少女終末旅行
漫画
作者:つくみず,
出版社:新潮社,
掲載サイト:くらげバンチ,
レーベル:BUNCH COMICS,
発表期間:2014年2月21日 - 2018年1月12日,
巻数:全6巻,
アニメ
原作:つくみず,
監督:尾崎隆晴,
シリーズ構成:筆安一幸,
キャラクターデザイン:戸田麻衣,
音楽:末廣健一郎,
アニメーション制作:WHITE FOX,
製作:「少女終末旅行」製作委員会,
話数:全12話,
アニメ:少女週末授業
原作:つくみず,
監督:芦名みのる,
キャラクターデザイン:たけはらみのる,
音楽:末廣健一郎,
アニメーション制作:スタジオぷYUKAI,
配信サイト:YouTube,
配信期間:2017年10月6日 - 12月22日,
話数:全12話,
インターネットラジオ:少女終末旅行〜GIRLS RADIO TOUR〜
配信期間:2017年9月29日 - 12月29日,
配信サイト:音泉,
配信日:毎週金曜,
以下はWikipediaより引用
要約
『少女終末旅行』(しょうじょしゅうまつりょこう)は、つくみずによる日本の漫画作品。ウェブサイト『くらげバンチ』(新潮社)にて、2014年2月21日から2018年1月12日まで連載された。
2019年7月27日、第50回星雲賞のコミック部門を受賞。
文明が崩壊した終末世界を旅する少女2人の、どこかほのぼのとした日常を描く。本作はつくみずにとって初めての商業作品であると同時にオリジナルの長編作品であり、原型にあたる短編作品はのちに単行本第1巻の3話目に収録された「風呂」としてリメイクされた。
制作
つくみずは弐瓶勉の『BLAME!』に魅力を感じており、本作の世界観は同作品の影響を受けている。
つくみずは、本作のメッセージ性について村上春樹の『ノルウェイの森』『ダンス・ダンス・ダンス』、江國香織の『きらきらひかる』から受け継いだものだとインタビューで述べている。また、「本作の登場人物たちは自分の中の問いかけを代弁するうちに生まれた」としており、劇中でチトが日記をつけるといった場面については「大きな意味はない」ともインタビューで述べている。
あらすじ
文明が崩壊した後の終末世界。主人公のチトとユーリは半装軌車のケッテンクラートで廃墟都市をさまよい、その上層を目指してひたすら移動を続ける。さまざまな文化・宗教・兵器の痕跡の発見や、道中で出会ったごくわずかな生存者との交流を経て、チトとユーリは地球の終末を処置する使命を帯びた謎の白い生き物であるエリンギたちとの出会いや別れの果てに、最上層を目指す。
やがて、紆余曲折を経て到着した最上層には黒い石が存在している以外に何も無く、辺り一面は雪が積もっているだけだった。チトとユーリは文明が完全に崩壊したという絶望的な状況を受け入れながらこれまでの人生に満足し、最後の食料を食べると毛布にくるまり「それから考えよう」と眠りにつく。
登場人物
主要人物
チトとユーリは幼少期におじいさんに拾われ、姉妹のように育てられた。チトたちに本当の親の記憶はなく、血縁の有無や年齢に関しても明かされていない。なお、アンソロジーではチトたちが現代の日本で大学生として暮らす姿が描かれている。
チト
声 - 水瀬いのり
本作の主人公の1人。黒髪の二つ結びで小柄。冷静沈着な性格。手先が器用で機械に強く、また、読書好きで過去の文献から得た知識を持つが古代人の残した漢字や英語までは読めない。数冊の本と時折書いている日記を大切にしている。カナヅチで、高所が苦手。ユーリのことは「ユー」と呼んでおり、時折彼女の自由奔放な行動に振り回されて頭を悩ますこともあるが、基本的には友人として大切に思っている。頭にはブロディヘルメットを被り、ほとんど外すことはない。
ユーリ
声 - 久保ユリカ
本作の主人公の1人。チトのパートナー。アホ毛がある金髪で長身。のんびり屋で食欲旺盛、思ったことをそのまま口にする性格。読み書きや考えることは苦手で、魚の存在や子供の作り方も知らないが、運動は得意。小銃の扱いも心得ており、探索行動する際は常に携帯している。チトのことは「ちーちゃん」と呼んでおり、移動中はいつもケッテンクラートの荷台に乗っているが、彼女に運転をさせてもらえないだけで、運転方法自体は知っている。頭にはシュタールヘルムを被っている。
終末世界の生存者
カナザワ
声 - 石田彰
チトとユーリが旅を始めてから初めて出会った、生存者の男性。終末世界の地図を作ることを生きがいにしている。離れの区画へ渡る際に爆破して倒したビルで橋を作るといった大胆な方法を取る反面、口調や物腰は穏やかである。食べ物を分けてもらったお礼として、チトたちに自分の写真機を渡した。移動の際にはバイクを使用していたが、故障したために途中で乗り捨てている。また、写真機に記録されていたデータによれば、チトたちに出会う前は女性と一緒にいたことが判明している。
イシイ
声 - 三石琴乃
チトとユーリがカナザワの次に出会った、生存者の女性。旧空軍基地に住み、過去の記録を元に単独で飛行機を作っていた。チトたちに食料や風呂を提供する代わりに飛行機作りを手伝わせ、それを完成させる。彼方に見える別の都市を目指して飛び立つものの、まもなく飛行機が空中分解したためにパラシュートで脱出し、そのまま下層へ降りていった。
おじいさん
声 - 清川元夢
チトとユーリを育てた老人。やがて、町に何らかの戦闘が発生することを悟ると、チトたちをケッテンクラートに乗せて送り出した。それ以降の生死は不明。昔は任務でさまざまな場所に行き、本を集めていた。
その他
自律機械
声 - 梶裕貴
チトたちが訪れた食用魚生産区画で出会った細い4足の歩行ロボット。管理用機械として人間とコミュニケーションを取れるよう、「共感」能力を有している。同型の自律機械も多数存在するが、施設内で稼動していたのは自分と巨大な建設機械のみである。まもなく暴走した建設機械に対し、自律機械が説得を試みるも受け入れられなかったため、チトたちは自律機械のアドバイスを聞き、魚を守るために建設機械を破壊した。
ヌコ
声 - 花澤香菜
作中世界に存在する謎の白い生き物。銃弾などを餌として食べる。名前はチトたちが初めて出会った際、便宜的に名付けた。発声器官は持たないが、言語を覚える学習能力が高いうえに電波を介して意思を疎通できるため、ラジオなどを所持していれば人間と会話できる。また、錠前や電子錠に対し、前足を合鍵に変形させたり電気的にアクセスしたりすることで開錠することもできる。エリンギたちと再会した際にはチトたちとの別れを惜しむが、仲間の大切さを諭されて送り出された。
エリンギ
声 - 島本須美
ヌコの同族で成体。白く細長い形態と、胴体の一端に傘を開いたキノコ(エリンギ)のような形態を取ることができる。核ミサイルや原子炉、カメラのバッテリーといった潜在エネルギーが高い物体を飲み込み、無力化させる使命を持つ。1つの都市で処置を終えると、傘を広げて飛び立ち、別の都市に向かう。すべての都市の処置を終えると地球は終わり、エリンギたちも眠りにつく。発声器官を持たないが音波を言語として解読することは可能で、通信設備を通じて人間と意思を疎通できる。エリンギ同士の通信シグナルは、人間には歌のように聞こえる。
用語
世界観・設定
廃墟都市
チトたちは海を知識でしか知らなかったほか、人間以外の動植物は自然界では絶滅しているため都市には草一本生えておらずコンクリートと鉄で出来た無機質な土地が続いている。南端に広がっている都市の末端もしくは大規模に崩壊したと思われる部分からは空が見えるため、文明崩壊後は日照時間の長いこのような場所に人々が居住していた。階層同士は連絡塔と呼ばれる巨大な円柱形の柱で接続されているが、古代の人々がそれを使用していた方法は解明されていないため、外壁に昇降機を増設して移動手段としている。
チトたちが1999年の映画のポスターを見て「千年以上前」と述べるシーンや、カメラの画面に表示される「3230」という年代表記から、時代設定は西暦3000年以降であることがうかがえる。また、工場の跡地や図面に描かれた内容から、終末戦争中には何基もの恒星船が地球からの脱出に失敗するもそのうち1基は成功したことがうかがえる。
文明崩壊前はチトたちが旅をする都市以外にもいくつか同じような巨大都市が存在しており、互いを行き来していたようだが、写真機には戦争の発生から荒廃を経て電磁波爆弾の使用による全電子機器の停止、それらによって各都市の各階層との連絡が途絶していく様子が、記録されていた。また、写真機には人類の衰退を決定づけた戦争が5億人以上の死者を出すほどの大規模だったことも、記録されている。
なお、チトたちがイシイと別れた後日に遭遇したエリンギたちは、チトたち以外の生存者は見ていないという旨を明かしている。
文字
宗教
技術・兵器
ケッテンクラート
物語中盤で故障した際には居合わせたイシイの協力によって修理できたが、終盤には機構全体が寿命を迎える。最上層を目指すために使える部品を取り出す解体を経て、荷台は愛車の最期に涙するチトたちの入浴に浴槽として用いられた。
武器
兵器
二足歩行兵器
旧戦略原潜
チトたちが正体を知らずに侵入した艦内の電源は生きており、モニターなどが稼働し続けていた。また、チトたちが持っていたカメラと接続してデータを空中投影する機能が備わっていたほか、終末戦争時の核ミサイルが搭載されていたが、エリンギたちによって艦の原子炉ともども無力化されている。
写真機
飛行機
ラジオ
自律機械
その他の用語
食料
そのほか、死んで流れてきた魚を焼いて食べる描写があるが、これは後に訪れた食用魚の生産区画から流されてきたものだとチトたちは推論している。
本
チトは拾った分も含めてケッテンクラートに積み込んでいたが、同車を失った以降は燃料の節約のためにも日記ともども燃やし、失われている。
複製美術史博物館
書誌情報
- つくみず 『少女終末旅行』 新潮社〈BUNCH COMICS〉、全6巻
- 2014年11月8日発売、ISBN 978-4-10-771781-8
- 2015年7月9日発売、ISBN 978-4-10-771830-3
- 2016年2月9日発売、ISBN 978-4-10-771874-7
- 2016年11月9日発売、ISBN 978-4-10-771929-4
- 2017年9月8日発売、ISBN 978-4-10-772009-2
- 2018年3月9日発売、ISBN 978-4-10-772060-3 / 限定版 ISBN 978-4-10-772019-1
- 『少女終末旅行 公式アンソロジーコミック』KADOKAWA〈MFC〉
- 2017年10月13日発売、ISBN 978-4-04-069520-4
- 2020年2月28日発売、ISBN 978-4-04-064361-8
評価
ライターのたまごまごは「このマンガがすごい!」に寄せた記事の中で、本作の第1巻について「食べるものを探すこと以外の理由や目的のない彼女たちの旅は妙に充実して見えた」と評価した。
2019年7月27日には、第50回星雲賞のコミック部門を受賞したことが報じられた。
テレビアニメ
2017年7月3日にテレビアニメ化が発表され、同年10月から12月までAT-X・TOKYO MXほかにて放送された。主に原作の第4巻までを全12話でアニメ化している。
監督を務めた尾崎隆晴はつくみずとの対談の中で、「背景だけを映しても美しく感じられるよう長回しを用いることと、自然や人工物そして都市全体から出る軋みを音で表現することにこだわった」と述べている。
スタッフ
- 原作・シナリオ監修 - つくみず(新潮社「くらげバンチ」連載)
- 監督 - 尾崎隆晴
- シリーズ構成・脚本 - 筆安一幸
- 設定考証 - 鈴木貴昭
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 戸田麻衣
- ケッテンクラートデザイン・モデリング - 相馬洋
- プロップデザイン - 岩畑剛一、鈴木典孝
- デザインワークス - コレサワシゲユキ、灯夢
- 美術設定 - ヒラタリョウ、イシモトタカヒロ、イシモリレン、森木靖泰、長岡慎治
- 美術監督 - 三宅昌和
- 色彩設計 - 金光洋靖
- 特効監修 - 谷口久美子
- 撮影監督 - 染谷和正
- 3Dディレクター - 菱川パトリシア
- 編集 - 後藤正浩
- 音響監督 - 明田川仁
- 音楽 - 末廣健一郎
- 音楽プロデューサー - 若林豪
- 音楽制作 - KADOKAWA
- プロデューサー - 田中翔、岩坂朋昭、礒谷徳知、尾形光広
- アニメーションプロデューサー - 吉川綱樹
- アニメーション制作 - WHITE FOX
- 製作 - 「少女終末旅行」製作委員会
主題歌
オープニングテーマ「動く、動く」(第2話 - 第8話、第10話 - 第11話)
エンディングテーマ「More One Night」(第2話 - 第4話、第6話、第7話、第10話 - 第11話)
挿入歌
「雨だれの歌」(第5話、第12話)
「フニクリ・フニクラ」(第12話)
「Happy Birthday to You」(第12話)
クレジットなし
「ノクターン Op.9-2」(第12話)
オープニングアニメーションは監督の尾崎隆晴の絵コンテ・演出によるものだが、エンディングアニメーションは原作者のつくみずがすべてを単独で担当している。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
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第1話 | 星空 戦争 | 尾崎隆晴 | 戸田麻衣 | |
第2話 | 風呂 日記 洗濯 | 尾崎隆晴 | 土屋浩幸 | 小野田貴之 |
第3話 | 遭遇 都市 街灯 | 武市直子 | 相澤秀亮 | |
第4話 | 写真 寺院 | おざわかずひろ | 山本善哉 | |
第5話 | 住居 昼寝 雨音 | 尾崎隆晴 | 中山みゆき | |
第6話 | 故障 技術 離陸 | 川村賢一 | 土屋浩幸 | 永吉隆志 |
第7話 | 迷路 調理 | 迫井政行 | 三上喜子 | 中村和久、井川典恵 |
第8話 | 記憶 らせん 月光 | おざわかずひろ | 渡邉八恵子、木宮亮介 | |
第9話 | 技術 水槽 生命 | 尾崎隆晴 | 土屋浩幸 | 相澤秀亮、平村直紀、小野田貴之 |
第10話 | 電車 波長 捕獲 | おざわかずひろ | 平向智子 | 永吉隆志、渡邉八恵子 |
第11話 | 文化 破壊 過去 | 三上喜子 | 山本善哉、木宮亮介、平村直紀 渡邉八恵子、中田正彦 |
|
第12話 | 接続 仲間 | 尾崎隆晴 | 井川典恵、中山みゆき、中村和久 |
放送局
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2017年10月6日 - 12月22日 | 金曜 21:30 - 22:00 | AT-X | 日本全域 | 製作参加 / CS放送 / リピート放送あり |
金曜 22:30 - 23:00 | TOKYO MX | 東京都 | ||
金曜 23:00 - 23:30 | BS11 | 日本全域 | BS放送 / 『ANIME+』枠 | |
2017年10月7日 - 12月23日 | 土曜 0:00 - 0:30(金曜深夜) | サンテレビ | 兵庫県 | |
土曜 1:30 - 2:00(金曜深夜) | KBS京都 | 京都府 | ||
2017年10月8日 - 12月24日 | 日曜 2:50 - 3:20(土曜深夜) | テレビ愛知 | 愛知県 | |
2017年10月10日 - 12月26日 | 火曜 2:30 - 3:00(月曜深夜) | TVQ九州放送 | 福岡県 |
配信期間 | 配信時間 | 配信サイト |
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2017年10月6日 - 12月22日 | 金曜 22:00 - 22:30 | AbemaTV 新作TVアニメチャンネル |
2017年10月13日 - 12月29日 | 金曜更新 | |
2017年10月18日 - 12月27日 | 水曜更新 | PlayStation Video |
配信期間 | 配信時間 | 配信サイト | 対象地域 | 備考 |
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2017年10月6日 - 12月22日 | 金曜 22:00(CST) 更新 | ビリビリ動画 | 中国大陸 | 中国語(簡体字)字幕あり / 無料放送 |
BD / DVD
ミニキャラアニメ
『少女週末授業』は、2017年10月6日よりYouTube『KADOKAWAanimeチャンネル』で2週間限定配信のスピンオフショートアニメで、AT-Xでは本編終了後に放送される。
本編とは異なり、チトとユーリが別の世界の学校で授業を受ける物語となっている。本編に登場する物品や生物(人間を含む)が講師役になるが、講師が無生物などで喋らない場合は主人公2人だけの会話となる。人間の講師は教師のような服装に、主人公2人の服装はセーラー服になる。
監督・演出・脚本は芦名みのる、ぷちキャラクターデザイン・作画監督はたけはらみのる、アニメーション制作はスタジオぷYUKAIが担当。
話数 | 本編放送話 | 講師 | 放送・配信日 |
---|---|---|---|
1じかんめ | 第1話 | なし | 2017年 10月6日 |
2じかんめ | 第2話 | 魚 | 10月13日 |
3じかんめ | 第3話 | カナザワ | 10月20日 |
4じかんめ | 第4話 | 石像 | 10月27日 |
5じかんめ | 第5話 | 石 | 11月3日 |
6じかんめ | 第6話 | イシイ | 11月10日 |
7じかんめ | 第7話 | イモ | 11月17日 |
8じかんめ | 第8話 | 謎の機械 | 11月24日 |
9じかんめ | 第9話 | 自律機械 | 12月1日 |
10じかんめ | 第10話 | 12月8日 | |
11じかんめ | 第11話 | ヌコ | 12月15日 |
12じかんめ | 第12話 | エリンギ | 12月22日 |
Webラジオ
『少女終末旅行〜GIRLS RADIO TOUR〜』は、2017年9月29日から12月29日まで音泉にて毎週金曜に配信された番組。パーソナリティはチト役の水瀬いのりとユーリ役の久保ユリカ。