わたしは真悟
題材:ロボット,
漫画:わたしは真悟
作者:楳図かずお,
出版社:小学館,
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ,
レーベル:ビッグスピリッツコミック,
巻数:全10巻全6巻全7巻全6巻,
ラジオドラマ
放送局:NHK-FM放送,
話数:全15回,
以下はWikipediaより引用
要約
『わたしは真悟』(わたしはしんご)は、楳図かずおの長編SF漫画。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で1982年8号から1986年27号まで連載された。恐怖漫画の第一人者である楳図が、恐怖テイストを控えめにして、神とは何か、意識とは何かといった、形而上学的なテーマに挑んだ意欲作。
表紙の美しい扉絵、産業用ロボットの日本における受容とその社会的影響、「奇跡は誰にでも一度おきる だがおきたことには誰も気がつかない」という謎めいたメッセージ、血管や神経を持った生物であるかのように描かれたロボットの内部構造、人間の悪意の存在するところに必ず現れる謎の虹など、見どころ満載である。
21世紀となった今日ではコンピュータやロボットの描写に古さも目立つが、昭和時代の作品であることを考えると、現代のネットワーク時代を見事に予言していたという点でも注目される。
NHK-FM放送にてラジオドラマ化されている(#ラジオドラマ版参照)。
2016年12月には、ミュージカル化。
あらすじ
町工場労働者の息子「近藤悟(さとる)」と外交官の娘「山本真鈴(まりん)」。2人は工場見学の場で偶然出会い、恋に落ちる。その後はサトルの父親の町工場に忍び込んでは、産業用ロボット「モンロー」に様々な事柄やお互いの個人情報を入力。天気予報や恋占いをするなどして、睦まじく過ごした。
しかしサトルの父の失業と家庭崩壊、まりんの父親の海外勤務に伴い、幼い恋は引き裂かれる。子どもの頃の純粋な時期が終わることを恐れ、大人になることを拒否した2人は結婚を望み、自分たちの子供を作るため、「モンロー」の指令に基づき、東京タワーの頂上から救助にきたヘリコプターに飛び移る。その瞬間、2人の秘密の遊び道具であった産業用ロボット「モンロー」は自我に目覚め、意識としての進化を開始。産業用ロボットは、みずからの出自を求める旅を重ね、伝えられなかったさとるの愛の言葉を、まりんに伝えるべく、成長を続ける。
しかし自らを両親の名前から1文字ずつとって自らを「真悟」と名づけた「モンロー」は、自分が単なる産業ロボットではなく、人間の悪意をエネルギーとする秘密兵器を生産すべく秘密プログラムのブラックボックスを植えつけられた存在であり、母親であるまりんを自分自身が苦しめているという自らの業を知る。真悟はさらに、世界中の意識とつながる意識としての進化を続け、エルサレムを破壊した瞬間に神を超えた存在「子供」としてこの世に生まれる奇跡をおこす。
だが、その後は、エネルギーと記憶を失い続け、聞くことの出来なかった、まりんの返答をさとるに伝える旅に出る。真悟の全てのエネルギーが尽きるとき、真悟はさとるに再会し、最後にアイの2文字が残った。
登場人物
近藤悟(さとる)
山本真鈴(まりん)
真悟
マジックアームを先端に持つ産業用ロボット。女優の写真を貼り付けていたために「モンロー」と呼ばれていた。さとるとまりんのデータを入力されるうちに簡単な質問に答えるまでになり、最終的に自我を獲得。頭の大きな新生児のような自画像を描くまでになる。なお、瞳は■。
その後多様なコンピューターと繋がることでレベルアップし、瞳は■から▲に。しかし進化の過程で人間の悪意を知り、さらに自分がその産物であること、持つだけで死に至らしめん部品を作成する道具だったことを知る。
何より自分がまりんを傷つける最大の要因としり苦悩するも。最終的にはまりんをロビンの毒手から救うため、イェルサレムに至る。決死の覚悟で落とした衛星の破損部品の軌道を捻じ曲げ、まりんの命を救った。
その後イギリスから日本へ引き返し、答えをさとるに告げるべく奔走する。しかし自らを狙う黒幕や多くの機械の逆襲を食らい、更に親切にしてくれた少年少女や老婆、犬などにエネルギーを与えたことで、知性や記憶が欠けていってしまった。
ロビン
引っ越してきた子
書籍情報
ビッグコミックス版 全10巻
スーパービジュアル・コミックス版(ビズコミュニケーションズジャパン) 全6巻
小学館文庫版 全7巻
My First WIDE版 全4巻
Big comics special. 楳図パーフェクション! 全6巻
ラジオドラマ版
NHK-FM放送の『サウンド夢工房』で1991年10月14日から同年11月1日に全15回で放送された。同じくNHK-FMの『青春アドベンチャー』で1992年10月5日から同年10月23日、1993年10月11日から同年10月29日に再放送された。
出演
スタッフ
脚本
効果
技術
選曲
演出
ミュージカル版
同名タイトルのミュージカル版が、2016年12月から2017年1月、KAAT神奈川芸術劇場でのプレビュー公演を経て、新国立劇場中劇場ほかで上演。主演は高畑充希と門脇麦。
上演日程
- 神奈川公演(プレビュー公演)
- 2016年12月2日 - 3日
- KAAT神奈川芸術劇場
- 浜松公演
- 2016年12月9日
- 浜松市浜北文化センター 大ホール
- 富山公演
- 2016年12月15日
- 富山市芸術文化ホール(オーバード・ホール)
- 京都公演
- 2016年12月23日 - 25日
- ロームシアター京都 メインホール
- 東京公演
- 2017年1月8日 - 26日
- 新国立劇場 中劇場
- 2016年12月2日 - 3日
- KAAT神奈川芸術劇場
- 2016年12月9日
- 浜松市浜北文化センター 大ホール
- 2016年12月15日
- 富山市芸術文化ホール(オーバード・ホール)
- 2016年12月23日 - 25日
- ロームシアター京都 メインホール
- 2017年1月8日 - 26日
- 新国立劇場 中劇場
キャスト
- 山本真鈴 - 高畑充希
- 近藤悟 - 門脇麦
- ロビン - 小関裕太
- しずか - 大原櫻子
- 真悟 - 成河
スタッフ
- 演出・振付 - フィリップ・ドゥクフレ
- 脚本 - 谷賢一
- 音楽 - トクマルシューゴ、阿部海太郎
- 演出協力 - 白井晃
- 制作協力:KAAT神奈川芸術劇場
- 企画・制作:ホリプロ
影響と論評
恐怖漫画家が書いた、この形而上学的作品に影響を受けた文化人は多い。たとえば、岡崎京子は自らの作品中で、真悟誕生の瞬間である「333のテッペンカラトビウツレ」のシーンに言及していたりする。
2018年、フランスで開かれた欧州最大規模の漫画の祭典、第45回アングレーム国際漫画祭で、「永久に残すべき作品」と認められた作品に与えられる「遺産賞」を本作が受賞した。日本人漫画家による本賞の受賞は、水木しげる『総員玉砕せよ!』(2009年)、上村一夫『離婚倶楽部』(2017年)に続く3作目となる。
2020年にはイタリアのミケルッツィ賞にて最優秀クラシック作品賞を受賞。世界的にも評価されており、各国のクリエイターに大きな影響を与えている。
関連番組
- BSマンガ夜話「わたしは真悟」(1997年5月26日 NHK BS2)
参考資料
- 『恐怖への招待』(楳図かずお、河出書房新社)に、作者自身による解説がある。
- 雑誌『現代詩手帖』1985年10月号が「特集=超コミック」と題し、岡崎乾二郎「333からトビウツレ」を所収。
- 雑誌『文藝』1987年夏号に、四方田犬彦「成熟と喪失」を所収(のちに単行本『もうひとりの天使』所収・河出書房新社)。
- 雑誌『ユリイカ 詩と批評』の2004年7月号「特集*楳図かずお」に、高橋明彦の論文「わたしは真悟、内在する高度」を所収。
- 雑誌『ユリイカ 詩と批評』の2004年7月号「特集*楳図かずお」の樫村晴香の論文「Quid ?ソレハ何カ 私ハ何カ」を所収。