聖ライセンス
以下はWikipediaより引用
要約
『聖♡ライセンス』(セント ライセンス)は、飯田晴子による日本の少女漫画作品。角川書店発行の『ふぁんデラ』に1996年から2000年にかけて連載されたファンタジー作品。単行本全10巻、文庫版全7巻。
独特の節回しの独白があり、仏教の八正道やノアの方舟なども題材に取り入れるなど、少女漫画然としたイラストに反してやや哲学的なストーリー。
ストーリー
聖なる乙女の村に暮らす主人公―コーネリア・トレイスキャリー(コーニー)の元にある日、長く不在だった隣家のお姉さん―シンシア帰郷の報せが届く。俄かに活気付いた村に天駆けて現れたシンシアに驚くコーニーの前で、先導して来た7匹のユニコーンが皆たちまち青年に姿を変え、しかもその内の1人がシンシアの結婚相手だという。するとシンシアはコーニーに、「次はあなたの番よ」と木彫りの馬―聖ライセンスを手渡した。愛の女神の意志を地上に届ける代理人―聖なる乙女の修業を終えたシンシアに、天空の修行施設―ユニコーン宮殿(ユニ宮)で次代の乙女として修行する資格を持つ少女―純粋なる乙女となるべく、コーニーは証となる聖ライセンスを託されたのだ。程なくして近くの森で、コーニーは木陰にひたすら姿を隠しながら話し掛けてくる謎の声の主―ロビンと出逢う。ロビンはユニ宮からシンシアの帰郷に紛れて脱走したユニコーンとして、問題になっていたのだ。周囲がそっと見守る中、そうとは知らされないながらもコーニーは見事にロビンと心を通わせ、純粋なる乙女としてユニ宮に迎えられた。かくしてコーニーはユニ宮で、女神の愛を理解する―7つのカラーを光らせて聖なる乙女となるべく、多様な背景をもつユニコーン達と出逢い、交流を重ねて行く。
登場人物
声はドラマCD版でのキャスト。
主人公
コーニー / コーネリア・トレイスキャリー
声 - 豊嶋真千子
年齢 - 14歳 / 血液型 - O型 / 身長 - 153cm
家族構成 - 父、母の3人家族
好きな色 - ホワイト / 好きな物 - 馬
本作の主人公。燃えるような赤毛に水色の瞳をした、オレンジユニコーン―スチュー曰く「フランス国旗のような娘」。おっとりした、やや臆病な箱入り娘。ロビンやグリーンユニコーン―ヘンリーにレッドユニコーン―アルといった人見知りの激しいタイプには、男性に免疫もないので勝手が分からず、よく翻弄されている。ロビンとの出逢いやクリスタルキーの扱いを間違うなど、ドジや異例続きのトラブルメーカーな面もある。ユニ宮では、来訪1日目にしてイエローユニコーン―スワンとカラーを光らせ、一躍有名人になってしまう。
出身地である聖なる乙女の村は、村人全てが聖なる乙女とユニコーンのカップルという、一部では半ば伝説と化している集落であり、コーニーの両親も例外ではない(詳細は作中用語の項目参照)。
ユニコーン
ある日突然、額に1本の角を持つ馬になってしまった人間の男性。主に赤・紫・青・緑・黄・橙・ピンクの7色のどれかが馬型時の体毛となっており、それぞれが象徴する愛を乙女が理解した時、その色の光の柱を天に放つ“カラーを光らせる”という現象を起こす(詳細は作中用語の項目参照)。
ロビン=レグリシアス
声 - 緑川光
年齢 - 19歳 / 血液型:A型 / 身長 - 178cm
家族構成 - 姉(愛の女神)
好きな色 - ピンク / 好きな物 - 小動物
カラーが象徴する愛:第2“聖なる思い”
愛の女神の弟として、ユニ宮では王子として扱われている美青年。その地位に反し、女神の教えに大いに疑問を抱いており、何かと反抗的な振る舞いをしては周囲を困らせている。誰に対しても尊大で高圧的。コーニーの全く人を疑わない無防備さを心配するあまり、独占欲も相俟って叱責やつんけんした態度を取ってしまうことも多い。片思いしていたシンシアの帰郷に、無断ながらも地上まで追い掛けた情熱家でもあり、その罰で一度は角が折れてしまう。しかしその地上行きをきっかけにコーニーと出逢い、ユニ宮へのお迎え役も務めた。耳を覆う長さのストレートヘア。表向きはピンクユニコーンとされているが、実は地上では絶滅したとされているホワイトユニコーンの最後の1人。
スワン=ジェンピット
声 - 石田彰
年齢 - 18歳(1915年 - 1935年) / 血液型 - O型 / 身長 - 182cm
家族構成 - 父、母、姉の4人家族
好きな色 - 紫 / 好きなこと - ティータイム
カラーが象徴する愛:第7“聖なる祈り”
柔和な笑顔と人当たりの良さを備えた、イエローユニコーン。肩に掛かる金髪で、協調性に欠ける者ばかりのコーニーのユニコーン達の中で唯一、誰とも和やかに会話できる貴重な社交性の持ち主。とても母親想いな駆け出しの画家で、コーニーが訪れるイギリスのエディンバラにあるスワンの部屋も、アトリエを兼ねたもの。アルを探してユニコーンの町に迷い込んだコーニーを巡った騒動の最中、スワンに教えられた挨拶により、ユニ宮での生活第1日目にしてコーニーがカラーを光らせた最初のユニコーンとなる。コーニーをも癒すその優しさで、鏡の廊下からもコーニーを救い出した。
コーニーとの交流後、フランスで画家として大成するも生涯女性問題に悩まされ、20歳で他界と短命であったことがラストの略歴に記されている。読者人気も高く、学生時代のスワンが主人公の短編がコミックスに掲載されている。
アル / アルフレイン=ホーク
声 - 松本保典
年齢 - 21歳(1942年 - ) / 血液型 - AB型 / 身長:197cm
好きな色 - ブルー / 好きなこと - 乗馬、子馬の飼育
カラーが象徴する愛 - 第4“聖なる役割”
モンゴルのウランバートルで馬の飼育を生業としている、長身のレッドユニコーン。生真面目な性格に加えていつも仏頂面で口数が少ないため、手先の器用さに反して人間関係には不器用。生まれながらに女嫌いの気があり、ずっとアルに想いを寄せている同族の女性―アイローの事も鬱陶しく思っている様子。それにより、初めてアルのゲル(テント)を訪れたコーニーに、入れ替わりに出て行ったアイローと勘違いして鉄皿を投げ付けて腕に怪我をさせてしまうという、散々な出逢いを果たす。
コーニーとの交流後、時代の流れにより遊牧民から放牧業へと移行はしたものの、引き続きモンゴルに暮らし、アイローとはユニ宮の事を話せるまでに仲睦まじい夫婦となったことがラストの略歴に記されている。
ヘンリー=アン=フォン=ルーベント
声 - 菊池正美
年齢 - 16歳(1805年 - 1836年) / 血液型 - A型 / 身長 - 165cm
好きな色 - ライトブルー / 好きなこと - 骨董品の収集、オペラ
カラーが象徴する愛 - 第1“聖なる眼光”
イギリス人とドイツ人のハーフで、ハイデルベルクに住むドイツ貴族。幼い頃から病弱な上に、ユニコーンの病によりさらに衰弱しており、作中でも生死の境を彷徨うグリーンユニコーン。そのために女神への猜疑心が強く、メグやコーニーにすぐには心が開けず、ヘルダー男爵に惑わされてしまう。誇り高い性格から、病に衰えた小柄な体を恥じて、私室でも衣服を着崩すことはない。その神経質なまでの繊細さ、知性溢れる言動から、コーニーは敬意を表して「ミスター」と呼んでいる。先祖代々の狩猟の獲物である剥製が大量にコレクションされた部屋にはユニコーンのものもあり、乙女には恐怖の的。
コーニーとの交流後、20代後半で過労から寝たきり生活を余儀なくはされたものの、ドイツの未来や、国内初の鉄道の建設に大きく貢献した晩年が、ラストの略歴に記されている。
クリス=ノーライアング=ハポン
声 - 伊藤健太郎
年齢 - 23歳(1843年 - 1876年) / 血液型 - O型 / 身長 - 180cm
好きな色 - ウスベニ色 / 好きなこと - シャワー、ダンス
カラーが象徴する愛:第3“聖なる言葉”
長く髪を伸ばし、たおやかな容姿を持つパープルユニコーン。東方の血が入っている事から、所属するサーカスの団長により「ゲイシャオヤマ(情報量の少なさから混ざっているが女形の意)」という触れ込みで、ユニコーンに変身して芸を披露するショーを務めている。主にステージ衣装でもある着物を常に身に付け、興行のない時はクリスの身が安全な自室から、一般人が気軽に面会できるようになっている事から、告解室か人生相談の呈するようになる。相手次第でガラリと変えている口調だが、その実態は大雑把で豪快な明るいお調子者。スペインのある町で興行中、町の青年―エルナンドの激しい求愛に苦悩するが、コーニーの助力により救われる。その際に髪を切ってからはイメージを一新し、お笑いも担当するようになる。
コーニーとの交流後は、20代後半で既に死期を悟り、サーカス団を引退。アンダルシアにて焼き物の店を構え、少女を1人養女に迎えて過ごしたと、ラストの略歴に記されている。
ステュー / スチュアート=R=メイシェル
声 - 真殿光昭
年齢 - 25歳(1883年 - 1911年) / 血液型 - AB型 / 身長 - 195cm
好きな色 - オリーブグリーン / 好きなこと - 遺跡めぐり、観劇
カラーが象徴する愛 - 第6“聖なる精進”
金髪に金色の目の、ニューヨークに住むオレンジユニコーン。眼鏡を掛けた甘いマスクと、品のある落ち着いた立ち居振る舞いで、女性達の熱い視線を集める頭脳明晰なフェミニスト。ピンクと青の愛を残すのみとなったコーニーに、高星を紹介する。
情熱的なコーニーへの求愛を袖にされた後は、FBI工作員として数々の逸話を残したことがラストの略歴に記されている。
高星(カオシン) / フンリ皇子 / 乾隆帝
声 - 山口勝平
年齢 - 15歳(1721年 - 1798年) / 血液型 - B型 / 身長 - 170cm
好きな色 - 黄色 / 好きなこと - 筋トレ、国内散策
カラーが象徴する愛 - 第5“聖なる愛の生活”
燃えるような瞳をした中国―清の皇子でもあるブルーユニコーン。凄まじい集中力と根気で“気”を操る達人。だが、影武者をさせるのに宦官として潜り込ませた、瓜二つの顔立ちの少年―高晋(カオシン)を身代わりに置いて町を偵察するうちに感化され、コーニーの事も「乙女ちゃん」と呼ぶなど、かなり砕けた言葉遣い。ピンクと青の愛を残すのみとなったコーニーに、ステューの紹介で引き合わせられる。
豪奢な飾り爪と共にした求婚をコーニーに断られた後、父子二人三脚の治世は清の黄金時代となり、名君として称えられる。が、プライベートでは女難と呪殺に悩まされ、猜疑心に塗れた晩年であったとラストの略歴に記されている。
イワン / ウィリアン=ビッヒテル=アイールナー
カルロス
ナユタ
アンディ
純粋なる乙女
あらゆる国・時代から集まった、聖なる乙女候補の少女たち。ユニ宮にある聖なる乙女の寮で、普段と変わらぬ生活を送りながら、修行に励んでいる。
パティ / パトリシア・アイスタン
メグ・ハワード
チェルシー / チェル / チェルスティーナ・ハワード
ホー / ホスティーナ・ハワード
その他
アインガンクアウスガンク
声 - 小杉十郎太
身長 - ユニ宮内の扉の番人として、様々なドアとして現れる為、その都度変化
鏡の廊下を始め、この世界の扉という扉、鏡という鏡を往来できる番人。いかめしい顔で口煩いが、ロビンやコーニーの事をとても気にしており、時にコーニーに的確なアドバイスもする。コーニーとは親しみを込めて「おじさま」「お嬢」と呼び合う仲だが、ステューには「ミスタードアマン」と呼ばれて都合良く呼び出されたりと、適当に使われてしまうこともままある。
メギー女史 / メギーフリー=ブリリアント=プリンシフル
イッチュン / イッチュンラット
声 - 氷上恭子
天空の図書館の司書であり、水路のようになった館内は小船での移動になるため、船頭でもある少年。尖った耳と箒のような尻尾の可愛らしい容姿だが、男道に憧れており、仕事熱心。女神に地上から金魚掬いして貰い、カグニャンとユニ宮に住みながら、人として生まれ変わる日を心待ちにしている。「や」が言えず「コーニーちゅん」になってしまったり、語尾が「チュ」である事をよくロビンにからかわれ、度々おもちゃにされている。
愛の女神
声 - 井上喜久子
家族構成 - 弟(ロビン)
緩くウェーブした、長い黒髪の美女。大地を司り、乙女やユニコーンを大きな愛で見守りながら、導いている。乙女達への謁見の習慣はないのか、コーニーがユニ宮の花園で出会った際、女神だとは気付いていない様子。
作中用語
ユニコーン
聖なる乙女 / 純粋なる乙女
聖ライセンス
聖なる乙女の村
コーニーがシンシアとの再会まで、ユニ宮と村の繋がりや乙女などに関する知識が一切なく、ユニ宮へ赴く事が決まるまで知らされないという村の風習なのか、コーニーの家庭が単にそうだったのかは不明。また、時代を超越して出会っている乙女とユニコーンのカップルの結婚が、どうやって成立しているのかも明かされてはいない。
ユニ宮 / ユニコーン宮殿
時の扉・鏡の部屋
聖なる乙女の寮・乙女の町
ユニコーンの町
迷いの森
CD
1999年9月22日にパイオニアLDCから「CDドラマ 聖♡ライセンス Hide&Seek」のタイトルで発売。寮に帰らないコーニーを探してユニコーン達が奔走する。全4話。さらに、ロビンにからかわれるイッチュンのショートストーリーがおまけで付属。また、初回特典では作者未発表のイラスト集が封入。
書籍情報
飯田晴子 『聖♡ライセンス』 角川書店〈あすかコミックスDX〉 全10巻
飯田晴子 『聖♡ライセンス』 ホーム社〈ホーム社漫画文庫〉 全7巻