火魅子伝
以下はWikipediaより引用
要約
『火魅子伝』(ひみこでん)は、舞阪洸がシナリオを担当したメディアミックス作品。
大ヒットしたギャルゲー『サクラ大戦』をうけて、同作で実績のあった広井王子とレッドカンパニーのほか、博報堂、アミューズが組んで制作することになったPlayStation用ゲームの企画として始まり、小説、テレビアニメなどで展開された。ゲームの発売日は当初、1999年1月に予定されていたが、同年3月に延期になったため、ゲームを原作にしているのに他の媒体が先行あるいは同時に展開された。
本記事では、小説とテレビアニメについて主に紹介する。ゲームや漫画は各項目を参照。
あらすじ
「火魅子伝」
そこに、珍しい銅鏡が発見された。発掘現場は沸き立ち、日魅子も同じ様子だった。
夜を迎え、辺りが静けさに満たされたころ、日魅子が銅鏡の元へ行こうとした所を九峪が発見。そのまま銅鏡の元へ二人で訪れたが、鏡から尋常ならざる気配がし、日魅子が光の柱に包まれてしまった。このままではまずいと直感した九峪は、日魅子を光の柱から押し出すことに成功。しかし、鏡の光は九峪を包みこんでしまった。
九峪が気づくとそこには、あの発掘された銅鏡、「天魔鏡」の精なるキョウが待ち構えていた。此処は別次元(パラレルワールド)の、九洲なる場所ということを聞かされた九峪は、現代に帰る方法をキョウに問い詰める。キョウの話によると、狗根国に支配されてしまった耶馬台国を復活させ火魅子なる女王を誕生させねばならないらしい。
九峪は、キョウの提案で「神の遣い」を名乗り、旧邪馬台国の人間と共に、耶馬台国復活のため、戦いに身を投じていく。
「火魅子炎戦記」
世界観
舞台は3世紀の九洲である。現代、知られている3世紀の九州とは違う形態で発展している。
「火魅子伝」
九洲
耶麻台国
狗根国
五天
天界への扉
耶牟原城
大陸
「火魅子炎戦記」
耶麻台共和国
火向県
火後県
豊後県
薩摩県
耶麻臺国
狗根国
琵琶島
登場人物
主要人物
九峪 雅比古
声:関智一
【小説版】
この物語の主人公。「神の遣い」を名乗っており、耶麻台国軍の総司令官でもある。天空人より上に位置する「神」の使いを名乗っている為、微妙な立場もあり天空人の末裔である火魅子より上の立場に祀り上げられる事となる。
はじめは文句を垂れるばかりの、貧弱な現代の若者といった感じで、旧耶麻台国軍でも疎まれていたが、作戦会議で思わぬ軍事(軍師)の才能をみせつける。それは、現代人として知っている過去の戦乱の知識と、九峪本人の持っていた鋭い洞察力、感性の賜物であった。それからは軍事作戦の中心となって大活躍をし、諸葛亮の生まれ変わりとまで言われるほどの才覚を見せる。
本人はあまり認めようとしないが、正真正銘の切れ者で、彼の奇策で復興軍は何度も窮地からの奇跡の勝利を果たしている。
新生耶麻台国を掲げており、「九洲の民を大事にすることが、復興軍にとって大きな利益となる」と耶麻台国軍に言い聞かせている。事実、多くの九洲人に耶麻台国軍は歓迎すべき存在と見られ、復興軍の勝利の一因となっている。
民主主義からの発想が強く、どんな人とでも気軽に声を掛けるため、周りの人間を戸惑わせることも(かれらにとって総司令官が一般兵に声を掛けることなど考えられない)。その性格、優しさから多くの女性幹部から好意をもたれている(清瑞・星華・香蘭・亜衣・伊万里など)。また、味方からの信頼は絶大で、九峪様さえいれば、耶麻台国は復興すると思われている。
本人は否定しているが、助平で女性陣をやきもきさせている。
なお、九洲に来るとき日魅子の持っていた鈴を手にしている。鈴が不思議な現象を起こすことも。
ただの代理で祀り上げられた筈があまりにも不自然に九峪の周りに人材や運気が集まるためキョウから訝しがられている。
【アニメ版】
この物語の主人公。18歳。「墨火の力を宿す者」として耶麻台国軍に参戦する。
現代日本では、フリークライミング部の部長。15年前、赤ん坊だった日魅子が現代の遺跡から出現したとき、側にいたために墨火の力を宿してしまった。古代に来てからは狗根国に捕らわれた日魅子を助けるため、その後は日魅子と共に現代へ戻るために奮闘することになる。邪馬台国軍では幹部待遇を受けているが、発言力はさほど大きくない。
案内説明役がおらず、自分の状況が中々わからなかったせいか、短気な言動が目立つ。「ゲリラ」などの横文字言葉をうかつに使っては、古代の面々を困惑させる。剣術や知謀に長けているわけではなく、小説版やゲーム版に比べると今ひとつ頼りない。
下手をすれば世界も滅ぼしてしまうほどの力を宿しているが、本人に自覚がなく、感情が高ぶったりすると無意識に力を解放してしまうことがある。それでも後半、訓練を積むことで墨火の力から、聖剣「七支之御剣(ななさやのみつるぎ)」を作れるようになるが、完全に力を制御するには日魅子の存在が不可欠。そのためか、九峪には日魅子の居場所がわかる、という能力もある。
日魅子が好きだという気持ちは本物で、いざという時には主人公らしい活躍をすることもある。
キョウ
声:南央美
【小説版】
耶麻台国の神器「天魔鏡」の精霊で、九峪を九洲に召喚した張本人。本来は日魅子を召喚するつもりだったが、予想外の出来事で九峪を呼び出してしまった。性格は楽天家で姿はちんちくりん。九峪に神の遣いを名乗らせたが、九峪が司令官としてやっていけるかどうか不安に思っていた。しかし、九峪の思わぬ切れ者具合を見て「怪我の功名」と思っている。耶麻台国では、かなり権力があった様子。
【アニメ版】
体長は手の平に乗るくらい。
「天霊(あまたま)」という、墨火の生み出す精霊、のような存在。一人ではなく、数多くの個体がいる。言葉を理解することはできるが、小説版とは異なり、キョウが話すのはほとんど「キャア」「キュウ」「キョウ」言葉だったので、意志の伝達はもっぱらボディランゲージと表情にたよっている。
紫香楽が神殿に乗り込んできたときに、そのほとんどが消滅してしまうが、1つだけ残ったものが赤ん坊の日魅子が持たされていた、火の守りの証である鏡のペンダントにレリーフになって宿り、日魅子と一緒に時を越えて現代にやってきた。
そして日魅子が成長して、遺跡で彼女が出現した地点に立ったとき、ペンダントから出てきて彼女と、飛び込んできた九峪を九洲へ連れて行った。
耶麻台国に来てからも、日魅子の側にいることが多く、彼女の周りを飛んでいた。キョウという名前も、日魅子が銅鏡のペンダントから出てきたことからつけたもの。
耶麻台国
伊雅
清瑞(きよみず)
声:芝原チヤコ
【小説版】
伊雅と共に九峪に初めてあった人物。乱波であり、危険な任務もそつなくこなす。性格は武人気質で若干短絡的。黒髪のキツく冷たい目(釣り目)をした女性。
初めは九峪のことを胡散臭いやつと思っており、そのことを隠そうともしなかったが、九峪の司令官としての優秀さを認め、少しずつ九峪に対して信頼を寄せていく。九峪の護衛をしている。
普段は、冷静で上から物見るような言い方をするが、九峪に虐められて泣き出したり、船で酔って、九峪にすがり吐いたりと情けない姿を見せることも。
九峪も彼女に好意を持っている。しかしキスを最後に行方不明になってしまった。また伊雅の実子であるが彼女はそれを知らない。
【アニメ版】
アニメ版の清瑞は、「夜追いの邪鬼」という役柄。任務的には乱破と大差ない。
夜追いの邪鬼とは、耶麻台国のために隠密裏に働く者達の総称で、特に伊雅だけに仕えている、というわけではない。川を流された伊雅を気遣って声をかけたのが、アニメの初登場(声だけ)だが、伊雅は清瑞のことを知らなかった。
その後、狗根国に襲撃された隠れ里から、九峪と日魅子を逃がすために、影で案内役を務めた時、九峪の墨火の力を目の当たりにした。
伊万里(いまり)
声:水谷優子
【小説版】
たくましい肉体と精神を持つ、心優しき山人出身の娘。耶麻大国の王族の血縁で火魅子候補者の一人であるが、九峪と会うまでは全くそれを知らなかった。火魅子の血が流れていることに戸惑いを持っている。狗根国の左道士に蟲を入れられ操られたことがあり、九峪を襲ったことがあるが記憶には残っていないようだ。上乃と仁清は、古くからの知り合いで家族も同然の仲である。
【アニメ版】
アニメ版には「火魅子」はいないので、「耶麻台国女王」候補となっている。17歳。
星華の元で耶麻台国復興の戦いを続けていた折、伊雅と一緒に征西都督府の地下神殿に忍び込んだ時に、九峪と日魅子が召喚されてきた場面に出くわす。その時の騒ぎの中で、伊雅と日魅子と離れ離れになってしまい、星華の元へたどり着くべく、しばらく九峪と共に行動することになる。
性格はかなり荒っぽく、短気。「じゃねえか」といった男言葉を使い、バカだのアホだの、九峪に対しても容赦ない物言いをする。年齢が19歳から17歳に改められたことも含めて、ゲーム版とは別人とも言える。
墨火の力を刀に宿し、帖佐や天目と渡り合うことから、技量はかなりのもの。
九峪のことは、色々からかったりしながらも、好意をもっていた様子。
星華(せいか)
声:高田由美
【小説版】
火魅子の血を引く巫女で、宗像神社で育った方術使い。火魅子の資質を持っており、自分が火魅子にふさわしいと思っている。派手な服装を好み、性格はやや乱暴で子供っぽく我侭。だが、自分と兵との距離を縮める努力をするなど、心優しい一面も持っている。当初は火魅子になるため、神の遣いの九峪にアプローチ(亜衣のすすめもあり)をしてきたが、後には個人的にアプローチをするようになるなど、大胆な一面も見せる。
宗像の三姉妹を配下においており信頼を寄せている。ただよく痴話喧嘩をすることがあり、作戦本部の恒例行事と化している。
【アニメ版】
女王候補の一人。水晶珠に墨火の力を宿している。17歳。
その墨火の力を使って結界を作り出し、隠れ里が狗根国や怪物達の目に触れるのを防いでいた。実質的な耶麻台国軍の総大将で、裏切り者・藤那の真意を知っていたのは彼女だけである。
また占術が使えるので、九峪と日魅子が征西都督府の地下神殿に現れるのを予見して、伊万里達を向かわせたり、九峪の墨火の力の性質を見抜いたりもした。
星華の父親は耶麻台国の神官長だったが、闇の泉が湧き出した時に生きたまま放り込まれ、蛇渇となっていた。
藤那(ふじな)
声:田中敦子
【小説版】
仙族の血を引く方術使いで、火魅子の資質を持っている。見たとおりのクールビューティーで、若干サディスティック(というよりはいじめっ子)なところがある。火魅子候補の中でも飛びぬけて火魅子に執着しており、また火魅子としての振る舞いを常に考えている。やや大雑把で、猪突猛進、大酒飲。配下に閑谷、志野、忌瀬がいる。閑谷のことを少なからず気に入っているが、それを表に出そうとはしない。だが彼女と閑谷の喧嘩はじゃれ合いにしか見えず、よく仲間に「夫婦喧嘩」と称されている。
【アニメ版】
アニメ版では、最初、狗根国側に寝返った「裏切り者の女王候補」ということで登場する。20歳。
星華にだけ打ち明けていたが、彼女は狗根国の中からその情報を教える役目を、自ら引き受けた。耶麻台国の残党が住む村の位置などを狗根国に教え、潰しているとして事情を知らない伊万里や志野からは命を狙われ、狗根国の四天王達には元女王候補ということで疎まれながらも、色々裏で画策していた。
平八郎の罠にかかりそのことがバレて、処刑されかけたところを救われ、以後は九峪や星華達と行動を共にするようになる。
酒好きなのは同じで、杯に墨火の力を宿している。しかしそれで酔った姿をみせることはない。
香蘭(こうらん)
声:氷上恭子
【小説版】
大陸のほうから、母親である紅玉と共にやってきた拳法使い。鬼神のごとき強さを持ち、飛んできた矢を手で掴んだり、低位の魔人となら渡り合えるほどの実力者。また、火魅子の資質を持っている。が、いかんせん日本語が不自由なため、彼女のトンチンカンな一言で場が混乱に陥ることも(そのたびに母親である紅玉に叩かれる)多い。後に、九峪の親衛隊の隊長を務め、九峪を守るため、たった一人で高位の魔人に立ち向かったこともある。復興軍屈指の巨乳である。
【アニメ版】
女王候補。腕輪に墨火の力を宿し、自分の拳を武器に戦う。17歳。
只深と一緒に大陸に渡り、耶麻台国軍のために最強の武器を調達してくる役目を帯びていた。
アニメの香蘭は、倭国暮らしが長いためか、倭国語も普通にしゃべれる。楽観的で前向きな性格。
耶麻台国に戻った後も、しばらく伊万里たちを探すのに手間取っていたが、枇杷島戦では伊万里たちに合流した。
志野(しの)
声:平松晶子
【小説版】
旅芸人の一座の座長を務めていた踊り子。剣の腕は一流、頭も切れる。火魅子の資質を持っているが、本人は全くそのことを知らなかった。後にそれを九峪とキョウから知らされたが、火魅子候補として振舞わないことを選択した。
実務的な能力を持っており、九峪にあてにされることも多い。配下に珠洲や旅芸人の仲間である織部がいる。珠洲とは姉妹のような関係である。
九峪にそれなりの好意を抱いている。自分は旅をしているのが性にあっていると思っておりこの戦いが終われば忌瀬みたいに各地を放浪したいと考えている。
【アニメ版】
女王候補の一人で、かんざしに墨火の力を宿している。17歳。
伊万里・星華・伊雅の3人が中心となって組織する軍と連携を取りながら、彼女自身は旅芸人一座の座長として色々な街に入り込み、武器の調達や情報収集などを行う。
只深(ただみ)
声:小桜エツ子
【小説版】
関西弁らしき言葉で喋りまくる商人の娘。火魅子の資質を持っているが、本人は全くそのことを知らなかった。後にそれを九峪とキョウから知らされたが、志野と同じく火魅子として振舞わないことを選択した。背が低く、貧乳であることを気にしている。服装はセーラー服に眼鏡。九峪の要望で復興軍に軍資金や武器を貸している。仲間に伊部がいる。
【アニメ版】
女王候補の1人として、香蘭と一緒に最強の武器を探す役目を負っていた。17歳。
香蘭がツッコミ役で、只深がボケ役。メガネに墨火の力を宿しており、遠くの出来事を見通す能力を持っている。
養親は健在で商人という設定は変わらず、金銭感覚もしっかりしているはずだが、その割には「最強の武器」がどういうものか、中身を確認せずに、軍資金はたいて買って、後で泣きを見るという、商人にあるまじき失敗をしている。
「うちは世が世なら耶麻台国の女王になったかもしれん、只深様や」というのが口癖だが、誰にも信じてもらえない。
戦闘力はないようだが、一応役に立ちそうな武器を手に入れて、耶麻台国軍に戻ってからは、遠見の力で日魅子の位置を探すなど、補佐的活躍をしていた。
狗根国
天目(てんもく)
声:高島雅羅
【小説版】
狗根国九洲制圧作戦の実質的な最高権力者。肩書きは「征西都督補佐筆頭」。非常に派手な格好をしており、ビキニアーマーにリオのカーニバルの踊り子のような羽飾りをつけている。「魔界の黒き泉」なる場所に身を浸し、超人的な膂力を得た。その身に纏う羽飾りを操ることができる能力者。戦闘能力は魔人並みであり、頭の切れも九峪と争うほどに良い。
身分、出身にかかわらず才能ある美女を自分の配下に「親衛隊」としておいており、彼女らに面積の小さい鎧を着用することを推奨(実際は強要)している。彼女らによく無理難題を押し付けたり、その才能を試したりするが、配下からの信頼は絶大である。
狗根国の意に背き、ひそかに耶麻台国の支援をしており、彼女なりに何らかの目的がある模様。
【アニメ版】
終始、狗根国の武将として描かれる。四天王として耶麻台国の残党狩りをしていた。クールに見えて意外と優しい性格だったようで、消えた恋人を捜し続けている帖佐に、さりげなく手がかりのような言葉を言った。
また、雲母とは仲が良かった。紫香楽への愛情と国王の命令に板ばさみになった上、最後には紫香楽を失った彼女を、励ますシーンがあった。
紫香楽
声:森川智之
【小説版】
狗根国が制圧した九洲の最高権力者(都督)で狗根国王の血筋を引く。だが実際は唯のお飾りであり、女遊びを繰り返すなど完全な無能である。そのことに関し、コンプレックスを抱いている模様。
【アニメ版】
狗根国が制圧した九洲の最高権力者(都督)で狗根国国王の息子だが、親子の愛情はお互いにカケラも持っておらず。国王の命令に従って耶麻台国の残党討伐をしながらも、闇の泉からゾンビ兵を作り出して自分の軍事力を強化していた。
性格は冷酷で傲慢、自信過剰。失敗した兵は容赦なく切り捨ててゾンビに変える。耶麻台国に侵攻した際は墨火の力を手に入れるために、赤ん坊だった日魅子をためらいもなく墨火の炎に投げ込んだ。
特に、かなり歪んだ美意識の持ち主で、絶世の美女と言われた霄霏(しょうひ)を半身化け物の姿にして閉じ込め、美しいと愛でる感性は部下達から理解されない。伊万里と同様、ゲームや小説版とは全くの別人となっている。
蛇渇
帖佐
【小説版】
天目と耶麻台国の制圧、統治を任されていた男。「魔界の黒き泉」により、黒い羽の生えた姿となり、天目に匹敵するほどの戦闘能力と、不老の体質を得る。(厳密には不老ではなく、緩慢な若化体質。)冷静沈着で氷の貴公子と呼ばれている。柚子妃に恋心を抱いている。彼女に接するときは二つ名が嘘のように暖かい。天界の扉を探し、柚子妃を救うことが彼の目的。
現在は四国遠征の出かけて九洲を離れている。なお耶麻台国の王都「耶牟原城」を水浸しにした張本人である。
【アニメ版】
アニメ版では天界人。普段は翼はないが、自分の意志で出現させ、飛ぶことができる。
帖佐本人は「人の世の暮らしが面白くなった」と、好んで地上に移住してきたように言っていた。天目は「天界人の生き残り」といい、紫香楽は「地上に落ちてきた天界人」と言っているので、天界が滅んでやむなく移住してきた、とも受け取れる。
軍神としての腕を買われ、狗根国に招かれたが、行方知れずになった恋人の霄霏を探す手がかりを見つけるため、そのまま紫香楽に仕えていた。そのせいか、あまり覇気というものがなく、他の四天王ともほとんど打ち解けずに、黙って上からの命令に従っていたような所がある。領地では善政を敷いていて、民からは慕われていまた。腕や頭ももちろん確かで、伊万里を追い詰めたこともある。
現代
姫島 日魅子(ひめじま ひみこ)
声:音宮つばさ
【小説版】
九峪のガールフレンド(彼女かどうかは不明)。現代で九峪の帰りを待っている。
【アニメ版】
アニメ版では、日魅子は九峪より3つ年下の15歳で高校1年生で。幼なじみ。スポーツ万能、成績優秀、後ろからのボールもよける勘の持ち主。
「火の守り」であり「墨火の力を制する者」というのが日魅子の役目で、火魅子云々の設定はない。
狗根国が耶牟原城を急襲制圧した時、墨火の力を手に入れようとした紫香楽が生贄として、赤ん坊の日魅子を墨火に投じた際、墨火と共に現代まで転移。耶牟原遺跡に来ていた九峪の側に出現した時に、その墨火の力のみ九峪の方に移ってしまった。
そして15年後、日魅子が現れた場所に再び立った彼女を首飾りの光が包み、駆け寄った九峪共々古代へとタイムスリップ、伊万里達の潜む地下神殿(元は墨火の神殿)に出現した。
墨火の力は九峪に移ってしまったので、彼女には力はない。しかしその強大な力を受け入れ、扱うことができる器を持つのは彼女だけ。つまり、2人揃わないと、完全に墨火の力を使うことはできない、ということ。
小説版のみの登場人物
復興軍
狗根国から九洲を取り戻し、耶麻大国を復活させることを目的としている。
亜衣(あい)
声:伊藤美紀
宗像の三姉妹の長女で、方術使い。復興軍の軍師でもある。頭のよく切れる人物であるが、いかんせん、九峪の智謀の前にその才が隠れてしまっている節がある。しかし九峪の真意にいち早く気づき兵を動かすなど、立派に軍師の役目を果たしている。
戦闘に参加することもあり、その時は主に方術による攻撃や飛行カラクリ「飛空挺」による上空攻撃を行う。遠方がよく見える遠眼鏡なるメガネを掛けている。九峪のことを「いい男」と思っているが、彼女の好みは基本的にゲテモノである(九峪が格好悪いという訳ではないが)。
衣緒(いお)
声:井上喜久子
宗像の三姉妹の次女で、怪力を誇る。飛空挺に乗ることもできる。世話焼きな性格で、九峪の面倒もあれこれ見ている。九洲で九峪が着ている服(ブレザー)を真似て作ったりするなど手先が器用。普段は落ち着いた美女だが、切れると恐い。また、怪力だけでありながらフィットした青いボディスーツ着ている。
羽江(うえ)
声:豊嶋真千子
宗像の三姉妹の三女で、発明家。彼女や姉方、星華が乗る飛空挺は彼女の発明品であり、その他にも色々な役に立つ道具、そうでない道具を作っている。ただし幼さもあいまって、彼女が発明家だとはあまり信じてもらえない。とにかくうるさく、何でもかんでも(自分の活躍や人の活躍)話したがる。内容を掴むには通常の三倍時間がかかる。
音羽(おとわ)
愛宕(あたご)
上乃(あがの)
閑谷
忌瀬
真姉胡
紅玉(こうぎょく)
声:深見梨加
香蘭の母親で、耶麻台国の王族を夫に持つ女性。非常に腕が立ち、その強さは香蘭以上。また頭も切れ、日本語の不自由な香蘭のサポートをしている。覇璃扇(ハリセン)なる鋼鉄製の扇のような武器を持っており、魔人の腕を叩き折ったことも。この覇璃扇はよく香蘭の頭に飛ぶが、香蘭は平気な様子。
珠洲(すず)
声:夏樹リオ
志野の配下で、妹のような存在。志野を絶対的に信頼している代わりに、それ以外の人間を馬鹿にしている。九峪のことも「唯のすけべぇ」と言っており(これは志野が頻りに褒める九峪への嫉妬の場合も多い)、志野の頭を悩ませている。彼女が志野に抱く好意はどちらかと言うと恋愛感情に近い。一流の傀儡士であり戦闘でも人形を操って戦うが、その操作に使う糸は強靭であり、それ自体が武器でもある。
織部(おりべ)
伊部
兎華乃
兎奈美
狗根国(小説版のみ)
虎桃(ことう)
案埜津
「火魅子炎戦記」の登場人物
用語
神の遣い
火魅子
火魅子候補
天魔鏡
乱破
山人
海人
自分たちの縄張りを侵す船を襲うこともあるが、案内賃を払って水先案内を請う船には手を出さないため、海賊とは違う。
方術・左道
飛空挺
炸裂岩
遠眼鏡
天空人
魔人
魔兎族
魔兎族三姉妹
小説
既刊一覧
著者は舞阪洸。『火魅子伝』のイラストは大暮維人。『火魅子炎戦記』のイラストはゆきやなぎ。富士見書房(富士見ファンタジア文庫)出版。
- 火魅子伝 1 (1999年3月、ISBN 4-8291-2876-3)
- 火魅子伝 2 (1999年11月、ISBN 4-8291-2930-1)
- 火魅子伝 3 (2000年3月、ISBN 4-8291-2955-7)
- 火魅子伝 4 (2000年7月、ISBN 4-8291-2975-1)
- 火魅子伝 5 (2000年11月、ISBN 4-8291-1305-7)
- 火魅子伝 6 (2001年4月、ISBN 4-8291-1336-7)
- 火魅子伝 7 (2001年12月、ISBN 4-8291-1400-2)
- 火魅子伝 8 (2002年4月、ISBN 4-8291-1421-5)
- 火魅子伝 9 (2002年8月、ISBN 4-8291-1438-X)
- 火魅子伝 10 (2003年3月、ISBN 4-8291-1504-1)
- 火魅子炎戦記 1 (2004年5月、ISBN 4-8291-1614-5)
- 火魅子炎戦記 2 (2004年9月、ISBN 4-8291-1642-0)
- 火魅子炎戦記 3 (2004年12月、ISBN 4-8291-1675-7)
- 火魅子炎戦記 4 (2005年3月、ISBN 4-8291-1696-X)
- 火魅子炎戦記 百華繚乱編 (2005年9月、ISBN 4-8291-1752-4)
- 火魅子炎戦記 5 (2005年12月、ISBN 4-8291-1781-8)
- 火魅子炎戦記 6 (2006年3月、ISBN 4-8291-1804-0)
- 火魅子炎戦記 7 (2006年10月、ISBN 4-8291-1866-0)
- 火魅子炎戦記 8 (2007年2月、ISBN 978-4-8291-1899-3)
- 火魅子炎戦記 9 (2007年6月、ISBN 978-4-8291-1938-9)
- 火魅子炎戦記 10 (2007年12月、ISBN 978-4-8291-1986-0)
テレビアニメ
放送キー局はテレビ東京、放送期間は1999年1月6日から1999年3月31日、放送日時は水曜日25時45分から26時15分。全12話。
他のメディアとの相違点
- 耶麻台国は、「墨火」という存在への信仰で成り立つ国で、君主制をしいていない。
- 小説版では登場した人物が、アニメ版では登場しない。上乃や宗像三姉妹、閑谷、紅玉といったヒロイン達に近しい人物ですら、カットされている。
- 九峪のみならず日魅子も九洲にやってくる。
- 小説版ではカットされたゲーム版登場人物が、アニメ版では登場する。
- アニメ版独自の人物も登場する。
声の出演(テレビアニメ)
- 九峪雅比古 - 関智一
- 姫島日魅子 - 音宮つばさ
- キョウ - 南央美
- 伊万里 - 水谷優子
- 志野 - 平松晶子
- 星華 - 高田由美
- 藤那 - 田中敦子
- 只深 - 小桜エツ子
- 香蘭 - 氷上恭子
- 紫香楽 - 森川智之
スタッフ(テレビアニメ)
- 原案 - 舞阪洸
- 監督 - 知吹愛弓
- ストーリーコンセプト - 外山草
- シリーズ構成 - 蔵元三四郎、平柳益実
- キャラクター原案 - 大暮維人
- キャラクターデザイン - 門之園恵美
- デザインワークス - 後藤圭二
- キャラクターデザイン協力 - 東出太
- 美術監督 - 浦田健吉
- 色彩設計 - 青山まなみ
- 撮影監督 - 渡邊英俊
- 編集 - 松尾浩、足立浩
- 音楽 - 蓜島邦明
- 音響監督 - 鶴岡陽太
- プロデューサー - 財前健一郎、峯岸卓生、加計晃
- アニメーション制作 - グループ・タック
- 製作 - 「火魅子伝」アニメ製作委員会(博報堂、アミューズ、パナソニックデジタルコンテンツ、グループ・タック、三菱商事)
主題歌(テレビアニメ)
オープニングテーマ「PURE SNOW」
エンディングテーマ「瞬の色をかえて」
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 放送日 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 墨火 | 蔵元三四郎 | 知吹愛弓 | 土屋日 | 加藤洋人 長野伸明 杉江敏治 |
1999年 1月6日 |
2 | 闇の泉 | 平柳益実 | 増井壮一 | 井之川慎太郎 | 柳瀬雄之 | 1月13日 |
3 | 夜追いの邪鬼 | 蔵元三四郎 | 大関雅幸 | 坂元大二郎 | 1月20日 | |
4 | 隠れ里 | 平柳益実 | 佐藤卓哉 | 鈴木薫 | 島田英明 | 2月3日 |
5 | 天霊 | 蔵元三四郎 | 小村敏明 | 雄谷将仁 | 飯田宏義 | 2月10日 |
6 | 首飾り | 平柳益実 | 河本昇悟 | 土屋日 | 加藤洋人 | 2月17日 |
7 | 征西都督府 | 蔵元三四郎 | 佐藤卓哉 | 佐藤英一 | 外崎春雄 | 2月24日 |
8 | 信天翁 | 平柳益実 | 大関雅幸 | 坂元大二郎 | 3月3日 | |
9 | 火焔城 | 蔵元三四郎 | 河本昇悟 | 鈴木薫 | しまだひであき | 3月10日 |
10 | 火の守 | 平柳益実 | 小村敏明 | 雄谷将仁 | 清山滋崇 | 3月17日 |
11 | 枇杷島 | 蔵元三四郎 | 河本昇悟 | 小林智樹 | 加藤洋人 | 3月24日 |
12 | 七支之御剣 | 平柳益実 | 佐藤卓哉 | 三泥無成 | 三輪和美 外崎春雄 長野伸明 |
3月31日 |
ゲーム
『火魅子伝〜恋解〜』(ひみこでん〜れんげ〜)は、1999年3月11日に発売されたJAPAN FANTASY PROJECT(博報堂、アミューズ、レッドカンパニー)製作のゲーム。テレビアニメ版のOPには本ゲームが原作であるとクレジットされている。
漫画
『火魅子伝〜恋解〜 臥雲の章』(ひみこでん れんげ がうんのしょう)は、原案:舞阪洸、作画:大暮維人による日本の漫画作品。『月刊コミックドラゴン』(角川書店)にて1998年12月号から1999年5月号まで連載された。単行本は全1巻。