らせん (鈴木光司の小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『らせん』は、鈴木光司のサスペンス・ホラー小説、及びそれを原作としたテレビドラマ、映画、漫画。第17回吉川英治文学新人賞受賞作品。
概要
小説『リング』の後日談を描いた続編。前作で登場した「見ると1週間で死ぬ魔のビデオ」というオカルト的要素に対し、医学者である主人公らが分子生物学的知見からの解明を試みるサイエンス・フィクション。一見したところの前作との非連続性は、ホラー的要素を強調した映画版『リング』の印象によるところが大きい。
完結編である後作『ループ』と共に小説としては「リングシリーズ三部作」と呼ばれる。
あらすじ
東京都監察医の安藤満男は、不注意から我が子を死なせた自責に苛まれる日々を過ごしていた。ある日、彼は変死した友人・高山竜司の解剖を担当する。死因は、心臓近くの冠動脈に発生した肉腫によって、血流が停止したことによる心不全。解剖が終わり、安藤は胃の内容物に「不審な物」が混ざっていると報告を受ける。その紙片には、暗号らしき数列が書かれていた。
その後暗号を不審に思った安藤は、監察医務院にやってきた高山の元助手・高野舞から、高山は死の直前、記者の浅川和行という男と共に「見ると死ぬ呪いのビデオ」の調査を行っていたことを知る。だが、その浅川も後日に妻子を失い、自らも廃人同様になっていた。やがて安藤は、浅川が遺していた「一連の事件に関する手記」を手に入れ、仲間の医師・宮下と共に調査に乗り出す。
やがて、高山の死体から天然痘ウイルスによく似た未知の伝染性ウイルスが発見され、一連の「呪い」とはこのウイルスが心臓の冠動脈に肉腫を発生させ、1週間で心臓近くの動脈を閉塞させ死に至らしめるというメカニズムが判明するが、その感染ルートは、ビデオを見た者の網膜を通して、体内に入り込み感染するという驚くべきものだった。
さらには高野舞が行方不明になり、その後ビル屋上の排気溝内で「出産直後のような状態」で変死しているのが発見されるが、肝心の出産した赤ん坊は付近になかった。その後、安藤の前に「舞の姉」を名乗る女性が現れるが、彼女こそ、舞の子宮を通じてこの世に再生を果たした山村貞子その人であった。
舞は、高山の遺品を整理した際、彼が遺していた例の呪いのビデオを見てしまったが、たまたま見た日が彼女の排卵日であり、感染したウイルスと卵子が結び付き、貞子すら予想もつかなかった偶然の「受精」により復活を果たすことになったのだ。受精した卵子は僅かな期間で臨月に達し、生まれた貞子は短期間で死亡した時と同じ年齢に成長を遂げていた。しかもこの偶然により、ウイルスは当初とは違った、恐ろしい「突然変異」を遂げていた。
貞子は、安藤に「ある条件」で取引きを提案する。そして安藤は、自分を利用し、貞子の裏で糸を引いていた、この一連の事件の「本当の黒幕」に気付く。
登場人物
原作の記述を中心に映画、連続テレビドラマも併せて記述する。
主要登場人物
安藤 満男(アンドウ ミツオ)
34歳。男性。本作の主人公。K大学医学部法医学教室講師と東京都監察医務院の監察医を兼任する。大学時代の友人であった高山竜司の死体を解剖した際に出てきた新聞紙の暗号を解読したことで事件に巻き込まれることになる。過去に海難事故で息子の孝則を亡くし、妻と離婚したことがトラウマとなっている。それが原因で長年女性への興味が薄れていたが竜司の死で知り合った舞に性的興味を抱くが相手にされない。一方、1998年の映画では性的な関係を持つ恋人となる。『リング』を読んでリングウイルスに感染してしまう。1998年の映画では吉野から受け取った呪いのビデオを見てしまう。1999年の連続ドラマでは青葉学園女子高校の国語教師で科学部顧問。元教え子の夏美を助ける内、事件に巻き込まれる。
高野 舞(タカノ マイ)
宮下
山村 貞子(ヤマムラ サダコ)
その他の登場人物
安藤 孝則
吉野 賢三
映画のみの登場人物
連続テレビドラマのみの登場人物
相原 夏美
織田 恭助
陸田 博
河合 徹
今西 誠司
作品解説
遺伝子学の要素が「呪いのビデオ」の謎として効果的に使用されており、前作のオカルトホラー色は後退しSFサスペンスといった雰囲気が強い。さらには前作で得体の知れない恐怖の象徴であった山村貞子についても、「ある人物」と結託して人類抹殺の陰謀を巡らせる「知的な悪女」的な描かれ方をしており、クライムサスペンスの雰囲気も併せ持つ。
書誌情報
- らせん(角川書店)ISBN 4-04-872871-7 (1995年8月出版)
- らせん(角川ホラー文庫)ISBN 4-04-188003-3(2000年4月出版)
なお、梶山はる香のナレーションで、Audibleにてデータ配信として2016年6月にオーディオブック化されている。
映画
1998年1月31日に公開された。デュアル・ホラームービーを銘打ち、前作に当たる『リング』と同時上映された。かつて1995年の単発ドラマ版『リング』の脚本を担当した飯田譲治が、監督と脚本を担当している。物語は映画独自にアレンジされた部分もあるものの、大筋では原作のストーリーをなぞるものとなっている。
キャッチコピー
- あいつは死んだはずなのに。
- その謎は「リング」に始まり、その恐怖は「らせん」につながる。(リングと併せて)
キャスト
- 安藤満男 - 佐藤浩市
- 高野舞 - 中谷美紀
- 山村貞子 - 佐伯日菜子
- 伊熊平八郎 - 伴大介
- 安藤利恵子 - 加倉井えり
- 安藤孝則 - 菅原隆一
- 宮下 - 鶴見辰吾
- 小林 - 真鍋尚晃
- 舟越 - 安達直人
- 前川警部補 - 小木茂光
- 解剖助手 - 岡田智宏、上沖俊
- 警官 - 丹野由之、清水宏
- 吉野賢三 - 松重豊
- 浅川玲子 - 松嶋菜々子
- 高山竜司 - 真田広之
- デパートの父親 - 鈴木光司(特別出演)
スタッフ
- 監督・脚本:飯田譲治
- エクゼクティブ・プロデューサー:原正人
- プロデューサー:河井真也・一瀬隆重・仙頭武則
- 原作:鈴木光司
- 撮影:渡部眞
- ビジュアル・エフェクト・スーパーバイザー:松本肇
- 音楽制作:長岡和弘
- 音楽:LA FINCA(池頼広)
- 主題歌:HIIH「ゆがんだ時計」
- 特殊メイク:和田卓也、松井祐一
- 挿入歌:ジュノ・リアクター
作品解説
本作では二本立てのホラー映画であることを前面に据えた宣伝が行われたが、同時上映の『リング』が観客を怖がらせる作品作りに徹しているのに対し、本作『らせん』はあまり「脅かし映画」にはしない方針で制作された。監督と脚本を担当した飯田は、原作小説の「呪いを科学する」というコンセプトに惚れ込み、その骨子に忠実な作りを志向し、原作者の意図を汲むようにと心がけたという。ただしその内容に対しては、やや説明不足気味であったという評価もある。
一方で『リング』に続く新たな続編の映画『リング2』は、本作で死亡した登場人物が異なる運命を辿るなど、本作『らせん』とは繋がりのないパラレルワールド的な内容として制作されている。
2012年に公開の『貞子3D』は本作の設定上の続編。
参考
- 遊園地のシーンで、原作者の鈴木光司が家族連れとしてカメオ出演している。(46'22"~26")
パッケージソフト
- DVD「らせん〈期間限定生産〉」 2005年3月2日発売。ポニーキャニオン。
テレビドラマ
フジテレビ系列で1999年7月1日から9月23日にかけて放送された。全13回、平均視聴率13.3%。人物氏名と一部の設定以外は原作から離れたオリジナルストーリーで、フジテレビが前年に製作した連続ドラマ『リング〜最終章〜』の直接の続編として製作されたオカルト風ドラマ。主演は岸谷五朗。
主人公の安藤は医師ではなく、学校の教師で、原作最大の特徴だった医学的な見地からの展開という要素はなくなり、前半はノストラダムス現象などのオカルト要素を、後半はスタンフォード監獄実験の逸話をベースにおいた独自のストーリーを展開した。原作の完結編『ループ』の要素も一部導入されている。前作の矢田亜希子、木村多江などが同役で連投。結末は一連のシリーズの完結編的な独自の内容で描かれている。
キャッチコピー
- あなたも貞子から逃げられない。
キャスト
- 安藤満男 - 岸谷五朗
- 相原夏美 - 吉本多香美
- 織田恭助(東健一) - 田辺誠一
- 安藤美和子 - 純名里沙
- 安藤孝則 - 工藤雅哉
- 高野舞(山村貞子) - 矢田亜希子
- 山村貞子 - 木村多江
- 西島久美子 - 野村佑香
- 西島美咲 - 須藤理彩
- 浅野大輔 - 東根作寿英
- 河合徹 - 升毅
- 笠原努 - 大河内浩
- 高村典子 - 及川麻衣
- 杉崎竹雄 - 問田憲輔
- 宮島敬助 - 甲本雅裕
- 今西誠司 - 陰山泰
- 今西の妻 - 円城寺あや
- 武井みゆき - 矢田絵実理
- 亜美/里美 - 大島優子
- 織田の助手 - 梓真悠子
- 陸田博 - 内藤剛志
- 街田しおん
- 掛川裕彦
- 中根徹
- 南場千絵子
- 吉満涼太
- 沼崎悠
スタッフ
- 原作 鈴木光司
- 脚本 蒔田光治 田中一彦
- 企画 清水賢治 長部聡介
- プロデュース 加藤正俊
- 演出 木下高男 西谷弘 都築淳一
- 音楽 Dennis Martin
- スタントコーディネート 釼持誠
主題歌
- rough laugh「誰がために鐘は鳴る」
受賞歴
- 第22回ザテレビジョンドラマアカデミー賞
- 劇中音楽賞
- 劇中音楽賞
サブタイトル
各話 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 視聴率 |
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第1話 | 1999年7月1日 | 貞子の復讐 リングを超える恐怖 | 蒔田光治 | 木下高男 | 15.1% |
第2話 | 1999年7月8日 | 死者は井戸を見る | 15.0% | ||
第3話 | 1999年7月15日 | 私が私を殺しに来る… | 田中一彦 | 西谷弘 | 13.4% |
第4話 | 1999年7月22日 | 死者が蘇る…伝説の村へ | 蒔田光治 | 木下高男 | 13.2% |
第5話 | 1999年7月29日 | この部屋に、悪魔がいた | 西谷弘 | 14.0% | |
第6話 | 1999年8月5日 | もう誰にも止められない | 田中一彦 | 木下高男 | 13.3% |
第7話 | 1999年8月12日 | 貞子を作った男 | 蒔田光治 | 西谷弘 | 12.1% |
第8話 | 1999年8月19日 | 二度死ぬ子供… | 木下高男 | 13.6% | |
第9話 | 1999年8月26日 | 憎悪のリングが完成する | 田中一彦 | 西谷弘 | 11.8% |
第10話 | 1999年9月2日 | 囚人は看守に殺される | 蒔田光治 | 都築淳一 | 13.1% |
第11話 | 1999年9月9日 | 予言者は殺される | 田中一彦 | 木下高男 | 12.0% |
第12話 | 1999年9月16日 | 明日、世界は破滅する | 蒔田光治 | 西谷弘 | 15.0% |
最終話 | 1999年9月23日 | 永遠に生きるもの | 木下高男 | 11.0% | |
平均視聴率13.3% (視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ) |
フジテレビ 木曜劇場 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
らせん
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漫画
作画は桜水樹、原作は鈴木光司。
「らせん」(Horror comics)角川書店 ISBN 4-04-853116-6 (1999年9月)
参考文献
- リング研究会編 編『冒険者ガイド ループ界』角川書店、1998年9月5日。ISBN 4-04-883544-0。
関連カテゴリ
- リング (ホラー)
- 1995年の小説
- 日本のSF小説
- ウイルスを題材とした小説
- 角川ホラー文庫
- 吉川英治文学新人賞
- 法医学を題材とした作品
- 日本のホラー映画
- 日本のスリラー映画
- ウイルスを題材とした映画作品
- 1998年の映画
- 鈴木光司原作の映画作品
- ホラー小説を原作とする映画
- 池頼広の作曲映画
- 東宝製作の映画作品
- アスミック・エース製作の映画
- ポニーキャニオンの映画作品
- フジテレビ木曜10時枠の連続ドラマ
- 1999年のテレビドラマ
- 共同テレビのテレビドラマ
- 日本の小説を原作とするテレビドラマ
- ホラードラマ
- ウイルスを題材としたテレビドラマ
- 法医学を題材としたドラマ作品
- 漫画作品 ら
- ウイルスを題材とした漫画作品
- 小説を原作とする漫画作品
- 岸谷五朗