9番目のムサシ
漫画
作者:高橋美由紀,
出版社:秋田書店,
レーベル:きらら16コミックス,
発表期間:1996年4月15日 - 2007年2月6日,
巻数:全21巻,
話数:全105話,
漫画:9番目のムサシ ミッション・ブルー
作者:高橋美由紀,
出版社:秋田書店,
掲載誌:ミステリーボニータ,
レーベル:ボニータ・コミックス,
発表期間:2007年4月6日 - 2010年4月6日,
巻数:全8巻,
話数:全37話,
漫画:9番目のムサシ レッドスクランブル
作者:高橋美由紀,
出版社:秋田書店,
掲載誌:ミステリーボニータ,
レーベル:ボニータ・コミックス,
発表期間:2010年10月6日 - 2014年11月6日,
巻数:全12巻,
漫画:9番目のムサシ サイレントブラック
作者:高橋美由紀,
出版社:秋田書店,
掲載誌:ミステリーボニータ,
レーベル:ボニータ・コミックス,
発表期間:2015年3月6日 - 2019年12月6日,
巻数:全15巻,
漫画:9番目のムサシ ゴースト アンド グレイ
作者:高橋美由紀,
出版社:秋田書店,
掲載誌:ミステリーボニータ,
レーベル:ボニータ・コミックス,
発表期間:2020年1月6日 -,
巻数:既刊12巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『9番目のムサシ』(きゅうばんめのムサシ)は、高橋美由紀による日本の漫画作品。
続編として『9番目のムサシ ミッション・ブルー』、『9番目のムサシ レッドスクランブル』、『9番目のムサシ サイレントブラック』『9番目のムサシ ゴースト アンド グレイ』がある。本稿ではこれらの作品についても併せて取り扱い、『9番目のムサシ』を「第1シリーズ」として、それぞれの続編を「第2シリーズ」「第3シリーズ」「第4シリーズ」「第5シリーズ」として解説する。
シリーズ概要
別名「闇の国連」と呼ばれ、地球の秩序を陰から維持すべく活動し、世界を破滅の一歩手前で守る秘密組織「ULTIMATE BLUE(アルティメット・ブルー / 通称「UB」)」の超精鋭と謳われる女性エージェント「-MUSASHI No.9-(9番目のムサシ)」の愛と戦いの物語。
1996年に刊行されたボニータ増刊『ボニータ special』(秋田書店)に掲載された読み切りの短編を第1話としてシリーズをスタート。
同年に秋田書店から新創刊された『きらら16』にて連載を開始し、1996年5月号(創刊号)から1998年9月号まで掲載。1999年5月号をもって同誌が休刊となったため、後に『ミステリーボニータ』(同社刊)に移籍。『ミステリーボニータ』にて1999年3月号から2007年3月号まで連載された。単行本は「きらら16コミックス」より全21巻、文庫版は「秋田文庫」より全10巻が刊行された。なお、文庫版では「DUTY」から「MISSION」へと変更されている。
第2シリーズである『9番目のムサシ ミッション・ブルー』は、同誌『ミステリーボニータ』に2007年5月号から2010年5月号まで連載された。単行本は「ボニータ・コミックス」より全8巻。篠塚と慎悟が2人で生きることを選択した際、山の冬枯れのススキの中で約束を交わしたことが最終章で明かされた。
第3シリーズである『9番目のムサシ レッドスクランブル』は、同誌『ミステリーボニータ』にて2010年11月号から2014年12月号まで連載された。単行本は「ボニータ・コミックス」より全12巻。前半は慎悟が出て来ず、後半は慎悟をメインにして篠塚が殆ど出ずに顔を描くことすら徹底的に避けていた。篠塚に中身や経歴が酷似した暗殺者DIVと慎悟のつかの間の友情が描かれる。サブキャラクターだった慎悟が「もう一人の主人公」に昇格した。本シリーズは連載中の作者の別作品『天を見つめて地の底で‐新章‐』を中断して開始され、『天地』の連載再開を予定した2011年(平成23年)の春以降も超過して連載が続行され、完結するまで『天地』に4年にもおよぶ空白を齎した。
第4シリーズである『9番目のムサシ サイレントブラック』は、同誌『ミステリーボニータ』にて2015年4月号から2020年1月号まで連載された。サブタイトルの「ブラック」は“闇の国連”や篠塚の黒髪を指している。レッドスクランブルの始まりがハード系(行動)だったため、ブラックの始まりはソフト方面(精神)でとのこと。外交官にひき逃げされた親友の仇討ちを願う少年・慶太が慎悟の弟分のような存在に。慶太と共に「JBF」の虜囚となった篠塚の居場所をイックたちに教えた「9の昔馴染み」などの謎が残された。単行本は「ボニータ・コミックス」より刊行。全15巻。
第5シリーズである『9番目のムサシ ゴースト アンド グレイ』は、同誌『ミステリーボニータ』にて2020年2月号より連載開始。本シリーズより「シリーズ」から「シーズン」に変更された。サブタイトルが付けられる。1ヵ月前と1ヵ月後が交互に描かれる。
現実での出来事
2019年6月8日から23日にかけて大阪・日本橋の画廊モモモグラで開催された『ミステリーボニータ』の合同原画展「異端かつ最先端の少女まんが誌〜ミステリーボニータ原画展〜」に、本作が参加。展示されたのは同誌で活躍している5作家6作品で、本作はそれに選ばれている。
2021年にシリーズが25周年を迎えることを記念して、『ミステリーボニータ』2021年1月号にカラーイラスト集が付属した。
あらすじ
地球の秩序を維持すべく日夜活動し、世界の「破滅を防ぐ最後の一線」である秘密組織「UB (Ultimate Blue)」の存在が各国の情報機関の間で密かに「伝説」として語られていた。当の情報機関の人間ですら「闇の国連」と呼ばれる謎の機関の存在を信じておらず、争いの絶えない世界の平和を求める願望が生み出した幻想でしかないと考える人間が過半数を占めていた。しかし、人類の歴史を陰から支える「究極の青」を冠した組織「UB」は実在していた。いつ何処で誕生したのか、誰が作ったのか、本部は何処にあるのかを知る者はなく、性別・年齢・人種・国籍・人数・所在は不明、老人から赤児まで揃っており、メンバーは世界に散らばり活動していた。9人のトップナンバーが組織を運営し、一人でも世界を動かすことが可能だと言われている。事件で「UB」に遭遇した者は問いただされても答えず、彼らの活動の障害になるまいと沈黙を守るのだった。トップナンバーの一人、アジアを担当する篠塚高 (No.9) はある任務でごく普通の少年・橘慎悟と出逢う。機械の如く冷徹に任務を遂行して心を凍てつかせた彼女は打ち消そうとしても消えぬ想いに戸惑い、エージェントしての自身と女性としての心の間で葛藤し、また、慎悟も「世界を守る者」として異なる世界を生きる篠塚に対する想いに苦しむのだった。当初は慎悟を排除しようとした篠塚の部下イック (No.19) や同じトップナンバーのNo.7は徐々に慎悟は篠塚に必要な存在だと認識が変わり、別れと再会を経て、イックの説得と外部組織となる「Ω」の理解と協力により2人は結ばれた。それ以降も過酷な任務と数多の困難に見舞われる中、殺戮と破壊を繰り返しては「世界の秩序を乱す者の処刑」という名目で自分たちの犯罪行為を正当化し、恐怖により支配しようと企む世界最古の暗殺組織「煌龍」が現われる。お互いに自分たちを「正義」と信じて激突する2つの相容れぬ巨大組織、その暗闘の行方は誰にもわからない。
登場人物
主要人物
No.9
本作の主人公。コードナンバー「一桁」と呼ばれる「UB」最高部の一人。高身長・ハスキーボイス・大胆すぎる行動で男性だと看做される女性コマンドー。UB日本支部の司令官で、アジア全域を担当する。第1シリーズの「DUTY23:白の里」では「獅子」、第3シリーズの「Mission1」では「虎」、第4シリーズでは「ユニコーン」「月の女神」にたとえられる。任務でしか接触することのない事件関係者に「夢の中の住人」と評される。物語開始当初は事件に巻き込まれた人間の目の前で敵の首をかき切って処刑することもあったが、徐々に事件関係者の心情や精神状態を考えて可能な限り捕縛に努め、処刑はやむを得ない時に留めるようになった。
初登場時は16歳。卒業試験は10歳。イック (No.19) たち「影」との初対面の時は13歳。
IQは200以上あるとされる。主に通称使用の「篠塚高」を名乗り、組織内ではコードナンバーで呼び合う。コードネーム「ムサシ」はほとんど使われない。しかし、初期は2つ以上の偽名を使用していたが、第2シリーズの「MISSION2」以降は女性としての任務および過去編は「篠原桂」に統一された。
先の先まで読んで的確に判断して行動し、危機が訪れても想定内であり、優越感に浸る敵を掌の上で踊らせて壊滅させる。真の意味で窮地に陥ったことは少ない。常に潜入先で任務に都合の良い人間関係を構築し、任務の妨げになりそうな人物は詐術・脅迫・トラブルを放置した末に救助して籠絡するなどの計算高い思考・手段に偏りがち。しかし、自他共に感情に疎くて筋金入りの天然ボケと世間一般の常識を知らないことが祟り、照れ隠しの言動を敵愾心だと勘違いしたり、火の粉を払っているだけのつもりで派手な対処が評判を呼んでしまい、戸惑いつつ想定内でも計画変更を余儀なくされることがある。また、自身の威圧感に対する反発や無自覚の恋愛感情が原因で新たなトラブルが生じることもある。それでも大抵のことは見通してしまうため、リスクを承知で行動したり、気がついたら身体が動くということとは無縁である。同格のトップナンバーであるNo.7すら顎でこき使う。人間離れした美貌と普段は気配を消して自身を抑えているので「クールな人間」としか映らないが、圧倒的な存在感と押し潰されるような威圧感ゆえに協力関係にある者にさえ恐怖心を抱かせる。
管轄である「アジア全域」のどこかを出生国とするが、自己申告によれば日本人とのこと。初対面の相手には男性と誤解され、童顔で同じ日本人の目から見ても全体的に幼い外見をしていて、成人後も16歳くらいの容姿端麗な少年だと思われてしまうが、ドレスアップすると一転して絶世の美女に変身する。任務先で異性・同性を問わずに恋情と敵愾心を出会う相手に生じさせてトラブルを起こし、任務に支障を来たすこともある。羞恥心が無いので裸を見られても平然としており、屋内外や人目を気にせずに着替えて周囲を混乱させてしまう。そう見える描写ではなく服を着ている時は本当に胸が無いが、脱ぐと女性だと認識し得るボリュームがある。
基本的にセミロングで、第1・第2シリーズでは左分け、第3シリーズでは分けずに下ろして前髪を作り戦闘時だけでなく普段でもより一層ボサボサになった。任務に応じてウィッグを着用したり、髪を切ったりする。たまに描かれる過去編ではおかっぱ。なお、第1シリーズで慎悟の許を死を偽装して去ってから再会するまでの歳月と共に、ショートヘアからミディアムを経て元のセミロングに戻るまでの過程が描かれた。第4シリーズで「JBF」が開催したオークション以降、手首に隠し持っていたヘアゴムでハーフアップにしている。
潜入先で最初は異質さを感じてもあっという間に融和して一員と化す。目立つことをして浮いて余計な反感を買わないよう、一般の揉め事に関与せずに済むよう、円滑な任務の遂行のために勉強も運動もほどほどの特筆すべき優れた点の無い「普通の人間」という人物設定を演じる。しかし、任務に忠実なあまり、自身の人物設定が男女どちらでも警護対象者がトイレにいる場合、男子トイレは人が来ないから聞かれたくない話をするのに適していると警護対象者との会話の場所として選択したり、見守っているつもりで覗きをする奇行は要対象者と居合わせた無関係の人間にとっても頭痛の種である。命令を下すだけでは退屈で動き回ることが好きであり、一部の部下が共犯となってイックの目を盗んで単独行動を好む。第1シリーズの最終章ではイックたちと共に作戦を実行したが、第2シリーズ以降の最終章では命令するだけでは退屈という指揮官にあるまじき性情ゆえに単独行動を取るようになり「影」の中でも一番心労に苛まれるイックに帰還するまで直接留守を頼むことすら省略して彼に心臓が潰れるほどの心労を強いる結果を齎す作戦を選択する。そのため、解決した事件の過半数がトップナンバーが出張る必要性の無いもので占められている。相手の自身を守ろうとする行為は成否に関わらず喜ぶも自身が守られることは考えていない。重責と孤独に押し潰されぬよう要求される精神力は計り知れず、自身でも気づいていない絶対的な孤独を秘めていることは慎悟しか知らない。
心を開いて大切な存在が出来ても失うことの恐怖と周囲が眉をひそめるほどに冷徹に任務を遂行すべく機械に徹するあまり心を凍てつかせ、また、誰も寄せつけようとせずに警護対象者にすら厚い壁を作り、他人と深く関わることを徹底的に避けていた。機械の如く無表情だったことを知る片腕のイックも旧知のNo.7も慎悟と出逢う前は「泣きも笑いもしないロボット」と評しており、慎悟が引き出した「初めての笑顔」を目の当たりにして彼らは驚いた。一桁の自分たちが誰かを愛すれば相手の危険を増やすことになるため、安息を与えてくれるとしても恋人を持つべきではないと考えていた。しかし、慎悟に対する恋心を消そうとしても消すことが叶わぬ程に深く動揺しており、教室を飛び出した慎悟の後を追うも声をかけることが出来ずにいた際、校内の誰かに隠し撮りされていたことに気づかなかった。地下に潜ったローが動き始めたころ、人間らしさを否定して「DUTY12:果てしなき日々への追憶」で自身の爆死を偽装して慎悟を捨ててしまう。しかし、イックの説得と友人となった「Ω」の協力により女性として愛する慎悟を受け入れ、生きる世界の境界を飛び越えて心に寄り添う彼の愛にやすらぎを得た。しかし、自身の美貌は武器になるという意味では自覚しているが、女性としての自己評価は低くて慎悟という恋人が出来ても自身は恋愛や性欲の対象にはなり得ないと思い込んでいる。
弱点などあってはならないトップナンバーとして慎悟を殺してでも任務を遂行するとエージェントとしての己を頑なに貫き、愛する慎悟のことしか頭に無い女性としての心という矛盾を抱えている。また、前向きとは言いがたい側面があり、第1シリーズの「DUTY11:慎悟の選択」や「DUTY23:白の里」で慎悟の死亡確率や任務内容により自身が彼の許に戻れる確率を「UB」のデータファイルにアクセスして算出する姿がある。第2シリーズの最終章でも危険性が低いと判断した任務に誘い「元の世界に戻った時の役に立つ」と口にしており、「煌龍」の動きを知ると日本国外の管轄内に安全な部屋を用意して慎悟を隔離しようとした。その一方で、2人のルールに則り、自らの体内で殺人ウィルスを葬り去る作戦でワクチンが間に合わなかった場合は慎悟に自身を殺させてその死後は「死ぬよりつらい生」を元の世界に戻って生きることを承知させた。しかし、第4シリーズに至っても慎悟の人生を狂わせて不幸にしてしまったという思いが拭えず、自身を狙う「JBF」の毒で窮地に陥る彼を想い「私と共にいる限り、慎悟から危険が去ることはない。一緒にいることは正しいことなのか?」とDIVが慎悟を裏切った動機と同じ弱音を漏らす。慎悟を救うために「JBF」に囚われながらも共に人質となった慶太に反撃を宣言したころ、1年前の「DIV爆死」の裏側でDIVや「異端のD」と結託していたことが発覚する。前シリーズの最終章で「赤い馬」壊滅という任務を遂行するからにはDIV確保は任務内であるにも関わらず、個人的な理由で部下に危険な命令は下せないと「異端のD」を呼び寄せ、DIVが自殺するつもりだと察していながら事前に手を打てたはずを説得して制止しようとせず、彼の自爆直前まで放置していた。それ以降も慎悟からの逃避しか考えない頑迷なDIVの言いなりになりDIV生存の隠蔽および爆死偽装に協力し、DIVがかつての自身と同じ過ちを犯していると知りながら彼の依頼を拒絶することなく誰よりも裏切ってはならない慎悟を裏切ってしまう。また、他人を信じていないことと過去に慎悟のことでイックに罠に嵌められたこともあり、DIVの生存はイックにも隠していた。満月の夜に開催された自身を「商品」とするオークションを失敗に追い込み、三日月の夜に虜囚となってから一巡りして再び三日月になった夜、不審船の接近と世界中の海軍の動きにより我を失ったレイヴンが深夜に部屋に乗り込んで来た際、肉体のパーツを脅しに使おうとした彼に左半分の髪を切り取って差し出し不敵に微笑む。不揃いのため、残り半分の髪も切りショートヘアになった。レッドスクランブル「Mission7」の刑務所潜入の際にも反対するのが明白なイックに直前まで報せようとしなかったが、今回も同様に直属の部下である分身の「影」を蚊帳の外に放り出し、同格のNo.7に事前に計画の全容を打ち明けて協力を依頼し、元「赤い馬」のフランツと「異端のD」による「JBF」壊滅の作戦を決定していた。DIVの爆死偽装に加担したことは間違いだと気づいたが、1年前からのDIVの生存情報隠蔽は過ちだとは認識できず、イックたち「影」を「JBF」壊滅作戦から完全に排除したことも含めて直接謝罪することはなく、No.7に伝言とフォローを事前に依頼した。DIVの件に続き個人的な理由だと「JBF」を壊滅させる際に自身を含めた人質奪還をもイックたち「影」に隠蔽して実行から完全に外して従わざるを得ない状況に追い込み、計画の全容を知って当然の「影」に隠蔽し、部外者の「異端のD」と指揮を任せたフランツが詳細を知るという現状の原因となる。我妻和樹をNo.101と入れ替わらせ、彼以外のUBメンバーを参加させることなく部外者の「異端のD」に協力を依頼した。イックたちを騙して情報を隠蔽したのは「JBF」壊滅後に彼ら「影」を任務の中核から外してDIVと「異端のD」を直属の部下とするためだったからであり、イックたちを任務から遠ざけながら自身は危険を犯して信頼を裏切り個人プレーに走ってしまう。しかし、潜入任務の部下の存在は知らせても入れ替わりの事実は隠蔽したままであり、組織的な協力が必要であるにも関わらず、部外者の「異端のD」を動員し分身とも言うべき「影」は個人の事情だから論外と排除した。「JBF」壊滅後、DIVと「異端のD」を自らと共闘するメンバーとして迎え慎悟の警護とした。
橘慎悟(たちばな しんご)
本作のもう一人の主人公。篠塚高 (No.9) の恋人でありイック (No.19) の親友でもあり、「コード405」と呼称される。初登場は第1シリーズの「DUTY7:メッセージ」。未だに高校生に見られてしまう童顔が悩みの種であり、任務に都合が良いからと同じ童顔でも気にしない任務仕様の思考の篠塚に言われると一番こたえる。「DUTY32:標的」で囮を務めてNo.7と彼女の部下に「UBメンバーと同様の働きをしている」と高く評価され、「煌龍」の情報収集と総帥の正体を暴くことに貢献したことで「UB」に必要不可欠な存在と認識されている。詳細は不明だが、「UB」の訓練を受けている。作者は、文庫版第2巻のあとがきで「究極のパートナー」と呼ぶ。初登場時は17歳で、篠塚より1歳年上である。趣味はDVD鑑賞。職業はフリーター。篠塚と共に生きる自身もまた彼女と同様に「夢の中の住人」と評される。
繊細な心を有しており感情表現が豊かでストレートな性格だが、篠塚の立場と「UB」の特性ゆえに自重自戒を常に心掛けている。写真を持つことすら許されず2人だけの約束事は何かある度に増えてゆく。篠塚の負担を増やすことを怖れて任務の支障になるなら自身を切り捨てることを篠塚に求め、自身が篠塚に出逢って救われた1人であるため、彼女にもしものことがあれば未来に救いを必要とする人々を犠牲にすることになると考え、そうならないよう遵守を約束させた。
凍てついた篠塚の心を溶かし、ゆったりとした時間・心地よい空気・任務を忘れられる深いやすらぎを誰よりも必要とし、欲しても知らずにいた篠塚に「それら」を与え、また、彼女の「帰る場所」である。その人間性は篠塚を魅了し、ともすればUBメンバーが見失いがちな「人の心」を取り戻させる力がある。篠塚にとって恋人というだけではなく友人であり、家族でもあるというすべてを兼ね備えた存在である。篠塚の無自覚の孤独に気づき、少しでも癒そうと努力を重ねる。目には見えず、自覚することは難しい「人に力を与える」能力があり、相手の中にある力を引き出すことが出来る。篠塚やDIVの干渉により自身には何の力も無いと思い込んでいるが、篠塚曰く「自己嫌悪に陥っても本来の自分自身に戻れば私(=篠塚)も勝てない」という神の如く崇められ「伝説」と呼ばれる篠塚も「死神を殺す死神」DIVも敵わない最強の存在。
小学生のころに事故で両親を失い、兄弟姉妹は無く親戚とも疎遠であるため、天涯孤独の身である。同じ病院で誕生した兄弟のような幼馴染・嶋田良一を武器密輸を規制しようとする議員の暗殺に巻き込まれて殺され、犯人・竜童を捕縛すべく潜入した篠塚と出会い、やがて愛し合うようになる。
竜童に狙われた際に篠塚により実戦に即した護身術と対処の仕方を仕込まれ、そこら辺のチンピラ風情では太刀打ち出来ない「化け物」と恐れられる実力の持ち主。UBトップナンバーの恋人という立場上、セキュリティの厳重な住居に住み、他者とは深く関わることを避けて行動も制限されることで篠塚からは「ガラスの城の鳥」と評される。一つ所には長くは留まれず居を転々としており、周囲には普段は日常を尊重してゆるやかな配置で有事の際は安全優先に切り替わる身辺警護のUBメンバーが取り巻いている。自身の食い扶持くらいは自分自身で賄いたいし、普通の生活から引き離してしまったと根強い罪悪感に苦しむ篠塚を少しでも安心させたくて彼女の在宅時もバイトに勤しむ。運転免許証の有無は不明ながら、車の運転が出来る。
第3シリーズの最終章「Mission8」で篠塚を「UB」のエージェントだと知らずに暗殺を企む「赤い馬」の暗殺者DIVを人間に戻したいと篠塚の了解を得て彼女と別れ、ドン・バハモンテに従うDIVと行動を共にして幹部派の「氷の兄弟」DVIとDVIIの攻撃からDIVを庇って重傷を負い死線をさ迷う。廃村に戻り再び2人で暮らし始めるもDIVに裏切られ、彼に呼ばれて連れ戻しに来た篠塚の拘束とDナンバーからの逃走手段ではなく自身がDIVを追って戻れないよう動きを封じる檻として電車に押し込められ、死ぬまで命を狙われ続けても共に生きる勇気と覚悟の無いDIVがDナンバーを道連れに自殺したことによる騙し討ちの別れに心に深い傷を負う。DIVが「異端のD」と共に元「赤い馬」の幹部を処刑しにアメリカに渡ったころ、食事も眠ることも起き上がることも出来ずに衰弱する一方であり、スケジュールを調整した篠塚の看護で2ヶ月余を経て通常の生活を送れるようになるが、トラウマは自身でも気づかぬほどに心の深い部分に闇を生み出してPTSDによるフラッシュバックに苛まれる。
第4シリーズで親友の仇討ちを願う慶太を鍛えることで回復に向かっていた所に「異端のD」の1人であるセロ(DIV)に「DIVは死んだ」と告げられてショックは受けても信じず、当初から感じていた懐かしさが強まり2度目の会話で完全にDIVだと看破し、生存に安堵すると共に死を偽装してまで自身から遠ざかろうとしたことに傷つく。そのため、猛毒で死の間際に追い込まれて体調が思わしくない上に慶太と共に篠塚が「JBF」に囚われたこともあり、篠塚が敵地にある自責の念とDIVに対する不信に囚われてしまう。それに追い打ちをかけるように篠塚が「異端のD」を動かしてDIVを救助したことを知るが、助かっても「UBエージェントの恋人」としか看做さずに逃げたばかりか人生を操ろうと企むDIVの依頼を断ることなく篠塚が生存の明確な情報を隠蔽して足止めに協力したため、自らの意思で生きる世界を選ぶ権利を篠塚とDIVに否定されて操り人形に貶められたことにショックを受ける。身を切られるような想いで篠塚と別れてまで救おうとしたDIVに切り捨てられ、彼の生存を知って行動する機会を愛する篠塚に潰され、自身のことなのに蚊帳の外に置かれ周囲が勝手に決めて「UB」帰還とDIVの死の偽装を画策されており、1年前から「見えない鎖」で雁字搦めに拘束され、自身が「牢獄」の囚人の境遇に突き落とされていたこと、そして篠塚たち「UB」に一方的に守られる関係とは異なり「対等の友人」だと信じたDIVと彼と共謀した篠塚により一方的に「元の世界(=「UB」の保護下で篠塚と共に生きる生活)」を強制されたことに心を斬り裂かれ血を流して苦しむ。DIVが「あんたとの約束を守って俺は生きている、あんたに会いたい」と言ってくれると信じて待っていたが、DIVによる爆死偽装という2度目の裏切りに遭う。
「JBF」壊滅作戦の前にDIVと和解し、篠塚と共に帰還したDIVや「異端のD」を警護とした篠塚の配慮により、元の村で彼らと共に暮らすことになる。
UB
No.4
No.5
ロシアを担当するUBトップナンバーの男性メンバーで、UBロシア支部の司令官。第1シリーズの「DUTY26:青い日々の追憶」で化学兵器「レッド&ブルー」の処理に携わる篠塚をサポートした。外見はどこにでもいそうな眼鏡をかけた老人だが「ロシア共和国」がかつて「ソビエト連邦」だったころから潜入しロシアを動かしており、ロシアでは「ニコライ・ガヴリヴィチ・イワノフ」と名乗って「イワン大帝」と呼ばれる表の顔を持っている。篠塚にとっては祖父のような存在であり、No.7に次いで会話や依頼による共闘の機会が多い相手である。第2シリーズの終盤「MISSION5〜試練の冬〜」で犯罪組織に狙われた古い友人ウスチノフ博士からは「ニコル」と呼ばれる。イックとはチャットで仲良し。
No.7
北米を担当するUBトップナンバーの女性。初登場時は23 - 25歳くらい。篠塚曰く「悪友(盟友)」「すごく面白い奴」とのこと。単独行動に走る篠塚の共犯者の1人であり、篠塚の協力要請を直接受けて補佐することが少なくなく、篠塚のハニートラップの相方を務めることが多い。第1シリーズ「DUTY10:アテネ」から時々登場している。コードネームは「アテネ」。普段は男装してアメリカ海軍の准将「ジョイ・ヘンダーソン」と名乗り、アメリカ軍の参謀長官やアメリカ大統領をサポートすることで「UB」とアメリカ合衆国と友好的な関係を築く。作者に「アホな7」と呼ばれている。
篠塚とは異なるタイプだが、彼女と同様に男性にしか見えない。病的なまでのラーメン好き。地毛はショートヘア。初登場の際、篠塚と同様に一般人の恋愛感情に否定的だったが、後に慎悟を「休息場所」として受け入れてはどうかと提案した。
第3シリーズの「Mission4」以降、篠塚を補佐する姿が描かれた。最終章「Mission8」で自家用機(プイベートジェット)を所有していることが明かされた。
第4シリーズの「Mission2:episode19」では篠塚が虜囚となる前から進められていた「JBF」壊滅計画に参加し、ジョンソン大統領と共に協力する。
No.10
No.17
No.19
UB日本支部に所属する男性メンバー。初登場時は18歳。篠塚との初対面時は15歳だった。初登場は「DUTY8:冬の情景」での顔を隠して篠塚との会話のみであり、本格的な登場は「DUTY9:闇夜の虎」での篠塚と二人一役で男子高生「篠塚高」を演じることになる影武者として。休日にはNo.5と趣味のチャットをして遊んでいる。普段は「私」と言うが、プライベートの一人称は「俺」であり、出会った当初は「君」と呼んだ慎悟を「お前」と呼ぶようになる。
篠塚の側近、トップナンバー「No.9」の分身である「影」のリーダー的存在であり、篠塚の片腕。篠塚の不在時の留守を預かり指揮を代行する。他の「影」が気づかない篠塚の異変を察知する明敏な青年。立場上、篠塚や慎悟にお小言を言うのが仕事であるため、時には心を鬼にして苦言を呈することもある。やんちゃな弟妹に振り回される兄の悲哀を味わう。他の影やNo.7からも慎悟命名の元は蔑称だった「イック」の愛称で呼ばれるようになる。警護対象者だったころの慎悟を警護した際、双児の兄妹のように篠塚に瓜二つで身長や体格にほぼ差異は無かったため、彼女が抜けなければならない時は入れ替わって慎悟の警護を代行した。
慎悟と出会った当初は石像のように無表情だったが、徐々に人間らしい感情を表面に出すようになる。昔は篠塚曰く「無表情で醒めた奴」だった。
第4シリーズで篠塚に逆らっても慎悟を守ろうとするため、当初は篠塚によりDIV生存の情報を隠蔽されていた。DIVに関する認識は「生きているかもしれない」という漠然としたものであり、慶太の廃村行きのころに慎悟に先んじて「DIVは死んだ」と篠塚に嘘を告げられた。篠塚が敵地に下った際、初めて1年前の「DIV爆死」の真相とセロが死んだとされたDIVだということを知る。篠塚がDIVと「異端のD」を直属メンバーとしたため、篠塚の分身たる直属の部下としての立場を失った。
No.21
第1シリーズ「DUTY25:青い日々の目次」とその半年後の「DUTY26:青い日々の追憶」のみに登場。20歳。明確に死が描かれたUBメンバー。偽名は「シン」。イックらと同じく篠塚の影として選出・認定されるが、極東ロシアでのR&B事件解決後、現地で親しくなった幼い兄妹(実は従兄妹)を雪崩から救って死亡した。
感情を抑えるよう訓練を受けた筈なのにヒステリックになりがちで、まだチームが固まっていなかったころの影の中で波風を立てる問題児だった。機械のように感情を表に出さない篠塚に不満を抱き、年齢ゆえに能力を信じようとはしなかった。篠塚を上司として受け入れた後は、半年後にUB日本支部に初めて篠塚が足を踏み入れた際、周囲のメンバーを仕切ろうとした。イックと同じ訓練所にいたため、掛け合い漫才のような会話を演じた。
No.23
No.30
No.33
篠塚の「影」である女性メンバーの1人。外見は篠塚と同年代だが、年齢は不明。ローを嵌めた際にNo.23と共に登場して「柳浦チカ(やなぎうら チカ)」と名乗った。その際、ローを拘束せずに篠塚の許に集結し、彼の逃亡を許す結果を招いてしまう。第1シリーズでは潜入先の篠塚の周辺に待機することが多く、No.23やNo.39と行動を共にした。「DUTY00:〈番外編〉THE SECRET ANGELS」で篠塚やNo.17と共に旅客機303便に潜入し、薬物入りキャンディでハイジャック犯を倒した。
基本的にUBメンバーとして感情を抑えて冷静に行動することが出来るが、篠塚に関してはヒステリックになる。篠塚を万能視して偶像崇拝に傾いていたが、次第にトップナンバーの彼女が現場に出張ることに難色を示すようになる。
No.101
No.103、No.111
No.1009
No.3001
No.10001
美鈴(みすず)
篠塚の同僚
Ω
浅見武(あさみ たける)
UB外部組織「Ω」のメンバー。渋谷駅の近隣にある「K大付属第一高等学校」の2年。櫂名に次ぐ頭脳の持ち主。初登場は「DUTY18:幻想の森」。
ヨーロッパの貴族の血を引くクォーターで、アメリカ人祖母の住むアメリカ・ミネソタ州のグリーン・レイク近郊の森の近くで育った帰国子女。父親は外交官。祖母の影響で、森と絵を描くことが大好き。担任が有志を募った夏のキャンプに「Ω」で一人だけ参加するも協調性皆無で不評であり、参加した動機が不可解だと周囲に呆れられていた。女子生徒に騒がれる篠塚に反発するが、朝の光が射す森の中の彼女に惹かれてしまう。同年代の少年という思い込みで自身の想いの正体に気づかずにいたが、反発したり自身を殴ろうとして間に入った篠塚を殴ってしまった畑野を殺したいと思ったり、無意識下では恋するがゆえに精神状態が不安定だった。武器商人の一味の捕縛に巻き込まれた際に初めて篠塚の性別を知り「Ω」の中で最初に彼女に出会って恋に落ちた。学校でスケッチブックの中に紛れ込んだ盗まれた機密の最後の一枚に気づくが、篠塚に返却を求められても返せば彼女が姿を消してしまうと怖れてシカトを決め込んだ。しかし、不良グループに脅迫された要の窮地に交換条件だと言われて書類を返した。他の任務で留まっていた彼女がいつ消えるかと登校が遅くなりがちになった。「DUTY00:帰京」のころから渋谷駅で見かけていた慎悟の想い人が「篠原悠」と名乗る篠塚であり、彼女が語った「想い出」の相手が慎悟だと気づく。また、2人の和解を画策するイックにより「慎悟は9が女として愛する唯一の存在だ」と教えられ、イックの計画で自身の想いを篠塚にぶつけ、確実に失恋すると承知の上で他の男(慎悟)と彼女の仲を取り持つ。
「DUTY22:アジアの風」で篠塚によく似ているアイリーン (No.10) に惹かれるが、やはり篠塚が好きだと再認識してNo.10との間で揺れ動く。不安定な精神状態でNo.10の行動の妨げになってしまった挙句、負傷してしまった。「白の里」で篠塚と慎悟、No.10に再会して心の整理がつくが、本当に好きなのは誰かなのかは自身でも不明瞭である。機密書類を回収すべく篠塚が在籍していたころ、彼女は櫂名に手こずったと思い込んでいたが、No.10によれば苦労したように見せかけただけで計算しての行動だったことを知る。
仲村要(なかむら かなめ)
「DUTY19:Ω-オメガ-I」から登場。浅見と同じく帰国子女だが、父親はただのサラリーマンなので心臓の悪い弟のことで脅迫されたこともある。「Ω」メンバーで「鋼の心臓」と呼ばれている。普通の人間を演じる篠塚の芝居を真に受け、彼女に恋する浅見に「惚れるにしても相手を選べよ、あんな男女の何処がいいんだよ」と篠塚の悪口を言って浅見の怒りを買い、彼が本気だと知って驚く。篠塚の人並み外れた力を目の当たりにして惹かれるも友愛の域を出ずに一人だけ彼女に対する想いが友人のままであるため、他のメンバーの恋心にはシンクロできなかった。その一方で、「DUTY23:白の里」で浅見も見抜けなかったNo.10の変装を看破した。篠塚と慎悟が和解する前、彼女が他の男(櫂名)と一緒にいるだけでドス黒いオーラを放つ姿に「男の嫉妬は醜いねえ」と呆れる。世界を守る「UB」の任務の重さに比べたら一個人の命や人生など軽いと思っているため、そのことに疑問を抱く浅見に「篠原の立場なら仕方ないよな」と告げた。
大森櫂名(おおもり かいな)
「DUTY19:Ω-オメガ-II」のラストで高用・拓海と共に登場した「Ω」のメンバー。東郷グループの中心人物・東郷平四郎の孫息子。祖父と両親、妹がいる。IQ170で幼いころから天才だと誉めそやされ、要曰く「学校を休んでも単位が取れる」という3人組の一人で出席日数以外は心配がない模様。他の生徒を「箱(学校)」にしがみつくしかない奴らと見下していた。高用や拓海と共に元教頭の不正を暴いてクビに追い込んだり大学に潜り込んだりした。早い時期に篠塚を認めた浅見や要とは異なり、頑として彼女を否定して見返そうとするが、ジェットエンジンの設計図を狙う中東のテロ組織にハッキングが原因で目をつけられた際、篠塚の「痛い目に遭わせる」という目論見により恐怖を味わった末に彼女に救われる。「DUTY20:赤い要塞」でロシアン・マフィアに誘拐された妹のみちるを救われ、認めないながらも恋心と任務終了での篠塚との別れを受け入れた。その後、篠塚を捜す慎悟に出会い、追うこともなく別れた自分たちとは異なり、彼女を追い続けて放浪する慎悟に愕然となる。動揺して彼も「UB」の一員かと誤解しかけた。篠塚と慎悟の事情をイックに促された篠塚に聞き、浅見とは別の意味で怒った。イックの計画に協力する見返りに「UB」の外部組織としての採用を極秘で申し込み、慎悟と和解して完全復活した篠塚により正式に認定された。篠塚に似たNo.10に惹かれる浅見を案じている。No.10に的外れと知りつつ推論をぶつけて喧嘩を売り、浅見に「身代わりで恋をされたら迷惑だ」と叱責する。「DUTY23:白の里」の冒頭、イックに慎悟たちの居場所を聞いて会って来いと浅見に告げた。
相模高用(さがみ こうよう)
国会議員の息子で金持ち。女タラシだが、女は嫌いという変な性癖の持ち主。「DUTY19:Ω-オメガ-III」で相手の実力を推し量ることが出来ずに強姦紛いに篠塚に迫り、したたかに痛めつけられた。篠塚に恋するが、慎悟との深い愛を悟り友人の立場に落ち着いた。議員の父親は超有名人だから、かなり目立つとのことである。「アジアの風」でグン将軍に捕まることが計画だとNo.10に言われ、最初からそう言ってくれればと抗議するが、作戦の全容を話すことは出来ないし、UBメンバーとは違って必死さを演じることは不可能だろうと言い負かされる。
煌龍
張道明(チャン タオミン)
暗殺組織「煌龍(後述)」の老板(ボス)。「DUTY32:標的 (4)」の冒頭、中華人民共和国(中国)の四川省の山奥の館での誕生が描かれた。時代の移り変わりにより中国最後の統一王朝・清の高官に疎まれて組織が滅ぼされた際、皆殺しにされた統領一族の中で一人だけ赤児が召使に助け出され、細々と生き永らえた「統領の血筋」の最後の末裔とされる女性を数十年前になって長い捜索の末に発見し、彼女と組織の男性との間に生を受けた頭主として育成された人物。上腕の肩に近い部分に組織の一員の印の刺青がある。「UB」には初登場で名乗った偽名「結城直人(ゆうき なおと)」と呼称される。
劉の兄たちからの情報で「UB」の壊滅を企んで篠塚と慎悟を捜し続け、T大生に成り済まして大学に通い機会を待った。しかし、慎悟との待ち合わせ場所に向かう篠塚に出会って普通を装いながら隙の無い身のこなしと尋常ではない「気」を感じ取り、自身に拮抗する力を持っていることに気づいて「取り込み」に方向転換した。慎悟を人質に篠塚を操ろうと企むが、「UB」の罠に嵌まり捕縛された。2週間後、「CIA」の尋問を受けるべくアメリカに護送されるも部下に救出された。しかし、友人の演技で接近した慎悟の純粋さに魅了されてしまい、慎悟には気づかれていないが、劉と敵である篠塚には看破されている。篠塚に恋愛感情を持っているかのように振る舞うが、ふざけた物言いで真意は定かではない。第2シリーズ最終章で劉に黙って出歩き、変装して慎悟の周囲に出没した。
目的は違ってもターゲットが同じだった第2シリーズ最終章で予定通り「ENU」のボスを暗殺するが、篠塚がいたことで他のメンバーの殺害は断念した。その際、最大の懸念材料である「UB」の妨害を回避すべく「ENU」に捕らわれた慎悟の情報をちらつかせて篠塚を組織から切り離すことで「UB」の動きを封じるが、慎悟を想い「女の顔」を見せた篠塚を強姦しようとするも悪ふざけと看做す彼女の突き抜けた鈍感さを目の当たりにして未遂に終わり、命令口調と子供扱いに終始した初の体験に唖然となる。
第3シリーズは未登場。
第4シリーズで「JBF」のオークションの招待状が届き、劉と共に出席する。篠塚が自力で現況を打開できると知っていたが、余計なお世話と承知の上でオークションで反発したレイヴンに圧力をかけ、最終落札価格を上回る50億ドルで彼女を買い受けた。
劉(リュウ)
「煌龍」の幹部。左手首の腕時計の下に刺青がある。結城(張)の教育係でもあるため、部下たちからは「劉師父(リュウ シーフー)」と呼ばれる。世界最強は自分たちだけであり、恋愛感情というくだらないモノに囚われている組織など敵ではないと見下した「UB」に初戦で敗北を喫した。慎悟を狙い篠塚と戦って捕縛された竜童やローの弟であり、香港島の香港仔(アバディーン)の貧しい家に生まれた六人兄弟の三男坊。王老に見初められ、結城の教育係として組織に迎えられた。伝説の「UB」と事を構えるに際して身元隠しを行い、一時的にせよ初めて「UB」を欺くことに成功した。篠塚の取り込みに失敗した際、結城が打算で欲する篠塚の力よりも、彼女を操る道具として悪用しようと友人の芝居で近づいて本気で慎悟に惹かれてしまったことが結城と組織の破滅に繋がるのではないかと危惧を抱く。第2シリーズ最終章で「UB」とは目的は異なるもターゲットが同じだったが、慎悟に対する不要な接近と計画のために「ENU」による彼の拉致を見ているしかなかった結城の鬼気迫る姿に不安は強まる。兄たちを捕縛された恨みは無く、組織の一員として行動するので個人の思惑では動かない。
オークションの招待客の一人の証言によれば、中国武術の達人で銃を持った相手も瞬殺する実力者。第2シリーズ最終章で再登場して以降は若く描かれるが、王老の墓前に世界を掴むと誓った結城がまだ幼い少年だったころはすでに青年だった。
その他の人物
第1シリーズ
羽原弥生(はばら やよい)
石垣ワタル(いしがき ワタル)
加賀隆士(かが たかし)
アレクセイ・ソローミン
ニコライ・ソローミン
大佐
田辺悟(たなべ さとる)
佐々木裕二(ささき ゆうじ)、北村(きたむら)
総理大臣
ジョゼフ・スタイン
鈴木(すずき)
嶋田良一(しまだ りょういち)
「DUTY7:メッセージ」開始以前、慎悟の誕生日に事故死した彼の幼馴染。愛称は「シマ」。慎悟とは産まれた病院も一緒だった。カメラマン志望で両親に反対されるが、憧れのカメラマンに弟子入りして渡米することになり学校を辞める決意を慎悟に告げた。しかし、突然のことにパニックに陥った慎悟と喧嘩になってしまい、その直後に交通事故死した。実は、銃犯罪撲滅に尽力した政治家が殺された事件で、偶然にも犯人(竜童)を撮影してしまい、口封じのため竜童に追われて、トラックに撥ねられて死亡した。
沖縄の親戚に引き取られて雪とは無縁の生活を送った慎悟に富士山の雪を誕生日にプレゼントしようと彼の誕生日に富士山に登り雪を持ち帰ったが、竜童に追われ証拠写真と共にロッカーに隠して慎悟に直接渡せぬままこの世を去った。第3シリーズの「Mission8:episode15」冒頭で慎悟が死線をさ迷った際、夢の中に彼の両親と共に登場した。
森田まさよし(もりた まさよし)、佐野裕一(さの ゆういち)
竜童(ロントン)
酒井桃子(さかい ももこ)
比野浩二(ひの こうじ)
ロー・ウーフェイ
「DUTY9:闇夜の虎」で、初めて「UB」の手を逃れた爆弾使い。竜童の弟。香港マフィア「白龍(パイロン)」が潰されたことをいち早く察知し、仲間のメルとヤンを見捨てて捕縛のためのUBメンバーの到着前に逃走した。地下に潜伏して仲間を作り、日本に舞い戻って慎悟を追いつめ、「DUTY12:果てなき日々への追憶 (4)」で自爆に巻き込んで篠塚を殺そうとするが、それを予期して逆に慎悟を捨てるために利用した篠塚に捕縛された。両親と弟たちは流行り病と暗黒街の抗争等で相次いで死亡して長兄・竜童との2人きりと当時は思われていたが、実はすぐ下の弟が生き残っており、「煌龍」の幹部・劉であることが第1シリーズの終盤で判明する。慎悟と篠塚の情報も弟に伝えていた。
メル・クオファ、ヤン・チーファン
白河明穂(しらかわ あきほ)
ワイマール
アネット
ニック
イブン・カセム
ニコラス・オマリー
無名の夫婦
エリック・バートン
ロバート・ジョンソン
アメリカ合衆国の現大統領。愛称は「ボブ」で、気に入った相手には「ボブと呼んでくれ」と言いたがる。夫人には「子供っぽい」と言われがち。実は「ケネディの再来」と呼ばれる政治家。有言実行型。選挙の公約兵器削減を掲げて既に中国の約束も取りつけていたため、当選すれば、中国との相互武器輸出削減計画を実施すると明言しており、大統領になる前に抹殺を企んだ軍産複合体と癒着した政敵の差し向けた実行部隊に命を狙われる。拉致されるも自力で逃亡し、砂嵐の中をロスを目指すエリックの車の前に飛び出して助けを求め、彼には謎のホワイトカラーの男性だと不審がられた。篠塚により実行犯を処理され、無事に新たなアメリカ大統領としての職務に臨む。顔出しは「DUTY13:星条旗の下(もと)に」だけであり、それ以降は登場しても顔の上半分は隠される。
第4シリーズは、No.7が晩餐会に出席することを条件に「JBF」の壊滅のために「UB」に協力し、ペルシャ湾に展開していた第5艦隊の半数を物資輸送とNATO同盟国への寄港という名目で北上させ、極秘で世界各国のトップに働きかけて各々の艦隊を同じ目的地に向かわせる。
ダン・マシュー・ヤマモト
ジョニー・ヤン
部長
王水徳(ワン ヨントー)
田辺奈々(たなべ なな)
マリオン・ディー
岩田(いわた)
琴音(ことね)
純(じゅん)
畑野(はたの)
ゴードン
マツダ
内田(うちだ)
仲村真(なかむら まこと)
ドミトリィ・アルシコフ
駐日ブロジニア大使
ラ・ウー・グン
原口総一郎(はらぐち そういちろう)
キャシィ・ウイークス
ハワード・ウイークス
前アメリカ大統領
コースチャ、アーニャ
照美(てるみ)
橋本良太(はしもと りょうた)
「DUTY28:ヒーロー」で、クラリア王国の王女を誘拐したテログループに殺されかけたオタク少年。蕎麦屋の息子。同じ高校のモトクロス部員の少年たちに「ポジティブオタク」と呼ばれる。クラリア王国の幼い王女が誘拐され、その王女を大好きなSF映画「スタークロス」のサーシャ姫と混同して救おうとするが、現実と想像の違いは厳しく殺されかける。篠塚に救われるも表に出られない彼女に代わりヒーロー役を押しつけられる。
山の中の小屋で憧れのヒーローになったつもり、敵を戦いの末に倒したつもりの遊びをよくやっており、事件の折、理解不能な光景に呆れる篠塚の冷たい視線を浴びていたことに気づかない。テロリストに遭遇し、通報を頼んだ「ドゥーイ」は実は趣味のチャットで彼を安全な方向に誘導しようとするイックだった。SF映画「スタークロス」の大ファン。しかし、人気が無くて誰もファンサイトを作らなかったので自身でHP「スタークロスファンサイト ペガサス」を立ち上げるも閑古鳥が鳴くばかりで仲間が欲しいと願うばかりだった。事件を機に、ヒーローと騒がれてカウント数が跳ね上がった。
ロジャー・ディヴァンス
宮地保(みやじ たもつ)
西原亮(さいばら りょう)
西原(さいばら)
ムハマド
徹・M・キンドル
「DUTY31:border」で、ペンタゴン他複数の国家機関のコンピュータを破壊し、テロで両親が死んだことに対する憂さ晴らしをする12歳のハッカー。メガネ少年。表の愛称は「トゥルー」、裏の名前は「c.c.border(ボーダー)」という犯罪者。アメリカに怨恨を抱く人物が軍の中枢に侵入してアメリカ全土の核ミサイル保有基地に指令するメインコンピュータに発射命令をセットして自殺したため、テロ組織が結託して解除しうるハッカーのリスト入り100名の暗殺を企み、その一人として狙われた。自由と平和なんて幻想でしかないと思い、両親はアメリカに殺されたと恨んでいるため、滅んでしまえばいいと本気で思っている。伯父ロブと救ってくれた篠塚の存在で少しはアメリカに対する感情は改善された模様。恩を着せられるのは嫌だと言いながら自身はプログラムの解除を成功させた報酬にと恩を着せて「UB」入りと篠塚の心を無視して彼女を恋人にすることを要求するが、No.7により篠塚に対する物扱いと慎悟という恋人との幸福を壊す要求は容認できないと2つとも断られた。マザコンであり、亡くなった母親の形見のワンピースを着た篠塚に母親を重ねただけだった。
ロブ・キンドル
王煬(ワン ヤン)
鳴海恵理子(なるみ えりこ)
第2シリーズ / ミッション・ブルー
一ノ宮沙耶(いちのみや さや)
白河英二郎(しらかわ えいじろう)
沙耶の母方の曾祖父。高齢で、病に倒れて意識不明の重体になる、いつ容態が急変するかわからない身。第二次世界大戦の末期、旧日本軍の命令で兵器開発を行う研究所の所長を務め、完成の一歩手前で終戦を迎えた「プルトニウム239」は軍により国外に隠蔽された。関係者が老いや病などで他界する中で秘密を知る唯一の生き残りとなった。危険に巻き込むまいと妻と離婚して娘とも離れ離れになるが、沙耶の母親である孫が誕生し、いつ死ぬかわからぬ不安と肉親の情に負けて曾孫に莫大な財産を渡したいと願い、名乗りを上げてしまったことで沙耶が「カシャサ」に狙われる原因を作ってしまう。倒れる前、「UB」に曾孫・沙耶の警護と「プルトニウム239」の処分を依頼した。隠し場所を記した地図のマイクロチップを沙耶の亡き母に託し、彼女もまた一度も着ることもなくその衣服をタンスにしまっていたことから、詳細は知らないまでも沙耶の母親は大切に預かっていた模様。
宮崎大介(みやざき だいすけ)
田島薫(たじま かおる)
カシャサ幹部
武田修一郎(たけだ しゅういちろう)
「MISSION2」で数年前の事件と、謎の少女「篠原桂」に想いを告げることなく一週間で終えた初恋の日々を回想する人物。市立緑ヶ丘第一中学校に在籍していた中3(15歳)のころ、転入生として中学校に潜入し、日本の学校での初めての任務に臨む14歳の篠原(篠塚)と知り合う。「UB」に保護された父親の持つ証拠のテープはそのままでは使えず、補正して完全にするまでの一週間を守ると告げられるが、父親に対する人質として狙われていると警告する篠塚を拒絶し、三井たちを巻き添えにしてしまい、父をおびき寄せて殺害を企むナミリアの暗殺実行部隊に拉致される。殺されることを覚悟の上で駆けつけた父親の心情を知り、「UB」のエージェントであることを明かして敵を倒した篠塚に救われた。恋心を精神的に幼い篠塚に気づいて貰えぬまま、任務終了により実行部隊を一掃した翌日に彼女が去ったことで失恋した。
武田修(たけだ おさむ)
遠藤美樹(えんどう みき)
アラム・アーレイ・アージェリア
西アジアのダージェ王国の皇太子。「MISSION3」に登場。16人兄弟姉妹の末子で、王位継承権を有する第6王子。5人の兄王子全員が病気や事故に見せかけて叔父に殺されたため、王位に無縁の筈が繰り上がって次代の王に決定した。母国の法律では満18歳を成人と定めており、1ヵ月後の誕生日を迎えたら即位することが決まっていて、国元では20人の花嫁が待っている。囚人扱いされたと周囲を恨んでいるが、それで逆に守られていたことに気づいていなかった。即位前の往復を除く1日だけの日本をせめてデート気分で堪能しようと女性の護衛官を希望していたため、当初は男性にしか見えなくて篠塚を嫌悪するが、彼女が女装した途端に惹かれ帰国間際に求婚するも断られる。
サジ・ザイム
岡本(おかもと)
「MISSION4」と後日譚である番外編「白い森の追憶」で、伯父の所有するペンションの一つを任された雇われオーナー。22歳。暴走族「関東暴走連合」の元総長。暴走族から足を洗って山で暮らすようになるが、たまに昔の総長時代の癖が露出する。季節外れの山奥のペンションに逗留する奇妙な客・篠塚の「昼過ぎに出かけて夕食を挟んで再び外出し、一晩中夜の山を散歩して朝方に戻り昼まで休む」を毎日繰り返す不審な行動に疑問を抱く。篠塚のためにお別れパーティーを開いた夜、2人組の仲間が廃ホテルに入ってしまったことを知った篠塚と共に廃ホテルに足を踏み入れるが、世間を騒がせるテロリストのルーディン・オークと武器密売グループに捕まってしまう。篠塚を「俺たちの姫」と呼んで守ろうと行動を起こすが、脱出に失敗して追いつめられたところ、篠塚がオーク一味を一掃し、逆に自分たちが守られ救われた。迎えのヘリに乗って朝焼けの海に去る篠塚を見送り、彼女は「姫」ではなくて「戦士」だと悟る。
後日、近場にスキー場が出来たことでペンションを訪れる大勢の客で賑わう後日譚「白い森の追憶」で吹雪の中を廃ホテルに入り込んだ2人組を客を捜しに来てアフターケアのセクションのUBメンバーに遭遇する。篠塚との出会いを機に「奇跡」が口癖になっている。
ルーディン・オーク
ミハイル・ウスチノフ
佐倉麻亜矢(さくら まあや)
ウスチノフ博士の孫娘。清北大学付属清北学園高等学校の女子部に在籍するハーフアップの17歳の少女。亡き祖母が日本人でハーフの母親も日本人男性と結婚して生を受けた1/4だけロシアの血が流れるクオーターで、青い瞳の持ち主。博士を釣るための餌として、「ENU(ヨーロッパ貴族連合)」に標的にされてしまう。祖母と両親を交通事故で亡くし、親戚にたらい回しにされるなどの不遇の時代を経たことで周囲を敵視し、祖父に捨てられたと憎悪していた。書店でチンピラに絡まれたのを助けてくれた慎悟に惹かれる。自由を束縛されることを嫌って、その原因と看做す篠塚に反発し、ハンスが祖父をおびき寄せるための餌として狙っていると注意されても彼に近づいてしまう。篠塚が自身の恋する慎悟を愛していると告げたことに嫉妬し、慎悟の心を無視して手に入れたいと目先の欲に駆られてハンスに加担してしまうが、慎悟や篠塚を裏切ってしまったことを後悔した。篠塚とその所属組織の情報を渡して命乞いをすることなど断固として拒む慎悟の姿に、自由を奪われても殺されても恋人をひたすらに想う愛を知る。事件解決後、初恋を諦めて自身の日常である学校に戻る。
ハンス・アレクシス・フォン・ノルトライン・ルーデンベルク
「ENU」のタラシ(ハニートラップ)担当。17歳。首魁ゲオルグの弟にしてルーデンベルク家の四男坊で、重要な局面に投入されるゲオルグの切り札。役割は「相手を取り込み、思い通りに動かす駒とすること」であり、ルックスと金と地位を活用して対象となる標的あるいは標的の異性の心を自身に向けさせて操る。誘惑するだけではなく、潜入先では原因不明の死者が多数とのこと。佐倉麻亜矢を守る組織の調査のためにメンバーに麻亜矢を襲わせ、篠塚の手際を見て一筋縄ではいかないとまずは様子見で留学生として潜入した。今までの女性と同じように篠塚を誘惑したつもりで接近し、逆に腕を切り落とされそうになる。慎悟を拉致するも頑として口を割らなかったため、情報収集は遅々として進まなかったことで山城を訪れた兄に慎悟の処刑を厳命された。その後、乗り込んできた篠塚に我が物になるよう脅迫するが敗北。篠塚が「UB」のエージェントだということを居合わせた「煌龍」の結城により知らされ、虚構だと思っていた「UB」の実在を彼女によって納得した。本来ならば「煌龍」により部下たちと共に殺害されていたが、篠塚がいたことで命拾いをし、UBドイツ支部から駆けつけたUBメンバーに捕縛された。
亡き祖父の「ENU」を伝説の「UB」のように語り継がれ恐れられる理想の組織にしたいという悲願を託され、そのために篠塚を手に入れようとする。恋する以上に夢を叶えるために頼みとなる人材として執着したが、己だけでなく兄と組織の破滅も招いてしまう。
黒木隼人(くろき はやと)
三峰正一(みつみね しょういち)
ゲオルグ
無名の青年
番外編「EXTRA MISSION〜強さの秘密〜」で、名前も正体も知らずに篠塚と出会った人物。
中学2年の時、恐喝の繰り返しに悩んでいた。秋風の吹き始めたころ、不良のたまり場である学校近くの公園に呼び出されて金を巻き上げられていたが、そこに通い続ける同じ年頃の少年(篠塚)を不思議に思う。ある日の夕暮れ、外国人の男たちに囲まれた篠塚が彼らを瞬殺し、強さを隠していたことを知る。どうしたら強くなれるのかを尋ねると篠塚は「守りたいと心から思うモノを作ればいい」と答えて二度と公園に現れることはなかった。それ以降、いつしか恐喝に遭うことはなくなる。数年後、佐倉麻亜矢の護衛任務に赴く篠塚と東公園駅のホームでお互いにそうと気づかずにすれ違う。篠塚に再会できたらお礼を言いたいと思っているが、彼女を男性だと思っていて名前も知らない。
第3シリーズ / レッドスクランブル
アンジー・バートン
フリー・ジャーナリスト。「Mission1」で、テロ組織「R・R」のボス「ネロ」の独占インタビューに指名された。野球が好きで「ヤンキース」のファン。山間の村を目指す途中、砂漠地帯で盗賊団の襲撃に遭ったところを、地元のガイドであるコウ(篠塚)に救われ、コウを雇った傭兵部隊と同行することになる。待ち伏せされて傭兵たちと共に窮地に陥るが、正体を明かした篠塚により救われる。現地の女性がガイドについてくれるという話は冒頭でアメリカ兵から聞かされていたが、篠塚を少年だと思い込んでいたため、女装するまで彼女が女性だと気づかなかった。「R・R」壊滅後、残党一掃を速やかに遂行するには囮が必要だと理解して「UB」に協力した。
「Mission6」に再登場し、完璧すぎる事後処理で「UB」の存在に気づいた日野倉に警告した。最後の「R・R」の残党が篠塚が呼んだ日本警察に逮捕されて一掃されたため、囮役を終えたので日野倉に見送られて日本を去った。
グレッグ・カーター
アラム・アシリア
トモ、ベリ、ピーすけ
木原武人(きはら たけと)
「Mission3」に登場した高2の少年。ある高校の2-Aに転入したが、クラスメイトの変人オタ (No.1009) と隣の2-Bに1週間前に転入してきた篠原(篠塚)に関心を抱く。ファーストレディ(大統領夫人)の誘拐を企んだテログループの犯行に巻き込まれる。全焼した隣家の焼け跡から一家3人の遺体が発見された事件で、18歳の一人娘にストーカー行為を繰り返す真犯人が有力者の息子ということで目撃証言を無視され、放火殺人の冤罪で父親を誤認逮捕されてしまう。事件解決後、自身にイジメを働いた板倉たちと秘密を共有することで友人になった。テログループが一掃された後、裏で「UB」が動いてくれたため、警察の謝罪と共に父親が帰宅した。
ハワード・リー
ウォード
青木一志(あおき かずし)
日野倉真弓(ひのくら まゆみ)
蔡建明(ツァイ ジェンミン)
台湾・台北市の「スカイ製薬」の社長の息子。父親を嫌い、自分たち一家を救うために来た「UB」のエージェントとは知らずに「篠原桂」と名乗る篠塚に一目惚れして周りが見えなくなる。父親に渡米を告げられるも篠塚と離れたくなくて駆け落ちを懇願するが、親の保護が無ければ生活することも不可能であるため、父の腹心・頼志強に連れ戻される。真相が明らかになり、篠塚の正体と父親の深い愛情を知って父親と和解し、任務終了により篠塚が去った時、追いかけようとして生きる世界の違いに足を止めてしまい、訣別と共に幼い恋は終わった。その後、両親と共にアメリカに渡り新生活を送る。
7年後、父親を脅迫するマフィアのボスであるミスター・ワンにより人質として刑務所に監禁されてしまう。ワンと結託する所長の脅迫を受けるが、そこで篠塚再会し、昔の新型インフルエンザが再び出現して15年 - 20年効果が続く試薬段階のワクチン接種で抗体を持つ自身が必要だと知らされる。脱出しようとしてジョンたちが所長に殺されることを怖れて躊躇するが、獄中で篠塚の事情と世界の危機を知ったジョンとジムの説得、篠塚が部下に命じて「ブラック・ドラゴン」を壊滅させたことで脱出に同意した。篠塚と共に射殺されかけるが、外界の家族や友人を救う存在として他の受刑者たちが暴動を起こして援護してくれて脱出に成功した。事件後、仔犬に「コウ」と名付け飼い始めた。
蔡(ツァイ)
スカイ製薬の社長。建明の父。新型インフルエンザウイルスを発見した矢先に盗まれ、手元に残ったワクチンをも狙われ、悪評を立てて民衆を扇動する何者かに攻撃された。アメリカでの足場を確保した上で正体不明の犯人を告発する準備を進めた渡米前夜、味方を装っていた副社長の楊と政治家の呉に強襲されるが、息子の片恋の相手の少女が半信半疑で助けを求めた「UB」だと知り驚きつつ救われた。濡れ衣は晴れて失われた名誉も「UB」により回復されたが、予定通りアメリカで新生活を送ることを決意して台湾を後にした。ところが、台湾の黒社会に対する影響力に目をつけたマフィア「ブラック・ドラゴン」に息子を誘拐されたため、再び出現した新型インフルエンザの件で来訪した篠塚に救出を懇願した。
リチャードソン
ミスター・ワン
ジョナサン・カートウィッチ
「Mission7:episode5」に登場した受刑者。28歳。アフリカ系アメリカ人。愛称は「ジョン」。警察官を殴って15年くらった。「懲罰房(ホール)」の常連。ワクチンを体内に有する建明救出のために入所した刑務所で、自身が「懲罰房」に入っている間に入所した篠塚が同房になっていた。
陽気で世話好きな性分のため、篠塚に1人は危険だと忠告し、同房の誼で何くれとなく世話を焼くようになる。チャームポイントは後ろで編んだ三つ編み。篠塚の目的と秘密組織の女性エージェントであることを知らされ、建明の捜索と救出に協力する。パンデミック阻止に協力した功績により、即時釈放となった。
シングルマザーの母親は蒸発し、親戚一同にそっぽを向かれたため、施設送りになった。そこで親友のジムと出会い、面倒見の良い兄貴分として、頭脳明晰で落ち着きがあり相談役だったジムと共に施設の他の子供達に慕われた。義妹を襲った男に怪我を負わせた罪をジムの身代わりとなって自首し、それまでに別の友人を庇って2回服役していたことで3回目がより重くなる「スリーストライク法(三振法)」に引っ掛かってしまった。
バルトロ・バルドリーニ
ジェイムズ・ラッセル
ジョンの親友で、同い年の28歳。愛称は「ジム」。施設で出会い実の兄弟以上に強い絆で結ばれた親友であり、14歳の時に里親に引き取られ、後に引き取られた義妹と4人家族で幸せに暮らし、義妹を襲った有力者の息子をバットで殴り重傷を負わせてしまう。
篠塚と建明の脱出後、マフィアの後ろ盾でやりたい放題だった所長と看守の悪事が暴かれてホープヒル刑務所が閉鎖され、脱出を助けた功績により暴動の罪に問われることなく他の受刑者と共に快適な刑務所に移送された。「UB」により事件の再調査と真相が明らかにされ、義妹を襲った犯人と彼を庇った連中の罪が証明されたため、あと3年の刑期が残っていて罪は罪だと主張するも大統領恩赦により釈放された。
DIV(ディーフォー)
「Mission8」で、暗殺組織「赤い馬」のトップの暗殺者。Dナンバー。アジア系で、日本人かあるいは日本人によく似た民族の出身である。高身長。シルバー・チェーンに繋いだ銃弾を首に掛けている。組織内では「死神をも殺す死神」と称される人物で、幼いころから機械のように命令を遂行するよう育成された。無表情でおよそ感情らしきモノは見受けられないが、無意識下で死による解放を望んでいるため、銃弾を見つめる時だけは僅かにやすらいだ表情になる。慎悟と出逢ったばかりのころの篠塚に内面が酷似しており、幼いころから頭角を現したという生い立ちや仕事ぶりも彼女に重なるが、単なる手がかりとしか思っていなかった慎悟に心を揺り動かされ、かつての篠塚のように何が起きているのか理解できずに自身の内面の変化に戸惑う。
組織内の特殊教育を施されたDナンバーの一員で、感情を失うよう教育された。しかし、自他共に失われたと思い込んだ感情は脈動しており、慎悟とのふれあいで感情が息を吹き返したことで周囲の色彩を色彩として認識できるようになる。実は、まだ養成所の生徒だったころ、すでにDナンバーとして活動していたが、暗殺任務に役立つと実習の1つとしてディエスたちを脱走させた過去がある。
テロ組織「KK解放軍」の依頼で取引の邪魔と組織壊滅を図る謎のアジア人(篠塚)の殺害を命じられたが、依頼主の「KK」は取引相手と共に滅び依頼だけが残り、日本在住の関係者(慎悟)の存在を知って、山の上の廃村で暮らす慎悟に近づき篠塚殺害を企む。元々名前が無いこともあり名無しの権兵衛を決め込むが、無心に空を見上げる姿が印象的だと慎悟により「空(そら)」と命名された。
慎悟が傷つくことを怖れる自身の安心を得るために自身に対する「Dコール」発令を招き、ギリギリまで一緒に生きると見せかけて土壇場で慎悟を無理やりに篠塚に引き渡し、自身が仕組んだ「Dコール」により殺到した「赤い馬」の支柱であるDナンバー全員を自爆により皆殺しにした。「JBF」には死んだと思われていたが、実は起爆装置を作動させる直前、かつて逃がしたディエスたちに救われ篠塚の指示でホームの下のシェルターに連れ込まれて生き永らえた。その後、FBIと取引してボストンの隠れ家に潜むジェイデンとヤンを「異端のD」と共に殺害する。
第4シリーズではリド王国クーデター未遂事件が解決して一段落したころ、「Mission1:episode8」のラスト2ページにディエスたちと3人で徘徊する姿がシルエットで初めて描かれた。
ファドリケ・アルバ・バハモンテ
フランツ・アルベルト・フィッシャー
ジェイデン・ウィリアム、ヤン
BEVII(ビーイーセブン)
グイド・パスカーレ
第4シリーズ / サイレントブラック
宮本慶太(みやもと けいた)
S大付属上田原高校2年の高校生、17歳。黒縁眼鏡の少年。無謀な大使館に対する特攻を思いとどまり、慎悟によるトレーニングを受ける。ロスが捕縛されて後も彼を操った敵の存在に備えて訓練が続くが、黒幕はアフリカにいるということもあり実感がなかった。「異端のD」の攻撃で「JBF」が混乱する中、篠塚の指示で研究棟に駆けつけ先乗りした大介によりバルザックが倒されるが、エンダイブとカーマインに和樹を盾にされて彼らの許に行こうとした際、和樹は「UB」の保護下にありUBメンバーが入れ替わっていたことを知る。慎悟に対する爆死偽装を企むDIVと「異端のD」の依頼を承諾した篠塚にメッセンジャーとして利用され、シールを貼った偽のDナンバーの刺青を見せられた。真相を知らぬまま「JBF」に捕らわれたため、セロがDIVであることは知らない。
我妻和樹(あがつま かずき)
デム・デ・ロス
戸垣(とがき)、田崎(たざき)
ミスターR
トレイド
カーマイン
セレスト
萩原大介(はぎわら だいすけ)
ディエスたちと同じ「異端のD」の1人。高校受験を控えて補習で学校に呼び出された中学3年生の少年と偽り、物心つかぬころに両親に捨てられるも育ててくれた祖父のために、慶太の目的地と同じ廃村を目指す同行者を捜していたと身の上を語って中学教師・佐渡に変装したディエスと偶然の出会いを演出し、一般人の中学生を装って慶太の友人という形で彼を警護した。日本人にしか見えず外国人の訛りもないのだが、日本人でもアジア系でもない外国人だと慶太に語る。髪を黒く染めてカラコンを装着し、日本人に変装している。慶太に正体を知られることなく一緒にいたいと願う程に彼に惹かれるが、セレストの暴行に激怒してDナンバーであることを明かして彼を倒す。慶太と共に下山して上京するが、慎悟と入れ違いにやって来た篠塚とはその時が初対面であり、「JBF」のトレイドたちと同様の恐怖を抱き、彼女が部屋を訪ねて来ると怯えてディエスの陰に隠れてしまう。事前に篠塚は女性だとディエスに教えられていたが、恐怖で頭の中が真っ白になり吹っ飛んで忘れていた。DIVが爆死したとされる1年前、山に行かされたとぼやいて慶太を連れ回した。山で何をしていたか詳細は不明。
「JBF」に誘拐された慎悟と慶太の追跡を中断して篠塚の指示に従ったが、慶太を心配して後ろ髪を引かれる思いだった。ディエスたちと共に施設にやって来て、慎悟にDIVのことが露見したことを知る。DIVの爆死偽装を慶太を巻き込んでディエスたちと共に実行するが、DIVに対する慎悟の思いの深さの前に計画は破綻しても「そっかぁ」とさほどショックは受けていない。ディエスが真相を話し始めた際、DIV救助メンバーからチビだという理由で外されたと不満を漏らす。イックやNo.23は裏切りを慎悟は仕方のないことだと理解してくれると言ったが、DIVを追いかけることも彼の頼みで篠塚が生存を隠蔽して動きを封じ、死を偽装するDIVと自分たちの企みにも加担して嘘で塗り固められた「牢獄」に置かれたことに慎悟が深く傷ついていることを察して罪悪感を抱き、慎悟が「空」と呼ばずにDIVとしか呼ばないことに不安を感じる。要塞島に乗り込み、研究棟でバルザックを倒す。
第5シリーズでは他のDと共に「村」で暮らしている。
コードナンバーは「DXVI(ディーシックスティーン)」。
ディエス、ドセ
前シリーズでDIVに対するDコール発令を知り、彼を救おうと篠塚に助力を懇願した「異端のD」。鴨居に頭がつく程の長身。ディエスは眼鏡をかけて前髪を左で分けたショートヘア、ドセは暗い色の肌と後頭部でオールバックにした腰まである暗い色の長い髪を1本に結っている。大介(DXVI)は慶太と共に行動し、一番背が高いセロと3人で行動することが多い。ディエスはセロを「DIVに一番近い男」と称していたが、実はDIV自身だった。D候補時代、教官を欺いたDIVの計画により脱走は成功したが、一緒に組織を捨てて自由の身になろうという訴えに耳を貸さずに戻ってしまったDIVに心を痛めた。「Dコール」がDIVをターゲットとして発令されたと知って、他の行動可能な仲間と共に情報収集に奔走した。
DIVの件での借りを返すべく「UB」と協力体制を取り、慶太の警護と村の警備を務める。慎悟に「DIVは死んだ」と嘘を告げるが、DIV自身が別人のふりで「DIV死亡」を信じ込ませようとしたことにより慎悟がDIVに対する根深い不信を抱いたことを知り、慎悟に「人質奪還作戦」の参加を表明し「赤い馬」壊滅の真相を打ち明ける。すべてが終わった後、自分たちも望みと篠塚の要望により、彼女の直属の部下となる。
正式なDとしてのナンバーはディエスが「10(テン)」、ドセが「12(トゥエルブ)」。
レイヴン
本部より指令を下す「JBF」のリーダー。貴族出身ゆえにプライドが高い。トレイドたちの「兄」と呼ばれるが、実際は従兄弟。トレイドが報告したと告げた途端にエンダイブとカーマインが蒼白になるという恐怖の対象であり、主力メンバーであろうと目的のためには命を使い捨てにする狡猾で残忍な人物。組織内で自身の命令に逆らった者は死ぬよりつらい目に遭わせられる「地下牢」に生涯幽閉する。上昇志向が強いが、自分たちが格下の組織だと自覚しており、裏社会の意識を変えて「第2の赤い馬」に成り上がろうと計画を練る。
「赤い馬」に在籍していたのは2年という短期間だったが、放逐された際、自身に関する書類をも処分して情報・痕跡を抹消した。そのため、放逐するだけの他のメンバーとは異なり、唯一、暗殺命令の対象となった。組織の名を世界に知らしめるために「UBのシノヅカ」を利用しようと裏社会の大物たちに招待状を出す。
自身を見下した「赤い馬」を恨んで離反し「JBF」を作るが、カリブ海の要塞化した本拠地の島を「赤い馬」に突きとめられDナンバーが迫るもDコールで窮地を脱した運の強さに驚嘆し、用心のためにトレイドたちと共に欧州の海に「D対策」のために築いた新しい要塞島に移った。リド王国乗っ取りに失敗した依頼人を追いつめる敵が「UB」だと知り、指揮を執る篠塚を虜囚とするが、囚われの身でオークションを失敗に追い込まれ「天敵」の力を思い知る。要塞島を制圧され、自爆装置を作動させる直前、篠塚を手に入れようとしてDIVに惨殺されるが、遺体は見つかっていない。
山川(やまかわ)
ダーク・モス
第5シリーズ / ゴースト アンド グレイ
花音羽かがり(はなおとわ かがり)
「Mission 0/鬼神の集落 六花の森」に登場。地元の中学に通う少女。14歳。自殺願望に囚われており、母親と死別し「鬼神」に殺してもらおうと山に入り込み、足を滑らせて失神したところを慎悟に保護される。
実父は妻を守ろうとしてストーカーを誤って殺してしまい、服役中の刑務所で死亡。母親も身体を壊して10歳の時に亡くなり、母方の伯父夫婦に引き取られて養子となる。しかし、スキー場を作り、同時にホテルや商業ビルを建てようとする地元の有力者が旅館に目を付け、伯父に立ち退きを受け入れさせようと「極悪非道の殺人犯の娘がいる」と噂を流したため、己の存在が伯父に害となると思い込んで「東京に行く」と書き置きを残して家出した。
用語
UB関連
UB
エージェントは老人から赤児まで存在する。いつ、誰によって組織が創設されたのか、本部の所在および工作員の数などが一切不明である。各国の政府や司法機関の手による解決を優先し、平和を脅かす事件を引き起こした犯人を捕縛してもその国の司法に裁きを任せている。ついさっきまでサッカーの試合や親子連れ等を演じるUBメンバーで溢れていた土手が振り返ると人っ子一人いなくなっていたり、敵を捕縛するために町一つを作って任務を終えた日の内に元の空き地に戻し、架空の路線バスを乗員・乗客に扮したメンバーで構成する罠を張り巡らせることも容易である。また、カムフラージュとして窓口になるダミー組織がある。メンバーは全員コードナンバーで呼ばれ、桁数が小さいほど組織の地位は高い。三桁までとは異なり、四桁以降のメンバーは任務で接触することがなければ一桁や二桁の顔を見ることなく一生を終える。上下を問わず、その日の出来事をディスクに記録する義務がある。一つの任務が終わると休暇を与えられ、次の任務を命じられるまでの短い時間が休養期間となる。任務の早期完了のために潜入先で信頼を得てとけ込むことが必須であるため、可能な限り相手に警戒心を抱かれずにすむよう管轄で生活する人々と同じ民族かあるいはそれに近い民族というのも重要な条件である。
徹底した能力主義の弊害で、組織外の人間を蔑むメンバーもいる。任務の過酷さと責任の重さゆえにメンバーは恋愛を、特に組織外の一般人と深い関係になることを忌避する傾向にあるが、愛してはならないという規律は無い。組織の内外を問わず恋人や家族を持つことはOKであり、その相手は組織の保護下に置かれる。しかし、組織外の恋人が必ずしもUBメンバーだと知っているとは限らず、ただのサラリーマンだと思い込んで正体に気づいていないケースもある。
犯罪組織や世界に死滅を齎しかねない原因となる事象が任務の対象となるが、本部より命令の下った任務でなければ後の禍根が根絶できるとしても「煌龍」の総帥・結城(張)に手を出さず、彼の計画した「ENU」のゲオルグ殺害やDIVと「異端のD」による元「赤い馬」のジェイデンとヤンの処刑を看破しても無関係・任務終了を理由に放置することがミッション・ブルー最終章およびレッドスクランブル最終章で明らかとなった。その一方で、基本的に破滅に至るかもしれない事件が起きた場合にのみとされているが、第1シリーズの「DUTY2:目撃者」で篠塚は世界の危機でなくても助けを求められれば世界中の何処にでも出動すると語った。また、管轄が定められているが、秩序維持に必要だと判断すれば本部の命令が無く正式な任務でなくても行動し、篠塚が采配を振るアジア圏の日本国内とはいえ、トップナンバー同士のNo.7の個人レベルでの依頼に応じて篠塚が任務外の潜入を行ったり、逆にアジアに関連が無くても篠塚以下UB日本支部のメンバーが世界各地に出動することが多々ある。管轄という概念が曖昧になっている。
世界の隅々まで監視体制を敷いてはいても一般の犯罪までは感知しておらず、大きな組織なら情報は掴みやすいが、星の数ほどいる小さな組織の特定は時間がかかる。
トップナンバーとその分身たる側近「影」という設定が無くなり、部外者のDIVたちがトップナンバーである篠塚の直属の部下となった。
暗号指令コード
レッドマウンテン0001
トップナンバー
作中では、篠塚と慎悟の排除を依頼されたNo.7が恋愛感情を篠塚に抱いた慎悟を容赦なく傷つけ、篠塚は自身の死を偽装して慎悟を苦しめたが、後に2人は間違いを認めて考えを改めた。和解の直前、イックの罠により「慎悟の死」の悲しみに耐えきれずに篠塚は精神に変調を来たした。また、万能視するメンバーもいるが、自身の能力を過信している側面があるのも否めない。第3シリーズの「Mission7」で友人のジョンとジムを危険に晒すまいと篠塚は彼らの協力を拒むが、女性メンバーを率いて看守たちを倒すNo.7の援護があってもなお目くらましの砂嵐が途切れてしまい、外界の家族や友人を救える唯一の存在だと事情を知った受刑者たちが暴動を起こして助けてくれなければ、ワクチン(抗ウィルス薬)となり得る抗体を有する蔡建明を救えずにホスト確保とパンデミック阻止の任務に失敗、篠塚も建明と共に射殺されてトップナンバーの殉職という憂き目に遭うのは確実だった。
登場したトップナンバーは、アジア全域を担当する篠塚、北米担当のNo.7、ロシア担当のNo.5、軍事衛星のNo.4。No.1は声だけ、No.6は「煌龍」の標的と思われる人物の監視とだけ語られた。
篠塚が第1シリーズの「DUTY1:始動」では事細かに報告して警護から敵の一掃に移る許可を求めたりし、「DUTY19:Ω-オメガ-V」まで本部からの命令で任務を遂行すべく世界を飛び回り、上級メンバーとしての意味で一桁の活躍は描かれたが、序盤は組織を運営したり指揮する立場などの設定は無かった。
二桁ナンバー
影
第1シリーズの「DUTY22:アジアの風」まで設定が固まっておらず、イックたちはメインで篠塚を補佐する部下であり、トップナンバーの側近「影」という設定自体が無かった。
トップナンバーの分身である「影」を介さずに篠塚が頭ごしに行動することが増え、第4シリーズでも篠塚と「UB」に匿われて情報提供だけだった元「赤い馬」のフランツが直結して彼の指揮により、協力関係にあるDIVと「異端のD」を別働隊として動かすなど「影」は任務の中心より外されるようになった。「JBF」壊滅作戦後、完全に直属の部下という立場は解消された。
影武者
動く花々作戦
闇夜の虎作戦
UB日本支部
空飛ぶ病院
赤いチューリップ移植作戦
UBフランス支部
UBニューヨーク支部
UB南部アメリカ支部
ブルールーム
獣の眠る森作戦
コード405
隠れ家
オペレーションA
自らの手で解決することを望む篠塚が最も好む作戦だが、トップナンバーの篠塚が現場に出張ること自体が問題視されており、いつも反対しているイック (No.19) だけでなく単独行動の共犯になることが多いNo.33すら難色を示して「オペレーションB」を進言するも篠塚は退けた。
オペレーションB
「Mission2:episode3」で篠塚に一目惚れした女子高生トリオの一人が敵の実行犯に誘拐されたため、こちらの作戦に変更した。
UBアフリカ支部
廃村
村の中に幾つもシェルターが設置されている。慎悟と篠塚が住むことが決まった際、村の中での慎悟の自由とプライベートを確保したいという篠塚の希望に沿って撤去不可能なシェルター以外の防犯設備および「UB」関連のものを外した。その事実は「UB」に守られることを極力避けたい慎悟が知れば行くことを拒否することは明白であるため、1年前の真相を告げるまで隠蔽されていた。慎悟が村を離れた後、セキュリティは元に戻された。「JBF」壊滅作戦終了後、篠塚により警護とされたDIVや「異端のD」が慎悟の警護を任され、慎悟と共に暮らすようになる。
第5シリーズでは駅が復活しても立入禁止区域とされているため、近隣の人々に山には鬼神がいると噂される。慎悟によれば「異端のD」は15名ほどおり、彼らのネットワークで村のことを知りDが少しずつ集まっている。
Silent Black
その他の作中用語
レッド・カンパニー
シールド計画
FF
城南一高
タイガース・アイ
白龍(パイロン)
殺人ウイルス
(1) ヨーロッパ発
(2) ロシア発
(3) 台湾発 / A国発症
化学兵器
(1) コールド・ブラッド
(2) レッド&ブルー
Ω(オメガ)
横田基地
作中では米軍基地とだけで基地名が呼ばれることはないが、基地の各所に英語で「UNITED STATES AIR FORCE Yokota Aire Base」と表記されている様が第1シリーズの「DUTY19:Ω‐オメガ‐II」と第3シリーズの「Mission8:episode5」で描かれた。
黒い蛇
スタークロス
アンドロ・メディリアン
赤い狼
煌龍(ホアンロン)
ある時、当時の皇帝より一族の印となる紋章を送られて以来、力と結束の強さの証としてメンバー全員が身体の何処かに紋章の刺青を彫るようになった。元々は一つの血族から成り立っていた。自分たちが「悪」と定めた対象の抹殺、世界を変えるには破壊と殺戮が一番だという基本姿勢は変わらないが、外部から総帥の教育係を兼ねた新幹部を迎え、関係者すら一人残らず皆殺しすることから根本の原因を探り排除するピンポイントの処理にと少しずつ路線変更が行われている。個人で「UB」に挑んで敗れるも竜童とローにより弟である教育係の劉を介して篠塚と慎悟の情報を得、当初から「UB」と対峙して存続し続けており、「UB」の力をもってしても全貌を捉えることが出来ない。
第2シリーズ最終章「MISSION5〜試練の冬〜」で殺人ウィルスを狙う「ENU」の首魁ゲオルグを殺害した。メンバー全員を殺害する予定だったが、篠塚に阻止されてしまう。
第4シリーズの「Mission2:episode14」でのオークション会場で「煌龍」の総帥出現により招待客は沈黙し、壊滅した「赤い馬」など格下とする歴史と技術を有しており、世界に恐怖を齎す存在として知れ渡っている様子が描かれた。
鳳凰楼
カシャサ
サンティアゴ国際空港
ナミリア共和国
ブラック・ドラゴン
(2) 第3シリーズの「Mission7:episode5」に登場したNYマフィア。台湾マフィアを引退したとはいえ大きな影響力を持つ蔡社長に組織を渡すよう脅迫し、その息子を誘拐してホテル扱いで利用する刑務所に監禁。篠塚が脱獄に尻込みする彼の不安材料を消すため、部下に命じて壊滅させた。
ENU(ヨーロッパ貴族連合)
ケーブルカー
R・R
その後、「Mission6」で語られるのみだった組織が残党という形で登場し、囮となったアンジーに近づくたびに次々に「UB」に捕縛され、最後の一群が「UB」を追う日野倉を拉致するも篠塚に奪還され、誘導されたレインボーブリッジで篠塚が呼び寄せた日本の警察により最後の残党も逮捕されて完全に壊滅した。
ホープヒル刑務所
フェイズ5
特別房
ディエス空軍基地
山の里(やまのさと)
第4シリーズで駅のホームの下に廃村と同じシェルターの一つがあり、篠塚にDIVを救うためにシェルターのことを教えられた「異端のD」がそこからDIVを連れて退避した後、事前に設置した爆弾で殺到したDナンバーを爆殺したことが明らかになった。
赤い馬
第4シリーズでは、どうして滅んだのかと不思議がられながらも「いい組織だった」とイタリアの大物に惜しまれていた。しかし、「煌龍」よりは格下であることがオークションに結城が現われたことで明白になる。
KK解放軍
T・E・E
Dナンバー
異端のD
同じ元「赤い馬」ということもあり「JBF」について詳しい。慶太に話した「腰の左側に自分たちのナンバーをローマ数字の刺青で刻まれている」というのは真っ赤な嘘であり、シールを貼り付けていただけだと大介(DXVI)は語った。Dナンバーのマークを付けていたらアサシンは無理だとのこと。
Dコール
清王医科大学病院
リド王国
JBF
本部は元々はカリブ海の孤島にあった。暗殺だけでなく報酬次第で何でも実行し、手段を選ばないことで有名。規律の厳しい「赤い馬」の中で抑えの効かない若者の中でも上層部の命令を無視して独自の殺人スタイルを貫き、追放された「赤い馬」の反乱分子で構成されている。実力が高く評価される一方で、手口が非道すぎて「赤い馬」を追放されたという噂も囁かれている。任務で暗殺を実行する他のメンバーとは異なり、加入して来た目的が快楽のために殺人を行う輩であるため、厳しい規律も平然と破って好き放題で組織を放逐された。処刑されることなく放り出されたのは、重要な情報を持たない一般の実行メンバーの処刑に手間暇かける必要はないと判断しての処置だった。「JBF」に君臨するレイヴンだけは唯一の例外である。本部は堅固なセキュリティと特殊部隊出身の警備とで外部からの侵入を許さず、島全体が一つの要塞になっている。
かつて「D対策」のために莫大な資金を投じて建造した新しいアジトを所有しており、本来のカリブ海の本拠地と同様、島全体が難攻不落の要塞と化している。「赤い馬」とDナンバーが全滅して用済みとなり廃棄される予定だったが、不測の事態に備えて組織ごと引っ越したことで篠塚奪還のために「UB」が踏み込んだカリブ海の元の本拠地はもぬけの殻であり、対「UB」に活用されている。慶太の目測では東京ドーム数個分の大きな島に、中央にヨーロッパ貴族の館のような本館と少し小ぶりの別館、近代的なビルの研究棟とヘリポート、それらを頑丈な壁が囲っている。外部との連絡手段はなく、端末や追跡装置は埋め込まれたモノまで徹底的に調べられる。「JBF」のメンバーも端末の一つすら所持していない。外敵に対する用心のため、島の見取り図は機密事項となっている。
ドランの内戦
オークション
ドラマCD
1999年にドラマアルバム「9番目のムサシ」として トライエム / エアーズ レーベルから発売され、2000年に再発売された。
キャスト
- 篠塚高 (No.9) - 高乃麗
- 橘慎悟 - 結城比呂
- 竜童 - 一条和矢
- 嶋田良一 - 早見淳平
- 佐野裕一 - 遠藤章史
- 森田まさよし - 小谷伸子
- 山本 - 飯田利信
- 担任 - 大栗伸慶
- UBメンバー - 宮野隆矢
- 生徒 - 坂入学
書誌情報
単行本
- 高橋美由紀 『9番目のムサシ』 秋田書店〈きらら16(セーズ)コミックス〉、全21巻
- 高橋美由紀 『9番目のムサシ ミッション・ブルー』 秋田書店〈ボニータコミックス〉、全8巻
- 高橋美由紀 『9番目のムサシ レッドスクランブル』 秋田書店〈ボニータコミックス〉、全12巻
- 高橋美由紀 『9番目のムサシ サイレントブラック』 秋田書店〈ボニータコミックス〉、全15巻
- 高橋美由紀 『9番目のムサシ ゴースト アンド グレイ』 秋田書店〈ボニータコミックス〉、既刊12巻(2023年9月14日現在)
文庫
- 高橋美由紀 『9番目のムサシ』 秋田書店〈秋田文庫〉、全10巻