海のトリトン
以下はWikipediaより引用
要約
『海のトリトン』(うみのトリトン)は、手塚治虫の漫画。および同作を原作としたテレビアニメ。
概要
『サンケイ新聞』(現・『産経新聞』)に1969年9月1日から1971年12月31日まで新聞漫画『青いトリトン』として連載、1972年4月から9月末まで放送されたテレビアニメのタイトルは『海のトリトン』。アニメが放送終了した1972年末に初めて単行本化されたときに原作も『海のトリトン』と改題された。「トリトン」の名はギリシャ神話から引用こそしているものの、内容そのものはギリシャ神話とは何ら関連を持たない独創的なものになっている。
1969年2月末日まで『鉄腕アトム』(後に『アトム今昔物語』に改題)を連載した『サンケイ新聞』編集部の要請により、半年の間を置いて手塚治虫が連載した新聞連載漫画である。当時はスポ根劇画が人気を博しており、『サンケイ新聞』側の希望で特訓などの要素が取り入れられた。当初、海棲人類トリトン族の赤ん坊「トリトン」を拾ってしまった漁村の少年「矢崎和也」を主人公とし、抗争に巻き込まれた第三者の冒険と根性のストーリーになるはずだったが、作者自身が純然たる冒険活劇とした方が作品として面白くなる事に気づき、物語中途で和也を失踪させ、主人公をトリトンに交代させた。
アニメ版のストーリーに比べて、トリトンが陸の人間として成長し、知識と武術を習得して海に出るまでを丹念に描き、水中でも息が出来るだけのようなトリトンが海の怪物にも等しいポセイドン族と互角に戦える理由を説明している。ポセイドン族との抗争の他、トリトン族と人間との好意的とは言いがたい接触がストーリーのもう一本の柱になっている。
登場人物
アニメ版の声優陣は青二プロダクションと東京俳優生活協同組合から起用された。
トリトン族
トリトン
声 - 塩谷翼
本作の主人公。トリトン族の生き残りで13歳の少年。
赤ん坊の時に猪の首岬の洞窟に置き去りにされ、和也(アニメでは漁師の一平)に拾われて育てられる。ルカーの話によって自らの出生を知り、村にポセイドンの被害が及ぶことを恐れ、村を捨て自ら海へと旅立つ。
アニメでは髪が緑色で、性格も最初の頃は子供っぽさが残っていた。一方原作では髪も瞳も黒く、ナイフ投げの名人。アニメ版と比べると最初から精神的に大人であり肉体も大人へと成長した。
第32章では最後の決着をつけるべく大型ミサイルの中へポセイドンを閉じ込め宇宙へ放って追放し、自らも運命を共にした。
サンデーコミックス版ではポセイドンの要塞に特攻した。パイロットフィルムでは超能力でポセイドン族に立ち向かう。
TVアニメ版ではポセイドンを倒すも、トリトン族とポセイドン族の残酷な真実を知る事になる。
ピピ
声 - 広川あけみ
トリトン族の生き残りで人魚の少女。上半身には着衣はない。
アニメでは第4話から登場しており、北の海でアザラシのプロテウスに育てられる。髪はオレンジ色の短髪。
慎重なトリトンとは対照的に、勝気で好奇心旺盛。その性格が災いして敵の罠に落ちることもしばしば。初期はかなり生意気な牲格でトリトンを嫌っていたが、中盤からトリトンとの友情が高まり、素直な牲格になった。
第24話では伏兵・ガダルによって囚われたトリトンを助けるためにガダルの注意を惹きつけたり、第26話ではアルコールランプでマイペスを偶然にも倒したりとトリトンに劣らぬ所も見せつけている。
原作では長い黒髪をしており当初「ピピ子」として登場。アニメ版とは大幅に異なり、性格は明るく素直だが幼少時はおませさんで、始めからトリトンの恋人であると主張しており、途中で大人の女性へと肉体が成長した際にトリトンもそれを認めた。
第22章ではポセイドンの妃に選ばれ「ピンキー」の偽名でポセイドン一族を渦潮に誘い込み逃げようとしたが、囚われの身となる。結婚させられる直前に搭から脱出し、第32章でトリトンと結婚。7人の子供を生むが、最終章ではトリトンの死により未亡人となる。しかし夫の後を継いだブルーを始めとする子供達の成長を見て生きる気力を取り戻す。
パイロットフィルムではポニーテールの髪型。
トリトンの父
トリトンの母
海の仲間
プロテウス
ルカー
イル
カル
フィン
ガノモス
メドン
ラカン
ジェム
声 - 山本圭子
紅海に住むジュゴンの子供。紅海から地中海に抜ける海底水道「ゴンドワナの喉」を抜けようとするトリトン一行と出会う。水道に潜む伏兵・ガダルに弾き飛ばされたオリハルコンの短剣を、自ら囮になったピピたちがガダルの注意を惹き付けている隙にトリトンに届ける。
人間
矢崎和也(やざき かずや)
一平じいさん
本家のばあさん(アニメ版ではオトヨばあさん)
沖洋子(おき ようこ)
六蔵(ろくぞう)
ポセイドン族
ポセイドン
声 - 北川国彦
ポセイドン族の首領で巨大な石像。トリトンの持つオリハルコンの短剣の輝きに引かれる。
原作とパイロットフィルムでは獣的なデザインで特殊な言葉でしゃべり、トリトン族だけでなく公害などにより海を荒らす地上人を攻撃するための要塞を建造している。ポセイドン王は代々不死身の体を持っており、歴代の149人のポセイドン王が砦に眠っている(だが、ポセイドンは不死身に対し、その子供たちは不死身ではない)。
ターリン
ポセイドン配下の殺し屋でトリトンの両親を殺した。攻撃を受けても甲殻類のように脱皮する事で何度でも凌ぐ事が出来る。地上では沖家の運転手として働いている。殺し屋なため執念深い性格だが、好意を持った沖洋子の「優しい人」という信頼だけで幸福感を溢れさせるなど、恋愛面に関しては純情。ポセイドン族の掟により陸ではトリトンと対決せず、水中での対決を旨とする。沖洋子に好意を持っており、ポセイドン一族の秘薬を提供するなどして心臓に病気を抱える洋子を守っていた。そのため、トリトンも洋子の生存中は彼女の生命線であるターリンを殺すことが出来なかった。しかしそんなターリンも洋子がドロテアに殺された際には裏切りを考えざるを得なくなり、ドロテアを共通の敵として一時的にトリトンと共同戦線を張った。最期は要塞でトリトンと対決し、対等な形での勝負を図るが皮を脱いだ時点で隙を突かれ、落ちて来たイルカに潰されて敗れる。
原作のみに登場。
ドリッペ
オクトポーダ
ドリテア
ドロテア
ヘプタポーダ
声 - 中西妙子
ポセイドンが人間から作り出したポセイドン族でありながら青い海と太陽に憧れていたために、永久追放され、南太平洋のはずれの海グモの牢獄に閉じ込められていたが、望みを叶えるという条件でトリトン征伐に参加する。ポセイドン族には珍しく美しい女性の姿をしている。何匹ものカマスを「生きた剣」に変えて戦う。トリトンとの戦いで自分の憧れていた太陽の下では輝きが強すぎてポセイドン族は生きられないと悟り、ポセイドンを裏切りトリトンに加担する。レハールの居場所をトリトンに知らせるが、自身はレハールに殺される。原作ではポセイドンの娘で陸で沖財閥と取引にした所をトリトンに襲われるが命拾いし、救われ、戦い合う事に疑問を持ち、最後は兄からトリトンを殺すように言われるも自殺した。
イボリロ
サイグロポン、シーラカタンダ、ウルフラ。
ゴーブ
ポセイドンとピピ子の身代わりとなったウミワタの間に生まれたポセイドンの34人目の子供。
巨体ながら体はとても柔らかく、わずかな隙間からでも入り込め、口が二方向に分かれたり、舌が二本に分かれたり、あるいは目を潰してもすぐに別の目が出たりと変幻自在の体を持つ。頭に生えた触覚のような物は獲物に突き刺す針になる。更には、とてつもない食欲の持ち主で、肉でも植物でもなんでもお構いなしに食べ続け、おまけに、食べた物はほとんど強い溶解性の毒がある排泄尿にして、尻尾から垂れ流す。味方すら食べる食欲からポセイドンとトリトンの共闘で、潮の満ち引きの激しい海岸に誘い込まれ、日光によって干からびて倒される。
この名前は原作で、アニメでは「バキューラ」として登場した。
マーカス
声 - 矢田耕司
ポセイドンが命令伝達に使う、瞬間移動のできるタツノオトシゴ。
ポリペイモス達を見下したり、作戦に難癖をつけたりすることもあり、彼らに煙たがられている。武器は口から吹く毒針。相手を呼ぶときも語頭に「ガイ!」を付けるのが口癖。
ポリペイモス
ミノータス
声 - 柴田秀勝
ポセイドンが人間から作った、北極海の司令官。武器は口から吹く冷気。
トリトン達を海の墓場に誘い込み、襲撃するも、トリトンのオリハルコンの短剣で倒される。パイロットフィルムではミノータスらしき怪獣が登場した。
マイペス
声 - 加藤修→野田圭一
ポセイドンが人間から作った、南極海の司令官。
ミノータスとは元の人間が兄弟にあたる。兄ミノータス共にトリトン達を海の墓場に誘い込んで襲撃するも、ピピが点けたアルコールランプの炎を浴びて火達磨となり、海底に没した。
レハール
声 - 富田耕生
マンドリル顔で頭に角を持つ男で幻覚術を使う。ポセイドンの命により2000年の眠りから目覚め、ドリテア、ポリペイモス亡き後の太平洋全域の指揮を任された。裏切り者であるヘプタポーダを倒すも、直後にオリハルコンの輝きを直視したために失明、海底を永久に彷徨うこととなり、ポセイドンにも見捨てられる。
原作でも登場するが、かなりデザインが異なる。原作ではポセイドンの親衛隊の長官。ポセイドンの言葉を理解できておらず、勘で受け答えしているらしい。
ネレウス
ブルーダ
ゴルセノス
声 - 水鳥鉄夫
頭に鶏冠の生えた、鱗に覆われた緑肌の半魚人。地中海の司令官。
巨大なカブトガニに乗り、砂を使った攻撃や砂の分身でトリトンを苦しめた。乱暴者と言われるわりに頭が働くようで、オリハルコンの短剣を研究して対策を練り、鏡のような大きな盾を使って短剣の輝きを反射してみせたが、最期には砂の分身が洞窟の鍾乳石から滴り落ちる水に触れて固まり、自身は盾を手放したために敗れる。
単行本
- 産経新聞連載版(1969年 - 1971年)
- サンデーコミックス『海のトリトン』(秋田書店)全4巻
- サンデーコミックス版は、新聞版を編集し、普通のマンガのようなコマ割りに近づけている。
- 手塚治虫漫画全集『海のトリトン』(講談社)全4巻
- 手塚治虫傑作選集『海のトリトン』(秋田書店)全3巻
- 秋田文庫『海のトリトン』(秋田書店)全3巻
- 『青いトリトン』《海のトリトン オリジナル復刻版』(復刊ドットコム)上・下巻
- 復刊ドットコム版は1回1ページ収録(各コマも連載の原寸大へ復元)するなど、連載当時の状態をほぼ完全再現している。
- サンデーコミックス『海のトリトン』(秋田書店)全4巻
- サンデーコミックス版は、新聞版を編集し、普通のマンガのようなコマ割りに近づけている。
- 手塚治虫漫画全集『海のトリトン』(講談社)全4巻
- 手塚治虫傑作選集『海のトリトン』(秋田書店)全3巻
- 秋田文庫『海のトリトン』(秋田書店)全3巻
- 『青いトリトン』《海のトリトン オリジナル復刻版』(復刊ドットコム)上・下巻
- 復刊ドットコム版は1回1ページ収録(各コマも連載の原寸大へ復元)するなど、連載当時の状態をほぼ完全再現している。
- サンデーコミックス版は、新聞版を編集し、普通のマンガのようなコマ割りに近づけている。
- 復刊ドットコム版は1回1ページ収録(各コマも連載の原寸大へ復元)するなど、連載当時の状態をほぼ完全再現している。
- テレビマガジン・たのしい幼稚園連載版(1972年)
- サンデーコミックス『ふしぎなメルモ』(秋田書店)全1巻
- 秋田文庫『ふしぎなメルモ』(秋田書店)全1巻
- 手塚治虫漫画全集『ワンサくん』(講談社)全1巻
- サンデーコミックス『ふしぎなメルモ』(秋田書店)全1巻
- 秋田文庫『ふしぎなメルモ』(秋田書店)全1巻
- 手塚治虫漫画全集『ワンサくん』(講談社)全1巻
アニメ
作品概要
1972年4月1日から同年9月30日まで、朝日放送を制作局として、TBS系列で毎週土曜日19時00分から19時30分に全27話が放送された。本作より、この枠はTBS制作番組から朝日放送制作番組に変更になっている。
元々は連載終了後に、手塚治虫が手塚プロダクションでアニメ化する予定でパイロット版が制作された。しかし、虫プロダクションの経営悪化による混乱の中、アニメ化の権利を手塚のマネージャーだった西崎義展が取得して、テレビ局への放送の売り込みに成功した。西崎のテレビアニメ初プロデュース作品であり、富野喜幸(現・富野由悠季)の初監督作品となる。虫プロ商事のスタッフを中心に設立されたアニメーション・スタッフルームで製作されることとなった。実際に制作の中心となったスタジオは主に東映動画のテレビアニメシリーズの下請けをこなしていた朝日フィルムで、監督の富野は虫プロ系のスタッフが使えなかったと後に述べている。そのため、キャラクターデザインに東映動画出身の羽根章悦を起用したのも、虫プロではなく新しいものに挑むという基本方針の下、あえて手塚治虫調ではないキャラクターを選択したものであった。ストーリについても、原作漫画を読んだ富野が「つまらなかった」というのを理由に、キャラクターの設定のみを生かし、一から練り上げたという。
こうした製作の経緯があったため、手塚は秋田書店版の単行本のカバー袖のコメントで「テレビまんがのトリトンは自分のつくったものではない」、講談社の手塚治虫漫画全集のあとがきで「自分は原作者の立場でしかない」とこれまで基本的に自身も関与することがほとんどだった手塚の漫画作品が原作のアニメでは珍しく、原作の映像化を許諾したのみの作品であることを読者に断っている。これについて富野は、手塚は原作を失敗作だと考えていたのではないかと推察し、ストーリーの改変についても、かなり自由に任せてくれたとも回想していた。
アニメ版では原作にあったトリトン族と人間との関わりの部分を切り捨て、物語全体の鍵を握る「オリハルコンの短剣」を登場させて、圧倒的な敵を相手に戦闘が成り立つことを説明している。本作は手塚がアニメ化に直接関与していないため、『鉄腕アトム』や『リボンの騎士』などとは異なり、虫プロの色である手塚治虫のスターシステムキャラクターは全く登場しなかった。
本作は富野喜幸の初監督作品として、守るべきものに追われる主人公、主人公たちが作る共同体、そうして最終話で明らかとなる「実はトリトン族こそが悪であり、ポセイドン族が善であった」という善悪逆転の衝撃のラストが後の『無敵超人ザンボット3』に繋がるとしてしばしば比較される。
ケイブンシャが発行した『大百科シリーズ112 世界の怪獣大百科』では、本作に登場する一部のポセイドン族やメドンが紹介されている。
アニメ史上における評価
本作は『宇宙戦艦ヤマト』以前に高年齢層に人気を博した作品で、アニメブームの先駆者として重要とされる作品である。日本で初めてファン主体のテレビアニメのファンクラブが作られたとも言われる作品で、とりわけ女性ファンの人気が高かった。1972年結成の『海のトリトン』ファンクラブの「TRITON」がそのファンクラブとされる。さらに録音スタジオには、トリトン役の塩屋翼を目当てに女子中高生が見学に訪れるという後のアニメ声優ブームの先駆けとなる現象も見られた。
後に西崎の『宇宙戦艦ヤマト』と富野の『機動戦士ガンダム』が大ヒットしたことで、本作は再評価された。1978年1月25日には、「アニメ愛蔵盤シリーズ」の1作として本作のサウンドトラック『海のトリトン』(CS-7044)が発売され、オリコンLPチャートで最高4位を記録した。
劇場版
やがて『宇宙戦艦ヤマト』に始まるアニメブームが到来し、テレビ版を再編集した劇場版前編(74分)・後編(65分)が製作された。西崎義展がプロデュース、劇場アニメ版『宇宙戦艦ヤマト』を監督した舛田利雄が監修し、編集は棚橋一徳が行った。
前編は1979年7月14日に東映洋画部が配給した『宇宙戦艦ヤマト』、『さらば宇宙戦艦ヤマト』の再上映のアンコールイベント『宇宙戦艦ヤマト・フェスティバル』で公開された。配給収入は5億1000万円。
ところが後編は製作されたにも関わらず結局劇場では公開されなかったが、1984年5月21日にコロムビアビデオから劇場版前後編を1本に纏めて収録したビデオソフトが発売されて初めて日の目を浴びた。
アニメ版ストーリー
年老いた漁師の一平に岬で拾われた緑の髪の赤児は「トリトン」と名づけられ育てられるが、不吉な髪の色として疎外される。ある日、一頭の白いイルカ「ルカー」に出会う。ルカーは、トリトンが人ではなく海棲人類トリトン族の最後の生き残りであること、七つの海を支配し暴虐の限りを尽くすポセイドン族とはトリトン族として戦う運命にあることを告げる。トリトンはイルカの言葉が判ること自体に狼狽し、それを信じようとしなかったが、一平がトリトンと一緒に拾ったトリトン族の衣装と宝物「オリハルコンの短剣」を発見し、ルカーの言うことが真実だと知る。その時、トリトンを発見したポセイドン族の尖兵が漁村を襲い、トリトンは村を救うため、海への旅立ちを決意する。トリトン族の他の生き残りを探すため、父母の仇にして村の仇でもあるポセイドン族を倒すために。
苦難の旅の果て、ポセイドン族の本拠地へ乗り込んだトリトンは衝撃の真実を知る。ポセイドン族はアトランティス人によってポセイドンの神像への人身御供として捧げられた人々の生き残りであった。そして、ポセイドン族の逆襲を受けてわずかになったアトランティス人がポセイドン族に復讐するために生み出し、末裔であるトリトン族へ受け継がれた武器が「オリハルコンの短剣」だった。ポセイドン族がトリトン族を殺戮してきたのは、あくまでも自らの身を護るためだった。
この最終話のプロットは、富野が脚本を無視して絵コンテ作成時に独断で盛り込んだ。このアイデアは第1クール終了頃に思いついたものの、周りに相談すると確実に却下されると考えて富野は沈黙を貫いた。ただし富野は、たとえ何クールの放送になろうと最後はこうすると決めていたという。富野自身「これはもう職権乱用です」と断言している。
最終回の脚本は松岡清治とクレジットされているが、あくまで名義であり、実際の内容に沿った脚本は存在しない。
スタッフ
テレビシリーズ
劇場版
音楽
主題歌など
本放送時にはオープニング曲とエンディング曲が途中の回から逆転し、映像も変更された。
1970年代の再放送では本放送時と同じ状態で放送されていたが、近年の再放送や映像ソフトでは変更後のものに統一されている。 LD-BOX「海のトリトン パーフェクトコレクション」には、本放送時の第1話のオープニングとエンディング映像が特典として収録されている。
「海のトリトン」
発売元 - 日本クラウン(MW-1002)
- 第1話 - 第6話ではオープニングとして、第7話以降はエンディングとして使用された。
- オープニング映像にはトリトンらの主要キャラクターは登場せず、海を泳ぐ魚達の映像と、須藤リカとかぐや姫の実写映像が使われた。
- エンディング映像は止め絵構成となっており、冒頭と終盤で須藤リカとかぐや姫の実写映像が挿入された。一部の回ではトリトンの顔が異なるバージョンが使用されている。
「GO! GO! トリトン」
発売元 - 日本コロムビア(SCS-162)
- 第1話 - 第6話ではエンディングとして、第7話以降はオープニングとして使用された。劇場版のオープニングとしても使用。
- エンディング映像は止め絵構成となっており、羽根章悦によるイラストが使用された。
- オープニング映像は当初は未完成状態で、回が進むごとに完成状態となっていった。本編のカットを流用したバージョンやテロップの異なるものなど、数種類が存在した。
- 「海のトリトン」と表記されることもある。JASRACでは「海のトリトン」として登録されており、副題が「GO GOトリトン〜水平線の彼方へ」となっている。
- ビクターレコードからは藤井健によるカヴァー版が発売された。
- 1978年発売のドラマ編LP(日本コロムビア、CS-7044)には、テレビサイズ用の効果音(火山爆発の音)を編集で重ねたレコード用フルサイズが収録された。
- 早い時期にミュージックエイト社による吹奏楽譜がリリースされたこともあり、多くの学校で吹奏楽の演奏曲目として使用されている。特に高校野球の応援歌で今現在もよく演奏されている。
- 水木一郎が2011年発売の『THE HERO〜Mr.アニソン〜』でカヴァーした。
- 海上自衛隊東京音楽隊、三宅由佳莉 が2016年発売のアルバム『響け!ブラバン・ヒーローズ』でカヴァーした。
- 2019年10月25日 - 京成電鉄開業100周年を記念して、海神駅の接近メロディーに導入された。
イメージソング「海のファンタジー」(本編未使用)
発売元 - 日本クラウン(「海のトリトン」シングル盤のB面に収録)
挿入歌「ピピのうた」
発売元 - 日本コロムビア(「GO! GO! トリトン」シングル盤のB面に収録)
- 上記ドラマ編LPでは挿入歌のように使用された。
- 『宇宙人ピピ』の挿入歌とは同名異曲である。
アルバム
音楽は全て鈴木宏昌による。
海のトリトン
- 西崎義展の構成・演出によるドラマを中心に構成されているドラマ編LPレコード。「アニメ愛蔵盤シリーズ」の1作として発売され、先述した通り大ヒットした。未CD化。
トリトン
- 鈴木宏昌により自主制作されたアルバム。劇伴のオリジナル・スコアを基に鈴木宏昌とコルゲンバンドの演奏により再録音されている。通称「白ジャケ」。レコードジャケットの表面は白一色で何も印刷されておらず、エンボス加工のドットを並べて「トリトン」と刻印されていた。当初は5千枚のみの限定販売だったが後に再プレスされている。初回版の5千枚にはジャケット裏面にシリアルナンバーが印刷されていた。2014年5月7日にCD化された(発売元:SOLID RECORDS、CDSOL-1569)。
海のトリトン テーマ音楽集
- 劇場版の公開に合わせて発売されたサウンドトラック盤。
海のトリトン オリジナル・サウンドトラック
- 「Columbia Sound Treasure Series」の一つとして、『海のトリトン テーマ音楽集』に未収録だったBGMや主題歌・挿入歌も収録してCD2枚組およびLPレコード2枚組で発売された。
各話リスト
- 各サブタイトルは画面上表記どおり。映画化に際して反映されたエピソードについても併記する。
- シリーズ全体で構成に影響のない、一話完結エピソード(ボトルショー)は、劇場版では一部のシーンを使われただけで、基本的にカットされている。
- 第1話には一部音声などが異なる別バージョンのフィルム「遥かなる海の呼び声」が存在し、一部地域での再放送時に放送されたことがある。
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | コンテ | 演出 | 劇場版での反映 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 1972年 4月1日 |
海が呼ぶ少年 | 松岡清治 | 斧谷稔 | 富野喜幸 | 物語の初端であるため反映。 |
第2話 | 4月8日 | トリトンの秘密 | 永樹凡人 | 物語の基本設定が固まる話のため反映。 | ||
第3話 | 4月15日 | 輝くオリハルコン | 正延宏三 | ドリテアとトリトンの戦闘、メドンの死を反映。 | ||
第4話 | 4月22日 | 北海の果てに | 辻真先 | 斧谷稔 | 富野喜幸 | ピピ初登場の話のため反映。 |
第5話 | 4月29日 | さらば北の海 | 宮田雪 | 山吉康夫 | ミノータスとの対決とプロテウス戦死を反映。 | |
第6話 | 5月6日 | 行け、南の島! | 松岡清治 | 大貫信夫 | 第10話に統合。トリトンがピピを連れ戻すシーンのみ反映。 | |
第7話 | 5月13日 | 南十字星のもとに | 辻真先 | 山吉康夫 | 一話完結エピソードのためカット。 | |
第8話 | 5月20日 | 消えた島の伝説 | 松元力 | 大貫信夫 | ||
第9話 | 5月27日 | ゆうれい船の謎 | 富田宏 | 山吉康夫 | ||
第10話 | 6月3日 | めざめろ、ピピ! | 松岡清治 | 池原成利 | ほぼノーカットで反映。 | |
第11話 | 6月10日 | 対決・北太平洋 | 宮田雪 | 山吉康夫 | ||
第12話 | 6月17日 | イルカ島大爆発 | 松岡清治 | 斧谷稔 | 前編のラスト。イルカ島崩壊のみ反映。 | |
第13話 | 6月24日 | 巨獣バキューラの追撃 | 松元力 | 山吉康夫 | 第15話に統合。ハイライトシーンのみ反映。 | |
第14話 | 7月1日 | 大西洋へ旅立つ | 辻真先 | 斧谷稔 | 一話完結エピソードのため、カット。 | |
第15話 | 7月8日 | 霧に泣く恐竜 | 宮田雪 | 大貫信夫 | 漂流シーンとポリペイモス処刑を反映。恐竜のシーンはカット。 | |
第16話 | 7月15日 | 怪人レハールの罠 | 辻真先 | 西谷克和 | レハール登場と海底洞窟のみ反映。 | |
第17話 | 7月22日 | 消えたトリトンの遺跡 | 松元力 | 平田敏夫 | 一話完結エピソードのため、カット。 | |
第18話 | 7月29日 | 灼熱の巨人タロス | 辻真先 | 大貫信夫 | ピピとフィンがさらわれるシーンのみ反映。 | |
第19話 | 8月5日 | 甦った白鯨 | 宮田雪 | 佐々木正広 | 一話完結エピソードのため、カット。 | |
第20話 | 8月12日 | 海グモの牢獄 | 松岡清治 | 斧谷稔 | ほぼ反映。 | |
第21話 | 8月19日 | 太平洋の魔海 | 辻真先 | 山吉康夫 | ヘプタボーダの戦死のみ反映。 | |
第22話 | 8月26日 | 怪奇・アーモンの呪い | 宮田雪 | 大貫信夫 | 一話完結エピソードのため、カット。 | |
第23話 | 9月2日 | 化石の森の闘い | 松岡清治 | 斧谷稔 | ほぼ反映。 | |
第24話 | 9月9日 | 突撃ゴンドワナ | 辻真先 | 池原成利 | 前編のドリテアを倒すシーンのため、ガダルを倒すシーンを流用。 | |
第25話 | 9月16日 | ゴルセノスの砂地獄 | 宮田雪 | 斧谷稔 | ネレウス処刑のみ反映。 | |
第26話 | 9月23日 | ポセイドンの魔海 | 辻真先 | 大貫信夫 | 難破船での戦闘のみ反映。 | |
第27話 | 9月30日 | 大西洋陽はまた昇る | 富野喜幸 | 斧谷稔 | ほぼノーカットで反映。 |
放送局
- 朝日放送(制作局):土曜 19:00 - 19:30
- 北海道放送
- 青森テレビ:月曜 18:00 - 18:30
- 秋田放送:水曜 18:00 - 18:30
- 山形放送:火曜 17:30 - 18:00
- 岩手放送:土曜 19:00 - 19:30
- 東北放送:土曜 19:00 - 19:30
- 福島テレビ:日曜 18:30 - 19:00(第13話まで)→ 土曜 17:00 - 17:30(第14話から)
- TBS:土曜 19:00 - 19:30
- 新潟放送:土曜 19:00 - 19:30
- 静岡放送:土曜 19:00 - 19:30
- 北陸放送:土曜 19:00 - 19:30
- 中部日本放送:土曜 19:00 - 19:30
- 中国放送
- RKB毎日放送
再放送
1973年には、テレビ神奈川(TVK・独立放送局)で放送された。
1975年3月31日に朝日放送がテレビ朝日系列にネットチェンジしたことにより、以後はテレビ朝日系列局でも再放送が行われている。なお、テレビ朝日では1977年7月25日から9月6日に帯再放送枠で放送されている。また本作品のニコニコ動画への違法アップロードに対する削除申立は、著作権を西崎から継承している東北新社ではなくテレビ朝日が行った。
朝日放送・TBS・テレビ朝日の優先放送権が失効した後は、日本テレビや同系列局の広島テレビなど他系列局でも放送されている。
関西地区では後年、毎日放送(MBS)のアニメ再放送枠「ヒーローは眠らない」でも放送された他、2010年8月・9月にサンテレビで放送された。
映像ソフト
- 1980年代に東映ビデオから、テレビ版全話を収録したVHSとベータ全7巻が発売された。
- 1984年5月21日、コロムビアビデオから、劇場版前後編を1本に纏めて収録したVHSとベータとLDが発売された。。
- 1990年12月17日にバンダイビジュアル販売株式会社から、テレビ版全話を収録した7枚組のLD-BOX「海のトリトン パーフェクトコレクション」が発売された。
- フィルム原版が残っていなかった素材(テロップ違いなど数種類存在するオープニングや次回予告の大部分)はUマチックテープを元に収録されている。
- 映像特典として、第1話別バージョン「遥かなる海の呼び声」、Uマチックテープで録画された本放送時の初期オープニングとエンディング(第1話のもの)、未使用オープニング、本編未使用フィルムを収録。
- 再版分からは一部音声(いわゆる放送禁止用語)がカット処理されている。
- 1991年にはバンダイビジュアル販売株式会社から、テレビ版全話を収録した全6巻のVHSが販売された。同社のLD-BOX版にあった特典映像は収録されていない。
- 1990年代にジャパン・オーディオ・ビジュアル・ネットワークから、劇場版前後編を収録したVHSが発売された。
- 1999年12月、劇場版前後編とパイロット版「青いトリトン」を収録したDVDが東宝から発売された。
- 2001年9月21日、パイオニアLDCからテレビ版を全話収録したDVD-BOXが発売。2002年10月25日には、全5巻の単品DVDも発売された。
- 第1話別バージョン「遥かなる海の呼び声」、Uマチックテープで録画された次回予告も収録されている。
- LD-BOX版に収録されていた初期オープニングとエンディング、未使用オープニング、本編未使用フィルムは未収録となっている。数種類存在したオープニングのバージョン違いも収録されず、1種類に統一されている。
- LD-BOX再版分と同様、本編中の一部音声がカット処理されている。
- 2002年3月、パイオニアLDCから劇場版前後編とパイロット版を収録したDVDが発売された。
- 2009年9月11日に東北新社から、テレビ版全話と劇場版、パイロット版を収録したDVD-BOXが発売された。収録内容は2001年発売のDVD-BOXおよび2002年発売の劇場版DVDと同内容。
- フィルム原版が残っていなかった素材(テロップ違いなど数種類存在するオープニングや次回予告の大部分)はUマチックテープを元に収録されている。
- 映像特典として、第1話別バージョン「遥かなる海の呼び声」、Uマチックテープで録画された本放送時の初期オープニングとエンディング(第1話のもの)、未使用オープニング、本編未使用フィルムを収録。
- 再版分からは一部音声(いわゆる放送禁止用語)がカット処理されている。
- 第1話別バージョン「遥かなる海の呼び声」、Uマチックテープで録画された次回予告も収録されている。
- LD-BOX版に収録されていた初期オープニングとエンディング、未使用オープニング、本編未使用フィルムは未収録となっている。数種類存在したオープニングのバージョン違いも収録されず、1種類に統一されている。
- LD-BOX再版分と同様、本編中の一部音声がカット処理されている。
玩具
スポンサーの中嶋製作所が商品化したポセイドン族は「ウルトラ怪獣」とされ、価格もブルマァクの怪獣ソフビ同様350円で発売された。バキューラやゲプラーなどの怪獣は商品化されなかった。当時、バンダイの「わんぱくイルカ」のヒットに便乗しルカーが同様に水中モーターを搭載して商品化されている。
パイロット版「青いトリトン」
1971年10月に、日本国外への輸出を意図して、頭身の低い洋風のキャラクターデザインで虫プロ商事によって、アクション中心の9分のパイロットフィルムが製作された。イーストマンカラー作品。テレビアニメ版制作の前であり、タイトルは新聞連載時の『青いトリトン』となっている。
スタッフ
このパイロット版は劇場版「海のトリトン」のDVDに特典映像として収録されている。
アニメと原作のラストの違い
原作
アニメ
実は、ポセイドン像はアトランティス人が人身御供であるポセイドン族を地下に封印するためにオリハルコンで作られており、逆にその力をエネルギー源として活用して生け贄にされたポセイドン族の一部は海底の地下に都市を建設して生き延びた。元凶であるアトランティス人はアトランティス大陸が沈む直前にその機に乗じたポセイドン族によってほぼ滅亡させられたが、マイナスエネルギーのオリハルコンの短剣を報復のために作り出してトリトン族と名を変えて少数が生き延びた。長い時を経たことでトリトン族の子孫はそのことを知らずに云われ無き迫害を受けるものとして生きていたのだった。ポセイドン族は我が身を守るために世界中を荒らしまわり、トリトン族を完全に滅ぼして外の世界に出て平和に暮らそうと考えていた。しかし戦いは拡大化し、更にはトリトンのオリハルコンの短剣にはポセイドン族の太陽として活用する生命の源であるポセイドン像(プラスエネルギーのオリハルコン)を引き寄せてしまう磁力のような力が存在しているため、ポセイドン族は自らの安泰のためにもオリハルコンの短剣を始末しなければならなかったのである。
最終的にトリトンはポセイドン像を引き寄せて暴れさせてしまったため、地下都市にいた1万人あまりのポセイドン族は外界の平和な生活も自由も手にすることなく死に絶えてしまい、マイナスのトリトンの短剣とプラスのポセイドン像という相反するオリハルコンの力が激突して像は爆発、その衝撃により海底火山が噴火してポセイドン族の地下都市は跡形も無く崩壊する。ポセイドン族の消滅という結果により報復の連鎖からようやく解き放たれたトリトンだったが、戦いの真の元凶はトリトン族であり、自分達の祖先であるアトランティス人が同族の一部を生け贄にして踏みにじった罪を心に抱きながら一族の幼年期の姿である人魚の姿をした唯一の同族であるピピや、味方となって戦ってくれたルカーらイルカらと共にいずこかへと旅立つのだった。
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