義妹生活
以下はWikipediaより引用
要約
『義妹生活』(ぎまいせいかつ)は、三河ごーすとによる日本のYouTube漫画およびそれを原作としたメディアミックス作品。イラストはHitenが担当している。
メディアミックスとして2021年1月からノベライズ化、同年7月からコミカライズ化が展開されている。
2022年7月24日に、YouTubeのKADOKAWAanimeチャンネルで行われた生配信「MF文庫J『夏の学園祭2022』」にてテレビアニメ化が発表され、YouTube版の主要キャラクターのキャスト声優がアニメ版でも続投されることも併せて発表された。テレビアニメはノベライズ版の物語を原作として制作される予定。
登場人物
制作背景
経緯
三河は若者にもライトノベルに興味を持ってほしいと考えていた。そこで若者が多く利用するYouTubeに着目し、中高生向けに作品を提供する立場にもかかわらずYouTubeで作品を発表しないのは長期的に考えれば良くないと感じたことで、YouTubeで本作を展開することにした。
制作
三河は複数の作品を執筆していく中で、「キャラクターの日常をひたすら深く掘り下げてほしい」という要望を持った読者の存在を知った。そこから、「極限まで日常に振り切った作品」に興味を示した三河は義理の兄妹関係を丁寧に描くことを考え、本作を執筆していった。
各キャラクターの性格や考え方については、三河曰く「自身の魂から切り分けた要素をある程度振り分けている」としているが、それに加えて他人の言動をキャラクターに反映させるパターンもある。また、三河は読者がハマれるような魅力を兼ね備えつつも限界までリアル感を与えるためにどうすればいいのかを意識して執筆をしている。
制作については、『義妹生活』の原作者の立ち位置として三河がいるが、物語の台本は複数のライターが手掛けている。三河曰く、それぞれのライターの味が台本ごとに出ているため、敢えてミニマムコントロールをせずにそのまま収録に持っていくことも多いという。
スタッフィング
キャスティングについては三河が声優事務所・ビーフェクトと縁があったため相談したところ、中島由貴と天﨑滉平の二人を紹介された。中島と天﨑が本作に登場するキャラクターのイメージに合致したことからオファーを出し、双方から快諾を得ることが出来たという。
本作のイラストレーターにHitenを起用した理由について三河は「Hiten先生が個人で発表した『少女がひとりで過ごしている日常の一幕を切り取ったような』イラストが、自身のイメージする『義妹生活』の世界にピッタリだったから」だと述べている。
反響
本作のYouTube公開後の視聴者の反応について、浅村悠太役の天﨑滉平は「視聴者を含めた皆で一から作品を作り上げていくプロジェクトのような温かさを感じる」と、綾瀬沙季役の中島由貴は「私たちが感じている楽しさや面白さが、視聴者にも受け入れられているというのは嬉しい」とそれぞれ述べている。
2021年9月に「義妹生活」チャンネルの過去動画全てに英語字幕がつき、さらにスペイン語、中国語、ベトナム語の字幕も追加されていることから、三河は自身のTwitterで「海外のファンも増えている」と述べている。
ノベライズ版・コミカライズ版
2020年4月にYouTubeチャンネルが開設、2020年5月からYouTube動画として投稿されていた本作がノベライズ版としてMF文庫J(KADOKAWA)にて2021年1月から刊行されている。イラストはYouTube版と同じくHitenが担当している。
『少年エースplus』(同)にて奏ユミカによるコミカライズ版が2021年7月より連載されている。また、同月に公式チャンネルにてコミカライズ第1話のボイスコミック動画が投稿された。
あらすじ(ノベライズ版・コミカライズ版)
母の浮気が原因で両親が離婚して以来、女性に対して期待をしなくなっていた高校2年生・浅村悠太は、父親の突然の再婚により義妹となった派手な見た目の高校2年生・綾瀬沙季と出会う。沙季も悠太と同様に両親の不仲を見てきたために男女関係に慎重になっており、このことから二人は互いに適切な距離感で接するように約束を交わし、家族として生活していくことになる。
登場人物(ノベライズ版・コミカライズ版)
声の項はノベライズ版限定の特典PVおよびボイスコミックにおける担当声優。
浅村悠太()
都立水星高校に通う高校2年生の男子生徒。沙季の義兄。校内では他の生徒と距離を取っており、友和以外にまともな友人はいない。書店でアルバイトをしている。
『このライトノベルがすごい!』男性キャラクター部門では2023年版で10位を獲得。
綾瀬沙季()
悠太と同じ高校に通う高校2年生の女子生徒。悠太の義妹。派手な見た目とは裏腹に大人びた性格をしているが、その見た目のせいで校内では浮いている。
『このライトノベルがすごい!』女性キャラクター部門では2022年版で7位、2023年版で9位を獲得。
丸友和()
悠太のクラスメイトで悠太にとっては唯一の友達と呼べる存在。野球部に所属しており、それに加えてオタクでもある。
奈良坂真綾()
沙季のクラスメイトで沙季にとっては唯一の友達と呼べる存在。明るい性格に加えお節介焼きであり、孤立していた沙季にウザ絡みをしていくうちに友達となった。
読売栞()
悠太のバイト先の先輩で大学生。見た目はお淑やかで大和撫子だが、実際は悠太をからかうのが好きで下ネタも平気で口にする。美人なためアルバイト中によくナンパに遭っている。
浅村太一()
悠太の実父で沙季にとっては義父にあたる。
綾瀬亜季子()
沙季の実母で悠太にとっては義母にあたる。
経緯
自身が小説家なこともあり本作をノベライズ化したいと考えていた三河は、知り合いの編集者に本作をアピールし続けた結果、MF文庫Jの担当編集者からオファーを貰うことに成功した。
YouTube版との差異
原作のYouTube版は時系列がバラバラだったが、ノベライズ版では時系列に沿って展開がされている。また、YouTube版では三河曰く「登場人物たちがユーチューバーをやっているイメージ」を描いて作られているが、ノベライズ版では浅村悠太の視点で描かれており、悠太の一人称で物語が進んでいく。
双方の一番の違いはストーリー性の有無であり、ノベライズ版では登場人物の関係性が大きく変化している。また、感情の変化や成長に関してはYouTube版以上にあると三河は述べている。
ノベライズ版ではYouTube版で登場していなかったキャラクターが複数登場している。
反響・評価
ノベライズ版発売後の反響について三河は「想像以上の好評を頂いた」と述べたうえで、「本作はあえて調味料を使わず、素材の味で勝負するような一作であることもあり、一歩間違えれば地味とだけ受け取られ、作品のテーマや日常の空気感を楽しんでもらうという本作の旨味を楽しめない恐れもあった。なので、読者が前向きに作品のテーマに触れてくれてとても嬉しい」とも述べている。
ノベライズ版第1巻が「ラノベニュースオンラインアワード2021年1月刊」の投票アンケートで「総合部門」「萌えた部門」「新作総合部門」「新作部門」の4部門にそれぞれ選出された。
KADOKAWAが運営するライトノベルのレコメンドサイト「キミラノ」が公開した「2021年上半期キミラノおすすめ最強ライトノベル5選!!」に本作が選出された。
『このライトノベルがすごい!』では2022年版で文庫部門7位、総合新作部門3位、2023年版で文庫部門9位を獲得している。同誌イラストレーター部門ではHitenが2022年版で5位、2023年版で4位を獲得している。さらに、同誌2022年版には本作について「義妹との程よい距離感が良い味を出している」とコメントされている。
ライターの飯田一史はリアルサウンドのコラムで「YouTube発の小説」として本作を紹介しており、「ノベライズとして刊行された本作はラノベの読者に好意的に受け入れられている」と述べている。
石井・太田・松浦 (2022)は浅村悠太と綾瀬沙季の二人が家族として暮らしていく過程をリアルかつ丁寧に描いている一方で、過度な溺愛やコメディが描かれていないことによって他のラブコメ作品と差別化が出来ていると述べている。
2023年2月時点で電子版を含めたシリーズ累計部数は45万部を突破している。
既刊一覧
ノベライズ版
- 三河ごーすと(著) / Hiten(イラスト) 『義妹生活』 KADOKAWA〈MF文庫J〉、既刊9巻(2023年8月25日現在)
- 2021年1月25日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-064726-5
- 2021年3月25日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-680326-9
- 2021年7月25日初版発行(7月21日発売)、ISBN 978-4-04-680607-9
- 2021年12月25日初版発行(12月24日発売)、ISBN 978-4-04-681001-4
- 2022年4月25日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-681361-9
- 2022年8月25日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-681656-6
- 2022年12月25日初版発行(12月23日発売)、ISBN 978-4-04-682033-4
- 2023年4月25日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-682404-2
- 2023年8月25日初版発行(同日発売)、ISBN 978-4-04-682764-7
コミカライズ版
- 三河ごーすと(原作) / Hiten(キャラクター原案) / 奏ユミカ(作画) 『義妹生活』 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉、既刊3巻(2023年9月26日現在)
- 2022年4月26日発売、ISBN 978-4-04-112284-6
- 2022年12月26日発売、ISBN 978-4-04-113171-8
- 2023年9月26日発売、ISBN 978-4-04-113914-1
テレビアニメ版
参考文献
- 『このライトノベルがすごい!』編集部『このライトノベルがすごい!2022』宝島社、2021年12月9日。ISBN 978-4-299-02264-6。
- 石井ぜんじ / 太田祥暉 / 松浦恵介『ライトノベルの新・潮流 黎明期→2021』スタンダーズ、2022年1月1日、62-64・246-248頁。ISBN 978-4-86636-536-7。
- 『このライトノベルがすごい!』編集部『このライトノベルがすごい!2023』宝島社、2022年12月10日。ISBN 978-4-299-03647-6。