おせん
以下はWikipediaより引用
要約
『おせん』は、きくち正太による日本の漫画。講談社『モーニング』で連載された後、掲載誌を同社『イブニング』に移し連載を再開したが、後述のテレビドラマ開始直後から告知なしの休載となった後、2008年11月25日発売の24号より連載を再開し2014年6月10日発売の13号にて完結した。この際に『真っ当を受け継ぎ繋ぐ。』のサブタイトルがつき、単行本の巻数も1巻から再スタートされている。2022年8月19日からは出版社を幻冬舎コミックスに移し、ウェブコミック配信サイト『comicブースト』にて新章『―おせん―和な女』が開始。
和食のグルメを題材としている。2008年4月から日本テレビにて連続テレビドラマ化された。詳細は#テレビドラマを参照。
概要
老舗料亭「一升庵(いっしょうあん)」を舞台に、旅館の跡取りで修行を兼ねた奉公のために大学卒業後ここに勤めることとなった青年と、そこで寝食を共にしながら超一流の味ともてなしを提供する従業員、加えて普段は天然の飲兵衛姉さんだが天才的な美的感覚で料理から書・陶芸までもをこなす女将の「おせん」こと半田仙が中心となって繰り広げるグルメ人情ドラマ漫画。時代は現代(概ね2000年代)ながら、下町の風情にいなせな職人気質の大工や極道の親分さんなど一癖も二癖もある登場人物も多く、その一方で美食から家庭で楽しめそうな食道楽の話題までもを扱う。
主題となっているのは日本の伝統文化で、グルメだけに限定されないストーリー展開となっている。
主な登場人物
一升庵
半田 仙(はんだ せん)
本作の主人公。通称「おせん」。老舗の料亭「一升庵」の女将を務めており、「笠置の弁天桜」との異名を持つほどの美貌でファンも多い。普段は客あしらいを主としているが、時には自ら板場に立って包丁を振るうことも。さらには店の食器や看板を自作したり、野菜を自家栽培したりと、とことん店のため、人のために尽くし、その人や物に対する思いやりを根幹とした美意識から生み出される代物はいずれも超一級品である。それも全ては母親のスパルタ教育による賜物とも言えるが、本人はそれをごく自然に受け止めている。とはいえ、過去の厳しい躾に対する記憶から母親は大の苦手である。
日頃はどこか抜けた性格で、いわゆる「天然ボケ」で何かと奇行も多く、純真なのかいまだサンタクロースの実在を信じて疑わない。物や日本文化に対する造詣が深い数寄者だが、一方で一般常識が欠落している部分も多い。大の酒好きで酔い上がりの朝風呂の後にまた酒を欲しがるほど。何かと理由を付けて飲みたがる飲兵衛である。
一人称は「わっち」。「…でやんす」といった口調で、よく食材や料理・道具などの物品を「さん付け」する。
半田 千代(はんだ ちよ)
おせんの母で、「一升庵」の大女将(先代女将)。隠居後は、伊豆でライター業を営んでるようだが詳細は不明。女将を引退した後もその影響力は非常に強く、千代が帰ってくる度に一升庵だけでなく町全体に緊張感が走り、千代詣(町人ら持ち寄りによる歓待の宴会)が始まるのが常。本人は娘のおせんとは違って料理や工芸等は一切できないが、とても厳しく妥協の無い美意識を持っており、千代によって才能を認められた者の中には、人間国宝などその道では知らぬものは居ないと言われるほどまでに出世した者も少なくない。それまで伝統的な料亭として名の通っていた一升庵がさらに広くその名を知られるようになったのも、ひとえに千代が若女将になってからの指導によるものである。若い頃はかなりの美貌をもち、江崎曰く「おせんさんもまっ青」。
なお「おせん」の連載誌にて、新たに半田千代を主人公としたスピンオフ作品「一升庵大女将渡る世間にもの申す」の連載も開始された(途中より「おちよさん」と改題)。担当の若い編集者との食文化のやりとりがストーリーだが、きくち正太の現代食に関するアンチテーゼがメインテーマとなっている。
江崎 ヨシ夫(えざき ヨシお)
通称「グリコ」。実家は山梨で旅館を営んでおり(ただしその規模は「民宿に毛が生えたようなもの」と語っている)、父親の縁で修行も兼ねて一升庵の帳場係として住み込みで働くことになる。本編の語り部的な立場として独白シーンも多い。標準的な現代的若者として伝統分野の物事に対する知識が乏しく、一升庵に来て初めて知ったことが多く、そうして得た知識を周囲に得意げにひけらかすこともしばしばなお調子者なところもある。基本的に優しい性格で一升庵を取り巻く人々の複雑な人間関係に共感・同情することも多く、そのせいか周囲の人達からはそれなりに信頼されているようである。
仕事がら、おせんと行動を共にすることが多いが、おせんの懐具合を顧みない豪快な骨董買いやら、荷物持ちから運転手までさせられる人使いの荒さ(おせん本人は自覚無し)やら、主におせんの言動が原因によるおせんファンからの嫉妬(もちろん当人に自覚はない)やら、と苦労が堪えない。
藤城 清二(ふじしろ せいじ)
一升庵の板長。誰もが認める腕前の包丁人であり、仕事に厳しくも普段は温和な人柄から板場の皆から尊敬されている。しかし、その身体には刺青が刻まれてあり、服役経験のある前科持ちと過去の経歴に影を落としている。おどけた言動の多い一升庵の面子の中でも取り分け無口で真面目なキャラとしてのポジションを確立しているが、一升庵を訪れた江崎の彼女や人気女優を覗きに行くなど、時折お茶目な一面も見せる。
プロ野球観戦が好きらしく、「札幌ベーコンズ」という贔屓のチーム(架空)が日本シリーズに進出した時は仕事そっちのけでテレビ観戦していたことも。また海釣りも好きで、夏休みには離島などに出掛けて大物を狙ってくる。
贔屓のチームや、後輩の結婚式に札幌へ行く描写などから、北海道との縁が伺われる。
竹田 留吉(たけだ とめきち)
高校を中退して一升庵の板場で二番板として働いている。鹿児島出身。板場では「留(トメ)」、後輩や仲居衆からは「留さん」と呼ばれている。ぶっきらぼうで喧嘩っ早いが上下関係には厳しく、目上の立場の人間にはしっかりと従っている。すぐに下ネタを連発するので女性陣からは距離をおかれており、それ故に女性にモテない。他人の恋愛話を聞くと冷たくあしらったり、逆に失恋話を聞くと優しくなったりと感情の起伏が激しい人物である。ちなみに、性格とは裏腹に料理のセンスと腕前は鍛えられた確かなものであり、作中で数回見事な腕前を披露しており、それに慢心することなく腕を磨き続けている。一度見初めた女性(ハル)にプロポーズしかけるが、別の男性と結婚する事になったのを知るや、プロポーズ用に用意していた花束をお祝いだと言って贈り、それを見ていた江崎はあんた男だ、と涙した。
健太(けんた)
浅井 シズ(あさい シズ)
玉ちゃん(たまちゃん)
テル子(テルこ)
冬子(ふゆこ)
珍品堂
珍品堂(本名不詳・ちんぴんどう)
戎 真子(えびす まこ)
日本橋の骨董店「戎堂」の娘。戎堂店主と珍品堂店主とは修業時代の馴染みで、その縁で珍品堂に弟子入りする。他人の住居などを一瞥しただけで当人の好みを見出す天才的な才能を持つが、自身の好みが存在していない。江崎の何気ない振る舞いに自分にはない美を楽しむ価値観を見出し、またその真面目で優しい性格にふれ、惚れる。マイペースで一途な性格から、周囲を振り回すこともしばしば。
親から見合いを勧められ、止められることを期待して江崎に相談するも、逆に薦められ失意の涙を流す。 第二幕(真っ当を受け継ぎ繋ぐ。)にて一升庵にて見合いにいたるも、おせんのとの約束を守れずに相手の素性を知って逆上した江崎に見合いを阻止されて破談となる。
その後も江崎を慕い続け、最終章にて一升庵を去る事になった彼からプロポーズを受けた。
日吉組
龍五郎(たつごろう)
純(じゅん)
木下クッキングスクール
桜井 三千子(さくらい みちこ)
その他
原口(はらぐち)
平田 美也(ひらた みや)
君香(きみか)
山口 加夜(やまぐち かよ)
赤木 光一(あかぎ こういち)
お多福のオヤジ(おたふくのオヤジ)
ナスターシャ・リーチ
青木(あおき)
良子(りょうこ)
書誌情報
- きくち正太 『おせん』 講談社〈イブニングKC〉、全16巻
- 2000年8月21日初版発行、ISBN 4-06-328709-2
- 2001年3月21日初版発行、ISBN 4-06-328744-0
- 2001年12月21日初版発行、ISBN 4-06-352002-1
- 2002年6月19日初版発行、ISBN 4-06-352009-9
- 2002年12月18日初版発行、ISBN 4-06-352019-6
- 2003年6月23日初版発行、ISBN 4-06-352032-3
- 2003年12月20日初版発行、ISBN 4-06-352052-8
- 2004年6月23日初版発行、ISBN 4-06-352074-9
- 2005年2月23日初版発行、ISBN 4-06-352095-1
- 2005年8月23日初版発行、ISBN 4-06-352117-6
- 2006年3月23日初版発行、ISBN 4-06-352141-9
- 2006年10月23日初版発行、ISBN 4-06-352167-2
- 2007年6月22日初版発行、ISBN 978-4-06-352186-3
- 2007年10月23日初版発行、ISBN 978-4-06-352202-0
- 2008年3月21日初版発行、ISBN 978-4-06-352216-7
- 2009年3月23日初版発行、ISBN 978-4-06-352260-0
- 「萬屋先生道行恋の春絵巻よひわひな」全3話(『別冊モーニング』2004年2号、2005年4号、5号掲載)を併録
- きくち正太 『おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ。』 講談社〈イブニングKC〉、全11巻
- 2009年11月20日初版発行、ISBN 978-4-06-352290-7
- 2010年5月21日初版発行、ISBN 978-4-06-352314-0
- 2010年11月22日初版発行、ISBN 978-4-06-352332-4
- 2011年6月23日初版発行、ISBN 978-4-06-352366-9
- 2012年2月23日初版発行、ISBN 978-4-06-352399-7
- 2012年7月23日初版発行、ISBN 978-4-06-352427-7
- 2012年12月21日初版発行、ISBN 978-4-06-352442-0
- 2013年7月23日初版発行、ISBN 978-4-06-352467-3
- 2013年12月20日初版発行、ISBN 978-4-06-352493-2
- 2014年5月23日初版発行、ISBN 978-4-06-354513-5
- 2014年7月23日初版発行、ISBN 978-4-06-354525-8
「萬屋先生道行恋の春絵巻よひわひな」全3話(『別冊モーニング』2004年2号、2005年4号、5号掲載)を併録
テレビドラマ
日本テレビの「火曜ドラマ」枠にて、2008年4月22日から同年6月24日まで毎週火曜日の22:00 - 22:54(JST)に放送された。主演は、連続ドラマ初主演となった蒼井優。同時にこの番組枠では5作目にして初の女性単独主演となった。
原作者であるきくちは、このドラマを見た際「原作とのあまりの相違にショックを受けたために創作活動をおこなえない」として連載を突如告知なしで中断した。作者本人はこれについて、作品とは作者にとって子供のようなもので、その子供が嫁に行き、「幸せになれるものと思っていたら、それが実は身売りだった」と語っている。それに関係してか、最終話ではそれまでの「原作」表記ではなく「原案」表記に変わっている。
キャスト
レギュラー出演
- 半田 仙:蒼井優
- 江崎 ヨシ夫:内博貴
- 藤城 清二:杉本哲太
- 竹田 留吉:向井理
- 鈴木 テル子:鈴木蘭々
- 久保田 冬子:工藤里紗
- 脇坂 玉子:森田彩華
- 長谷川 健太:奥村知史
- 林 隆史:宅間孝行
- 珍品堂さん:渡辺いっけい
- 浅井 シズ:余貴美子
- 半田 千代:由紀さおり
- 木下 秀雄:松方弘樹
ゲスト出演
第壱話
- 桜井三千子(さくらい みちこ):片桐はいり
- 美濃八豆腐さん(みのはちとうふ):半海一晃(最終回)
- 司会者:山中秀樹
第弐話
- 岡本信雄(おかもと のぶお):岡田義徳
- 岡本の妻:佐藤仁美
第参話
- タコ引きの竜(タコひきのりゅう):西村雅彦
第四話
- 台場建二(だいば けんじ):大泉洋
第伍話
- 丁子(ちょうこ):もたいまさこ
- カンナ:佐田真由美
- 郷田武史(ごうだ たけし):升毅
- 翼山小次郎:岡本光太郎
- ユリ:吉田里琴
第六話
- 千堂保(せんどう たもつ):小泉孝太郎
- 野口:仲本工事
- 大河原フミ:梅沢昌代
- 「ろくべえ」店長:小林すすむ
- カオリ:木下優樹菜
第七話
- 大将:村松利史
- 百瀬ハル(ももせ ハル):池津祥子
第八話
- 牧野道夫(まきの みちお):高木ブー
- 牧野ヒロシ(まきの ヒロシ):平野靖幸
- 藤木克己(ふじき かつみ):六角精児
- 西田:やべきょうすけ
- 東:ハンサム判治
- 北川:滝川健
- 南:指宿豪
第九話
- 西岡保男:夏八木勲(最終回)
- ヤマジョウ 女将:李麗仙(最終回)
- エンプール海外事業部 部長:須永慶
- 乾物問屋「的場」大将:久保酎吉
- ちびおせん:須賀さくら
- 矢田守(やだ まもる):加藤雅也(最終回)
- 金池社長:内藤剛志(最終回)
最終回
- 矢田の母:寺田千穂
- 金池亮(かねいけ りょう):小林廉
スタッフ
- 原案:きくち正太
- 脚本:大石静、神ひとえ、高橋麻紀、白金カナ
- 音楽:菅野祐悟
- 主題歌:Micro「踊れ」
- エンディングテーマ:タッキー&翼「恋詩 -コイウタ-」
- プロデューサー:櫨山裕子、三上絵里子(日本テレビ)、内山雅博(オフィスクレッシェンド)
- 協力プロデューサー:山口雅俊(ヒント)
- 演出:南雲聖一、久保田充、茂山佳則
- 美術デザイン:門奈昌彦、高野雅裕
- 技術指導:舘野雄二朗
- 制作プロダクション:オフィスクレッシェンド
- 製作著作:日本テレビ
放送日程
各話 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 視聴率 |
---|---|---|---|---|---|
第壱話 | 4月22日 | 天然若女将(おかみ)VS電子レンジの女王 | 大石静 | 南雲聖一 | 10.3% |
第弐話 | 4月29日 | 女将(おかみ)バトル!! 地獄の味噌作り | 神ひとえ | 8.7% | |
第参話 | 5月 | 6日名物とろろ飯の秘密 | 久保田充 | 9.2% | |
第四話 | 5月13日 | ヒミツのすき焼き大作戦 | 高橋麻紀 | 茂山佳則 | 9.5% |
第伍話 | 5月20日 | 衝撃の手抜きデザート | 白金カナ | 南雲聖一 | 9.0% |
第六話 | 5月27日 | 憧れのハンバーグデート! | 高橋麻紀 | 久保田充 | 9.6% |
第七話 | 6月 | 3日おせん、非情のリストラ | 南雲聖一 | 8.4% | |
第八話 | 6月10日 | ごはんが炊けない! 一升庵エネルギー危機 | 茂山佳則 | 8.6% | |
第九話 | 6月17日 | カツブシ王子の首飾り | 神ひとえ | 南雲聖一 | 7.8% |
最終回 | 6月24日 | 女将廃業!? 最後のおもてなし | 神ひとえ 高橋麻紀 |
10.1% | |
平均視聴率9.1% 視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ。 |
- 初回は22時 - 23時9分の15分拡大放送。
日本テレビ 火曜ドラマ | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
貧乏男子 ボンビーメン
(2008年1月15日 - 3月11日) |
おせん
(2008年4月22日 - 6月24日) |
学校じゃ教えられない!
(2008年7月15日 - 9月16日) |
1959年 | |
---|---|
1961年 |
1962年 |
---|
1963年 | |
---|---|
1964年 |
1964年 | |
---|---|
1965年 |
1967年 |
---|
1972年 | |
---|---|
1973年 |
1973年 | |
---|---|
1974年 | |
1975年 | |
1976年 | |
1977年 | |
1978年 | |
1979年 | |
1980年 | |
1981年 |
2007年 | |
---|---|
2008年 | |
2009年 |