漫画 小説

「天久鷹央」シリーズ


小説

著者:知念実希人,

出版社:実業之日本社,

レーベル:実業之日本社文庫,

巻数:既刊6巻,

漫画:天久鷹央の推理カルテ

原作・原案など:知念実希人,

作画:緒原博綺,

出版社:新潮社,

掲載誌:月刊コミック@バンチ,

レーベル:バンチ・コミックス,

巻数:全4巻,

話数:全23話,



以下はWikipediaより引用

要約

『「天久鷹央」シリーズ』(「あめくたかお」シリーズ)は、知念実希人による日本の連作医療ミステリ小説。表紙イラストはいとうのいぢが担当している。

新潮文庫nexからの小説が13巻、実業之日本社文庫から既刊を加筆修正し書き下ろし掌編を追加した完全版5巻と新作長編1巻が刊行されている。2023年12月時点で、シリーズ累計部数は230万部を突破している。漫画版は2016年6月号から2018年5月号まで『月刊コミック@バンチ』で連載され、全4巻が刊行された。

医療ミステリは外科医を中心として医局内の権力闘争を描くものが多いが、本作は診断医としての能力と知識を駆使して事件を解決に導く。

あらすじ

天医会総合病院の統括診断部の女医、天久鷹央のもとには、数々の「診断困難」とされる病気や、警察でさえ解き明かすことのできない謎が集まってくる。

その摩訶不思議な謎に助手として統括診断部に赴任してきた小鳥遊優とともに挑む。

登場人物
「統括診断部」メンバー

天久 鷹央(あめく たかお)

一族経営である天医会総合病院の副院長兼統括診断部部長。理事長の次女。帝都大学医学部医学科卒。シリーズ開始時、27歳。小柄で童顔のため、高校生、時には中学生に間違えられることがある。
アスペルガー症候群、広義のサヴァン症候群による超人的な記憶力・計算力・知能の持ち主で、院内の各科で「診断困難」とされた患者や外部から持ち込まれる不可解な事件を診断によって難事件を解決している。その反面、不器用な面や、偏食癖もある。映像記憶能力を持ち、一度見たものは忘れない。
副院長という役職にある鷹央に逆らえずに敵意を抱いている病院関係者(主に外科の医師たち)から「屋上に棲む座敷童」と陰口をたたかれている。
統括診断部にきた医師たちと悉くトラブルを起こして引きこもっていたが、そこに現れた小鳥遊との事件解決への活躍を経て、徐々にだが周囲へと心を開き始めている。鴻ノ池とも巻を追うごとに仲良くなり、次第に買い物などにも出かけている。男には興味がないと公言しており、合コンに興味を示して男側として参加するなど、女性に興味があるかのような言動も見られる。難解な事件の発生を知ると、強引に介入して真相を暴く探偵の役割をする。
姉の真鶴には恐怖を抱き、怒られそうになると舌足らずになるほど恐れている。兄で凄腕の精神科医の天久翼(あめく つばさ)とは反りが合わずに付き合いを断っている(→神酒クリニックで乾杯をシリーズ)。
小鳥遊 優(たかなし ゆう)

本作の語り手。
統括診断部に所属している内科医見習い。シリーズ開始時の話である『スフィアの死天使』では29歳。赴任の挨拶時に鷹央から「小鳥」というあだ名を付けられ、下僕扱いされている。
統括診断部での仕事はほとんどが患者の愚痴の聞き役である。また、鷹央の指示で毎週金曜日は救急部に出向している。元々は外科医を目指し、純正会医科大学附属病院の外科医局に5年間勤めていたが、思うことが有り4月に内科医に転向し3ヶ月間大学で研修後、7月より純正医大附属病院から天医会総合病院統括診断部に派遣される。愛車は研修医時代に給料をやりくりしてローンで購入しチューンアップも施したマツダ・RX-8であったが、『火焰の凶器』の作中で放火され全焼してしまったために、『魔弾の射手』では実家のトヨタ・アクアを借用し、『久遠の檻』にてマツダ・CX-8をローンを組んで購入した。
大学時代は空手部に所属していて、暴徒相手に戦うこともある。
好みの女性は真鶴の様に年上で色香のある女性で、院内の看護師や薬剤師に粉をかけているが、いつもいいところになって鷹央に振り回されるため振り出しに戻っている。また、鴻ノ池が言い触らしている噂のせいで病院関係者に「鷹央の恋人の『小鳥』先生」として知られわたり、女性に振り向いてもらえないでいる。
お人好しで、傍若無人な言動と行動をする鷹央と患者や他のスタッフの間に入って場を取り持つ役割を担う。感情がすぐに顔に出るために他人に隠し事ができず、その性格を鷹央に利用されて犯人を罠に嵌める囮にされることがある。診断医としての能力は鷹央に及ばないが、たまにその何気ない一言が八方塞がりになった鷹央の突破口へのヒントになることがある。
研修医時代より人形町の築30年を超えるマンションに住む。同マンションの住人に高梨もいるため、『火焰の凶器』で放火魔からの脅しの品での宛先は「たかなしことり様」であった。東久留米市の天医会総合病院へは自動車通勤だが、愛車を失っている間は電車通勤していた。純正会医科大学附属病院では、「祈りのカルテ」「祈りのカルテ 再会のセラピー」等で登場する循環器内科の諏訪野良太や、「ひとつむぎの手」で登場する心臓外科で沖縄の地方病院に送られたほうの方とも面識がある。

「天医会総合病院」関係者

鴻ノ池 舞(こうのいけ まい)

研修医。凄腕の診断医である鷹央に憧れている。研修先の様々な診療科で鷹央と小鳥遊の仲のデマを流し、面白そうな事件を見つけては小鳥遊に鷹央へ伝えさせようするなど、鷹央と小鳥遊の仲を何としても縮めようとしている。
初期は鷹央に話しかけるのも恐れ多いと言っていたが、巻を進めるごとに仲を縮め、個人的に連絡を取り合ったり、一緒に買い物に行ったりしていて、『幻影の手術室』では殺人事件の容疑者とされ逮捕寸前だったのを助けられてからは増々鷹央を崇拝している。普段はおどけているが、急患の受け入れの際テキパキと対処し、子供時代に合気道を習っていたこともあり、事件の際も武道の達人並みの強さで被疑者を取り押さえる活躍をする。愛車はカワサキ・Z1000であったが、『火焰の凶器』にて火災現場に閉じ込められた小鳥遊を助けるために無人で壁に突入させ、乗り回せない状況になってしまったため、弁償として『魔弾の射手』にてスズキ・GSX1300Rハヤブサの新車を小鳥遊が買い与えた。『生命の略奪者』では、統括診断部で臨床研修をしている。天医会総合病院隣接の女子寮に住む。
天久 真鶴(あめく まづる)

病院の事務長。鷹央の姉、理事長の長女。シリーズ開始時の話である『スフィアの死天使』では30歳で、その半年前に交際していた中学時代の同級生と結婚したが、仕事上では旧姓を名乗っている。鷹央とは対照的な一般人だが、鷹央が苦手とする人の一人。『ファントムの病棟 完全版』では中学から大学までソフトボール部のエースで4番であり、病院の事務職員でソフトボールチームを組んでいると明かされた。
天久 大鷲(あめく おおわし)

院長。真鶴と鷹央の叔父。徹底的な合理主義で鷹央とは病院の運営方針を巡り対立関係にあり、統括診断部についてもよく思っていない。院長就任前は腹部外科部長兼副院長の立場だった。 
沖田 克也(おきた かつや)

小鳥遊が天医会総合病院へ赴任した時の救急部部長。人員不足に悩み、小鳥遊の入部に感謝していた。『スフィアの死天使』冒頭で、救急搬送されてきた患者にプラスドライバーで胸部を複数回刺され、治療の甲斐なく命を落とした。
蔵野 正(くらの ただし)

小鳥遊が天医会総合病院へ赴任した時の脳神経外科部長。脳に限れば鷹央と知識で張り合えると豪語している。『スフィアの死天使』終盤で自殺。
小田原 香苗(おだわら かなえ)

産婦人科部長。シリーズ開始時、43歳。7年前まで地味ななりで荘王大学病院の産婦人科医局に勤めていたが、天医会総合病院に転職する際に29歳を自称する若作りをしだして15歳の息子に嫌がられている。鷹央に好意を抱く数少ない理解者であるが、鷹央が苦手とする人の一人でもある。
熊川(くまかわ)

小児科部長。大男で無精髭を生やしマタギのような風貌をしている。鷹央のことは子供の頃から知っており、好意を抱く数少ない理解者。
酒井(さかい)

腹部外科部長。大鷲派で鷹央を嫌っており、鷹央への医療過誤を元に訴状を起こされた際の統括診断部縮小案を議題として会議の場で鷹央が事件解決に導き大鷲が議題取り下げ宣言にも最後まで抵抗しようとした。
墨田 淳子(すみだ じゅんこ)

精神科部長。独身の中年女性。研修医時代の鷹央に誤診を指摘され面子を潰された恨みから、鷹央の精神科病棟の出入りを禁止している。ただし、鷹央の診断医としての実力については認めており、小鳥遊を経由して統括診断部に依頼したり、鷹央の命令には渋々だが従っている。
天医会総合病院近くのマンションに飼い猫と暮らしている。『火焰の凶器』では、とある資格保有者のため、深夜に叩き起こされ同行を求められた。

警察関係

成瀬隆哉(なるせ りゅうや)

田無署刑事課の刑事。奇妙な刑事事件が起きるたびに探偵気取りで首を突っ込んでくる鷹央に反感を抱いているが、犯人を逮捕するために仕方なく協力している。何度も不本意ながらも鷹央と共に事件を解決したために、上層部や同僚から警察と鷹央の窓口係にされている。
桜井 公康(さくらい きみやす)

警視庁捜査一課の刑事であり階級は警部補。刑事コロンボのファンでその格好を真似ている。鷹央の推理力を高く買っており、事件の際には裏で協力し合っている。また、「傷痕のメッセージ」など知念実希人の他作品にも登場していて、真鶴と鷹央の兄で凄腕の精神科医の天久 翼(あめく つばさ)が勤めている「神酒クリニック」のスタッフとも繋がりがある。
川辺(かわべ)

警視庁捜査一課長。たたき上げのノンキャリアだが、帝都大文系出身のキャリア組が所轄署長になり、管内の事件を秘密裏に鷹央に相談することがあった。それらの中には所轄に捜査本部が立って警視庁捜査一課と組んで捜査にあたった事件も有り、鷹央と面識がある。

用語

天医会総合病院(てんいかいそうごうびょういん)
東京都東久留米市の住宅街に建ち、同市全域の地域医療を担っている総合病院。三次救急指定病院。鷹央の祖父が個人病院として開院し、鷹央の父である前院長がシリーズ開始時の10年前に現在の総合病院に建て替えた。鷹央の父は2年前に院長を辞し現在は理事長を務めている。病床は約600床。地下1階地上10階建て。

天医会総合病院 略図
屋上 "家"(統括診断部医局兼鷹央の自宅)、小鳥遊のデスク("家"の裏手のプレハブ小屋)
10階 統括診断部診察室
8階 内科病棟
7階 小児科病棟
6階 脳外科病棟、精神科(閉鎖・開放)病棟
3階 会議室、医局(統括診断部を除く)
2階

1階

総合案内、外来診察室(統括診断部を除く)
地下1階 検査室(ヘリカルCT・MRI・ガンマナイフ・解剖室等)

1階

統括診断部(とうかつしんだんぶ)
鷹央の父が鷹央の能力を生かすためにシリーズ開始の1年前設立し、研修を終えたての鷹央が部長となった。設立と同時期に病院の屋上に赤レンガ造りの平屋建ての建物である、"家"も建てられ、統括診断部医局となった。鷹央の家でもあり、鷹央は病院から出ることは少なかった。"家"の中には本やDVDが積み上げられてできた「本の樹」が無数に生えていて、高いものでは小学生の背丈ほどになる。

時山病院(ときやまびょういん)
東京都西東京市の丘の上にあった病院で、少なくとも地上10階建て以上の大病院。
天医会総合病院のある東久留米市と同じ北多摩北部保健医療圏(二次医療圏)に属し、西東京市の中核的な病院であった。当初は時山病院という名称であったが、屋上に巨大な時計塔があり、後に「時計山病院」と名称変更した。戦前より100年近く時山家が経営してきたが、11年前に医療過誤が原因で患者が激減し廃院した。11年の間に約20人が自殺しており、自殺の名所として知られている。『魔弾の射手』事件の舞台として登場。
清和総合病院(せいわそうごうびょういん)
東京都西東京市にある総合病院で、『幻影の手術室』事件の舞台となった。
鴻ノ池の元恋人である湯浅春哉が勤めていた病院。院長の袴田は鷹央を幼少時から知っており、鷹央の扱い方にもなれている。
倉田病院(くらたびょういん)
療養型の病院で、天医会総合病院からの患者の転院も多かったが、身寄りのない患者を集めて雑に取り扱っている倉田病院の現状を訴えるために看護師が起こした『吸血鬼症候群』事件後に鷹央が倉田病院への転院をやめさせた。
帝都大学
鷹央が出た医学部は日本最難関医学部として有名である。現在でも鷹央は強力なコネやツテを持っている。
純正会医科大学附属病院
小鳥遊の出身大学。
著者の別作品「傷痕のメッセージ」によると東京都港区神谷町に位置する。
陵光医科大学付属病院
鴻ノ池舞の出身大学。
『幻影の手術室』に登場の湯浅春哉は同大学から清和総合病院に派遣されていた。
タカタカペア
田無署や警視庁内での鷹央&小鳥遊コンビの通称。
すぐに事件に首を突っ込み謎を解決してしまう鷹央と、正当防衛とはいえ何人もの犯罪者を叩きのめしてきた小鳥遊は、二人一組で危険人物として扱われている。『吸血鬼の原罪』にて、鴻ノ池から最近は自分も参加しているので名前を加えてほしいとの懇願を受け「タカノトリ」を提案された。

既刊一覧
小説

推理カルテのナンバリング作品は文芸誌に掲載された短編作品に書き下ろしを加えて刊行されている。ナンバリング外の事件カルテは文庫書き下ろしの長編作品である。

  • 知念実希人(著) / いとうのいぢ(イラスト)、新潮社〈新潮文庫nex〉、既刊13巻(2023年10月現在)。

巻数 タイトル 初版発行日(発売日) ISBN
1 天久鷹央の推理カルテ 2014年10月1日(同日 978-4-10-180010-3
2 天久鷹央の推理カルテII
ファントムの病棟
2015年3月1日(同日 978-4-10-180027-1
3 天久鷹央の推理カルテIII
密室のパラノイア
2015年6月1日(同日 978-4-10-180035-6
4 スフィアの死天使
天久鷹央の事件カルテ
2015年9月1日(8月28日 978-4-10-180044-8
5 天久鷹央の推理カルテIV
悲恋のシンドローム
2016年2月1日(同日 978-4-10-180057-8
6 幻影の手術室
天久鷹央の事件カルテ
2016年9月1日(同日 978-4-10-180076-9
7 天久鷹央の推理カルテV
神秘のセラピスト
2017年3月1日(同日 978-4-10-180090-5
8 甦る殺人者
天久鷹央の事件カルテ
2017年11月1日(同日 978-4-10-180109-4
9 火焔の凶器
天久鷹央の事件カルテ
2018年9月1日(同日 978-4-10-180133-9
10 魔弾の射手
天久鷹央の事件カルテ
2019年9月1日(同日 978-4-10-180162-9
11 神話の密室
天久鷹央の事件カルテ
2020年9月1日(同日 978-4-10-180197-1
12 久遠の檻
天久鷹央の事件カルテ
2021年9月1日(同日 978-4-10-180223-7
13 生命の略奪者
天久鷹央の事件カルテ
2022年9月1日(同日 978-4-10-180246-6

  • 知念実希人(著) / いとうのいぢ(イラスト)、実業之日本社〈実業之日本社文庫〉、既刊完全版5巻、新作1巻(2023年12月9日現在)。2023年10月より毎月2冊ずつ発売。巻数は新潮文庫nex版を踏襲し発売順に記載。

巻数 タイトル 初版発行日(発売日) ISBN
1 天久鷹央の推理カルテ 完全版 2023年10月15日(10月6日 978-4-408-55835-6
14 吸血鬼の原罪
天久鷹央の事件カルテ
2023年10月15日(10月6日 978-4-408-55834-9
4 スフィアの死天使
天久鷹央の事件カルテ 完全版
2023年11月15日(11月9日 978-4-408-55844-8
2 ファントムの病棟
天久鷹央の推理カルテ 完全版
2023年11月15日(11月9日 978-4-408-55845-5
6 幻影の手術室
天久鷹央の事件カルテ 完全版
2023年12月15日(12月8日 978-4-408-55854-7
3 密室のパラノイア
天久鷹央の推理カルテ 完全版
2023年12月15日(12月8日 978-4-408-55855-4

漫画

緒原博綺による漫画版が『月刊コミック@バンチ』(新潮社)2016年6月号から2018年5月号まで連載された。内容は新潮文庫nex1巻と2巻相当。

  • 知念実希人(原作) / 緒原博綺(作画)、新潮社〈バンチ・コミックス〉、全4巻

巻数 タイトル 初版発行日(発売日) ISBN
1 天久鷹央の推理カルテ 1 2016年9月16日(9月9日 978-4-10-771912-6
2 天久鷹央の推理カルテ 2 2017年3月9日(同日 978-4-10-771960-7
3 天久鷹央の推理カルテ 3 2017年11月9日(同日 978-4-10-772022-1
4 天久鷹央の推理カルテ 4 2018年6月9日(同日 978-4-10-772090-0