漫画

ふしぎ遊戯 白虎仙記


漫画

作者:渡瀬悠宇,

出版社:小学館,

掲載誌:月刊flowers,

レーベル:フラワーコミックス,

発表期間:8月28日,

巻数:既刊1巻,



以下はWikipediaより引用

要約

『ふしぎ遊戯 白虎仙記』(ふしぎゆうぎ びゃっこせんき)は渡瀬悠宇による日本の少女漫画作品。本項では2015年に読み切りとして『月刊flowers』(小学館)に掲載された『ふしぎ遊戯 白虎異聞』についても扱う。この2年後、同誌にてタイトルを本作に改めての隔月連載がスタートしたものの、2018年9月号に作者の体調不良による休載が告知されている。略称は『白虎』または『白虎編』。 2015年11月時点で全シリーズの累計発行部数は2000万部を突破している。

概要

本作は1992年から『少女コミック』(小学館)で連載された「ふしぎ遊戯」(以下「初作」)や「ふしぎ遊戯 玄武開伝」(以下「前作」)と世界観を同じくした作品である。これまで前二作に度々登場していた白虎の巫女および白虎七星士、またはその関係者を中心として語られる。

本作は初作からの続編として前二作と世界観を同じくしてはいるものの、前作の後年と初作の過去の世界を繋ぐ作品。そのため、既に本作の大まかな顛末は初作で明かされており、その巫女の悲恋を受けてか、前作よりも大幅にギャグ要素が減ったシリアスな作品となっている。

尚、本作1巻70ページにおいて玄武の巫女の出現が30年前とのセリフがあるが、110年前の誤植であると作者によって訂正されている。

あらすじ

時は大正12年。出版社に勤める大杉 高雄(おおすぎ たかお)は、数ヶ月前に亡くなった友人―奥田 永之介(おくだ えいのすけ)の遺品―四神天地書の存在に苦悩していた。添えられていた書簡によれば、永之介が著したこの書物は中に少女を引き込んで四神の巫女という生贄にしてしまう忌まわしいものであり、永之介の一人娘―多喜子が犠牲になったのだという。本の力を信じる高雄だったが、書簡の遺言通りに本書を処分しようにも、焼却や裁断等あらゆる方法を試しても皆失敗に終わっていた。そんなある日、大杉家が関東大震災に見舞われてしまう。高雄は愛娘―鈴乃を倒壊する家屋から守るため、今まで必死で娘から遠ざけてきた四神天地書をやむを得ず開かせたことで鈴乃は高雄の眼前で本の中の異世界―四正国に飛ばされてしまった。

本に吸い込まれた鈴乃が降り立ったのは、西廊国の広大な砂漠だった。必死に事情を教える高雄の声は途切れ、見知らぬ地や寒さ、隊列を襲う盗賊という光景に怯えて固まる鈴乃を助けたのは、荷から飛び出して来た虎だった。しかし窮地を脱すると虎は人間の女性―寧蘭(ネイラン)へと代わり、気絶してしまう。このまま行き倒れるかに見えた2人を救ったのは、褐色の肌の兄弟―カサルとカルムだった。休息をとっていた遺跡の壁に白虎の壁画を見つた鈴乃は、ここは西廊国である事、この国の守護神がその白虎である事を聞かされる。しかし、鈴乃こそが3人の語る伝説の白虎の巫女ではないかと話している内に起きた騒動で、鈴乃は現実に戻ってしまう。

それから10年…、高雄の知人の医師―及川(おいかわ)に引き取られた鈴乃は一風変わってはいるものの、女学生となっていた。震災のトラウマや高雄達にまつわる謎、西廊国での記憶に惑いながらも懸命に現実世界で生きようとする鈴乃の前に、震災のどさくさで一時行方不明となっていたあの四神天地書が、今また再び現れるのだった。

登場人物

大杉 鈴乃(おおすぎ すずの)

年齢 - 17歳(当初は8歳前後)
白虎の巫女となった本作の主人公で、高雄の一人娘。冒頭ではお下げ髪が愛らしい幼女だが、基本はセーラー服に丸眼鏡姿で女学校に通う学生。おっとりとして真面目で大人しい性格だが時に思い込みが激しく、料理は苦手。将来の希望進路は、小学校教諭。幼少時に自宅で関東大震災に遭い、命の危機に瀕したことで一度だけ西廊国と行き来する。被災に連なるトラウマにより当時を思い出し過ぎると頭痛の発作を起こすため、幼さ故の記憶の曖昧さや四神天地書の紛失を理由に、約10年間は必死に本での出来事を夢と思い込もうして来た。が、常に虎の絵ばかりを描くなど、どうしても固執してしまっている。
前作・本作とも東京在住時の奥田家とは家族ぐるみの付き合いだったことで、幼児期は一家の悲劇を伏されて過ごす。よって実の姉同然に慕っていた多喜子(#現実世界の項目参照。)は遠方に嫁入りし、永之介とは疎遠になったのだと教えられている。初作では昭和7年に四神天地書に吸い込まれて白虎の巫女となるが生還し、初作の主人公―美朱の兄に四神天地書について語っている。
婁宿(たたら) / カサル=ツォニェ

字 - 「婁」の字で右手の甲
誕生日 - 3月21日、血液型 - A型
カルムの兄で、砂漠に行き倒れていた鈴乃と寧蘭を助けた恩人。被災などのショックで興奮し掛けた鈴乃を、温かく励ます。長い黒髪をお下げにした、褐色の肌の優しげな美青年。故郷を亡くしてカルムと天涯孤独になって以来、霊視能力を体得している。
初作では植物を操る白虎七星士の1人。相思相愛の仲だった鈴乃と「本の世界で共に生きる」という願いを神獣が叶えなかったため、昴宿の術で肉体の時間を止め、白虎廟にて神座宝を守り続けていた。そのため、初作の90年前の過去である本作と容姿に大きな違いはないが、廟を出ると急激に加齢してしまい、寿命を一気に縮める身の上であった。
昴宿(すばる) / ドゥリン=ハム

字 - 「昴」の字で左胸
誕生日 - 5月1日、血液型 - O型
セクシー美人な白虎七星士。上半分をシニヨン、下半分の解き髪を緩やかに波打たせる爆乳のナイスバディ。
初作では既に老婆で、奎宿の妻となっている。その際は時間を操る術のみ披露しており、短時間だけ奎宿共々若返って美朱一行に加勢した。
奎宿(とかき) / ランヴァ=ハム

字 - 「奎」の字で左頬
誕生日 - 11月11日、血液型 - B型
瞬間移動の能力と、イヤリングを使った攻撃をする白虎七星士。褐色の肌をした精悍な顔立ちの美青年で、大の女好きであり遊び人。
初作では、朱雀七星士―鬼宿の武術の師匠でもある。昴宿同様に老人だが、女好きは変わらない。

白虎 西廊国(さいろうこく)

白虎を守護神とし、四正国の内西に位置する、砂漠などが北アフリカ〜中東を思わせる国。白虎の象徴色は白。

寧蘭(ネイラン)

白虎異聞のヒロイン。一般では昔話と思われている程に希少な虎人(フウイン)の少女で、虎に変身する力を持つが日没になると解けてしまう。 新皇帝即位を祝う献上品として荷詰めされていたが、運んでいた隊列が鈴乃も含めて盗賊に襲われたことで封印の呪符が剥がれ、結果的に鈴乃の窮地を救うことになる。妖怪(あやかし)や獣の子(レイピン)と迫害されて来たため、鈴乃の懐中時計の星印の方位磁石や鈴乃の帰還などから兵士が勘違いしたのをいいことに、白虎の巫女に成り済ましてしまう。
ストレートの長髪に、豊満な胸や唇が色香を放つ美少女。虎から戻った際に全裸であったため、珠代の花嫁衣装の留袖を鈴乃から着せ掛けられている。その経歴から、多くの人を殺害して来た。
カルム=ツォニェ

カサルの弟で、砂漠に行き倒れていた鈴乃と寧蘭を助けた恩人。褐色の肌で肩に掛かる黒髪を左側で一纏めにしている様、装束はカサルとよく似ている。少年ながら、地震と砂嵐でカサル以外の家族を一気に失った過去によりいち早く鈴乃の虚勢を見抜き、その心を慰めた。
ナヒド

鈴乃が最初に西廊国に降り立った時代では即位間もない西廊国の新皇帝(ナサル)。盗賊団―鴉の民などの跳梁跋扈に頭を悩ませていたが、星詠女(ほしよみこ)の読み取った星のお告げで白虎の巫女の出現を知り、対立する大僧団―サンガに先を越されまいと、早急な巫女の確保を命令する。

現実世界

大正12年当時の日本の世田谷が舞台。

大杉 高雄(おおすぎ たかお)

鈴乃の父親で、妻は珠代(たまよ)。永之介より10歳年下ながら数少ない理解者として信頼されており、またそのファンでもあった。前作の顛末に直接関わってはいないが、永之介より前二作で登場する遺書代わりの書簡を託されていたために四神天地書の秘密を知り、永之介父娘の性分や不可解な死、鈴乃の周辺をチラつく四神天地書の影からその力を信じている。本作では佐倉出版社に勤務しながら、永之介の死によって預けられた四神天地書の破棄に挑んでいるが、どんな処分法も跳ね返してしまう本に苦心している。
関東大震災で鈴乃共々被災し、鈴乃が本に飛ばされたのを間近で見ていたことで、すぐに本の力を明かす。
及川(おいかわ)

奥田家との縁から一度大杉宅を訪れたことのある、帝大出の医者。おっとりとした人の良さを感じさせる眼鏡の男性だが、誠実で一途な性分で芯は強い。震災後の鈴乃の後見人を始め、他にも数人の孤児を養っているが、独身。養い子達に作中からかわれる「ずっと忘れられない女性」とは、多喜子のこと。
奥田 多喜子(おくだ たきこ)

年齢 - 17歳、身長 - 154センチメートル
誕生日 - 9月22日生まれ(乙女座)、血液型 - O型
前作の主人公である玄武の巫女だが、本作では故人。回想での基本は袴に編み上げショートブーツの姿の、ハイカラさんスタイルな女学生。幼少時の鈴乃は遠方に嫁入りしたと聞かされていたが、成長して調べた結果、永之介との悲惨な死が発覚する。学生時代から奥田家に出入りしていた高雄が初恋の相手。
奥田 永之介(おくだ えいのすけ)

年齢 - 43歳、身長 - 170センチメートル
誕生日 - 2月9日生まれ(水瓶座)、血液型 - A型
支那の歴史に長けた小説家で、故人。高雄の長年の友人であり、多喜子の父。妻―美江を愛するあまりにその末期の肺結核という病状が受け入れられず、支那の四神天地之書に最後の望みを託して渡航、日本語訳の四神天地書を書き上げた。繊細さ故に、周囲に理解されることの少ない人物。
鈴乃の手に渡った永之介の書簡によれば、本に浮き上がる文面により、自分の書いた書物のせいで多喜子が玄武の巫女となったこと、さらに肺結核にまで冒されていることを知って悔い、せめて余命が幾許もない状態でも多喜子を開放しようと、永之介が無理心中する決意であったと明かされている。

書誌情報
  • 渡瀬悠宇 『ふしぎ遊戯 白虎仙記』小学館〈フラワーコミックス〉、既刊1巻(2018年4月10日現在)
  • 2018年4月10日発売、ISBN 978-4-09-870117-9
用語

詳しくは初作と前作を参照。