はしっこアンサンブル
以下はWikipediaより引用
要約
『はしっこアンサンブル』は木尾士目による日本の漫画作品。『月刊アフタヌーン』(講談社)にて、2018年4月号(2018年2月24日発売)から2022年3月号まで連載された。工業高校の合唱部を舞台に、青春ストーリーを描く作品。
木尾自身の声も低く、声を出したり、下手な歌を他者に聴かれるのも恥ずかしいと感じているが、合唱という形態はコンプレックスを仲間と乗り越えるのに適しているとしている。舞台を工業高校にしたのは男声合唱をやりたかったというのもあるが、声を出す、和声といった行為を理系的なアプローチから理屈付けできるという点を考慮してのことであるまた、工業高校ということで、マイクを自作する、ちぎれたコードをはんだ付けするといった小ネタも活かされている。
合唱特有の「大声で歌う」描写に、コマいっぱいに大きな文字で歌詞を並べるという演出をとっている。
あらすじ
藤吉晃は声変わりしてから、自分の低音の声へのコンプレックスから大きな声を出せなくなっていた。都立端本工業高校(端工)に入学した藤吉は、合唱部を作ろうという新入生木村仁と出会う。校内のあちこちで歌う木村であったが他の生徒からは相手にされない。藤吉は木村から合唱をやろうと誘われる。
主な登場人物
藤吉 晃(ふじよし あきら)
木村 仁(きむら じん)
電子科1年生。ソプラノが担当できるほどの高音域を持つ。逆に低音域は発声できない。音楽も身体が資本ということは変わらないが、自分なりに検証と実践を繰り返した結果、かなり鍛えられた肉体を持つ。合唱が大好きだが、母からはずっと否定されてきたため、自身に価値を見出していない。市民合唱団にいた時の習慣で仲間は名前で呼ぶ。
工業高校に合唱部を作ろうと周囲が引くくらいに奔走している。藤吉の独特の声を賞賛する。何事も理詰めで考えすぎる点があり、演奏が譜面に正確すぎたり、曲や詩に込められた部分を理解できないという欠点がある。終盤では理論的な思考を重んじるがゆえに、音大への進学希望を決めた晃に対する嫉妬という「自身の気持ち」にも気付かなかったが梢の指摘によって気づき、ホワイトデーコンサートにて晃との合唱で気持ちの整理を付け自身も音大を目指すことを宣言する。
折原 昂聖(おりはら こうせい)
建築科1年。バリトン担当。
髪を金髪にし、常にイヤホンをしている。聞いているのは『マタイ受難曲』『ミサ曲 ロ短調』『貧しき者は食し(英語版)』といったクラシックや宗教曲。これは、公立の図書館などから無料でCDを借りられるからという理由もあるが、後述の弟の死去から止まなかった耳鳴りが、男声合唱曲を聴いたときにやわらいだため。
施設育ち。親の育児放棄によって目の前で弟を亡くした際に限界を超えて叫んだことで耳鳴りが残っていて軽度の難聴。ロクデナシの親を嫌いつつも、長じて自分も同じような有様になっていたことから、結婚や子供など家族を持つことに否定的だった。将来は金をためて土地を買い、自分で建てた家に友人を呼ぶことを考えている。
八田 伸二(はちだ しんじ)
倉田 栞音(くらた しおん)
北野 美々(きたの みみ)
長谷川 梢(はせがわ こずえ)
ツヤマーズ
小泉 日鞠(こいずみ ひまり)
黒瀧舞(くろたき まい)
河村由綺奈(かわむら ゆきな)
その他の登場人物
真篠柊介(ましの しゅうすけ)
木村 礼香(きむら れいか)
木村仁の母親で、有名なソプラノ歌手。かなりの近視でメガネ等がないと個々人の識別も怪しくなる。
歌手としても実力のある人だが、徹底的なソロ志向で監督やオーケストラと衝突を繰り返して降板することも多く、付いた綽名が「無礼な礼香」から「ブレイカー」。
学園祭のトーナメント決勝では、バッソマスターズのパート別配置の変更、準備運動を指示して合唱の質を向上させるが、これも単に「自分がそうしたかっただけ」である。
才能や表現の発露を第一としていて、才能のある者には真っ先に声をかける。晃にも声を掛けたが「自分の息子には恥ずかしくて言えない」など、中々に難儀な性格で、そのために息子の仁は自己評価が低いと完全にすれ違っている。
庄司夢風船(しょうじ ユメルン)
主な合唱曲
本作では多数の楽曲が歌われている。
奏
木村は合唱部設立のため校内のあちこちでいろんな曲を歌っていたが、この曲を歌ったことが藤吉が関心を寄せるきっかけにもなった。
3月のホワイトデーでも藤吉と木村の2人で歌った。
見上げてごらん夜の星を
真篠から「歌唱に感情が乗ってない」ことを指摘された木村は、Mコン当日に藤吉に歌詞の解釈をたずねる。藤吉はこの歌を折原が「祈りみたいな歌」と言ったことから、折原と亡弟の歌、更には「見上げてごらん」と呼びかけることから天から地上の人間に向かっての語り掛けと解釈し、これが同好会4人の共通認識となって良結果をもたらした。
チェリー
空も飛べるはず
愛・おぼえていますか
トーナメント1回戦が行われている途中に河村と折原の仲を妬いた倉田が、折原に告白し、折原が即座に断ったことで、倉田および倉田に思いを寄せる藤吉が精神的ダメージを負う(トーナメントでのツヤマーズ敗退の原因の1つにもなった)。藤吉は黒瀧からの言葉と折原の思いと歌詞を重ねて復調。合唱に引っ張られるように倉田も復調した。
書籍情報
- 木尾士目 『はしっこアンサンブル』 講談社〈アフタヌーンKC〉、全8巻
- 2018年8月23日発売、ISBN 978-4-06-512432-1
- 2019年2月22日発売、ISBN 978-4-06-514747-4
- 2019年9月20日発売、ISBN 978-4-06-516972-8
- 2020年3月23日発売、ISBN 978-4-06-518877-4
- 2020年9月23日発売、ISBN 978-4-06-520733-8
- 2021年3月23日発売、ISBN 978-4-06-522498-4
- 2021年9月22日発売、ISBN 978-4-06-524815-7
- 2022年3月23日発売、ISBN 978-4-06-527298-5