お・り・が・み
以下はWikipediaより引用
要約
『お・り・が・み』は、林トモアキによる日本のライトノベル。イラストは2C=がろあ〜が担当している。角川スニーカー文庫(角川書店)より、2004年6月から2006年7月まで全7巻が刊行された。このうち「天の門」のみWEBラジオでラジオドラマ化されている。
「天界クロニクル」の一作で、ストーリー上の時系列順に、『ばいおれんす☆まじかる!』、『お・り・が・み』、『戦闘城塞マスラヲ』、『レイセン』、『ヒマワリ:unUtopial World』、『ミスマルカ興国物語』は、世界観を共有している。2016年7月時点で「天界クロニクル」シリーズの累計部数は160万部を突破している。
ストーリー
ある日突然、借金のカタに悪の組織「伊織魔殺商会」の下っ端メイドとして働く事となった名護屋河鈴蘭。しかして不幸を身にまとう少女の正体は、祝福を受けた聖女であり、破滅と隣合わせな魔王候補だった。魔法や現代兵器に日本刀と何でも有りの非日常に巻き込まれていく先に、人間の代表として仲間達を率い、この世界を滅ぼそうとする「天」と対決する事となる。
登場人物
声の項はラジオドラマのもの。
伊織魔殺商会
名護屋河 鈴蘭(なごやかわ すずらん)
声:猪口有佳
本作の主人公。生まれてこの方不幸ばかり続く、薄幸の女子高生。本作は彼女が持つ、魔王候補にも聖女にもなりうる稀少な天性を巡る物語である。親戚中の借金(総額20億円)を抱え込まされ、肩代わりとして「伊織魔殺商会」の下っ端メイドとして働くことになる。
当初は「吾川」姓を名乗っている。これは孤児だった彼女が、借金と共に親戚中をたらい回しにされ、何度も姓を変えてきた過去による。作中では、「吾川」の前が「深山」、その前が「木野」だったと明かされている。物語中盤で伊織魔殺商会を退職した際、退職金代わりにと貴瀬が実母を見つけた為、最終的には実家である「名護屋河」の姓を名乗る。学校の成績は低いらしく、リップルラップルによれば数学の成績は「2」(カッコ(VZ)とは追試仲間)。後に魔王候補としてリッチ、ほむら、イワトビーを従え、彼らの指導で魔導力を扱えるようになり覚醒。その際、ゼピルムを壊滅させている。その後、鈴蘭が完全に闇に堕ちるのを防ぐ為、ショーペンハウアーにより正式に神殿教会に迎えられ、聖女となる。聖女就任に併せて、私兵として再編した新生ゼピルムを、協会の第十三聖騎士団として加え、世界を巡業する。しかし、その裏では未だに魔王候補の座を捨てていなかった。クーガーの死、そして世界の真理と不条理を目の当たりにしたことで精神的に成長し、性格が大きく変わっている。
最終的には現世界を保つ為、新生ゼピルムと神殿教会の一部を率い、新システムで世界を刷新しようとする「天」と対決、合わせて攫われた伊織貴瀬を取り戻そうとする。
最終決戦後、世界の方向性を決めた者の権限で、マリアクセルに分断された全世界を繋げ、更には「貴瀬と出会った日」から死んだ関係者を全て蘇らせる事を命じる。これはかなり無茶苦茶な要求だった為、代償として自らの内に秘める15の負位置の魔導力を全て失い、ごく普通の人間となった。しかし本人はそれすらも「問題ない、これからも楽しくなる」と一笑に付している。戦後、儚くも散っていった人々を甦らせた"聖女"であり、かつ人と魔の争いに終止符を打った前代未聞の"魔王"であることから「聖魔王」と呼ばれるようになる。だが、本人に曰く「力を失わずとも聖魔王として世界を支配する期間は五年間くらいのつもり」だったらしく、五年後には後継者を見つける為、「聖魔杯」を開催するつもりで、その大会の様子は『戦闘城塞マスラヲ』で語られている。ちなみにその準備はマリアクレセル等も手伝っている。
魔王としての力を失った為、数十年の命だと言われている。
ドクターの開発した神器「魔王の見えざる手(タキオン)」を扱う。
美人・美少女と言われる母親や妹の睡蓮と顔立ちはそっくりであるはずだが、何故か美少女扱いを受けない。第一巻では翔希に好意に近いものを持っていたが、翔希がレベル上げの修行をしているところなどを見てから以降はそういう描写はなくなっている。しかし、『レイセン』では、「翔希だけは一生憧れの先輩のまま」であり、長年憧憬の念を抱いていた事を告白しており、他の男性とは別格であることを窺わせている。
伊織 貴瀬(いおり たかせ)
声:小西克幸
悪の組織「伊織魔殺商会」の会長兼企画兼経理兼広報兼営業を勤める極悪非道な青年。その素性は関東機関最強の導化猟兵「E0」にして、神殺し四家の一つ、伊織家の当代。そして食欲魔人みーこの使徒である。愛称は「たぁくん」もしくは「いおりん」だが、この呼ばれ方をすると激しく怒る。その筋では「ミッペルテルト」と呼ばれている。男は総じてクソガキ扱い、女にはネコミミとメイド服を着用させたがるアレな人物。部下の全身黒タイツたちにストライキを起こされるなど、あまり人望はない。
鈴蘭に架せられた借金を払わせる為彼女を誘拐、伊織魔殺商会のメイドとして働かせ、果てにはアウターや魔人が蠢く裏社会に引きずり込む。つまり本編が始まる切っ掛けを作った男。E0だった頃にみーこに喰われて記憶を失い、彼女の使徒として仕える。しかし、彼女が自らを喰ったアウターであるという事を忘れている為(みーこも自身がアウターだという事やそれに付随する記憶を失っていた)、逆に仕えさせているという感じ。後の臨死体験でその頃の記憶を取り戻し、性格が豹変する。退会後の鈴蘭を再び引きずり込む為、私立開栄高校の美術教師「貴瀬伊織」として再度近付く。
その身に秘められた力を天に狙われ、イグドラシル・システムの中核とされる。フェリオールとは幼馴染み。
幼少の頃にみーこに気に入られた為、両親は全て喰われて伊織家当代にされる。そして黒龍の一片を埋め込まれて真性の龍撃手となる。その後何らかの事情でみーこと別れ、関東機関に入隊、E0となる。しかし再度みーこと遭遇、再び彼女に喰われて今度は自らの素性も全てを忘却する。しかし後の臨死体験によって記憶が戻り、自らがみーこの慰みの為だけに生かされた存在である事を思い出す。その為みーこを憎む反面、諦観からくる心の支えとしている。家族というものを持たないためか、密かに沙穂の事を妹のように思い大事にしている。
白井 沙穂(しらい さほ)
声:斎賀みつき
伊織が引き連れる、日本刀を提げた白髪眼帯のメイド少女。伊織は沙穂の事を「軍曹」と呼ぶ。
無口で無表情、一見すればクールだがその実は何も考えていないだけ。表情にしろ感情にしろ唯一反応を示すのは戦闘のみであり、「斬れ」と命じられたもののみを嬉々として斬りかかるという、かなりアレな人。眼帯に隠された右目には隔離世の景色を見る事が出来、干渉する事さえも出来る。
魔殺商会以前は関東機関の導化猟兵でコードE1(現EX)で、「軍曹」は所属していた頃の最後の階級。平常時の異常なまでの無反応は、人体改造による精神への影響が引き起こしたものだった。それ故に貴瀬(E0)と真琴(局長)の命令しか聞かない。『光の徒』でチャンに右目を貫かれ一時は絶命するものの、『澱の神』でドクターとリッチの手により、魔王鈴蘭の側近たり得る新たな『アウター』として改造された上で生き返る。その際に右目にたまっていた「わだかまり」のようなものが消えて異常なまでにハイテンションな性格になった(それを見たリップルラップルが鳥肌をたてながら震えるほど。しかし、それが本来の彼女の性格であるはずのものだった)。
決戦では、アウターの一人である水無月の時雨と単身で戦う。
『澱の神』の後日談では最終的に右腕を「ロケットパンチ」に改造されている。
みーこ
声:河原木志穂
伊織の屋敷に住む住人の一人。常に浮遊する謎のメイド美女。伊織の事を「たぁくん」と呼び、その度に怒られる。
その正体は、初代魔王の側近であり「食えぬものなし」と謳われ「億千万の口」の異名を持つ「億千万の眷属」の一人で食欲魔人。
生きる事、殺め続ける事に悲嘆し、自殺願望から神殺し四家を作った張本人でもある。過去に何らかの事情で「堕ち」て記憶を失い、伊織達との漫然とした生活の中で澱に沈んでいく筈だった。しかしその力を狙うゼピルムや神殿教会との戦闘で記憶が蘇り、本来の残虐なカミとしての性格となる。その時VZを自らの小姓にしている。伊織家の地下9階では最強クラスの魔物を従えており、戦闘では「億千万の口」の異名通り、眷属とした者達を「口」として操る。また神器「崩壊の鐘を打ち鳴らすもの」を持つ。記憶復活後は性格が一変し、1500万円の西陣織を貴瀬に買わせるなど主従関係がひっくり返っている。曰く根の国の大神タケハラスサノオの子孫、ミスラオノミコトヒメ。他のアウターの話で、以前は暴虐の限りをつくしていた。そのために、彼女を起こすことを他のアウターは嫌がっていた。
リップルラップル
声:あおきさやか
伊織の屋敷の住人の一人。異常に感情発露の乏しいメイド幼女。語尾に「〜の」とつく。
常にミズノ製の金属バットを持っており(天の門で金属バットを切断された後のエピローグでは木製バットを使用していた)、彼女曰く「打つ、叩く、殴る」の三位一体(結局、どれも同じ)。竜撃手の炎を打ち返し(チップだったが)、最強クラスの防御魔法を操り、ノエシス・プログラムを管理し、更にはみーこ達アウターから同等以上の存在として見られ、しかも初代魔王と同名らしい。神器「ヘブンズゲート」を操り、アウター級の魔人である事は確実だが、その正体は謎に包まれている。魔導力を使う時は髪と瞳の色が青く染まる。
その正体は、やりすぎたせいで三日でその座から降ろされた初代魔王であり、また、もともとは「天」に属する者で「天」の最高峰であるマリアクレセルの姉(マリアクレセルが言うには、地上に降りて帰ってこなかった職務放棄の放蕩フーテン娘)。
その正体から明らかなように、享楽的で残虐な一面を持つ。生きてきた年数は、二千年以上だが、生まれた(作られたとも言う)ときからその背丈で姿は変わらないのであまり関係ない。
ドクター
声:藤田圭宣
伊織魔殺商会に所属する謎の医師兼というより科学者。医療は勿論、人体改造や機械開発等、その得意分野は多岐に渡る。
無意味に叫びながら喋るが、それは本人がわざとやっている演技らしい、がそれを続けている内に馴染んでしまい、半ば素の状態となっている。現存するほぼ全ての神器の開発者であり、鈴蘭の「魔王の見えざる手(タキオン)」や、クーガーの「エーテル結晶」も彼の発明。人体改造では何かとドリルやロケットパンチなどを付けたがり、中でもドリルには異常なまでの執着を見せる。本人曰く「モテモテ回路」を組み込むからドリル人間になってもモテモテで問題なしらしい。そんな彼は、リッチと組み、とうとう死者蘇生の技術を開発する。携帯の着メロは「トランスフォーマー・コンボイの謎」のテーマ曲。
戦闘時にはドリルを使用する(能力はかなり高く、催眠効果らしきものまである)。
その正体は、葉月の雫と呼ばれるアウターの一人で、水無月の時雨の弟。
神殿協会
長谷部 翔希(はせべ しょうき)
声:私市淳
神殺しの一族、豪剣・長谷部の血を引く神殿協会の勇者。素直すぎる性格で騙されることが多いが、その素直さゆえに自分の正義を貫き通そうと、『外の姫』では昔の姉のように清廉で実直だったみーこに恋をし、彼女をかばって神殿協会と対立した。その性格は他のものから見て甘いところもあり、高位魔人に翔香を半ば人質に取られる状況になったところで、神殿協会と対立することすら厭わず姉の命乞いをした。
この物語では唯一登場する神殿協会の勇者。戦闘スタイルは、勇者だけが扱える高位魔法と剣による近接戦闘。神殿協会に勇者として選ばれたために、家の道場で修行をせず刀ではなく剣を取ったために長谷部の剣術を知らない(そのために、翔香が高位魔人を軽々と圧倒する力を持っていることを知らず、また、刀とは扱いが異なる剣に慣れきったために今月今夜をもらえなかった)。
『澱の神』ではエスティから貰った神器「黒の剣」に認められ、ほむらの腕を一太刀で斬り落としている。人間出身では最強ランクの筈なのに鈴蘭のパーティーでは実力は下の方。鈴蘭と同じ学校に通う三年生で欠席ばかりしているのに成績は上の中、にもかかわらず鈴蘭には馬鹿呼ばわりされることが多い。バイク好きで20年前に発売されたCBR400Fを解体屋から貰いうけ愛車としている。
一巻ではクラリカに鈴蘭のことをからかわれて顔を真っ赤にしたりと気があるともとれる表現があったが、最終巻では真琴に告白し、付き合い始めた。
クラリカ
声:富坂晶
神殿協会の異端審問会第二部のシスター。神威と称しながらも戦闘を楽しむ問題児だが、その実力は本物。鈴蘭と同じ学校に三年生の「倉 梨花(くら りか)」として潜入しているが、実年齢21歳。愛銃モーゼルと錫杖を使った魔法「斥波」で戦う。昔、修道院時代に猛吹雪の屋外で両手にバケツを持ったまま朝まで立たされるという「伝説のお仕置き」(通称:暁に死す)を耐え抜いたことがある。
幼い頃の境遇から父親を憎んでおり、それが信仰の柱でもある。それに反する理念を掲げたショーペンハウアーに対して神殿協会の信奉するところの「天」の眷族であり聖四天であることを知りながらも激昂して反抗した。その行動から、一度は、昇進の案も出たがその性格が問題児すぎるために却下された。
決戦の後は、フェリオールについていき、彼と伊織が立ち上げた会社の社員になる。その後、鈴蘭が復活させた魔殺商会の社員となる。
フェリオール・アズハ・シュレズフェル
ランディル・シア・エムネス
声:佐藤正治
神殿協会の4人いる枢機卿の一人。聖騎士団時代に異端者クーガーを倒したことから、80歳近い今もなお聖騎士からは「神威の雷光」と畏敬され、闇の者からは「裁きの稲妻」と恐れられている。エスティに唆され、鈴蘭のもつ魔王の力で神になろうとしたが失敗。その後、神殿協会の地下牢獄に閉じ込められクーガーから預言者の正体を聞かされる。『獄の弓』で他界するも、『澱の神』で復活。
マリエット
甲斐 律子(かい りつこ)
フローレンス・フリス・ラディス
神殿協会の16人いる司教の一人。大神殿の魔導理学部副部長で、第二聖騎士団を率いる。第二聖騎士団所有の、元アメリカ海軍エセックス級航空母艦を改装した強襲空挺艦「エンジェル・ストレージ」の設計者で司令。頭にはサイバーテイストたっぷりのヘルメット、腰にはキーボードという一味違う格好であるが見える部分からも美しいと予想できる整った顔立ちをしている。元々「エンジェル・ストレージ」は自身の目的であるヴァルハラへ魂を運ぶために作られた。かなりの自信家。発言には基本的に感嘆符がつく。
その正体は、アウターの一人でワルキューレ。もともとは北欧神話の勢力であり、ヴァハラへ運ぶための魂集めをしておりその目的に固執しているが他のアウター曰くヴァルハラはほかの異界同様に滅んでいるらしい。
復活してからは枢機卿に昇進したものの、船で資材運びをやらされている。運んでいるものの一部は新教皇である律子の我侭によるタコとおたふくソースらしい。
マリーチ
初代魔王の側近で「視えぬものなし」と謳われ「億千万の目」の異名を持つ「億千万の眷属」のひとりで視姦魔人。元々は聖四天の一人で現在は神殿協会の頂点に立つ預言者。愛称は「マリーちゃん」。
心を覗き込むこともでき、必要とあれば相手の心になんらかを投影することもできる。そのレベルは相手の五感にまで影響するほど。マリーチの持つ神器「崩壊の鐘」は、ミーコの持つ「崩壊の鐘を打ち鳴らすもの」とは元々一つのもの。過去クルト・ゲーデルに屈辱的な敗北を喫して以来、視る精度が落ち度々誤った結果を視るようになる。眷属に通称「ラプラスの悪魔」がいたが、ハイゼンベルクの不確定性原理に打ち払われている。先読みの魔女であるセリアとのコンビは最強。
最終的に、堕ちて以前のミーコのようにすべての記憶を失う。
最初は聖四天の一人であったこともあり善良な性格であったが、ねじ曲がって今の性格になってしまった。
ショーペンハウアー
アンドリュー
ゼピルム
エルシオン
VZ(ヴィゼータ) / 高木 嘉子(たかぎ よしこ)
ゼピルム最高幹部の一人にして鈴蘭の親友である高木 嘉子、通称カギ・カッコ。ピンクのダテ眼鏡とリボンでまとめたツインテールで変装している。高位魔人で美少女。ネコ語のようなものを喋る。常に騒がしいお調子者だが、レイピアを最高秒間1024回繰り出せるという実力の持ち主。
当初は自身のことを含め高位魔人のことをアウターと呼んでいたが、真のアウターの存在を知り改める。みーこと対峙し、敗北。その後、みーこ専属のメイドにさせられ、正体も鈴蘭にバレる。
第二次大戦後の生まれで魔人にしては若い方。新生ゼピルムではステルス戦艦「地獄を解放する者(ヘルズゲート・アタッカー)」の艦長になるが、エスティ帰還後は鈴蘭と乗員の総意により降格し戦闘隊長を命じられる。『澱の神』ではアウター同士の戦いを目の当たりにし真のアウターとなることを誓い、わずかだがリッチの指導を受けるも、直後にワルキューレの裏切りで二人が消滅する様を目撃する。
終戦後は魔人らしく暮らすと言い、みーこに付いていった。
本作から数百年後の未来が舞台であるミスマルカ興国物語では、彼女と同じ業を使える王家が登場する。
その際に「『億千万の刃』と謳われたアウターが伝えた」と説明されていることから、後に高位のアウターとなった可能性がある。
マニホルド=エスティ
ゼピルム最高幹部の一人。蓮華王の使徒。無数の見えざる手(多管手構造)を操る。かつて鈴蘭の母であるすみれに請われ、鈴蘭が入所していた孤児院に勤め見守っていた鈴蘭にとって思い出のお兄ちゃん。ゼピルムの構成員からは絶大な信頼を寄せられている。時々無茶な命令を出し、乗員の肝を冷やしている。みーこが言うには旬の過ぎた男。すみれを誘拐し、鈴蘭を懐柔できず腹をぶち抜かれ艦から落ちたが後に生きていたことが発覚する(とは言っても、鈴蘭は半ば予想していたようだが)。『光の徒』でリップルラップルにアウターと認められる。作品中を通して度々暗躍するが、最終的には鈴蘭の魔王の資質を理解し、「地獄を解放する者」の艦長として鈴蘭を援護することとなる。
ベルロンド
関東機関
飛騨 真琴(ひだ まこと)
香良洲 菊人(からす きくひと)
神殺し四家
名護屋河 睡蓮(なごやかわ すいれん)
『獄の弓』から登場した鈴蘭の妹。菊が他界後、鈴蘭に名護屋河の業を伝えるため上京したが、鈴蘭が放棄したため本流・名護屋河の当代となる。意外に天然。常に巫女服を着用している。礼儀にも煩い。しかし極度の方向音痴。弓の達人で、常識では考えられないことを平気でやってのける。鈴蘭よりも裏世界のことに詳しいが現代の世情や常識には疎い。顔立ちは鈴蘭と瓜二つなのだが、なぜか彼女のほうが可愛いと言われる。スタイルも妹の彼女の方が優っている。やや真面目すぎるきらいがあり、翔希などは鈴蘭と比べあまり仲が良くない。
弓の腕や潜在能力も相まってその戦闘力は恐ろしいほど高く、名護屋河家最大奥義「炎獄、綿貫き」でアウターであるほむらをも殺している(とは言え、既存の術に縛られず瞬間移動など巨大な力を行使する鈴蘭には及ばない)。
終戦後は翔香のいる宮内庁神霊班に所属し、ほむらを従えている。元々頭がいいのか事務仕事はよく覚える。
名護屋河 すみれ(なごやかわ すみれ)
名護屋河 菊(なごやかわ きく)
長谷部 翔香(はせべ しょうか)
翔希の姉。表向きは郵便局員で長谷部家の道場の師範代だが、実際は宮内庁神霊班副長に所属し「鬼姫」の異名をもつ。『外の姫』で神剣とも呼ばれる神器「今月今夜」と長谷部家の当代を継いだ。かつて指定一号殲滅任務第〇四三〇八号作戦に貴瀬、沙穂と共に参加していた過去を持つ。並みの魔人など相手にならない実力者だが、自分からは戦いに参加しない。沙穂の剣術の師でもある。また、初戦がみーこであったため全ての魔人がみーこレベルのアウターであると思い込んでいる。『光の徒』ではリリムの手足を普通の刀で断ち、チャンの腕も斬っている(普通の刀であるためにあくまで彼女自身の実力による)。そのことや、主力戦力としてみーこを追い詰めたことからかなりの実力の持ち主であると思われる。
以前は実直で清廉潔白であったが、みーことの戦いの後からか性格が変わった。
翔希に対しては、色々と手を回し、隠していることも多い。自分を人質に取られ翔希が簡単に屈したときには厳しい言葉を浴びせた。
長谷部 轟希(はせべ ごうき)
天
マリアクレセル
円卓
イワン・トビノフスキー
氷帝。伊織の屋敷の地下迷宮に住む巨大な皇帝ペンギン。愛称はイワトビー。鳴き声はかなりグロテスク。
後天的にアウターまで上り詰めた鳥型の魔人で、古くは南極大陸を支配しリョーシヤ帝国を築き、支配していた剛の者。その意思はテレパシーの様に意思に響く仕様となっており、その言葉が分かるのは鈴蘭や貴瀬、同位のアウターやそれに近い存在だけである。人間、又はそれに似た外見の存在を非常に嫌っていて、円卓の規律さえなければ何度でも絶滅させてやりたいと思っている。「氷帝」の名を冠する程強力な凍結能力の持ち主と言い伝えられているが、リップルラップルによると厳密には凍結ではなく、周囲の物体を原子や分子の運動を止める能力であるらしい。みーこに帝国と一族を滅ぼされている。
「天」との最終決戦には一切興味を抱かず参加していない為、最終巻では蚊帳の外。
リッチ
不死身王。伊織の屋敷の地下迷宮に住む紳士然とした骸骨。人と対話する事が出来る超高位ワイトであり、またあらゆる死者を使役し、末には死んだ自分すらも蘇生したと謳われる伝説の暗黒魔導師。その力は強大を極め、伝説級の大規模魔法を連発し、亡者達の連続召喚・再生をこなし、更には本来ワイトでは存在する事も難しい空中に浮遊し、全力を出し切れずとも自分と同等以上のアウターと互角に渡り合う程。本来その高い知性と温和な性格から伊織の屋敷に住むアウター達の代表格として表に立つ事が多い。より強い力を望んだ鈴蘭に魔力の扱いを教えたのもリッチである。ただ同時に、死者を死したままにすることを許さず自身の眷属として永劫縛り付けるアウターらしい側面も併せ持つ。同じく死者を集めるアウターであるフローレンス・ヴァルキュリアとは旧知の仲で、かつては死者の魂を奪い合った。みーこに殺された。最終決戦では、アラン・マクレガーを倒すも、共闘していたフローレンス・ヴァルキュリアの不意打ちを受け、溜め込んだ死者たちの魂を解放することで相打ちカッコの前で消滅する。
終戦後は関東機関の一室にてドクターの協力も得ながらアランを人間にする研究を継続している。
ほむら鬼(ほむらおに)
獄卒。通称「ほむらさん」。伊織家の地下6階で「火龍」の番人をしていた赤い目の男。獄卒を自称するが、その正体はアウターの中でも最大級のパワーを持つ鬼神。本人曰く、イザナギを追った八柱の雷神の一人、炎雷(ほのいかづち)。飄々としつつも達観したその性格は鈴蘭や翔希の尊敬を得ていた、が実は人間を家畜同然に見下げ果てている真性の「鬼」。リップルラップル曰く「人が正しいと思えるのは、人がそれ以上の力を持ってはいけない」という所までで、鈴蘭達の知っているほむら鬼はその部分までしか口にしていなかったほむら鬼だった。彼にとって人間とは自分の力の前に喘ぎ悶え、苦しんだ末に喰われるべき存在であり、そんな人間が鬼以上の力を持つ事を良しとはしない、というか鬼以上の存在を認めないある種の種族至上主義なので「天」との最終決戦でも鈴蘭達には味方せず、鈴蘭やそれに加担する者達を喰い殺すまで、という条件で「天」に味方する。喰い殺した後は「天」の者達も喰い殺す気でいたようだ。睡蓮、翔希、リップルラップル、フェリオールの4人を相手に死闘を繰り広げるも、最期は睡蓮の綿貫を食らい死亡。
鈴蘭の我侭による蘇生後は、式神として睡蓮に仕える。
水無月の時雨(みなずきのしぐれ)
アラン・マクレガー
通称「おかしな者」「ラメ入りペ○シマン」。南北アメリカ大陸連合国陸軍第一特殊機械化兵団所属シリアルMAM224318。階級は少尉。時空の果てから迷い込んだ命無き異界の旅人。秒間二万発を超える打撃能力と、全身に散らばった65536個のコアのマイクロ秒単位の相互補完の再生速度による驚異的な再生能力が特徴。『澱の神』では正気を失い友人のリッチと戦うが、フローレンスとVZ、さらにメタルストームの一点集中攻撃により破壊される。総活動時間は143010036801秒。終戦後、生き返り(?)日々人間になるためにドクターとリッチに改造手術を受けている。しかし、失敗続き。その失敗に起因するトラブルは手術場所を提供している関東機関にとって恒常化しており、「2000年問題」の符丁で呼ばれている。関東機関の人間いわく、「2000年問題さえなければいい人」。
マーラー
龍
火龍(ゲリアキスク)
飛龍
光龍
その他
那田 蒼一郎(なた そういちろう)
セリアーナ
『正の闇』から登場したクーガーに懐いているSランクの魔人の少女で「先読みの魔女」。愛称は「セリア」。リップルラップルの友達で、正体は金毛九尾。まだ幼いため尻尾が3つしかない。金毛九尾はとっても偉いらしい。日本にはクーガーに会うために訪れた。狐の耳とは別に人間の耳もちゃんとある(貴瀬に頭蓋骨に4つ穴が開いていると言われショックを受ける)。彼女に憑かれる(「お憑れさまですーっ」が合言葉)と無気力になり、油揚げやきつねうどんなど脂っこいものが無性に食べたくなる。無気力にさせる能力はみーこを始めとした伊織家のアウターや聖四天であるショーペンハウアーにさえ作用する。アウターとして絶大な力を誇るため、鈴蘭の代わりとなりうる魔王候補としても目されていた。クーガーが鈴蘭に殺された際、自分の尻尾を1つ切って御印にし、自分も共に死んだことにした。その後は新生ゼピルムで鈴蘭と共に行動している。終戦後はやはりクーガーと共に行動し、マリーチに付き添っている。
イフリート
リリム
スピアー
用語
種族
魔人
強力な存在になると、その魔導力により瞳が赤く光る「魔洸」という現象が発現する。
導化猟兵
雑種
アウター
天とは逆の、魔の最高峰とされているが、実際は殆ど差異の無い同系の種族である。これらが天と魔に分かれるに至ったのは一重に個人の性格であり、世界を暴れ回って荒廃させ、人を虐殺して嬲る事を嗜好する凶悪な性格をした者達がアウターに分類され、そうではなく人を管理して幸福で世界を満たそうとする者達が天となった。この世界にやって来ている以外にも同等かそれ以上の力を持つ者達もいるが、そうした者達の全ては人間に絶望するか逆に信じきることで身を引き、自らの世界とこの世界の繋がりを断って引き籠っている。
龍
組織・集団
伊織魔殺商会(いおりまっさつしょうかい)
設立の理由は翔香から「翔希にとって都合の良い敵役となって欲しい」というものだった。翔香にとって翔希は神殺し四家という因果の中に唯一見出した希望であり、彼が挫折や気兼ねをする事無く、強くなってもらいたいという思いから、強い力と極悪な性格を持つ伊織に悪の組織となる事を頼み込んだ、らしい。しかし、伊織自身は悪行をかなり楽しんでるようだ。
神殿協会(しんでんきょうかい)
ゼピルム
新生ゼピルム
関東機関
神殺し四家(かみごろしよんけ)
四家の仲は相当悪い、というか本流である名護屋河が傍流である長谷部、天白、伊織を毛嫌いしているようだ。長谷部、天白の能力継承は業を伝えるのみだが、本流・名護屋河家は親が子を産む際に自身が鍛え上げた力を受け継がせる。そのため次代となる子の力は先代の力を基点とし、それを更に高めることで実力を上げ続けるという一種のショーカットを行っている。「まさに神器が意思をもっている様だ」というのはエスティやみーこの言。なお天白家は物語開始時点では既に業を絶やしており、一般社会に下っている。
その起源は、虐殺や長命に絶望して自殺願望を抱いたみーこが自らを殺させる為に作った、一種の改造人間の末裔。みーこを殺すのは名護屋河、長谷部、天白の課せられた役目で、伊織家はそれらがみーこを殺せるだけの時間を稼ぐ為の存在である。そのため伊織家は血筋ではなく、みーこが気に入った人間が当代となり、その姓名を冠するので厳密に言えば伊織家には一族はなく、当代しか存在しない。
木島連隊
猟科教連
天
円卓
エンジェルセイバー
クルースニク
神器
魔王の見えざる手(タキオン)
その後の『外の姫』にて、手袋型の強度不足を受けてドクターがガントレット(籠手)型の神器として製作し鈴蘭に与えられた。鈴蘭の絶大な魔力でもって彼我の位置関係を無視した強烈な一撃を叩き込む。『澱の神』では、クーガーの形見となった「エーテル結晶」を甲に追加している。最終決戦においては三段階のオーバーロードによって、時間さえも逆行してアペイロンを貴瀬から引き剥がした。
今月今夜
黒の剣
ドクターの作でない例外的な神器の一つ。
ミドガルズオルム
崩壊の鐘を打ち鳴らすもの
崩壊の鐘
稲妻の白(サンダラーズ・ホワイト)
エーテル結晶
千変万化(サウザンドアームズ)
ヘブンズゲート
武器・道具など
伝導ガン
魔導皮膜(マジックコーティング)
断導弾
三型具象神意
サン・グロモンティスク・アリナミナリポ・ユンケリズム・リアルタフマZ(ヅィー)
計画
ノエシス・プログラム
その詳細はたった数十ページの冊子でまとまる程度のアウター達の間で結ばれた規約で、「暴れ過ぎない」「人を殺しすぎない」「暴れる奴がいたらみんなで止めよう」が主な内容。リップルラップルに曰く「暴れたり人を虐殺したり、そんな楽しい事は独り占めにはさせないの」らしい。
そのための状況判断の基準として5段階の状況が設定されており、「円卓が動くまでもない平和な状況」をDとし、「強力な魔物や魔人が本気で暴れている状況」をC、「龍害」をB、「円卓の誰かが暴れている状況」をA、「天の介入」をSとして定めている。
イグドラシルシステム
既刊一覧
- 林トモアキ(著) / 2C=がろあ〜(イラスト) 『お・り・が・み』 角川書店〈角川スニーカー文庫〉、全7巻
- 「天の門」2004年6月30日発売、ISBN 4-04-426604-2
- 「龍の火」2004年10月30日発売、ISBN 4-04-426605-0
- 「外の姫」2005年2月26日発売、ISBN 4-04-426606-9
- 「獄の弓」2005年7月30日発売、ISBN 4-04-426607-7
- 「正の闇」2005年12月28日発売、ISBN 4-04-426608-5
- 「光の徒」2006年2月28日発売、ISBN 4-04-426609-3
- 「澱の神」2006年6月30日発売、ISBN 4-04-426610-7
Webラジオ
『お・り・が・み ステーション〜悪の組織ラジオ』というタイトルで、?にて2006年10月6日から10月27日までに配信された,全4回。パーソナリティーは猪口有佳(名護屋河鈴蘭 役)、小西克幸(伊織貴瀬 役)。
- 第1回配信:10月6日から
- 『下僕トーク(1)』+ドラマact.1 魔殺商会
- 第2回配信:10月13日から
- 『下僕トーク(2)』+ドラマact.2 入社案内
- 第3回配信:10月20日から
- 『下僕トーク(3)』+ドラマact.3 対決
- 第4回配信:10月27日から
- 『下僕トーク(4)』+ドラマact.4 澱の神々
- 『下僕トーク(1)』+ドラマact.1 魔殺商会
- 『下僕トーク(2)』+ドラマact.2 入社案内
- 『下僕トーク(3)』+ドラマact.3 対決
- 『下僕トーク(4)』+ドラマact.4 澱の神々