仮面ライダー (漫画)
以下はWikipediaより引用
要約
『仮面ライダー』(かめんライダー)は、『週刊ぼくらマガジン』および『週刊少年マガジン』に連載された石森章太郎(石ノ森章太郎)の漫画。
概要
1971年に特撮テレビ番組『仮面ライダー』の放映に先行し、講談社の『週刊ぼくらマガジン』にて連載を開始。同誌の廃刊後は掲載誌を『週刊少年マガジン』に移した。
一般的には原作版と呼ばれることが多いが、厳密には本作品の映像化としてテレビ版が制作されたのではなく、その企画を元に執筆されたメディアミックスにあたる。石ノ森が原作者名義となっているのは本作品の執筆だけではなく、企画段階で設定とキャラクターデザインを提供したことなどによる。ただし、公式資料や関連書籍においても原作版と表記されることがある。
テレビ版では語られなかった設定や異なる部分が多く、ストーリーも序盤はテレビ版に準ずるものだが、中盤以降は独自の展開となっている。改造人間の苦悩や、単なる悪の組織ではないショッカー、現代にも通じる社会風刺など、石ノ森テイスト溢れる内容となっている。
『ぼくらマガジン』時代は大きなコマを多用した迫力ある描写が重視されたが、『少年マガジン』時代ではストーリーが重視されてコマ割りも細かくなっている。
ショッカーの大規模計画が仮面ライダーに阻止される第6話「仮面の世界」で連載は終了し、ショッカーとの決着や本郷猛と一文字隼人の行く末は語られない。その後、本郷と一文字の物語は石ノ森によって描かれることはなく、作品展開はすがやみつるなどの彼に従事した漫画家たちによって、テレビ版に準じた展開で引き継がれていくことになる。
2004年には、本作品の続編とされる小説『仮面ライダーEVE-MASKED RIDER GAIA-』が早瀬マサトによって発表されている。
連載経緯
テレビ版の企画が進められていた1970年12月末、毎日放送から石森による漫画連載が要望された。これを受けた石森プロの加藤昇は『週刊少年マガジン』編集長の内田勝へ連絡を入れるが、彼は家族旅行に出ており、年明けまで不在の予定となっていた。しかし、加藤は八丈島の内田の宿泊先を突き止め、連載の確約を取り付けた。
年度初めでは新連載が多いためにページ数が取れず、『マガジン』本誌ではなく『週刊ぼくらマガジン』での連載となった。これについて加藤は、ページ数が取れたので結果的に良かったのではないかとしている。
石森は仮面ライダーは肉体が変化した姿と想定していたが、テレビ用に決定されたデザインは服を着ているようにしか見えなかったため、本作品では改造された姿を隠すために仮面を被っているという設定を加えた。
登場人物
声の出演はまんがビデオ版のもの。
仮面ライダーとその協力者
本郷 猛 / 仮面ライダー1号
声 - 藤岡弘、
富豪・本郷家の御曹司にして城北大学生物学研究室の学生。25歳。ショッカーによってバッタの改造人間に改造されるが、脳改造の直前に緑川博士の手引きによって逃亡する。感情が高ぶると改造手術によって生じた醜い傷跡が浮かび上がるため、仮面で隠している。「仮面ライダー」として戦うようになってからは本郷家の財産を使い、ショッカーと戦うための研究所を設立する。
ショッカーライダーとの戦いで命を落とすが脳死には至っておらず、まもなく研究所のカプセル内に保管された脳髄のみで生き続けることとなる。そこから一文字とテレパシーで交信することで状況を把握し、時には彼に助言を与えたりもする。終盤には飛行能力を有する機械の身体に脳髄を移して前線へ復帰し、一文字や滝と共に戦う。
一文字 隼人 / 仮面ライダー2号
声 - 小野寺丈
第4話で本郷の前に現れた青年。本郷との初対面時には毎朝新聞記者を名乗るが、それは彼に近づくための詐称であり、正体は本郷抹殺の命を受けたショッカーの戦闘員(コンバットマン)にして、ショッカーライダー12人のうちの1人でもある。腕の改造手術の傷跡で気づかれた後の戦闘中に頭部へ仲間の銃弾を受けたことで洗脳が解け、他の11人を全滅させる。その後は本郷の遺志を継いで第二の「仮面ライダー」となり、ショッカーと戦う。なお、ショッカーライダー当時に使っていた銃は、仮面ライダーとして戦うようになってからは一度も使っていない。
テレビ版と同様にフリーのカメラマンを生業としているが、本作品では広島原爆を題材にした写真集『黒い雨を追って』を出版した身でもあるなど、テレビ版以上に明確に設定されている。
緑川博士
声 - 納谷六朗
本郷の恩師。ショッカーに強制されての協力中に本郷を手引きして共に脱出するという役どころはテレビ版と同様であるが、本作品ではより意志の強い人物として描かれている。脱出計画の一環として本郷を改造人間に推薦し、彼が改造される前に共に脱出する予定が改造された後となってしまったことを、後悔している。本郷と共にショッカーと戦う決意を固めていたが、50号倉庫でくも男に裏切り者として抹殺される。
立花藤兵衛
声 - 糸博
先代当主である本郷の父の代から本郷家に仕えている執事。禿げ上がった頭部に白髪の口髭をたくわえ、剣道5段の腕前を持つ。先代当主からの財産を本郷に渡し、彼に仕える。漫画版『仮面ライダーアマゾン』にも登場する。
緑川 ルリ子
声 - 島本須美
緑川博士の娘。城北大学1年生。当初は緑川博士を殺したのは本郷だと誤解して彼を憎んでいたが、真相を知ってからは本郷に協力するようになった。くも男に襲われたり、バット=ウイルスで吸血鬼化したりと、災難が多い。仲間の誤射で頭部を負傷したことで洗脳が解けながらも死にかけている一文字を手当てしたことで彼の命を救う。本郷の死を境に登場しなくなる。
本郷邸研究所所員
滝 二郎
声 - 内田直哉
FBI捜査官。テレビ版の滝和也に相当するが、容姿は異なる。ショッカーの計画を捜査中に一文字と出会い、それ以降は共同戦線を組む。ニヒルで不敵な性格に見えるが、白血病の少年・浩二の容態を見てショッカーの医学者をさらってくることを提案したり、単身でショッカー基地に侵入しようとする一文字を止めようと説得を試みるなど、正義感の強さも見せている。最後は復帰した本郷に助けられ、脚を負傷しつつもショッカー基地から生還する。
浩二
声 - 小林優子
両親の被爆のために白血病を被っている少年。そのため、短い余命の中で一文字のことを慕っており、彼が見舞いに訪れるたびに痩せ我慢して元気に振る舞っている。一文字はショッカーのアジトから医者をさらうなど浩二のために奔走するが、一文字がショッカーの巨大計画から戻ってきた時には、浩二は息を引き取っていた。
順子
日下 礼奈
ショッカー
世界征服を目論む謎の秘密結社。混沌とした世界に革命を起こし、平和と秩序ある世界の構築を掲げる世界規模の革命集団とされるが、実体は自らを選ばれし者と自負する選民思想結社で、世界各地に拠点を持ち、そこで選ばれた人間だけをスカウトや拉致などで組織に加え、組織の改造人間たちがそれ以外の人間を家畜のように支配する独裁社会の構築を目論む。
※作中で名前が明かされていない者は、『石ノ森章太郎キャラクター図鑑 Volume 002』(2001年、ぶんか社、ISBN 9784821107247)に準じた。
総統「ショッカー」
くも男(蜘蛛男)
こうもり男(蝙蝠男)
ショッカーライダー
声 - 伊崎寿克
死と裏切りを指す「13」人目の本郷を抹殺するために造られた、一文字を含む12人の仮面ライダー(改造人間部隊)。腕と脚に白いラインが入っていることを除き、全員が本郷と同等の仮面ライダーとしての性能や容姿を有しており、エンブレムのないサイクロン号と同じ外観のオートバイを使用する。また、サーベルやレーザーガンで武装している。
12人での初戦では本郷を取り逃がしたため、一文字が本郷をおびき出し、残る11人が一斉に襲撃する。一部の者が本郷に倒されながらも変身する隙を与えず、残りの者が巧みな連携で追い詰めて一斉射撃で本郷を抹殺した後、洗脳が解けた一文字によって全滅させられる。
「集団で登場する敵方の仮面ライダー」という発想は、テレビ版のショッカーライダー6人という形で映像化されている。また、「主人公とその敵の仮面ライダー12人」という配置は、平成シリーズの『仮面ライダー龍騎』に使用されている。
カニ男(クラブマン)
毒蛾怪人 / 千草
ジャガーマン(ヒョウ男)
戦闘員(コンバットマン)
声 - 櫻井孝宏
怪人の指揮下にいる改造人間。ヘルメットとマシンガンで武装している。指揮する怪人(蜘蛛男やコブラ男など)によってコスチュームが異なるほか、第1話には特定の怪人に所属していないと思われる者も登場している。
ビッグマシン
声 - 渡部猛
「10月計画」の大幹部でコンピューター怪人。目から機械を狂わせる特殊超音波を放ち、飛行能力を持つ。全身が機械化されている。日の下電子を利用した果てに自らの特殊超音波を本郷に利用されて基地のコンピューターを破壊してしまい、地底基地の爆発に巻き込まれる。死亡したと思われていたが、『仮面ライダーEVE』にて再登場している。
ビッグマシンに関連するキャラクター・兵器
地獄大使
テレビ『仮面ライダー』に登場するキャラクター(ショッカーの大幹部)。デザインはビッグマシンがベースとなっている。
ザンジオー
映画『仮面ライダー対ショッカー』に登場するキャラクター。蛇腹状のデザインはビッグマシンがモチーフとなっている。
ベアーコンガー
テレビ『仮面ライダー』に登場するキャラクター。単眼のデザインはビッグマシンがモチーフとなっている。
ビッグマシン
映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』に登場する同名の兵器。名前の由来は、本作品のビッグマシン。
OOOOOO(ヘキサオーズ)、ショッカー首領
それぞれ、ジオラマ小説『S.I.C. HERO SAGA KAMEN RIDER OOO EDITION -OOZ-』『S.I.C. HERO SAGA MASKED RIDER DEN-O 『ロスト・トレイン』』に登場。それぞれビッグマシンと同様の能力を使用する。
ビッグマシンに関連するキャラクター・兵器
地獄大使
テレビ『仮面ライダー』に登場するキャラクター(ショッカーの大幹部)。デザインはビッグマシンがベースとなっている。
ザンジオー
映画『仮面ライダー対ショッカー』に登場するキャラクター。蛇腹状のデザインはビッグマシンがモチーフとなっている。
ベアーコンガー
テレビ『仮面ライダー』に登場するキャラクター。単眼のデザインはビッグマシンがモチーフとなっている。
ビッグマシン
映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』に登場する同名の兵器。名前の由来は、本作品のビッグマシン。
OOOOOO(ヘキサオーズ)、ショッカー首領
それぞれ、ジオラマ小説『S.I.C. HERO SAGA KAMEN RIDER OOO EDITION -OOZ-』『S.I.C. HERO SAGA MASKED RIDER DEN-O 『ロスト・トレイン』』に登場。それぞれビッグマシンと同様の能力を使用する。
サブタイトル
単行本
- 少年マガジンカラーコミックス(講談社)全5巻
- サンコミックス(朝日ソノラマ)全4巻
- サンワイドコミックス(朝日ソノラマ)全2巻
- 愛蔵版(中央公論社)全1巻
- 中公文庫(中央公論社)全3巻
- 石ノ森章太郎選集 Shotaro World(メディアファクトリー)全3巻
- ChukoコミックスLite(中央公論社)全4巻
- 角川マンガ(角川書店)全2巻
- 石ノ森章太郎萬画大全集(角川書店)全3巻
- My First BIG SPECIAL(小学館)全2巻 ※第2巻に『仮面ライダーBlack』第1話を併録
- 秋田文庫(秋田書店)全2巻
- 仮面ライダー 1971 《カラー完全版》BOX(復刊ドットコム) ※幼年誌で連載された物とレコード用の漫画版を併録
メディアファクトリー・角川書店・小学館・秋田書店、復刊ドットコムからは、従来の単行本に未収録の原稿を追加した完全版として発行された。
まんがビデオ
1999年12月3日に発売。原作漫画をデジタル加工で編集し、吹き出しに音声が加えられた映像作品。ナレーションは納谷六朗が担当。 収録内容は「怪奇蜘蛛男」、「13人の仮面ライダー」、「仮面の世界」の3つ。他の話は、ナレーションによって要所のみ挙げられる。
関連作品
- 仮面ライダー対じごく大使 - 本作品最終章を原作とする映画作品。
- 仮面ライダーアマゾン - 同作者による『仮面ライダーアマゾン』の漫画作品。本作品と同デザインで立花藤兵衛が登場。
- 仮面ライダーアギト - コブラ男・へび女メドウサをモチーフにした男女の蛇怪人が登場する。
- 仮面ライダー THE FIRST - 本作品を原作とする映画作品。
- スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号 - 『仮面ライダードライブ』放送時の春映画。立花藤兵衛の設定や本郷家の地下など本作品を意識した設定が登場する(ただし、どちらもショッカー側の嘘であった)。
- 仮面ライダーEVE-MASKED RIDER GAIA- - 本作品の続編である小説。
参考文献
- 大全集シリーズ(講談社)
- 『創刊15周年記念 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー大全集』講談社、1986年5月3日。ISBN 4-06-178401-3。
- 『テレビマガジン特別編集 変身ヒーロー大全集』講談社〈大全集シリーズ〉、1995年11月30日。ISBN 4-06-178419-6。
- 石ノ森章太郎『石ノ森章太郎 変身ヒーロー画集 -Before 1975-』ジェネオン エンタテインメント、2004年3月24日。ISBN 4-89452-797-9。
- KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー(講談社)
- Vol.9《仮面ライダースーパー1》、2004年9月10日。ISBN 4-06-367090-2。
- 特別版 Vol.1《ショッカー》、2005年9月22日。ISBN 4-06-367099-6。
- TARKUS 編『仮面ライダー大研究』二見書房、2007年6月5日。ISBN 978-4-576-07090-2。
- 『仮面ライダー1971-1984 秘蔵写真と初公開資料で蘇る昭和ライダー10人』講談社、講談社、2014年11月20日。ISBN 978-4-06-218566-0。
- 『創刊15周年記念 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー大全集』講談社、1986年5月3日。ISBN 4-06-178401-3。
- 『テレビマガジン特別編集 変身ヒーロー大全集』講談社〈大全集シリーズ〉、1995年11月30日。ISBN 4-06-178419-6。
- Vol.9《仮面ライダースーパー1》、2004年9月10日。ISBN 4-06-367090-2。
- 特別版 Vol.1《ショッカー》、2005年9月22日。ISBN 4-06-367099-6。