プラモ狂四郎
以下はWikipediaより引用
要約
『プラモ狂四郎』(プラモきょうしろう)は、クラフト団とやまと虹一による日本の漫画。
『コミックボンボン』(講談社)1982年2月号から1986年11月号に連載された、やまとの代表作である。
単行本は講談社ボンボンKCにて全15巻、再版として愛蔵版全11巻、ボンボンKCDX版全6巻、KPC版全13巻が刊行された(いずれも絶版)。2008年より、講談社漫画文庫版として刊行。
概要
ロボットアニメのプラモデルが大好きな少年・プラモ狂四郎こと京田四郎は、プラモデルを本物さながらに戦わせることができる「プラモシミュレーションマシン」でライバルたちとプラモデルを仮想空間で戦わせ、次第にモデラーとして成長していく。続編に『新プラモ狂四郎』や『超戦士ガンダム野郎』などがある。
当初、講談社サイドは新創刊の『コミックボンボン』の目玉として、劇場版『機動戦士ガンダム』の漫画化を企画していたものの、日本サンライズ(当時)から許可が下りずに断念、それに代わる次善の策として安井尚志(本作の原作者・クラフト団のひとり)が提案したものが本作である。また、ボンボンで編集長を務めた元講談社の池田新八郎は、創刊当時のボンボンはジョージ秋山の『スパットマンX』を中心に据える予定だったが、創刊号の巻頭で特集を組んだガンダムのプラモデル(ガンプラ)特集が読者アンケートで1位を取ったことで、ガンプラを軸とした漫画を連載したい旨を安井に持ち掛けたことがきっかけだったと語っている。第1話は読者アンケートで3位、第2話以降は1位を取るようになった。本作の連載が始まったボンボン創刊3号からボンボンの発行部数が伸び始め、創刊号が15万部だったのが1年後には50万部に達し、「ミラクル」と言われたという。本作は当時の講談社KCコミックスの売り上げ1番にまでなった。
「プラモや玩具をシミュレーション世界で戦わせる」という設定は、この作品以降、さまざまなホビー漫画で見受けられるようになっていく。さらに現実のコンピュータシミュレーション能力の向上やバーチャル・リアリティ、3Dスキャニングなどの技術の進歩により、本作同様のプラモシミュレーションを実現させる試みも行われている(後述の#本作の与えた影響参照)。
主な登場人物
声優はSDガンダム GGENERATIONシリーズのもの。
京田四郎(きょうだ しろう)
声 - 松本梨香
主人公。通称プラモ狂四郎。万代小学校に通う小学生で、父・母・妹の四人家族。市次郎(父)と三代(母)の間に生まれたので、長男であるにもかかわらず四郎と名付けられた。プラモデルが大好きで、中でもとりわけガンダムが大好き。行きつけの模型店「クラフト・マン」のマスターに誘われたことがきっかけでプラモシミュレーションを始める。模型製作の腕前は、最初はパーツの合わせ目も満足に消せない稚拙なものであったが、マスターやストリームベースをはじめとする周囲の助言や特訓、そして四郎自身の努力もあってめきめきとその腕前を上げていき、後には自身の代名詞ともいえるパーフェクトガンダムをはじめとする、数々の傑作モデルを生み出していった。またプラモシミュレーションのプレイヤーとしても、多くのライバルたちといくつものバトルを重ね、いつしか日本を代表するプレイヤーとなっていく。
『新プラモ狂四郎』では健やサッキ―と共にコンピューターソフトで大成功を収め、大日本造形学園を設立するが、イベント用に造った影武者ロボットに学園を乗っ取られる。
名前は眠狂四郎から付けられており、「プラモ狂(の)四郎」とのダブルミーニングとなっている。
倉田太(くらた ふとし)
模型ショップ「クラフト・マン」の店長。四郎たちからは「マスター」と呼ばれている。恰幅の良い体格で、ユニオン・ジャック柄のエプロンがトレードマーク。同じように恰幅の良い奥さんとみどりとの3人家族。人当たりが良く、誰とでも公平に付き合う。四郎とは時に優しく、時に厳しく接し、信頼と思慕を置かれる間柄。モデラーと店の2階にプラモシミュレーションマシンを設置している。最終回でプラモシミュレーションマシンを封印、『新プラモ狂四郎』では「河童堂」、『プラモ狂四郎1999』では「長年の夢」という骨董屋の主人となっていたが、マスターグレード・パーフェクトガンダムの組立説明書内の読切漫画では、骨董屋の隣に再び模型店を開き経営していた。
倉田みどり(くらた みどり)
マスターの1人娘。マスコット的存在。女の子ではあるが模型店の娘ということもあり模型製作も普通にこなすが、ガンダムをはじめとするサンライズロボットアニメ好きの狂四郎たちとは異なり、第2話で主人公のマリンに女性ファンが多かった『宇宙戦士バルディオス』のバルディオスを、プラモ合宿の時にはアムロ・レイのフィギュアを改造して近藤真彦(マッチ)のフィギュアを作っていた。時にはシミュレーションバトルにも参加する。時たま店の手伝いで、星条旗柄のエプロンを着けて店頭に立つこともある。シミュレーションバトルでは勝った描写がなく、健とキー坊が離脱してしまった際、ワールドシミュレーション大会参加を「足手まといだから」という理由で自ら辞退している。
『新プラモ狂四郎』では高校生になっており、制服を着た姿で登場する。
名前はかつて存在した模型メーカー、緑商会から。
丸山健(まるやま けん)
四郎の親友。いつも迷彩服を着ている。父・母・兄の四人家族で、和風の四郎宅に対し彼の家は洋風で、かなり裕福であることが作中からうかがえる。序盤はライバルとして四郎と競い、中盤では四郎の良きパートナーとしてシミュレーションバトルで活躍。薩摩模型同人会との対決後に父親の仕事の都合でアメリカに引越すが、現地で四郎のライバルであるサッキー竹田と接触。ワールドシミュレーション大会の前に、再び強力なライバルとして四郎の前に立ちはだかる。その後、模型秘伝帖を賭けて行われた関ヶ原ウォーズで山野辺を闇討ちして、彼に変装して参加。終盤戦で山野辺に変装していたことを明かし、サッキーの汚いやり口に愛想が尽きていたことを彼の目前で告白し、四郎との友情を復活させてサッキーを撃破した。
『新プラモ狂四郎』ではアメリカで四郎やサッキ―と共にコンピューターソフトを開発して大ヒットさせるが、サッキー共々四郎の影武者ロボットに洗脳されていた。
名前は、国産最初のプラモデルを発売したマルサン商店から。
木田晃一(きだ こういち)
富田(とみた)
山根アキラ(やまね あきら)
太陽模型店を拠点とする模型集団「プラモ帝国エンペラー」のリーダー。最初こそ敵意をむき出しにしていたが、プラモ合宿で四郎との対戦後、「エンペラー」所属からは唯一、四郎達の心強い仲間としてシミュレーションバトルで活躍する。その反面、四郎に勝ちたいというライバル心を抱いており、四郎の仲間になってから彼に勝利した唯一のプレーヤーでもある。主にグフ、ハイザック、ズサなどジオン系MSを扱う。ホビートピア編では、ホビートピアの従業員共々捕らえられてしまい、メインコンピューターによって作られた彼自身のホログラフィー、ダミーロボットで四郎に襲い掛かる。彼本人も、四郎に助けられ、マスターと共に事件解決に協力する。
村岡(むらおか)
藤井弘(ふじい ひろむ)
岩城鉄夫(いわき てつお)
景山姉弟(かげやましてい)
姉の藤美(ふじみ)と弟の陽(よう)の姉弟。姉の藤美は美人だがヒステリックな性格。オフロードバイクを駆る男勝りな行動派でもある。弟の陽は中学生ながらスケールモデラーとして名が通っており、シミュレーションバトルで四郎に初めて土をつけた。四郎の初期におけるライバルとして、その後もことある毎に登場していたが、ワールドシミュレーション関東大会の1回戦で敗退以降、出番がなくなってしまった。姉弟ともに当初はスケールモデラーとして登場、特に陽はアニメモデルを見下したような発言が目立ったが、シミュレーションバトルにおいて、藤美が「アニメ軍対スケール軍」という戦いにもかかわらずアッグガイを使用したり、別の戦いにおいては藤美がゴッグで、陽に至ってはマッケレルをフルスクラッチして四郎に挑んだりするなど、アニメモデルを全く作らないわけではない。
蔵井明市郎(くらい めいいちろう)
ウォー・シミュレーションゲーマー。蔵井財閥の御曹司。シミュレーションバトル時にはナチスドイツの軍服を着て登場した。四郎にプラモシミュレーションで挑戦し、第二次世界大戦時のドイツ戦車部隊を指揮して一度は敗北寸前まで追い詰めるも、ジェットモグラの前に敗北する。その後もジオン少年隊を組織して四郎にけしかけ、罠を張ってパーフェクトガンダムをバラバラにしてしまうなど非常に執念深く、自らの勝利のためにはどんな卑怯な手段を使うことも厭わない。そのため、シミュレーションゲーマーやモデラーの間でも評判は悪く、「風上にも置けない奴」と嫌悪されている。またロリコンの傾向があり、みどりに対してただならぬ興味を示していた。模型秘伝帳編ではサッキー竹田に操られ、「変形仮面」として登場した。
南郷快山(なんごう かいざん)
天満三兄弟(てんまんさんきょうだい)
長男・小郎太(ころうた)、双子の次男・五郎太(ごろうた)、三男・太郎(たろう)の三兄弟。忍者の末裔であり、運動能力は高い。四郎の噂を聞きつけて大阪から四郎に挑戦、対決後はさまざまな面で四郎たちに協力する。実家は大阪のお好み焼き屋。主にザクキャノン、デザートザク、サイコミュ試験型ザクなどMSV系のMSを扱う。劇中においては、四郎が次に対戦する予定の強豪と戦って惨敗するという損な役割を度々あてがわれている。「関ヶ原ウォーズ」では、小郎太は1/144ネモ、五郎太は1/144ジムII、太郎は1/144マラサイを使用。小郎太と五郎太は「模型秘伝帳・土ノ巻」を活かした増加装甲を付けていた。しかし、太郎は開始早々、不運にもサッキー竹田のパーフェクトジオングMK-IIに遭遇してしまい、わずか数コマで破壊され、最初の脱落者となる。
名前はボンボンの競合誌、100てんコミック(双葉社)、コロコロコミック(小学館)から。
阿野世清四郎(あのよ きよしろう)
人呼んで「アニメの清四郎」。南町でアニメのセルや設定資料を売っている店「アニメショップゼロ」の代表となり、ワールドシミュレーション関東大会に参加。モデラー仲間でも名の通った「ヘビー鶴田」「タイガー佐山」の2人を金銭で雇いチームに引き入れ、彼らにシミュレーション用のプラモを作らせていた。1回戦で景山姉弟に土をつけたのは彼のチームである。モチーフはRCサクセション時代の忌野清志郎。
『機動戦士ガンダム』を「神聖なるアニメの傑作」とあがめ、それゆえに原作にはないパーフェクトガンダムを勝手に創造した四郎を憎んでいた。関東大会決勝戦では3人とも1/144ドムを使用。ジェットストリームアタックを再現して苦しめるも、二度目は通用せず「ジェットストリーム返し」を食らい隊列を乱される。最後は四郎の1/144パーフェクトガンダムIIIに一刀両断にされ敗北した。
牛若三兄弟(うしわかさんきょうだい)
茂合岩男(もあい いわお)
ティータイムズ
サッキー竹田(さっきー たけだ)
声 - 森川智之
アメリカ人で日系2世の天才モデラー。彼の父・精作は倉田や村岡の大学時代のプラモ同好会の先輩でプラモシミュレーションの原型を作った人物であるが、渡米後に事故死してしまった。アメリカの特撮映画を研究してプラモ製作に応用した彼の模型製作のテクニックは、アメリカモデラー大賞を受賞するほど優れたものであるが、性格は非常に自己顕示欲が強く、傲慢で利己的。他人を自分のためだけに使い捨ての駒として利用することも全くためらわない。また電子工学にも長けており、初登場時にはプラモデル破壊されるとプレイヤーにもダメージを与えるという危険極まりない携帯プラモシミュレーションマシンを携えて来日し、天満兄弟を病院送りにした。四郎のパーフェクトガンダムと死闘を繰り広げ敗北し、四郎と「もう一度初心に帰ってお互いに頑張ろう」と約束したらしいが、その後もほぼ全編を通じて常に最大・最強・最悪の敵として四郎の前に立ちふさがる。ジュンという名のガールフレンドと、サッキーファイブと称するモデラー集団を従えている。
本編終了後は四郎たちと仲間になり、 『新プラモ狂四郎』ではアメリカで彼らと共同で製作したコンピューターソフトを大ヒットさせているが、健と共に四郎の影武者ロボットに洗脳される。
名前は、SFライターで特撮専門雑誌『宇宙船』の中心人物であった聖咲奇(ひじりさき)から付けられており、さらにサッキーファイブのメンバーの1人である山野辺は、当時聖の書生をしており後にプロモデラーとなった一戸寛の名前を転じたものである。
山野辺(やまのべ)、宮間(みやま)、岡田(おかだ)、西脇(にしわき)、菊地(きくち)
三戸広右衛門(みと こうえもん)
金角、銀角(きんかく、ぎんかく)
江原飛人(えばら ひっと)
番外編『狂四郎VS.飛人』で登場。四郎のいとこで、『コミックボンボン』の兄弟誌『テレビマガジン』にて当時連載され四郎もレギュラーキャラで登場しているホビーバトル漫画『ホビーボーイ飛人くん』の主人公。四郎譲りのガンダム好きで、ガンプラだけでなくガンダム関連の玩具にも詳しい。まだプラモが作れないため、プラモシミュレーションでは主に玩具を用いて参加、クローバーから発売されていたガンダムのダイカストトイで四郎のプロトタイプガンダムと対決したり、バンダイから発売されていた電子ゲーム『FL 機動戦士ガンダム』と森永製菓から発売されていたガンダムチョコスナックのおまけプラモを使ったシミュレーションバトルで、四郎に戦いを挑む。
続編『新プラモ狂四郎』にも登場、幼年時代に比べると肥満体形になっている。当初は二代目プラモ狂四郎を名乗っていたが、主人公・新京四郎(あらた きょうしろう)のパートナーとして活躍。闇の生徒会長との最終決戦の際は四郎の愛機であったパーフェクトガンダムを駆り、闇の生徒会長の刺客相手に果敢に戦った。
登場するプラモ一覧
狂四郎サイド
ガンダム
RX-78-2ガンダムに限らず、四郎はガンダムMk-II、Ζガンダム、ΖΖガンダム、ザブングルタイプ、ダンバイン&ビルバイン、スコープドッグ、バイファム、エルガイムMk-IIにも搭乗している。
ジェットモグラ
パーフェクトガンダム
ショルダーキャノン、右腕部固定式の2連装ビームガン、左腕部固定式のシールド裏側にビームサーベル3本と機雷投下装置という各種武装を備え、肩部・胸部・腰部・下足部に増加装甲を装備する。サッキー竹田との戦いで初陣を飾り、後に装甲を脱着可能にするなどのリファインを経て、永く四郎の愛機として活躍している。原案は板野一郎、クリンナップはやまと虹一。また、MSVとしてプラモデル化される際に小田雅弘によってデザインがリファインされており、ワールドシミュレーション大会編の前後で細部デザインが若干異なる。
なお、このパーフェクトガンダムが登場したあたりから、本作品登場のプラモは大改造を施したものやフルスクラッチが多く登場するようになり、本来の「プラモで遊ぶ」という感覚から徐々に離れていくことになる。
パーフェクトガンダムII(フルアーマーガンダム)
パーフェクトコンバットビークル
パーフェクトガンダムIII(レッドウォーリア)
ガンキャリアー
ヘビーガンダム
武者ガンダム
オリジナルΖガンダム
模型秘伝帳編の対ミャオ(アイドルグループ「ティータイムズ」の一員)戦に使用。必殺技はビームヌンチャク。シミュレーション自体は勝利したがテレビ放送時はミャオが勝った形に改竄されていた。
ハイザック
モビルアニマル
武者ガンダムMk-II
胴体内に小型充電器を内蔵しており、頭部の角からは電撃攻撃が可能。ホビートピア編でも登場するが、活躍の場が見られずゴステロ率いる死鬼隊のSPT(MF)の集団攻撃を受け大破してしまう。
武者Ζガンダム
メタル武神
HCMパーフェクトガンダム
ライバルサイド
パーフェクトジオング(足付きジオング)
山之辺専用ザク(バーニア付ザク)
MS-06R 高機動型ザクII
パーフェクトザク
後に林のパーフェクトドム(ドムトロピカルタイプの右肩にキャノンを装備)、渡辺のZタイプザクと共に千田が搭乗したが、ストリームベースとの特訓で技量を上げた四郎のフルアーマーガンダムにリベンジを果たされる。
セミアーマードガンダム
ゴッドタイガー
プラモ魔神
義丸専用 高機動型ゲルググ
ブラッディ・マリー(デビルガンダム)
木製ガンダム
ゾンビ合体オモロイド
モビルトルーパー
パーフェクトジオングMk-II
デビルチェンジグフ
ブルグレン
ダルジャン&ガッシュラン&エルダール&ダンコフ
ΖΖΖ(トリプルゼータ)ガンダム
ドクロタイプザク
その他
ダイカスト製ガンダム
自動操縦戦車
改造内容は装甲の傾斜装甲への変更、エンジン及びトランスミッションの強化、サイドスカートの追加など。また、武装として主砲の他に、砲塔両脇に6連装ミサイルポッド、砲塔上部に3砲身ガトリング砲が追加されている。
万代町で暴れまわり、61式戦車からなる陸自の防衛線を突破したのち、万代小学校前でマスターが開発したプログラムによって実体化した四郎のスコープドッグ及び山根のスタンディングトータスと交戦する。強固な装甲で四郎たちを苦戦させるが、弱点である赤外線暗視装置を破壊されて倒される。
実際はマスターが開発した実験用プログラムによるもので、一種の夢オチであった。上記のようにプラモデルではないが、一応ここに記載する。
作品内に登場した実在のモデラー
本作には四郎のアドバイザーや先生として、実在のプロモデラーが数多く登場している。彼らが実際に製作してボンボンに掲載したモデルやディオラマ、製作技術などは、本作中にもさまざまなシーンに盛り込まれている。
ストリームベース(小田雅弘・川口克己・高橋昌也)
大津好満
小澤勝三
速水仁司
プラモシミュレーション
本作品は、そのほとんどが「プラモシミュレーション」と呼ばれる、実際のプラモデル同士を仮想空間で戦わせる内容となっている。四郎たちが行きつけの模型店「クラフト・マン」の2階に設置されているシミュレーションマシンは正面に巨大なモニターを備え、手前にプラモデルをセットする半球状のカプセルとプレイヤーシートが複数設置されている。
シミュレーションの手順は、まずシミュレーション内で戦う者(便宜上プレイヤーと呼ぶ)が戦わせるプラモデルをカプセル内にセットし、そのプラモデルのスケールや種類などの基本的なキット情報や改造ポイントなどを通常シミュレーションマシンの所有者がマシンに入力する。プレイヤーはシートに座り、特殊なヘルメットを装着し「シミュレーション、ゴー!」などの合図とともに、仮想空間内でプラモデルによる戦いが開始される。
戦いの様子は、プレイヤーには直接脳内イメージで、ギャラリーにはモニターを介してそれぞれ見ることができる。
シミュレーションの世界でプラモデルに破損などのダメージを受けると、実際のプラモデルもレーザーやマジックハンドなどで傷ついたり破壊される。そのため、作品中では実際にモデラーが応用できるテクニックと、シミュレーションで勝つための実用性のないテクニックが混在している。
ワールドシミュレーション大会では、BCPC(バイオチップ・プラモ・コントローラー)というシステムが登場した。これは、バイオチップと呼ばれるモデラー(プレイヤー)のパーソナルデータを入力したICチップをシミュレートするモデルに搭載し、一種のサイキックパワーであるプレイヤーの精神エネルギーによってプラモデルをコントロールするシステムである。このプレイヤーの分身ともいえるバイオチップの採用により、従来のシミュレーションにおける「設定上のコクピットを破壊されたら敗北」という概念がなくなり、モデルの任意の場所に搭載したバイオチップが破壊されない限りはプレイを続行することが可能となった。ただし、プレイヤーの精神エネルギーが強大な場合、バイオチップが傷つけられた際にはプレイヤー自身に危害が及ぶ可能性もある。本編においてはワールドシミュレーション大会の主催者であるアオイ模型の手によって大規模なシミュレーションセンターが建設され、全国各ブロックの代表者が集まる決勝大会であるグランプリ大会においてのみ使用された。
- シミュレーションにおけるプラモデルの大きさは、シミュレートするプラモデルの実際の大きさに準じ、スケールの違いは基本的に無視され、1/144スケールのガンダムと1/550スケールのビグ・ザムは大きさがほぼ同じとして描かれている。これはシミュレーションマシンの設定において変更も可能であり、作中では藤美の1/12スケールのバイクと陽の1/35スケールのT-34のスケールを揃えていた。
- プラモデルを操る人間(プレイヤー)のシミュレーション内における大きさ(身長)は、基本的にはシミュレートしたプラモデルのスケールに準じた大きさであると思われるが、1/144スケールのマゼラアタックに搭乗した四郎の上半身がマゼラ・トップのコクピットからむき出しになっている描写があったり、本来はモビルスーツ用の武器であるマゼラトップ砲を、四郎と健の2人で担いで発砲したりしているなど実際はシチュエーションにより異なっており、はっきりしない。
- 材質や関節の可動範囲などプラモデルの基本スペックの他に、ライフルを金属製のものに換装したり、ミサイルをスプリングで発射するように改造すればその武器は攻撃力が増加し、例えば無発泡ウレタン樹脂製の一体化した装甲板等通常のプラスチックよりも頑丈な素材や成形法を使用すれば、シミュレーション内での強度も上がるなどシミュレートするモデルに施した改造によって、モデルの強さや速度が変化する。また、プラモデル内部にモーターやゼンマイ動力を仕込んで、動くようにする改造すると、シミュレーション内でのパワーアップにつながる。また、武器の威力はシミュレーションマシンの設定において変更も可能であり、南郷との初戦時にはゼロ戦とダンバインの火器威力を互角に設定していた。
- 模型秘伝帳編での茂合との再戦時には、プラモシミュレーションマシンを使用せず、呪術によってシミュレーションを行っていた。
本作の与えた影響
自分の作ったプラモデルを実際に戦わせるという物語や、第1話では1/144シャア専用ザクが、足首が曲がらないというパーツ構成のため、ガンダムの蹴りに対応できず転んでバラバラになってしまうようにその勝敗にプラモデルの特徴が影響するというプラモデル考証の精密さ、当時のガンプラブームと相まって『コミックボンボン』の看板作品となった。作中に出てくるプラモデルの改造の方法は、本誌に別記事にて詳細に掲載されたことから少年モデラーの拡大に貢献した。後に、各模型誌の第一線で活躍するプロモデラーの中にも、幼少時に本作を読んで影響を受けた者は決して少なくない。他にも、本作で登場したパーフェクトガンダムが実際にプラモデルで発売されたり、武者ガンダムが独自展開を行うなど、本作の人気はガンダムシリーズにも影響を及ぼしている。
また、エポックメイキングな出来事として、ガンダムに目玉を描いたことが挙げられる。これは、長年児童向け漫画を描いてきた作者であるやまと虹一の「ガンダムを無機質な兵器やプラモデルとして描きたくなかった」という考えによるものであるが、TVなどによって「兵器としてのガンダム」の概念が既に備わった読者にとって、やまとの描く「目玉が入り、怒れば青筋を立てる、まるで人間のように擬人化されたガンダム」は当初は異質なものとして捉えられ、賛否が分かれた。しかし物語が進むにつれ、「ガンダムの喜怒哀楽=プレイヤーである四郎の喜怒哀楽」というイメージが構築されることとなり、否定的な意見は影を潜めていった。また、このことは結果的に「キャラクターとしてのガンダム」という新たな概念をも生み出すこととなり、後に出るSDガンダムや『機動武闘伝Gガンダム』(ガンダムの顔が搭乗者のそれになる)などにも多大な影響を及ぼしている。ただし、やまとは実は執筆時にはガンダムのアニメ本編を見たことがなく、冒険王連載のコミカライズしか読んだことがなかったため出来たことだとも語っている。
本作以降、児童誌や少年誌にホビーやプラモデルによる戦いを描くさまざまな漫画が連載された。ボンボンのライバルで、月刊コロコロコミックや別冊コロコロコミック(以下コロコロ)を発行する小学館でも例外ではなく、プラモ天才エスパー太郎や3D甲子園 プラコン大作といった作品を連載している。その後、本作のヒットが鏑矢となり、SDガンダムをはじめとするホビーコンテンツの充実もあって1991年にボンボンは発行部数でコロコロを逆転するが、ボンボン元編集長の池田新八郎は『コロコロサイドは相当ショックだったのか、ボンボンをかなり研究していた』と当時を述懐している。
本家サンライズが2018年に製作したTVアニメ『ガンダムビルドダイバーズ』は、「ガンプラ同士を仮想世界で戦わせる」という本作に近い内容になっている。さらに2022年からは、「ユーザーの持参したガンプラを3DスキャンでCG化してコンピュータ上で対戦させる」という本作のプラモシミュレーションを具現化した「ROAD TO GUNPLA BATTLEプロジェクト」が進行している。
主な戦い
ガンダム対シャア専用ザク
後のガンダム対グフにも描かれているが、発売日には模型店に直行して並んでも手に入らない当時のガンプラブームを物語るエピソードでもある。
ガンダム対グフ
1/100ガンキャノン対ゲルググ&リックドム
ガンダム対ジオング
地獄のディオラマ
ザクキャノン、デザートザク、アッグなどMSVのMSが続々と登場。アニメでは出来なかった夢の対決を実現。
マゼラアタック対タイガー1型
プラモ合宿
アニメモデラー対スケールモデラー 第2ラウンド
アニメモデラー対シミュレーションゲーマー
パーフェクトガンダム対パーフェクトジオング
クラフトマンチーム対ジオン少年隊
狂四郎対薩摩模型同人会
新生クラフトマンチーム対ストリームベース
クラフトマンチーム対太陽模型店チーム
その初戦の四郎対山根は、ここでもグフにこだわった山根の見かけはノーマルだがフルアクション改造のグフが四郎のフルアーマーガンダムを破る。第2戦のグズ鉄対小岩は、小岩のストライクドッグのアイアンクローの前にピンチになるも、グズ鉄がスコープドッグのコクピット内にあったアーマーマグナムで逆転。最終戦のロム対足立は、複数のペンキをかぶったロムのトゥランファムが偶然にも背景に溶け込み、足立のジャーゴを破った。リーダーの四郎が敗れたものの、新人2人の奮闘により、辛くも勝利を握る。
プラモ狂四郎対アニメの清四郎
狂四郎対健
プラモ狂四郎対サイボット狂四郎
パーフェクトガンダムトリオ対牛若兄弟
対する牛若兄弟は弁慶がフルメタル製のドム、静が電流発生装置を仕込んだグルーン、義丸は当時の欠点を逆手に取って下半身に武器を搭載したゲルググで挑む。
パーフェクトガンダムトリオはそれぞれを相手に苦戦を強いられるも、弁慶が背中に背負っていた武器の重量で転倒・自壊してグズ鉄に撃破されたのをきっかけに、ロムは静のグルーンに水鉄砲を浴びせ、漏電による自爆に追い込んで逆転する。しかし、後半戦に突入する長丁場になり、義丸のゲルググによる分離攻撃に苦戦するも相手の攻撃を封じることに成功し、最後はボロボロになったガンダムで勝利する。
ヘビーガンダム対ブラッディーマリー(デビルガンダム)
狂四郎対茂合
「模型秘伝帳 土ノ巻」争奪戦
関ヶ原ウォーズ
ホビートピア十三回戦
関連作品
ホビーボーイ飛人くん
新プラモ狂四郎
超戦士ガンダム野郎
プラモ狂四郎1999
プラモ金太郎
プラモ狂四郎 MGスペシャルコミック
プラ課長 錦四郎
プラモ狂四郎 U.C.
ガンダム狂四郎
SD武者ガンダム風雲録
プラモ狂四郎版 武者ガンダム
ガンプラ甲子園
ディオラマ大作戦
ゲーム参戦
以下の作品にてパーフェクトガンダムが登場しており、京田四郎がパーフェクトガンダムのパイロットとして登場。また『SDガンダムGジェネレーションF』では、サッキー竹田がパーフェクトジオングのパイロットとして登場している。なお『ガンダムトライエイジ』では、著作権の関係でパーフェクトガンダム、パーフェクトジオングのパイロットはアムロとシャアになっている。
SDガンダムGジェネレーションシリーズ
Another Century's Episode 3 THE FINAL
ガンダムトライエイジ
機動戦士ガンダム vs.シリーズ
機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブースト ON
機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブースト
機動戦士ガンダム エクストリームバーサス フルブースト(PS3版)