獣の奏者
以下はWikipediaより引用
要約
『獣の奏者』(けもののそうじゃ)は、上橋菜穂子のファンタジー小説、およびそれを原作とした作品群である。
概要
「リョザ神王国」と呼ばれる異世界の地を舞台とするファンタジー巨編。運命に翻弄される少女・エリンを軸に人と獣の関わりを描く。『I 闘蛇編』『II 王獣編』『III 探求編』『IV 完結編』の全4巻から構成される。
2006年(平成18年)11月に講談社から『闘蛇編』と『王獣編』が二冊同時刊行。上橋にとって物語の結末は『王獣編』のラストシーンが究極のものであり、これ以上物語が続くことはないと考えていたため、本来はこの全2巻で完結したはずだった。しかし、周囲から「続きを読みたい」という声が数多く寄せられ、またアニメの制作に関わったこともあり、自身も物語の中で描ききれなかった謎への決着を付けたいという思いが生まれた結果、2009年8月に続編となる『探求編』と『完結編』が、2010年9月には『獣の奏者 外伝 刹那』が刊行された。累計部数は200万部を突破している。
「守り人シリーズ」と共に海外での出版も予定されている。
本作は「決して人に馴れぬ孤高の獣と、それに向かって竪琴を奏でる少女」という上橋の心に浮かんだワンシーンが執筆のきっかけとなっている。この構想は何年も前に心に浮かんだがそこから発想を膨らませることがなかなか出来なかったという。しかし、ある日、ふと手に取った養蜂に関する本を読み進めていくうちに、生命の不思議に心震わす少女のイメージが浮かび上がり、こうして仕上がった作品が本作である。
あらすじ
I 闘蛇編
II 王獣編
III 探求編
IV 完結編
舞台設定
リョザ神王国
<神々の山脈>と呼ばれる峰の向こうからやってきた、金色の瞳を持つ長身の女性・ジェが王祖(国の開祖)であると伝えられている。ジェの子孫である真王(ヨジェ)一族を国王とし、真王に仕える大公(アルハン)が闘蛇軍を率いて国と王を守護するが、真王領と大公領との間で領民同士の対抗意識による様々な軋轢が生じている。
真王領
真王が統治する国の西部一帯の地方。山がちの土地が多いため、大公領と比べると収穫の変動が激しい。但し政治の中心がこちらにある事から、高等教育を受ける者がかなりいる。また、女性の地位も比較的高く、良家の出身なら高等教育を受けられる。
降臨の野(タハイ・アゼ)
王都
リョザ神王国の首都。真王一族が住む王宮がある。
タムユアン高等学舎
ラザル王獣保護場
カザルム領
王都の近郊にある小規模な区域。街にはサラノという名称がある。
カザルム王獣保護場・学舎
卒業しても平師(並の獣医師)にしかなれないが、それでも実力があれば貧しい者や女子でも入学できる為、競争率は高い。
カザルム河
サンノル郡
真王領の東端の地方。ジョウンが蜂飼いとして過ごす。
カショ山
サリム
大公領
大公が統治する国の東部一帯の地方。真王領より広大で水源が豊富な平野に恵まれていることから、稲の収穫が盛ん。しかし職業上の事情で高等教育を受けられる者がほとんどいない。また女性の地位も真王領に比べ更に低く、大抵は15、6歳で嫁ぐ事になる。
闘蛇村
大公の闘蛇軍を管理する闘蛇衆が住む村。いくつかの領地毎に分けられており、全部で12村ある。ウハン村を除き平野部にあるのが特徴。男衆は闘蛇の世話、女衆は家事・畑仕事などをして暮らす。鍾乳洞・水路・<イケ>などから成る洞窟状の岩屋で闘蛇の世話を行う。
アケ村
ラゴゥの沼
トンガリ山
ウハン村
サカ村
トギ村
トカラ村
ヤソン村
アマスル領
アマスル一族が自治を担当する地域。隣国ハジャンとの戦で得た隊商都市などがある。
アマスル河
イミィル
隊商都市
ウラム、イキシリ、トグラム
ホザ、カショル
神々の山脈(アフォン・ノア)
神々の世界と人間の世界を隔てると伝承される大山脈。この伝説は獣を戦争に使わせないために巧妙に行われた情報操作の賜である。
オファロン
残った人々の谷間(カレンタ・ロゥ・パレ)
ラーザ・オマ・カルダ
リョザにたびたび侵攻してくる巨大な帝国。一つの国ではなく様々な国の連合体。
ハジャン
用語説明
魔が差した子(アクン・メ・チャイ)
但し『王獸編』後半でエリンはその事を逆手に取り、ダミヤに「(あなたにとって私は)出逢ってはいけない者」と言う意味で用いている。ダミヤは一笑に付したが、後に(彼にとっては)その通りになってしまう。
王獣規範(おうじゅうきはん)
神々の物語(アフォン・カロ)
このことから真王は、リョザが闘蛇という圧倒的な軍事力を持ちながら、他国を蹂躙していく侵略者にならぬよう、手綱を引きつづけてきたが、一方で真王領民と大公領民との間に亀裂を生む要因ともなっている。
鏡面崩し文字(きょうめんくずしもじ)
操者ノ技(そうじゃのわざ)
特滋水(とくじすい)
鱗・骨など戦闘向けの部位が強化され、闘蛇を巨大な<牙>に変える。その反面、野生のものより弱くなる部分もあるとソヨンは語っている。それは病気に弱くなる事に加え、『探求編』でエリンが見つけ明らかになった、「闘蛇がいびつな成熟をむかえ、無精卵を産む事」である。
卵狩り
闘蛇の裁き
温浴場
入舎ノ試し
卒舎ノ試し
霧の市
道具
腕輪
音無し笛(おとなしぶえ)
闘蛇の笛
ソヨンの日記
布団鞍(ふとんぐら)
磨き玉(みがきだま)
1話では母に言われてこれを作っていたはずのエリンが、目にしたトゲラ虫に見とれて外に出てしまい、作業を忘れてしまっている。
ミトン
ラッカル
職業・組織
獣ノ医術師
教導師
王獣捕獲者(おうじゅうほかくしゃ)
真王(ヨジェ、しんおう)
〈堅き楯〉(セ・ザン)
身分を問わず貴族と同等の扱いを受けられ、最高の忠義を尽くしたものとして栄誉も与えられる。その代償として、いかなる弱みも持たぬよう生涯を通して独り身で暮らすこと、親族や知人との縁を完全に断つことが義務付けられており、いざとなれば王族のために自らを楯として死ぬことも辞さない。イアルは8歳からこの職に就き、<降臨の野>の決戦終了と共に辞す。
大公(アルハン、たいこう)
闘蛇衆(とうだしゅう)
黒鎧(くろよろい)
蒼鎧(あおよろい)
〈血と穢れ〉(サイ・ガムル)
この存在が初めて浮き彫りになったのは、今から約60年前に<血と穢れ>の放った刺客の手で当時の王女であったミィミヤが暗殺されたときであり、このことは王国を根底から覆すと共に、<堅き楯>の生まれるきっかけとなった。他にも闘蛇の卵を狙うなどの事例が確認されている。
農民、商人、貴族、家臣など国内至る所に潜んでおり、大公家でさえも実態を把握できていない。
仮面
民族
真王家
真王領民(ホロン)
大公家
ヤマンの孫オシクが「ハサル」の姓を持っていることから、その子孫達も同様と思われるが、作中では言及されていないため不明。
大公領民(ワジャク)
緑ノ目ノ民(トガ・ミ・リョ)
なお『探求編』では、自分をエリンと同祖(<緑ノ目ノ民>)と名乗るヨハル・アスマルや、その昔ジェに連れて来られた<金ノ目ノ民>の一部と、ヤマン・ハサルの一族との混血により発生した、少数ながらウハン村に普通に暮らす緑の瞳の住民が登場する。
霧の民(アーリョ)/戒律ノ民(アォー・ロゥ)
一族以外の者と結婚してはならない、一ヶ所に留まって暮らしてはならない、外出する時は顔や体を見せてはいけない、等の掟がある。また、巡回者と探索者を除き外部と関わる事も少なく、真王にも大公にも仕えない。
医術等に長けた独自の文化を持つが、周囲には魔術使いや呪術使いと誤解を受けやすい。また緑の瞳や高い背丈、流浪の民という性質などから差別的扱いを受けている。
アニメではゲルのようなテント住居に住んでいる。また、外部との交易は霧の市と呼ばれる方法で行っている。
本来の名称は<戒律ノ民>で「アォー・ロゥ」と発音されており、『戒め(アォー)』を『守る者(ロゥ)』という意味を持つ。〈霧の民〉(アーリョ)は「アォー・ロゥ」の聞き間違いから生じた通称。
探索者
巡回者
金ノ目ノ民
残った人々(カレンタ・ロゥ)
ちなみに<残った>とは「谷に残った」の意ではなく、「<災い>から生き残った」の意である。かつて同族だったジェの子孫とは、オチワを利用して交信していたが、<血と穢れ>の襲撃で伝承が途絶えて以降、それも途絶えてしまった。
本編の時代迄には王獣も闘蛇も飼わなくなり、伝承を記した書物が残っているだけである。その為、霧の民ほど戒律には縛られておらず、その分気性も穏やかな様である。
アシェ
ラーザ
ハジャン
動物
王獣(おうじゅう)
この世で唯一闘蛇を喰らうことが出来る獣として知られており、大公の闘蛇軍をも従える真王の権威の象徴として崇められている。但し、逆に幼獣が闘蛇に襲われる場合もある。
野生の王獣は非常に稀少とされ、多くの王獣は幼獣の頃に王獣捕獲者と呼ばれる一族によって捕らえられ真王に献上され、その庇護の下で保護場で飼育されている。人の保護下にある王獣は王獣規範に則って飼育されており、野生のものに比べて毛色がくすんでいる。
繁殖期を迎えると胸元の体毛が真紅(アニメでは全身がピンク)になり、天を舞いながら交合する。
オチワ
ゴス
精霊獣
精霊鳥
タキイワナ
闘蛇(とうだ)
蛇の名を持つが容姿は巨大な竜やトカゲに近い。背にまたがり角を持つ事で操ることができ、地上をかける速さはどんな駿馬にも勝る。戦闘用の獣として扱われているが、牙に毒があるうえに非常に獰猛な性格で、人が触れる際には音無し笛で硬直させなければならない。野生の闘蛇の耳には耳膜と呼ばれる蓋のようなものが付いており、切り落とさないと音無し笛で調教出来ない。
野生のものは飼育されているものより小さい上、比較的おとなしい。夜明け前は動きが鈍ると言われる。仲間が死ぬと、弔い笛と呼ばれる鳴き声を発する。王獣とは互いに天敵同士で、闘蛇が王獣の幼獣を狙うことがある。
後述する<牙>の他、<胴>や<尾>と呼ばれる種類が存在する模様。
牙(きば)
胴長ムカデ
トゲラ虫
羽虫
ユグラ火蟻
ワシュ
ガリョ
赤手ガニ
カナチョロ
ツカル
トピ
リハン
リヤ
パミ
ミチャ
ムチカ
植物
アツネ草
エリン
サキワレソウ
シラン
チゴ
チチモドキ
ツシ
ツリガネアオイ
ラカル草
ナノギ草
マキオリ
ラコス
カリム
サシャ
チャチモ
ナファラン
ノサン
ハサク
ファラン
ホアク
ラウ
キマ
ウリカ
オグル
コカリ
チミ
チャミ
ツマ草
トォク
リコ
コグ
チュク
クリム
チュワン
ウロク
ピチ
ミザ
ユシャ
ラップ
ワカ
サラユ・シカン・サヤ・シズ・サロウ・ソシュ
登場人物
主人公およびその家族
エリン
声:星井七瀬
本作の主人公。初登場時は10歳。名前の「エリン」は山に自生する山リンゴに由来する。
大公領アケ村に闘蛇衆の頭領の長男と、元霧の民で獣ノ医術師ソヨンの間に生まれた一人娘。その為、緑の瞳を持ち背丈も他の子と比べやや高いが、顔立ちは大公領民そのものである。麦藁色の髪を持つが、父母どちらの遺伝かは不明。非常に聡明で好奇心と探究心が旺盛な所は母譲りで、生物に強い関心を示し、将来は母の様になる事を夢見ている。一方で明るく気だての良い所は父譲りで、ごく一部からは<魔が差した子>(前述)と睨まれながらも、それなりに幸せな日々を送っていた。
しかしある日、処刑される母を助けようとして逆に助けられ、真王領の東端サンノル郡の湖畔で気絶していた所をジョウンに救われる。
始めは心を閉ざしていたが、彼の温かい人柄のおかげで笑顔を取り戻し、蜂飼いの仕事を手伝いながら一緒に暮らし始め、様々な知識や技術を習得していく。中でも竪琴はかなりの腕前になり、一度聞いた歌を即興で演奏できる程である。ある夏の夜、崖に落ちたジョウンを見つけ付き添っていた時に、自分の仔を救う野生の王獣を見て感動し、かつての夢を取り戻す。
4年後、着飾る事にあまり興味が無いため、少々地味だが明るく爽やかな娘に成長、蜂飼いとしても自活できる迄になる。しかし、ジョウンの息子アサンが父を迎えに来た事で、実の親子同然の二人の生活は終焉を迎える。その際お互いに自身の秘密を打ち明けた所、ジョウンの推薦でカザルム学舍の入舎ノ試しを受ける事ができ、無事入学を果たす。
しかしそれまで育った環境のせいで集団生活等が苦手で、入舎した当初は不慣れな生活に四苦八苦する。更に一部の教導師の偏見や恩人ジョウンの死に心が折れかけるが、学長エサルや親友ユーヤンの励ましもあり、人一倍努力した結果、次第に周囲に認められ、充実した学園生活を送れる様になる。
ある日死にかけていた王獣の仔リランを救い、面倒を見る事になる。途中成行きで王獣に対する<操者ノ技>を編み出してしまったり、不慮の事故が何度か起きたりするも、次第に親子の様な不思議な絆で結ばれていく。
リランの為もあって19歳で教導師になるが、その頃から闘蛇と王獣の在り方、人の在り方への疑問を抱く様になる。更に先述の<操者ノ技>を知られた為に国の権力闘争に引きずり込まれるが、混乱の中でお互いの想いが通じ合った'<堅き楯>のイアルやリランと共に、毅然とした態度で運命に立ち向かう。
それから11年後、イアルと結婚して息子ジェシを授かり、カザルムで引き続き教導師として過ごしていたが、再び<牙>が大量死したとの知らせを受け、シュナンの命で査察官として護衛役のヨハルと共に現場へ向かう。過酷な旅の道中で、同祖と名乗るヨハルとその一族や、父方の親戚のツラナを始めとする闘蛇村民の暖かい人情に力づけられる。様々な調査の末に、遂に真相を突き止めるが、同時にジェの真意にも漠然とだが気付くことになる。
一人で秘密を守るべきか悩みながら、ヨハルと調査を続ける最中、ラーザに内通した守備兵達に襲撃される。二人共辛くも難を逃れるが、この件で自分の立場を思い知らされる。更にジェシが生まれた年に闘蛇衆がラーザに誘拐され、闘蛇の育成に関する知識・技術が流出した可能性が浮上する。結果、彼女だけでなく家族など周辺の者全員が、常時監視状態とされてしまう。
シュナンに命ぜられ、悩んだ末に彼女は王獣を繁殖させる事を決意、同時に全責任は自分一人で贖う覚悟を決める。やがて実際に王獣の繁殖を試みるが、あまり数は増えなかった。
ついに決戦が始まるが、王獣部隊を見た闘蛇の群れが猛毒の霧を発し、戦場は大混乱に陥る。これも人工的に増やされた闘蛇の特性だが、戦場で初めてそれを知った彼女は、必死の思いでエクたち数頭の離脱に成功するも、事態の収拾はできなかった。
そんな中、神話時代の真実を伝えに来たジェシやアルと会った彼女は、何をすべきか自覚する。神話のリョザの様に音無し笛を一気に吹き、全ての王獣・闘蛇の動きを止めるが、自身もリランと共に墜落してしまう。
多くの犠牲を払い、勝者なき争いは終結。両国とも闘蛇と王獣を戦争に使う事の恐ろしさを痛感するが、それでもエリンの決断で犠牲は最小限に留まる。
リランの亡骸に足を挟まれたのが原因で決戦終結の四日後に命を落とす。しかしその前にジェシたちと再会し、自身の知識や見聞をすべて伝える事ができた。エリンの願いはようやく果たされ、その歴史はジェシによって次世代を担う若者たちに伝えられていく。
但し漫画は王獣編のラストまで、アニメもジェシの母親になっている所までが描かれ、後は視聴者の想像に任せる形で終わっている。
イアル
声:鈴村健一、小林沙苗(少年期)
真王の護衛を務める堅き楯の一人。非常に俊敏な身のこなしをすることから神速の異名を持つ。髪の色はアニメでは茶色で瞳は藍色だが、漫画では原作と同じく髪も瞳も黒である。
普段はエリンに「冬の木立」と形容されるほど物静かだが、冷徹な気配を漂わせており、護衛の任となれば即座に敏捷な武人へと変貌する。8歳の頃に一家の大黒柱であった指物師(アニメでは竪琴師)の父(声:下崎紘史)を地震で亡くし、その後身売りに近い形で<堅き楯>となったという経緯がある。当時、まだ赤子だった妹が一人いる。
原作ではエリンとの初対面はハルミヤがカザルムに行幸した時だが、アニメではそれ以前に3度エリンに会っており、エリンが<操者ノ技>を編み出すきっかけとなる竪琴は彼の母(声:相橋愛子)の形見の品という設定になっている。
<降臨の野>の決戦の際、首謀者だったダミヤを襲撃してエリン達を窮地から救うが、その際表情一つ変えずダミヤを刺殺した事から、以後原作ではセィミヤから疎まれてしまう。シュナンからは高く評価されるも凋落したダミヤ派の貴族たちからの嫌がらせもあり、立場的には厳しかった。
<堅き楯>を辞めるに当たり、給料の余剰分はきちんと計算して全て返済した。シュナンやセィミヤからは慰留の声や返済不要との配慮もあったが、それを断ったため金銭的には裕福とは程遠い状況となる。ヤントクのはからいで他の職人たちの仲間に入れてもらい、指物師として生活をたてる様になる。
カイルのおかげでエリンが自分の家を訪ねて来る様になると、とまどいつつも彼女を気にかけるようになる。<堅き楯>としての覚悟を決めてから感情を捨てた自分、そして多くの者達の命を奪った自分が幸せになっていいのか苦悶する。紆余曲折の末にカイルの助言、エリンの妊娠などを経てエリンと夫婦になることを決意する。
しかしヤントクから自分の母が継父と結婚後は商売に精を出し、王宮と関わりを持つほどになったと聞かされ、複雑な思いを抱く様になる。更に運命の悪戯か実の妹と偶然にも対面、彼女に「病気で死んだ」兄の思い出話をされ、自分は既にこの世に存在しないものとされた事実を改めて痛感する。エリンの職場復帰や自身の傷心もあり、カザルムへ移ることを決意、ヤントクと別れ新天地で指物師として生きていくことに不安は残るものの、どこからか彼が実兄だと知った妹が地元の職人たちに高価な材料を大量に贈ったことで、彼はカザルムでも好意をもって受け入れてもらえる様になる。しかしいきなり金品で好意を示す方法に彼は内心激怒、これが自分を捨てたことへの返事だと判断し、地元の職人たちに支払われた金品分を母や妹に返金しようとするが、今の彼にそのような金銭が用意できるはずもなく、とりあえず実の母や妹とは一切連絡を取らないことを決意する。
しかしこれは、彼の誤解だった。彼の母が商売に必死だったのは、あくまで息子を探すための財力や影響力を得るためだった。また、母は妹の件も知らなかった。家族関係を修復できないまま、母はジェシが生まれる直前に危篤に陥ってしまう。それでも始めは意地を張っていたが、ヤントクたちの必死の説得と身重でありながら母の病床へ向かったエリンに心が動き、自身も妻の後を追うが、着いた時にはすでに母は亡くなった後であった。
母の死後、考えを改めた彼は、エリンやジェシと共に家族として生きていくことを誓う。
その後は指物師として、エリンと共に息子ジェシを育てる。しかし11年後、元<堅き楯>である故に、エリンの留守中に自分のみならずジェシまで命を狙われる事態が発生する。そのため、<堅き楯>と闘蛇乗りとの架け橋になりたいという名目で、闘蛇乗りに志願する。
ラーザとの決戦から22年後に病で亡くなるが、始めの8年間は青鎧の任務に就きながらジェシを立派に育て上げ、指物師に戻ってからは孫を抱き上げる事もでき、穏やかな余生を過ごした。これもエリンに出会えたおかげである。
アニメのラストでは家庭を持ち、竪琴師になっている所迄が明らかになっている。
ジェシ
声:並木のり子
『探求編』より登場したエリンとイアルの息子で、初登場時8歳。父と同じ黒髪で霧の民の血を引くもクォーターの為、瞳も黒。難産の末に生まれた一人息子である。
両親からは想像できないほど口が達者なやんちゃ坊主だが、生物全体が大好きで好奇心旺盛な一面は母親譲り。また、『完結編』の後半で父譲りの俊敏さと行動力を見せる様になる。
王獣を家族のように大切に思っていて、「王獣を道具のように扱う」という意味とも取れる「王獣使い」という言葉にかなり嫌悪感を示す。幼い頃から共に育ったアルを「アル姉ちゃん」と呼んで慕っている。またかつてのエリン同様、母のようになりたいという夢を持っており、12歳でカザルムへの入舎ノ試しを受ける。その際、入舎の動機を問われ、「ぼくは王獣が大好きです! だから、母のようになりたいのです!」と黒々と大きく書いて、トムラら教導師達を大爆笑させた。
そんな彼もやがて過酷な運命に引きずり込まれてしまう。始めこそ両親を案ずるあまり荒れた事もあったが、「必ず戻って来るから」と言うエリンの言葉を信じ、両親を待つ決心をする。それからは、時折直情的な一面も見せるものの、心身共に著しく成長し、家族や王獣を気遣う一方で自身も意外な活躍を見せる。
決戦後、母と一緒にいられたのは僅か4日間だったが、彼にとっては大変有意義な時間だった。母の遺志を受け継ぎ立派に成長した彼は、教導師長として後進の育成に務める一方で、リョザの国家安定にも一役買う事となる。
アニメでは最終回の1シーンのみ登場。アルの傍らで母の仕事が終わるのを待っていた。母譲りの音感を持つのか竪琴を上手に演奏している。
重要人物
ソヨン
声:平田絵里子
エリンの母親で、獣ノ医術師。元は霧の民で、一族の中でも聡明で性格の良い子と評判だった。アケ村の他の女性より頭一つ分背が高く、瞳は緑色。髪の色については原作で言及されていないため全くの不明。16歳の時に一族の掟を破り、闘蛇衆の頭領の息子であったアッソンと結婚したことで霧の民から追放され、17歳の時にエリンを産んでいる。その後医術師をしながら女手一つでエリンを育てる。好奇心故に羽目を外す事もあるエリンをごくたまに強く叱る事もあるが、エリンが愛する夫の特徴を多く受け継いで産まれた事を心から喜んでおり、深い愛情を注いでいる。
医術師として非常に優れた腕を持っており、その腕を買われて<牙>の世話を一任されていた。霧の民である事から村人たちとは幾ばくかの距離を置いていたものの、普通の村人達からは医術師としての腕のみならず、その人柄も評判が良かった様である。
彼女が世話をしていた<牙>が全て死んだことを罪に問われ、監察官らの責任逃れから処刑される事になる。その際自分を助けに来てくれたエリンに感激するも、自分はもう助からない事に気付いていた彼女は、娘だけは助けようと大罪とされる<操者ノ技>を使ってしまう。そして自身は闘蛇に沼に引きずり込まれ、二度と上がって来なかった。没年齢27。アニメではエリンに形見の腕輪を託している。
『探求編』では彼女の日記が発見され、「<残された谷>へ行ってみたい」との記述を残していた。また、<牙>大量死の原因が判明した時、同時に生前の彼女の真意も知ってしまったエリンは大いに苦悩することになる。
アニメでは原作より若干男勝りの印象を受ける。エリンやサジュ同様アケ村でのシーンが長くなり活躍が増えた事や、キャラクターデザインもあって、非常に人気が上がったキャラの一人である。
トーサナ・ジョウン
声:内田直哉
真王領の東端、サンノル郡に住む蜂飼い。多少せっかちだが面倒見の良い性格。
王都のタムユアン高等学舎で教導師長を務めていたが、ある事件で教え子のサマンを亡くした責任を問われ、職を追われて蜂飼いとして隠遁生活をすることになる。
アケ村から流れ着いたエリンを介抱し、以後4年間にわたり彼女の養い手となる。その時エリンが非常に聡明で優れた視力や聴力、そして絶対音感の持ち主である事に気付き、様々な学問の知識を教え込んでいる。
実は霧の民に対する偏見の気持ちは皆無ではなかったが、元気を取り戻し爽やかな少女に成長していくエリンに対してはそれも気にならなくなる。こうしてアサンが連れ戻しに来る迄の4年間は彼にとっても幸せな時となる。
エサルとは学童時代からの友人で、彼女が教導師長を務めるカザルム学舎へエリンを編入させた。その後はアサンの勧めもあり王都に身を寄せていたが、心臓の持病のため間もなく亡くなる。後にエリンは、「おじさんがいい人で本当に良かった、もし悪い人に拾われていたら、今の私はない」と回想し、改めて彼に感謝している。
アニメ版では所構わず屁をする癖がある。また、セィミヤの家庭教師を務めていた時期があるらしい。
コルマ・エサル
声:加藤沙織
王都の近くに位置するカザルム王獣保護場で教導師長を務める女性。出身は下級貴族のコルマ家。ジョウンとは学童の頃からの親友であり、それが縁でエリンはカザルム王獣保護場へと入舎した。
エリンが霧の民の血を引いていることを知っても特別扱いすることなく接し、学舎で学ぶ子供たちのことを第一に考えている。気が短く、思い立ったらすぐ行動に移す性分。アニメではリランに指を食いちぎられたエリンにミトンを手渡している。
『探求編』以降、ジェシも生徒として受け入れる事となるが、やんちゃなジェシには手を焼く場面が目立つ。エリンのカザルム入舎から最期までを見守り、『完結編』のラストで皆に惜しまれつつ82歳で亡くなったことが語られる。
ユーヤン
声:高倉有加
カザルム学舎のエリン以外の唯一の女学童。エリン程長身ではないものの、真王領の女子としては大柄である。少々お喋りで早とちりだが明るく世話好きな性格。また、エリンが霧の民の血が入っている事もきちんと受け入れておりエリンにとってはかけがえのない親友となる。
真王領の北端の地方の出身であるため、作中では関西弁で表現される強い訛りのリョザ語で喋る。これはモデルとなった著者の親友が関西出身であるためとの事。名前もその友人のニックネームに由来するらしい。
カザルム卒舎後は故郷で獣ノ医術師となり、学童時代から恋心を抱いていたカシュガンと結婚し、家庭を持つ。その後、エリンとの再会は果たせなかったものの、手紙で連絡を取り合っていることがわかっている。
著者は彼女を登場させた理由として、重い物語を生きるエリンの心を和らげる親友を作りたかったことと、作品世界における地域ごとの文化の違いを表現することを挙げている。
トムラ
声:川野剛稔
カザルム学舎の男子学童。エリン達の4学年上で、後輩からは優秀な先輩として慕われている。
幼獣リランの世話係を外されたことで初めはエリンのことを苦々しく思っていたが、王獣舎にこもり食事も取らずに熱心にリランの世話を続けるエリンの姿を見て、しだいに協力していく。それからは、夏ノ試しを控えたエリンの勉強の手助けをするなど、エリンの良き理解者となる。
教導師としてもエリンの先輩となり、アニメでキリクがエリンを詮索しようと近づいた時はいち早く気付き、二人の元へ駆けつけた。
『探求編』以降も教導師として登場しており、入学した当初のジェシにはやはり手を焼く事になる。
真王家
セィミヤ
声:高橋美佳子
リョザ神王国の王女で、ハルミヤの孫娘。エリンより2歳上。両親が馬車の事故で亡くなっていた事もあり、ハルミヤ崩御後、次代真王に即位する。金髪で、瞳は金色。王女時代から崩れゆく国の在り様に苦悩している。大公家の長男であるシュナンと恋仲になり、国を一つにする為という彼の意志に共感し後に結婚するが、真王家と大公家との婚姻を経ても依然残る領民同士の対抗意識、最も清くあらねばならない真王が「穢れ」た大公と婚姻することで穢されてしまったと見做す真王領民への後ろめたさ、そしてそれらに対してハルミヤの様に固い意志を持って振る舞えない自分に歯がゆさを感じている。シュナンとの間に2児を授かり、『探求編』では第3子を懐妊中だった。
決戦後、エリンの言葉を元に新たな王獣規範を作成し、現真王としてリョザ再興の為に本腰を入れて取り組む様になる。臣下を始めとする真王領民にも、国の為に当事者意識を持たせるよう導くようになる。
なお、アニメではハルミヤの崩御後、原作よりも精神的に著しい成長を見せており、シュナンに対しても自分の考えをきちんと述べている。また、エリンには友情に近い感情を持っており、アニメでは彼女が「誰かエリンを助けて!」と叫んだ事が、リランのエリン救出のきっかけとなっている。
ハルミヤ
声:谷育子
『闘蛇編』『王獣編』の時代における真王で、初登場時60歳。王都の王宮で他の一族と共に暮らしている。王都に懐が広い果断な性格だが、物事を深刻に捉えてしまうきらいがある。ダミヤの誘惑に惑わされない、エリンの毅然とした態度を気に入る。
3歳の時に<血と穢れ>の襲撃によって母と祖母を亡くしたため、真王に伝わる知識を継承しないまま5歳で即位している。故に王獣規範の由来や祖先の歴史などを知らず、後にエリンからその話を聞かされ愕然とした。
ダミヤの策略により、カザルムへの行幸からの帰途、闘蛇軍の襲撃に遭い頭部を強打。一時は回復するも、その後王都へ到着すると同時に脳内出血で倒れ、そのまま崩御する。
ダミヤ
声:石田彰
ハルミヤの甥で、セィミヤの従叔父。セィミヤがもっとも気を許している人物。真王は代々女帝であるため自身に王位継承権はなく、大公領をたびたび視察に訪れるなど、自由奔放な生活をしている。
30歳になろうかという年だが妻は娶っていない。貴族の未亡人から平民の娘まで幅広く手を出すほどの女好きで、作中ではエリンにも声をかけハルミヤから「悪い癖」と苦言を呈されている。一見すると単なる優男に見えるが、気働きのある男でもあり、ハルミヤにとっては行政面の良き相談役である。
その本性は権勢欲の強い狡猾な陰謀家であり、シュナンと袂を分かったヌガンを心酔させ、自分の配下に引き込む。また密かに用意した闘蛇の卵を真王領に流し、それらを使って闘蛇部隊を組織、カザルムへの行幸を終え王都に戻る途中のハルミヤを、大公の仕業に見せかけて闘蛇部隊に襲わせ暗殺。次期真王に即位したセィミヤと婚姻を結ぶことで権力を掌握し、さらに大公軍の闘蛇をエリンの<操者ノ技>を使い我が物にしようと画策した。
だが、その迂闊な発言が結果的に裏目に出て、エリンに真実を知らされていたセィミヤが大公家との和睦を決定、これを阻止しようとするも、部下の中に紛れ込んでいたイアルに取り押さえられる。シュナン抹殺の保険として用意していたヌガンの闘蛇部隊もエリンとリランによって撃退され、シュナンを救出されてしまう。これによって彼の計画は完全に瓦解し、最終的にはイアルによってその場で斬殺されるという呆気ない最期を遂げた。
大公家
シュナン
大公
声:楠大典
『闘蛇編』『王獣編』の時代における大公で、シュナンとヌガンの父。アニメ版ではオランと呼ばれる。リョザの臣民たちが隣国から蹂躙されることなく平穏に暮らしていられるのは自分たちのおかげだと自負しており、多大な犠牲を払ってまで国を守り、富ませてきたことを誇りに思っている。最近は病気のため、実務はシュナン達に任せることが多かった。
<降臨の野>でセィミヤが青い旗を振った直後、シュナンと共に進軍していた所を反乱を起こしたヌガン率いる闘蛇軍に側面から突撃され、戦死。
ヌガン
声:川本成、中上育実(少年期)
大公の次男で、シュナンの弟。国への忠義を我が身を捨てて示した初代大公ヤマン・ハサルに対して強い憧れを抱き、国を清らかに保つために大公が「穢れ」をあえて被る形こそが素晴らしいと信じる。そのため、真王と大公の関係を否定し、国のありようを変革させようとする兄に対して愛憎入り混じった複雑な思いを抱く。結果的に彼の国に対する忠誠心は、ダミヤに付け込まれ利用されることになる。
<降臨の野>において青い旗が振られた直後、父と兄が真王を従えようとする逆賊ととらえ、ついに反旗を翻す。父を殺し兄にも迫ったが、リランに乗って現れたエリンによって阻止され、捕らえられる。その後はダミヤの野心の道具にされていたことを悟り、獄中で首を吊り自害したことが語られる。
オリ
〈堅き楯〉
カイル
声:新垣樽助
<堅き楯>の一人で、イアルの同僚。アニメではサイコロを普段から持ち歩いており、武器にしたり占いに使ったりする。イアルから卵泥棒の調査を引き継いでいる。イアルと対照的にややいい加減な言動が目立つ。<堅き楯>引退後のイアルとも親交がある。
カザルム領
カリサ
ヤッサ
トッサ
ロサ
声:下崎紘史
カザルムの教導師。頭頂部は薄いが、髪を後ろで少し束ね、メガネと口ひげをはやした年配の男。言葉に毒があるため学童から敬遠されている。エリンが霧の民の血を引いているという先入観で見てしまうところがあり、リランとの関係をとやかく詮索するため、エリンもロサのことを余りよく思っていない。
カッサ、メッサ
アケ村
エリンの祖父
声:永井一郎
エリンの父方の祖父で、ソヨンの義父。アケ村の闘蛇衆の頭領。霧の民を毛嫌いし、ソヨンとエリンを蔑視している。
エリンもジョウンに救出された直後に「おじい様達はずるい」と不信感をあらわにしており、一連の行為に村人達からも陰口を叩かれている。
ただ、アニメでは監察官の鞭からソヨンをかばったり、ソヨンの処刑時には助けに来たエリンへの攻撃を制止したりする等、実はある程度情があり、内心二人を義理の娘と孫として認めていた様である。44話では病床にある事が明らかになる。
アニメ版ではハッソンと呼ばれている。
アッソン
サジュ
声:石毛佐和(少女期)、五十嵐裕美(青春期)
エリンのアケ村時代の友人だった少女。原作では出番はあまり多くなかったが、アニメでは導入部の追加によって大公領の一平均的村娘として位置づけられ、出番が多く描かれた。
背丈はエリンよりもやや低く、性格は明るくお茶目。また、エリンとは逆に闘蛇の事は気味悪がる一方で、お洒落に関心が強く、(アニメでは)赤紫のショートヘアに花模様の髪飾りを付けている。
家族は父(声:高瀬右光)と母・オキ、祖母(声:西宏子)、姉・ソジュの他、妹がもう1人いる。
原作では本編の女性キャラでただ一人エリンに瞳の色の事で言及したものの、エリンとは大の仲良しで、ソヨンの事も「ソヨンおばさん」と呼び、慕っていた。
44話で再登場。チョクと結婚し、娘(声 - 石毛佐和)を授かっている。エリンが生きていることを知らない。
ソジュ
声:木村亜希子
サジュの姉。原作では存在が明かされているのみでほとんど出番が無い。作品世界では普通女性は16歳前後で結婚する事から、サジュより5、6歳上と思われる。
サカ村の頭領の息子に嫁入りすることになっているが、その直前にチチモドキ入りの草餅に当たり倒れてしまう。しかしソヨンがエリンを連れて霧の市に出向き入手した解毒剤によって回復、無事嫁いで行く。
オキ
声:山田智子
サジュとソジュの母。アニメではやたらと大声を出す性癖がある。原作でもソヨンやエリンと近所付き合いしており、ソヨンは<牙>の大量死事件の後処刑されることを想定してオキにエリンの養育を頼むなど、舅や姑よりも信頼していることを伺わせる。更に上記の通りアニメにおいては、上の娘ソジュをソヨンに救われており、彼女もソヨンに対し恩義を感じている。
名前が判明した『探求編』では生死不明だが、エリンの祖父に見つからないよう隠し持っていたソヨンの遺品の日記をツラナに預けており、これが<牙>大量死の謎解明に大いに役立つ事となる。
トカラ村
ツラナ
チムル
ウハン村
アマスル領
ヨハル・アマスル
シュナンの側近で、最高位の闘蛇乗り・黒鎧を永年務めた武人。『探求編』で初登場し、その時点で既に武人としては引退している。ジェが故郷から招いた闘蛇を操る<緑ノ目ノ民>の子孫であり、エリンとは同根の民である。
また<血と穢れ>の創始者の曾孫でもあり、自身もかつて結社を持っていたが、その強引な方針に疑問を持ち自ら脱退している。そのため<血と穢れ>の行動をあらかじめ察知でき、<牙>の大量死の原因を探るエリンの警護役を自ら買って出る。
後に彼の素性を聞かされたエリンは驚くが、彼自身はエリンを気に入っており、引き続き同じ様に接してもらいたいと思っている。後の決戦の時も彼もイアルと行動を共にする等、『探求編』以降の重要人物の一人と言っても過言では無い。
ロラン・アマスル
ウラム
タムユアン学舎
サマン
その他真王領の人物
キィノ
その他大公領の人物
霧の民
ナソン
声:小野大輔
霧の民の探索者であり、巡回者でもある。追放された霧の民が戒めを破らぬ様に監視する役目を担う。元はソヨンを担当していたが、彼女が処刑された後、今度は生き延びたエリンを追う。
過去にはソヨンの許婚だったが、ソヨンからは、「好きでも嫌いでもない」と言われてしまっている。
本来は思慮深い性格だが、掟や任務を最優先するあまり、冷酷で厳しい発言をする事も多い。
エリンに<神々の山脈>で起きた悲劇を知らせ、<操者ノ技>を使わないよう説得しようとするが、逆にエリンから頑なに傍観者の立場を崩さない霧の民の方針を非難されてしまう。
『完結編』で<残された谷>からやってきたリョザとソヨンをカザルムへと道案内する役割を買って出る。この時ジェシにもエリンの時と同様に警告するが、その時もソヨンやエリンを批難した為に逆に彼を激怒させる。『王獣編』でエリンに対面した時のことを回想し、彼女に<災い>の真実をしっかりと伝えなかったことを後悔する旨の発言をしている。
エリンの祖母
長老
霧の大長老
残った人々(カレンタ・ロウ)
神話に登場する人物
オファロン王
声:上別府仁資
太古の昔、<神々の山脈>の向こうで栄えたオファロン王国の王。闘蛇を操る<緑ノ目ノ民>の力によって権勢をほしいままにしたが、圧政に苦しむ国民の姿を見かねた<緑ノ目ノ民>の反乱によって国を追われ、<神々の山脈>の険しい谷へ逃げ込む。後にジェと共に王獣を引き連れてオファロンへと舞い戻るが、血に狂い暴走した王獣と闘蛇によってオファロンは滅亡。自身も暴走した闘蛇の餌食となる。
サコル
ジェ
声:水野理紗
リョザ神王国を興した王祖で、金色の瞳を持つ長身の女性。<金色ノ目ノ民>の長老の娘であり、祭司だった。
逃亡してきたオファロン王から豊かな大国の話を聞き、厳寒や粗末な食糧で細々とした生活をする民を不憫に思うようになる。その後王と共に王獣を引き連れてオファロンへ乗り込むが、闘蛇を食した王獣の暴走によって繁栄していた王国を滅亡に追いやり、呪われた地を作る原因となった。この事で故郷から追放され、<神々の山脈>を越えて、人も獣も傷つかない王国を望みリョザ神王国の王祖となった。自ら引き起こした悲劇を二度と繰り返さぬよう、王獣規範を後世に遺した。
リョザ
ヤマン・ハサル
アニメ版のみ登場する人物
ヌック、モック
声:藤原啓治、柳原哲也
比較的長身で、髯を生やしているのがヌック、小柄でズングリした体型で、話すとき「〜モン」と言う口グセがあるのがモック。
元々はごく普通の真王領民だったが、その性格が災いして農仕事も兵役も上手くいかなかったらしい。その後仮面の男に利用されて卵泥棒(未遂)に手を染め、指名手配されてしまう。<堅き楯>達に追われていたところをエリンに助けられて以来それを恩義に感じており、ジョウンの小屋からカザルム、王都、さらには<降臨の野>と、エリンについていくことになる。カザルム学舎では雑用係として働くが、失敗が多くカリサに怒られてばかりいた。
闘蛇や王獣に襲われる、不良に絡まれる、ダミヤに人質に取られるなど、行く先々でトラブルを引き起こす凸凹コンビだが、崖から落ちたジョウンとエリンを救出したり、エリンの飛翔訓練用の服や騎乗具を作ったりするなど、いざというときは意外な活躍を見せることも。<降臨の野>以降の動向は不明だが、ラストシーンからすると引き続きカザルムの学舍で働いている可能性が高い。
月日の経過によって他の登場人物が様々な成長を見せる中、この二人だけは外見がさほど変わらず、視聴者の視点でエリンを見守るような役回りのキャラクターである。
キリク
声:楠田敏之
表の顔は毒専門の教導師であり、物語中盤で王都のタムユアン高等学舎から多額の寄付金付きでカザルム学舎に赴任してきた。学童達からの受けは良いが、裏ではダミヤの下で仮面の男として暗躍し、ヌックとモックに闘蛇の卵を盗ませようとしたり、カザルムではエリンとリランの関係を詮索するなどしていた。イアルとは何度も剣を交え、互角以上の勝負を繰り広げた。リランの肩を矢で射抜いた張本人でもある。
真王領の貴族の家に生まれたが、モットン夫妻の手により両親と妹を失っており、自らも抑圧された生活を送っていた。後にモットン夫妻を自ら毒殺したが、この事から大公領民に対して激しい憎悪を抱いている。
常時菓子を持ち歩いており、これで相手を懐柔したり、時には鋭利な飴を投げ付けて武器にもする。大公領で下働きをしていたためか料理が得意で、作中では饅頭を作ってカザルムの学童に食べさせている。
前述の過去もあって自らを「籠の鳥」と称し、「人同士が分かり合えないのに、人と獣が分かり合えるはずがない」という考えを持っている。当初は「リョザ神王国は清らかな者のためにあるべき」と説くダミヤに忠実に従っていたが、ただひたすら自然のままに王獣と共に生きようとするエリンを見るにつれて次第に心境が変化し、ダミヤや自分のやり方に疑問を抱くようになる。
エリンに対して妹のターヤを重ねて見ており、自分達の計画にエリンを巻き込みたくないと考えるようになる。その後用済みになりダミヤに始末されそうになるも、イアルと共闘して追っ手を撃退。イアルにエリンのことを託し、ダミヤのいる天幕へ近づこうとするイアルを援護した。
最終回では持ち前の医術を庶民の為に生かすべく、旅の医術師として庶民を相手に診察している様子が描かれており、エリンの故郷であるアケ村にも訪れている。
なお著者はキリクについて、『「掟」という言葉で象徴される、社会が生み出す制度の柵に捕らえられ、もてあそばれる一人間』と評している。しかしエリンに近づいた事がきっかけでその『柵』の存在に気付き、脱出する事に成功している。
2010年3月末に発売されたムック本には彼を主役にしたサイドストーリーが掲載されている。
ワダン
声:石野竜三
アケ村で獣ノ医術師をしている男。医術師としての腕前はソヨンに一歩劣る。霧の民であることからソヨンとエリンのことを蔑視していたが、ソヨンの処刑の際には独り崩れ落ちるなど情のある一面も見せた。
ソヨンの処刑後は真面目に働く様になり、<降臨の野>での決戦を控えたシュナンの命を受け、病床のハッソンに代わり闘蛇衆の頭領代行として指揮を行っていた(44話)。最終話では診察の為アケ村に訪れたキリクに、「旅の医術師とは珍しいな」とねぎらいの言葉をかけている。
ハガル
声:高塚正也
<堅き楯>の一人で、イアルの上役。原作では名前は出て来ない。イアルの俊足を見込み<堅き楯>にスカウトした。掟を破ったためイアルに討たれるが、その際<堅き楯>として見た国の裏側をイアルに伝え「現実を見据えようとしない者が国を治めるようではいけない」とイアルに忠告した。
ターヤ
シロン
声:平野妹
37話でカザルム学舎に新しく入舎してきた、エリンとユーヤン以来の女子学童。タムユアンの教導師を父親(声:星野充昭)に持ち、彼女の二人の兄(声:高坂篤志)もタムユアンで首席を取り、教導師をしている。父親に認めてもらいたい一心から教導師を目指すも、平士にしかなれないカザルムにしか入舍できなかった事から、かなり心が屈折してしまう。
当初は中等二段で王獣の世話をし、女で教導師になれたエリンに対し対抗心を持っていたが、エリンやエサルの教えから、本に書かれている知識だけでは得られない、それ以上に大事なものがある事を悟り、考えを改める。更にリランの出産に立ち会うエリンの姿を見て感涙してからは素直で明るい少女になり、エリンや他の生徒ともすっかりうち解けている。
動物
闘蛇
ルル
王獣
リラン
エリンの言葉を理解する描写があり、原作では鳴き声を使って自分の「言葉」をエリンに伝え、それにエリンが戦慄する場面がある。また、アニメの最終話ではセィミヤの声を聞き取り、エリン救出に向かう。
ルーク
エク
ラーザとの決戦では発狂せずに済み、他の数頭と共に狂乱から離脱する事ができた為、運良く生き残った。
アル
エリンの息子ジェシとは姉弟のように仲がよく、また赤砂糖の焼菓子が好物。後にウカルとつがいになり、ラーザとの決戦の時には身ごもっていた。このため戦隊に加えられずに済み、<災い>の真実を知ったジェシを乗せてアマスル領まで飛ぶ。しかし、ジェシがくるった王獣たちの中に飛び込んで音無し笛を吹こうとしているのに気付いたエリンの命令に従い、戦場から少し離れた場所に着地する。
彼女はカザルムで生涯を終えたが、彼女が生んだ子供達はすべて野生に返されている。
サワン
カル
ミナ
ウカル、トゥバ、ノラ、レッセ、オッセ、カセ、フセ
シノン
その他
トッチ
ノロ
ユマ
グッロ
チョイ
既刊一覧
単行本
- 上橋菜穂子、講談社、全5巻
- 『獣の奏者 I 闘蛇編』2006年11月21日発売、ISBN 4-06-213700-3
- 『獣の奏者 II 王獣編』2006年11月21日発売、ISBN 4-06-213701-1
- 『獣の奏者 III 探求編』2009年8月11日発売、ISBN 978-4-06-215632-5
- 『獣の奏者 IV 完結編』2009年8月11日発売、ISBN 978-4-06-215633-2
- 『獣の奏者 外伝 刹那』2010年9月4日発売、ISBN 978-4-06-216439-9
- 『獣の奏者 I 闘蛇編』2006年11月21日発売、ISBN 4-06-213700-3
- 『獣の奏者 II 王獣編』2006年11月21日発売、ISBN 4-06-213701-1
- 『獣の奏者 III 探求編』2009年8月11日発売、ISBN 978-4-06-215632-5
- 『獣の奏者 IV 完結編』2009年8月11日発売、ISBN 978-4-06-215633-2
- 『獣の奏者 外伝 刹那』2010年9月4日発売、ISBN 978-4-06-216439-9
青い鳥文庫
- 上橋菜穂子(著) / 武本糸会(イラスト)、講談社〈青い鳥文庫〉、全8巻
- 『獣の奏者 1』(闘蛇編 上)2008年11月15日発売、ISBN 978-4-06-285056-8
- 『獣の奏者 2』(闘蛇編 下)2009年1月16日発売、ISBN 978-4-06-285069-8
- 『獣の奏者 3』(王獣編 上)2009年3月14日発売、ISBN 978-4-06-285076-6
- 『獣の奏者 4』(王獣編 下)2009年5月16日発売、ISBN 978-4-06-285092-6
- 『獣の奏者 5』(探究編 上)2011年4月12日発売、ISBN 978-4-06-285210-4
- 『獣の奏者 6』(探究編 下)2011年6月10日発売、ISBN 978-4-06-285219-7
- 『獣の奏者 7』(完結編 上)2011年8月11日発売、ISBN 978-4-06-285223-4
- 『獣の奏者 8』(完結編 下)2011年10月8日発売、ISBN 978-4-06-285249-4
- 『獣の奏者 1』(闘蛇編 上)2008年11月15日発売、ISBN 978-4-06-285056-8
- 『獣の奏者 2』(闘蛇編 下)2009年1月16日発売、ISBN 978-4-06-285069-8
- 『獣の奏者 3』(王獣編 上)2009年3月14日発売、ISBN 978-4-06-285076-6
- 『獣の奏者 4』(王獣編 下)2009年5月16日発売、ISBN 978-4-06-285092-6
- 『獣の奏者 5』(探究編 上)2011年4月12日発売、ISBN 978-4-06-285210-4
- 『獣の奏者 6』(探究編 下)2011年6月10日発売、ISBN 978-4-06-285219-7
- 『獣の奏者 7』(完結編 上)2011年8月11日発売、ISBN 978-4-06-285223-4
- 『獣の奏者 8』(完結編 下)2011年10月8日発売、ISBN 978-4-06-285249-4
講談社文庫
- 上橋菜穂子、講談社〈講談社文庫〉、全5巻
- 『獣の奏者 I 闘蛇編』2009年8月12日発売、ISBN 978-4-06-276446-9
- 『獣の奏者 II 王獣編』2009年8月12日発売、ISBN 978-4-06-276447-6
- 『獣の奏者 III 探求編』2012年8月10日発売、ISBN 978-4-06-277344-7
- 『獣の奏者 IV 完結編』2012年8月10日発売、ISBN 978-4-06-277345-4
- 『獣の奏者 外伝 刹那』2013年10月16日発売、ISBN 978-4-06-277660-8
- 『獣の奏者 I 闘蛇編』2009年8月12日発売、ISBN 978-4-06-276446-9
- 『獣の奏者 II 王獣編』2009年8月12日発売、ISBN 978-4-06-276447-6
- 『獣の奏者 III 探求編』2012年8月10日発売、ISBN 978-4-06-277344-7
- 『獣の奏者 IV 完結編』2012年8月10日発売、ISBN 978-4-06-277345-4
- 『獣の奏者 外伝 刹那』2013年10月16日発売、ISBN 978-4-06-277660-8
コミカライズ
- 上橋菜穂子(原作) / 武本糸会(作画) 『獣の奏者』 講談社〈シリウスKC〉、全11巻
- 2009年5月22日発売、ISBN 978-4-06-373176-7
- 2009年12月22日発売、ISBN 978-4-06-373199-6
- 2010年9月9日発売、ISBN 978-4-06-376236-5
- 2011年4月8日発売、ISBN 978-4-06-376261-7
- 2011年11月9日発売、ISBN 978-4-06-376307-2
- 2012年6月8日発売、ISBN 978-4-06-376340-9
- 2013年5月9日発売、ISBN 978-4-06-376399-7
- 2013年12月9日発売、ISBN 978-4-06-376435-2
- 2014年9月9日発売、ISBN 978-4-06-376490-1
- 2015年10月9日発売、ISBN 978-4-06-376574-8
- 2016年4月8日発売、ISBN 978-4-06-390617-2
- 上橋菜穂子(原作) / 武本糸会(作画) 『コミック獣の奏者』 講談社〈講談社文庫〉、全4巻
- 2014年9月12日発売、ISBN 978-4-06-277910-4
- 2014年10月15日発売、ISBN 978-4-06-277911-1
- 2014年11月14日発売、ISBN 978-4-06-277975-3
- 2014年12月12日発売、ISBN 978-4-06277993-7
テレビアニメ
2009年(平成21年)、『獣の奏者 エリン』(けもののそうじゃ エリン)の番組名で、『闘蛇編』と『王獣編』がテレビアニメ化され、2009年1月10日から12月26日までNHK教育テレビにて放送された。全50話。NHK教育テレビ放送開始50周年記念番組。
上橋は製作発表時の記者会見で「21世紀のハイジ」を目指したと話しており、これは「名作アニメ」と呼ばれる「アルプスの少女ハイジ」のように子供たちの視点から見た世界を丹念に描くことで、明るさと重さ、単純さと複雑さ、子供の物語と大人の物語、といった物語が持つ対極の要素の両方を大切にしながらも、子供たちがしっかりと楽しめるようなアニメになるようにという思いからである。
ストーリーの大筋は原作に準じたものとなっているが、導入部など随所でアニメオリジナルの展開が挿入されている。また、34話では原作者の上橋がアニメオリジナルストーリーを担当。作中用語の読みは上橋の考案した独特のものだが、アニメは音声だけで表現しなければならないため、若干変更が加えてある。
2010年1月9日から総集編が放送された。TVシリーズの全50話を10話に再編集したもので、アフレコは一部新規に行われているものがある。 放送期間は本編・総集編を合わせて同時期に放送された毎日放送(MBS)制作『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』と並び5クールとなった。
スタッフ
- 原作 - 上橋菜穂子(講談社刊 『獣の奏者』「I 闘蛇編」「II 王獣編」)
- アニメーション監修 - 上橋菜穂子
- 監督 - 浜名孝行
- シリーズ構成 - 藤咲淳一
- キャラクターデザイン - 後藤隆幸
- 総作画監督 - 高橋成之
- 美術監督 - 鈴木朗
- 撮影監督 - だいけんいち
- 音響監督 - 平光琢也
- 音楽 - 坂本昌之
- アニメーション・プロデューサー - 和田丈嗣
- 制作統括 - 廣岡篤哉、斉藤健治
- アニメーション制作 - プロダクションI.G、トランス・アーツ
- 制作 - NHKエンタープライズ
- 制作・著作 - NHK
ミュージック・スタッフ
- 作曲・編曲、サウンド・プロデュース - 坂本昌之
- ギター、アイリッシュ・ブズーキ:古川望
- ベース、マンドリン、ウクレレ、ブズーキ、ヴィオラカイピーラ:渡辺等
- ドラム:渡嘉敷祐一
- ピアノ、プログラミング:坂本昌之
- パーカッション:浜口茂外也
- ハープ:朝川朋之
- 二胡:ジャー・パンファン
- オーボエ:庄司さとし
- クラリネット、バス・クラリネット、ソプラノ・サックス:平原まこと
- ストリングス:弦一徹ストリングス
- チェロ・ソロ:田中雅弘
- ヴァイオリン・ソロ:弦一徹
- エンジニア:相沢光紀(スタジオ サウンド・パレイ)
- アシスタント・エンジニア:白石成識(スタジオ サウンド・パレイ)
- レコーディング・スタジオ:スタジオ サウンド・パレイ
- 渡辺等 appears courtesy of GEMMATIKA RECORDS/no choice
アニメムック
- 『獣の奏者 エリン 〜夜明けの鳥〜 挿入歌CD付きブック』(2010年3月25日、ISBN 978-4-8443-6111-4)
- 原作の上橋、監督の浜名、脚本の藤咲らによるアニメ監修日誌。挿入歌「夜明けの鳥」などサントラ盤未収録の曲を収録した音楽CD付き(後述)。また、アニメオリジナルキャラクターであるキリクを主人公にしたアニメ版サイドストーリー「そして、キリク」も掲載。
- 『獣の奏者 エリン オフィシャルアニメムック』(2010年3月27日、ISBN 978-4-0560-5881-9)
- 別冊アニメディア編集部。学習研究社より刊行。原作者、監督、脚本家によるスペシャル対談、全50話の鑑賞ガイド、声優インタビューのほか、設定資料や世界観解説を収録。
原作の上橋、監督の浜名、脚本の藤咲らによるアニメ監修日誌。挿入歌「夜明けの鳥」などサントラ盤未収録の曲を収録した音楽CD付き(後述)。また、アニメオリジナルキャラクターであるキリクを主人公にしたアニメ版サイドストーリー「そして、キリク」も掲載。
別冊アニメディア編集部。学習研究社より刊行。原作者、監督、脚本家によるスペシャル対談、全50話の鑑賞ガイド、声優インタビューのほか、設定資料や世界観解説を収録。
主題歌
オープニングテーマ
「雫」
前期(1話 - 14話、16話 - 30話、総集編1話 - 10話)
エンディングテーマ
「After the rain」(1話 - 29話、総集編1話 - 6話)
「きっと伝えて」(30話 - 49話、総集編7話 - 10話)
挿入歌
「ララリラ ラリラ」(1話、2話、9話、11話、18話、19話、22話、26話、36話)
「青い星」(4話、6話、9話、13話 - 15話、19話 - 21話、23話、25話、26話、29話、33話、43話、44話、48話(インストゥルメンタル))
「夜明けの鳥」
「蜂飼いの歌」
「嘆きの歌」(24話、42話、48話、49話)
「大罪の唄」(32話、41話、48話)
各話リスト
本編
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 2009年 本放送日 |
2009年 再放送日 |
2011年 再放送日 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 緑の目のエリン | 藤咲淳一 | 浜名孝行 布施木一喜 |
小村方宏治 | 2009年 1月10日 |
2009年 4月4日 |
2011年 3月28日 |
アニメオリジナル | |
2 | 医術師のソヨン | 新留俊哉 | 筑紫大介 布施木一喜 |
森田史 | 1月17日 | 4月11日 | 4月4日 | アニメオリジナル | |
3 | 闘う獣 | ハラダサヤカ | 柿本広大 布施木一喜 |
松浦仁美 | 1月24日 | 4月18日 | 4月11日 | アニメオリジナル | |
4 | 霧の中の秘密 | 後藤みどり | 安藤貴史 布施木一喜 |
沼津雅人 | 1月31日 | 4月25日 | 4月18日 | アニメオリジナル | |
5 | エリンと卵泥棒 | 坂井史世 | 松澤建一 布施木一喜 |
松岡秀明 | 2月7日 | 5月2日 | 4月25日 | アニメオリジナル | |
6 | ソヨンのぬくもり | 吉田玲子 | 布施木一喜 | 高島大輔 布施木一喜 |
澤田譲治 | 2月14日 | 5月9日 | 5月2日 | |
7 | 母の指笛 | 藤咲淳一 | 布施木一喜 | 杉本道明 | 2月21日 | 5月16日 | 5月9日 | ||
8 | 蜂飼いのジョウン | 浜名孝行 | 齋藤昭裕 布施木一喜 |
田畑昭 | 2月28日 | 5月23日 | 5月16日 | ||
9 | ハチミツとエリン | ハラダサヤカ | 新留俊哉 | 筑紫大介 布施木一喜 |
森田史 | 3月7日 | 5月30日 | 5月23日 | |
10 | 夜明けの鳥 | 谷村大四郎 | 名取孝浩 布施木一喜 |
松浦仁美 | 3月14日 | 6月6日 | 5月30日 | ||
11 | とびらの中に | 後藤みどり | 松澤建一 布施木一喜 |
薄谷栄之 | 3月21日 | 6月13日 | 6月6日 | ||
12 | 白銀の羽 | 坂井史世 | 寺澤伸介 布施木一喜 |
松岡秀明 | 3月28日 | 6月20日 | 6月13日 | ||
13 | 王獣の谷 | 吉田玲子 | 安藤貴史 布施木一喜 |
澤田譲治 | 4月4日 | 6月27日 | 6月20日 | ||
14 | 霧の民 | 藤咲淳一 | 浜名孝行 布施木一喜 |
沼津雅人 | 4月11日 | 7月4日 | 6月27日 | 1 - 13話の ダイジェスト | |
15 | ふたりの過去 | 浜名孝行 | 齋藤昭裕 布施木一喜 |
田畑昭 | 4月18日 | 7月11日 | 7月4日 | ||
16 | 堅き楯(セ・ザン)のイアル | 坂井史世 | 青山弘 | 筑紫大介 布施木一喜 |
森田史 | 4月25日 | 7月18日 | 7月11日 | |
17 | 狙われた真王 | ハラダサヤカ | 浜名孝行 | 鎌倉由実 布施木一喜 |
薄谷栄之 | 5月2日 | 7月25日 | 7月18日 | |
18 | 教導師エサル | 藤咲淳一 | 新留俊哉 | 高島大輔 布施木一喜 |
松浦仁美 | 5月9日 | 8月1日 | 7月25日 | |
19 | カザルムの仲間 | 吉田玲子 | 松澤建一 | 安藤貴史 布施木一喜 |
沼津雅人 | 5月16日 | 8月8日 | 8月8日 | |
20 | リランという名の王獣 | 谷村大四郎 | 寺澤伸介 浜名孝行 |
寺澤伸介 布施木一喜 |
田畑昭 | 5月23日 | 8月15日 | 8月15日 | |
21 | 消えそうな光 | 後藤みどり | 浜名孝行 | 齋藤昭裕 布施木一喜 |
松岡秀明 | 5月30日 | 8月22日 | 8月22日 | |
22 | 竪琴の響き | 藤咲淳一 | 布施木一喜 | 安藤貴史 布施木一喜 |
杉本道明 | 6月6日 | 8月29日 | 8月29日 | |
23 | カザルムの誓い | 齋藤昭裕 | 筑紫大介 布施木一喜 |
森田史 | 6月13日 | 9月5日 | 9月5日 | ||
24 | 嘆きの歌 | ハラダサヤカ | 新留俊哉 | 高島大輔 布施木一喜 |
松浦仁美 | 6月20日 | 9月12日 | 9月12日 | |
25 | ふたりのおつかい | 坂井史世 | 玉川真人 | 安藤貴史 布施木一喜 |
薄谷栄之 | 6月27日 | 9月19日 | 9月19日 | アニメオリジナル |
26 | リランの心 | 吉田玲子 | 土屋裕二 | 寺澤伸介 布施木一喜 |
沼津雅人 | 7月4日 | 9月26日 | 9月26日 | |
27 | ヒカラにおちて | 布施木一喜 | 齋藤昭裕 布施木一喜 |
杉本道明 | 7月11日 | 10月3日 | 10月3日 | アニメオリジナル | |
28 | ジョウンの死 | 吉田玲子 | 新留俊哉 | 安藤貴史 布施木一喜 |
田畑昭 | 7月18日 | 10月10日 | 10月10日 | |
29 | 獣の牙 | 谷村大四郎 | 浜名孝行 | 高島大輔 布施木一喜 |
松浦仁美 | 7月25日 | 10月17日 | 10月17日 | |
30 | 四年目の冬 | 藤咲淳一 | 寺澤伸介 布施木一喜 |
松岡秀明 | 8月1日 | 10月24日 | 10月24日 | 18 - 29話の ダイジェスト | |
31 | 光の空 | 後藤みどり | 玉川真人 | 筑紫大介 布施木一喜 |
森田史 | 8月8日 | 10月31日 | 10月31日 | |
32 | 大罪 | ハラダサヤカ | 布施木一喜 | 齋藤昭裕 布施木一喜 |
薄谷栄之 | 8月22日 | 11月7日 | 11月7日 | |
33 | 飛翔 | 坂井史世 | 松澤建一 布施木一喜 |
沼津雅人 | 8月29日 | 11月14日 | 11月14日 | アニメオリジナル | |
34 | イアルとエリン | 藤咲淳一 | 浜名孝行 | 寺澤伸介 布施木一喜 |
澤田譲治 | 9月5日 | 11月21日 | 11月21日 | アニメオリジナル 原案:上橋菜穂子 |
35 | あたらしい命 | 吉村清子 | 安藤貴史 布施木一喜 |
田畑昭 | 9月12日 | 11月28日 | 11月28日 | ||
36 | 卒舎ノ試し | 後藤みどり | 玉川真人 | 高島大輔 布施木一喜 |
松浦仁美 | 9月19日 | 12月5日 | 12月5日 | |
37 | 誕生 | 藤咲淳一 | 布施木一喜 | 齋藤昭裕 布施木一喜 |
杉本道明 | 9月26日 | 12月12日 | 12月12日 | アニメオリジナル |
38 | 真王ハルミヤ | 坂井史世 | 浜名孝行 | 筑紫大介 布施木一喜 |
森田史 | 10月3日 | 12月19日 | 12月19日 | |
39 | 闘蛇の襲撃 | 谷村大四郎 | 新留俊哉 | 寺澤伸介 布施木一喜 |
沼津雅人 澤田譲治 |
10月10日 | 12月26日 | 12月26日 | |
40 | かげりゆく国 | ハラダサヤカ | 布施木一喜 | 安藤貴史 布施木一喜 |
薄谷栄之 | 10月17日 | 2010年 1月9日 |
2012年 1月9日 |
|
41 | 真王の真実 | 吉村清子 | 玉川真人 | 高島大輔 布施木一喜 |
松浦仁美 | 10月24日 | 1月16日 | 1月16日 | |
42 | セィミヤの涙 | 吉田玲子 | 浜名孝行 | 齋藤昭裕 布施木一喜 |
田畑昭 | 10月31日 | 1月23日 | 1月23日 | |
43 | 獣ノ医術師 | 後藤みどり | 松澤建一 布施木一喜 |
杉本道明 | 11月7日 | 1月30日 | 1月30日 | ||
44 | アクン・メ・チャイ | 坂井史世 | 玉川真人 | 筑紫大介 布施木一喜 |
森田史 | 11月14日 | 2月6日 | 2月6日 | |
45 | かごの鳥 | 吉村清子 | 細田雅弘 | 寺澤伸介 布施木一喜 |
薄谷栄之 | 11月21日 | 2月13日 | 2月13日 | |
46 | ふたりの絆(きずな) | 吉田玲子 | 布施木一喜 | 安藤貴史 布施木一喜 |
松浦仁美 | 11月28日 | 2月20日 | 2月20日 | |
47 | 清らかな夜 | 谷村大四郎 | 浜名孝行 | 齋藤昭裕 布施木一喜 |
澤田譲治 | 12月5日 | 2月27日 | 2月27日 | |
48 | リョザの夜明け | ハラダサヤカ | 布施木一喜 | 杉本道明 | 12月12日 | 3月6日 | 3月5日 | ||
49 | 決戦 | 藤咲淳一 | 新留俊哉 | 松澤建一 布施木一喜 |
高橋成之 | 12月19日 | 3月13日 | 3月12日 | |
50 | 獣の奏者 | 藤咲淳一 | 浜名孝行 布施木一喜 |
後藤隆幸 | 12月26日 | 3月20日 | 3月19日 |
総集編
話数 | サブタイトル | 本編該当話数 | 放送日 |
---|---|---|---|
1 | 母のぬくもり | 1話、6話 | 2010年 1月9日 |
2 | 最後の指笛 | 7話 - 9話 | 1月16日 |
3 | 天を翔ける獣 | 10話、12話、13話 | 1月23日 |
4 | 入舎ノ試し | 15話、17話、18話 | 1月30日 |
5 | 運命の出会い | 19話 - 23話 | 2月6日 |
6 | 王獣の牙 | 26話、28話、29話 | 2月13日 |
7 | 二頭の飛翔 | 31話、33話、35話、36話 | 2月20日 |
8 | 闘蛇の襲撃 | 32話、37話 - 39話、41話 | 2月27日 |
9 | 虚しさの天地 | 42話 - 44話、46話、47話 | 3月6日 |
10 | 奏者の調べ | 48 - 50話 | 3月13日 |
放送局
放送局 | 放送日 | 放送時間 | 備考 |
---|---|---|---|
NHK教育テレビ Eテレ |
2009年1月10日 - 12月26日 2010年1月9日 - 3月13日(総集編) |
土曜 18:25 - 18:50 | |
2009年4月4日 - 2010年3月20日 | 土曜 23:00 - 23:25 | 再放送 | |
2011年3月28日 - 2012年3月19日 | 月曜 19:25 - 19:50 | 再再放送 |
NHK教育 土曜18:25アニメ枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
獣の奏者 エリン
|
スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ
(第1シーズン) |
|
NHK教育 土曜23:00枠 | ||
獣の奏者 エリン
(2009年度再放送) |
||
NHK教育 月曜19:25 枠 | ||
テレパシー少女 蘭
(再放送・途中打ち切り) |
獣の奏者 エリン
(2011年度再放送) ※ 当番組までアニメ放送枠 |
テストの花道
【30分繰り下げて継続】 |
DVD
各巻4話(3巻、7巻のみ5話)収録。なお、レンタルDVDには、1巻の一部を除き特典映像は収録されていない。
巻数 | 収録話数 | 発売日 | 特典映像 |
---|---|---|---|
1 | 1話 - 4話 | 2009年8月5日 | 番組スポット1話 - 4話、プレマップ、ノンクレジット前期オープニング・エンディング |
2 | 5話 - 8話 | 2009年9月2日 | 番組スポット5話 - 8話 |
3 | 9話 - 13話 | 2009年10月7日 | 番組スポット9話 - 13話 |
4 | 14話 - 17話 | 2009年11月4日 | 番組スポット14話 - 17話 |
5 | 18話 - 21話 | 2009年12月2日 | 番組スポット18話 - 21話 |
6 | 22話 - 25話 | 2010年1月6日 | 番組スポット22話 - 25話 |
7 | 26話 - 30話 | 2010年2月3日 | 番組スポット26話 - 30話、「雫」ミュージッククリップ |
8 | 31話 - 34話 | 2010年3月3日 | 番組スポット31話 - 34話 |
9 | 35話 - 38話 | 2010年4月7日 | 番組スポット35話 - 38話 |
10 | 39話 - 42話 | 2010年5月12日 | 番組スポット39話 - 42話 |
11 | 43話 - 46話 | 2010年6月2日 | 番組スポット43話 - 46話 |
12 | 47話 - 50話 | 2010年7月7日 | 番組スポット47話 - 50話、ノンクレジットオープニング&エンディング 50話エンディング・エリンとソヨンの思い出 |
Blu-ray Disc BOX
巻数 | 収録話数 | 発売日 | 特典映像 |
---|---|---|---|
1 | 1話 - 30話(7枚組) | 2010年3月24日 |
|
2 | 31話 - 50話(5枚組) | 2010年7月21日 |
|
音楽CD
- 『獣の奏者 エリン オリジナル・サウンドトラック』
- 2009年8月5日発売。主に番組前半で使用されたBGMを収録。全46曲。
- 『獣の奏者 エリン オリジナル・サウンドトラック 2』
- 2009年12月16日。主に番組後半のBGMを収録。全25曲。
- 「獣の奏者 エリン」挿入歌&サウンドトラック
- 2010年3月発売のムック本「獣の奏者 エリン 〜夜明けの鳥〜 挿入歌CD付きブック」に付属。サントラ盤に未収録の5曲を厳選して収録。
- 2009年8月5日発売。主に番組前半で使用されたBGMを収録。全46曲。
- 2009年12月16日。主に番組後半のBGMを収録。全25曲。
- 2010年3月発売のムック本「獣の奏者 エリン 〜夜明けの鳥〜 挿入歌CD付きブック」に付属。サントラ盤に未収録の5曲を厳選して収録。