貴族探偵エドワード
以下はWikipediaより引用
要約
『貴族探偵エドワード』(きぞくたんていエドワード)は椹野道流著、ひだかなみ挿絵のシリーズ小説。角川ビーンズ文庫より刊行されている探偵モノのファンタジー小説である。また、ビーンズエースにおいて、おもて空良作画による漫画版が連載されたほか、ドラマCDが発売された。
内容
架空の国・アングレの首都ロンドラにある、小さな探偵事務所。そこで探偵を務める少年エドワードが、守り役のシーヴァ、不思議な能力を持つ霊感少年トーヤと共に、奇怪な事件を次々と解決していくオカルトチックなファンタジー小説。
登場人物
キャストはドラマCDのもの。
エドワード・H・グラッドストーン
声:宮野真守
主人公。金髪(兄弟の中では唯一)に青空色の眼・スタイル抜群・頭脳明晰と非の打ち所がない少年。地方の領主・グラッドストーン家の三男坊で、家族の誰ともかなり年が離れていた事と、人形のような端正な容姿ゆえに、わりと甘やかされて育った。それでも我が儘で傲慢なお坊ちゃまではなく、心優しい紳士に成長したのは、彼の将来を案じた両親が守り役としてつけたシーヴァのおかげである。実は幼い頃にお忍びで静養に来ていたアングレ女王マチルダと出会っていた。
良家の子息であるにも関わらず、家族の反対を押し切って子供の頃からの夢である私立探偵になった。現在はロンドラの下町に構えた探偵事務所の所長である(普通に食べて行くには困らない程度の稼ぎらしい)。
家柄が家柄なので、紳士としての礼儀やたしなみは身についており、依頼人にも臆することなく接している反面、行儀の悪いことをしてシーヴァに窘められたり、トーヤとじゃれあったり、シーヴァやプライスをからかったりと、まだまだ少年らしい部分も多々ある。ちなみに、低血圧なのか早起きは苦手らしく、寝相も大変悪い。『領民あっての領主』という考えを叩き込まれているので、使用人を無視する、高慢なお坊ちゃんを見ると、ことのほか憤慨する。
原作第1巻にて、母校であるパブリックスクール・バルフォア校の校長であるコレット直々の依頼で、学校の幽霊騒ぎを解決するため一時的に母校に戻る。そこで容姿と母親の身分が元でいじめられていたトーヤと出会う。学生時代は寮長を務めたほどの優等生で、卒業後もその寮長っぷりは憧れの的。
クレメンスに取り憑いていた魔物を追うために、探偵事務所の面々、ウノスケ、ネコハチとともにウノスケらの故郷・チーノへ旅立つことに。チーノでは自分たちが外部の人間であるという自覚を持ち、カノやウノスケからチーノ語を教わり、滞在期間中にかなり流暢に操れるようになった。
帰国後、再びコレット校長が相談事を持ち込んだことから、シーヴァ、トーヤとともに再度母校へ舞い戻る。校長の依頼内容である皇太子ロデリックの体験入学期間中の護衛を終えた後、暗殺者からマチルダやロデリックの身を守った勇敢な探偵として大々的に表彰される。
シーヴァ・アトウッド
声:森川智之
エドワードの守り役兼探偵助手兼世話係。ココア色の髪、灰色の瞳とエドワードに比べて些か地味だが、それでも十分に整った容姿。どんな人にも礼儀正しく、穏和な性格(トーヤとすぐ打ち解けたのはこの性格のおかげである模様)。それゆえに恋愛にも超奥手。下宿の大家であるハリエットに好意を持ちつつ、まるで子供のように、見ている方が焦れったくなる恋をしている(あからさまな形でエドワードとトーヤに後押しされることも多い)。
生まれたばかりのエドワードが、あまりにも泣きすぎて命が危ぶまれたとき、当時9歳だった彼が抱くとすんなり泣きやんだことが守り役となったきっかけである。幼少期は学校にも通い、さらにエドワードも彼にくっついていくほど懐いていた様子。現在は私立探偵となったエドワードを心配した家族が彼も一緒に、ということで守り役続行&メモ帳片手に探偵助手を務める。つき合いが長いためか、子供の頃のエドワードを知っているためか、親馬鹿ならぬ坊ちゃん馬鹿。
仕事が終わり、眠る前に紙巻煙草を1本だけ吸う習慣があるが、エドワードに悪い癖をつけないため、仕事中は禁煙(トーヤは知っている)。
なお、アトウッド家は代々グラッドストーン家に執事として仕える家柄で、現在は父ハリーが執事を務めており、兄グレゴリーはエドワードの次兄ロジャーの片腕を務めている(将来は執事に昇格する)。
ロデリックの体験入学に合わせてエドワードと共にバルフォア校を訪れ、四阿のひとつでお茶にしていたところ、暗殺されかけたマチルダをかばい左腕を負傷する。体験入学期間終了後も全快してはいなかったが、暗殺者からマチルダの身を守った功績を表彰される。
トーヤ・アカホシ
声:柿原徹也
エドワードの探偵助手。黒髪黒目、小柄な体躯、名前の響きからしてどう見ても東洋人。父親は名家のひとつ・ボールドウィン家の家長。母親は異国から売買されてきた東洋人(チーノ人)であった。エドワードの母校バルフォア校に在籍していたが、人とは違うその容姿のためにイジメを受け、仕事としてバルフォア校に来たエドワードと親しくなって学校を辞めた。その時、後述する特殊な能力のために、これまた仲が良いとは言えなかったボールドウィン家を出て、母方の『アカホシ』に改姓。以降は探偵助手としてエドワード・シーヴァと共に下宿中。趣味はボトルシップ作りで、普段の短気な一面は繊細な作業中はなりを潜める。
母親から霊能力のようなものを受け継いでおり、その力が発揮されるときのみ瞳が銀色になる。霊と対話したり、魔物の気配を感じたり、その正体を見破ったりすることが出来る。これまでの大きな事件には、いずれもそういった霊的なものが関わっているために、彼の存在は必要不可欠なものともいえる。
『常磐の森に祈るもの』において、母親の形見であるメノウの勾玉を現地の人間に見せたことで、母親の素性を知り、情報を求めて短い旅をすることに。
スカーレット・フレイムを倒し、アングレへ戻った後、パブリックスクールの校長の依頼で体験入学することになった皇太子ロデリックのお目付け役として14歳のクラスに一時編入することに。その間、自分はかつていじめに遭って逃げ出した場所でのやり直しを図る。体験入学期間が終わった後はロデリックの親友として表彰される。
ハリエット・マーシャル
声:佐久間紅美
エドワード達が住む下宿屋の大家さん。娘時代はメイドとして奉公していただけあって、下町では少し珍しい上品で清楚な雰囲気を持つ。たおやかな物腰に美しい容貌、探偵家業を営むエドワード達を常に気遣う優しさも持ちながら、市場からマトンの足を担いで帰るという怪力の持ち主。また、亡き夫を偲んで未だに喪章をつけ続けているという慎ましやかな女性でもある。世話好きで料理上手、その性格の良さからシーヴァに好意を寄せられているが、最近では彼女もシーヴァを異性として意識し始めた模様。
ジェイド
声:日野由利加
下宿屋の3階に住む、異国の雰囲気を持つ年齢不詳の女占い師。『ジェイド』という名が本名か否かは不明。彼女の占いは恐ろしく当たるらしく、顧客には大金持ち達が名を連ねていると言うが、下町での気楽な暮らしを好む風変わりな女性。癖のある長い黒髪に翡翠色の瞳、抜群のプロポーションを誇る美しい身体をドレスや宝石で飾っている。エドワード達のことを気に入っており、得意の占いでしばしば助言をすることもある。エドワードの次兄・ロジャーが下宿にやってきた際に顔をあわせており、以来好意を寄せられている。
チーノへ向かう豪華客船の1等船室にパトロンとともに乗り込み、偶然エドワードらと顔をあわせることに。その後、ユージィン率いる劇団のチーノでの公演にゲストとしてキャスティングされる。
ケビン・プライス
声:檜山修之
ロンドラ市警の警部補。過去に2度、事件解決の手柄をエドワードに譲って貰ったことにより、田舎からロンドラへ赴任してきた刑事。口が悪く負けず嫌いで態度も大きいが、これは単に素直になれないだけで、正義感が強く義理堅い、些か不器用な性格。喫煙者だが、マイカを引き取ってからは彼の健康を思って止めた。
幼い頃に両親を強盗に殺されたという過去を持ち、貧しい人々を護るために刑事になった(そのため出世のために仕事をしたことはない)。エドワード達とはいくつかの事件を通して腐れ縁のような関係であり、しばしば捜査協力を頼むこともある。
怪盗ヴィオレを追うべく、チーノへ向かう豪華客船に部下とともに乗り込む。その後はチーノの警察機構・奉行所と捜査技術を交換するべく、そのままチーノへ。帰国後は休暇をもらっていたが、その間にエドワードの策でバルフォア校に呼び出され、一役買うことに。しかし休暇中に管轄外の地区での捕り物が表彰されるのはまずい、ということで、こじつけ気味にチーノでの功績を讃えるという形にして警部へ昇進する。
クレメンス・マクファーソン
声:石田彰
エドワードの学生時代の先輩で、銀髪を長く伸ばした青年。新入生だったエドワードに校内の様々なことを教えた。家の事情で卒業前に学校を去り、その後、エドワードとは音信不通になっていた。
エドワードとの再会時、かつての優しい先輩という面影はほとんどなく、左目に色の濃い片眼鏡をかけており、魔物を操っていたが、それは彼自身が左目に憑いた魔物「スカーレット・フレイム」に操られていたためであったことが後に判明する。
崩れかけた洞窟内で、操られていた状態から脱した際に命を落としかけ、その場にいたルーティル・バードの血を受けて白い毛並みの小動物のような魔物の姿になり、一命を取り留めた。以降はルーティルの持ち物だったブレスレットを形見として首輪代わりにしている。
以降、アルヴィンと同居状態にあり、移動する際は彼の頭の上が定位置であることが多かったが、チーノへ向かう船内で魔力が満ちたため、3歳頃の幼児の姿に変化した。ブレスレットは二の腕に。
アルヴィン・ブルック
マイカ・フロスト
ルーティル・バード
ウノスケ
ネコハチ
スカーレット・フレイム
ロジャー・グラッドストーン
怪盗ヴィオレ
ハルヒデ
カノ
ウノスケの妹。薬売りをやっている少女で腕の良い薬師。アングレの医学書を読むため独学でアングレ語を勉強したという。その言葉遣いは兄以上に古風だが流暢。
チーノでは彼女とウノスケの屋敷がプライスを除く一行の居候先となった。兄が国主により島流しに処され、再びアングレへ渡る当日、国主によって「エドワードたちの監督不行き届きの罪で島流し」を名目に合流する。なお、屋敷にはそこそこの使用人もいたが、奉行所の長であるアラキが引き受けてくれたらしい。
アングレに来た当初、故郷でのように薬売りをしようとしていたが、アングレでは薬剤師になるのに免許が必要な上、外国人である彼女は免許を取得しようにも薬科大学受験資格を得られずにいた。しかしエドワードの頼みを聞いた女王の配慮によって受験資格を得る。
マチルダ
現在のアングレ女王。先代の国王である夫を亡くした後即位した、民間出身の女王。そのため血筋を重んじる一部の上流階級からの風当たりは強いが、下町の住民を中心に慕われている。しきたりによってロデリックが赤子の頃に引き離され、戻ってきた時にはお互いどう接していいかわからずに行き違う日々を送っていた。ロデリックの2週間の体験入学中、寮の一室を借りる形でエドワードらとともに過ごす。もともとは医者であり、自分をかばって負傷したシーヴァの手当てをやってのけた。
エドワードがシーヴァの学校にくっついて行っていた頃、暴風雨の中はしゃぎすぎて転び、泥の中でひざをすりむいて大泣きしているところに通りかかり、静養先の屋敷で手当てしたことがある。その縁から自分とロデリックをエドワードの遠縁ということにして護衛を任せるという策を思いついたらしい。
地名
アングレ
チーノ
既刊一覧
小説
漫画
作画はおもて空良。「ビーンズエース」にて連載、あすかコミックスDXより全2巻で発売。
ドラマCD
- 貴族探偵エドワード 銀の瞳が映すもの(KORDER.com 限定通販)
- 貴族探偵エドワード 魔法のランプと優しい嘘(The Beans VOL.10 誌上通販)
他作との関連
- アングレという国名は『作る少年、食う男』シリーズでも登場するが、舞台となる都市が異なる(『作る〜』の主な舞台は首都であるロンドラではなく、遠く離れた港町マーキス)。なお、チーノは、第2作『執事の受難と旦那様の秘密』において主要人物の1人の出身国であることが判明する。