランス革命が勃発すると家族の猛反対も同行したじいやの異国の実権を失った国王一家に尽くす必要はないとの反対をも振り切って、約束された母国での将来を捨てて革命の嵐が吹き荒れるフランスに向かった。ヴァレンヌ逃亡の際に全力で準備等をして国王一家を救おうとするが、結局はアントワネットを失う。
その後、故郷のスウェーデンに帰国してからは、アントワネットを失ったことによる失意が民衆への深い憎悪に変わって、心冷たい支配者に変貌してしまう。その憎しみを晴らすかのように民衆を容赦なく弾圧していったことで逆に民衆からの怒りと憎しみを買った末、1810年、遂に弾圧に耐えかねて暴徒と化した民衆の逆襲に遭い、虐殺された。
史実との比較
ロザリー・ラ・モリエール/ロザリー・シャトレ
声 - 吉田理保子(TVアニメ版)、三五美奈子(旧ドラマCD版)、前野智昭(新ドラマCD版)
オスカルがパリの下町で出会った娘であり、彼女を強く慕っている。後にオスカルにとっても実の妹以上の存在となった。母の敵を討つためベルサイユにやってきた彼女をオスカルが引き取り、ジャルジェ家で貴婦人としての教育を受けた。実はポリニャック夫人の生き別れの娘であり、育ての母を馬車で轢き殺したのが実の母であったことを知り懊悩する。「首飾り事件」の際、ポリニャック夫人の脅しにオスカルの身を案じてポリニャック家に去るも、ポリニャック夫人にとっては亡き妹シャルロットの身代わりでしかないことを悟り、下町に戻り暮らしていたところ、黒い騎士を追って負傷したオスカルと再会し、ジャルジェ家へ戻る。黒い騎士ことベルナールの看病をするうちに心通わせるようになり、回復したベルナールと共にジャルジェ家を去った。アントワネットが裁判のためにコンシェルジュリー牢獄に収監された際、彼女が処刑される当日まで身の回りの世話をしていた。原作ではアントワネット処刑の日にリボンを、アニメでは化粧紙で作ったバラを贈られ「このバラにオスカルの好きな色をつけて下さいな。」と頼まれた。
『栄光のナポレオン-エロイカ』でもオスカルに対する慕情は強く、一生分の片恋をオスカルに対して抱いたことで結婚はしないだろうアランを心配する夫ベルナールの目の前で「オスカル様はあたしのよー!」と叫んで呆れられた。お人好しは変わらず、生活は楽とは言えないのに同居人を置いたりした。しかし、その同居人は王党派を隠してフーシェに情報を流すスパイだったため、知らずに夫の仕事に深刻な妨害を与える原因になり、ナポレオン暗殺を実行するも失敗してベルナールと友人のアランを失い、亡命したスウェーデンでしばらくは寝込む程に衝撃を受けるが、ナポレオンに対する憎悪に囚われた息子フランソワに個人的憎悪を抱いてはいけないと諭し民主共和制の尊さを説くのだった。
史実との比較
モデルは、平民の靴職人の娘でコンシェルジュリーでアントワネットに仕えた文盲の女中「マリー・ロザリー・ドラモルリエール(Marie-Rosalie Delamorlière)」である。革命当時に教会や聖職者が弾圧された宗教事情ゆえに聖母マリアを想起させるファーストネーム「マリー」と貴族の姓の前に付く「ド」と同じ響きの「ドラモルリエール」の「ド」を隠して「ロザリー・ラモルリエール(Rosalie Lamorlière)」」と名乗っていた。生涯独身だったが、一人娘がいた。後年、当時を振り返り手記を残した。アントワネットが処刑される日、彼女の髪を切り白いリボンを渡された。
ジャルジェ家
レニエ・ド・ジャルジェ(fr)
声 - 内海賢二(TVアニメ、映画版)、藤城裕士(旧ドラマCD版)、遠藤大智(新ドラマCD版)
オスカルの父。ジャルジェ伯爵家当主で、フランス王家に忠誠を捧げる将軍。後継となる男児を欲していたが、女児が最期まで続いて男の子のように元気の良い泣き声に末娘オスカルを後継として厳しく育てる。しかし、後年はその選択を父親として後悔していた。革命の激化によりオスカルの身を案じて結婚させようと考えていた矢先、ジェローデルの求婚を喜び広く花婿を募集した。しかし、結局は断念。オスカルが革命側に付いたのに対し、娘と共に革命側について戦ったアランに国内に留まるのは危険だと忠告されても最後まで王室に忠誠を尽くした。オスカルが民衆と共に歩むことを選んだように、王室に対する忠誠を貫くことが自身の選んだ道だと告げた。議場からの平民議員の排除を命じられたジェローデルら近衛連隊を阻止という反逆行為を犯したオスカルを成敗しようとした際、他の貴族が全員平民に与してもジャルジェ家は王室に不滅の忠誠を尽くすのだと告げた筋金入りの王党派である。物語終盤、国王一家に面会する為にティルリー宮へ忍び込もうとするフェルゼンの無謀を「殺されに行くようなものだ!」と諌めるもフェルゼンの覚悟を知り、またフェルゼンが亡くなった娘のオスカルを「生涯最高の友人」と言ってくれたことに感激して協力者となる。フェルゼンと共にアントワネットをコンシェルジュリー牢獄から脱出・逃亡させようとするもマリー・テレーズとルイ・シャルルを置いて自分自身だけが逃げれば母親として地獄の苦しみを味わい幸福にはなれないと拒否され、逆に国外に脱出するよう命じられた。青年時代、ルイ15世の密使として訪れたロレーヌ公国で灼熱の恋を経て妻ジョルジェットを娶った。意外にも激情家であり、当初は貧乏貴族の娘なぞをと許さなかった主君ルイ15世に背いてもジョルジェットを求めたほどだった。その激しさは末娘に受け継がれてしまう。
男児に恵まれずにオスカルを息子として育てるが、我が子を危険に晒したくないという親心はあり、大きな戦いもなく安泰な世の中で宮廷中が恋愛に明け暮れる近衛隊、アントワネット付きならば安全だろうと考えてのことだった。
身分ゆえにアンドレがオスカルを愛していることを知った時は貴族の婚姻は国王の許可が必要だと激怒するが、内心、アンドレを息子のように大切に思っている。オスカルを士官学校に入れた時も、近衛隊に入隊させた時も、オスカルが勝手にフランス衛兵隊に移った時も断じて末娘を単独で行動させることはなくアンドレに護衛を命じていた。オスカルを深く愛しているが、アンドレのことも息子のように慈しんでおり、ばあやの存在が重いがゆえにアンドレが死ねば生きてはいないばあやのことを計算に入れてのオスカルの命を救おうとしたアンドレの知能犯ぶりに呆れていた。
史実との比較
モデルは、王党派の軍人「フランソワ・オーギュスタン・オーギュスト・レーニエ・シュバリエ・ド・ジャルジェ(フランス語では正確に発音すると「ジャルジャイュ」)」である。マリー=アンヌ・ルイーズ・ブルセ・ド・ラ・セーニュ(Marie-Anne Louise Bourcet de la Saigne)と結婚して2人の子を儲けるが、妻は1786年に病死。その翌年、カンパン夫人と同じくアントワネットの部屋付き第一侍女を務める未亡人ルイーズ・ド・ラボルド(Louise Marguerite Émilie Henriette Quetpée de Laborde)と再婚した。史実では、コンシェルジュリー牢獄に救出作戦を告げにアントワネットに面会したのは別人だった。オスカルの父と同様に、王室に忠誠を誓い尽くした。
史実との比較
モデルは、王党派の軍人「フランソワ・オーギュスタン・オーギュスト・レーニエ・シュバリエ・ド・ジャルジェ(フランス語では正確に発音すると「ジャルジャイュ」)」である。マリー=アンヌ・ルイーズ・ブルセ・ド・ラ・セーニュ(Marie-Anne Louise Bourcet de la Saigne)と結婚して2人の子を儲けるが、妻は1786年に病死。その翌年、カンパン夫人と同じくアントワネットの部屋付き第一侍女を務める未亡人ルイーズ・ド・ラボルド(Louise Marguerite Émilie Henriette Quetpée de Laborde)と再婚した。史実では、コンシェルジュリー牢獄に救出作戦を告げにアントワネットに面会したのは別人だった。オスカルの父と同様に、王室に忠誠を誓い尽くした。
ジャルジェ伯夫人
声 - 菊池紘子(TVアニメ版)
オスカルの母。物静かで心優しい貴婦人。ファーストネームは「ジョルジェット」であり、ロレーヌ公国の貧乏ながらルイ13世の宮廷画家を務めたジョルジュ・ド・ラ・トゥールの曽孫であることが明かされるも旧姓は不明。
アントワネットの首席侍女になったことでデュ・バリー夫人の怒りを買い罠に嵌められるが、オスカルが現れたことで難を逃れた。フランス衛兵隊の部下と共に革命側に走った末娘オスカルが戦死したため、その悲しみから立ち直ることが出来ずに亡くなった。女性だと自覚しても父の意思に従って男性・軍人として生きるオスカルの心の拠り所であり、男性として生きろと命じながら結婚をと言い出した父親に反発するオスカルに嵐に飛び込もうとする愛娘を温かな家庭を持たせて女性としての幸福を与えたいとの親心を説き、後継の男児に恵まれずにオスカルに男性としての人生を強いたことを夫が後悔していることを告げた。
ばあや
声 - 京田尚子(TVアニメ版)、梨羽由紀子(映画版)、間宮淳司(新ドラマCD版)
オスカルの乳母。アンドレの母方の祖母で本名は「マロン・グラッセ・モンブラン」だが、オスカルの肖像画を描いた画家がプロポーズしようとした際に呼んだ以外は呼ばれることの無かった。口やかましく心配性だが、心からオスカルを愛している。主人であるジャルジェ将軍が、オスカルを男として育てる方針に真っ先に反対した。そのため、ポリニャック伯夫人の刺客に襲われてオスカルが重傷を負った際、ジャルジェ将軍を睨みつけて非難するも泣き出し、慌てたジャルジェ将軍に酒でも飲もうと宥められ台所に連れて行かれた。
ジェローデルがオスカルにプロポーズしてジャルジェ将軍が乗り気だった結婚騒動の際、原作とアニメ版では反応が異なっており、原作では今更とオスカルに齎された縁談を嫌がり、アニメ版では大切なお嬢様に女性としての幸福が訪れたと喜んでいた。また、ジェローデルを迎えての晩餐会の準備中、オスカルを殺して自殺しようとして仕事をさぼったアンドレに文句を並べつつ「可哀想に、馬鹿な子だよ。」と呟き孫がお嬢様に恋心を抱いていることを察しており、その直後、アンドレの失明にも気づく。フランス革命直前、病に倒れた。オスカルとアンドレの造反と戦死の報に沈むジャルジェ家に画家の先生(後述)がプロポーズしようと訪れるが、既に息を引き取っていた。画家を愛していたか否かは特に描写は無かった。
オスカルに何かあれば本人の自業自得でもアンドレにヤキを入れるが、唯一残された肉親である孫息子を深く愛しており、アンドレが死ねば生きてはいない。オスカルが謀反人としてジャルジェ将軍に成敗されかけた際にアンドレが彼女の代わりに自分自身を殺して欲しいとオスカルの命乞いをするが、アンドレを殺せば祖母が生きてはいない程に愛していることを熟知してこその捨て身の作戦だと察していたジャルジェ将軍は苦笑した。事実、アンドレとオスカルが相次いで戦死した直後、画家がプロポーズに訪れた際、既に息絶えて眠るように横たわっていた。アニメでは、画家との喧嘩も恋愛模様も無かったことに変更された。
コミックス第11巻に収録されたエピソード1ではオスカルとアンドレの戦死後、アンドレが貰ったリボンを元の持ち主の幼馴染クリスティーヌに返しに行った。本編でオスカル戦死直後に亡くなったとしか映らない描写だったが、実は病死するまでに数日の間があったという設定だった。しかし、非常にわかりにくかったため、読者の混乱を招いた。
ラソンヌ先生(fr)
声 - 飯塚昭三(TVアニメ版)
ジャルジェ家の主治医。アニメ版のオリジナル・キャラ。代々医師をしてジャルジェ家の世話になっている世襲医。「医師」という役名で第8話では落馬したオスカルの、第18話ではポリニャック一味に襲撃されたオスカルの診療にあたっている。個人名初出ではアンドレの眼の治療やオスカルの胸の病の診療にあたる。オスカルが3歳の時に熱を出した時検診に与ったとオスカルの診察時に回顧しており、それが真実(余命)を彼女に宣告するきっかけとなった。失明するのは時間の問題だということをアンドレは隠していたが、口止めはしていなかったのでオスカルに知られてしまう。
王家の人々
ルイ16世
声 - 安原義人(TVアニメ版)、井上和彦(映画版)、FROGMAN(webアニメ版)、桜井敏治(旧ドラマCD版)
フランス国王。アントワネットの夫。祖父ルイ15世の崩御により即位。趣味は読書と鍛冶と狩猟。小太りでおとなしく優柔不断だが、真面目で家庭的な優しい性格で、国民からも慕われていた。しかし、ヴァレンヌ事件をきっかけに国民の信頼を失って処刑される。タンプル塔へ移される直前、フェルゼンから再び逃亡計画を持ちかけられるものの、国民はおろか国外へ逃亡した貴族達からも見放された事から、「もはや私は 世界中から見捨てられてしまった…」とつぶやいていた。
あまりにも美しくて魅力的な妻に愛していると告げることは出来ず、王妃としての義務を果たした彼女がフェルゼンと恋仲になっても責めることなど出来ないと痛む心を隠し、アントワネットが「フェルゼンに帰国命令を出しましょう」と告げるも彼の人柄を知っていたので思い留まらせた。
アデライード内親王、ヴィクトワール内親王、ソフィー内親王
声 - 近藤多佳子(アデライード、TVアニメ版)、木村有里(ヴィクトワール、TVアニメ版)、本山可久子(ソフィー、TVアニメ版)
順にルイ15世の4女、5女、6女。ルイ16世の叔母でもある。
フランスとオーストリアの同盟の破綻による戦争の危機より、自分達のデュ・バリー伯夫人に対する憎悪を優先させて宮廷内に不和を引き起こし、その騒動にアントワネットを巻き込んだ。娼婦で父ルイ15世の愛妾デュ・バリー伯夫人を毛嫌いし、アントワネットにデュ・バリー伯夫人を無視するよう唆す。オスカル曰く「オールドミスの叔母君たち」。舞踏会でアントワネットがデュ・バリー伯夫人に声をかけようとするのを阻止するため、アデライードが寸前でアントワネットを連れ出した。ルイ15世の死去により、王女としての栄光は終わった。
オルレアン公フィリップ
声 - 市川治(TVアニメ版初代)、仁内建之(TVアニメ版2代目)
フランス王族の一人で、フルネームは「ルイ・フィリップ・ジョセフ・ド・オルレアン」。
居城のパレ・ロワイヤルを平民の文化人たちに解放しており、黒い騎士の根城にもなっていた。
1回きりしか出番のなかった原作とは異なり、アニメ版ではアントワネットのフランス入り阻止を企むなど、王位を狙って様々な策謀を巡らせ、そのために最も邪魔なオスカルを排除しようと暗躍する。初期は露骨に野心剥き出しで高圧的な命令口調だったが、黒い騎士事件の折は物静かな紳士的な丁寧口調で巨悪らしさを醸し出していた。
続編『栄光のナポレオン-エロイカ』の中盤で甥のアンギアン公が登場するが、冤罪事件で処刑されてしまう。
史実との比較
史実では、王妃マリー・アントワネットを盛んに中傷し、その政敵であったことでも知られており、王位を狙ってイメージ戦略でアントワネットの評判を悪くし、「首飾り事件」を攻撃材料として利用した。王政復古を狙うデュムーリエ将軍によるオルレアン公擁立の陰謀が破綻し、ルイ14世の庶系のパンティエーヴル公爵ルイ・ジャン・マリーの娘ルイーズ・マリーとの間に生を受けた嫡男ルイ・フィリップが革命政府に叛旗を翻したデュムーリエと共にオーストリア軍に投降したため、ジロンド派によって共和制転覆の嫌疑をかけられ、財産没収の上に逮捕された。無実を訴えるも有罪とされ、ルイ16世が処刑された同じ年の1793年11月6日の夕刻、断頭台の露と消えた。自身が王位に就くことはなかったが、嫡男ルイ・フィリップが国民の怒りを買って英国に追放されるまで七月王政のルイ・フィリップ1世として王位に就く。
アルトア伯
エリザベス内親王
マリー・テレーズ
ルイ・ジョゼフ
声 - 松尾佳子(TVアニメ版)
王太子(モンセニュール)(ドーファン)。アントワネットの長男。病弱だが聡明な少年で、オスカルに憧れている。脊椎カリエスのため僅か7歳で死去。亡くなる直前、オスカルと遠駆けに行った先でオスカルに愛を告白し、キスしていた。葬儀の際、財務大臣が「国庫は空っぽで葬儀費用が無い」と打ち明け、ルイ16世は銀の食器を売り払って葬儀費用を捻出したが、もはや王室には一国の王太子である彼の葬式を出す費用すらなく「これまでの贅沢の報いだというの!?」とアントワネットは愕然とする。
ルイ・シャルル
声 - 三田ゆう子(TVアニメ版)
アントワネットの次男。ノルマンディー公。兄の死後、王太子となる。父王の処刑後、アントワネットと引き離される。作中では市民と陽気に歌ったり楽しそうに笑いながら母や姉のことを忘れていってしまう。
史実との比較
史実では劣悪な環境に置かれて矯激派のエベールにより後見人兼教育係として指名された文盲の靴屋アントワーヌ・シモンに「再教育」という名目で虐待され、わずか10歳で不幸な死を遂げた。(嫡流の男子でもあったため、王政復活の芽を絶つために革命政府の意向で抹殺された可能性もある。)
マリア・テレジア
声 - 北村昌子(TVアニメ版)、上野アサ(webアニメ版)
アントワネットの母。オーストリア女帝。フランスとの戦争終結のために末娘のアントワネットをフランス王太子妃として送り出すが、彼女の性情を熟知していたので取り返しのつかない過ちを犯したのではと別れ際まで内心迷いを捨てきれなかった。アントワネットの未来を案じており、彼女が次第に贅沢三昧の日々を送るようになった挙げ句、小トリアノン宮に取り巻きだけを連れて閉じこもったことを知ったショックで病に倒れ、長男のヨーゼフ皇帝(声 - 松岡文雄(TVアニメ版) )や臣下の見守る中で亡くなった。原作では寝込んだ末に、アニメ版ではいつもの女帝としての装いで玉座に坐して亡くなった。
貴族
ポリニャック伯夫人
声 - 武藤礼子(TVアニメ版)、羽多野渉(新ドラマCD版)
ジュール・ド・ポリニャック伯爵の妻。アントワネットから寵愛されている貴婦人。ファーストネーム「マルティーヌ・ガブリエル」を長らく明かされなかったが、アンドレが調べていてロザリーの実母だと判明した。婚家は宮廷への出入りは認められていたが、多額の借金を抱えて貧しかった為、王妃に言葉巧みに親族の昇進をねだったり、賭博を勧めて大金を巻き上げたりと優しげな外見に反してその本性は強欲な野心家。邪魔者であるオスカルの殺害も何度か図っている。舞踏会で再会した時はロザリーが少女時代にサン・レミー男爵に孕まされて産んだ我が子だとは気づかなかったが、後に娘だと知り自身が馬車で轢き殺した女性こそ、ロザリーを引き取り育ててくれた恩人ニコールであったことを悟った時はニコールとロザリーに対する冷酷な所業を悔いていた。
シャルロットの死後、ジャンヌが起こした「首飾り事件」でロザリーを脅してポリニャック家へ引き取るが、徐々にアントワネットの寵愛を失うと危機感を抱き、ロザリーを好色な高位貴族のド・ギーシュ公の元へ嫁がせようとし、愛想をつかしたロザリーに出て行かれてしまう。フランス革命が本格化してきた頃、一族でフランスから亡命した。
アニメ版では、ロザリーを出産した15歳当時は「マルティーヌ・ガブリエル」だったが、結婚後にファーストネームを「シャロン」に変更。ロザリーの父、そしてニコールとの繋がりも明言されていない。
シャルロット・ド・ポリニャック
声 - 小宮和枝(TVアニメ版)
ポリニャック伯夫人の娘。11歳。ロザリーの異父妹。貧しかった時には母の用意したドレスに目を輝かせていたが、母の権力を背景に、舞踏会などで高飛車な態度で振舞った事もある。オスカルに想いを寄せており、母の決めたド・ギーシュ公爵の不気味なまでの好色な雰囲気に怯え、その結婚を嫌悪して「今度産まれてくる時は貴族じゃない家の子になるわ」と思いつつ投身自殺する。アニメ版ではド・ギーシュ公爵に不気味な目つきで言い寄られ、強引に手にキスをされたことで嫌悪と恐怖のあまりに発狂。狂気の衝動のままに塔に登り、そのまま投身自殺した。
原作では、当初ロザリーを見下していたが、後に結婚の事で落ち込む自分を慰めてくれたことで「姉のようだ」と親しみを感じるも最期まで実の姉妹だと知ることはなかった。アニメ版では数回言葉を交わしただけで、和解することはなかった。
原作では登場はしないが弟妹がいる。物語前半で、「ポリニャック伯夫人が出産のため宮廷を下がっている」(オスカル談)と言う場面がある。
ド・ギーシュ公爵
声 - 石田太郎(TVアニメ版)
フランス大貴族の一人で、フルネームは「ローラン・ド・ギーシュ」。
会計検査庁長官を務め、国王の信頼も厚い。ボナージュ地方のほぼ全域を領有している。43歳。
若い娘が好みでポリニャック伯夫人から提示されたシャルロットとの結婚に乗り気でいた。シャルロットの自殺後は彼女の姉、ロザリーとの結婚を心待ちにしていたが逃げられる。
本人が登場するのはアニメ版のみで、原作では名前のみの登場。
ド・ギーシュ公爵自体は実在の人物なのだが、本作に登場するのは全くの別人。
ド・ゲネメ公爵
声 - 寺島幹夫(TVアニメ版)
フランス大貴族の一人で、フルネームは「アンリ・サルバドール・ド・ゲメネ」。
オルレアン公の派閥で、王族限定の晩餐会にも列席するほどの地位を有する。
尊大さと高慢さを見事なまでに体現した男で、身分の低い者を虫けら呼ばわりし、笑いながら騙し討ちをする冷酷非道な卑劣漢。
ピエール坊やを背後から嘲笑しながら銃殺した件を国王夫妻との晩餐会でオスカルから暴露され、あわや決闘寸前になるが、アントワネットに止められ、内心では安堵していた。
アニメ版では暴露されたことに激昂し、さらには「思い上がりはどちらだ。公爵なら何をしても許されるというのか? それでもあなたは貴族か」と直言されたことで、怒りのままに手袋でオスカルの頬を叩いて決闘が決まってしまう。そこで、かねてからオスカルの抹殺を企んでいたオルレアン公と結託し、後日の夜明け前に決闘を仕掛けた上で不利な条件に持ち込んでオスカルを射殺しようとした。しかし、あと一歩のところで予測より早く日が昇ってしまったため、オスカルに目論見を悟られて銃弾をピストルで防がれた揚句、逆に持ち手だった右手を撃ち抜かれた。
ピストルの腕前は非常に高く、本編の前年に行なわれたフランスでの射撃大会で二位の成績を取ったほど。
ちなみにアニメ版では「ゲメネ公爵」または「ゲメネ公」と呼ばれることがあった。
ド・ローネー侯爵
声 - 仲木隆司(旧ドラマCD版)
7月14日当時、バスティーユ牢獄の指揮・警備をしていた。
牢獄内の大砲をパリ中心部へと向け、市民との対決姿勢を表した。オスカル率いる衛兵隊と戦闘を続けるも、衛兵隊と市民の圧倒的な戦力に押され、降伏の白旗を掲げる。その後パリ市長フレッセルと共に処刑され、首は落とされてパリ市中で晒される。
ノアイユ伯夫人(en)
メルシー伯
声 - 村越伊知郎(TVアニメ版)、鈴木千尋(新ドラマCD版)
アントワネットを心配したマリア・テレジアが派遣した駐仏オーストリア大使。アントワネットの教育係でもある。耳の痛い小言ばかり言うが、アントワネットを心配してのことであり、真の忠誠心をもって仕えている。アントワネットに対し、母マリア・テレジアの死に対してお悔やみの手紙を書くように話す場面を最後に姿が見えなくなるが、首飾り事件直後、フェルゼンがアントワネットに「メルシー伯の元へお戻り下さい」と忠告したり、革命勃発直前にマリー・テレーズが「メルシー伯が怖い顔をしている」と訴えていることから、実は周囲にいる様子が窺えた。革命発生後にベルギーに亡命する。
カウニッツ
声 - 田中康郎(TVアニメ版)
オーストリアの総理大臣。ヨーロッパの平和のためにアントワネットのフランスへの輿入れを提案した。女帝の意を挺し、フランス宮廷の公式寵姫であるデュバリー夫人に対する態度を改めるようアントワネットに訓令を出した。アントワネットが呼んだ渾名は「カウニッツのがりがりじじぃ」。
ソフィア・フォン・フェルゼン(en)
カロンヌ
ネッケルの後任の大蔵大臣。財政が危うくなったので貴族からも税金をと提案するが、激怒した貴族議会によって全会一致で罷免された。この腹いせに王室の財政赤字を書類にまとめ、彼が街頭演説する形で市井に暴露した。この行動がバスティーユ襲撃の引き金となる。
ロメニー・ド・ブリエンヌ
リアンクール公(en)
声 - 小室正幸(旧ドラマCD版)
ルイ16世の側近。公爵。原作のみ登場。深夜にベルサイユ宮へと現れ、兵士の制止を振り切りルイ16世の寝所へ行きバスティーユ襲撃を報告する時、暴動かと訝る国王に「いいえ陛下、革命にございます…!」と言上した。
フルネームは「フランソワ・アレクサンドル・フレデリク・ド・ラ・ロシュフーコー=リアンクール」。フランス有数の名門貴族リアンクール家の当主デスティザック公フランソワ・アルマン・ド・ラ・ロシュフコーの嫡男として生を受けた。1783年、亡くなった父の官職を継承して国王ルイ16世に取り立てられて側近の1人になり、「王室衣裳寮長官」に就任したがゆえに国王の寝室に入る資格を与えられ、就寝中のルイ16世の元に馳せ参じてバスティーユ襲撃を報告した。
フェルゼンの父
ファビアン・フォン・フェルゼン
トゥルゼル夫人
ラ・ファイエット侯
ドルーブレゼ侯(fr)
オノレ・ガブリエル・ド・ミラボー伯爵
ディアンヌ・ド・ソワソン
声 - 武内健(新ドラマCD版)
アランの妹。愛らしく清楚で、衛兵隊のアイドル。元は「ディオンヌ」だった。以前、オスカルが着任する前の隊長に司令官室へ無理矢理引っ張り込まれ乱暴されそうになったが、兄アランが顎を砕いて返り討ちにした。そのため、アランは少尉→兵卒に降格処分になった。
名ばかりの貴族ということと貧しさ、平民の裕福な娘に心変わりした婚約者に捨てられ、首を吊る。原作では肉体は腐敗して白骨化しつつある姿が描かれたが、アニメでは血の気が失せた状態で姿は可愛らしいままだった。エピソード4「アラン編」でアランは元婚約者を射殺しようとしたのを断念した際、兄の心の中で助けてくれたことに感謝していた。
軍関係者
アラン・ド・ソワソン
声 - キートン山田(TVアニメ、映画版)、子安武人(旧ドラマCD版)、中井和哉(新ドラマCD版)
フランス第一連隊ことフランス衛兵隊ベルサイユ常駐B中隊の班長。男尊女卑の塊で、妹を守るためとはいえ先代の隊長を殴って降格されて規則により元の階級には戻れず、自暴自棄となって反抗を繰り返す。紆余曲折の末に、オスカルに一生分の片想いと上官としての敬愛を抱く。剣の腕ではオスカルと互角。バスティーユ襲撃の際にオスカルを庇って肩に銃撃を受けた。アニメ版ではアンドレの飲み友達として登場し、同年代の友人としてアンドレを支えた。バスティーユ襲撃の後、海辺の郷里に戻り農夫になって畑を耕しながら母と妹の墓を守っている。劇的な描写が好きな原作者はこの農夫アランの後日譚を人づてに聞いて驚いたが、『栄光のナポレオン-エロイカ』にも登場させることはだいぶ前から決めており、ベルナールと共にナポレオンを暗殺に失敗して射殺された。『ベルばら』本編がもっと続いていたら、衛兵隊の中で唯一の生き残りとし、隻腕の将軍とする予定だった。
ヴィクトール・クレマン・ド・ジェローデル
声 - 三景啓司(TVアニメ版)、岸尾だいすけ(新ドラマCD版)
近衛隊でのオスカルの副官。ジェローデル伯爵家の次男。アニメ版では第1話から登場していた。階級は大尉→少佐→大佐。
オスカルがフランス衛兵隊に去った後、彼女の推挙により近衛連隊長を拝命。後日、オスカルが去ったことで初めて彼女を女性として見ることしか出来ず、愛していることに気づいてジャルジェ将軍にオスカルとの結婚を願い出た。しかし、アンドレが不幸になれば自身もまた不幸になると語ったオスカルの心情を聞かされて納得し「貴方が不幸になるなら自身もまた不幸になる。」と告げて潔く身を引く。自身の容姿や家柄に自信を持ち気障な男性だが、オスカルの女性としての密かな葛藤をも見抜いている。洗練された貴公子であり、身分・家柄も良くオスカルの夫候補に相応しいものだった。アニメ版ではそれらは一切削除され、ジャルジェ将軍に婚活舞踏会での顛末を告げて縁談は終わっている。生前のオスカルを見たのは原作・アニメ共に、平民議員排除を彼女に従って背き、撤退したのが最後でこれが今生の別れとなった。
新エピソードが収録された『ベルサイユのばら』第11巻では第3巻の初登場時のジェローデルが再び掲載されているが、その他大勢の一隊長として登場しているので編集者から「新エピソードでここまで出世するとは作者や誰もが予想できなかっただろう」と述べている。
元々は名前が無く、「ヴィクトール・クレマン」とはアニメで命名されたものであり、新エピソードでは「フローリアン・F」という名が設定された。
ブイエ将軍
声 - 増岡弘(TVアニメ版)、飯塚昭三(TVアニメ版1話のみ)、荻野晴郎(新ドラマCD版)
王党派軍人。陸軍参謀総長→陸軍総司令官。貴族としての階級は侯爵。フランス衛兵隊異動後のオスカルの上司。原作ではジャルジェ将軍とは仲が悪い。アニメ版では古い友人であり第一話から同僚として登場しており、オスカルの結婚話の時には彼女のために盛大に舞踏会を開く程の仲だった。三部会議場でのオスカルの大逆によりジャルジェ将軍を庇いきれなくなる。オスカルに平民議員や市民への発砲を命じる。
原作と史実ではヴァレンヌ事件にあっては国王一家救出に失敗した。フェルゼンの危惧を一笑に付すも的中してしまい、最初の場所で民家に近い場所に兵士を配置して不審がられて撤退を余儀なくされ、次では待ちくたびれた兵士が酔っぱらって騒ぎを起こした上で国王一家は来ないと勝手に決めつけて去ってしまう。更には、連絡将校として2人の息子が国王一行の元に赴いたが、権限が無いにも関わらず警鐘を鳴らしたジャコバン派のドルーエの起こした騒ぎに仰天して計画が発覚したと勘違いして逃げ去ってしまう。辿り着いた頃には既に国王一家がドルーエらの手に落ちており、「まごまごしていては こちらが危ない」と退却ラッパを鳴らし、ベルギーの国境都市でフェルゼンに事の次第を打ち明けた。
ショワズィエ・ラ・ボーム大佐 (fr)
ダグー大佐(en)
ラサール・ドレッセル
声 - 井口成人(TVアニメ版)
フランス衛兵隊B中隊隊員。軍から支給された剣(アニメ版では制式銃)を売ったことが発覚して憲兵隊に逮捕されるが、それを機にオスカルは平民兵士や民衆がいかに困窮しているかを知る。アニメではその後、隊長オスカルがスペイン王室より来賓したアルデロス公御一家を護衛した功績を持ち出してブイエ将軍に直談判、ラサールは憲兵隊から釈放される。革命派と合流後は、仲間を殺された怒りと悲しみから逆上して敵部隊に突進し、蜂の巣にされた。
ランベスク公
声 - 吉水慶(TVアニメ版)
王妃の信厚き王党派軍人。他の連隊同様、市民の暴動を鎮圧すべく地方駐屯よりパリに上る。ドイツ人騎兵連隊を率いて、チュイルリー広場を占拠する。民衆の挑発に乗った兵の発砲から暴動に発展する。陸軍を除隊したオスカルたち元B中隊と応戦した。
革命派
ベルナール・シャトレ
声 - 野島昭生(TVアニメ、映画版)、関俊彦(旧ドラマCD版)、羽多野渉(新ドラマCD版)
ル・ヴュー・コルドリエ紙の新聞記者。カミーユ・デムーランがモデル。1760年生まれ。生い立ちから貴族を憎み、オスカルを「王妃の犬」と罵声を浴びせた。その後、義賊「黒い騎士」として貴族から盗みを働く。オスカルに捕えられるが、平民の実態を知ったオスカルは窃盗を止めることを条件にロザリーを託し街へと帰される。アニメ版ではロザリーはジャルジェ邸には戻らなかったため、静養先として彼女の家に向かい、ロザリーが養母を亡くした時のこともあって次第に惹かれ合うという設定に変更された。
アランと同じく『栄光のナポレオン-エロイカ』にも登場し、そこではロザリーとの夫婦円満ぶりが描かれている。アランと共にナポレオン暗殺を実行しようとして失敗、壮絶な最期を遂げた。
「首飾り事件」でも裁かれるべきは真相や物事の善悪よりもアントワネットの悪事だと信じる人間の1人であり、生い立ちによる王侯貴族に対する闇雲な憎悪と「王侯貴族は悪」という価値観を持ち続けたため、ナポレオンが皇帝に就く直前にフーシェとタレイランによって濡れ衣を着せられ裁判を受けられずに処刑されたアンギアン公の冤罪事件による暗殺を気の毒がるロザリーを不思議がり、ただ共和国にとって危険度の低い貴族が死んだという認識だった。
マクシミリアン・ド・ロベスピエール
オスカルが領地のアラスで出会った弁護士。平民だが、代々、姓の前に「ド」を付けている。ルイ16世即位の時には総代としてルイ・ル・グラン学院で祝辞を述べる。後にアルトア州選出議員となり三部会で再会する。ある大雨の日に開催された三部会で、平民議員は正面玄関を通らせてもらえず、ドルー・ブレゼ候から「裏口へまわってもらう」と言われ、「彼らはれっきとした国民の代表なんだぞ!!」と抗議するオスカルを窘め、自分達で今の体制を変えるという情熱をオスカルに語った。
原作では貧しい平民の味方で、情熱的な革命家という造形だが、アニメ版では革命の気運が高まるに連れて過激化し、手段を選ばなくなるなど、後の恐怖政治を暗示させている。
6歳の時に母を失い、父親から3人の弟妹と共に捨てられてしまった過去をベルナールが熱く語った。
ルイ・アントワーヌ・レオン・フロレル・ド・サン・ジュスト
ベルナールの遠縁に当たる青年。雨の中で見かけたオスカルは「男装の麗人」だと見間違えるが、れっきとした男性。エロ小説(本人曰く芸術)「オルガン」を出版したことがきっかけで警察に追われる身だったが、アランら救出のための演説をベルナールに依頼すべく訪れたオスカルを自身を逮捕に来たと勘違いし、射殺しようとして返り討ちに遭った。ピカルディー州選出議員を経てロベスピエールの側近となる。物語終盤、議場でルイ16世の刑を巡り討論になった際、彼の死刑を決定付けるスピーチをした。
原作ではユーモラスな性格だったが、アニメ版では急進的で冷酷なテロリストとして描かれ、ベルナールの縁戚という設定は削除された。
エベール
首飾り事件関係者
ジャンヌ・バロア
声 - 松金よね子(TVアニメ版)、吉田理保子(映画版)
ロザリーの異母姉(ロザリーと母親が異なることは知らぬまま亡くなる)。旧王朝バロア王朝の庶末裔、サン・レミー男爵の落胤。自身の美貌と血筋に相応しい生活を手に入れるためには手段を選ばず、貴族の養女となり、巷に「アントワネットの親友」という噂を流して真に受けたローアン大司教を利用して様々な犯罪行為に手を染めた末に「首飾り事件」を起こす。高等法院で有罪となり、「V」(泥棒の意)の焼き鏝を両肩に捺された上(fr)、終身禁錮刑の判決を受け、サルペトリエール監獄(en)に投獄されたが、何者かの幇助で脱獄し、サベルヌ修道院に身を隠しながら「ジャンヌ・バロア回想録」なる暴露本数巻を捏造して出版、王室を強烈に批判する。
最後はニコラスと共にサベルヌの屋敷に篭城。ベルトレー火薬を仕掛けて抵抗するが、アンドレに倒されはずみでニコラスを刺殺してしまい、バルコニーへ逃げるも転落死した。史実の死に方になぞらえた最期だった。
アニメ版では素性を隠したオルレアン公の助けで脱獄し、その指示で暴露本の出版活動を行ったが、出版が一段落すると始末のため居場所を密告された。オルレアン公のことは当初から信用しておらず、隠れ家を包囲されてもう逃げられないと察しており、オスカルを絞殺しようとしたニコラスをナイフで刺して予め仕掛けておいた火薬に繋がる導火線に火をつけ、お互いに納得の上で心中した。史実では誰が脱獄させたかは謎である。
ニコラス・ド・ラ・モット大尉
声 - 池水通洋(TVアニメ版)
もともとはブーレンビリエ家に出入りする平民の軍人だったが、ジャンヌの手引きで貴族を名乗る様になるで、ジャンヌに惚れ結婚。ローアンの推薦で近衛士官となる。ジャンヌが悪事を計画する度に彼女の大胆さに驚くが、半ば楽しんで加担する。ジャンヌの命令でロザリーを殺そうとするが、のちに舞踏会で再会した時に彼女だと気づかないなど頭はあまり良い方ではなく、他にも近衛隊でも出来の悪さにオスカルに呆れられる事もあった。オスカルに対して反感を抱いている。
「首飾り事件」で、宝石商のべメールから騙し取ったダイヤモンドの首飾りを売りさばきにすぐにイギリスへ渡り、事件発覚後は逃亡中につき不在のまま指名手配され、終身漕役刑の判決を受けた。
最後はジャンヌと共に、サベルヌの屋敷に篭城。抵抗するが、アンドレの反撃で倒されたジャンヌの持っていた剣が刺さる事故により死亡した。アニメ版では納得づくの心中にされた。
ルイ・ド・ローアン大司教
声 - 鎗田順吉(TVアニメ版)
教会の高位職にある僧侶。オーストリア大使の経歴があり、放蕩癖と女遊びの激しさから女帝マリア・テレジアと王妃アントワネットに嫌われていた。アントワネットの高貴な美しさに恋心を抱いているが、相変わらずの放蕩癖で嫌われている。ブーレンビリエ侯爵夫人の知人であった縁から、王妃の親友を名乗るジャンヌに付け込まれ、虚言に惑わされて首飾り購入の保証人となり、「首飾り事件」に巻き込まれる。事件発覚後、首飾りの代金全額支払いを申し出るも、ローアンを嫌悪するアントワネットに拒絶され逮捕される。裁判開始までバスティーユ牢獄で留置された。法廷でジャンヌに濡れ衣を着せられるが、判決で無罪を言い渡された。行状を知らない民衆より熱狂的に支持された。
裁判では無実でもルイ16世により国外追放処分となった。因みに、姪シャルロットの夫で『栄光のナポレオン-エロイカ』にて冤罪事件の犠牲になったアンギアン公ルイ・アントワーヌは、ルイ16世の従兄オルレアン公の妹ルイーズ・マリー・テレーズ・バティルドを母とするオルレアン公の甥。
ブーレンビリエ侯爵夫人
声 - 島美弥子(TVアニメ版)
馬車で下町を通りかかった際にやって来たジャンヌの「バロア王朝の末裔の孤児」という言葉を鵜呑みにし、彼女を屋敷に引き取り貴婦人としての教育を受けさせる。宮廷への出入りは認められていなかった。
レトー・ド・ヴィレット(en)
声 - 加藤修(TVアニメ版)
他人の筆跡を真似るのが得意な詐欺師。ジャンヌと共謀し、ブーレンビリエ侯爵夫人の遺言書や王妃のローアン充てラブレターを作成した(しかし王妃の筆跡に関しては、国王から『全く異なっている』と指摘される)判決で、鞭打ち50回の上で35年間の国外追放を言い渡された。
ニコル・ド・オリバ
声 - 松島みのり(TVアニメ版)
パリ下町の娼婦。アントワネットに瓜二つの容姿をジャンヌに利用され、「首飾り事件」に関与させられる。アニメ版では盲目で、純粋な性格に変更されており、口封じに殺害しようとしたジャンヌの心を動かす。裁判のため証人として出廷したところ、あまりにも瓜二つなため、パリ高等法院の裁判長(声 - 加藤精三)や傍聴人を驚かせた。判決では、無罪を言い渡された。
モデルは、後に偽名「ニコル・ドリヴァ男爵夫人」を称する娼婦マリー・ニコル・ルゲイ・デシニー。
ベメール
声 - 北村弘一(TVアニメ版)
王室に出入りする宝石商。ルイ15世の在位中、デュ・バリー夫人に贈るダイヤモンドの首飾りの注文を受けたが、急逝したため引き取り手がなくなり、しかも値段が160万リーブル(約192億円(連載当時))という高額なため、どこの国の王室も相手にしてくれず、「分割払いでもけっこうですから…」とアントワネットに勧めるが、「ダイヤはいっぱいもっていますし」と断られた。
そこで、「王妃と親しい」というジャンヌに、ダイヤの買取りを勧めて欲しいと依頼。ローアン大司教を保証人にするが、ジャンヌに騙し取られてしまう。後日、騙し取られたとは知らずにアントワネットに請求の手紙を送るが、何も知らないアントワネットはその手紙を燃やしてしまう。支払いが滞っていることにたまりかねてベルサイユに行き、カンパン夫人(en)に事の次第を訴えたため、事件が発覚した。ジャンヌの「アントワネットの親友」というデマを真に受けた1人である。
その他
デュ・バリー伯夫人
声 - 来宮良子(TVアニメ版)、鈴木千尋(新ドラマCD版)
ルイ15世の愛妾。下町で娼婦をしていたが、当時の情夫に金を出させて名門のデュ・バリー伯爵と形だけの結婚をして伯爵夫人となった翌日に伯爵を毒殺した。その後、宮廷に出入りするようになり、美貌と肉体を武器に国王の寵姫の座を手に入れた。アントワネットと対立し、一時はアントワネットを屈服させるほどの権勢を誇っていたが、ルイ15世の危篤に伴い、司祭の命により宮廷から追放される。アニメ版では粗末な服に着替えさせられ、兵士に鞭打たれていたところをオスカルに救出される。その後、護衛で同行したオスカルに「自分を守る為についた嘘」を見破って礼を言い、平民としての生い立ちと前向きな心境を話して聞かせ、のちのちのバスティーユでの寝返りへの伏線となる。
ニコール・ラ・モリエール
声 - 公卿敬子(TVアニメ版)
ジャンヌの母、ロザリーの養母。落ちぶれつつあったバロア家の女中をしていた時、最後の当主サン・レミー男爵と恋仲になり、ジャンヌを未婚で出産。数年後、当時15歳の貴族の娘、マルティーヌ・ガブリエルが当主に弄ばれて妊娠。困惑していると知って、彼女が出産したロザリーを自分の2番目の娘として引き取った。心優しい性格で本来なら恋敵であるはずのマルティーヌのことを思い遣った。
当主の死後は下町へ転居。ジャンヌの性格に悩まされており、盗みをした彼女を叱り飛ばしたところ(アニメ版では自分は美人と自惚れて働こうとしないジャンヌに立腹と変更)家出されてしまう。この事による心労と過労から床に伏す。ポリニャック夫人の馬車に轢かれ、ロザリーに自分の実の娘ではないこと、貴族である彼女の実母の名を言い残して死亡する。原作ではジャンヌと同じ黒髪だったが、アニメ版ではロザリーに実の親子だと信じる要因の1つとしてブロンドに変更された。
なお、ファーストネーム「ニコール」はアニメ版で命名されたものであり、原作ではロザリーもポリニャック伯夫人も「ラ・モリエール」としか呼んでいない。
ピエール
声 - 秋野真理子(TVアニメ版)
パリの下町に住む子供でロザリーとは近所同士。貧しさの余りド・ゲネメ公爵の馬車から金を盗んだことから、許すふりをした公爵に背後から騙し討ちで銃殺された。母親はのちに下町に戻って来たロザリーを居候させている。
じい
ビジェ・ルブラン夫人
ローズ・ベルタン嬢
声 - 森ひろ子(TVアニメ版)
パリのサン・トレノ街で洋装店を経営する服飾デザイナー。平民だがアントワネットに気に入られ御用達ドレスメーカーとして宮廷に出入りをする様になり、流行の最先端を作り出していた。自身が持ち込んだ生地の色に対しての感想(原作ではルイ16世。アニメ版ではアンドレ)をも流行へと結びつける程、商才に長けており、アントワネットに対して高価なドレス、装飾品を次々に勧めてゆく。「首飾り事件」後、経費削減のために解雇されたという部分はフィクションで、史実ではコンシュルジュリー牢獄へ移送される直前までアントワネットに仕えていた。メガネを掛けている。
カンパン夫人
フルネームは「ジャンヌ・ルイーズ・アンリエット・カンパン」。旧姓は「ジュネ」。
アントワネットの部屋付き第一侍女の1人で、朗読係。女官長。また、会計係・宝石の管理係の任務も任された。平民の女性で外交官もしくは高級官僚だったブルジョワの父親に教育を受け、ルイ15世の王女(オスカル曰く「オールドミスの叔母君」アデライード、ヴィクトワール、ソフィー)の朗読係に任命されてオーストリアから輿入れしたアントワネットに仕えるようになった。革命により破産するも教育者として再出発し、帝政下に開いた学校にてナポレオン・ボナパルトの親族を教育して彼に認められるが、王政復古後、帝政下で成功した者を敵視するマリー・テレーズから絶縁される。
ベルナール・シャトレの母
画家の先生
声 - 宮内幸平(TVアニメ版)
小太りの肖像画画家。白馬にまたがるオスカルを描く。ばあや(マロン・グラッセ)に恋をしていた。ばあや曰く「ド近眼のやまあらし」である。アニメ版では痩身でアルマンという名でばあやに対する恋情は無かったことに変更された。
ジャック・ネッケル
声 - 大木民夫(TVアニメ版)
大蔵大臣。スイスの銀行家で平民出身。財政危機に及び、三部会を開催することによる王政改革を提案する。しかし、特権階級に課税する案が仇となり、アントワネットに罷免された。アニメ版では彼の失脚がロベスピエールたちの扇動に利用される。娘のスタール夫人は、『栄光のナポレオン』に登場する。
外伝 黒衣の伯爵夫人
「黒い騎士」騒動の頃のエピソードとして、実際の事件をモチーフに描かれている。文庫版の5巻と完全版の8巻に収録。
姉のオルタンスの住む城へ休養に出かけたオスカル、アンドレ、ロザリー。城に着いた彼らを待っていたのは、オルタンスとその娘のル・ルー、そして人々を脅かしている「吸血鬼」の噂だった…。
「黒衣の伯爵夫人」登場キャラクター
オルタンス・ド・ラ・ローランシー
ローランシー伯
ル・ルー・ド・ラ・ローランシー
後述の『Kids』では誕生日が3月24日。モデルも存在していることも判明している。
エリザベート・ド・モンテクレール
リオネル
ルフェビュール侯夫人
カロリーヌ・ド・ルフェビュール
アンリ・ジョベール
ベルサイユのばら 外伝
副題は「名探偵ル・ルー編」。
雑誌『月刊Jam』(実業之日本社刊)にて1984年6月号 - 1985年4月号まで連載された。全4話。但し、原稿所在不明につき復刻しており、STORY4「悪魔のくすり 後編」は雑誌未掲載。
「黒衣の伯爵夫人」同様、「黒い騎士」騒動の起こった頃のエピソードとして書かれている。「黒衣の伯爵夫人」にも登場したオスカルの姪・ル・ルーを主人公に据えた、コメディ色の強いシリーズである。中央公論社より愛蔵版・文庫版(全1巻)が刊行されている他、集英社より「SGコミックス(集英社ガールズコミックス)」の完全版9巻にも収録されている。
外伝登場キャラクター
本編・「黒衣の伯爵夫人」に登場したキャラクターは、追加点のみを述べる。
ル・ルー・ド・ラ・ローランシー
STORY1で母オルタンスがケチでスプリングの悪い馬車だとお尻が痛くて退屈だからと走っている馬車の窓から飛び降り、迷子になってデュフレ伯爵と遭遇してしまう。
オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ
アンドレ・グランディエ
ロザリー・ラ・モリエール
ばあや(マロン・グラッセ・モンブラン)
アンドレに対するヤキは健在。
レニエ・ド・ジャルジェ
思わぬ隠し子疑惑の濡れ衣を着せられてばあやと使用人ばかりかオスカルにまで疑われ、苦しい立場に立たされる。疑念を抱いたル・ルー以外、家族・使用人にほぼ全員に愛人・隠し子の濡れ衣を着せられる。孫に真剣を振り回して「冗談の通じない、軍人あがりの年寄り」とまで言われている。
ジャルジェ伯夫人
友人達から不謹慎と言われる程の貞淑な良妻賢母。迷い込んできたモーリスが浮気相手の子供かもしれない中、同情し屋敷に住まわせた。他の家族や使用人のように夫に愛人がいたと疑念を抱いたのか否かは不明である。
オルタンス・ド・ラ・ローランシー
マリー・アントワネット
STORY1 ル・ルーと、いっしょに来た人形
デュフレ伯爵、デュフレ伯爵夫人
マドレーヌ
クレアモン伯爵
カンパン夫人
ローズ・ベルタン嬢
STORY2 ジャルジェ将軍の息子あらわる!?
執事
モーリス
フローラ
ビュゾー大佐
10年以上前、両親に結婚を反対されてフローラと駆け落ちの約束をするも怖気づいて裏切ってしまい、傷ついたフローラが姿を消してしまったため、両親に定められた女性と結婚して息子と娘が生まれて幸福に暮らしていた。しかし、仕事先の地方で場末の酒場で働くやつれ切ったフローラと再会し、かと言って家族と波風を立てたくなくてフローラのためにパリに一軒の家を買い与えて彼女を愛人という形で囲い、息子モーリスが生まれた。まだ赤ちゃんのモーリスが高熱を出したので医師の元に連れて行くが、医師にフローラとの関係を感づかれることを恐れて家族の元に逃げ帰ってしまう。2週間後、フローラとモーリスは姿を消してしまい、6年を経てモーリスとは再会するもフローラは亡くなって永遠に会えないままだった。ル・ルーに馬の弁償をしてくれると助言された持ち主が訪ねたことで、行方不明の息子に再会することが出来たのだった。その後、正妻と娘や息子と自身が真実愛している女性との子モーリスとがどうなったかは不明。
STORY3 トルコの海賊と修道女
シャンタル
シモーヌ
ヴィレール夫人
ベアトリス
銀髪の凛とした女性であるため、男装した姿はル・ルーの「初恋の人」として彼女の心に焼きつく本作のもう一人の男装の麗人だが、院長として対面した際に同じ香水を付けていたことで女性だとわかり、ル・ルーに失恋の悲しみを知らずに与えてしまう。
ブオナソルテ男爵夫人
STORY4 悪魔のくすり
エベーラ
デュヴビェ
新エピソード
概要
本編や『栄光のナポレオン-エロイカ』、萩尾望都の『ポーの一族』と連動した追加エピソード作品である。単行本はカラーページを完全収録した『新・エピソード』とマーガレット本誌で掲載された「ベルばらFan Room」の2部構成となっている。
11巻、『アンドレ』編は宝塚上演「外伝ベルサイユのばら」のために作成した作品。『フェルゼン』編はかつて池田が「描いてみたい」とインタビューで公言していた作品で、新エピソードにおいて実現した。話数カウントは「エピソード○」である。
12巻ではカラーページに表紙イラスト以外に雑誌『SPUR』の特別企画「オスカル モードを着る」のイラストも掲載。「ベルばらFan Room」はSPとして「当時のフランスとオーストリアの関係」「高貴な人の結婚事情」を『新』に沿った逸話を掲載している。
14巻では池田のコメントにおいて、『新』の終わりを告げた。
エピソード
エピソード1『アンドレ』編、エピソード2『ジェローデル』編、エピソード3『フェルゼン』編、エピソード4『アラン』編
エピソード5『ジェローデル再び!』編(前後編)、エピソード6『オスカルの出生の秘密が』(前後編)
エピソード7『オスカル』編(前後編)、エピソード8『アントワネット』編(前後編)
エピソード9『ロザリー』編
新エピソード登場キャラクター
エピソード主人公
オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ
ほとんどのエピソードに登場するが過去と回想シーンのみの登場。エピソード2で5歳の時から剣を腰に帯びて育ったとジェローデルに語り、本来なら入隊資格は15歳のところを11歳で近衛隊に入隊しており、フランスとオーストリアの同盟の締結及び王太子ルイ・オーギュスト(ルイ16世)とオーストリア皇女マリー・アントワネットの婚姻が進められていた頃、近衛隊に正式入隊する前に15年前にポンパドゥール夫人の提案で創設されたパリの王立陸軍士官学校で将来の部下となる士官候補生と直に接して彼らが何を考え暮らしているかを学べとアンドレの護衛付きで入学した。エピソード5では最初で最後の「ウェディングドレス」としてオダリスク風(トルコ後宮)の白いドレスを纏った姿が描かれた。エピソード6で、そのミドルネームは領地をポーランド国王スタニスワフに譲渡させたことに罪の意識を持つ父レニエがロレーヌ公フランソワの名を付けたものだった。生まれたばかりの赤ちゃんとして登場した。エピソード8ではロザリーとジャルジェ将軍の回想の中で、「首飾り事件」や黒い騎士の出現で近衛を続けることに疑問を抱き、終生の忠誠を誓うも王妃とは道を分かたれてフランス衛兵隊に移り王室に背く道を進み、運命の時を迎えた。
アンドレ・グランディエ
フローリアン・F・ド・ジェローデル
エピソード9でロザリーとフランソワを影から助け、春になるまで別荘に匿った。30代にしか見えず、オスカルとほぼ同年齢のフローリアンがバスティーユ襲撃より15年後も生きているとすれば50歳近くになるため、あまりに若すぎる外見にロザリーは瓜二つの別人かと混乱したが、1793年にパリに戻るも英国に亡命して各地を転々とした際に「霧に包まれたバラが咲き乱れる谷間の村」に迷い込み、永遠の時を生きる「不思議な一族」の美しい兄妹に出会って一族に迎えられ、自身も「時を超えて生きる存在」になったのだった。
ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン
エピソード9で、アントワネットが処刑されたことで「生ける死人」と妹ソフィアに評され、無口で厳格な人物となって保守的で貴族寄りの政策を取り評判は低下するばかりとなる。王制廃止と民主共和制への移行を急ぐ一派が新聞を使って「グスタフ4世追放に発展したクーデターとデンマークから迎えられた皇太子カール・アウグストの事故死に見せかけた暗殺の黒幕であり、自身がスウェーデンの王位に就き、戦争を引き起こして王妃マリー・アントワネットを処刑したフランス国民に復讐を企んでいる。」と噂を流して民衆を煽動したため、1810年6月20日、近衛連隊にすら皇太子暗殺の首謀者だと看做され、民衆に撲殺された。アントワネットを失った日から、死を待ち望んでいたことが日記から明らかになる。
アラン・ド・ソワソン
エピソード9で『栄光のナポレオン~』と同じくナポレオン暗殺計画を実行するが、事前に連絡もなくブーローニュ駐屯部隊がパリに入城したことに疑問を抱いた兵士が参謀本部に問い合わせたことで計画が露見し、暗殺に失敗して逃亡しようとするも立ち去らずに留まっていたベルナールと共に射殺された。そのため、妻子のある身で計画に参加したベルナールを気遣い、ロザリーとフランソワの許にベルナールを戻そうとするも叶わなかった。
ガルティエ
エピソード2 - 4、7に登場し、エピソード2ではオスカルとアンドレも10代前半の子供ゆえに若い姿で登場し士官学校で将来の部下の心理を学べと命じた。エピソード3ではフェルゼン、エピソード4ではアランと言葉を交わしている。アランに対して、自身と娘は選ぶ道が違うと告げた。エピソード6で青年時代の恋が描かれた。エピソード7では本編同様にストーリーに登場する。エピソード8では、アントワネットの遺品を携えたロザリーの訪問を受けて当時を振り返る。アントワネットを脱出させるだけで精一杯ながらも逃亡計画を提案するが、彼女が母親であるがゆえに断られて涙ながらに諦めた際、ロザリーから王妃がブレゲの時計を望んでいることを相談されて妻の形見の時計を彼女を介して届けるのだった。
ジョルジェット
エピソード2 - 4、8に登場するが、名前やその後のことが語られる程度。オスカルの死後、1791年、末娘を失った悲しみから立ち直れずに他界したことが夫レニエの口より明らかになった。夫とのなれ初めはエピソード6に。フランス貴族ではなく、ロレーヌ出身の貧乏貴族の令嬢。エピソード8では、結婚45周年に、夫レニエが知人から安く譲られた試作品とはいえ王妃やオルレアン公が手にする時計師ブレゲの懐中時計を贈られる。
マリー・アントワネット
殆どのエピソードに登場するが過去と回想シーンのみの登場。エピソード6で、父が母との結婚で泣く泣く手放したロレーヌ公国の名を受け継いでいることが明らかに。エピソード7では本編同様に登場する。
ロザリー・シャトレ
エピソード4、エピソード7、エピソード8にも登場した。革命で亡命貴族狩りが目立つ中でベルナールの口から「ローランシー」の名前が出てル・ルーを案じる。エピソード7では本編同様に登場する。エピソード8では潜伏中のジャルジェ将軍の許を訪れ、自身が黒い騎士ベルナールと結婚したことを明かすもジャルジェ将軍に驚く様子はなかった。2人で当時を振り返るという形で物語は進行した。ベルナールとアランの死を知った時、その話をしていた宿泊客によればベルナールが「黒い騎士」だったことは周知の事実だった。
ジャルジェ家関連
ばあや(マロン・グラッセ・モンブラン)
ヴィクトワール他3人のオスカルの姉
ローランシー家
ル・ルー・ド・ラ・ローランシー
オルタンス・ド・ラ・ローランシー
ローランシー伯
ジェローデル家関連
ジェローデル伯
アマーリア
女性
エリカ
王族関連
オルレアン公フィリップ
ルイ16世
マリー・テレーズ
ルイ・シャルル
エリザベート内親王
フランツ2世
グスタフ4世
アルトア伯
マリア・テレジア
フランソワ・ステファン・ド・ロレーヌ
ルイ15世
カール13世
貴族関連
ディアンヌ・ド・ソワソン
男性
ソフィア・フォン・フェルゼン
エピソード9でロザリーとフランソワを迎え入れ、兄からの伝言でフランソワに王立図書館の仕事を世話する。アントワネットの死によりフェルゼンが生きながら死んでいるとロザリーに語る。兄の死後、兄の日記をロザリーに見せ、自身の手で焼いて灰にすることを告げた際にフローリアンが年を取らないように見える謎についてロザリーに語った。
ラ・ファイエット侯
ジョルジェットの母
メルシー伯
その他
マリー・クリスティーヌ
マクシミリアン・ド・ロベスピエール
ベルナール・シャトレ
シュザンヌ
リュシール
ウリアス
画家
女性
アブラアン・ルイ・ブレゲ
マラーに強く国外退去を勧められていたため、差し入れを尋ねてアントワネットが「ブレゲの時計を」と答えたことで踏み込んで来た革命委員会から一足違いで逃れてスイスの郷里ヌーシャテルに息子アントワーヌと共に避難した。政情が落ち着いたフランスに戻って工房を再開し、志半ばで倒れたなら遺志を継いで時計を完成させるようにと息子に言いつけていた。1802年、アントワネットが発注してから19年の歳月がかかるも懐中時計は完成し、その直後に倒れて懐中時計に「マリー・アントワネット No.160」と命名するようにとアントワーヌに告げた。1815年に「レジヨン・ドヌール勲章」を受勲、1823年に76歳で生涯を閉じた。
ジャン・ポール・マラー
アントワーヌ・ブレゲ
フランソワ・シャトレ
『エロイカ』では父ベルナールを殺された私怨に囚われるも母ロザリーに共和制の理念を諭されて乗り越えたが、エピソード9ではそんな様子は無かった。
ナポレオン・ボナパルト
『栄光のナポレオン~』はベルナールの撃った銃弾は顔の左側をかすめたが、エピソード9では右側に変更された。
執事
ファビアン・ノーベル
副官
書誌情報
単行本
- 池田理代子 『ベルサイユのばら』 集英社〈マーガレットコミックス〉、全14巻
- 1972年10月25日発売、ISBN 4-08-850106-3
- 1972年11月25日発売、ISBN 4-08-850108-X
- 1973年3月24日発売、ISBN 4-08-850116-0
- 1973年7月25日発売、ISBN 4-08-850124-1
- 1973年9月25日発売、ISBN 4-08-850131-4
- 1973年11月25日発売、ISBN 4-08-850137-3
- 1974年1月25日発売、ISBN 4-08-850142-X
- 1974年2月25日発売、ISBN 4-08-850142-X
- 1974年3月25日発売、ISBN 4-08-850148-9
- 1974年4月25日発売、ISBN 4-08-850151-9
- 2014年8月25日発売、ISBN 978-4-08-845251-7以下はエピソード編
- 2015年7月24日発売、ISBN 978-4-08-845409-2
- 2017年1月25日発売、ISBN 978-4-08-845701-7
- 2018年3月23日発売、ISBN 978-4-08-844002-6
- 池田理代子 『ベルサイユのばら 外伝』 実業之日本社〈MBコミックス〉、全2巻
- 「上」1985年10月3日発行、ISBN 4-408-43000-5
- 「下」1985年10月3日発行、ISBN 4-408-43001-3
- 池田理代子 『ベルばらKids』 朝日新聞出版、全7巻
- 2006年10月6日発売、ISBN 4-02-330376-3
- 2007年8月7日発売、ISBN 978-4-02-330382-9
- 2008年7月4日発売、ISBN 978-4-02-330394-2
- 2009年1月9日発売、ISBN 978-4-02-330410-9
- 2010年1月8日発売、ISBN 978-4-02-330478-9
- 2011年8月5日発売、ISBN 978-4-02-330962-3
- 2013年3月7日発売、ISBN 978-4-02-331184-8
文庫版
- 池田理代子 『ベルサイユのばら』 集英社〈集英社漫画文庫〉、全10巻
- 1977年9月30日発行、ISBN 4-08-612071-2
- 1977年9月30日発行、ISBN 4-08-612072-0
- 1977年10月31日発行、ISBN 4-08-612073-9
- 1977年10月31日発行、ISBN 4-08-612074-7
- 1977年11月30日発行、ISBN 4-08-612075-5
- 1977年11月30日発行、ISBN 4-08-612076-3
- 1977年12月31日発行、ISBN 4-08-612077-1
- 1978年1月31日発行、ISBN 4-08-612078-X
- 1978年2月28日発行、ISBN 4-08-612079-8
- 1978年3月31日発行、ISBN 4-08-612080-1
- 池田理代子 『ベルサイユのばら』 集英社〈集英社文庫〉、全5巻
- 1994年12月1日発売、ISBN 4-08-748220-0
- 1994年12月1日発売、ISBN 4-08-748221-9
- 1994年12月1日発売、ISBN 4-08-748222-7
- 1994年12月1日発売、ISBN 4-08-748223-5
- 1994年12月1日発売、ISBN 4-08-748224-3
- 池田理代子 『ベルばらKids』 朝日新聞出版〈朝日文庫〉、全2巻
- 「上」2016年4月7日発売、ISBN 978-4-02-261852-8
- 「下」2016年4月7日発売、ISBN 978-4-02-261853-5
愛蔵版
- 池田理代子 『ベルサイユのばら』 集英社、1976年4月、全5巻
- 池田理代子 『愛蔵版 ベルサイユのばら』 中央公論社、全2巻
- 1987年3月28日発行、ISBN 4-12-001559-9
- 1987年4月28日発行、ISBN 4-12-001560-2
- 池田理代子 『ベルサイユのばら外伝』 中央公論社〈Chuko☆comics〉、1990年2月28日発行、ISBN 4-12-001898-9
復刻版
- 池田理代子 『ベルサイユのばら外伝 復刻版』 実業之日本社、2003年6月発行、ISBN 4-408-61229-4
完全版
- 池田理代子 『完全版 ベルサイユのばら外伝』 中央公論新社〈中公文庫〉、全2巻
- 2004年10月23日発行、ISBN 4-12-204439-1
- 2004年10月23日発行、ISBN 4-12-204440-5
- 池田理代子 『ベルサイユのばら 完全版』 集英社〈集英社ガールズコミックス〉、全9巻
- 2005年12月19日発売、ISBN 4-08-855133-8
- 2005年12月19日発売、ISBN 4-08-855134-6
- 2006年1月19日発売、ISBN 4-08-855135-4
- 2006年2月17日発売、ISBN 4-08-855136-2
- 2006年3月17日発売、ISBN 4-08-855137-0
- 2006年4月19日発売、ISBN 4-08-855138-9
- 2006年5月19日発売、ISBN 4-08-855139-7
- 2006年5月19日発売、ISBN 4-08-855140-0
- 2006年6月19日発売、ISBN 4-08-855141-9
廉価版
- 池田理代子 『ベルサイユのばら』 講談社〈講談社プラチナコミックス〉、全6巻
- 「王妃 マリー・アントワネット誕生」2013年3月19日発売、ISBN 978-4-06-377756-7
- 「近衛連隊長オスカルとアンドレ」2013年3月19日発売、ISBN 978-4-06-377765-9
- 「渦巻く愛のゆくえ」2013年4月17日発売、ISBN 978-4-06-377777-2
- 「迫り来る革命の足音」2013年5月15日発売、ISBN 978-4-06-377792-5
- 「オスカルとアンドレ、永遠の愛」2013年6月19日発売、ISBN 978-4-06-377812-0
- 「嵐に散った美しきバラたち」2013年7月17日発売、ISBN 978-4-06-377830-4
豪華限定版
- 池田理代子 『ベルサイユのばら 1972-73 豪華限定版』 復刊ドットコム、全7巻
- 2016年9月発行、ISBN 978-4-8354-5394-1
- 2016年11月発行、ISBN 978-4-8354-5395-8
- 2017年1月発行、ISBN 978-4-8354-5396-5
- 2017年3月発行、ISBN 978-4-8354-5397-2
- 2017年5月発行、ISBN 978-4-8354-5398-9
- 2017年7月発行、ISBN 978-4-8354-5399-6
- 2017年9月発行、ISBN 978-4-8354-5400-9
関連書籍
- 『ベルばら連載開始30周年記念 ベルサイユのばら大事典』2002年10月8日発売、ISBN 4-08-782052-1
- 『大人のぬりえ ベルサイユのばら ビギナー編』 2006年7月26日発売、ISBN 4-08-781354-1
- 『大人のぬりえ ベルサイユのばら アドバンス編』 2006年7月26日発売、ISBN 4-08-781355-X
- 『ベルサイユのばらカルタ』2010年11月10日発売、ISBN 978-4-08-780582-6
- 『ベルサイユのばら 365日幸せノート』2015年11月25日発売、ISBN 978-4-08-780772-1
- 『大人のぬりえ ベルサイユのばら なぞり描き編』2018年11月26日発売、ISBN 978-4-08-781665-5
- 『ベルサイユのばら アニバーサリーブック 愛と感謝の50周年』(集英社、2022年9月)ISBN 978-4-08-790083-5
宝塚歌劇
宝塚歌劇団で公演された演劇作品。1974年初演。
テレビアニメ
1979年10月10日から1980年9月3日まで日本テレビおよびその系列局で放送されたテレビアニメ。全40話+総集編1話。放送時間は毎週水曜19:00-19:30(日本標準時)。
フランスとイタリアでは、『Lady Oscar』のタイトルで放送された。
1993年から94年にかけて、『中公コミック・スーリ(アニメ版) ベルサイユのばら』全12巻が中央公論社にて刊行、1996年に中公文庫コミック版として再販された。
2014年5月からは、アニメ専門チャンネルのアニマックスでデジタルリマスター版の放送を開始。同年9月24日には、バンダイビジュアルから本作を収録したBlu-ray BOXが発売された。
2015年5月から、NHK BSプレミアムでデジタルリマスター版の放送を開始。
キャスト
主要人物
ジャルジェ家
王家
貴族
軍関係者
革命派
首飾り事件関係者
市井の人々
その他
スタッフ
- 原作 - 池田理代子
- 企画 - 梅谷茂(日本テレビ)、山本又一朗(キティ・フィルム)
- 音楽 - 馬飼野康二
- キャラクターデザイン・作画監督 - 荒木伸吾、姫野美智
- 美術監督 - 窪田忠雄( - 第18話、第20話)、川井憲( - 第18話、第20話)、水谷利春(第19話、第21話 - )
- 撮影監督 - 高橋宏固、宮内征雄
- 録音監督 - 山田悦司(第13話 - )
- 選曲 - 鈴木清司
- 文芸担当 - 本間一行
- 制作担当 - 青野史郎
- 総監督 - 長浜忠夫( - 第13話)
- チーフディレクター - 出崎統(第19話 - )
- プロデューサー - 銀谷精一(日本テレビ)、加藤俊三(東京ムービー新社)
- 美術補 - 松宮正純、高野正道
- 撮影 - 高橋プロダクション 平山昭夫、斉藤佳三、中村喜則、大田勝美、高橋宜久、細野正
- 録音演出 - 河村常平( - 第15話)、長浜忠夫(第2話 - 第10話)
- 録音技術 - 飯塚秀保
- 音響効果 - 東洋音響
- 編集 - 鶴渕允寿、高橋和子
- タイトル - 高具秀雄
- 動画チェック - 堀越新太郎
- 特殊効果 - 佐藤通子、林好美
- 色指定 - 山名公枝、伊藤純子
- 制作進行 - 横溝隆久、尾崎穏通、土岐友二、水島定昭、水沼健二
- 録音 - 東北新社
- 現像 - 東洋現像所
- 製作 - 東京ムービー新社
制作
原作者池田理代子のお気に入りであるアランは、年下で登場時に派手に反抗した原作の展開が、年長で大人のキャラに変更されており、最終回では軍を辞めて農夫をしていた後日譚が語られる。池田はこの後日談を人づてに聞いて驚いたが、『永遠のベルサイユのばら』でのインタビューによれば、アニメは最初の方を少ししか見ておらず、アランは10週で打ち切られることがなければ衛兵隊の中で唯一生き残り、隻腕の将軍にするつもりだった。そのため、農夫にされたことを不満に思って『栄光のナポレオン-エロイカ』に登場させたわけではなく、『エロイカ』にアランが登場することはだいぶ前から決めていた。
オスカルとアンドレが相思相愛になってから一夜を共にするまで幾らか間があった原作とは異なり、身も心も結ばれるアニメでの唯一の機会である第37話制作の際は「きれいな演出を」という制作側の意向を受け、通常1週間の打ち合わせを3週間かけた。激論の末、この回の脚本担当だった杉江慧子の推す、原作とは異なるホタルの幻想的シーンが決定された。原作の結ばれ方だと貴族の令嬢が従僕を部屋に連れ込む形で不自然であり、女性の側から告白するにはそれなりの準備と背景と気持ちが必要であるというのが、杉江の論拠である。
監督の交代
スタッフの証言によると、長浜監督降板の原因はオスカル役の田島令子が長浜の演出に反発し、日本テレビのチーフプロデューサーに相談したことが発端だという。日本テレビのチーフプロデューサーは東京ムービーの社長と談判して監督交代に至った。田島が反発したのは長浜の要求する演技があまりにも大袈裟だったことにあったという。テレビアニメ『巨人の星』の監督であり、『ベルサイユのばら』テレビアニメの12話まで総監督を担当した長浜忠夫は、『巨人の星』でも用いられたこれでもかと声高に説明していく独特の「長浜調」の演出を行なった。長浜の演出が散文的なものとすれば、後任となった出崎統は対照的に、あまり絵を動かさない詩的な演出だった。そのため『ベルばら』はアニメファンのあいだで熱烈な支持を得るようになったと文芸の山崎敬之はコメントしている。2023年にテレビ朝日の取材を受けた田島本人も「演出家の演技指導と私の演技方法との違いから、制作サイドの意向により彼は現場を去ることになりました」と語っている。
本作の作画監督とキャラクターデザインは全話を通じて荒木伸吾と姫野美智だが、アニメライターの小黒祐一郎によると出崎監督への交代に伴って作画監督も出崎とのコンビで知られる杉野昭夫になったとする誤解が存在する。この原因は1992年に日本ソフトシステム発売されたレーザーディスクのジャケットが本作には未参加の杉野によって描かれたからではないかと小黒は推測している。
主題歌
オープニングテーマ「薔薇は美しく散る」
エンディングテーマ「愛の光と影」
上記2曲を収録したLPレコード『ベルサイユのばら オリジナル・サウンドトラック 薔薇は美しく散る』と『ベルサイユのばら 名場面音楽集 薔薇は美しく散る』がキティ・レコードから発売された。また、この2曲(フルバージョン・テレビバージョン)とBGMがCDアルバム『ベルサイユのばら 薔薇は美しく散る オリジナル・サウンドトラック&名場面音楽集』に収められている。2016年、ユニバーサルミュージックより『ベルサイユのばら 音楽集 』が発売された。この『ベルサイユのばら 音楽集 』では馬飼野の曲だけでなく、作中で流れたバッハ、ボッケリーニ、ラモー、グノーら古典音楽も本編を音源として収録されている。
作中においては、馬飼野が直前に手がけた『劇場版 エースをねらえ!』のBGMが多数流用された他、音楽プロデューサーの鈴木清司が選曲にあたった関係で、鈴木が参画した作品で使用された効果音も随所に流れている。
挿入歌・イメージソング
「私はとらわれびと」
「愛ゆえの哀しみ」
「MAGICAL ROSE」
「星になるふたり」
各話リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 |
---|---|---|---|---|---|
第1話 | 1979年 10月10日 |
オスカル! バラの運命 | 篠崎好 | 小田響堂 | 山吉康夫 |
第2話 | 10月17日 | 舞え! オーストリアの蝶 | 今沢哲男 | ||
第3話 | 10月24日 | ベルサイユに火花散る | 山田正弘 | 岡崎稔 | |
第4話 | 10月31日 | バラと酒とたくらみと… | 永丘昭典 | ||
第5話 | 11月7日 | 高貴さを涙にこめて… | 山吉康夫 | ||
第6話 | 11月14日 | 絹のドレスとボロ服 | 杉江慧子 | 高屋敷英夫 | 出崎哲 |
第7話 | 11月21日 | 愛の手紙は誰の手で | 永丘昭典 | ||
第8話 | 11月28日 | 我が心のオスカル | 篠崎好 | 出崎哲 | |
第9話 | 12月5日 | 陽は沈み陽は昇る | 永丘昭典 | ||
第10話 | 12月12日 | 美しい悪魔ジャンヌ | 山田正弘 | 山吉康夫 | |
第11話 | 12月19日 | フェルゼン北国へ去る | 高屋敷英夫 | ||
第12話 | 12月26日 | 決闘の朝オスカルは…? | 杉江慧子 | ||
第13話 | 1980年 1月9日 |
アラスの風よ応えて… | 永丘昭典 | ||
第14話 | 1月16日 | 天使の秘密 | 篠崎好 | 関根芳久 | 山吉康夫 |
第15話 | 1月23日 | カジノの伯爵夫人 | 今沢哲男 | ||
第16話 | 1月30日 | 母、その人の名は…? | 山田正弘 | 山吉康夫 | |
第17話 | 2月6日 | 今めぐり逢いの時 | 永丘昭典 | ||
第18話 | 2月13日 | 突然イカルスのように | 杉江慧子 | 高屋敷英夫 | 山吉康夫 |
第19話 | 2月20日 | さよなら、妹よ! | さきまくら | 竹内啓雄 | |
第20話 | 2月27日 | フェルゼン名残りの輪舞 | 篠崎好 | ||
第21話 | 3月5日 | 黒ばらは夜ひらく | |||
第22話 | 3月12日 | 首飾りは不吉な輝き | 山田正弘 | ||
第23話 | 3月19日 | ずる賢くてたくましく! | |||
第24話 | 3月26日 | アデュウわたしの青春 | 杉江慧子 | ||
第25話 | 4月2日 | かた恋のメヌエット | 竹内啓雄 西久保瑞穂 | ||
第26話 | 4月9日 | 黒い騎士に会いたい! | 篠崎好 | ||
第27話 | 4月16日 | たとえ光を失うとも… | |||
第28話 | 4月30日 | アンドレ青いレモン | 山田正弘 | ||
第29話 | 5月14日 | 歩き始めた人形 | |||
第30話 | 5月21日 | お前は光俺は影 | 杉江慧子 | 竹内啓雄 西久保瑞穂 大賀俊二 | |
第31話 | 6月4日 | 兵営に咲くリラの花 | |||
第32話 | 6月18日 | 嵐のプレリュード | 篠崎好 | ||
第33話 | 7月2日 | たそがれに弔鐘は鳴る | |||
第34話 | 7月9日 | 今"テニス・コートの誓い" | 山田正弘 | ||
第35話 | 7月23日 | オスカル、今、巣離れの時 | |||
第36話 | 7月30日 | 合言葉は"サヨナラ" | 杉江慧子 | ||
第37話 | 8月6日 | 熱き誓いの夜に | |||
第38話 | 8月20日 | 運命の扉の前で | 篠崎好 | ||
第39話 | 8月27日 | あの微笑はもう還らない! | |||
第40話 (最終話) |
9月3日 | さようならわが愛しのオスカル | 山田正弘 | ||
第41話 (総集編) |
9月10日 | ベルサイユのばらと女たち |
幻の第24話「燃えつきたバラの肖像」
本作を遅れネットしていた一部地域では、プロ野球シーズン開幕によりキー局日本テレビではナイター中継枠は1980年シーズンからそれまでの19:30スタートが19:00スタートに繰り上がることになったため、野球中継による本作の放送休止が生じた際、遅れネット局の放送に穴が空き、先行ネットを行うとネタバレが起きてしまう問題もあったことから(表向きは「編成上の都合」などと説明)第24話で放送が打ち切られており、本来の第24話「アデュウわたしの青春」の内容とは全く異なる打ち切り用の最終回「燃えつきたバラの肖像」が放送された。資料によっては総集編とされることがあるが実際には回想シーンを除く大半が新規作画となっており、本来の3クール目に相当する内容が本編とは異なるスタッフによりダイジェストで描かれている。
「燃えつきたバラの肖像」はその後再放送されることが無く、DVDなどのビデオソフトにも一切収録されていない。
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 |
---|---|---|---|---|---|
第24話 (最終話) |
1980年 3月26日 |
燃えつきたバラの肖像 | はざまはじめ | 今切洗 | 高屋敷英夫 |
放送局
放送期間(または、放送体制) | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1979年10月10日 - 1980年9月3日 | 水曜 19:00 - 19:30 | 日本テレビ | 関東広域圏 | 製作局 |
札幌テレビ | 北海道 | |||
青森放送 | 青森県 | 放送当時はテレビ朝日系列とのクロスネット。 | ||
テレビ岩手 | 岩手県 | 1980年3月まではテレビ朝日系列とのクロスネット。 | ||
ミヤギテレビ | 宮城県 | |||
山梨放送 | 山梨県 | |||
静岡第一テレビ | 静岡県 | |||
中京テレビ | 中京広域圏 | |||
讀賣テレビ | 近畿広域圏 | |||
日本海テレビ | 鳥取県・島根県 | |||
広島テレビ | 広島県 | |||
山口放送 | 山口県 | |||
西日本放送 | 香川県・岡山県 | |||
高知放送 | 高知県 | |||
福岡放送 | 福岡県 | |||
テレビ大分 | 大分県 | 放送当時はフジテレビ系列、テレビ朝日系列とのクロスネット。 | ||
- 1980年3月29日 | 土曜 17:00 - 17:30 | 秋田放送 | 秋田県 | 途中打ち切り |
- 1980年3月29日 | 土曜 18:00 - 18:30 | 山形放送 | 山形県 | 途中打ち切り |
1979年10月18日 - 1980年3月27日 | 木曜 18:00 - 18:30 | 福島中央テレビ | 福島県 | 放送当時はテレビ朝日系列とのクロスネット 第24話「燃えつきたバラの肖像」で打ち切り |
1986年5月23日 - 8月11日 | 月曜 - 金曜 17:00 - 17:30 | 福島放送 | 福島県 | テレビ朝日系列 継続地域の第24話「アデュウわたしの青春」と第25話以降を放送 |
- 1980年3月27日 | 木曜 18:30 - 19:00 | 新潟総合テレビ | 新潟県 | 現・NST新潟総合テレビ 放送当時はフジテレビ、日本テレビ、テレビ朝日系列のトリプルネット 途中打ち切り |
1979年10月13日 - 1980年3月29日 | 土曜 17:00 - 17:30 | 北日本放送 | 富山県 | 1980年3月29日放送の第24話「燃えつきたバラの肖像」で打ち切り。後番組は『ドラえもん』 |
1979年10月15日 - 1980年3月31日 | 月曜 17:30 - 18:00 | 北陸放送 | 石川県 | TBS系列 途中打ち切り |
1979年10月19日 - 1980年3月28日 | 金曜 18:00 - 18:30 | 福井放送 | 福井県 | 放送当時は日本テレビ系列単独加盟。 途中打ち切り。 |
1979年10月15日 - 1980年3月31日 | 月曜 17:30 - 18:00 | 信越放送 | 長野県 | TBS系列 途中打ち切り。 |
- 1980年3月31日 | 月曜 18:30 - 19:00 | テレビ長崎 | 長崎県 | 放送当時はフジテレビ系列、日本テレビ系列のクロスネット 途中打ち切り |
- 1980年3月24日 | 月曜 | 熊本放送 | 熊本県 | TBS系列 途中打ち切り |
- 1980年3月28日 | 金曜 19:00 - 19:30 | 鹿児島テレビ | 鹿児島県 | 放送当時はフジテレビ、日本テレビ、テレビ朝日系列のトリプルネット 第24話「燃えつきたバラの肖像」で打ち切り |
遅れネット | 日曜 17:15 - 17:45→日曜 8:30 - 9:00 | 沖縄テレビ | 沖縄県 | フジテレビ系列 |
日本テレビ系列 水曜19:00枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
NTVザ・ヒット! ピンク百発百中
(1978年10月11日 - 1979年9月26日) |
ベルサイユのばら
(1979年10月10日 - 1980年9月3日) |
鉄腕アトム(アニメ第2作)
(1980年10月1日 - 1981年12月23日) |
劇場版アニメ
テレビアニメ版の再編集作品で、当初はビデオ作品として1987年5月21日に発売された。マリー・アントワネット役の上田など継続している者もいるが声優を変更して新たに収録し直している。その後、フランス革命200周年の翌年に当たる1990年に公開されている。
キャスト
- オスカル - 戸田恵子
- アンドレ - 水島裕
- マリー・アントワネット - 上田みゆき
- フェルゼン - 富山敬
- ジャンヌ - 吉田理保子
- ルイ16世 - 井上和彦
- ジャルジェ将軍 - 内海賢二
- ベルナール - 野島昭生
- アラン - キートン山田
- ロベスピエール - 池水通洋
- ばあや - 梨羽由紀子
- 語り手 - 武藤礼子
スタッフ
- 監督 - こだま兼嗣/竹内啓雄
- 製作 - 藤岡豊
- プロデューサー - 加藤俊三
- 原作 - 池田理代子
- 脚本 - 山田正弘/篠崎好/杉江慧子
- 企画 - 梅谷茂/山本又一朗
- キャラクターデザイン - 姫野美智
- 作画監督 - 荒木伸吾
- 撮影 - 高橋宏固
- 音楽 - 馬飼野康二
- 美術 - 水谷利春/窪田忠雄/川井憲
- 録音 - 山田悦司
- 構成 - 竹内啓雄
劇場版アニメ(21世紀版)
東京国際アニメフェア2007にて、パイロット版が上映されたが以降の進展が見られず、公開時期など詳細不明だったが2022年9月制作発表。製作はベルサイユのばら製作委員会、配給はエイベックス・ピクチャーズ。
スタッフ
- 原作 - 池田理代子
- 脚本 - 横手美智子
- 監督 - 井上栄作
- 作画 - 窪秀巳
- 音楽 - YOSHIKI
- 美術 - 行信三
Webアニメ
『チャンネル5.5』は、DLE製作によるカロリーメイトをスポンサーに名作漫画を原作無視でアニメ化する「名作マンガ コラボプロジェクト!」第4弾として配信されたFLASHアニメ。全4話。オスカルの声は、実際に宝塚歌劇でもオスカル役を演じたことのある涼風真世、マリーアントワネットの声は雨宮天が担当。
キャスト
- オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ、微生物オスカル(第2話) - 涼風真世
- マリー・アントワネット、微生物マリー・アントワネット(第2話) - 雨宮天
- マリア・テレジア - 上野アサ
- アンドレ・グランディエ、大臣(第1話)、ルイ16世(第1話)、微生物アンドレ(第2話)、戸倉哲博士(第2話)、田所(第2話)、鎌田(第3話)、ルイ15世(第4話)、その他 - FROGMAN
- ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン(第3話・第4話) - 杉田智和
実写版映画
詳細は「ベルサイユのばら (映画)」を参照
1979年3月公開の実写映画で、タイアップは資生堂。同社は1979年春の化粧品キャンペーンに本作の主演であるカトリオーナ・マッコールを起用し、オスカルの劇的な人生を象徴した「劇的な、劇的な、春です。レッド」というコピーで展開した。
日本語字幕は池田理代子が担当。監督にジャック・ドゥミ、音楽にミシェル・ルグラン。フランス政府の協力によりヴェルサイユ宮殿での撮影が特別に許可された。総制作費10億円に対して配給収入9億3000万円と、TV特番まで組んだほどの大キャンペーンに見合うほどの成績があげられなかった。ロザリーはジェルジェ家とは関わりを持つことなく、オスカルは戦わずにアンドレと共に一平民として革命に参加し、ラストははぐれたアンドレを探してオスカルが群集にまぎれるシーンで終わる等、ストーリー展開は原作と大幅に異なる。佐藤忠男は『キネマ旬報』別冊で、描写の迫力不足を指摘し、この原作をこんなに照れくさそうに演出されたのでは日本人には楽しめないと批判している。
資生堂の競合社であるカネボウ化粧品は同時期、化粧品キャンペーンにオリヴィア・ハッセーを起用し「きみは薔薇より美しい。」というコピーで展開した。口紅の商品名もバラにちなんだ「スーパーローズ」だった。同社は否定しているが、この「薔薇」は『ベルサイユのばら』を指しているとされ、資生堂に対抗した格好となった。
キャスト
カッコ内は、1980年10月8日に日本テレビの『水曜ロードショー』で放送された時の吹き替えキャスト。2018年発売のDVD/BDに収録。
- オスカル - カトリオーナ・マッコール(汀夏子)
- オスカル(幼年時代) - パッツィ・ケンジット
- アンドレ - バリー・ストークス(堀勝之祐)
- マリー・アントワネット - クリスティーネ・ベーム(小原乃梨子)
- フェルゼン - ジョナス・ベリシュトルーム(井上真樹夫)
- レニエ・ド・ジャルジェ - マーク・キングストン(宮川洋一)
- ジェローデル伯爵 - マーティン・ポッター
- ロザリー・バロア - シェラ・マクロード(土井美加)
- ロザリーの母 - カディーヌ・コンスタン(鈴木れい子)
- ルイ16世 - テレンス・バッド(増岡弘)
- マクシミリアン・ロベスピエール - クリストファー・エリソン(仲木隆司)
- ポリニャック伯夫人 - スー・ロイド(翠準子)
- ルイ・ド・ローアン大司教 - グレゴリー・フロイ(加藤正之)
- ブイエ将軍 - ジョルジュ・ウィルソン(藤本譲)
- バスティーユ守備隊兵士 - ランベール・ウィルソン
スタッフ
- 製作 - 山本又一朗
- 製作総指揮 - アニエス・ヴァルダ
- 監督 - ジャック・ドゥミ
- 脚本 - ジャック・ドゥミ、パトリシア・ルイジアナ・ナップ
- 音楽 - ミシェル・ルグラン
- 美術 - ベルナール・エヴァン
- 製作 - キティ・ミュージック・コーポレーション
- 提供 - 資生堂、日本テレビ放送網、東宝株式会社
その他
- 木曜スペシャル(日本テレビ) - 公開前の1980年2月22日に、試写会の模様を生中継する『あの"ベルばら"が映画になった!ベルサイユのばら大試写会』を放送した。司会は福留功男(当時:日本テレビアナウンサー)と水前寺清子。
イメージソング
漫画のイメージソングとして製作されたレコードの収録曲。
- 「ベルサイユのばら」「愛しのオスカル」「愛のちかい」
- 3曲共に、作詞:山口洋子、作曲:鈴木邦彦、編曲:馬飼野康二、歌:JOHNNYS' ジュニア・スペシャル
- シングル「ベルサイユのばら/愛しのオスカル」CBS・ソニー、規格品番:SOLB-215、シングル「愛のちかい/白鳥」CBS・ソニー、規格品番:SOLB-276に収録
- 3曲共に、作詞:山口洋子、作曲:鈴木邦彦、編曲:馬飼野康二、歌:JOHNNYS' ジュニア・スペシャル
- シングル「ベルサイユのばら/愛しのオスカル」CBS・ソニー、規格品番:SOLB-215、シングル「愛のちかい/白鳥」CBS・ソニー、規格品番:SOLB-276に収録
ドラマCD
- ベルサイユのばら ドラマCD vol.1 -忘れ得ぬ人・オスカル- (2003年7月21日発売) GPCV-1001
- ベルサイユのばら サウンドシアター・ドラマCD (2010年4月22日発売) BJCA-151
- ベルサイユのばらII サウンドシアター・ドラマCD (2010年8月26日発売) MOMO-8002
- ベルサイユのばらFIN サウンドシアター・ドラマCD (2010年12月23日発売) MOMO-8006
梅田コマ劇場ミュージカル版
1975年4月3日~4月16日まで、梅田コマ劇場(現・梅田芸術劇場)にて上演された。ミュージカル・ロマン『ベルサイユのばら』全二幕十五場。 宝塚初演の成功を受け、俳優女優の出演によって制作されたミュージカル。 大人の恋愛劇の趣きが強く、フェルゼンとアンドレをにしきのあきら(現・錦野旦)が一人二役で演じるなど独特の演出がなされたが、公演期間は2週間に満たなかった。
キャスト
- フェルゼン伯爵・アンドレ - にしきのあきら
- オスカル近衛大尉 - 森田日記
- アントワネット王妃 - 奈美悦子
- ポリニャック伯爵夫人 - 西尾美恵子
- 吟遊詩人 - 友竹正則
- ロザリー - 純アリス
- アラン伍長 - 林ゆたか
- ルイ十六世 - 大橋壮多
- ロベスピエール - 早崎文司
- ベルナール - 安藤直樹
- ジャルジェ将軍 - 松本徳二
- シャルロット - 久里和代
- ローズ・ベルタン - 五月圭子
- オスカルの乳母 - 三角八重
- ロザリーの母 - 前川美智子
- ノワエル夫人・踊る女 - 大島久里子
- シャルル王子 - 吉村仁美
- 酒場のおやじ - 泉祐介
- テレーズ王女 - 京まいこ
スタッフ
- 脚本・演出 - 竹内伸光
- 音楽 - 中村八大
- ナレーター - 中山仁
- 制作 - アイエスプランニングセンター
ベルばらKids
2005年10月から2013年3月30日まで朝日新聞土曜日別冊朝刊『be on Saturday・エンターテインメント』に連載された池田作画の4コマ漫画とコラムから成るミニコーナー。本編から32年ぶりの漫画化である。4コマ漫画はギャグテイストになっており、オスカル達が現代日本の視点でストーリーを展開するなど、『ベルばら』本編のパロディ的側面も持った独自の内容。ルイ16世が相撲好きであるなど、独自の設定も存在する。アンドレの母など、本編には登場しなかったキャラクターも登場。キャラクターは全員が3頭身だが、例外的にオスカルとアンドレとフェルゼンが通常頭身で登場したことがある。連載開始から2009年4月までは毎回2作の漫画が掲載されていたが、以降は1作のみ掲載。2012年4月7日以降からは、赤beから青beに移動し、同時に初期からコラムに使用していた原作のイラストが削除となった。単行本化され、2012年11月24日分までを収録した7巻までが発売されている。2巻では懸賞プレゼント。4巻から6巻まで初回特典が追加された。のち2016年4月7日に、朝日新聞出版で『ベルばらKids』(朝日文庫 上・下)が刊行された。
Kids限定キャラクター
作者
Kids独自設定
オスカル
アンドレ
ル・ルー
ルイ16世
ベルナール
ジェローデル
ロベスピエール
サン・ジュスト
デュ・バリー伯夫人、ポリニャック伯夫人、ジャンヌ
英訳版
1981年に三友社出版が全7作の英訳版の刊行を企画し、同7月に The Rose of Versailles Vol.1、11月に The Rose of Versailles Vol.2 が発行されたが、以後、企画が頓挫しており、復刊ドットコムなどでファンから完結が待ち望まれている。訳者は、『ニッポンマンガ論 ― 日本マンガにはまったアメリカ人の熱血マンガ論』(マール社、1998年)などの著者フレデリック・L. ショット。
ゲーム
モバイルゲーム
『ベルサイユのばらif 〜幻想の日々〜』 のタイトルで、ビジュアライズから携帯電話向けにソーシャルゲームが提供された。ジャンルは恋愛シミュレーションゲーム。2011年10月4日よりGREEに(フィーチャーフォン・スマートフォン両対応)て配信された後、同年12月20日よりフィーチャーフォン用のmixiゲームからもサービスが提供され、こちらも翌年3月にはスマートフォンに対応している。
オスカルの屋敷に住みこむことになる少女がプレイヤーの分身となってシナリオが進むノベルゲームで池田理代子プロダクションの監修のもと新たに書き起こした「if」の物語となっていた。
コンシューマーゲーム
『私立ベルばら学園 〜ベルサイユのばらRe*imagination〜』 のタイトルで、オトメイトおよびアイディアファクトリーからNintendo Switch向けに2019年5月23日に発売された。ジャンルはアドベンチャーゲーム。
ただし、ベルサイユのばらをモチーフとし原作として表記されているだけで、ベルサイユのばらの登場人物をあくまでもイメージした個性的なキャラクター達が通う有名私立学校「ベルローズ学園」を舞台に、愛と青春の部活劇が描かれている。
パチンコ
- 2004年からエース電研(2015年からは、筆頭株主の西陣)によりパチンコシリーズが発売され店舗に置かれている。
- 2004年6月、『CRベルサイユのばら』が設置された。
- 2006年8月、『CRベルサイユのばらII』が発表され、同年9月に設置された。
- 2009年5月、『CRベルサイユのばらIII 薔薇は美しく散る』が発表され、同年6月に設置された。
- 2012年5月、『CRベルサイユのばら 薔薇の運命』が発表となった、同年7月に設置された。
- 2015年11月、『CRベルサイユのばら 遙かな時を超えて』が発表され、同年12月に設置された。
- 2016年2月、先行機の甘デジスペック『CRAベルサイユのばら 遙かな時を超えて』が発表され、同年3月に設置された。
- 2018年11月、『Pベルサイユのばら~革命への序曲~』が発表され、同年12月に設置された。
- 2019年3月、先行機の追加スペック『Pベルサイユのばら〜革命への序曲〜GLB』が発表され、同年5月に設置された。
- 2004年6月、『CRベルサイユのばら』が設置された。
- 2006年8月、『CRベルサイユのばらII』が発表され、同年9月に設置された。
- 2009年5月、『CRベルサイユのばらIII 薔薇は美しく散る』が発表され、同年6月に設置された。
- 2012年5月、『CRベルサイユのばら 薔薇の運命』が発表となった、同年7月に設置された。
- 2015年11月、『CRベルサイユのばら 遙かな時を超えて』が発表され、同年12月に設置された。
- 2016年2月、先行機の甘デジスペック『CRAベルサイユのばら 遙かな時を超えて』が発表され、同年3月に設置された。
- 2018年11月、『Pベルサイユのばら~革命への序曲~』が発表され、同年12月に設置された。
- 2019年3月、先行機の追加スペック『Pベルサイユのばら〜革命への序曲〜GLB』が発表され、同年5月に設置された。
- 2016年2月、先行機の甘デジスペック『CRAベルサイユのばら 遙かな時を超えて』が発表され、同年3月に設置された。
- 2019年3月、先行機の追加スペック『Pベルサイユのばら〜革命への序曲〜GLB』が発表され、同年5月に設置された。
その他
- 宝塚歌劇団で舞台初演されたころはテレビの取材が殺到し、タカラヅカブームの火付け役となる。2022年7月16日にはNHK総合テレビジョンの教養番組『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』にて「ベルサイユのばら オスカルになりたかった私たち」のテーマで、当時を振り返る番組が放送され、原作者の池田、オスカル役の榛名由梨らへのインタビューが行われた。
- 2022年には東京・大阪(他巡回予定)にて、「誕生50周年記念・ベルサイユのばら展-ベルばらは永遠に-」が行われ、初公開を含む池田の原画、舞台衣装、その他各種資料展示を行う予定である。
- テレビアニメ版放送開始直前の1979年9月17日に放送された『ルパン三世』第101話「ベルサイユは愛に燃えた」にオスカル(声優 - 二木てるみ)が登場する。この話はルパン三世100回記念のシナリオ公募作品であった(ただし舞台が放送当時のフランスであるうえに、アンドレはマリー・アントワネットの怒りを買って石化の秘薬で石にされているなど、設定が食い違う箇所が存在する)。
- 2000年にLAREINE(ラレーヌ)が、アニメ版の主題歌「薔薇は美しく散る」をカバー。原作者の池田理代子もコーラスで参加。初回限定盤のジャケットイラストには池田の描き下ろしLAREINEのイラストが描かれている。
- 連載当時にはオスカルのファンクラブも結成されていた。『ばらベルサイユ』という機関誌が発行されており、現在ではその一部を2002年発行の『ベルサイユのばら大事典』で見ることができる。機関誌を中心となって編集していたのは作中、舞踏会のシーンにプラカードを持って登場したこともあるエミリという女性。
- 本作ではオスカルの死後、バスティーユ陥落からアントワネットの処刑までが10回の連載となっているのは、一番人気のオスカルが退場することによって人気が落ちることを懸念した編集部の意向によるものであったことを作者自身が明らかにしている。
- 原作者の池田理代子はテレビアニメ版のビデオを購入はしたものの、「眼が疲れる」という理由で一度も通して見たことがない。また、人づてに聞いたアランのその後が気に入らず、後に自身の作品「エロイカ」に登場させるきっかけとなった。
- 中公文庫、池田理代子『女帝エカテリーナ』では、マリア・テレジア、ルイ15世、デュ・バリー夫人が登場する。マリー・アントワネットとルイ16世は台詞のみの王太子、王太子妃として登場。
- オスカルを男装の麗人として描いた理由は、男性心理が理解できないのに、革命時に市民の側に立った衛兵隊の隊長を描くための苦肉の策だったと原作者は語っている。
- 当初は映画版のオスカル役として、当時パリ在住だった岸恵子の娘のデルフィーヌ=麻衣子・シャンピ(当時14歳)が予定され、のちに資生堂の社長となった大野義雄がパリまで来て出演を依頼した。岸も乗り気だったが、本人が「絶対に女優にはならない」とあっさり断ってしまった。
- 宝塚歌劇団出身の元女優・美雪花代が、競走馬の牧場・三城牧場を、前夫の死去に伴い経営を引き継ぐにあたり、「ベルサイユのばら」に由来する「ヴェルサイユファーム」に社名を改めた。
関連商品
- 2006年の春にタキイ種苗から「ベルサイユのばら」と名付けられたペチュニアの新品種が発売されている。また発売記念グッズにベルばらのイラストが使われた。
- 2008年、バンダイの化粧品ブランド「Creer Beaute(クレアボーテ)」において「ベルサイユのばらシリーズ」を展開。アイライナーやマスカラに続いてパックや入浴剤、2012年にはコラーゲンドリンクも発売されている。
- 2009年、バンダイより万歩計「遊歩計 ベルサイユのバラ 〜歩いて自分革命 生まれてきてよかった!!〜」発売。
- 2010年、大和葡萄酒から「ベルサイユのばら」オスカル・スパークリングワインが発売された。
- 2010年11月、集英社より「ベルサイユのばらカルタ」発売。
- 2011年11月、湖池屋「すっぱムーチョ」(バラ香るビネガー味・さっぱり梅味・さっぱりビネガー味)のパッケージにバラを銜えたオスカルのイラストが採用された。
- 2011年6月10日、日本郵政が発行した記念切手「アニメ・ヒーロー・ヒロインシリーズ」の 第16集に「ベルサイユのばら」が採用された。1,500万枚限定。姫野美智が描き下ろしている。
- 2012年3月16日、京成バラ園芸からフランスの育種業者メイアン社が開発した「ベルサイユのばら」と名付けられたバラの新品種が発表された。同日より、同社ECサイトにて先行予約を開始したが、わずか1日で完売となった。5月12日に第14回国際バラとガーデニングショウ(西武ドーム)にて、一般公開された。
- 2014年3月14日、「ベルサイユのばらシリーズ」として、主要キャラ(オスカル、アントワネット、アンドレ、ロザリー、フェルゼン)をイメージした新種のバラ5種を発表した。千葉県八千代市の京成バラ園には6品種のバラが植えられ、オスカルとマリー・アントワネットの等身大パネルが展示された「ベルばらのテラス」という区画がある。
- 2016年4月、ベルサイユのばらシリーズの1品種であるオスカル・フランソワの香りを再現した化粧水とハンドクリームが発売された。
- 2012年8月、婦人下着メーカーピーチジョンがアントワネットを2012年秋のイメージキャラクターに起用。ロココ時代の女性美にオマージュを捧げた「エアボムトリニティブラ」を発売。
- 富山産コシヒカリのパッケージに採用されている。
- 他にもガイドブックやぬり絵、初級者向けフランス語参考書 など数多くコラボレーションしている。また台湾ではアニメ全話収録・吹き替え付きのDVD-BOXが発売されている。
- 2013年11月24日、第1回ベルサイユのばら検定が開催。検定に合わせて公式問題集が発売された。
- 2014年5月、エステティックサロン「ソシエ」とタイアップ、『オスカルとアントワネットの美的生活2014』と銘打ち、“美の革命”「マリー アントワネットコース」「オスカルコース」を発売(期間限定)。また特設サイトにはweb限定の漫画も掲載されている。
- 2016年11月15日、LINEの展開するゲームサービス「LINE GAME」の3マッチパズルゲーム「LINE ポコポコ」で期間限定でコラボレーションを実施した。コラボステージやBINGOステージ、宝袋ステージを開催した他、各イベントのクリア報酬もしくはプレミアムガチャから『ベルサイユのばら』のキャラクターにポコタが扮した「ポコオスカル」「ポコマリー」を仲間にできたり、限定LINEスタンプを配信。
- 2017年3月18日から5月31日にかけてキャラウムカフェにてコラボカフェを開催し、店内装飾やフードメニュー、グッズ販売など行った。
- 2017年5月1日、「日清のどん兵衛 東西食べ比べ」とコラボレーションし、限定パッケージの商品が期間限定で発売された。
- 2018年9月3日、赤城乳業のアイスブランド「Premil(プレミール)」の商品「プレミールモンブラン〜濃厚マロン仕立て〜」とコラボレーションし、キャンペーンに起用された。
- 2019年、ベルサイユのわた 家庭用の高性能油吸着材。ナノファイバー技術と『ベルサイユのばら 池田理代子プロダクション』がコラボレーション。名前の由来は、ベル採油(さいゆ・あぶらをとる)から。
- 2020年、中央クリニックグループがコラボしプロモーションを展開。2021年3月22日からはその第2弾として「美容医療で叶える!華麗なるエイジングケア」プロジェクトを実施し、主要キャラクターであるオスカル・アンドレ・フェルゼンの3人が、ドクター役として白衣姿になった。
- 2022年3月31日発売の雑誌「昭和45年女・1970年女」Vol.6の表紙を飾る。また、本誌14ページより6ページにわたり「祝・連載開始50周年!!『ベルサイユのばら』で池田理代子が起こした女の革命」と題した特集が組まれ、作者の池田のスペシャルインタビュー記事が掲載されている。
- 2022年9月26日、バンダイから大人向けアルコール入り菓子商品「ベルサイユのばら 至極の一粒 ワイングミ」が発売された。発売に先駆けて、同年9月17日より東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52F)にて開催された「誕生50周年記念 ベルサイユのばら展-ベルばらは永遠に-」にて先行発売されている。
- 2014年3月14日、「ベルサイユのばらシリーズ」として、主要キャラ(オスカル、アントワネット、アンドレ、ロザリー、フェルゼン)をイメージした新種のバラ5種を発表した。千葉県八千代市の京成バラ園には6品種のバラが植えられ、オスカルとマリー・アントワネットの等身大パネルが展示された「ベルばらのテラス」という区画がある。
- 2016年4月、ベルサイユのばらシリーズの1品種であるオスカル・フランソワの香りを再現した化粧水とハンドクリームが発売された。
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