アニメ 小説

あすなろ物語




以下はWikipediaより引用

要約

『あすなろ物語』(あすなろものがたり)は、井上靖の長編小説である。『オール読物』に1953年1月号から6月号まで連載され、のち新潮文庫などで出版された。

概要

新潮文庫版で発行部数ベスト20に入り、井上の作品では最も多い発行部数である。井上が1950年『闘牛』で芥川賞を受賞した翌年毎日新聞社を退社して、本格的に文芸活動を開始した初期の頃の作品である。

井上の作品の中では、『しろばんば』、『夏草冬濤』、『北の海』とともに、自伝的な部類に属する。第一編の「深い深い雪の中で」(小学校時代)は、時期的に『しろばんば』と重なり、第二編の「寒月がかかれば」は『夏草冬濤』(中学校時代)と重なるが、『北の海』(高等学校受験浪人)は、第三編「漲ろう水の面より」(九州帝大時代)の前である。

各書の出版時期と著者の年齢は以下の通りである。

  • 1953年(45歳ころ)あすなろ物語
  • 1960年(53歳ころ)しろばんば
  • 1964年(57歳ころ)夏草冬濤
  • 1968年(61歳ころ)北の海
その他

井上の文学活動は、下記のように随所に詩的な文章が散りばめられている。

深い深い雪の中で
「トオイ、トオイ山ノオクデ、フカイ、フカイ雪ニウズモレテ、ツメタイ、ツメタイ雪ニツツマレテ、ネムッテシマウノ、イツカ。」 「あすは檜になろう,あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも,永久に檜にはなれないんだって!それであすなろうと言うのよ。」

寒月がかかれば
寒月ガ カカレバ君ヲ シヌブカナ アシタカヤマノ フモトニ住マウ

漲ろう水の面より
「貴方は翌檜でさえもないじゃありませんか。翌檜は、一生懸命に明日は檜になろ うと思っているでしょう。貴方は何にもなろうとも思っていらっしゃらない。」

春の狐火
「いいえ、わたしは反対の方へ走り ましたの。ご一緒の方向へ逃げていたら・・・。よくそんなことを考えます。でも、ああいう場合は、 神さまのお指図ですもの、仕方ありませんわ。」

勝敗
「皮肉ではない。実際、僕はそう 思っていたんだ。これでもか、これでもかと、やっつかたつもりなんだが、いつも、どうも勝ったような気がしなかった。不思議だよ、君という人間は。」

星の植民地
明日は何ものかになろうというあすなろたちが、日本の都市から全く姿を消してしまったのは、B29の爆撃が漸く熾烈を極め出した終戦の年の冬頃 からである。日本人の誰もがもう明日と言う日を信じなくなっていた。

  • 主人公梶鮎太の結婚の時期は、「勝敗」の後「星の植民地」の前、であるが、井上が結婚したのは京都帝大在学中、毎日新聞社入社前(時期的には 「漲ろう水の面より」と「春の狐火」の間)であり、異なる。
  • 上記の通り、あすなろ物語は6編から成るが、各編の独立性が高く、6編の短編集の様にも観え、特徴のある構成である。同じ試みは、三島由紀夫の『豊饒の海』などにも見られるが、こちらは各編が長編である。
映画

1955年10月5日に東宝系で公開された(モノクロ、スタンダード、108分)。堀川弘通の第一回監督作品で、黒澤明が脚本を手掛けた。後に日活の青春俳優となる山内賢が子役で出演した。

スタッフ

  • 製作:田中友幸
  • 原作:井上靖
  • 脚本:黒澤明
  • 撮影:山崎一雄
  • 美術:河東安英
  • 音楽:早坂文雄
  • 録音:下永尚
  • 照明:石井長四郎
  • 監督:堀川弘通

出演者

  • 鮎太(12歳):山内賢
  • 鮎太(15歳):鹿島信哉
  • 鮎太(18歳):久保明
  • 冴子:岡田茉莉子
  • 加島:木村功
  • 留吉:伊藤隆
  • 雪枝:根岸明美
  • 住職:小堀誠
  • 玲子:久我美子
  • 竹内:高原駿雄
  • 木原:小山田宗徳
  • 江見:太刀川洋一
  • 佐山:金子信雄
  • 女主人:村瀬幸子
  • とみ:浦辺粂子
テレビ作品
テレビドラマ

1961年と1962年の2度にわたって、NHK総合テレビで単発ドラマ化された。

スタッフ

  • 脚本:筒井敬介
  • 演出:安井恭司
1961年版

6月17日に『こども名作座』で、『あすなろ物語 深い深い雪の中で』というタイトルで放送。

出演者

  • 亀井雅敬
  • 村田貞枝
  • 清川新吾
  • 語り:亀井勝一郎
1962年版

1月4日に『文芸劇場』(金曜20:00 - 21:00)で放送。

出演者

  • 八千草薫
  • 長谷川明男
  • 長谷川哲夫
  • 新克利
  • 丘悠子
  • 日野麻子
  • 安藤千恵夫
  • 鬼頭昭夫
テレビアニメ

1986年7月4日に、日本テレビ系列の『青春アニメ全集』で放送された。