ばるぼら
以下はWikipediaより引用
要約
『ばるぼら』は、手塚治虫の大人向け漫画である。『ビッグコミック』(小学館)で1973年(昭和48年)13号(7月10日号)から1974年(昭和49年)10号(5月25日号)まで連載された。『ビッグコミック』での連載としては、『奇子』の後、『シュマリ』の前となる。
2019年に手塚眞監督により実写映画化され、2020年11月20日に公開された。
あらすじ
小説家・美倉洋介は耽美派の天才として名声を得ていたが、異常性欲の持ち主であることに日々悩まされていた。ある日、新宿駅で彼はアルコール依存症のフーテン娘・バルボラと出会い、彼女をマンションに居候させることとなる。バルボラはことある毎に美倉のマンションを出るが、そのたびにまた彼の家に居ついてしまうのだった。やがて美倉は、ミューズの末妹かつ現代の魔女であるバルボラと、彼女の母ムネーモシュネーを通じて、黒魔術世界とかかわりを持つようになっていく。
バルボラの魅力を認識するようになった美倉は、黒ミサ式の結婚式を挙げようとするが、儀式の途中で警察に踏み込まれて美倉は逮捕され、バルボラは行方不明となる。大阪でバルボラを見かけたという話を聞き、会いに行くが、バルボラそっくりの女は美倉を覚えておらず、ドルメンと名乗った。
5年が経ち、結婚して子供もできた美倉だったが、小説のほうはさっぱりだった。ついには、画家の元にいたドルメン(バルボラ)を誘拐し逃走するが、バルボラが交通事故にあってしまう。瀕死のバルボラを連れ、作家仲間である筒井の別荘に姿を隠すが、バルボラはそのまま死ぬ。美倉はその状況で長編「ばるぼら」を書きあげる。
更に数年が経ち、美倉が残した「ばるぼら」は大ベストセラーとなっていた。 しかし、美倉の姿はどこにもなかった。
主な登場人物
美倉洋介(みくら ようすけ)
バルボラ
ムネーモシュネー
甲斐(かい)
里見権八郎(さとみ ごんぱちろう)
筒井隆康(つつい たかやす)
特色・評価
手塚は本作を『デカダニズムと狂気にはさまれた男の物語』と形容している。
草野真一は、本作を「手塚治虫の表現論・芸術論であり、手塚の人間観を披瀝した作品」と評している。
山田玲司は本作を「手塚作品の中で一番好き」と評している。
竹中直人は本作の大ファンとコメントしている。
クラウドファンディング
デジタルマガジン社は2012年に本作の英語版出版に対しクラウドファンディングを行った。本作は手塚作品の中ではメジャー作品とは言い難いが、353人のサポーターが付き、目標額の262%となる17032ドルの調達に成功した。
2013年アイズナー賞の最優秀アジア作品部門(アメリカで翻訳出版されたアジア作品の部門)に、デジタルマガジン社から刊行された『ばるぼら』がノミネートされている。
単行本
- ハードコミックス『ばるぼら』(大都社)全1巻
- 手塚治虫漫画全集『ばるぼら』(講談社)全2巻
- 角川文庫『ばるぼら』(角川書店)全2巻
- 手塚治虫文庫全集『ばるぼら』(講談社)全1巻
- 復刻名作漫画シリーズ『ばるぼら オリジナル版』(小学館)全1巻 過去の単行本で削除されたページや改変されたセリフ、トビラ絵なども連載当時を完全再現している。
映画
2018年11月20日に帝国ホテルで行われた「手塚治虫生誕90周年記念会」で映画化が発表された。日本・ドイツ・イギリスの共同製作。監督は手塚治虫の実子である手塚眞、主演は本作が初共演となる稲垣吾郎と二階堂ふみ。R15+指定。2020年11月20日より公開。79劇場という小規模な公開でありながら観客動員は3万人を突破し、初週の国内興行ランキング11位、実写作品では4位の好発進となった。2021年1月6日からは劇場上映と並行して、AmazonプライムビデオやU-NEXTといった動画配信サービスでの有料デジタル配信も開始した。
キャスト
- 美倉洋介:稲垣吾郎
- ばるぼら:二階堂ふみ
- 四谷弘行:渋川清彦
- 甲斐加奈子:石橋静河
- 里見志賀子:美波
- 里見権八郎:大谷亮介
- 須形まなめ:片山萌美
- 紫藤一成:ISSAY
- ムネーモシュネー:渡辺えり
- Yoshiyuki Matsuyama:佐藤貢三
- Priest:小林勝也
- Katsuo ikeda:藤木孝
- Police Officer:山崎潤
- Laborer:尾崎一彦、中野順二
- Female Customers:植田せりな、豊島美優、沙央くらま
カメオ出演として島田雅彦、奥野玲子、林海象、一本木蛮がクレジットされている(役名未公表)。
スタッフ
- 原作:手塚治虫『ばるぼら』
- 監督・編集:手塚眞
- 撮影監督:クリストファー・ドイル、蔡高比
- 脚本:黒沢久子
- プロデュース:古賀俊輔
- プロデューサー:姫田伸也、アダム・トレル
- 共同プロデューサー:湊谷恭史、ステファン・ホール、アントワネット・コエステル
- キャスティング:杉野剛
- 照明:和田雄二
- 録音:深田晃
- 美術統括:磯見俊裕
- 美術:露木恵美子
- 音楽:橋本一子
- スチール:蒔苗仁
- 扮装統括:柘植伊佐夫
- 助監督:吉田聡
- 制作担当:奥泰典
- 配給:イオンエンターテイメント
- 宣伝:フリーストーン
- 制作プロダクション:ザフール
- 製作:『ばるぼら』製作委員会
受賞歴
- ファンタ・フェスティバル 最優秀作品賞(イタリア)
- LUSCA国際ファンタスティック映画祭 監督賞(プエルトリコ)
- 第75回毎日映画コンクール 美術賞(磯見俊裕、露木恵美子)
リメイク
- ばるぼラ(石田敦子)
- 『テヅコミ』(マイクロマガジン社)Vol.18(2020年)に掲載、『三つ目がわらう』単行本に収録。
- ばるぼら(永井豪&ダイナミックプロ)
- 『ビッグコミック』2020年22号に、前述の映画の公開記念として1話が読み切りで掲載され、その後同誌2021年10号(第2弾)、21号・22号(第3弾前編・後編)と計4回掲載された。
- 単行本は『永井豪版ばるぼら』の題名で小学館(ビッグコミックススペシャル)から全1巻が刊行された。
『テヅコミ』(マイクロマガジン社)Vol.18(2020年)に掲載、『三つ目がわらう』単行本に収録。
『ビッグコミック』2020年22号に、前述の映画の公開記念として1話が読み切りで掲載され、その後同誌2021年10号(第2弾)、21号・22号(第3弾前編・後編)と計4回掲載された。
単行本は『永井豪版ばるぼら』の題名で小学館(ビッグコミックススペシャル)から全1巻が刊行された。