天を支える者
ジャンル:ハイファンタジー,
以下はWikipediaより引用
要約
『天を支える者』(てんをささえるもの)は、前田珠子による日本のライトノベルシリーズ。イラストは明咲トウルが担当している。集英社コバルト文庫より刊行。
概要
虹の色を冠した7人の神によって作られた世界。その天と地の狭間には「空(くう)」があった。強大な力を持つ彼らは直接その世界に介入できないため、全部で108の神宝を造り、それが半身と認めた人間を柱神として天と地の間に立たせることにした。
しかし、ある時期からその制度を人々が悪用したため、神宝が歪んでしまい、長い時間をかけてその数が半減してしまった。それを受けた神々は残された神宝を守るため、その半身を見極めさせる選定者を人々の中から選び出すようになった。
これはその1人に選ばれた16歳の少女・ナルレイシアの物語である。
登場人物
声は、Cobalt2009年11月号の応募者全員サービスドラマCD「Cobalt CD PREMIUM 2」のもの。
主要人物
ナルレイシア・フォイリリル・ダカール
声 - 佐藤有世
主人公。ディエーン王国の片田舎・フィレア出身。ツインテールにした華やかな金髪と、黄玉のような瞳が特徴の10代半ばの美少女。親しい者は「ナーシア」と呼ぶ。父親が国内より国外に名高い「ダカール商会」を経営しているため、家具などが特注品かそうでないかを見極めるくらいは出来る目利きであり、名義上、実家の株を5分保有している大株主でもある。
幼い頃から「間一髪」「死んでいてもおかしくない」という事件に両手の指では足りないほど巻き込まれてきたため、地元では「不幸中の幸いの権化」と呼ばれる。それらの事件のトラウマで「雷恐怖症」や「高所恐怖症」をはじめとした複数の恐怖症を持つが、その分修羅場慣れしており、ドレス姿で街中を疾走することも出来る。物心つく前から度々誘拐されており、悩みに悩んだ母親の苦肉の策で、デフォルトの髪型を「東方世界の髪型を参考にした」ツインテールにすることで、目印とした。
フィレアでは女性があまり高い教養を持つ必要はないとされているが、彼女はいわゆる本の虫で、集中すると寝食を忘れてしまう悪癖を持つ。軽微な損傷なら本を修理することも出来る。また、実家の裏山に無断で隠居している老人・ギスカリールの教えを受けており、彼の蔵書のほとんどを読破し、彼から教わった普通とは異なる速記文字を書くことも出来る。
故郷では、オーブエル男爵家に(蔵書が目的で)行儀見習いとして上がっていたが、王都に遊学している嫡男が帰省した際に迫られ、拒絶したところ、ないことないことでっち上げられ、尾ひれをつけた噂とともに追い出されてしまった。その後、ギスカリールに紹介された、「王都に住む老婦人の話し相手兼蔵書管理」の仕事を引き受け、災難に巻き込まれながらも王都へたどり着いた直後に、黄属の神宝と選定者の証である特殊な神聖硬貨4枚を偶然手に入れてしまい、波乱の運命を辿ることに。
選定者となって以降は、半身を見極めるための異能として、その素質を持つ者の周囲に、感情に連動して発生する様々な色の光を視るようになる。また、自身は「精霊の気配を感じることが出来ない」と思い込んでいるが、実際は存在の有無程度なら感じられる。
リンシィア・セレナイダ・ファヴァイナ
ディエーン王都・ロスタロイドに暮らす銀髪の老婦人。周囲からは敬愛を込めて、尊称つきのファティ・リンシャと呼ばれている。その屋敷は精霊の加護を受けており、鍵もかかっていないのに、出てきたばかりの玄関扉が開かない、邪な心を持つ者には屋敷が見つけられずたどり着けない、など不思議な現象に見舞われることから「魔法屋敷」「呪いの館」の異名を取る。長年集めてきた蔵書は質も量も申し分ないが、傷んでいる物が多い。
ギスカリールの昔馴染みで、ディエーン王国の当代柱神・アマンシールの友人。ナルレイシアの新たな雇い主で、優しく朗らかな性格だが、何事にも楽しみを見出そうとする癖を持つ。当初は他国の柱神の縁者とされていたが、実は柱神の1人であり、現在存命の柱神の中で最も長寿とされる。20年ほど前までは隣国であるイアンダールを守護していたらしいが、アマンシールの頼みを受け、ガスカールを養育するため、ディエーンへ移ってきたらしい。
幼くして両親を亡くしたガスカールの育ての親の1人でもあり、ガスカールから非常に慕われている。
ガスカール・トーディアル・アルス・エルスカーネ
エルスカーネ公爵。黒髪にディエーン王国の前王家・エルスースの特徴である紫の瞳を持つ、二枚目の美青年。その瞳から「紫公爵(しこうしゃく)」の異名を持つ。親しい相手には「カール」と呼ばれることが多い。異能者の気配を「幻臭」として嗅ぎ取る異能を持つ。
前王家の特徴(黒髪に紫瞳)を持つため、前王家復興を目論む者たちの神輿に担ぎ上げられかけたり、それを阻止しようとする者たちによって暗殺されかけた過去を持ち、15年前に両親を暗殺で失っている。なお、貴族の中ではエルスカーネ公爵家のみ、エルスース王朝の王女が降嫁したという公式記録があり、彼の瞳はその先祖返りであるとされるが、実際は、アマンシールによると「精霊に愛される者」の証でしかないらしい。精霊たちとの積極的な交信能力は持たないので、アマンシールが精霊たちに言い聞かせていることもあり、実害はこうむっていないようだが、彼の感情に精霊たちが反応することも。
両親を失ってからは長く心を閉ざしており、心配したアマンシールとファティ・リンシャが親代わりとなっていたため、現王家の人々ともそこそこ仲がよい。そのファティ・リンシャを心配するあまり、彼女が新しく雇った少女の素性を調べ上げて報告したが、情報元が問題の貴族に買収された家人だったため、ナルレイシアに対する印象は「最悪」で、ことあるごとに「山猿(あるいは「猿娘」)」「出て行け」と口にする。そのため、ナルレイシアの彼に対する印象も「最悪」で、初対面以来口喧嘩が絶えないため、お互い天敵と認識している。
ナルレイシアが選定者だと判明してから、当代柱神・アマンシールに、彼女の護衛役を命じられる。護衛役として一緒にいる時間が増えたことで彼女に振り回されては、度々の口喧嘩に加えて小言めいたことも口にするようになり、心の鎧がはがれかけているのだが、それに気づいているのは親代わりの2人と付き合いの長いスカルトードくらいのものである。
スカルトード・ナネリーアン・フォスカリク
ディエーン王国の近隣国であるガライラ大公国出身。緑がかった金髪に灰緑色の瞳を持つ、人外とも評される美貌の青年。その美貌ゆえに素顔を晒すだけでも人々の動きを止めてしまうが、それでは日常生活にすら支障が及ぶため、超絶美貌をそうとは悟らせない「気配支配」という特技を持つ。「スカー」と呼ばれることが多い。ディエーン王国では、特殊な神官職である「奇跡及び神罰調査委員会」の長を務めている。
王都到着直後に酔漢にぶつかられて昏倒していたナルレイシアを見つけ、馴染みの宿屋「踊る赤馬亭」に連れて行って介抱した。その際、目覚めた彼女がなくしたと言う本の題名を聞いて目を輝かせたほどの本の虫で、以来彼女と「本の虫同盟」を結成。その友情のおかげで、彼女とは目を合わせるだけである程度通じ合う。また、ナルレイシアから聞いたギスカリールの蔵書に興味を持っている。
ガスカールの2つ年上で、大伯父にファティ・リンシャの屋敷へ定期的に連れてこられたため、ガスカールとは幼馴染とも言ってよく、ナルレイシアに関わるようになったガスカールの変化にも気づいている。
ある事情から、幼い頃は性別を偽って生活しており、家の外へは出られなかった。そのため、恥ずかしさもあって、女の子として育てられた過去とその頃に得た知識を披露することは極力しない。
大伯父がガライラの柱神で、よく似た容姿の持ち主であるため、大伯父が行方不明になる度、影武者として呼び戻される苦労人でもある。
柱神とその縁者
アマンシール
フルネームはガジェストリオ・アマンシール・アルス・ファラスース。ディエーン王国当代柱神。黄属の神宝「貴人の午睡」の半身。
現王家・ファラスースの初代国王の弟で、黒髪に灰色の瞳を持つ。30代前半の容姿だが、すでに100年以上は生きている。柱神として覚醒すると同時に元々持っていた権力等を放棄することが多い柱神の中で、数少ない「王家の一員」としての権力を保持したままの柱神である。柱神が選ばれるごとに王朝交代劇が起こるディエーンにおいて、それを阻止しようと候補者達を王家の養子とする作戦に出た。これは本来、彼が柱神候補と判明する前に、柱神の代替わりによる王朝交代劇の流血沙汰をなくそうと、家族やエルスース王家の協力を得て画策していたもの。なお、彼が柱神となった時の選定者は何者かに暗殺され、第2候補だったマルシアス侯爵家の次男も暗殺と思われる不審死を遂げた。
当主である父・リュシアンドは国王の又従兄弟にあたるという家系の、経済や外交を得意とするファラスース侯爵家の三男に生まれるも、政治や経済より自然科学に興味を持ち、それらを学ぶべく大貴族の息子でありながら王立学院への入学を希望し続けた変り種。何とか入試を乗り切ったため、国王の興味を引いたらしく、11歳の時父親に連れられて王宮へやってきた時に、庭の散策をしていて迷子になり、クランクレイアと出逢った。以来、話し相手として度々王宮に通うも、恋愛感情に疎く、結果的にクランクレイアとの間をよくフィオーンに取り持ってもらっていた。
ガスカールの育ての親で、ガスカールにとって頭が上がらない人物の1人。
ギスカリール
フィレアのダカール家の裏山に無断で隠居している老人。アマンシールが神籍に入る前からの悪友で、柱神の縁者であるらしい。もともとはアマンシールの王立学院での友人・ハーリクの父親の知人。ナルレイシアを「リル・ナーシャ」の愛称で呼ぶ。また、ナルレイシアからは「お師匠」と呼ばれている。暗黒期以前に書かれ、現在は禁書とされる本をいくつか所蔵している。
ナルレイシアの父が幼い頃から現在と同じ老人の姿であり、度々からかわれたため、老人を大切にする風潮があるフィレアにいながらも、彼からは「妖怪爺ぃ」と呼ばれ、嫌われている。
本人曰く「生まれたときから成長が遅かった」らしく、『古戀唄』の時点では外見が二十歳前後なのにも関わらず、クランクレイアの実父であるクアン・クランドの幼い頃からの友人であり、20年以上外見が変化していないという。クランクレイアの実父から彼女の母を見守るよう頼まれていたこともあり、彼女を大切に思っていて、彼女に近づくことを許されているアマンシールを度々試していたが、彼が柱神候補となったことで相談役の1人となった。コーランジュとも顔見知りの間柄。
ネイスリーズ
ユーカリィヤ・アライア・アルス・オースリン
リオライーシャ
黄属の神宝「黄昏の黄金」に選ばれた次代柱神の少女。13歳。生まれてすぐに里子に出され、その存在が伏せられていた、ユーカリィヤの双子の妹。3歳で大きな病を患って以来病弱な姉とは違い、健康優良児である。親しい人には「リーシャ」、養父母には「リオ」の愛称で呼ばれる。男の子のような服装と肩にかかる程度に揃えた金褐色の髪と青い瞳が特徴。
姉妹の交感は毎夜あるわけではないものの、その日あったことを追体験するように行われ、食べ物の味や体調なども感じ取れる。また、選定者であるナルレイシアは、黄神神殿で説明を受けていたときに「助けて」と呼びかける彼女の幻影を見ている。
実の両親が事故で亡くなった後、ナサリエル公爵家に誘拐され幽閉されていたが、運良く脱出に成功し、姉とは知らないままユーカリィヤに会うためロスタロイドまでやってきた際に、ユーカリィヤの話を受けて動いていたナルレイシアと偶然出会うも、公爵家に連れ戻されてしまう。しかし、一緒に連れてこられたナルレイシアが仮死状態に陥ったのがきっかけで力が暴走、公爵家の上空に金色の竜の幻影を生み出したことで、神宝の半身であることが判明。ガスカールらによってナルレイシアと共に無事助け出された。
その後、次代候補の1人として斎王院に入っていた姉と入れ替わった。柱神となるのは成人の儀式を終えてからとのこと。
ウォルセン・ディーシア・オルス・マルシアス
緑属の神宝「翠唱子」に選ばれた次代柱神の青年。ナルレイシアと同年代。緑がかった栗色の髪と、緑寄りの榛色の瞳を持つ。線が細く色白なため、鬘と女装で性別をごまかせてしまうのが悩みの種。精霊に愛されており、その姿を見て会話することが出来る異能を持つ。「マーシャスの女神」と呼ばれた先祖の女性・ファタランテの額にあったという緋色の痣が左腕にある。特技は胡琴と歌で、妙歌星と呼ばれた彼女と同じ。
そのため、一族としては名ばかりの貧乏貴族という分家のひとつに生まれた彼は、両親と引き離されないよう他人には痣と異能を隠してきたが、7歳の頃、偶然やってきた本家に近い血を引く分家の少年に見つかってしまったのがきっかけで両親と引き離されて本家の養子となり、彼女が定めたという「約束の地」の場所を教えろと、度々迫られるようになった。
脅すように迫ってくる親類にうんざりして死を選びかけた彼を救った、義兄に当たる少年・アシュアイードと絆を結んでいるが、精霊との交流すら封じられた長い幽閉生活に耐えかねていたところ、リオライーシャが力を暴走させた際に彼を閉じ込めていた結界が壊れたため、何度目かの家出を決行。義父である侯爵は「自分の息子以外を後継者にするつもりはない」とかつて彼に明言していたが、聖印をもつ自分を当主の座に据えようとする一派や排除しようとする一派といった複数の追っ手から1年もの間逃げ回っていた。この間、幼い頃にアシュアイードの母から教わって腕を磨いた裁縫と編み物の腕を利用して生計を立てているが、外出時、男装ではすぐにバレてしまうので、コンプレックスを逆手に取るように女装し、ミドルネームの「ディーシア」と名乗っていた。アシュアイードのみ彼を「ディー」と呼ぶ。
当初から彼を見極めたナルレイシアが付きまとったため彼女の悪運に振り回され、さらにアシュアイードとの絆を守るため神宝を拒んでいた。しかし最後は神宝を受け入れ、ファティ・リンシャの知人である柱神たちを巻き込んだ大芝居を打ち、一族のしがらみから抜け出す。
アシュアイード・ヴィーオラ・オルス・マルシアス
クランクレイア
『古戀唄』に登場。王家エルスースの末の王女。愛称は「クラン」。紫の瞳と紫がかった黒髪をもつ。精霊に愛されており、その助力を得て空を飛ぶこともやってのけるお転婆で、王女らしからぬ口調で話す。「王と夢で逢瀬を重ねた女神が連れてきた娘」という話だが、実は隣国・ルーシアルの柱神と病弱な王妹の間に生まれた娘で、体の弱かった実母が病に倒れたため、その兄である王に引き取られたというのが真相。
7歳の頃、当時侯爵家だったファラスースの三男(アマンシール)と偶然出会い、「女神の娘」と噂される自分に対して、王女と臣下としての対応をしたアマンシールに興味を覚えたことで、話し相手とすることを父に頼み込んだ。王と王太子であるフィオーンには可愛がられているが、その弟であるケルティス王子と王妃には疎まれており、幼いながらも立場を思うがゆえに、フィオーンに全力で甘えることを自ら禁じていることもあって、植物採集という趣味が共通するアマンシールを「ジェス」と慕い、甘えてきた。
そうして交流するうちに恋に落ちるも、彼が柱神候補となったために、兄とも慕う王太子フィオーンに命を狙われたところをアマンシールの元に飛び込んできた神宝によって救われた。その後、アマンシールとともに20年眠り続け、目覚めてから5年後に、兄の代わりに王位を継いだケルティスの側室の1人が産んだ、自分と同じ特徴を持つ娘・アランヴィータを妹分として預かった。アランヴィータがエルスカーネ侯爵家の嫡男・アスクライムと結ばれた後、自身はアマンシールとの間に子供を身ごもり、無事に出産するが、衰弱が激しく、回復することなく亡くなる。生まれた子供はアランヴィータが引き取り、養子として育てた。
コーランジュ
『古戀唄』に登場。「貴人の午睡」の半身(アマンシールの先代)。エルスース王家初代国王の母親にあたり、柱神となった時はすでに50歳を越えていた婦人。200年は生きていたが、老いの兆しを感じ始め…。
王宮の庭の一角に精霊たちに結界を張ってもらい、屋敷を構えていた(その後、次の柱神となったアマンシールがクランクレイアとともに住む)。
アマンシールの頼みを受けて、次代柱神の候補者を王家の養子とする作戦に協力するが、筆頭候補がアマンシール自身であることや、第2候補がマルシアス家次男だったことを受けて頓挫。アマンシールが拒み続ければ命に関わることや、それでもクランクレイアとの生活を望んでいることを知っていて、「神殿(選定者)に預けた神宝を奪って、駆け落ちする」という作戦を提案した張本人。
クアン・クランド
『古戀唄』に登場。クランクレイアの実父にして、ディエーンの隣国・ルーシアルの当代柱神。
もともとはルーシアルの第二王子で、ディエーン留学中に王宮の庭で迷ったところ、王妹・オルレイジア姫と出会い、恋に落ちた。
女性関係が派手だったらしいが、ルーシアル王家に呼び戻された際、いずれ正式にオルレイジアを迎えるため父に話を通す前に、次代柱神であることが判明。神宝に触れた途端に昏睡状態に陥った。その後10年以上仮死状態になったため、王家が死亡を発表したというやや可哀想な境遇の柱神である。
昏睡した時点でオルレイジアは身ごもっていたが、父親の名は信頼の置けるごく少数にしか明かさなかったらしい。しかし、クランが10歳になる年の豊穣祭の日にディエーンを訪れ、彼女の後見に立つことを公に表明した。
その他
ランディータ
マルルーネ・セライ
ニドヴァール
『黄の章』第1巻と『罠は、蜜の味』に登場。フィレアのオーブエル男爵家の令息。ナルシストで、「自分に心惹かれない相手はいない」と思い込んでおり、マザコン。王都に遊学中で、王都でも故郷でもいろんな女性に手を出していた。家格至上主義の“馬鹿君”。
ナルレイシアが彼の強引な誘いを拒絶したため、自分を溺愛する母親に「誘惑したのはナルレイシアの方」などと吹き込んで、尾ひれを付けた噂とともに追い出したが、王都で遭遇した時には「きっぱり振ったのに追いかけてきた田舎娘」として相手をしたため、事情を知るランディータやスカルトードの怒りを買った。
なお、彼を罠にかける策の一端として、ネイスリーズがガライラ大公弟・エリエンスに話を持っていって根回しし、実家の財産のほとんどは差し押さえられたらしい(管理人はガスカール)。
イージニアン
アゼルフィア
ハーリク
『古戀唄』に登場。アマンシールの王立学院での同級生にして寮のルームメイト。ハシバミ色の瞳とそばかすが特徴。実家は土産物屋でそこそこ王族についての情報を持ち、さらに伯父が茶道楽なため、お茶を淹れるのがうまい。校内で実家の商品である王族の肖像画の注文を聞いては、週末ごとに実家に取りに行っている。
「銅版画を土産物に出来ないか」と試作品を実家に持ち込んできたことでギスカリールと知り合い、ギスカリールとアマンシールの間をつなぐ。王立学院では孤立しがちなアマンシールの数少ない友人で、ギスカリールからアマンシールが次代柱神の筆頭候補であることを知らされても態度を変えなかった。王立学院を卒業後は実家を継いだらしく、彼が眠りに就いてから目覚めるまでの間、定期的に彼の眠る繭が安置された神殿に通い詰めていたらしい。
地名
ディエーン
約200年ほどの周期で起こる柱神の交代と前後して、次代柱神を輩出した家が王朝交代を起こしてきたが、そうやって王朝が交代しても国名を変えないことから「古王国」とも称される。その理由は、ディエーンを築いた初代王家の始祖王が柱神の子供であり、王都に居を構える主要貴族のほとんどがその王家の血を引いているためであるという。そのためか、次代柱神の候補も有力貴族の子女であることが多い。
フィレア
ダランジェイド
アシャス
ファエン
セルフィア
エアラン
ガライラ大公国
用語
虹神(こうじん)
本作の主な舞台であるディエーン王国は、長い間黄属の柱神の加護を受けているため黄神神殿の権威が高く、権門排除に躍起になっているが、その代わり他の6神殿の腐敗がひどいらしい。
神宝(しんぽう)
暗黒期以降は力が弱まっていることもあり、1度半身を選んでしまうと変更は出来ず、半身に近づくと石の明度が上がったりする。更に、選んだ半身に合わせて意匠や姿を変えることもある。
柱神(ちゅうしん)
暗黒期以前は総勢108人おり、各属の柱神の長老たちによって半身が見極められてきたが、俗世の欲によって制度が歪められた暗黒期に半減して現在は60人ほどしかいない上、暗黒期以前と比べると寿命が短いらしい(暗黒期以前には千年を超す者もいた)。「御柱の君」とも呼ばれる。柱神となった際に肉体の老化がほとんど止まる。
暗黒期以前の神宝の半身は、神宝を身につけた状態で柱神と交わることで柱神となり(この際、自分の神宝と交わる柱神の属性が異なっても構わない)、瞳の色が神宝の属性の色へ変化する。また、強く拒否すれば人間として生を終えることも可能であったが、暗黒期以降に神宝の半身として選ばれた者には拒否権がなく、あくまで拒み続ければ、「資格なし」として神殿により暗殺される可能性もある。
元が人間であるため、情や血族に縛られがちではあるが、柱神としての務めは、そんなものには縛られず、自分を選んだ神宝とともに世界の何処かに居さえすれば果たせるらしい。
長老(ちょうろう)
選定者(せんていしゃ)
呼称の問題か、権力者や貴族の間では「選定者が次代の柱神を選ぶ」と誤解されており、候補者の縁者から賄賂攻めに遭いやすく、徴を持たない者を柱神とすれば、一族含めて神殿から破門されるなどの神罰が下る。運が悪ければ暗殺される恐れもある危険な役目でもある。
神聖硬貨(しんせいこうか)
聖印(せいいん)
ファタランテは緑属の柱神であったため、その力を発揮して滅亡を回避したと言われており、これを身体のどこかに宿して生まれた者は彼女の生まれ変わりと見なされ、ファタランテが遺言として残した「約束の地」に一族を導くと信じられており、かつて生まれた2人はそれぞれ当主の座に就いて采配を振るった。しかし、3人目の「聖印の子供」であるウォルセンは遠い傍流の生まれで、痣の存在ゆえに本家の養子になったため、一族による、意に沿わぬ次期当主争いに巻き込まれている。
東方世界(とうほうせかい)
結界術(けっかいじゅつ)
マギル・レヴィン
ファティ・リンシャはその著作をほぼ全て所有し、ナルレイシアもギスカリールが所有している著作をほぼ全て読破済み、スカルトードも新刊が出るとあれば目の色を変えるほどのファンである。
書誌情報
本編
黄の章
天を支える者 2 (2004年5月、ISBN 978-4-08-600413-8)
天を支える者 3 (2006年12月、ISBN 978-4-08-600849-5)
天を支える者 4 (2007年3月、ISBN 978-4-08-600884-6)
緑の章
緑の糸をたどって (2008年4月、ISBN 978-4-08-601149-5)
緑蘿の檻に囚われ (2008年7月、ISBN 978-4-08-601182-2)
緑玉の枷に繋がれ (2008年9月、ISBN 978-4-08-601204-1)
緑の鈴を、振る (2008年11月、ISBN 978-4-08-601225-6)
空に響く緑の鈴音 (2009年2月、ISBN 978-4-08-601256-0)
外伝
天を支える者 古戀唄(いにしえこいうた) 全5巻
関連作
空の呪縛(くうのじゅばく)
空の呪縛 (2007年8月、ISBN 978-4-08-601052-8)
空の呪縛 月の堕ちるとき (2007年12月、ISBN 978-4-08-601101-3)