アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険
以下はWikipediaより引用
要約
アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険(アニメーションきこう マルコ・ポーロのぼうけん)は、NHK総合テレビジョンで1979年4月7日から1980年4月5日までの土曜 19:30 - 20:00に放送されたテレビアニメ。
概要
折からのシルクロードブームに乗って企画され、アニメーションと実写ドキュメンタリー映像を折衷させた実験的かつ意欲的な作品。全43回(特別番組等で休止となった週もあるため)。
NHKが取材した映像は16カ国に及んだ。
1978年9月には番組の制作の一環として、クーデターで建国したアフガニスタン民主共和国へ外国の取材班として初めて許可された。
原作はマルコ・ポーロの『東方見聞録』だが、アニメオリジナルのエピソードが大半を占める。全体として3部にパートが分かれ、「シルクロード編」(1回 - 20回)、「中国編」(21回 - 33回)、「南海編」(34回 - 43回)で構成される。
音楽は、当時人気だったシンガーソングライターの小椋佳が担当したことが話題になった。
マルコのキャラクターデザインが『宇宙戦艦ヤマト』の主人公・古代進に似ている(特に中国編以降。マルコの声優である富山敬は古代の声も務めていたためなおさらその印象は強かった)という指摘がファンから多数寄せられたという。また、マルコのビジュアルが少年時代から壮年まで(17歳 - 37歳の間)、若い姿のままほとんど変わらない点について、キャラクターデザインの杉野昭夫は「老けたマルコのビジュアルもデザインしてみたが、イメージが少年期と異なり視聴者が混乱するとNHK側からダメ出しされ、結局ああいう風(若い姿のまま)になってしまった」と後年のインタビューで答えている。
徳間書店から発行されたロマンアルバムに概要が掲載されており、1981年から文化服装学院のポケットメイツレーベルで若桜木虔の執筆により全3巻の小説化がされている。
放送開始した1979年4月にパレスチナ解放機構(PLO)の東京事務所から、番組内容にパレスチナ人の存在を否定する部分があったとしてNHKに抗議文書が送られた。PLO東京事務所は、第2回での描写がアラブ人への偏見を植え付けるものであり、加えてイスラエル国家が13世紀に既に存在するかのような描写はパレスチナ人の存在を無視するものだと主張した。NHKに対しては前年から『NHK特集』や山本七平、磯村尚徳の番組で反アラブ的な描写があったと抗議をしてきたにも関わらず、改善がなくこれで4回目でNHKから誠意が感じられなかった上、特に今回問題視したのは子ども向け番組であることだったという。これに対してNHKはPLOの主張は誤解であって、番組制作の真意を理解してもらいたいとした。
1980年4月から放送の『NHK特集 シルクロード』は本作が発端となって企画されたものである。企画者は本作を監修した鈴木肇ディレクター。
本作終了後、土曜19:30枠は19:20からの10分枠と統合され、40分枠となった。
映像の保存・寄贈状況
当時のアニメはフィルム制作でマスターもフィルムなのが一般的だったが、NHKの自局製作である本作はフィルム制作されたアニメパートと実写パートがテレシネを経たビデオ編集で作品が完成し、ビデオがマスターだった。1970年代末までは放送用のビデオテープ(2インチVTR)が高価だったため、当時のNHKでは放送後のテープを新しい番組に上書きして使用していた。そのため、本作のマスタービデオテープ(ドキュメンタリー部分と組み合わせて音声まで完全パッケージされたもの)は第1回と最終回を除き現存していなかった
NHKアーカイブスにおいて、現存していない回の録画(エアチェック)の募集が行われ、2019年までには第2回・第33回から第42回(一部欠落回あり)の録画が当時の視聴者から提供された。
2020年には、イタリアでの放送に使われた後、日本に返却された16ミリネガフィルムとシネテープがヨコシネ ディー アイ エーから全話分発見された。これにより映像に関しては家庭で録画されたホームビデオよりも鮮明なフィルム映像で全話が揃ったが、音声についてはフィルムのオプティカル・サウンド・トラックに音声はなく、シネテープの中身は輸出先の現地の言語で台詞をアフレコすることが前提のME(Music & Effect)という音楽と効果音のみが録音されたものだった。日本語の台詞やナレーションがなかったため、日本語音声に関しては視聴者から提供されたビデオから抜き出して、フィルム映像と合体させることが復元が期待された。
そして2021年になって視聴者からの提供で録画テープが全話揃い、全話の復元が可能になった。
「NHK放送史」では第2回のダイジェスト、放送ライブラリーでは第1回が公開されている。
再放送
2023年3月13日から15日まで、『プレミアムカフェ』(NHK BSプレミアム)で9回分(第1回・第4回・第7回・第12回 ・第14回・第17回・第35回・第39回・第42回)の再放送と2023年2月25日にNHKアーカイブス実施された再放送を記念したイベント(司会:渡邊あゆみ、ゲスト:小椋佳・上田信)の模様が放送された。
あらすじ
1271年、イタリアのヴェネツィアに暮らしていた17歳の少年マルコ・ポーロは父ニコロと叔父マテオに随行して東方へ旅立つことになる。道中でマルコは様々な体験や色々な人々との出会いと別れ、冒険を繰り返しながら成長していく。
登場人物
サブキャラクター
ゲストキャラクター
ベドウィンの少年
僧侶ギルエルメ
僧侶ニコラス
モンゴル軍司令官
ビドア
トウス
ハレフ
オマール
暗殺教団の首領
暗殺教団の少女
「楽園」の女
アバカ
ミリアム
ミリアムの養父
ヤズドの馬商人
マーモッド
ラシード
カダック
モンゴル将校
老婆
シグナン
サイード
アリー
まぼろしのチャパンドゥー
ムラード
ユースフ
ジャファディ
エルデネ
若者
小琳
トルファン総督
ティム
隊長
唐玉潜
唐少宝
バニエンス
劉政
モンゴル軍指揮官
定次郎
ハッサン・ルー
チャンパ国王
カイ
クキ
老人
骨董屋の主人
セイロン国王バーブ三世
将軍マヒンダ
ムハラハ
ダナ
ダナの母
ガザン・ハーン
スタッフ
- 監督・演出 - 藤田克彦、松村浩志、村上憲一、中村哲志、酒井和行
- キャラクターデザイン - 杉野昭夫
- 美術監督 - 石津節子
- 撮影 - 菊池晋一、牛尾政紀
- 技術 - 柴田豊博
- 音響効果 - 原口啓、今井裕
- 編集 - 宮崎善行
- 音楽 - 小椋佳、小野崎孝輔
- タイトルアニメーション - ほんだゆきお
- 制作 - 金子満
- 制作統括 - 丹泰彦(NHK)
- 監修 - 岩村忍、鈴木肇
- 協力 - イタリア政府、バチカン市国、イラン政府
- アニメーション制作 - MK COMPANY・マッドハウス
- 企画制作 - NHK
主題歌
- オープニング - 「いつの日か旅する者よ」
作詞・作曲・歌 - 小椋佳 / 編曲 - 小野崎孝輔
番組で使われたのは3番の歌詞。
- エンディング - 「大空から見れば」/「また旅支度」/「それが夢ならば」/「誰でもいいから」/「蒼き狼」
作詞・作曲・歌 - 小椋佳 / 編曲 - 小野崎孝輔 ※使用はランダム
アルバム『マルコ・ポーロの冒険』は1979年6月1日発売。上記OP、ED曲(「それが夢ならば」のみ、アルバムとは別に発売)を含む全11曲収録。「いつの日か旅する者よ」(TVバージョンとはアレンジが異なる)はラストに収録されていた。
次回予告では「大空から見れば」のAメロCメロがBGMに使用されていた。
各回リスト
回数 | 放送日 | サブタイトル ()は仮題 |
国名 | 脚本 | 絵コンテ | 作画 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 1979年 4月7日 |
はるかなる旅立ち (さらばヴェネチア) |
イタリア | 金子満 | もりまさき 川尻善昭 |
川尻善昭 |
第2回 | 4月14日 | 聖なる油を求めて | イスラエル | 平田敏夫 | 遠藤裕一 | |
第3回 | 4月21日 | 二人の僧侶 | トルコ | 川尻善昭 | 菊田武勝 | |
第4回 | 4月28日 | さらばネフドの星よ | 坂井俊一 | |||
第5回 | 5月5日 | 悪魔の火 | イラン | 金子満 馬嶋満 |
青島克己 | |
第6回 | 5月12日 | 砂漠の盗賊カラウナス | 金子満 | 川尻善昭 | ||
第7回 | 5月19日 | 黄金のパイザ | イラク | 坂井俊一 | ||
第8回 | 5月26日 | バグダッドの幻想 | 平田敏夫 | |||
第9回 | 6月2日 | カスピに消えた少年 (カスピに消えた奴隷) |
イラン | 馬嶋満 金子満 |
楠葉宏三 | 青島克己 |
第10回 | 6月16日 | 暗殺教団の谷 | 金子満 | 村野守美 | 川尻善昭 | |
第11回 | 6月30日 | ホルムズの熱い風 | 馬嶋満 | 新田敏夫 | ||
第12回 | 7月14日 | じゅうたんに秘めた恋 | 高田純 | 平田敏夫 | 中村隆太郎 | |
第13回 | 7月21日 | 拝火教徒の友情 | 馬嶋満 金子満 |
もりまさき | 小柴重光 | |
第14回 | 8月4日 | 反乱 | アフガニスタン | 竹内日出男 金子満 |
平田敏夫 | 青島克己 |
第15回 | 9月1日 | まぼろしの谷 | 竹内日出男 | もりまさき | 小柴重光 | |
第16回 | 9月8日 | 命の色 (さまよえる遊牧民) |
鯨岡隆 | 川尻善昭 | 富沢雄三 | |
第17回 | 9月15日 | まぼろしの騎士チャパンドゥー (幻のチャパンドゥ) |
高田純 | 川尻善昭 | ||
第18回 | 9月22日 | パミール越えの恐怖 | 伊藤玲 | 波多正美 | 古瀬登 | |
第19回 | 9月29日 | 天山に消えた少女 (緑の絹を着た女) |
中国 | 高田純 | 川尻善昭 | |
第20回 | 10月6日 | 悪霊の砂漠 | 竹内日出男 金子満 |
富沢雄三 | ||
第21回 | 10月13日 | 燃え上がる陰謀 | 竹内啓雄 | 椛島義夫 | ||
第22回 | 10月20日 | 天駆ける謎の旗 | 鈴木肇 金子満 |
伊藤幸松 | 小柴重光 | |
第23回 | 11月3日 | 王の中の王フビライ | 川尻善昭 | 遠藤裕一 | ||
第24回 | 11月10日 | 密命下る | 吉川惣司 金子満 |
小柴重光 | ||
第25回 | 11月17日 | カラジャンの大蛇 | 鈴木肇 金子満 吉川惣司 |
高屋敷英夫 | 富沢一雄 | |
第26回 | 11月24日 | 百雁の便り | 鈴木肇 吉川惣司 |
本木年久 | ||
第27回 | 12月1日 | 秘密兵器回回砲 | 加藤興治 | |||
第28回 | 12月8日 | 王家の墓の秘密 (南栄の墓あばき) |
吉川惣司 | 伊藤幸松 | 青島克己 | |
第29回 | 12月15日 | 揚子江決壊 (揚子江の老人) |
高田純 | 西牧秀夫 | 富沢一雄 | |
第30回 | 12月22日 | ジパングの宝 (黄金の国ジパング) |
川尻善昭 | |||
第31回 | 1980年 1月5日 |
ジパングを討て | 伊藤幸松 | 小柴重光 | ||
第32回 | 1月12日 | アクマッドの最期 (大都の乱) |
吉川惣司 | もりまさき | ||
第33回 | 1月19日 | 新たなる旅立ち (大使命への船出) |
香港 | 高屋敷英夫 | 富沢一雄 | |
第34回 | 1月26日 | 南海の嵐 (南海のハリケーン) |
南シナ海 | 伊藤幸松 | 小柴重光 | |
第35回 | 2月2日 | 巨象の怒り | タイ | 高田純 | 川尻善昭 | 服部真 奥村志郎 |
第36回 | 2月9日 | 魔の海峡マラッカ (さらばマラッカ) |
マレーシア | 吉川惣司 | 伊藤幸松 | 青島克己 |
第37回 | 2月16日 | 密林の秘密 (謎の小人族) |
インドネシア | 西久保利彦 | 小柴重光 服部真 | |
第38回 | 2月23日 | ラジャの遺産 | 高田純 | 服部真 青島克己 | ||
第39回 | 3月8日 | 宝石と陰謀の島 | スリランカ | 四十物光男 金子満 |
竹内啓雄 | 富沢一雄 |
第40回 | 3月15日 | 洞窟寺院の奇蹟 (シヴァの奇蹟) |
インド | 逸光透 | 伊藤幸松 | 遠藤裕一 |
第41回 | 3月22日 | 父と子の絆 | 高田純 | 川尻善昭 | 本木年久 | |
第42回 | 3月29日 | 大いなる旅路 | イラン | 吉川惣司 | 竹内啓雄 | 遠藤裕一 |
最終回 | 4月5日 | 想いは東方を駆けて | イタリア | 金子満 | 平田敏夫 | 川尻善昭 |
放送休止
- 1979年
- 6月9日:プロ野球「中日」対「巨人」
- 6月23日:プロ野球「広島」対「中日」
- 7月7日:プロ野球「広島」対「ヤクルト」
- 7月28日:南極(6)「白い大陸の謎」
- 8月11日:第11回思い出のメロディー
- 8月18日:ビッグスタースペシャル「燃えろ演歌の夏 今!八代亜紀」
- 8月25日:1979年ワールドユースサッカー「日本」対「スペイン」
- 10月27日:朴正煕暗殺事件によるニュースの延長
- 12月29日:1979年海外ハイライト
- 1980年3月1日:1980年レークプラシッドオリンピック(総集編)
- 6月9日:プロ野球「中日」対「巨人」
- 6月23日:プロ野球「広島」対「中日」
- 7月7日:プロ野球「広島」対「ヤクルト」
- 7月28日:南極(6)「白い大陸の謎」
- 8月11日:第11回思い出のメロディー
- 8月18日:ビッグスタースペシャル「燃えろ演歌の夏 今!八代亜紀」
- 8月25日:1979年ワールドユースサッカー「日本」対「スペイン」
- 10月27日:朴正煕暗殺事件によるニュースの延長
- 12月29日:1979年海外ハイライト