軍靴のバルツァー
漫画
作者:中島三千恒,
出版社:新潮社,
掲載誌:月刊コミック@バンチ,別冊少年マガジン,
レーベル:BUNCH COMICS,マガジンKC DELUXE,
巻数:既刊17巻,
漫画:軍靴のバルツァー外伝 銀灰のユーリ
原作・原案など:中島三千恒,
作画:京一,
出版社:新潮社,
掲載誌:くらげバンチ,
レーベル:BUNCH COMICS,
発表期間:2021年4月20日 - 2022年5月10日,
巻数:全2巻,
話数:全13話,
以下はWikipediaより引用
要約
『軍靴のバルツァー』(ぐんかのバルツァー)は、中島三千恒による日本の漫画作品。『月刊コミックバンチ』(新潮社)にて、2011年3月号 - 2021年10月号に連載。その後、『別冊少年マガジン』(講談社)に移籍して、2022年9月号から連載中。
また同誌増刊『GoGoバンチ』vol.1(創刊号)よりスピンオフ『軍靴のバルツァー外伝 リープクネヒト放浪編』(ぐんかのバルツァーがいでん リープクネヒトほうろうへん)の連載が開始。
『軍靴のバルツァー外伝 銀灰のユーリ』(ぐんかのバルツァーがいでん ぎんはいのユーリ)が、同社のWEBコミックサイト『くらげバンチ』にて、2021年4月20日から2022年5月10日まで連載。作画担当は京一。
概要
19世紀後半、「銃口から政権が、砲口から国家が生まれる時代」である帝国主義全盛期のヨーロッパに存在する、プロイセン王国(ドイツ帝国)を参考にした架空の軍事国家「ヴァイセン王国」と、その同盟国であり軍事後進国の「バーゼルラント邦国」を舞台とした物語。
戦車や飛行機の近代兵器はなく、騎兵、大砲、マスケット銃、気球、蒸気機関車…などといった19世紀後半の文明レベルにおける戦場が、リアルに描かれている。
漫画作品においては省略されがちな当時の訓練風景や兵器の操作方法などを丁寧に描いており、武器のみならず食品や服装などを並外れて細密に描写している点が特徴。また、モデルとなったドイツ地方の文化(アイントプフ等)が単行本で解説されている。
本作は、ミリタリーものとしても時代ものとしても読み応えがある漫画とされ、平時につばぜり合いを行う国家間の複雑な関係も描き、やがて国家総力戦へと向かっていく19世紀ごろの世界観を作り上げている。そのため、クラウゼヴィッツが『戦争論』で書き記した「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」という概念を「マンガで読んだ気になるほど」との評価もある。
2022年6月時点で累計発行部数は100万部を突破している。
あらすじ
1巻 (王立士官学校就任 - 奴隷による模擬戦)
バルツァーは渋々ながら命令を引き受けたが、軍事大国ヴァイセンから見れば「軍事後進国」であるバーゼルラントは、バルツァーの想像以上にお粗末な装備で、時代遅れな訓練を行なっていた。バルツァーは勝手の違う異国で、四苦八苦しながらも士官学校の生徒たちを鍛え上げていく。
しかし、訓練の指導方法における意見の相違から、王室の第二王子でもあるアウグスト王子の命令により、囚人を使った模擬戦を指揮して、たった5人で50人を撃破することを命じられる。バルツァーは、自身の提唱する「戦術」と最新の「装備」を駆使し、古典的な戦術をとる敵軍を迎撃して反乱にまで追い込み、圧倒的な勝利を収めたことでアウグスト王子から一目置かれるようになる。
2巻 - 3巻 (暴動鎮圧)
一連の出来事から、アウグストは時に非情な手段を取りながらも適格な判断を下すバルツァーの能力を評価し、また士官学校の生徒達は、常に明確な目標を示し理論の元に指導するバルツァーへの信頼の念を抱くようになる
4巻 - 5巻 (ホルベック海軍との撤退戦)
ホルベックとの開戦により、軍事協定に基づきアウグスト王子率いる近衛擲弾兵200名も援軍としヴァイセンへの援軍として参加する。その中には士官学校の生徒6名と副官のバルツァーも含まれていた。主戦線である東岸から遠く離れた、西岸の物資集積地への名目上の出兵のはずだったが、ホルベック海軍は、ヴァイセンの補給路となる西岸の港を強襲、支配下に置いたことから、バーセルラント義勇軍は、一転して優勢なホルベック騎兵に追われる立場となってしまう。命を賭したバーセルラント兵部隊の足止めにより、一旦は虎口を逃れた義勇兵軍だが、捕捉されるのは確実な状況となり、アウグストはヴァイセンの軍事力への不信とホルベックへの投降を口にする。万事休するかと思われた時、思わぬ物資を手に入れたことにより、バルツァーはかつて自らが著述した騎兵不要論を実践しようと試みる。
6巻 (講和会議)
だが、戦争再開を憂慮したヴァイセン国王自らが講和会議に出席すると表明したことで、自体は一変した。厳戒態勢が敷かれるなか、領事館員の不審死をきっかけに、バルツァーは水面下で静かに陰謀が進行していたことに気づく。
7巻 - 10巻 (クーデター勃発による篭城戦)
国政掌握を急ぐアウグスト王子は、王が身体が麻痺しているものの意識はあると気づき、士官学校に保護する。テオドールは警察、軍による王の保護を訴えるが、彼もまた普段の特異な言動から政府に疎まれており、拒否されてしまう。窮したテオドールに対しリープクネヒトは、彼のために戦うエルツライヒ軍がバーゼルラント兵に偽装して待機していること、既に南部諸侯を味方に付けたことを告げ、「戦ってこそ真の王位は手に入る」と囁く。決意したテオドールは首都を制圧すると、アウグストと国王の身柄を確保するために士官学校に攻撃を開始した。
クーデター発生の報を受け、ヴァイセンでは参謀総長がクーデター鎮圧を名目にバーゼルラント進駐を進めようとしていた。一方、ヴァイセン国王に直接呼び出されたバルツァーは、話合いにより事態を解決すべく、アウグストを脱出させるよう王個人から依頼をされる。情報を分析したバルツァーは、士官学校に保護されている国王の身柄を確保するという大義名分のもと、士官学校へ帰還する。バルツァーの指揮により一時は攻勢を撃退するものの、地下道からの攻撃でついに城門が突破され。バルツァーはアウグストとバーゼルラント国王を気球で脱出させた。
気球の脱出により、戦局は気球(王の身柄)確保へと移った。ヘルムートは同じく気球を確保しようとするユルゲンと対決し、彼女に対する真摯な想いを聞かされるが、ヘルムートはそれが幸福な未来であろうと夢見つつも、自らの信念により拒絶し気球を確保する。北部貴族を掌握したアウグストの攻勢により南部貴族は全面後退しクーデターは終結するかと思われたが、この機会を利用して軍を進駐させ、支配を既成事実化したいヴァイセン軍は、既に王や議会を無視して部隊を送り込んでいた。ヴァイセン軍が戦闘を開始する48時間以内に、南部貴族の軍事力を完全に解体すべくバルツァーは追撃を開始する。
11巻 - 13巻(バーゼルラントの民主化とヴァイセンでの政争)
一方、軍の意向を無視する形となったバルツァーは本国に召喚され、査問会議に出席させられる。功罪評価が二分した結果、昇進の上左遷という人事となったが、中央への残留を望んだバルツァーは王室付の武官という実権の無い名誉職になることでかろうじて足掛かりを残した。
そのヴァイセンでは、国王に協力した軍人の不審死が相次いでいた。リープクネヒトと参謀本部直属のユーリ、ティモの関与が確認されたことで、国王はついにシュタウフェンベルク参謀総長の更迭を決意する。参謀総長による抵抗を予想したバルツァーらは、列車を臨時の政庁とするが、リープクネヒトはバルツァーに恨みを持つニールセンに実用化されたばかりの自動車を与え、走行中の列車を追跡襲撃させる。ニールセンは倒したものの列車は横転し、国王は死去してしまう。
国王崩御により参謀総長は一気に軍政を実現すべく戒厳令を発し情報を統制、追われることとなったバルツァーは、王位継承権を持つフェルディナント皇太子を保護する。軍に狙われた皇太子の頼った逃亡先はバルツァーの祖母であった。彼女は王家の乳母として長く仕えており、ヴァイセンの表にも裏にもコネを持つ女傑だった。彼女の指示により亡命政権を樹立するため、一行は国境を越えバーゼルラントへ脱出する。
フェルディナントは放蕩で知られていたが、交友関係が広く一定の人望も得ていた。彼の呼びかけにより、参謀総長をトップとするヴァイセンの体制に不満を持つ有力者が集まり、ヴァイセン臨時政府が発足(一部の閣僚人事をカード賭博で決めていた)、バルツァーは陸軍大臣となった。新国王即位の発表を行った臨時政府に対し、ヴァイセンはバーゼルラントへの侵攻を開始、臨時政府の支援要請に応えたエルツライヒは、3週間後に支援の出兵を約束する。援軍が到着するまでの3週間を稼ぐため、バルツァーの許に派遣されたエルツライヒ義勇軍の指揮官は、リープクネヒトだった。
14巻 - 16巻(新時代の戦争)
しかし、ヴァイセン軍にはバルツァーと同等の戦術眼を持ちバルツァーを「先輩」と呼んで崇拝するディートバルトが従軍しており、また癖は強いが特異なな能力を持つ独立専行師団クアドラッドが参戦した事で、戦争の様相は一変する。塹壕と鉄条網の陣地、10万人を超える大量の兵員の動員と輸送、空中からの攻撃、移動装甲車両による陣地の突破、新型火砲の投入、浸透戦術。次々と投入される新技術と新戦法は、バルツァーですら瞬時の対応を誤らせるほどであり、旧来の視野しか持たない指揮官の心を容易く折る程の激変をもたらした(普仏戦争の時代に第一次世界大戦を戦うような長足の進歩である)。
10万に及ぶ大兵力を集中しての短期間での陣地突破に失敗したヴァイセンは、モレイユ、ラトフの牽制に対処するために軍を再編せざるを得ず、戦争は塹壕を挟んで互いの兵を削りあう持久戦に変わった。
かくてこの膠着状態は開戦後2年も続く事になる。
登場人物
声の出演はドラマCD版。
主要人物
ベルント・バルツァー
声 - 谷山紀章
ヴァイセン王国の陸軍特務少佐。第一次ノルデントラーデ戦役では参謀本部の連隊副官として従軍。その功績によって通常よりも早く佐官に昇進した。このまま出世街道を邁進するものと思われたが、唐突に同盟国バーゼルラント邦国王立士官学校へ軍事顧問としての出向を命じられる。ヴァイセンでは諸兵科連合部隊の運用に携わっており、兵科を問わずに指導を行う。日々の訓練や第二次ノルデントラーデ戦役で義勇軍として参加したアウグストと士官学校生徒たちに影響を与えた。彼らは後々、様々な危機的状況で「顧問だったらどうするか?」と思考し窮地を脱するようになった。
アウグストに気に入られたことがきっかけでバーゼルラント王室の宮廷闘争に巻き込まれてしまい、ヴァイセン本国からの要求に基きアウグストに協力する。
歩兵、騎兵、砲兵その他の幅広い軍事の知識と自身の戦闘能力にも優れ、軍事雑誌に論文も寄稿している。上官をして「軍国の軍人訓育の成功例」と言わしめる、非常時に人格を切り離して理に従うことの出来る軍人である。ただし、最低限の役割は徹底させるものの規律をそれほど重んじる性格ではなく、士官学校時代は懲罰房の常連でもあった。
ライナー・アウグスト・ビンケルフェルト
声 - 羽多野渉
バーゼルラント王立士官学校の訓練長でバーゼルラント王室の第二王子、王政廃止後の国民投票で初代大統領に当選する。国民からは王政時代の名残で、大統領就任後も「殿下」と呼ばれている。士官学校訓練長時代は「歩兵は歯車であるべき」という旧弊な考えや、バルツァーが思わず注意するほどの暴力的な指導を行う。バルツァーの注意に怒り、国の正式な使節であるバルツァーを牢獄送りにするなど短気な性格。また、バルツァーの主張する戦法を実際に囚人同士で殺し合わせるという方法で試すなど、傲岸かつ時代錯誤な人物。一方で、バルツァー赴任後は自らの軍事知識の遅れと軍の陳腐化は認めており、王室の財産を切り売りしてまで母国の軍事力を底上げしようとしているが、それが故に軍国化を嫌う国民からの支持は低く「軍国の犬」と陰口を叩かれている。王立士官学校も彼の肝煎りで作られたようである。
正体はビンケルフェルト王家の人間ではなく、生後3カ月の時にエルツライヒで民衆に誘拐され行方不明になった本物のアウグストの身代わりとして用意された孤児。10歳前後のころ、両親に日々怯えて暮らしている兄フランツ王子の姿を見て、敬愛する兄の役に立つようにとの“子供心”で両親を暗殺対象にしたクーデター計画を作成したが、兄の嘆願によって胸のうちに仕舞い、それを2人だけの秘密の場所に隠して、それ以降、軍事・経済より身を置くようにすごしていた。エルツライヒの傀儡となったフランツと対立し(敬愛の情も、子供時代の秘密すら政争の具とする考えに失せてしまっている)、兄を失脚させるためバルツァーと協力関係を築き兄に対抗する。
士官学校の生徒
ディーター・シュトルンツ
声 - 山下大輝
士官学校の生徒。砲兵科の二年兵。バーゼルラントでは、過去に市民デモに向かって軍が大砲の散弾を打ち込んだ事件があり、その余波で士官学校でも砲兵の訓練が自粛されていた。このため、実際に砲を撃つなどの訓練が出来ず、不満を溜め込んでおり、そのことを初対面の教官であるバルツァーの前でも隠そうとしないなど子供っぽい性格をしている。しかし、バルツァーの機転で大砲の訓練ができるようになり、それからバルツァーを慕うようになる。砲兵科では工学や数学や語学の首席。
実家は「シュトルンツ鉄鋼」という兵器工場を経営しており、幼いころから機械に触れていたため銃の構造に詳しい。シュトルンツ鉄鋼の暴動事件後は子会社の「バーゼル鉄道」の社長に就任する。
パウル・ブライトナー
声 - 村上聡
士官学校の生徒。砲兵科の二年兵で、ディーターの友人。実家はパン屋。
無邪気なディーターより常識的な行動を取る。落ち込んでいるディーターを励ますためにわざと明るく振る舞うなど友人想いな性格をしている。
成績はディーターに次いで2番目。バルツァーからは首席のディーターよりも軍人としての素質を評価され、重要かつ危険な任務を任されることが多い。
ヘルムート・マルクス・フォン・バッベル
声 - 高垣彩陽
士官学校の生徒。騎兵科の三年兵。名門ユンカーのヴェルフ侯爵家出身の少女だが、王室から領地を接収されることを防ぐため「男子」として飛び地の領地を相続し、将来的に領内の騎兵隊を指揮しなければならないという「境遇に配慮」したバウマン校長による「特例」として士官学校に入学する。
強い正義感を持ち、女ながら家督を継いで領地の連隊を率いねばという決意から人一倍努力しており、学年で首席をとっている優秀な生徒であるが、騎兵科が市民の人気取りをしている現状への不満と、舐められないようにとの気負いから肩肘の張った真面目すぎ、かつ好戦的な言動が目立ち、貴族出身者が多く士気の低い他の騎兵科学生たちからは煙たがられている。
騎兵科学生からは綺麗な容貌を揶揄して「お嬢様(フロイライン)」と陰口を叩かれている。また、女性として振る舞う際には「ヘルミーネ」と名乗っているが、第8巻のユルゲンの回想話によると表向きには「ヘルミーネはヘルムートの姉」ということになっている。
義勇軍の一員として騎兵の殲滅戦を目にしているが、ユルゲンとは逆に、兵器の進歩により女である自分でも前戦で活躍する時代が来ると考え、軍制改革を進めようとする。このためクーデターの際は士官学校側に付き、南部貴族の主導的地位にいる父親と対立する。
ユルゲン・ゲオルク・フォン・ブライトナー
士官学校の生徒。伯爵家出身の騎兵科の三年兵で、ヘルムートの幼馴染。生徒の中では唯一彼女の正体を最初から知っており、女だとばれないように色々協力してたが、第6巻でヘルムートだけ別行動にされたのに憤慨した際、誤って口を滑らせてしまう。
ヘルムート同様に真面目で正義感が強いが、軍人然とした外見と気負いのない実直な性格から騎兵科学生の人望は篤く、バルツァーもそれを認めている描写がある。
義勇軍の一員として参加した戦闘で、騎兵が一方的に殺戮される様を目にし、際限なく無慈悲になる戦争と騎兵の未来への不安を抱えるようになる。 クーデターの際は父親の要請により他の南部貴族の子弟である騎兵科の生徒と共にフランツ側につくが、クーデターには同調しておらず市街からの砲撃を中止させたり、学校に帰還するバルツァーに協力するなど非情に徹しきれなかった。 決戦兵力である騎兵が、勇気と誇りで戦う前時代の戦いに憧れを持ちながらも、近代戦に通用する騎兵の戦い方を模索しており、追撃に移ったアウグスト軍に対しては、騎兵の特性を活かした襲撃を繰り返し、バルツァーも相手がユルゲンとは知らないままその手腕を称賛している。
トマス・リンケ
マルセル・ヤンセン
声 - 山谷祥生
士官学校の生徒。歩兵科の一年兵。トマスの友人。トマスが叱られている時に、わざと銃を発砲して叱責の対象を自分に向けるなど、反抗的ながら友人思いの性格を持つ。弾道の不安定なマスケットを正確に撃ちこみ続けるほどの射撃の才能があり、バルツァーから持たされた軍事論文を読み込むなど、勉強熱心な一面もある。
バルナバス・バーナー
バーゼルラント邦国
フランツ・テオドール・ビンケルフェルト
バーゼルラント王室の第一王子。保守的かつ懐古趣味な人物で一切の変革を嫌い、軍制改革のために王室の財産を消費する弟王子のアウグストとは対立しているが、結果としてその保守性がヴァイセン製品の流入により生活が圧迫されている国民からの支持を集めている。正体はアウグストと同様にビンケルフェルト王家の人間ではなく、誘拐された本物のフランツの身代わりとして用意された孤児。その素性を知るルドヴィカの傀儡になっている。
中世ヨーロッパの王侯の服を身に纏い、居城の衛兵には(中世ヨーロッパの騎士が使っていたような)全身を覆う鎧、お付きの侍女たちには神話世界の女神の衣装を着せる懐古趣味を持ち、アウグストからは「中世仮装趣味の夢想家(コスプレのオタク)」と言われている。幼いころに重度の吃音症にかかり、演劇の稽古で症状が改善したこと、普段は流暢に話しているが近代的礼服を着た際はつっかえ気味になることから、自他の仮装は吃音症改善の狙いもあるようである。軍事学的知識はほとんど無く、圧倒的多数の北部軍に正面から決戦を挑もうとするなどしている。レンデュリック大佐は事前の情報として、第一王子が「人格障害」を患っていると聞かされていたようである。
アイヒホルン3世
ヴァイセン王国
ホルスト・フォン・シュタウフェンベルク
ユーリ・ヘーゼン
ヨアヒム・シェーンフーバー
アンネリーゼ・ホルバイン
ヴァイセン国王
ヨアヒム・フェルディナント
フェリックス・ホフマン
ディートバルト・フォン・アンスハイン・ツー・ダルムバッハ
ギュンター・フォン・シュトライヒ
ホルベック王国
エルツライヒ帝国
ルドルフ・フォン・リープクネヒト
声 - 三木眞一郎
元ヴァイセン陸軍第二近衛連隊長で、陸軍大学時代のベルントの友人。大学時代に他の学友を扇動してクーデター未遂事件を起こし、結果として第一次ノルデントラーデ戦役を引き起こした。クーデター失敗の際に右眼を失っており、眼帯をしている。
クーデター失敗後はヴァイセンを脱出してエルツライヒ陸軍大佐となり、ルドヴィカの命令でバーゼルラント王室に宮廷音楽家として派遣され、アウグスト失脚のため暗躍している。
ヨーゼフ・フォン・レンデュリック
登場国家
ヴァイセン(Weißen)王国
陸軍大国であり、陸軍は海軍に対し強い影響力を持っている。
デリッツ(DöLitz) - 首都。議会や参謀本部がある。
ヴォセドルフ - 南部最大の都市。南部鉄道の起点であり、バーゼルラントへ鉄道接続駅がある。
クヴェレバーデン - デリッツの西200キロメートルに位置する高級保養地。
バーゼルラント(Baselland)邦国
国政は数年前に国王が脳に損傷を受け、ほぼ全身が麻痺状態で会話もできないため、第一王子フランツが摂政として国務を代行しているが、彼の保守的な姿勢が影響して各種の法整備が遅れており、特に歩兵に至っては装備が前装式のマスケット銃であり、バルツァーの祖父の代の戦列歩兵が未だに主流である。
モデルはプロイセンとオーストリアを除いた、ドイツ(特にバイエルン王国などの南ドイツ)の中小領邦。
ロットリンゲン - 工業都市。シュトルンツ鉄鋼がある。
ゴルシュタット - 南部の旧都。クーデター時には南部貴族軍の策源地となっていた。
エルツライヒ(Erzreich)帝国
ヴァイセン同様にバーゼルラントの併合を目論んでいる。バーゼルラントのビンケルフェルト王家とは縁戚関係にある。
モデルはオーストリア帝国。
なお、帝政であると明言されているが、名前が初めて出てきた第3巻第58ページの地図では「Republic Erzreich(エルツライヒ共和国)」と表記されている。
ホルベック(Holback)王国
モデルはデンマーク王国。
ゲントハーゲン(Genthhagen) - 首都。
ノルデントラーデ(Nordentrade)公国
モデルはシュレースヴィヒ公国とホルシュタイン公国。
ホッペンシュテット - 半島西側に位置する村。港から陸揚げされた物資の集積分配地。
フレイユ共和国
モデルはフランス共和国。
ラトフ帝国
モデルはロシア帝国。
用語
バーゼルラント王立士官学校
都市の近くにあるため、市民感情に配慮して本格的な軍事訓練が自粛されるなど、バルツァー曰く「媚びる」ところがある。一方で、生徒は市民からは好意的に見られているようである。この学校には議会や正規軍さえも干渉ができず、実態はアウグスト第二王子の軍事拠点であると軍国は推測している。フランツ第一王子はアウグストに対して「野蛮な兵隊遊びは子供部屋(士官学校)の中だけにしておくことだな」と述べている。
発足時、軍人となる代わりに食い扶持と教育を保障すると募集を行っただけで、貧困層から約3千人の子供が集まったとのこと。アンネリーゼは貧民救済の名を借りた王族による私兵化と非難したが、アウグストは逆に王家や貴族から軍事力を切り離すための国民皆兵のモデルケースだとしており、彼の最終的な目的は王政の廃止であった。
シュトルンツ鉄鋼
バーゼル鉄道株式会社
第一次ノルデントラーデ戦役
クーデター計画を聞かされたバルツァーは、リープクネヒトの思惑通りに計画を密告したことがきっかけで、上官に気に入られるようになる。
第二次ノルデントラーデ戦争
ホルベックの背後にはエルツライヒがおり、軍資金の援助を行っている。
登場兵器
ヴァイセン王国軍正式小銃
12ポンド野戦砲
新型野砲
(現実世界では、駐退復座機の無い初期のライフル砲でも榴散弾による人馬の殺傷を主任務として猛威を振るったのだが、作中では既に塹壕による兵員の保護がなされているため、威力を発揮しきれないようである)
後装式多砲身“斉射砲”
組立式巨大臼砲
コングリーヴ・ロケット
新型75mm砲
超巨大列車砲 Gisela(ギーゼラ)
モデルの80cm列車砲が製造されたのは1940年代であり、半世紀近く時代を先取りした、悪く言えば時代錯誤なオーバーテクノロジーである。なお、現実世界の18世紀末には口径40cm級の後装砲(艦砲)は製造されているほか、上記のマレット臼砲は前装式ながら口径は90cmを超えている。
自動装填銃
書誌情報
- 中島三千恒 『軍靴のバルツァー』新潮社〈BUNCH COMICS〉、15巻から講談社〈マガジンKC DELUXE〉既刊17巻(2023年12月7日現在)
- 2011年7月8日発売、ISBN 978-4-10-771626-2
- 2011年12月9日発売、ISBN 978-4-10-771642-2
- 2012年7月15日発売、ISBN 978-4-10-771671-2
- 2012年12月15日発売、ISBN 978-4-10-771690-3
- 2013年7月9日発売、ISBN 978-4-10-771712-2
- 2014年2月8日発売、ISBN 978-4-10-771737-5
- 2014年12月9日発売、ISBN 978-4-10-771792-4
- 2015年12月9日発売、ISBN 978-4-10-771863-1
- 2016年11月9日発売、ISBN 978-4-10-771933-1
- 2017年7月7日発売、ISBN 978-4-10-771995-9
- 2018年5月9日発売、ISBN 978-4-10-772082-5
- 限定版 同日発売、ISBN 978-4-10-772052-8
- 2019年8月9日発売、ISBN 978-4-10-772211-9
- 2020年12月9日発売、ISBN 978-4-10-772349-9
- 2021年9月9日発売、ISBN 978-4-10-772417-5
- 2023年2月9日発売、ISBN 978-4-06-530338-2
- 2023年7月7日発売、ISBN 978-4-06-532172-0
- 2023年12月7日発売、ISBN 978-4-06-533884-1
- 中島三千恒 『軍靴のバルツァー外伝 銀灰のユーリ』新潮社〈BUNCH COMICS〉、全2巻
- 2022年6月9日発売、ISBN 978-4-10-772500-4
- 2022年6月9日発売、ISBN 978-4-10-772501-1
- 限定版 同日発売、ISBN 978-4-10-772052-8
ゲーム
三国志大戦
2020年12月2日より、本作のバルツァーをモデルにした盧植(声 - 真殿光昭)が登場している。