シムーン (アニメ)
アニメ
原作:小山田風狂子,
監督:西村純二,
キャラクターデザイン:西田亜沙子,
メカニックデザイン:Jin Seob Song,
音楽:佐橋俊彦,
アニメーション制作:スタジオディーン,
製作:シムーン製作委員会,
放送局:テレビ東京ほか,
話数:全26話,
漫画:Simoun
原作・原案など:創通映像,
作画:速瀬羽柴,
出版社:一迅社,
掲載誌:コミック百合姫,
レーベル:百合姫コミックス,
発表期間:2006年1月18日 - 7月18日,
巻数:全1巻,
話数:全3話,
漫画:シムーン 〜まじかる美勇伝〜
原作・原案など:前田まさよし,
作画:あきづき弥,
出版社:学習研究社,
掲載誌:メガミマガジン,
発表期間:2006年6月30日 - 10月30日,
小説
著者:岡崎純子,
出版社:学習研究社,
レーベル:メガミ文庫,
巻数:全2巻,
ゲーム:SIMOUN異薔薇戦争〜封印のリ・マージョン〜
発売元:マーベラスインタラクティブ,
発売日:2007年6月21日,
以下はWikipediaより引用
要約
『シムーン』 (Simoun) は、スタジオディーンが制作した日本のアニメ作品。テレビ東京系で2006年4月から同年9月にかけて全26話が放送された。ハイビジョン制作。
概要
大空陸(だいくうりく)という全ての人が女性として生まれてくる星を舞台に、巫女として神に祈りを奉げる少女たちが否応無しに戦争に巻き込まれていく姿を描いている。女性同士の恋愛を描いたシーンもあることから「百合」アニメとみなされることもあるが、監督である西村純二は「思春期の少女の話」であると述べている。アニメ作品としては珍しく、BGMとしてアストル・ピアソラの「リベルタンゴ」をイメージしたというタンゴが流されることが多い。
「人は全て女性として生まれてくる」という世界設定はキャスティングにも影響を及ぼし、女性キャラクターのみならず、性別選定後の男性キャラクターまでをもすべて女性声優が担当している。これは、世界観との整合性を取るためであるとしている。
メカデザインは、企画時点からとにかく他に類を見ない造形にしようとの思惑があり、結果として大変に特異な形状となった。取り分け、作品の中心的存在となる飛行艇シムーンに関しては、機体ごとに僅かずつデザインが異なり、一つとして同じデザインは無いという徹底したものとなった。
日本では、アニメ版のDVDがバンダイビジュアルから発売された。ニュースリリースなどでは「女性同士の恋愛」「美少女」「アクション」の要素が強調されている。北米ではメディアブラスターズ (Media Blasters) から発売されている。また、アニメ以外にも漫画、小説、テレビゲームなどのメディアミックスが行われた。中にはドラマCDのようにアニメのセルフパロディのような作品もある。
あらすじ
舞台は大空陸(だいくうりく)という名の世界。ここでは人類は全て女性として生まれ、17歳になった時、自らの意思で性別を選んで成人する。
大空陸にある宗教国家・シムラークルム宮国には、人々の信仰の対象である神テンプスパティウムに仕える巫女達がいた。彼女達はテンプスパティウムの加護を受けた聖なる遺物ヘリカル・モートリスを搭載した飛行艇・シムーンに2人1組で乗り込み、空に紋章(リ・マージョン)を描き、神に供えるのだ。
ある時代、シムラークルム宮国に隣国が攻め入る。彼らはシムーンとそれに搭載される神秘のエンジン、ヘリカル・モートリスの力の秘密を欲し、手中に収めようとしているのだ。宮国は火急の危機に際して苦渋の決断をする。それはシムーンを戦うための戦闘兵器として利用すること……。
シムーンを操れる巫女シムーン・シヴュラになれる者は性別選択前の少女に限られており、その決断は巫女たちを大人にさせず、常に死の危険に晒すことを強要することでもあった。
美しく大空を舞う巫女達は戦士となり国を護る。ある者は生き残るため、またある者は空を飛び続けるために。少女であることを運命付けられた巫女達の終わりなき戦いは、今日も続く……。
用語
大空陸(物語の舞台)について
シムラークルム宮国(きゅうこく)
アルゲントゥム礁国(しょうこく)
プルンブム嶺国(れいこく)
シムーン(飛行艇)について
シムーン
元々は祭事用の神具で「神の乗機」とも呼ばれる。アクロバット飛行により空に一定の軌跡を描くリ・マージョンと呼ばれる神事に用いられた。リ・マージョンが破壊的な効果も併せ持つことから、戦争突入後は機関砲を搭載し戦闘に用いられるようになった。操縦は巫女に限られ、テンプスパティウムに捧げる口づけを交わさなければ起動せず、祈りの集中が切れると制御を失うとされる。宮守や巫女の中には兵器として用いられることにわだかまりを持つ者もいる。戦争当初は他国を戦力で圧倒していたが、礁・嶺両国の同盟による物量差や飛行技術の向上、古代シムーンの発掘・戦線投入などによって次第に損害が増え始める。
宮国は無線技術を持たないため、僚機との通信は接近してケーブルを張る有線通信のみである。また、遠方に対しては信号弾を使用する。
塗装はアルクス・ブリーマ所属機が白系。アルクス・ニゲルの所属機は黒系である。
特別装備として兵員輸送用コンテナを、胴体左右に取り付けたこともあった。
コールテンペストの各機には機体名が設定されているが、本編では語られず、後述のゲーム版にて明かされている。塗装や基本形は同じだが、武装や機体細部に相違点が見られる。
ウェントス - 風を意味するシムーン。主にアーエル、ネヴィリル、アムリアが搭乗した。
デュポーン - 台風を意味するシムーン。主にパライエッタ、カイムが搭乗した。
ウェルテクス - 旋風を意味するシムーン。主にロードレアモン、モリナスが搭乗した。
チューボ - 竜巻を意味するシムーン。主にフロエ、アルティが搭乗した。
プロケラ - 暴風を意味するシムーン。主にリモネ、ドミヌーラが搭乗した。
ニンバス - 雷雲、嵐を意味するシムーン。主にマミーナ、ユンが搭乗した。
ヘリカル・モートリス
シムーン球
シミレ・シムーン
巫女でなくても操縦可能だが、性能はシムーンよりかなり低く、リ・マージョンも行えない。
アーエルの乗っていた機体は彼女の私物。小説版によると祖父の形見で、「オドナータ」なる機体名が付いている。
古代シムーン
古代の村でも多数の機体が半ば遺棄されていたが、後にレストアされて甦っている(最終話でカラーリングの違うものが運用されている)。
シヴュラ(巫女)について
シムーン・シヴュラ
シヴュラ・アウレア
リ・マージョン
リ・マージョンの効果には破壊力を有するものもあり、敵の航空機に対して使用した場合は相手を跡形もなく消滅させるほどの威力がある。効果範囲は周囲数十メートルから空域全体を覆い尽くすまで様々あり、この世界では唯一の大量破壊兵器と言うことができる。攻撃以外にも障壁を張る防御用のもの(金剛石のリ・マージョン)や慣性を制御するもの(蔦葛のリ・マージョン)。この他に純粋な儀礼的な(特殊な効果が無く、図形を描くだけの)ものとして弔いのリ・マージョン(蒲公英のリ・マージョン)や、仲間を見送るリ・マージョン(朝凪のリ・マージョン)なども存在する。
翠玉のリ・マージョン
マージュ
マージュ・プール
コール(部隊)について
コール
デュクス
レギーナ
パル
アウリーガ
サジッタ
コール・テンペスト
コール・カプト
コール・ルボル
コール・イグニス
コール・デクストラ
登場メカニック
アルクス・プリーマ
アルクス・ニゲル
メッシス
ヘリカル列車
飛行船
単座戦闘機
長距離砲
戦車
飛行爆弾
戦艦
中型戦闘機
空中補給基地
銃器類
その他の用語について
テンプスパティウム
アニムス
アーエル
宮守
司政院
司兵院
これらの作品世界を支える特殊な用語には、ラテン語を起源とする語が多く見受けられる。
登場キャラクター
メインキャラクター
アーエル
声 - 新野美知
年齢17歳、身長150センチメートル、B・W・H / 83 (C)・63・85、足のサイズ22.5センチメートル、血液型O型。
本作の主人公。コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。戦闘において欠員が生じたことでコール・テンペストに補充人員として配属されて来た。もともと、シムーン・シヴュラにはなれない農家の家系の出身だが、志願兵だったことに加え卓越した操縦技術を見込まれたものと思われる。何らかの理由により、本人は泉行きを拒んでおり、優れたシムーン・シヴュラであり続けるためにコール・テンペストのレギーナ、ネヴィリルのパルになることを希望している。小柄で金髪のお団子頭。本物の巫女では無いからか、所々で周囲を驚かせるような行動や発言を繰り返すが、戦闘における選択や判断、意見は的確である。
最後はネヴィリルの告白に自分自身の気持ちに気付かされる。樵国・嶺国連合との和平条件として宮国シヴュラは全て泉へ強制連行されかけるも仲間達の助けでアルクス・プリーマをネヴィリルと共にシムーンで脱出。翠玉のリ・マージョンにより二人は希望の大地へと旅立った。
好きな物は、アンティークの洋服、古着屋めぐり。嫌いな物は、中途半端なヤツ、うじうじしてるヤツ。趣味は、風琴を聴くこと、武器の手入れ。
なお、男気溢れた本編中の性格に対し、企画当初は大人しめで泣き虫のキャラクターとして設定されていたと言う(コミック版に名残が見られる)。
ネヴィリル
声 - 高橋理恵子
年齢18歳、身長161センチメートル、B・W・H / 87 (D)・58・92、足のサイズ24センチメートル、血液型AB型。
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。コール全体を統括するレギーナでもある。司政官であるハルコンフの子で、他のシヴュラや国民からシヴュラ・アウレアと呼ばれ尊敬される容姿端麗な少女。アムリアのパルとしてアウリーガを担っていたが、翠玉のリ・マージョン失敗によりアムリアが行方不明になって以降、シヴュラとして飛ぶことを拒絶し、誰ともパルを組むことも望まなかった。しかし、アングラスが自爆した影響でアーエルとパルを組むことになる。彼女が付けている髪飾りは、元々アムリアの物で1話ではお互い片方ずつだったが、行方不明になった後は両方付けていて、彼女からすればアムリアの形見。
最後はアーエルに気持ちを伝え互いに掛け替えのない存在になる。その後アルクス・プリーマを脱出、翠玉のリ・マージョンにより二人で希望の大地へと旅立った。
好きな物は、アフタヌーンティー。嫌いな物は、権力。趣味は、口紅のコレクション。
パライエッタ
声 - 小清水亜美
年齢18歳、身長170センチメートル、B・W・H / 98 (F)・60・93、足のサイズ25センチメートル、血液型O型。
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。ネヴィリルとは子供の時からの幼なじみ。常日頃からネヴィリルに付き添い、傍で支えてあげている。アーエルの登場により、ネヴィリルから遠ざかって行く自分を疎ましく思うようになる。一度はアーエルとネヴィリルのパルを認めたが、二人の関係の狭間で深く悩むようになり、またネヴィリルがレギーナの責務を放棄して以降コールテンペストの取りまとめに腐心するものの、状況の悪化に適切な指導力を発揮できず、さらに苦悩の度を深めることになった。コール・テンペスト解散後は泉で女となる。最終話ではネヴィリルを思わせる清楚な女性へと成長、孤児院で戦災孤児達の面倒を見ている。
好きな物は、チョコレート。嫌いな物は、おしゃべりなヤツ、マージュ用のスーツ。趣味は、音楽(ジャズ、ボサノバ、あと隠れて演歌)。
カイム
声 - 細越みちこ
年齢16歳、身長156センチメートル、B・W・H / 78 (A)・56・80、足のサイズ23センチメートル、血液型A型。
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。同コールのアルティは自身の妹である。初陣前に妹と過ちを起こして以来、微妙に距離を置いて生活している。サジッタとしてパルを組んでいるパライエッタを「パラ様」と呼び、好意を抱いている。一人称は「ボク」。ボーイッシュな性格で、大きな丸眼鏡を掛けているのが特徴。メッシスに乗っていた時、ドミヌーラの命令でアルティと1回パルを組んだが、アルティを拒絶する思いが強くシムーンを暴走させたことがある。
好きな物は、パラ様、コーヒー。嫌いな物は、牛乳。趣味は、ネイルアート。
アルティ
声 - 豊口めぐみ
年齢16歳、身長156センチメートル、B・W・H / 72 (A)・56・79、足のサイズ23センチメートル、血液型A型。
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。同コールのカイムは自身の姉である。カイムに恋愛にも似た感情を抱いており、常にカイムのためを思って行動している。気が強く一途な性格だが、姉のカイムによると「本当はバカ」で、口喧嘩になると「バカ!」しか言えなくなってしまうことも。パルを組むフロエは良きパートナーだが、ふざけているフロエに対しては常にクールな態度をとる。カイムと1回パルを組み、シムーンを暴走させてしまったことがきっかけで、彼女も少しカイムと距離を置いてしまった。
好きな物は、家族、辛いもの。嫌いな物は、自分。趣味は、バードウォッチング。西田亜沙子によると「姉妹と言うことで、カイムを改造して数分でデザインしてしまった。途中まで『姉ストーカー』的な怖い性格だと思ってた」とのこと。
リモネ
声 - 能登麻美子
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。シヴュラとしてはかなり幼い年齢だが、優秀な成績を修めていたため、アーエルとほぼ同時期にコール・テンペストへ配属された。やや我が儘でお菓子が好きなど、まだ幼い面が残るが、リ・マージョンを描く能力には人一倍秀い出ている。幼い頃から未来を嘱望される才能ゆえに、全てをまわりに決められていたため主体性がなかったが、ドミヌーラを初め仲間たちとの関わりを得て自主性を身につけていく。何度かパルを変えた後、最終的にドミヌーラを己の唯一のパルに選ぶ。そしてパルとともに翠玉のリ・マージョンを敢行。
最終話では幼さは消え、ドミヌーラのパルとして意志の強い少女に成長している。
ロードレアモン
声 - 高橋美佳子
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。過去に多くのシムーン・シヴュラを輩出した名家の出身で、周囲のシヴュラからは「お嬢様」と呼ばれている。おっとりとした臆病な性格、そばかすの目立つ顔に三つ編みも相まって、17歳にしては子供っぽい印象がある。毒舌にも似た直球な発言をするが、本人に相手を傷つける意志はない。モリナスとパルを組むことが多かったが、おさげを切ってマミーナと和解した後は共にパルを組むようになった。
コール・テンペスト解散後、泉に行き女となる。戦後はパライエッタの元を訪れ孤児院の運営資金の調達に苦労していることを伝え、樵国と嶺国間の戦争が開始されることに心を痛めていた。その姿は大人びており、髪も伸ばしてマミーナと同じ髪型をしている。デスクの上にはマミーナと一緒に写った彩色写真(モノクロ写真に絵の具で着色した物)が飾られていた。
マミーナには「ロードレ」とも呼ばれる。美的感覚が他人と違っているらしく、変な(気持ち悪い)縫いぐるみをコレクションしていた。高橋美佳子によると「地味かわいい」がトレードマーク。
フロエ
声 - 相澤みちる
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。無邪気で、かなりのおしゃべり。戦闘においては好戦的な性格で果敢に敵を追い詰める。不思議な空気を発するアーエルに好意を抱いて、パルを組もうと誘ったが、断られている。惚れっぽい性格で以前はアルクス・プリーマの整備士・ワポーリフとも恋愛関係にあったと自称している。パルのアルティとは信頼しあえる仲。
全ての思考の基準は恋愛。それからわかるように恋多き少女で、空気の読めない言動が目立つ反面、周囲の恋愛感情の交錯には鋭い。
モリナス
声 - 水樹奈々
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。アーエルやリモネと同じく補充人員として配属されて来た。純粋にシムーンに乗ることが大好きで、そのためにシヴュラになったと言ってもよい。そのため、彼女自身、自分がテンプスパティウムに仕える巫女であるとは言えないと語っている。シムーン好きが高じて、整備場への出入りも多いことから、整備士ワポーリフと想いを通わせていくことになる。ビジュアルのモデルは倖田來未。
シムーンオタクかつ、シムーン模型も嗜むモデラー。将来は整備工を夢見ている。
ドミヌーラ
声 - ゆかな
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。コールの統率がパライエッタだけでは不足とされたのか、テンペストに補充人員として配属されて来た。19歳とテンペストのシヴュラの中でも最年長で、どこか不思議な雰囲気を持つ。コール中、一番の長身で髪形の縦ロールが外見的特徴。実はコール・デクストラ最後の生き残りで、政府の高官達と直接に繋がっていることを匂わせる描写がある。パルには最年少のリモネを選び、彼女が閉じ込めていた真の力を目覚めさせることになる。
メッシス乗艦後は実質的にデュクス的な立場で作戦指揮に当たるが、ある行為を境に全ての作戦指揮を放棄、その後の敵襲に於いて翠玉のリ・マージョンを敢行、リモネと共にこの世界を去った。
そして翠玉のリ・マージョンで時空転移した場所が遙か昔、シムーンの利用法が忘れ去られ、遺棄された太古の世界に飛ばされたことを理解する。分解されたヘリカル・モートリスで見てしまった記憶。やがて自らが宮国の歴史に残るシムーンの祈りを世に伝えた人物その人であり、来たるべき歴史を変えるべきか否かを苦悩する。
リモネ成長後、泉に行っていない為に結晶化しつつある病を推して、再びリモネと共に新たな時空転移の旅に出る。
なお、制作当初の案ではアヌビトゥフと同年代の敵役として登場する予定だった。
マミーナ
声 - 森永理科
年齢16歳、身長160センチメートル、B・W・H / 84 (D)・56・84、足のサイズ23センチメートル、血液型O (RH-)。
補充人員としてユンと共にアルクス・ニゲルのコール・イグニスよりコール・テンペストへ転属して来たシヴュラ。アーエルと同じく身分が低く、本来シヴュラになれない家系だったが、故郷の村が攻撃された際の戦闘を契機にその能力を開花させることとなった。幼いころ、両親がロードレアモン家で使用人として務めており、ロードレアモンに対して、身分の差から複雑な感情を抱いている。
非常にプライドが高く、出自ゆえにシムーン・シヴュラであることに執着しているため、周囲を寄せ付けない苛烈さを持っている。本来は家庭的で献身的な少女で、その闊達さが仲間たちの軋轢を解消することもある。家事全般が得意で、ピンクのエプロンまで自前でメッシスに持ち込んでいた。コールの仲間やワポーリフのセリフから、彼女の作ったネズミ肉のシチューは絶品だったらしい。
ネヴィリルとパルを組んで空中補給基地の偵察に向かった際、古代シムーンと敵中型機の攻撃に被弾し、敵基地に不時着してしまう。銃を向けられ死をも覚悟したが、意外にも嶺国の巫女達に逃げるよう促される。だが、二人共逃げれば取り逃がした巫女達の立場が危うくなると判断したマミーナは、負傷したネヴィリルをシムーンで脱出させて一人残る。そして嶺国の巫女達による誇り高き死を受け入れ、アニムスの聖句「アーエル!」の絶叫と共に絶命した。
シヴュラ本来の家柄でない為に艦内葬を行ってもらえず、その棺は移送途中で撃墜され、マミーナの遺体は花咲き乱れる野原に投げ出されてしまう。
好きな物は、自分のウエスト。嫌いな物は、実力のない者。趣味は、料理、家事全般。
ユン
声 - 名塚佳織
年齢16歳、身長156センチメートル、B・W・H / 85 (D)・57・85、足のサイズ24センチメートル、血液型A型。
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。補充人員としてマミーナと共にアルクス・ニゲルのコール・イグニスから転属して来た。同志であるシヴュラの死を多く見届けてきたこともあり、シヴュラに対して追悼の念が強い。非常に正義感が強く、戦争を嫌っている反面、散って行った仲間達への申し訳なさからの義務感でシムーンに乗っている。そのため「誰と組んでも変わりない」と本人も語るほど、あまりパルが一定していない。
古代遺跡で「オレを呼んでいる」と霊感らしき物を働かせたり、リモネへ小枝で編んで作る死者の「魂の揺り籠」の作り方を伝えたり、コール・テンペスト中、一番巫女としての要素が強いシヴュラである。
オナシアに自分が泉に行かなかった本当の理由に気付かされ、コール・テンペスト解散直前にアルクス・プリーマから姿を消し泉へ向かう。オナシアもまた自分と同じ思いを背負い「許される」日を待っていたことに気付き、オナシアを抱きしめ魂を開放する。そしてオナシア亡き後は泉の番人となった。
好きな物は、平和。嫌いな物は、戦争、タマネギ。趣味は、読書。
金髪碧眼ロングヘアのモデル体型。西田亜沙子によると「シムーン一番の美少女」として、金髪碧眼のスラヴ系バレリーナをモデルにデザインされているとのこと。
アムリア
声 - 喜多村英梨
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。アーエルが配属される以前、ネヴィリルとパルを組んでいた。実力、カリスマともにリーダー的な存在であり、ネヴィリル以下、テンペストのシヴュラ達の心のよりどころとなっていた。戦闘の最中、ネヴィリルに翠玉のリ・マージョンを行うことを発案、成功し掛けたところでネヴィリルに迷いが生じ、失敗。多数の敵部隊を巻き込んで行方不明となった。
古代の村ではアムリアの祖先らしき少女が登場しており、リモネをパルに誘っていた。
エリー/エリフ
ヴューラ
声 - 早坂愛
コール・テンペストのシムーン・シヴュラ。元はコール・ルボルに所属し、ルボル解散後、コール・テンペストと入れ替わりにメッシスに着任し哨戒任務に就いていたが、ある事情から後に配属される事となった。ルボルに所属していた頃はテンペストに対して対抗意識を燃やす皮肉屋の一面を見せていたが、内面は義に厚く、肝っ玉の強い熱血。初期はアーエルのルームメイトであり、彼女との生活はまんざらでもない様子だった。
なお、当初の予定では物語の前半で死亡することになっていたという。
また、本来なら名前は「ヴェーラ」になるはずであったのだが、監督によると「絵コンテの『エ』が『ユ』に間違えられた」為、それが定着して現在の名前になってしまったとのこと。
サブキャラクター
アヌビトゥフ
声 - 木内レイコ
空中母艦「アルクス・プリーマ」の艦長。ニヒルな風格を漂わせる美丈夫。冷静沈着で常に的確な指示を出す。かつては自身も凄腕のシムーン・シヴュラ・アウリーガであり、第22話ではシミレで出撃し、シヴュラだった腕の片鱗を見せている。グラギエフとはシヴュラ時代、パルだった(西田亜沙子の非公式命名では、少女時代の名は「アヌビトゥーラ」)。
グラギエフ
声 - 桑島法子
デュクスと呼ばれるアルクス・プリーマに所属する全てのコールを統括している人物。シヴュラの世話係であり、副艦長的な立場でもある。かつては自身もシムーン・シヴュラ・サジッタであった。アヌビトゥフとはシヴュラ時代、パルだった(西田亜沙子の非公式命名では、少女時代の名は「グラキーア」)。現在の長身とは裏腹に、少女時代は非常に小柄だった。
ワポーリフ
声 - 水沢史絵
アルクス・プリーマの整備士。日頃からシムーンの整備を行っているので、シムーンの構造に関しても詳しい。二年前に泉にて男性化(本編序盤では体はまだ女性らしさを残しているが、後半では男性化が進んでいる)。以前、恋愛関係にあったとフロエには自称されている。シムーンを通じてモリナスとはかなり親しい間柄となり、物語終盤では彼女に求婚。最終話では二児の父となる。
オナシア
声 - 玉川紗己子
最高位の巫女である大宮煌(だいきゅうこう)。かつてコール・デクストラに所属していた元シムーン・シヴュラ。泉で性別を選ばず、永遠の少女でいることを望んだ為に罪を背負う。その後、同じ過ちを犯す者が無いよう番人となり、泉を訪れるものを見守り続けている。最後はユンに罪を開放され、光の粒子となって消え去った。
ハルコンフ
声 - 沢海陽子
宮国司政院の副院主。ネヴィリルの父。元シムーン・シヴュラ。マミーナとユンをコール・テンペストに加えたのも彼の権限で、ネヴィリルをもう1度、シヴュラ・アウレアとして輝かせるために、マミーナとパルを組むよう進める。当初は健康であったが、アングラスの自爆に伴う混乱で身体を痛めたらしく、以後は車椅子に座るようになる。
アングラス
声 - 松来未祐
嶺国の巫女。宮国語を話せる。嶺国の和平使節の一員としてアルクス・プリーマに乗艦しコール・テンペストのメンバーと仲良くなる。しかし、隙を見てカイムを人質に取り持っていた爆弾で自爆。12機のシムーンを破壊し、アルクス・プリーマに深刻な損傷を与えた。そして第17話では、何故か古代シムーンのコックピットに遺体となって発見され、続く18話では宮国内で葬式が行われている。
ワウフ
声 - 高乃麗
メッシスの艦長。アルクス・プリーマ修理中、コールテンペストを受け持つこととなり、彼女らの良き理解者でもあった。戦後はメッシスを貨物船に戻して所有し、モリナスやエリフらを雇う社長になっていた。最終回にはコール・ルボルのシヴュラA(西田亜沙子の非公式命名では「アイちゃん」)との間にもうけた娘が登場。
マスティフ
宮主
声 - 水樹奈々
正確には宮守A。名前は不詳。劇中では「宮主様」や「宮主殿」とだけ呼ばれていた。きつめの顔立ちをした女神官で神殿サイドの最高責任者。シムーンが戦の道具に使われる=司兵院の発言力増大に繋がることに疑念を抱き嫌悪していた。物語中盤から権力争いによって司政院、司兵院と政治的に対立し、挙国一致の足を乱して宮国を敗北へ導く一因を作る。
宗教的な理想主義者で、戦争に明け暮れる大空陸を捨て「希望の大地」へ向かうことを夢見ていたが果たせず、戦後は樵国軍に拘束されて表舞台より姿を消す。
水樹によると「一話限りのちょい役だと思ってたら(レギュラーの)モリナスを全部合わせたより、宮主様がしゃべったセリフの方が多かった」とのこと。
アーエルの祖父
声 - 京田尚子
元シムーン・シヴュラ。オナシアとドミヌーラと同じくコール・デクストラ所属(ただし、時代的にはドミヌーラよりも数世代前)のレギーナだった。第1話にアーエルが乗っていたシミレは、元々、彼の物であった。
サブキャラクターもすべて上記のキャストによるものであり、別撮りで収録されている。
製作の過程
本作の企画は、放送の2-3年前に始まり、当初はスタジオディーンのプロデューサーである野口和紀と脚本家の田中哲生主導であり、作風も「明るいシムーン」の予定であった。その後、この2人が企画から離脱し、プロデューサーの松田桂一と脚本家の小山田風狂子によって進められることとなり、作風も現在のようなシリアスなものへと変化した。
評価
SF作家の秋山完は、「“永遠の少女”というロマンティックなテーマを、真面目に、真剣に、深く深く掘り下げた作品」と述べ、高く評価するとともに、アニメ『少女革命ウテナ』との共通点を指摘している。ただ、音響監督の辻谷耕史も認めているように、物語の序盤になじめないという意見もある。
スタッフ
- 原作 - 小山田風狂子、篠吉祥、美原轟
- 監督 - 西村純二
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 西田亜沙子
- コンセプトデザイン - 長濱博史
- メカデザイン - Jin Seob Song
- 美術監督 - 小林七郎
- 3DCG制作 - CreativeField
- 色彩設計 - もちだたけし
- 撮影監督 - 川口正幸
- 編集 - 松村正宏
- 音楽 - 佐橋俊彦
- 音響監督 - 辻谷耕史
- プロデューサー - 小林潤香、松田桂一、武藤誉
- アニメーション制作 - スタジオディーン
- 製作 - シムーン製作委員会(バンダイビジュアル、スタジオディーン、創通エージェンシー)
主題歌
オープニングテーマ
「美しければそれでいい」
エンディングテーマ
「祈りの詩」
※音楽プロデューサーの野崎圭一は、石川智晶とsavage geniusは「お姉さんと妹」かつ「ネヴィリルとアーエル」という立ち位置であると述べている。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 堕ちた翼 | 小山田風狂子 | 西村純二 | 加藤敏幸 | 西岡忍 |
2 | 青い泉 | 下司泰弘 | 中山岳洋 | ||
3 | 遠い戦争 | 西村ジュンジ | 藤原良二 | 吉田俊司 | 波風立流 |
4 | 近い戦争 | 小山田風狂子 | 山本秀世 | 石田ひろし | 南伸一郎 |
5 | 白い孤独 | 大和屋暁 | 小滝礼 | 吉田俊司 | 志賀道憲、浜津武広 |
6 | 傷と痛み | 加藤敏幸 | 山田勝 | ||
7 | 公海上空にて | 小山田風狂子 | 藤原良二 | 下司泰弘 | 津熊健徳 |
8 | 祈り | 中山岳洋 西村純二 |
吉田俊司 | 中山岳洋 | |
9 | 審問 | 西村ジュンジ | 藤原良二 | 神保昌登 | 西岡忍 |
10 | 籠の鳥 | 孫承希 | 波風立流 | ||
11 | 共同戦線 | 大和屋暁 | 加藤敏幸 | 南伸一郎 | |
12 | 姉と妹 | 岡田麿里 | 西村純二 | 下司泰弘 | 森本浩文、波風立流 |
13 | 理(ことわり) | 藤原良二 | 吉田俊司 | 津熊健徳 | |
14 | 冒さざるもの | 西村ジュンジ 岡田麿里 |
鎌倉由実 西村純二 |
うえだしげる | 中山岳洋 |
15 | 一人、また一人 | 岡田麿里 | 藤原良二 | 孫承希 | 南伸一郎 |
16 | 翠玉のリ・マージョン | 西村ジュンジ 岡田麿里 |
西村純二 加藤敏幸 |
加藤敏幸 | 西岡忍 |
17 | 遺跡 | 西村ジュンジ | 藤原良二 | 下司泰弘 | 野口和夫 |
18 | 葬列 | 岡田麿里 | 山本秀世 | 吉田俊司 | 森本浩文、えびす陽樹 |
19 | シヴュラ | 西村ジュンジ | 西村純二 | うえだしげる | 菊地洋子、南伸一郎 |
20 | 嘆きの詩(うた) | 岡田麿里 | 藤原良二 | 神保昌登 | 中山岳洋 |
21 | 新天地への扉 | 孫承希 | 南伸一郎 | ||
22 | 出撃 | 西村ジュンジ | 西村純二 加藤敏幸 |
加藤敏幸 | 西岡忍 |
23 | 永遠の少女 | 岡田麿里 | 藤原良二 | 吉田俊司 | 野口和夫 |
24 | 選択 | 鎌倉由実 西村純二 |
うえだしげる | 森本浩文 えびす陽樹 | |
25 | パル | 西村ジュンジ | 西村純二 | 吉田俊司 | 龍吉三、菊地洋子 |
26 | 彼女達の肖像 | 岡田麿里 | 藤原良二 | 西村純二 | 西田亜沙子、西岡忍 南伸一郎、中山岳洋 |
放送局
サウンドトラック
- タンゴやワルツ、その他弦楽器などによるクラシック要素の強い楽曲が多い。
- ブックレットは厚めで、キャラクター紹介や作曲家インタビュー (#1)、主要スタッフによる対談 (#2) などが掲載されている。
- 「Simoun オリジナルサウンドトラック1」VICL-61964 2006年6月21日発売
- 「Simoun オリジナルサウンドトラック2」VICL-62043 2006年8月30日発売
ドラマCD
- Simoun CDドラマ『嗚呼、麗しの派遣OL なぜなんだシムーン株式会社』VICL-62083 2006年10月25日発売
アーエルたちが東京で「シムーン株式会社」を設立するという、アニメ本編とは無関係なパロディ仕立ての内容となっている。
漫画
『Simoun』
『コミック百合姫』(一迅社) Vol.3から連載されていた。アーエルの性格が本編と違う、シムーンの形状が準備稿の翼付きになっているなどの差異がある。
単行本は全1巻。一迅社〈百合姫コミックス〉、初版発行2006年10月、ISBN 4-7580-7010-5
『シムーン 〜まじかる美勇伝〜』
『メガミマガジン』(学習研究社) 2006年8月号 (Vol.75) - 2006年12月号 (Vol.79)。こちらは本編のパロディ仕立てのストーリーとなっている。単行本化される予定はない。
小説
『シムーン』
小説版。第2巻のあとがきによると監督の要請でシヴュラ同士の「ふれあい・語らい」が増量されており、各キャラ設定に記された裏設定も反映されている。学研〈メガミ文庫〉より発売。
第1巻 - 初版発行2006年8月4日、ISBN 4-05-903511-4
第2巻 - 初版発行2006年11月22日、ISBN 4-05-903512-2
ラジオ
- Simoun〜電波 DE リ・マージョン〜(音泉 2006年7月17日から2007年1月15日、毎週月曜日更新)
- パーソナリティ - 高橋理恵子(ネヴィリル役)、高橋美佳子(ロードレアモン役)
- パーソナリティ - 高橋理恵子(ネヴィリル役)、高橋美佳子(ロードレアモン役)
ゲーム
マーベラスインタラクティブより、2007年6月21日にPlayStation 2用ソフト『SIMOUN 異薔薇戦争〜封印のリ・マージョン〜』が発売された。ジャンルはADV+タクティカルSLG。アニメ版の第9話から第14話周辺を舞台としたオリジナルストーリーである。
ストーリー(ゲーム)
コール・テンペストがメッシスに配属されてから1か月後、新たに遺跡が発見されたとの報告を受けアーエルたちは調査に向かう。そこで彼女たちはシムーンによく似た謎の機体に遭遇。そこからシムーン・シヴュラたちの新たな戦いが始まる。
用語(ゲーム)
ソール・イーノルド
ウンブラ・シムーン
中盤でコール・テンペストもウンブラ・シムーンを獲得するが、物語の最後に失われる。
登場人物(ゲーム)
ここでは、ゲーム版オリジナルキャラクターについて述べる。
アーシュラ
ソール・イーノルドの姫を守る役目を持つ巫女。ソール・イーノルドが現代に復活するのを阻止するためコール・テンペストと協力し、ソール・イーノルドの情報やウンブラ・シムーンを提供する。物語終盤ではワポーリフから「シヴュラ・アーシュラ」と呼ばれる。
サイルサンドラ
アーシュラと同じソール・イーノルドの巫女で、アムリアに酷似している。姫の暴走とソール・イーノルド滅亡のきっかけを作った人物。乗機はアイルーロス。
エレノア
ソール・イーノルド親衛隊の一。幼い外見ながら、無邪気な残酷さを発揮する。乗機はディーネー。
キャンディス
親衛隊の一。金髪の巻き毛。残忍な性格で、遠距離射撃を好む。乗機はアカンティオン。
クリサリス
親衛隊の一。赤毛の長髪。高飛車な性格で、謀略を巡らせるのが好き。乗機はコリュドス。
レイユイ
親衛隊の一。黒髪。武術の達人であり、乗機オニュクスも近接攻撃用に仕上げている。
ギリー
親衛隊の一。褐色の肌に短い銀髪。任務に忠実な武人気質だが、姫の心情を思いやる気持ちとの板挟みになり苦しむ。乗機はトクセウス。
ロザリンド姫
ソール・イーノルドの首長。本来は慈悲深い性格だったが、狂気に取りつかれて祖国を滅亡に追いやる。彼女を眠ったままでいさせようとするアーシュラと、目覚めさせようとするサイルサンドラおよび親衛隊の相克が物語の軸となっている。
主題歌(ゲーム)
「あたしのすべて〜Die for you〜」
その他
同じく西村純二が監督を務めるOVA『今日から㋮王! R』第3巻『乾いた風』はシムーンのパロディである。