覇剣の皇姫アルティーナ
小説
著者:むらさきゆきや,
レーベル:ファミ通文庫,
巻数:既刊15巻,
漫画
原作・原案など:むらさきゆきや,
出版社:KADOKAWA,
掲載誌:ファミ通コミッククリア,
レーベル:ファミ通クリアコミックス,
発表期間:2015年1月23日 - 2017年2月10日,
巻数:全4巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『覇剣の皇姫アルティーナ』(はけんのこうきアルティーナ)は、むらさきゆきやによる日本のライトノベル。イラストは himesuzが担当。ファミ通文庫(エンターブレイン→KADOKAWA)より2012年11月から刊行されている。第2回ラノベ好き書店員大賞にて5位を獲得している。2018年2月時点でシリーズ累計発行部数は50万部を記録している。
あらすじ
軍人なのに剣も弓も苦手で、読書狂な主人公レジス。とある敗戦の責任をとらされて辺境に左遷された彼は、自らの運命を変える少女と出会う。赤い髪、紅い瞳を持ち、覇者の大剣を携えた皇姫アルティーナ。
落胤がゆえに辺境軍の司令官に任じられていた彼女だったが、その境遇に嘆くことなく、ある壮大な大望を抱いていた。「あなたを信じるわ」という彼女の言葉とともに、レジスは困難へと立ち向かっていくこととなる。
登場人物
声優は特装版のドラマCDより
ベルガリア帝国
主要人物
レジス・オーリック
声 - 小野賢章
主人公。年齢は18歳(B6版では20歳)。ベルガリア帝国軍人であり、階級は初登場時点で五等文官。ラフレンジュ会戦後に三等文官、グレボヴァール奪還作戦後に一等文官に昇進する。三等文官昇進以降は騎士爵を与えられ、レジス・ドゥ・オーリックと呼ばれる。
柔弱な印象の平民の青年士官。本人は落ちこぼれ軍人を自称しているが、書物から学んだ膨大な知識と並ぶ者のない軍略の才能を持ち合わせている。
帝都ヴェルセイユの出身であり、幼い頃に、流行り病で両親を失い、姉ヴァネッサによって育てられていた。後に軍図書館の司書となるべく士官学校に入学するが、剣もろくに振れず、馬にも乗れないことから落第寸前の落ちこぼれであった。しかし軍略の才能を見極めたテネゼ侯爵により貴族軍に招聘される。その後、彼のもとで仕えていたが、末席参謀として参加した蛮族との戦いで、テネゼ侯爵は戦死し、敗戦の責任まで押し付けられて、バイルシュミット辺境連隊へと左遷された。しかし配属以来、文官としての能力を認められるようになり、その中で徐々に周囲の人間から一目置かれるようになる。野盗撃退の後、アルティーナから大望を打ち明けられたことで、自らの立場や能力に葛藤しながらも、彼女の望みを手伝うべく「軍師」としての役割を果たしていくことを決心した。
第五次ヴォルクス要塞攻略作戦以降は、帝都の貴族にも名を知られるようになり、ハイブリタニアとの一連の戦いを勝利に導いたことで救国の英雄と見なされるようになる。
性格的には極めて温厚であり、軍人としては珍しく謙虚でかつ理性的な性格なため、女性からしばしば好意を寄せられる。他者に対する評価は公正な一方で、自己評価は極めて低い。偏執的愛書家であり、自身の給料のほとんどを書物に費やし、時には借金さえすることもある。学術書に限らず娯楽小説にも明るく、新聞や戦闘詳報など文字さえ書いてあるものならば、須らく読書の対象となっており、絵画や詩といった芸術分野にもある程度通じている。生粋の平和主義者でもあり、戦争状態の停止や近隣諸国との関係改善を政治的な主張として行っており、また貴族の特権がすぎる現在の帝国の体制にも不満を抱いている。
レジス自身は一介の文官に過ぎないが(軍師は帝国軍の正式な役職ではなく称号である。)、辺境連隊では他に文官がいないため、立場上アルティーナの直属となっており、参謀、副官、事務官などの職務を掛け合わせた雑多な事務をほとんどひとりでこなしていくはめとなっている。またジェロームやアルティーナが組織への関心が薄く、特にアルティーナは書類仕事も嫌っているため、極めて多忙であり辺境連隊への配属以来、休日すらとれておらず(一度過労で倒れている。)、しばしば徹夜作業も行っており、しかもアルティーナの勢力の拡大に伴って仕事量は増大し続けている。
マリー・カトル・アルジェンティーナ・ドゥ・ベルガリア
声 - 藤村歩
ヒロイン。愛称はアルティーナ。ベルガリア帝国第四皇姫。バイルシュミット辺境連隊司令官。階級は初登場時点で少将。ラフレンジュ会戦後に中将、ラトレイユの即位後には元帥に昇進した。年齢は14歳だったが、ハイブリタニアとの戦争中に誕生日を迎えて15歳になっている。
他の兄妹とは異なり、帝国初代皇帝を彷彿させる赤髪紅瞳で、絶世の美女と呼ばれた母親の美貌をそなえた美少女。皇族の血統として並外れた膂力を受け継いでおり、辺境連隊の一部の将兵からは女神と称えられている。
母が平民出身であることから、宮廷内でも他の皇族や貴族から蔑まれ、不遇の扱いを受けていた上に、その美貌が仇となって皇后の怒りを買い、わずか14歳で辺境連隊の司令官に任じられることとなる。その際に父帝から餞別として初代皇帝の宝剣の一つである帝身轟雷ノ四(グラントネール・カトル)を受け取っている。
当初、辺境連隊での彼女の立場は「お飾りの司令官」という微妙なものであったが、ジェロームとの決闘を経て連隊の兵士たちからの信頼を獲得し、レジスやジェロームら配下の将兵の助けを得て数多くの功績を立てたことで、皇位継承の有力候補となる。
勇敢であり、貴族の贅沢や横暴を嫌う極めて善良な性格の持ち主。宮廷にいたころから貴族たちの嫉妬と侮蔑を受けていたことから体制に対する疑問を持つようになり、自らが皇帝となることで貴族の横暴を正すという大望を抱くようになり、レジスと会ったことで帝国の現状への具体的な問題点を知り、平和主義者の理想である「戦争のない世界」と、「無能な為政者が批判と処罰を受ける社会」の実現を掲げるようになる。ただ、帝王学からは遠ざけられた立場であったため、政治的には無知でかつ、世間知らずな面も目立ち、軍人としても士官学校での教育すら受けていないため、作戦の立案や実際の指揮などはレジスやジェロームが代行することが多い。
レジスに対しては自身の政治思想の礎となったことから同志として信頼しあう仲で、また理想の実現のための軍師としても重用している。女性としても好意を抱いているが、レジス側は身分違いであり得ないことだと意識すらしていない。ラトレイユはレジスをさして「(アルティーナの)よき教師」と評している。
クラリス
声 - 佐藤聡美
アルティーナ付きのメイド。茶髪で榛色の瞳をした美女で、レジスより二歳年上。
身分に見合わぬ教養の持ち主でアルティーナの侍女のような役割をこなしている他、人手不足のシエルク砦において日常の雑用などもこなしている。
性格的には変わり者で、自分が心を許した相手(アルティーナやレジスなど)には笑顔で毒舌を吐いたり、冗談をこぼしたりするが、それ以外には愛想がなく、無表情を貫き通す。(作中では徹底しており、初めて外向きの性格をレジスがみた際にはよく似た別人と間違えたほど。)レジスには好意があるような素振りを見せることもある。
アルティーナからは極めて信頼されており、帝都から追放された際にも典医以外で唯一同道したほか、作中のアルティーナの遠征でもほとんどの場合同行させている。クラリスの方もアルティーナを信頼しているようでジェロームとの決闘の際や第五次ヴォルクス要塞攻略戦でもアルティーナの勝利を疑うことはなかった。
皇族
リアン15世
本名はリアン・フェルナンディ・ドゥ・ベルガリア。ベルガリア帝国の現皇帝であるが、すでに年老いており実権は第二皇子ラトレイユが握っている。即位間もないころに発生した八正面戦争ではコルネーユ将軍を総督に任命して、帝国の復権と版図拡大を目指していた。若い頃から女性関係が奔放であり50歳の時点でメアリーに手を出すなど見境がないが、赤髪紅瞳の子供が産まれなければ興味を無くすなど身勝手な人間。
ハイブリタニア王国の侵攻でベルガリア帝国が敗北寸前になったにも関わらずユハプリシアをはじめ女性たちとの乱交に励む皇帝としての責務はすでに果たしていなかったが、己の漁色と赤髪紅瞳の後継者誕生のため自分の子供達や国民を平然と犠牲にする態度がラトレイユの逆鱗に触れてしまう。ラトレイユによって絶命させられた後は崩御という形で発表された。
ユハプリシア・オクトーヴィア・ドゥ・ベルガリア
カルロス・リアン・オーギュスト・ドゥ・ベルガリア
アレン・ドウ・ラトレイユ・ドゥ・ベルガリア
ベルガリア帝国第二皇子。帝国第一軍司令官。階級は大将。ハイブリタニアとの開戦後は元帥に昇進し、総督を兼任するようになる。12巻において新皇帝に即位する。年齢は23歳。度量と威厳を兼ね備えた覇王の器の持ち主であり、時として謀略もいとわないしたたかさも兼ね備える。
金髪紅瞳の美形であり、政戦両略に通じる。剣術の技量でも極めて高い水準にあり、初代皇帝の宝剣の一つである帝意破軍ノ二(アルメヴィツファ・ヴォロンテ)を所有する。実母は父帝の皇后であり、政治家としては母の出身である中央の大貴族を中心とした強固な支持層を得ている他、軍人としても数多くの戦いで勝利をもたらしたことで、将兵や臣民からの絶対的な信頼を築いているが、反面で黒い噂も少なくない。
老いた父帝や病弱な第一皇子に代わり、帝国軍の実権を掌握している。典型的な覇権主義者として対外的には拡張政策を推し進めているため、アルティーナらとは政治的に対立関係にあるが、国内的には貴族層の堕落や、国力の低下を憂慮しており、帝位を目指す理由としている。ハイブリタニアとの戦争を経て、貴族や教会の特権を抑えるための制度改変や、軍人を権力者ではなく職能者として扱うための国民軍の編成など、より具体的な構想を目指すようになった。
ハイブリタニア王国の侵攻の際、ベルガリア帝国の地理を知り尽くした奇襲により負傷、毒の怪我により左目を失明し右目もいずれ視えなくなるという皇位継承に関わる問題を抱えてしまう。この重傷に加え、覇道を突き進みつつも大義や仁政にも理解を示している自分では他人の命を平気で犠牲にするオズワルドとの戦いでは相性が悪いことを自覚、民や部下の命すら作戦に使うオズワルドの猛攻に屈しかけるも、レジスの策によるアルティーナの勝利を受け形勢が逆転しラトレイユも辛勝という成果を収める。
宮廷に帰還した後、貴族だけでなく皇帝そのものが堕落し正気を失っていることを確信し絶望する。リアン15世が己の漁色と赤髪紅瞳の後継者誕生のため自分の子供達や国民を平然と犠牲にしようとしていることを知ったことで怒りが限界に達し、国政を壟断していたユハプリシアと共にその場で命を奪った。その後は略式で皇帝即位を宣言、全てが一段落した後に皆から正式に皇帝として迎えられるべく地盤を固めていく。
ハイブリタニア王国との戦いに決着をつける際、一時的に出向してきたレジスを昇進審査という名目で自身の配下として戦場へ出向く。この際、自分達が後手に回されてきたハイブリタニア王国だけでなく、マーガレットに執心していたランゴバルト王国の行動でさえもほぼ完全に見透かし粉砕したレジスの智謀に驚愕する。マーガレットの精神構造やオズワルドの手腕さえも把握して捕縛したことでレジスは単なる文官や参謀ではなく将としての器まで持ち合わせた人材であると確信、自身の陣営に正式に招くも拒絶されてしまう。自身の体調や帝国の現状、アルティーナとの政治方針の違いなどを考慮し、自陣営への参加を拒絶したレジスは排除しなければならないという苦渋の決断を下すも、ギルベルトの奪還を目指す傭兵団『吊られた狐(ルナルパンドウ)』がレジスを狙うタイミングと合致してしまうこととなった。
フェリシア・スィス・セリア・ドゥ・ベルガリア
ベルガリア帝国第五皇姫。オーギュストの同母妹で、兄と同じ銀髪紅瞳の美少女。年齢は14歳。
兄と同じく病弱なために、母の実家である西方の貴族領で隠棲していると世間には知られているが、実際は兄の替え玉となるために宮廷の別館に籠っていた。替え玉の計画自体はわが子を即位させんとする第二皇妃の野心によるものであるが、彼女自身も兄を殺したものとされるラトレイユを憎んでおり、彼の即位の妨害せんとしている。
静かな歌や本が好きな控えめな性格で、世間で言われるほど病弱でもないが他の兄姉たちほどの人並外れた膂力はない。兄とのつながりもあってエディとは幼馴染のような関係であり、名言こそしていないが恋人も同然の仲である。男装しているときは気も大きくなるらしく普段では行わないようなスキンシップも行っているが、事情を知らぬ周囲からはただならぬ仲ではないかと危惧されている。アルティーナに対しては兄とは異なり私的な場ではお姉さまと呼んだりと比較的良好な関係を気づいている。
建国記念祭において皇帝に奏上して、ラトレイユから総軍司令官の座を奪い、帝位継承を確実なものにせんとしてたが、ラトレイユ側は替え玉の件も含めて察知しており、逆に正体を明かして第一皇子派閥ごと失墜させんとしていた。しかし、同じく正体に気づいたアルティーナらによって説得され、「オーギュストとして」継承権を放棄し、アルティーナの即位を支持したうえで、自身は側近のエディとリリムをつれて姉の本拠地であるヴォルクス要塞に逃れることでかろうじて危機を脱する。以降は客人としてヴォルクス要塞に滞在している。
貴族・軍人
重臣
軍務省
ベッケル
軍務省の査察官。ベクラール侯爵の甥で、伯爵家の一門。
背の低い細身で狐のような目をした男。弱きに傲慢で、収賄に精を出す典型的な小悪党。暇つぶしに農民を切り捨てようとするなど典型的な選民思想の持ち主。
軍務省からヴォルクス要塞攻略の辞令をアルティーナに伝えたが、一向に贈賄の気配を見せないアルティーナ達に業を煮やしてクラリスを強姦しようと計画、掃除中のクラリスを追い掛け回していたところをレジスに見つかってしまう。ボワスロウがエリックに斃されたことで激昂し切り札の銃を出すが、一瞬で3人を始末するのは不可能と気づき混乱してしまう。レジスの機転により騒ぎを聞きつけたアルティーナの到着を許してしまい、アルティーナに裏取引を持ち掛けるがアルティーナに一蹴された挙句に鉄拳制裁されてしまう。その後は騎士団に囲まれボワスロウ共々牢屋に拘禁された。
ボワスロウ
バイルシュミット辺境連隊/帝国第四軍
ジェローム・ジャン・ドゥ・バイルシュミット
声 - 子安武人
バイルシュミット辺境連隊副司令官。階級は准将。
かつてエルシュタイン平原で行われたゲルマニア連邦軍との会戦で、本陣の危機を救い活躍したことから「エルシュタインの英雄」と称される。しかし、その功績を妬んだ他の貴族たちの謀略により帝国北方の辺境に追いやられ、その辺境に自らの名前を命名されて「辺境伯」となった過去を持つ。
当初はアルティーナの司令官着任について「宮廷内の権力争いに巻き込まれた」として快く思っていなかったが、彼女との決闘やレジスの言葉により、アルティーナを司令官として認めるようになる。
エヴラール・ドゥ・ブランシャール
エリック・ミカエル・ドゥ・ブランシャール
声 - 種田梨沙
辺境連隊騎士団の騎士でエヴラールの孫。六等武官。
かつてはテネゼ侯爵の貴族軍に在籍していた。同軍の敗北時にレジスの采配を見て、彼に尊敬の念を抱く。レジスが辺境連隊に左遷されたことを聞き、同連隊への異動を志願した。一見すると女性と見まがうような美しさをもっている。
アビダルエヴラ
クリューガー
フェルディナント・シュトゥットガルト
女医
トマ
帝国第一軍
ジェルマン・ラウレンティス・ドゥ・ボーマルシェ
コンスタン・フェリックス・ドゥ・バルトォーリ
ゼモールト
バッテレン
オルバス
帝国第二軍
帝国第三軍
帝国第七軍
バルグソヌ
ビュゼンテ
コワニェラ
帝国海軍
クリストフ・ドニ・ドゥ・ベルトラム
ティラソラヴェルデ公爵家
エレアノール・エルレッド・ウィン・ドゥ・ティラソラヴェルデ
民間人
帝都ヴェルセイユ
キャロル・ドゥ・タレイラン
ルーエン市
テュオンヴェル市
イェリン
ウゴヴィ村
ナリサ
フィリップス・ジャン・アクアノルト
その他
リリム
エリアナ
ハイブリタニア王国
王族
マーガレット・スティルアート
豊満な肢体と妖艶な雰囲気を併せ持つハイブリタニア王国の新たなる女王。寵愛するオズワルドを実質的な軍の司令官に据え、ハイブリタニア全体を戦争に向けた体制へと変貌させている。
新式の銃や蒸気機関の開発により周辺諸国を圧倒する戦力を確保し、抜擢したオズワルドの鬼才により最強と呼ばれたベルガリア帝国を相手に初戦から連戦連勝を重ねる。本腰をいれて対峙してきたベルガリア帝国に対しても臆することなく戦場へ出向き、新鮮な感動を求めて気まぐれな命令を繰り返した。
レジスたちによって補給路を失い、技術の重要性を知るラトレイユが帝国の名実共に実質的な指導者になってからは状況が一変、オズワルドの手腕をもってしてもマーガレットの気まぐれな命令に応じることが不可能になるほど劣勢に追い込まれる。ランゴバルト王国を捨て駒にして脱出を図るも、それすら見抜いていたレジスたちによって追い詰められる。追い詰められた際もまるで戸惑っていなかったためラトレイユたちからは狂人である可能性や新たなる罠の可能性を不安視されていたが、実際にはまともに勉学に励んでこなかったため物事をきちんと考える力に欠如しており、自分を特別な人間と思い込みたいために風変りな人物を演じている我儘な女性であることをレジスによって看破される。マーガレットが求めていた歴史的な名誉もマーガレットのやり方では歴史書における一行程度の文章にしかならず、下手をすれば記録にすら残らない可能性を告げられてしまう。自分の本性を指摘され激怒した後は捕縛されるという不名誉な現実を向き合うことに耐えきれず自害を図るも医学書も読んでいたレジスによって応急処置を施され一命を取り留めた。
軍人・貴族
女王の艦隊(クイーン・ネービー)
ヒューイ・モリンズ
新型戦列艦プリンセス級9番艦「ガーネット」の艦長。海軍大将の娘婿。
女性関係は奔放で戦列艦の艦長になるため軍の重鎮の娘である妻と結婚したが、当時は自分にぞっこんだった妻が子育てに目覚めてからは自分に厳しいのが悩みの種。戦闘中でもロレイリンと浮気するなど規律違反や職務怠慢は日常茶飯事だが、自分と部下の命だけは絶対に守ると決めている。レジスの作戦をある程度見抜いており、その策に嵌り損害を受けた時点で女王艦隊は撤退すべきと悟っていたが司令部に却下されてしまう。その後もレジスの奇策の前ではプリンセス級の武力であっても意味がないと察し、無駄な戦闘を避けるため退却したが、その退却すら見越して待ち構えていたことに脱帽、やむをえず降伏する。
バールトゲインハイム
ゲルマニア連邦
ヴァーデン大公国
ヴァインガルトナー
ツェヒマイスター
ダーヴィット
ランゴバルト王国
登場国家
国名は文庫版/B6版。特に明記がない場合は文庫版とする。
ベルガリア帝国
ハイブリタニア王国/ハイブリッシュ王国
自然環境は厳しく北部を凍土に覆われ、芋と人参しか育たず、牧草地となる平原も少ない。ただし、鉄鉱石が産出するので貿易が盛んで、独自の伝統を重んじながらも、遠方から渡来する文化や新技術の導入に積極的であり、周辺国に先んじて蒸気機関やライフルの実用化に成功している。
政治体制は元首たる女王の下に統治が行われる形式だが、30人で構成される議会があり、24人以上の反対があれば女王といえども政策案を取り下げざるを得ず、議会は国王廃位の権限を持つ。ただし、この議会は普通選挙によって選ばれたものであるとは作中で明示されておらず、王と貴族の寡頭制が恰好のつくように制度化されただけとも取れる。
元々はシャーロット女王の下で平和主義的な政策を行っていたが、新技術と産業の発展から国民の間で開戦の機運が高まり、それに付け込んだマーガレットの一味が女王に後継者として指名されたエリザベスの即位を妨害し、マーガレットが女王として即位。即位したマーガレットは国民に対し“積極的な外交”を約束し、ベルガリア帝国への侵攻を開始する。
モデルはイギリス。
ゲルマニア連邦/グルトニア連邦
モデルは神聖ローマ帝国。
サンプロイセン王国/サンプロイス王国
ヴァーデン大公国
本編以前からベルガリア帝国とは小競り合いを行ってきたが、バイルシュミット辺境連隊によってヴォルクス要塞を陥落させられて以降、ハイブリタニアと手を結び供与された新型鉄鋼の武器や新型の大砲を携えてヴォルクス要塞の奪還を仕掛けるも、レジスの奇策により失敗した(この奪還作戦はハイブリタニアの侵攻から辺境連隊を引き離すためのオズワルドの策謀でもあった)。だが、ベルガリア帝国軍の弱体化から再侵攻のため兵力を集めており、同様の行動をとる他の連邦加盟国の戦力を集結させている。
バイエンベルク
シュトゥルムガルト王国/シュトゥルムガルト公国
ランゴバルト王国
ベルガリア帝国の北部で国境を接しており、南東ではヴァーデン大公国に面している。良質な騎馬の産地として知られ、すぐれた騎兵部隊を保有している。ハイブリタニアとは同盟関係にあり、ハイブリタニアの侵攻で駐屯する兵力が減少していたベルガリア帝国の北部国境を越え侵攻する。
エスタブルク王国
ユハプシリアの死後、再び両国関係は悪化し、ハイブリタニアの侵攻に呼応して東部戦線に兵力を集結させている。
モデルはオーストリア。
ヒスパーニア帝国
モデルはスペイン。
ネーデルランツ/ネイルランツ
モデルはオランダ。
エトルリア教国
用語
異名
炎帝(ランペルールフラム)
本編の約八百年前にエクィタニア地方(現在のベルガリア帝国領西部)に生まれ数奇な運命を得て遊牧民に育てられることとなり、剣と馬術において比類ない存在であったと伝えられている。特に剣技については本人の使用していた7本の剣が宝剣として現存しており、帝国旗の紋章も7本の剣があしらったものとなっている。
あらゆる戦いに勝利し続け、戦勝を祈ってエペプリール湾に宝剣を投じた、精霊から精霊銀(トリスティ)を賜ったなどの伝承が残り、最後の方は神との知恵比べや魔王との一騎討ちなど、人間などは相手でなかったとされているが、大半は口伝である。
矢雀皇姫(やすずめこうき)
アルティーナはそれまでほとんど国民の前に出ず、取り立てた逸話もなかったために定着したが、功績を挙げて帝都に凱旋して以降はこの蔑称を使うのは第七軍の将校など一部に限られる。
黒騎士(くろきし)
エルシュタインの英雄
斬らずの公爵
帝国開闢以来の武門の名家であるバルザック家に生まれ、本人も剣技に優れると評されながらも、戦場で人を切れない臆病さ(少なくとも第六軍の司令官やフランツィスカはそう判断していた。)が由来。
魔法使い
また、«吊るされた狐(ルナルパンドゥ)»のイェシカも傭兵団ではそのように称されていた。
登場兵器
小銃・大砲
スナイダー銃
フュジィ八五一小銃
中型大砲
三八式エルズウィック砲
四一式エルズウィック砲
艦船用超大型砲
宝剣・宝槍
帝意破軍ノ弐(アルメヴィツファ・ヴォロンテ)
帝足音切ノ参(ヴィテスペース・トロワ)
バスティアンがハイブリタニアに留学する際、出国前夜に宝物庫から無断拝借する形で保有しており、リアン15世からは事後承諾に近い形で所持を公的に認められている。
帝身轟雷ノ四(グラントネール・カトル)
アルティーナが帝都を去る際に餞別として七本の宝剣のいずれかを所望し、アルティーナが4番目の子であることにちなんでリアン15世から貸し与えられた。アルティーナは使いづらいのを承知で使用していたが、フランツィスカとの戦いで柄の部分が折れ曲がり損耗したため、鍛冶師のエンツオによって打ち直され、その際に先述の欠陥も修復された。兵士たちからは部隊の象徴と認識されている。
帝怒炎山ノ六(ラージュヴォルカン・シス)
護帝護国ノ七(テファーンドル・セット)
貴婦人の髪(レシュヴデュヌダム)
戦列艦
プリンセス級七四門汽走高速戦列艦
ハイブリタニアは合計九隻を保有しており、ベルガリア帝国への侵攻に投入されたのは一番、四番、五番、六番、八番、九番艦の計六隻で残る三隻は王とクイーンズテムズの港に待機していた。トゥルーアン沖海戦ではベルガリア帝国の艦隊に圧勝したが、エペプリエール湾海戦においては初日の戦闘で四番、六番艦が撃沈され、二日目の戦闘では一番艦は船底のスクリュープロペラを故障させられ機関部を停止し、五番艦はウラテノス級と相打ちの形で大破、残る二隻は降伏し、戦闘後、帝国軍に接収された。
アテルナ級八〇門戦列艦
トゥルーアン沖海戦ではプリンセス級の性能に完敗し、四隻を喪失した。エペプリエール湾海戦では九隻が投入され、初日の戦闘で更に三隻を喪失、残る六隻は二日目の戦闘に投入された。
ポセイダム級一二〇門装甲戦列艦
トゥルーアン沖海戦での敗報を受けて南方海域から派遣され、エペプリエール湾海戦では初日の戦闘で投入。レジスの奇策の布石のためにあえて撃沈された。
セレルネ級五〇門準戦列艦
エペプリエール湾海戦では十四隻が投入された。
ウラテノス級一八門戦列支援艦
エペプリエール湾海戦では二十隻が投入され、うち一隻が二日目の戦闘でプリンセス級と相打ちの形で喪失した。
制作背景
ファミ通文庫に本作を含めた複数の企画を持ち込んだ作者は、本作がファンタジーだが特殊設定がない戦記というジャンルだったことから厳しいと考えていたが、その考えとは裏腹にファミ通文庫側は本作を採用した。採用理由は企画内容が面白く、希少なジャンルだったからであるとしている。
当初は舞台に特定の時代や地域は設定されてなかったが、よりリアリティを出すために時代は中世ヨーロッパに、主な舞台となるベルガリア帝国はフランスをモチーフに変更されている。また、当初はクラリスを登場させる予定はなく、その代わりとして軍師の才能がある女の子がレジスの副官になるという構想であった。担当編集者はクラリスがメインヒロインのアルティーナと同程度の人気があることから、変更させてよかったと振り返っている。
既刊一覧
小説
- むらさきゆきや(著) / himesuz(イラスト)、エンターブレイン→KADOKAWA〈ファミ通文庫〉、既刊15巻(2018年9月29日現在)
- 『覇剣の皇姫アルティーナ』2012年11月9日初版発行(10月29日発売)、ISBN 978-4-04-728460-9
- 『覇剣の皇姫アルティーナII』2013年3月12日初版発行(2月28日発売)、ISBN 978-4-04-728734-1
- 『覇剣の皇姫アルティーナIII』2013年7月11日初版発行(6月29日発売)、ISBN 978-4-04-728977-2
- 『覇剣の皇姫アルティーナIV』2013年11月11日初版発行(10月30日発売)、ISBN 978-4-04-729214-7
- 『覇剣の皇姫アルティーナV』2014年3月12日初版発行(2月28日発売)、ISBN 978-4-04-729458-5
- 『覇剣の皇姫アルティーナVI』2014年7月11日初版発行(6月30日発売)、ISBN 978-4-04-729730-2
- 『覇剣の皇姫アルティーナVII』2014年10月30日発売、ISBN 978-4-04-729977-1
- 『覇剣の皇姫アルティーナ 小綺譚』2014年11月11日初版発行(10月30日発売)、ISBN 978-4-04-729978-8
- 『覇剣の皇姫アルティーナVIII』2015年2月28日発売、ISBN 978-4-04-730230-3
- 『覇剣の皇姫アルティーナIX』2015年7月10日初版発行(6月29日発売)、ISBN 978-4-04-730516-8
- 『覇剣の皇姫アルティーナX』2015年12月11日初版発行(11月30日発売)、ISBN 978-4-04-730765-0
- 『覇剣の皇姫アルティーナXI』2016年9月30日発売、ISBN 978-4-04-734041-1
- 『覇剣の皇姫アルティーナXII』2017年4月28日発売、ISBN 978-4-04-734542-3
- 『覇剣の皇姫アルティーナXIII』2018年2月28日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-735006-9
- 『覇剣の皇姫アルティーナXIV』2018年9月29日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-735310-7
漫画
- むらさきゆきや(原作) / himesuz(キャラクター原案) / 青峰翼(作画) / 鉤虫(構成) 『覇剣の皇姫アルティーナ』 KADOKAWA〈ファミ通クリアコミックス〉、全4巻
- 2015年6月29日発売、ISBN 978-4-04-730556-4
- 2016年4月30日発売、ISBN 978-4-04-734082-4
- 2016年10月15日発売、ISBN 978-4-04-728253-7
- 2017年4月15日発売、ISBN 978-4-04-734572-0