みえるひと
漫画
作者:岩代俊明,
出版社:集英社,
掲載誌:週刊少年ジャンプ,
レーベル:ジャンプ・コミックス,
巻数:全7巻,
話数:全57話,
以下はWikipediaより引用
要約
『みえるひと』は、岩代俊明による日本の漫画作品。話数カウントは「第n譚」である。
あらすじ
高校に入学するために上京してきた桶川姫乃は、自分に取り憑いていた悪霊・「陰魄」を、霊問題の専門家である案内屋・明神冬悟に退治してもらう。その後、明神が経営する「うたかた荘」の住人となった姫乃は、陰魄にまつわる様々な問題に巻き込まれていく。
世界観
作中の世界や文明レベルは現代日本とほぼ同じであるが、霊の存在や特殊能力を用いた戦闘などにファンタジー要素が見られる。
案内屋
案内屋(あんないや)は霊に関するエキスパートであり、陰魄退治や陽魂の保護などを行う。それらの仕事は内容によって仏滅、赤口といった六曜を基にした名前で呼ばれる。「梵術」と呼ばれる術を使う。一般に名跡襲名制に似た襲名を行い、各自自分の師匠の名跡(姓)と本名(名)を合成した名前を名乗っている。案内屋の名跡である姓には「神」という字が含まれ、そのまま案内屋の最も得意とする属性(明神=空・神吹=風・火神楽=火・湟神=水など)を表す。
梵術
梵術(ぼんじゅつ)は、案内屋が使う対霊戦闘術である。「頸」と呼ばれる魂の力を使う必要があるため、案内屋やその素質を持った魂の強い者しか使用できない。世を構成する五大である空(キャ)・風(カ)・火(ラ)・水(バ)・地(ア)の力を梵字を用いて利用し、剄を術に昇華させる。各案内屋にはそれぞれの素質により得意とする属性があるが、ほかの属性の梵術を使用することも可能である。ただし、専門外の梵術の効果や威力は、専門としている者よりも劣る。 大抵の案内屋もしくは梵術使いは、「黄布」という梵字が書かれた黄色い布を使い、剄の操作を補助して梵術を使用する。
梵術の種類については梵術を参照。
梵痕
梵痕(サン=スティグマ)は、五大の属性ごとに存在する、剄の操作技術を飛躍的に向上させる「高出力剄回路」である。案内屋の中でも一部の者だけが持ち、陰魄達には脅威として認識されている。案内屋の体表面にそれぞれの属性に対応した梵字として現れるが、そのサイズがそのまま所有者の潜在能力の大きさを表している。また、肉体へのある程度の反動を伴う。
霊
未練があるために現世に留まった魂を本作品では「霊」と表現している。人間以外の動物も霊になり、小さな虫や小動物の集合体が一体の霊を作り出す場合もある。未練がなくなると成仏する。生者からは基本的に目視や接触は不可能だが、霊からは生者を見ることができる。魂の力が高い者は霊の目視・接触が可能であり、また、生者が生死の狭間に立ち、死の世界に近づいたとき、その者の持つ霊感が高ければ霊が見えるようになる。 生者が有し、案内屋が利用するエネルギーである「剄(ケイ)」に対して、「魄(ハク)」と呼ばれるエネルギーを持ち、そのエネルギーを利用した技を使う者もいる。
霊は「陽魂」と「陰魄」に大別されているが、ガク曰く陽魂と陰魄に潜在的な能力の違いはなく、未練や想いの差による「生前の常識への固執の有無」で決まっている。
陽魂
陽性の想いで現世に留まった霊は、陽魂(ようこん)と呼ばれる。全体的に生前の姿や力に近く、気性の穏やかな者が多い。陰魄に襲われる対象となりやすい。また、陽魂が死後に負の想いに囚われて陰魄となる場合もある。
陰魄
陰性の想いで現世に留まった霊は、陰魄(いんはく)と呼ばれる。魂のエネルギーを求めて他者を襲う、俗に言う悪霊である。カナゴモリのように人工的に生み出される個体もいる。陽魂と同じように生者からは接触できないが、陰魄が触りたいと思えば陰魄から生者に触ることができる。そのため、陰魄による被害は陽魂のみならず生者に対してもおよぶ。
人間願望(アニマ)
妖(あやかし)
パラノイドサーカス
その他
無縁断世(むえんだんせ)
梵術・技
梵術
基本的に案内屋の能力はそれぞれ自分の性質に適した種類の術を習得・鍛錬し使用するが、他の種類の術も習得可能(ただし威力は自分の専門には劣る)。地(ア)の梵術は、作中に使用者が登場していないため詳細は不明である。
空の梵術
空(キャ)の梵術は、「発剄」である。体外へ剄を放出する技術。自身の体内に剄を巡らせることで身体能力を極限まで高める。主な使用者は明神と、師匠である先代明神。陰魂のハセも使える。
剄蘭(ケイラン)
剄櫻(ケイオウ)
剄楓(ケイフウ)
飛(フェイ)
剄櫻 円想虚“空”
剄華燎乱 “闇螢”(ケイカリョウラン ヤミボタル)
白虎の構え
水の梵術
水(バ)の梵術は、「剄伝導」である。様々な物質へ剄を伝達・操作する技術。傷を癒したり結界を張ることができる。主な使用者は湟神澪。
活剄 血刃鬼百合(カッケイ ケツジンオニユリ)
水剄郭 浄浄沙房(スイケイカク ジョウジョウサボウ)
守剄 瞬水陣(シュケイ シュンスイジン)
血華美刃 鬼百合(ケッカビジン オニユリ)
風の梵術
風(カ)の梵術は、「身剄融合」である。自分の肉体を周囲の大気やエネルギーに変化・同化させることが可能である。使用者は神吹白金および師匠である神吹銀一。白金の場合、腰のライダーベルトを叩くことで術が発動するようになっている。
天使の一服(スモーキーエンジェル)
天使の五重奏(エンジェルクインテット)
火の梵術
火(ラ)の梵術は、「心現放射」である。剄をイメージ通りに発現し、そのエネルギーを遠距離へ射出する技術。使用者は火神楽正宗および師匠である火神楽・M・忠勝。彼らの場合は剄を銃火器の形で発現し、狙撃に用いていた。
陽魂の技
ガク
高回転(フルスロットル)
900mmラブ・パラベラム
“紅炎”灼熱の恋煩い(“プロミネンス”オーバーヒート・ソウルズ)
マジカル・オーロラ・プリティ・グレーター・スイスマウンテンドッグ・明神殺し
エージ
ゴーストバスター・ストライク
GBS(ゴーストバスター・ストライク)マシンガン
ツキタケ
ウールサーキット
ゴーストカットスライサー
地蟲
鉄奇開々(テッキカイカイ)
地蟲陣砕々(チコジンサイサイ)
地氣衡天(チキショウテン)
陰魄の技
陰魄共通
魂殻変化(こんかくへんか)
異天空間(トバリ)
ハセ
魄櫻(ハクオウ)
魄蘭(ハクラン)
魂殻変化
コモン
炎陣・狩猟結界(エンジン・ハンティングワールド)
紅炎(プロミネンス)
炎陣「大喰いラコン」
大炎陣
魂殻変化 “炎陣“
キヌマ
水陣 “硬断甲“(すいじんこうだんこう)
水陣 “六渦旋“(すいじんろっかせん)
水陣 “大渦旋”(すいじんだいかせん)
魂殻変化 “水陣“
ホルト
飄風(ヒョウ)
疾風(アクセル)
太刀風(タチ)
瞬渦太刀風(シュンカタチ)
魂殻変化 “風陣 超高速“(フウジン フルアクセル)
ゴウメイ
異天空間 “招雷吼”(ハウリングストーム)
起雲蛮岩(バーバリアンロックス)
雷角(らいかく)
雷角・毘沙門
轟雷掌(ゴウライショウ)
魂殻変化 “凄天太聖“(セイテンタイセイ)
雷針(ライシン)
ミズチの技
龍脈之蛇(リュウミャクノヘビ)
異天空間 “嘆きの雨”
キヨイの技
異天空間 “グレイブバースディ”
コクテンの技
異天空間 “闇の女王”
登場人物
うたかた荘
明神冬悟(みょうじん とうご)
本作品の主人公。「案内屋」の男性であり、霊と生者のためのアパート「うたかた荘」の管理人を務める。1月15日生まれのA型。黒いコートとサングラスを愛用している。生まれながらにして魂の力が強いため、髪の毛が白い。飄々とした性格で人目を気にせずアズミに絵本を読んだり、敵の攻撃をわざと受けたり、その場の成り行きで名前を勝手につけるなど、掴みどころのない言動が多い。また、非常に寝相が悪く、体力は高いが学力は低い。幼い頃に航空機事故で両親と死別し、その時を境に霊が見えるという特異体質が現れ始めた。親族の家をたらい回しにされ、霊に対する恐怖も重なり人に対して心を閉ざして不良となるが、先代明神と出会ったことで更生して案内屋の修行をする。「明神」の名前は死んだ師匠から受け継いだものであり、本来の名前は「久能冬悟」(くのう とうご)である。
梵術を駆使して「陰魄」と戦うが、未熟なうちに師匠を失い、経験を重ねながら手探りの状態で徐々に技を習得していく。始めの頃は「黄布」を補助具として腕に巻きつけて戦闘していたが、ハセとの戦いで「空の梵痕(キャのサン=スティグマ)」を得てからは黄布を必要としなくなった。敵を倒した時の決め台詞は「梵(BOMB・ボン)」である。平凡な生活を何より大切に思っており、姫乃の生活を守るために彼女を全力で守ろうとする。
決戦後に24歳の誕生日を迎えている。
桶川姫乃(おけがわ ひめの)
エージ
アズミ
ガク
陽魂の青年。本名は「犬塚我区(いぬづか がく)」。10月11日生まれのB型。通称「Mr.ガラスのハート」。普段は色々な所を放浪していて、うたかた荘にはたまに訪れる程度だったが、姫乃に一目惚れしてからはうたかた荘に定住するようになる。姫乃に対する恋心と性格的に合わない理由から明神を敵視し、喧嘩をすることがしばしばある。姫乃にははじめのうちは恐がられていたが、後に「ガクリン」という愛称で呼んでもらえるようになる。
繊細でナイーブな反面、感情の起伏が非常に激しく、一度感情的になると手がつけられず、陰魄に近い状態になる。生前は裕福な家の出身で数学が得意科目の秀才だったが、自身の精神構造が災いしてみるみる落第し(数学だけは全国トップを維持)、女子への嫌がらせに近い告白や「ピコピコハンマー乱闘籠城事件」などの数々の逸話を残している。浪人生の時にツキタケと出会うが、「雉ノ葉月武誘拐事件」に巻き込まれて命を落とした。そのため、事件の黒幕である轟宗之助とその協力者であり、悲劇の舞台となった団地の全住人を憎悪して復讐を目論んでおり、その強い負の感情を十味から危惧されている。
ピコピコハンマーを所持しており、感情に伴って金槌など様々な形態に変化させる。このハンマーはガク自身の破壊衝動の現れであり、特に感情が昂った時には大きな木槌や弾丸に変化する。さらにコモンとの戦いの中で焔狐の力を吸収し、炎を自在に操れるようになる。戦闘能力はうたかた荘メンバーの中で明神に次いで高く、鋭い洞察力による頭脳戦を得意としている。敵を倒した時の決め台詞は「愛の障害排除完了!」である。自分を慕ってくる相手が傷付けられた時は激高し、敵が女であろうと容赦する姿勢は見せない。
当人曰く「愛されるのではなく愛する側の存在」。また、陽魂としての存在には「陽魂も陰魄も違わない」と断言しており、「自分を縮こまらせる常識はいらない」としてコモンの眷族であった焔狐を食って取り込む、平然と空を歩くなど、通常の陽魂を超越した力を持っている。
ツキタケ
陽魂の少年。本名は「雉ノ葉月武(きじのは つきたけ)」。6月6日生まれのA型。ガクの弟分で常にガクと行動を共にしている。一人称は「オイラ」。ガクを「アニキ」、明神を「ダンナ」、姫乃を「ねーちゃん」、そして澪を「アネゴ」と呼ぶ。性格は強気で意地っ張りである。家のことで周囲から苛められていたので、あまり他者と交わろうとはしなかったが、バオとの戦いを通じてエージとの間に友情が芽生える。生前はかなり裕福な家庭の生まれで、不良に恐喝されていたところを生前のガクに救われる。ガクの家から帰宅する途中、覆面の男達に拉致されて最終的にガクと共に命を落とし、陽魂となった。戦闘はできるが、直接攻撃するような手段は持っておらず、基本的にエージとコンビで戦い、エージの援護をする。
案内屋
明神勇一郎(ミョウジン ゆういちろう)
故人。明神の師匠で、先代の「明神」の称号の持ち主。本姓は不明。黒いサングラスとコートを愛用し、サングラスは絶対に外さない。「うたかた荘」を購入し、身寄りのない明神を拾って共同生活を送りながら、明神に案内屋の修行を手ほどきした。性格は豪放磊落で、つかみどころがなく飄々としている。明神へ「お嫁にいけんぞ」と言ったり、澪にいい加減なうたかた荘の地図を送ったりするなど、滅茶苦茶で周囲を戸惑わせるような言動が多い。澪の言によれば「ドエロ」でもあったようで、実際彼女に対するセクハラはかなり強烈だった。
案内屋として強い力を持っていたが、ハセとの戦いで明神をかばい、絶命した。魂はハセに囚われていたが、後の再戦時にダメージを受けたハセから吐き出されて開放。明神に新たな力である「空の梵痕(キャのサン=スティグマ)」を授け、その使い方を伝授した上で「それが出来れば一人前だ」と告げて昇天した。剄の総量は素人に毛が生えた程度で、当代明神の10分の1以下であった。抜群の技術力やセンスで歴代の明神最強と呼ばれる戦闘能力を持っていたが、発揮できる力の最大値が低いために、強敵には苦戦を強いられることもあった。身寄りの無い明神を育てていたのは、来るべき戦いに備えて人間側の切り札を用意するためでもあった。
湟神澪(コウガミ みお)
腹に「水の梵痕(バのサン=スティグマ)」を持つ。本名は園城寺澪(おんじょうじ みお)。趣味はぬいぐるみ集め。スタイル抜群の美人で、白のニッカボッカを着用し、ハンチング帽を被る。治癒術・結界術に長けており、戦闘では腰に提げたペットボトルの水と、刀を武器とする。性格は威勢のいい姉御肌で、普段は冷静に振る舞っているが、沸点は低く短気な一面もある。アズミのことをとても可愛がっている。
幼い頃に両親を亡くした孤児であり、師匠の湟神一兆に引き取られる。荒れた青春時代を送っており、14歳にしてレディースのリーダーになっていた。一兆との修行からもたびたび逃亡していたが、その度に先代明神に連れ戻された。
無縁断世を巡る戦いへ向け、先代明神の死を知らないまま、先代明神を訪ねてうたかた荘を訪れる。弟子時代の明神との面識はなかったが、過去、師匠に連れられた姿を見ていたため明神の存在自体は知っており、うたかた荘に合流後はシャボン玉を利用した修行で彼を鍛えた。
襲来したパラノイドサーカスが人間に危害を加えないよう、自ら決闘を提案する。すぐにでも戦闘をしたいミズチに交換条件として右腕を持っていかれ、不利な状況のまま最初の戦いに臨む。
神吹白金(カンブキ シロガネ)
火神楽正宗(ヒカグラ まさむね)
湟神一兆(コウガミ いっちょう)
火神楽・M・忠勝(ヒカグラ・マイク・ただかつ)
神吹銀一(カンブキ ぎんいち)
陽魂
陰魄
流仙蟲(ルセンチュウ)
カンテラ法師
アズミの母
ハセ
トカゲの陰魄。本来の顔を隠し、代わりにコモンの顔を模倣した顔を持っている。ほかの魂を吸収することで力を増大させることができる。かつて明神師弟と戦い、先代明神を殺害してその魂を奪った。それにより先代明神の技が使える唯一の陰魄になった。
陰魄となった後、古い集落に居た時にコモンと出会い、彼に言われるがままに陽魂を狩っていた。やがて力と知恵をつけてコモンを襲撃するが敗北し、逃亡の後にキヌマと出会う。弱者をいたぶり自らの力を増すことに酔うが、変遷を続ける自らの正体や陰魄の在り方について考察し弁論を振るうちに、哲学的な一面も持つようになる。明神生存の噂を聞きつけてうたかた荘に来訪し、明神と2回対戦。自分の技だけでなく先代明神の技も使い明神達を苦しめるが、最後は成長した明神に敗れて逃走した。キヌマの手で上半身のみ復活するが、コモンと再会した直後にその場で消滅した。
ノミ&カンナ
幽灯大師観照(ゆうとうだいし かんてら)
人間願望(アニマ)
コモン(狐門)
「焔狐(ほむらぎつね)」の妖の霊。元パラノイドサーカスのメンバーであり、地下水道に棲むアニマのリーダー格である。外見は青年だが、キツネの耳と尾を持つ。気が短く、冷徹かつ残忍な性格の持ち主。かつてハセを育てていた。キヌマたちのグループに加わったのは最近だが、グループの中で最強を誇り、キヌマが「獣の中の異端」と言うほどの力を持っている。地下に迷い込んだ姫乃を狙う「狩り」をキヌマたちに提案し、地下水道の戦いで明神達を相手に圧倒的な力を見せつける。しかし、明神達と地蟲の団結や、極限状態からの明神の成長によって逆転され、さらに子分であった焔狐達の反逆に遭い、明神の必殺技「剄花繚乱 闇螢」を受けて消滅した。
キヌマ(亀沼)
ホルト
パラノイドサーカス
キヨイ
人間を呪い殺す力を持ち、悪魔とも呼ばれる多角の山羊の妖、「呪殺のバフォメット」の人間願望である。パラノイドサーカスのリーダー的存在であり、先代明神も畏怖するほどの力を持っている。外見は穏やかな雰囲気の美貌の青年で、頭部に二本の角があり、黒い毛皮のコートと帽子を身に着けている。英語混じりの口調で話す。ゴウメイ・コクテン・グレイとは生前からの仲間である。彼等と自分自身を救うため、真霧を殺害した際に能力の反動で死亡し、パラノイドサーカス誕生のきっかけを作り、人間願望となった。人間に対する憎悪は深く、心から人間の根絶を望んでおり、無縁断世である姫乃を狙う。
決戦後は生き残った仲間ともどもうたかた荘に移住、明神の言う「共存の可能性」をともに探っている。日常生活ではコクテン共々サボリがちだが、その都度雪乃に怒られている。
文脈の切れ目に英語を入れる独特の語り口が特徴。
ゴウメイ
放電現象を起こす力を持つ猿の妖、中国の伝説の生物・雷猿(らいえん)の人間願望である。外見は筋骨隆々とした大男で、雷を操る起点である二本の触角を頭部に持つ。性格は荒々しく乱暴で、非常に好戦的である。ただし、戦えれば何でも良いというわけではなく、強者同士の真剣勝負に意義を感じ、一対一の勝負にこだわっている。キヨイ・コクテン・グレイとは生前からの仲間である。敵には容赦ないが、仲間思いな面もある。かつてコモンをパラノイドサーカスに勧誘した。
コモンを倒した明神に目をつけ、うたかた荘との決闘・第二回戦で対決する。脱出戦の際には前線から離脱していたが、最後にはキヨイらとともに正宗の射撃を受け止めた。
決戦後は他の仲間とともにうたかた荘に移住。巨体ゆえに雪乃の運び役となっており「ゴウちゃん」と呼ばれている。
グレイ
時間の流れを狂わせる「クロックワーク」の力を持つ兎の妖、西洋の伝説の生物・クロックラビットの人間願望。長髪に眼鏡をかけた男性の姿をしており、頭部からロップイヤーのように長い耳が垂れ下がっている。聴力が高く、垂れ下がった耳を上げれば数10m離れた話し声も聞き取ることができる。キャベツより人参が好き。キヨイ・ゴウメイ・コクテンとは生前からの仲間である。特にキヨイへの忠誠心は高いが、実はただの忠誠心ではなく愛。それゆえ、キヨイのためならばあらゆる手段をいとわない。
計算高い性格で、敵の前では常に落ち着きを見せる。その冷静さからうたかた荘との決闘を取り仕切るが、じゃんけんに負けて後から合流してきたコクテンに出番を奪われている。
うたかた荘への移住後はすっかりなじんでいるが、なまじタイプが似ているガクとは犬猿の仲。
コクテン
人心を惑わし操る吸血蝙蝠の妖「皇帝コウモリ」の人間願望。パラノイドサーカスの紅一点である。頭部にコウモリの羽を生やした巫女装束の少女の姿をしている。この羽根は弱点らしく、白金にくすぐられた時には笑い泣き状態になりながら拒絶反応を示していた。性格は凶暴で、無邪気な物言いの中に暴力的な言葉を含むことが多い。
明神達に気軽に話しかけたり、一緒に観戦したりとほかのアニマより社交的に接してくる。戦略上の都合とミズチの名誉のため、明神達にむやみに手を出すような真似はしなかった。キヨイ・ゴウメイ・グレイとは生前からの仲間であり、キヨイに好意を持っている。 死後、自分達の亡骸が見せ物扱いされることに激怒し、異天空間を用いて黒鳴町および雉ノ葉邸を乗っ取る計画を企てた。
うたかた荘への移住後はもっぱらキヨイの傍に侍っているが、一緒になってサボるため雪乃に怒られている。
ミズチ
地中における気の流れである「龍脈」を乱す力を持つ蛇の妖「水霊(ミズチ)」の人間願望。外見はオールバックで三白眼の男性の姿をしている。体内に無数の黒い蛇を宿している。これは、彼が共生する水霊たちの集合体である。仲間意識や協調性というものが理解できず、強い結束を持つほかのメンバーが理解できない。冷酷・非情・陰険な性格で、目的達成のためならば手段を選ばない。その上狡猾で、心理的な駆け引きも巧みである。戦う時には短刀を使用する。
うたかた荘メンバーとの決闘第一回戦で澪と激突し、持ち前の戦略で彼女を形勢不利に追い込むが、澪にその上を行かれ「血華美刃 鬼百合」を受けて敗北する。最期は自分らしく派手に消えたいとゴウメイに頼み、ゴウメイの介錯で完全消滅した。
その他
桶川雪乃(おけがわ ゆきの)
姫乃の母親。「無縁断世」であり、若い頃から陰魄に狙われ続けてきたが、身籠っていた姫乃のために無縁断世の宿命に従うことを拒否する。その強い意志に賛同した先代明神や、そのほかの梵痕(サン=スティグマ)を持つ案内屋に守られながら姫乃を育てたが、パラノイドサーカスによって拉致される。長期間行方不明であり、姫乃は死んだと思っていたが、肉体と魂が分かれた特殊な状態で生存し、「倚門島(イモントウ)」という場所に囚われていた。だが、パラノイドサーカスの新入りになるはずだった陰魄「活岩の獅子」を手なずけたことで、その異天空間を利用できるようになり、獅子と共にそこに閉じこもって協力を拒んでいた。
観照と化した壊神の内心を見通すなど観察眼は鋭い。決戦後はうたかた荘に迎えられており家事に勤しんでいるが、怒らせるとキヨイですら頭が上がらないため、実質パラノイドサーカスのまとめ役に近い立ち位置にいる。
十味源五郎(とみ げんごろう)
轟宗之助(とどろき そうのすけ)
真霧(まぎり)
読み切り版
第10回ストーリーキングマンガ部門準キング受賞作(『青マルジャンプ』掲載)と、『週刊少年ジャンプ』2004年45号掲載の2本の読切が存在する。連載版の原型となっている。