ミラクル少女リミットちゃん
アニメ
原作:永島慎二,
キャラクターデザイン:小松原一男,
アニメーション制作:東映動画,
製作:NET日本教育テレビ,
放送局:NET日本教育テレビ,
話数:全25話,
以下はWikipediaより引用
要約
『ミラクル少女リミットちゃん』 (ミラクルしょうじょリミットちゃん) は、永島慎二・ひろみプロダクション(現:おもちゃ箱)原作のSFサイボーグアニメ作品・漫画作品。1973年10月1日から1974年3月25日にかけてNET(現:テレビ朝日)系列で、毎週月曜日19時00分から19時30分に全25話が放送された。
一般には、東映魔女っ子シリーズ第6弾として扱われている。
概要
本作は、手塚プロアシスタント経験者らで構成された企画集団「ひろみプロ」が企画した「少女版SF変身物作品」を具体化したものである。月曜19時の放送枠での「女の子を視聴中心対象とした児童一般向けの企画」として、対案に『キューティーハニー』が出されていたが、コンペの結果、本作が月曜19時の放送作品に採用された。(『ハニー』は土曜20時30分枠にて放送された)当初の企画書には「正義を貫くと、一年しか延命できない寿命がさらに縮まる」といったハードな設定が存在していた。NETサイドはこうした設定がともすれば作品を陰鬱にすると考え、「女子児童向け」として少女物の要素を強くし、魔法少女物にみられる学園ドラマを物語の主軸として再構築した。キャラ原案として漫画家の永島慎二を迎え、小松原一男のデザインワークを経て、現行の形にまとめられた。
「サイボーグ少女」という画期的要素をもった本作であったが、先に述べたように、サイボーグの設定は延命や人間に戻すといったSF要素は薄められ、「リミット」の性格や心情に影を落とすことに向けられた。またサイボーグ化によって得られた「ミラクルパワー」は、単に魔法に代わる超能力のような扱いとなる。これが発揮されなくとも話が成立する平凡なドラマ作りが行われることになってしまい、結果、視聴率的にも振るわなかった。だが本作でみられた作劇の実験的手法は、のちの『魔女っ子メグちゃん』にて開花することになる。
2006年リリースの本作DVD-BOX解説書において「本作は魔法少女物というより、同枠前作の『バビル2世』や、『新造人間キャシャーン』、昨今の『新世紀エヴァンゲリオン』の流れに位置すべき作品として再評価されるべきであろう」という趣旨の解説が述べられている。
2008年3月から6月にかけては、東映チャンネルの「わくわく!!アニメタイム」にてニューマスター版での再放送が行われた。
オープニングの冒頭の「ご挨拶」変更の経緯
オープニングの冒頭では、リミットがサイボーグであることを視聴者に分からせるよう、リミット自身による「ご挨拶」がある。放送時期により2種類存在する。
- 第1話から第7話の「サイボーグであることを気にしていない」趣旨のもの。
- 第8話から最終回の「サイボーグだから秘密の力がある」という趣旨のもの。
第8話以降の変更は、リミット自身の肉体的欠陥を卑下するような印象を避けるためだといわれ、NETで放送された別の番組にて差別的表現にクレームがつき、自主規制がなされた時期と重なっている。また、再放送では、第1話から第7話の物も使われている。
なお、2016年よりYouTubeに開設した「東映アニメーション創立60周年公式YouTubeチャンネル」より、本作の第1話が配信されているが、ご挨拶は第8話以降の物を使用している。
ストーリー
サイボーグ研究の第一人者の父の手により、死の淵からサイボーグとしてよみがえった少女リミット。元来明るく心やさしい少女であるため、学園や身近に起こるトラブルを、自身が持つ「ミラクルパワー」と「七つ道具」でそれとなく解決していた。同級生らとは、時にはけんかや仲違いもあったが、今までと変わらない日々を過ごしていた。しかし身の回りに起こる事件が不思議な解決を見せることに、内心疑問を抱く者もあった。それは、リミットが自身の正体がばれて仲間外れになるのを恐れ、正体を秘密にしていたからだ。
人間ではないというコンプレックスに苦しみ悲しみにくれるリミット。父に自らの境遇を憂い、「ミラクルパワーは要らない、普通の人間になりたい」と当たることもあった。そのたびに、父の温かい励ましを受け、また身体への改良も加えられ、日々を明るく過ごすよう努めていた。父もまた、娘の願いを叶えるべく研究に尽力するのだった。
自身がサイボーグであることを嫌っていたリミットであったが、ある冬の日に出会った、ハンターに打たれ瀕死の重傷を負った白鳥の若鳥を救うため、サイボーグ手術を父に懇願し、父は無事手術を成功させる。この一件はリミットに、改めて人の英知と優しさを気づかせることとなった。
五年生の三学期が終わるころ、担任の乙姫先生が結婚退職することになった。相手は同じ学校の体育教師の坂田先生。その坂田先生がパンク修理中に崖に転落し身動きが取れなくなっていたところを、父の車で通りかかったリミットが、乙姫先生の前であるにもかかわらず、ミラクルパワーとフライングバッグを使って助けだす。自身の正体が親しい人に知れることをいとわず、ミラクルパワーを人助けに使うことをためらいなく選ぶほどに、リミットは心の成長を遂げていた。乙姫先生はリミットの秘密を胸にしまいこんで、小学校を後にした。
登場人物
主要キャラクター
西山 理美 / リミット
声 - 栗葉子
飛行機事故で瀕死の重傷を負ったが、科学者である父親の西山博士によってサイボーグ手術を受け、一命を取り留めるとともに、数々のミラクルパワーを得ることになったサイボーグ少女。現在は小学五年生として過ごしている、お転婆だが心やさしい少女。自身がサイボーグであることは秘密であり、自分がサイボーグであることを「心ない人形である」ととらえコンプレックスに思っているが、そのように悩むこと自体、人間らしいとも言える。カモフラージュ用に、食事を摂る機能もあり、食べた物は実は、超小型核融合炉の反応源として利用されている(当時の幼年誌上で、彼女の内部構造図が掲載されたことがある)。あまりに小さい核反応炉のために、発生する放射線も実に小さく、自然放射能程度のレベルしか発生しない。
赤いベレー帽に、白い幅広カラーを付けたノースリーブの黄色い上着、青いホットパンツと赤いロングブーツというファッションのコスチュームを愛用。ベレー帽、上着に付けたペンダント、ブーツ、通学用ナップザックなどコスチュームは実はそれぞれ七つ道具の一部である。
彼女の本名の「理美」が劇中で明らかになるのは、事故の回想によるエピソードのときだが、それ以外にも学級名簿にも明記されている。このことから、「リミット」はニックネームだと判る。
西山博士
声 - 柴田秀勝
リミットの父。サイボーグ研究の第一人者であり「西山科学研究所」の所長として後進の指導や研究に忙しい日々を送る。リミットは一人娘として大変可愛がっており、彼女の再人間化(企画書では延命)の研究のため、世界的研究機関「ロックフォラー研究所」所長へのスカウトを断るほど。リミットを身体的のみならず精神的にも支えてもいる。妻は、リミットが7歳のころに亡くしている。
トミさん
声 - 野沢雅子
妻、母のいない西山家に住み込みで働く家政婦。割烹着で過ごす姿は昔ながらのお手伝いさんを想起させる。博多弁を話すが38年間ハワイで過ごしており英語も時折混ざる。また結婚経験もあるという。大変な博学でもある。
グー
声 - 千々松幸子
ロボット犬。もともとはリミットの愛犬。リミットと同じく航空機事故に遭い絶命、ロボット(サイボーグ犬)としてよみがえる。
耳に当たる部分はアンテナと、太陽熱を吸収しエネルギーを得る(太陽光発電システムと思われるが、パイロットフィルムではこのように説明している。本編では太陽電池と説明)機能を持つ。このため太陽光がないとエネルギーを失い機能停止して眠ってしまう。足は伸縮自在で、プロペラに変形し空も飛べる。嗅覚に優れ、どんなにおいも嗅ぎ分ける。変身能力があり、腰の変身ベルトにあるスイッチを押すと変身することができる。
クラスメイトとその関係者
浅見 信子
浅見 友男
チー坊
栗本 ジュン
石橋 隆太
石橋 綾子
一円
竹下 光子
声 - 吉田理保子 / 千々松幸子
第4話から登場した転校生。竹下産業社長の娘。裕福な家庭でわがままに育つ。リミットをライバル視しており、取り巻きとともに何かと張り合う。飼っている犬はドーベルマン。
光子の父・竹下社長は。第6話にてわずかながら登場シーンがある。葉巻をくわえた恰幅の良い男性の姿で描かれている。
先生
鈴木 圭子(乙姫先生)
坂田 金時(金時先生)
声 - 矢田耕司
日の出小学校の体育教諭。本編でも体育の授業を行っているシーンがある。熱血スパルタ教師でキントキのあだ名で呼ばれるが、その実児童思いの先生である。最終回では乙姫先生と結婚することになる。
リミットの「ミラクルパワー(超能力)」と七つ道具
本作ではリミットがサイボーグ化したことにより得た能力を「ミラクルパワー」と呼んでおり、能力を使う都度リミットは、「ミラクル、(能力名)」と呼称して力を使用している。初期には「超能力」と呼称していた。また、七つ道具を装備し、場面に応じこれら道具も合わせて使用していた。
これら能力や道具が、従来の「魔法少女物の魔法」に相当するものとして、劇中で扱われている。
以下の説明は、パイロットフィルムや設定資料からの解説であり、本編や他の解説書とは若干説明が異なっている。
ミラクルパワー
ミラクルパワーは、胸にあるマジックペンダントのダイヤルにより作動する。基本的な運動能力は常人より優れるため、器械体操やスケート、サッカー、野球など、より優れた技能でこなすことができる。記憶力、計算能力も優れている。第2話では電卓の集積回路がリミットの体に何らかの干渉を引き起こし、電子頭脳が一部機能不全に陥り頭痛や計算不能に陥る不具合があったが、改良により解消された。怪我は、作品中顔にアザができることが表現されている。
「サイボーグ」という表現を行っているが、第1話では透視図が描かれており、脳も含めかなりの部分が機械化されているように見える。作中、西山博士が「どんなに時間がかかっても命がけで元の体に戻す」という趣旨の発言をしている(第6話、第16話など)ことから、元の体に戻すにはこれまで以上の研究の進歩が必要であることが分かる。
パワー
ジャンプ
ラン
七つ道具
ミラクルパワーに関わるアイテムには、マジックペンダントに似たデザインがあしらわれているものがあり、その部分は機能の発動に大きく関与している。七つ道具といわれるが、この場合は「幾多の道具」の意味であり、次の8つが確認されている。
マジックペンダント
フライングバッグ
マジックベレー
ダンシングブーツ
フラワーリング
びっくりコインパース
透視コンパクト
リップクリーム
ナンジャモンジャの木
町外れの海が見える小高い丘に上に立っている巨木。作品に度々登場し、リミットの心情を表現するのに重要な役割を果たしていた。エンディングにも描かれている。
ナンジャモンジャの木という言葉そのものは、特に関東地方で一般的に言われる「樹種が不明の木」をさす言葉で、クスノキ、 ハルニレ、イヌザクラ や、ヒトツバタゴなどが、こう呼ばれることがある。本作においてその樹形はクスノキに似るが幹はまっすぐであり、樹種の特定はできない。
スタッフ
- 企画 - 高見義雄
- 原作 - 永島慎二、ひろみプロダクション
- 漫画 - 池原成利、奥村真理子、志村みどり
- キャラクターデザイン - 小松原一男
- 背景 - スタジオコスモス、サンアートスタジオ、ムツゴロー、アトリエローク、他
- タバック
- 録音 - 二宮健治
- 撮影 - 目黒宏、片山幸男、平尾三喜、菅谷英夫、他
- 編集 - 古村均、井関保雄
- 音楽 - 菊池俊輔
- 選曲 - 宮下滋
- NETプロデューサー - 宮崎慎一、小澤英輔
- 製作担当 - 江藤昌治、三沢徹夫
- 制作 - 東映、NET
- 録音 - 二宮健治
- 撮影 - 目黒宏、片山幸男、平尾三喜、菅谷英夫、他
- 編集 - 古村均、井関保雄
主題歌
オープニングテーマ - 「幸わせを呼ぶリミットちゃん」
エンディングテーマ - 「センチなリミットちゃん」
各話リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 | 美術 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1973年 10月1日 |
おてんばさんこんにちわ | 辻真先 | 田宮武 | 小松原一男 | 山崎誠 |
2 | 10月8日 | なんだかへんだぞ | 雪室俊一 | 明比正行 | 菊池城二 | 土田勇 |
3 | 10月15日 | 見られちゃったワ!? | 大谷恒清 | 奥山玲子 | 山崎誠 | |
4 | 10月22日 | 転校生はライバル | 原麻紀夫 | 古沢日出夫 | 不破八芳 | 内川文広 |
5 | 10月29日 | ぼくのおヨメさん | 雪室俊一 | 田宮武 | 岡田敏靖 | 土田勇 |
6 | 11月5日 | パパ大嫌い!! | 安藤豊弘 | 岡崎稔 | 端名貴勇 | 山崎誠 |
7 | 11月12日 | 落葉とバイオリン | 辻真先 | 宮崎一哉 | 木暮輝夫 | 井岡雅宏 |
8 | 11月19日 | ほんとの秀才 | 城山昇 | 明比正行 | 野田卓雄 | 内川文広 |
9 | 11月26日 | 変身!エラーマン | 雪室俊一 | 宮崎一哉 | 江藤文男 | 山崎誠 |
10 | 12月3日 | 夢がいっぱいわたしのリュック | 安藤豊弘 | 岡崎稔 | 端名貴勇 | 内川文広 |
11 | 12月10日 | ボスのような男になりたい | 城山昇 | 大谷恒清 | 木暮輝夫 | |
12 | 12月17日 | チャペルの天使 | 原麻紀夫 | 明比正行 | 小松原一男 | 土田勇 |
13 | 12月24日 | あの町この町暮れの町 | 安藤豊弘 | 山口康男 | 田島実 | 山崎誠 |
14 | 1974年 1月7日 |
それでも女の子 | 雪室俊一 | 笠井由勝 | 江藤文男 | 内川文広 |
15 | 1月14日 | 学校裏門なみだ門 | 茂野一清 | 角田紘一 | 山崎誠 | |
16 | 1月21日 | 誘拐 | 城山昇 | 岡崎稔 | 端名貴勇 | |
17 | 1月28日 | おんどりのタマゴ | 雪室俊一 | 大谷恒清 | 木暮輝夫 | 土田勇 |
18 | 2月4日 | 乙姫先生大ピンチ | 原麻紀夫 | 笠井由勝 | 江藤文男 | 山崎誠 |
19 | 2月11日 | 幻の狼 | 岡崎稔 | 端名貴勇 | 内川文広 | |
20 | 2月18日 | スケートの女神 | 辻真先 | 勝間田具治 | 小松原一男 | 福本智雄 |
21 | 2月25日 | 消えたマジックベレー | 雪室俊一 | 明比正行 遠藤勇二 |
上村栄司 | 内川文広 |
22 | 3月4日 | 春を呼ぶ愛の歌 | 安藤豊弘 | 山口康男 | 木暮輝夫 | 土田勇 |
23 | 3月11日 | 走れラクガキ鉄道 | 雪室俊一 | 明比正行 | 江藤文男 | 山崎誠 |
24 | 3月18日 | さよならキャプテン | 原麻紀夫 | 岡崎稔 | 端名貴勇 | 内川文広 |
25 | 3月25日 | おめでとう先生 | 雪室俊一 | 山口康男 | 木暮輝夫 | 山崎誠 |
1973年12月31日は『ビッグスペシャル』の年末企画「ドリフの爆笑'73年大行進」(19:00 - 20:55)のため休止。
放送局
- NET(制作局):月曜 19:00 - 19:30
- 北海道テレビ
- テレビ岩手:日曜 11:00 - 11:30
- 山形放送:月曜 17:00 - 17:30
- 宮城テレビ:月曜 19:00 - 19:30
- 福島中央テレビ:月曜 19:00 - 19:30
- 新潟総合テレビ
- 北日本放送
- 北陸放送:木曜 17:25 - 17:55
- 山梨放送
- 長野放送
- 静岡放送
- 名古屋テレビ
- 毎日放送
- 山陰放送
- テレビ岡山
- 広島ホームテレビ
- 瀬戸内海放送
- 九州朝日放送
- 長崎放送
- 熊本放送
- テレビ大分
- 宮崎放送:火曜 18:00 - 18:30
- 鹿児島テレビ
- 沖縄テレビ
ほか
劇場版
1974年3月16日に劇場公開された『東映まんがまつり』で第5話のブローアップ版が上映された。上映されたのは第5話だが、「ご挨拶」は上映時期に合わせて、第8話以降のものが使われた。併映は『きかんしゃやえもん D51の大冒険』『飛び出す立体映画 イナズマン』『マジンガーZ対ドクターヘル』『仮面ライダーX』『キューティーハニー』の5本。魔女っ子が2本も並ぶのは唯一。
漫画
本作品の漫画化作品だが、漫画化作品の学年誌への連載開始は1973年8月発売の9月号で、同年10月のアニメ作品放送開始よりも早いという逆転が起きている。設定がまだ固まらない段階で当時の番組紹介雑誌などに掲載されたため、リミットの本名や事故原因、母の死別時期などに違いがみられる。
掲載誌
関連商品
EP
コロムビアよりEP盤のジャンボ・ジャケット装丁版で発売。
- 幸わせを呼ぶリミットちゃん / センチなリミットちゃん (1973年10月) SCS-715
CD
コロムビアより発売。アニメ本編が長らく映像ソフト化されなかったのに対し、主題歌と副主題歌は1990年代半ばごろから度々CD化されていた。1960年代から1970年代のいわゆる「東映動画魔法少女アニメ」の主題歌などを収録したCDには本作の主題歌なども含まれた。
- 魔女っ子大作戦 スペシャル・ソング・コレクション (1999年1月21日発売 CD1枚・総24曲アルバムに収録) COCX-30267
- オープニングとエンディングの主題歌を収録。
- 歌いつがれる少女の夢 東映動画 魔法少女アニメ全集 (1994年8月21日発売 CD2枚アルバムに収録) COCC-11865/6
- オープニングとエンディングの主題歌を収録。
- オープニングとエンディングの主題歌を収録。
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DVD
発売元:株式会社アイ・シー・エフ 販売元:コロムビア
DVD-BOX