アイアムアヒーロー
漫画
作者:花沢健吾,
出版社:小学館,
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ,
レーベル:ビッグスピリッツコミックススペシャル,
発表期間:4月20日,
巻数:全22巻,
話数:全264話/265話,
以下はWikipediaより引用
要約
『アイアムアヒーロー』(I Am a Hero)は、花沢健吾による日本の漫画。
漫画雑誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、2009年22・23合併号から2017年13号まで連載された。
2016年には野木亜紀子脚本で映画化された。
概要
謎の感染症によって平凡な日常が崩壊する模様を描いたSFホラー漫画。当作品は「生ける死体」を題材とした作品ジャンルの一つではあるが、プロローグ部分として単行本ほぼ一巻分を主人公の日常シーン描写に割いており、連載当初はどういったテーマの漫画なのか分からずよくある日常系の作品と思われていた。
第一巻の半分を過ぎたあたりから徐々に日常が壊れていく様子が描かれ始め、パンデミック後も「日常性の崩壊」と「災害」が仔細かつ淡々と描かれる。さらに主人公を始め様々な形で「これまでの社会に劣等感を抱いていた者」を中心として、不条理に対する人々の行動へスポットを当てている。
マンガ大賞2010で4位、マンガ大賞2011で3位。第58回(平成24年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞。2021年11月時点で累計発行部数は830万部を突破している。
2016年に実写映画が公開。制作発表時には、作中の感染者を表すZQNが「ゾンビ」だと表現された。
あらすじ
主人公・鈴木英雄は、冴えない35歳の漫画家。デビュー作は連載開始から半年で早々と打ち切りに遭い、借金まで背負いアシスタントとして働きつつ再デビューを目指していた。ネームを描いては持ち込みを続ける日々も3年経ち、出版社にはほとんど相手にされない悶々とした日常を過ごしている。そうした無為な日々の中での救いは、恋人である黒川徹子の存在。だがその彼女も、既に売れっ子漫画家となった元彼を何かと引き合いに出し、酔うたびに英雄の不甲斐なさを詰る始末であった。
そんなある日、全国的に「噛み付き事件」が多発する。町に増えてゆく警官の数、さらには厚労相が入院してその入院先で銃撃戦が起こるといった報道が立て続けになされる。英雄も深夜、タクシーに轢かれ両腕と右足が潰れて首が真後ろに折れながらも、タクシーの運転手に噛み付き奇声を発して立ち去る女性を目撃していた。
やがて周囲の人々がゾンビのような食人鬼と化す謎の奇病が蔓延し、「ZQN」と呼ばれる感染者たちが街に溢れる。恋人や仕事仲間も犠牲となり、都内から逃亡した英雄は富士の樹海で女子高生・早狩比呂美、御殿場のアウトレットモールで看護師・藪(小田つぐみ)と出会い行動を共にする。
半感染状態となった比呂美の免疫力を「人類の希望になるかもしれない」と考えた小田の提言から、一行は東京方面を目指していく。
引きこもり・江崎崇は、ネット上の匿名掲示板を介して来栖と呼ばれる人物が率いる一派に加わり、アジトへと招かれる。一派はZQNの生態を観察しながら生活していた。近隣の中学校に生存者がいると分かり偵察の準備中、ZQNがアジトへ侵入し仲間の一人が感染。そして身を挺する形で噛まれた江崎は半感染となる。アジトを追われた一派は中学校へと移動、そこで「ZQNの巣」と遭遇する。江崎は同じく半感染だったスコップの男と出会い、来栖をも巻き込んだ半感染者たち三つ巴による戦いの結果、勝利を納めた。来栖へ成り代わった江崎は久喜幕府を名乗り、一派を率いて東京に向かう。
漫画家・中田コロリは池袋の高層ビルに籠城し、補給隊隊長としてガソリンを集めさせられていた。高層ビルの支配者であり「浅田教」を主宰する浅田曰く、脱出用ヘリコプターの燃料として必要だという。コミュニティに不満を抱いていた隊員たちからコロリはクーデターを持ち掛けられるも、不安要素が多く実行へは移せずにいた。コロリが悩んでいたその最中に久喜幕府がヘリコプターを奪取するため、高層ビルのコミュニティを襲撃。その際に大量のZQNたちがビル内へ流れ込み、さらには火災も発生し大混乱に陥る。各々が屋上のヘリコプターを目指して戦闘の末、高層ビルから脱出した。
人間とZQNを交えた戦いは終結し、街には草木が生い茂る。英雄はただ一人、廃墟と化した池袋で生き延びようと新たな日常を始めていた。
登場人物
名前の読みや本名(フルネーム)は明確に判明していない限りそのまま表記する。
主要人物
鈴木 英雄(すずき ひでお)
本作品の主人公。35歳。泡沫の漫画家であり、プロ漫画家の松尾の下で作画アシスタントとして働いていた。かつてはデビュー作として連載を持っていたが単行本2冊で打ち切りとなり、再デビューを果たすべく出版社にネームの持ち込みを繰り返していた。練馬区三原台近く関越自動車道高架沿いに在住。クレー射撃を趣味とし、銃砲所持許可証および散弾銃(新SKB MJ-7)を所持していたことが後々、極限状況を乗り越えるための大きな武器となる。
非常に内向的かつ臆病な性格で極度に肥大した妄想癖があり、深夜は寝室隣の高速道での騒音さえ聞こえなくなる程の恐怖に毎晩囚われていた。彼の想像にだけ存在する男「矢島」を話相手にしたり周囲から賞賛されているような妄想をするも、端から見れば単なる独り言のためそれが原因で三谷たち周囲に倦厭されていた。「自分は世界の脇役で、自分自身の人生でさえ主役になることはない」というコンプレックスに陥っている。パンデミック後も街中で銃を抜くことに躊躇していたが、比呂美と知り合ってからは彼女を守るため発砲も厭わなくなる。
アウトレットモール脱出後は比呂美・小田と行動を共にし、東京へ向かう目標の下に拠点を転々とする。その途中で異形と化したZQNに飲み込まれ心肺停止へ陥るものの、吐き出された後に小田らによる心臓マッサージで蘇生。以降、散発的に感染者の記憶や思考を共有する描写が多々ある。感染した小田と死別後、さらに別れを告げ去っていった比呂美を追い池袋に上陸。ZQNから襲われながらも奇跡的に生き延び、パンデミックが沈静し廃墟と化した無人の都内で池袋西口公園を拠点に単身で自給自足の生活を送る。
矢島(やじま)
早狩 比呂美(はやかり ひろみ)
右目の下に泣きぼくろがある、髪の長い女子高生。大人しめな性格故に学校では地味な印象で、クラスメイトからいじめの対象にされていたが、感染者と思われる首吊り死体にも臆せず救いの手を差し伸べ、感染した紗衣を安楽死させるべく自ら英雄の銃で撃つことを志願するなど度胸の備わった一面もある。小栗真司という男性と付き合っていた。
ゴールデンウィーク中の林間学校で富士山麓に来ていて、クラスメイトと樹海での肝試し中に東京から逃れてきた英雄と遭遇した。英雄と共に富士山へ向かう集団から逃れる際、感染した新生児に首筋を噛まれる。新生児には歯が生えていなかったためか急激な感染は避けられたが、一夜明けた後に発症。しかし英雄たちを襲うことはない「半感染」状態となり、意識が混濁したまま同行する。アウトレットモールで伊浦に頭をクロスボウで撃たれ意識を失うも、小田の懸命の手術により回復。意識の混濁も収まり感染以前の様子と変わらず行動できるようになる。また、感染により「遠く離れた覚醒者やZQNとの意思疎通」「身体能力の向上」などが見られた。
ワクチン作製のため英雄と都内を目指し船舶で移動中、突如として交信してきたクルスに促され自身の存在意義と運命を悟る。英雄に別れを告げてから自ら巨大ZQNを操って取り込まれ、姿を消した。
藪(やぶ) / 小田 つぐみ(おだ つぐみ)
アウトレットモールに避難していた女性。表面的には伊浦やサンゴに従っていたが本心では彼らのやり方を快く思っておらず、度々英雄たちを手助けする。元は久喜近辺の病院に勤めていた看護師で、非番だったため感染を免れた。発症後も英雄たちを襲おうとしない比呂美を、パンデミック解決の鍵になるのではないかと考えた。コミュニティの崩壊後、英雄・比呂美と共にアウトレットモールから脱出。その際に本名を明かす(「藪」の呼び名は注射が下手で子供が苦手なことに由来)。
比呂美が意識を失っていた際、立ち寄った宿で英雄と肉体関係を持つ。後に妊娠が発覚(英雄と出会う前のコミュニティにて既に妊娠していた模様)。英雄たちとの別行動を決意したがZQNに噛まれ発症する。辛うじて自我を保ちながらゴミ収集車のプレス機構に自ら入り、最終的に比呂美が作動ボタンを押してプレス機構に巻き込まれ死亡。
英雄の仕事関係
黒川 徹子(くろかわ てつこ) / てっこ
英雄の恋人で、かつて松尾の漫画アシスタントだった。眼鏡と口元のほくろが特徴。英雄のアパートや松尾の職場からすぐ近くの、古いモルタルアパートに一人暮らししている。アシスタント時代に同僚だったコロリと交際していた。別れた後も彼の才能に心酔し、連絡も取り合っていたことを英雄は快く思っていなかった。酒乱であり、よく英雄を翻弄する。
事件の発端となった現場付近で少女に噛まれ、自室にて発症。尋ねてきた英雄に襲いかかり噛み付くも、直前に歯が全て抜けるまで玄関のドアを噛んでいたことで英雄は感染せずに済んだ。自らの死期を悟ったかのように遺書めいたメモを残しており、自室内も中田の単行本を纏めて捨て英雄の単行本を本棚に整列させるなど、身辺整理的な行動が見られた。感染後も英雄へ襲い掛かった他の感染者を倒し英雄を守ろうとしたが、最期は「もう彼女は救えない」と矢島から諭された英雄の手によって首を切断された。
実写映画版では、英雄と揉み合った際に頭がトロフィーに突き刺さり活動停止した。
大型ZQNに取り込まれた比呂美との会話で「本当は英雄くん寂しがり屋だから一緒に連れて行きたかった」と発言しており、襲われた英雄があの場面で助かったのは単なる偶然だったことが発覚する。
中田 コロリ(なかた コロリ)
黒川の元交際相手で、3年前に英雄と入れ替わる形で松尾のアシスタントを辞め漫画家デビュー。実家は渋谷の土地持ちで裕福。女性のストッキングに並々ならぬ執着を持つ。英雄の漫画家としての才能を買っていた。
パンデミック以降は東京都豊島区の高層ビルに結成されたコミュニティに籠城しており、補給部隊の隊長として物資調達の指揮を執っている。明晰な判断力を持ち危機管理能力も高いため慕う者が多く、コロリ隊なる派閥が形成されていたがコミュニティ上層部がそのカリスマ性を恐れコロリ隊を分割・解体し、瀬戸ともう一人の女性隊員からなる3人での活動を余儀なくされていた。瀬戸には幾度もクーデターを持ちかけられたが、「仮に乗っ取っても彼らと同じことをするだけ」と拒んでいる。浅田のやり方とヘリ操縦技能に強い疑念を持ち、彼から要求されている教典漫画の制作も渋っていた。
クルスの襲撃を受け大量のZQNが大挙して基地へ侵入した際にはコロリ隊を再編し応戦、そして脱出を目論む浅田や苫米地らと屋上で対峙し狙撃されるものの一命を取り留め、苫米地が操縦するヘリコプターでサンライズ60を脱出。避難先の島で平穏な日々を取り戻し、英雄の生存を信じつつ漫画の執筆を再開している。
松尾(まつお)
三谷(みたに)
松尾のチーフアシスタント。40代。18歳時に漫画界へ入ったものの、デビューには至れず年だけ取ってしまったことを嘆いている。尊大かつ傲慢で、英雄にはその性格を嫌われていた。女子アナオタクで、職場でもニュースを頻繁に見ている。同じ職場のみーちゃんに好意を抱き、度々アプローチを仕掛けていたが全く相手にされていなかった。YouTubeを通して街の非常事態について何らかの情報を得ていたため、臨機応変に対応し感染を免れていた。英雄と共に生存するため東京からの脱出を図るも、三原台一丁目の歩道橋へ上がる途中で街の感染者に噛まれ、さらに墜落するジェット旅客機の車輪へ頭部を巻き込まれ即死した。
実写映画版では職場で英雄と再会した時点で松尾に噛まれ感染しており、カッターナイフで己の首を切り裂き自害した。
佐田 和也(さだ かずや)
同僚アシスタント
みーちゃん
富士で出会う人物
紗衣(さえ)
アウトレットモールのコミュニティ
伊浦(いうら)
アウトレットモールの屋上で籠城する非感染者コミュニティの裏の支配者で、高い洞察力を持つ。ピストルクロスボウを所持し、反逆者や気に入らない者を感染者の多数徘徊する地上に落として処刑してきた。屋上から感染者を観察し、生前の生活習慣を反復する傾向にあることを発見。また、生前、高い運動能力を持っていたと思われる陸上選手の感染者を警戒していた。のちにこの感染者は屋上コミュニティ崩壊の原因となる。
散弾銃を持つ英雄を藪を使って懐柔しようとするも、サンゴに横槍を入れられる形で裏切られ、階下のフードコートへの食料調達に参加させられる。調達作戦失敗のどさくさに紛れ一人だけで帰還。藪の車を停めている駐車場で待ちぶせしていたものの、藪たちが着いたころには発症しており、自傷行動に走る。その後、車に乗り込む小田を妨害しているところを、比呂美によって顎を外されて駐車場の最上階から転落し、藪の運転する車にはねられる。英雄・藪・比呂美がモールを脱出した後、かつて自分たちが散々嬲ってきた女性の感染者に首をもがれた。
実写映画版ではサンゴに裏切られて食糧調達の前衛に立たされるが、混乱の最中一人アウトレットモールの管理室に行き、モール内に大音量のBGMを放送して調達部隊を全滅させようとする。発症後、英雄の狙撃により頭部を破壊され、活動を停止する。
サンゴ
目白(めじろ)
ブライ / 村井正和(むらい まさかず)
黒沢(くろさわ)
田村(たむら)
少年
田澤(たざわ)
来栖一派(久喜幕府)
来栖(クルス)
本名・年齢不詳の自称「自宅警備員」で、作品世界のネット上では「小学生時代から引きこもりで個人特定出来ず」と称されている青年風の人物。パンデミックの3週間前(2009年4月上旬)時点で「感染した自分の母親をバットで何度もフルスイングする」映像をYouTubeにアップしていた。映像を通して呼びかけていた「俺たちの時代」「世界は俺たちのもの」という言葉は、ネット上に多くの賛同者を生み、その熱狂的ファンを指して「クルス信者」という呼び名まで出来ていた。埼玉県久喜市周辺でアジトメンバーと共に活動。常に裸にブリーフのみの姿で高い身体能力を持ち、柘植ナイフ(アタックサバイバルとブッシュ・マチェット)を愛用する。
アジトが感染者に襲われた際、崇が感染する過程を見届けた後に学校へ移動した苫米地らに遅れて合流すると、気まぐれで羽生兄妹を殺害。崇とスコップの男に勝負を挑むも激昂した崇に敗れる。クルス同士の意識に存在する「本体」の眠っている姿は老人であった。
江崎 崇(えざき たかし)
埼玉県久喜市に住む引きこもり青年。母親が感染した後、自室にバリケードでたてこもりネットの掲示板を見て過ごしていた。来栖一派が仲間を募った書き込みに応え、救出してもらう。その際、来栖に「母親の首を切断しろ」という命令に苦悩しつつも実行。江崎家から脱出の際に周りの感染者が集まりはじめたため、毅と共にアジトに向かう。来栖一派に加入後の装備はフェイスガードゴーグル、キックミット、ククリナイフ。
アジトが感染者に襲撃された際、彼らを引き付けるため自ら囮となり外に出て陽動、激戦の末に噛みつかれ川に落ちる。しかし感染後も意識があり身体能力が飛躍的に上昇する「半感染」状態となる。茫然自失のまま校庭へ赴き、来栖に羽生兄妹を殺害されたことを知らされ激昂。来栖とスコップの男を倒し新たな「クルス」となる。
毅(こわし)
ダニエリ
来栖一派の女
苫米地(とまべち)
おばちゃん
来栖達のアジトにいるいかにも中年主婦といった風貌の女性。本名は不明であり、アジトのメンバーには「おばちゃん」と呼ばせている。アジトにおける家事全般を担当している。パンデミック後も電気が使えることや、原発に不安を持つなど主婦ならではの疑問を持つ。物怖じしない性格で、アジトの風呂場から感染者が侵入した際は包丁の二刀流で応戦し、感染者の首をためらうことなく切断した。
第225話にて再登場し左目に眼帯を付け武器として手斧を装備していた。クルスの横暴に耐えかねて一派を離反した後、銭湯で偶然出会ったコロリ隊と意気投合する。屋上での戦闘で異形と化したコロリ隊の女兵士に飲み込まれるが、コロリに救出され一命をとりとめた上に若返る(外見から見るに20代ほど)。サンライズ60脱出後に伊豆七島で瀬戸との子供を授かる。
春樹(はるき)
山田 城(やまだ きずき)
羽生兄妹(はにゅうきょうだい)
高層ビルのコミュニティ
瀬戸(せと)
コロリ隊の女兵士
コロリ隊に属する若い女性隊員。本名不明。口数や感情表現が少ないものの、戦闘能力はコロリ隊随一を誇る。右足を失う怪我を負って入院中にパンデミックが発生、感染した医者に噛まれて一時は変異の症状を見せるも回復し、失った右足も再生されていた。外見は非感染者と変わらないが、半感染者と同じく身体能力が向上していると思われる描写が多々ある。
クルスの襲撃を受けて大量のZQNが基地へ侵入した際には瀬戸と共に活躍。屋上の戦闘ではクルスと互角の戦いをするが、隙を突かれて右足を負傷、症状が悪化し異形の姿に変貌してしまう。変貌した後もコロリとアイコンタクトを取るそぶりを見せ、ヘリコプターの脱出を手助けするかのように屋上へ集まるZQNと戦い続けた。
着用マスクはドクロのハーフフェイスのロアーマスク。
桐谷(きりたに)
デブ
楓(かえで)
浅田(あさだ)
池袋のサンライズ60ビルを拠点とするコミュニティを支配する金髪の男。ビル屋上に駐機された小型ヘリを操縦できると自称し、都内からの唯一の脱出手段を有しているとしてコミュニティ内での発言力を得た。「浅田教」なる自らを救世主とする宗教を立ち上げ、コミュニティ内ひいては世界に浸透させようとしており、「漫画なら万国共通だろう」との考えからコロリに対して教典の漫画版の制作を依頼している。コミュニティの高齢者を監禁して殉教者として供したり、「適当な捏造物語で後世のバカどもの宗教になってやる」と発言するなど軽薄な思考の下に行動している。最期は苫米地のクロスボウの矢でZQN化した側近の女の所持していた火炎放射器で焼かれ焼死。
大隊長
ベルギー
イタリア
スペイン
感染
感染者(ZQN)
病状が発症すると、全身の血管が浮き出た外見となり、感染していない人間(非感染者)に噛みつきで襲いかかる。発症後は驚異的な身体能力を持つ。指で自分の目をつぶすなどの自傷行為に及ぶことがあり、車にはねられたり階段や高所から落ちたりしても、何事もないかのように動き回る。また四足歩行(ブリッジ姿勢)で走るなど肉体的に不可思議な行動をとる者もいる。
名称
習性
噛み付かれた後も生体として生き続けている人間の場合には、症状の進行と共に正常な思考能力や言語能力が次第に失われることにより会話と呼応しない支離滅裂な発言をするようになり、最終的には「生体としての死」を経て周囲の非感染者を襲い始めるようになる。
来栖一味はサンプルとして女性の感染者を捕獲しており、苫米地によると心音・呼吸・脈無しという状態ではあるが、性器などに触ると反応があることや生理は訪れることを発見している。また、アリやハチといった社会性昆虫のようにZQN全体で目的を持ち集団を形成しているとの仮説を立てた。
感染 - 発症
しかし、目立った外傷が無く発症した伊浦や、ZQNを処分した風呂場でシャワーを浴びかつ生理中であった小田の妹など、感染者の血飛沫などから血液感染する可能性があることは示唆されている。
噛み付かれた後、発症前に生体として死亡した場合でも、その死体が後に(あるいは生体としての死と同時に)感染者として攻撃行動を取る例も多く見られる。この場合、湿度の上昇で蛆が湧くほど身体が腐敗した状態、溺死や焼死、四肢や胴体が断裂していても身体機能の許す限りの行動が行える。
撃退方法
種類
人型ZQN
戦闘型ZQN
建設的ZQN
巨大ZQN
存在理由の不明なZQN
半感染(クルス・狂巣)
例外的に比呂美や江崎など発症後も生体としての死には至らず意識を保っている者もわずかに存在する。発症後は驚異的な身体能力を持ち、興奮状態になると右目および顔面右側に血管が浮き出た外見になる。また半感染者同士での意思疎通やZQNのコントロールなども可能となる。
名称
習性
江崎の場合、身体能力の大幅な向上・負傷箇所の高速治癒・頭髪の急速な成長など新陳代謝の活発化による体質変化がみられる。また代謝活性化による体温の上昇からか衣類を身につけなくなるようになる。
感染 - 発症
武器・装備
現実社会と同じく銃刀法が敷かれた日本を舞台としているため、同じジャンルの作品とは異なり銃器類がほとんど登場せず、生存者は国内でも比較的入手が安易な日用・農業用・狩猟用・スポーツ競技用の道具類を武器として転用している。コミュニティ毎に装備の特色があり、近隣のホームセンターや専門店から調達していることが伺える。
- 散弾銃(新SKB MJ-7、ミロク MSS-20)
- 野球バット
- 三徳包丁
- カッターナイフ
- 潤滑スプレー
- 使い捨てライター
アウトレットモールのコミュニティ
- ピストルクロスボウ
- エアソフトガン
- 手斧
- 玄能
- プラスチックハンマー
来栖一派(久喜幕府)
- サバイバルナイフ
- マチェット
- 手斧
- ククリナイフ
- クロスボウ(TAC-15)
- 菜切り包丁
高層ビルのコミュニティ
- 刈払機
- 鉈
- 丸椅子やパイプ椅子
- スリングショット
- ストッキング
- 草焼きバーナー
書誌情報
- 花沢健吾 『アイアムアヒーロー』小学館〈ビッグスピリッツコミックススペシャル〉、全22巻
- 2009年08月28日発売、ISBN 978-4-09-182580-3
- 2009年12月26日発売、ISBN 978-4-09-182779-1
- 2010年05月28日発売、ISBN 978-4-09-183157-6
- 2010年08月30日発売、ISBN 978-4-09-183377-8
- 2010年12月25日発売、ISBN 978-4-09-183534-5
- 2011年05月30日発売、ISBN 978-4-09-183827-8
- 2011年09月30日発売、ISBN 978-4-09-184050-9
- 2012年01月30日発売、ISBN 978-4-09-184246-6
- 2012年05月30日発売、ISBN 978-4-09-184512-2
- 2012年10月30日発売、ISBN 978-4-09-184729-4
- 2013年02月28日発売、ISBN 978-4-09-184880-2
- 2013年06月28日発売、ISBN 978-4-09-185240-3
- 2013年10月30日発売、ISBN 978-4-09-185574-9
- 2014年02月28日発売、ISBN 978-4-09-185877-1
- 2014年06月30日発売、ISBN 978-4-09-186284-6
- 2014年12月26日発売、ISBN 978-4-09-186668-4
- 2015年05月29日発売、ISBN 978-4-09-187020-9
- 2015年11月30日発売、ISBN 978-4-09-187309-5
- 2016年03月15日発売、ISBN 978-4-09-187470-2
- 2016年04月12日発売、ISBN 978-4-09-187530-3
- 2016年10月28日発売、ISBN 978-4-09-189221-8
- 2017年03月30日発売、ISBN 978-4-09-189379-6 / 完全版 2021年12月10日発売
スピンオフ
- アイアムアヒーロー in OSAKA
2016年2月29日発売、ISBN 978-4-0918-7566-2
- アイアムアヒーロー in IBARAKI
2017年2月28日発売、ISBN 978-4-0918-9317-8
- アイアムアヒーロー in NAGASAKI
2017年2月28日発売、ISBN 978-4-0918-9318-5
アンソロジー
8 TALES OF THE ZQN
内容は各漫画家による本作品がトリビュートされたアンソロジー作品。『週刊スピリッツ』(2016年12月号)より順次掲載されたものをコミックス発売された。2016年4月12日発売、ISBN 978-4-0918-7588-4
- 「私がZQNになっても。」 - 水沢悦子(代表作:花のズボラ飯)
時系列では本編19巻の末と重なっている。男女のカップルが、生前の習慣に従って行動するZQNの特性を利用して、ZQN化後も2人で愛し合おうと性行為に励む物語。
時系列では本編19巻の末と重なっている。男女のカップルが、生前の習慣に従って行動するZQNの特性を利用して、ZQN化後も2人で愛し合おうと性行為に励む物語。
- 「Ghost of a Smile」 - 横槍メンゴ(代表作:クズの本懐)
世界がZQNパニックに陥る以前の物語。本編のヒロインの早狩比呂美、同級の紗衣、紗衣の元交際相手で現在は比呂美と交際している真司を中心に描かれている。
世界がZQNパニックに陥る以前の物語。本編のヒロインの早狩比呂美、同級の紗衣、紗衣の元交際相手で現在は比呂美と交際している真司を中心に描かれている。
- 「ゾンビのいるところ」 - 石黒正数(代表作:それでも町は廻っている)
ZQNパニックから半年後、復興の途中にいる日本を描いた物語。ZQNと化した人間の人権主張、ゾンビの歩行を利用した発電所などが描写される。
ZQNパニックから半年後、復興の途中にいる日本を描いた物語。ZQNと化した人間の人権主張、ゾンビの歩行を利用した発電所などが描写される。
- 「思春期オブ ザ デッド」 - オジロマコト(代表作:富士山さんは思春期)
夏祭りの最中にZQNパニックに巻き込まれた男女の物語。死と隣り合わせの緊張状態と、ラブコメディが同居している。
夏祭りの最中にZQNパニックに巻き込まれた男女の物語。死と隣り合わせの緊張状態と、ラブコメディが同居している。
- 「シーイズアスローウォーカー」 - 伊藤潤二(代表作:富江)
ゾンビマニアのカップルにスポットを当てた物語。慎一と悠美は、ゾンビは速く動くか鈍く動くかで口論になる。怒った悠美はアパートを飛び出すが、その直後に腕を噛まれて部屋へと戻る。部屋の外にはゾンビが押し寄せており、町では無数のゾンビが人間を襲っていた。慎一はゾンビのウイルスに感染したのを危惧して悠美を拘束し、備蓄していた食料を当てに籠城する。食事の途中、悠美は力尽きて倒れる。悲しみに暮れる慎一は悠美の姿をビデオカメラに撮影し、遺体に添い寝する。翌朝慎一が目を覚ますと、悠美が今にも噛みつこうと迫っていた。慎一は飛び退いたが悠美は全く動かなかった。不思議に思った慎一がビデオカメラの映像を確認すると、悠美は一晩で10cm程度しか動かないほど、ゆっくりとした速度で動いていた。
ゾンビマニアのカップルにスポットを当てた物語。慎一と悠美は、ゾンビは速く動くか鈍く動くかで口論になる。怒った悠美はアパートを飛び出すが、その直後に腕を噛まれて部屋へと戻る。部屋の外にはゾンビが押し寄せており、町では無数のゾンビが人間を襲っていた。慎一はゾンビのウイルスに感染したのを危惧して悠美を拘束し、備蓄していた食料を当てに籠城する。食事の途中、悠美は力尽きて倒れる。悲しみに暮れる慎一は悠美の姿をビデオカメラに撮影し、遺体に添い寝する。翌朝慎一が目を覚ますと、悠美が今にも噛みつこうと迫っていた。慎一は飛び退いたが悠美は全く動かなかった。不思議に思った慎一がビデオカメラの映像を確認すると、悠美は一晩で10cm程度しか動かないほど、ゆっくりとした速度で動いていた。
- 「鬼さんこちら」 - 鳥飼茜(代表作:先生の白い嘘)
- 「アイアムノットアヒーロー」 - 乃木坂太郎(代表作:医龍)
高校の一クラスがZQNで溢れた学校から逃げ出すまでの物語。
高校の一クラスがZQNで溢れた学校から逃げ出すまでの物語。
- 「アイアムアヒーロー誕生秘話」 - 吉本浩二(代表作:ブラックジャック創作秘話)
アイアムアヒーロー THE NOVEL
映画化を記念して刊行されたアンソロジー小説集。カバーイラスト:花沢健吾、ブックデザイン:鈴木成一デザイン室。2016年4月発売、ISBN 978-4-09-187678-2
各話リスト
ムービーコミック
2016年4月1日より「dTV」にて配信されている。
キャスト
テーマ曲
映画
2016年4月23日より全国東宝系にて公開。主演は大泉洋。R15+指定。この作品を収録したDVD版とBlu-ray版もある。
キャスト
- 鈴木英雄 - 大泉洋
- 早狩比呂美 - 有村架純
- 藪(小田つぐみ) - 長澤まさみ
- 伊浦 - 吉沢悠
- サンゴ - 岡田義徳
- てっこ(黒川徹子) - 片瀬那奈
- 中田コロリ - 片桐仁
- 松尾 - マキタスポーツ
- 三谷 - 塚地武雅(ドランクドラゴン)
- アベサン - 徳井優
- 千倉 - 風間トオル
- タクシー運転手 - 村松利史
- キョウコ - 延増静美
- ナナミ - 遠藤留奈
- ウメ - 大迫一平
- ニシガミ - 渋谷謙人
- コミュニティのメンバー - 山野内扶
- カスガ - 武田裕光
- コミュニティのメンバー - 吉村謙一
- ヤギ - 萩原亮介
- オサム - 太田将熙
- サオリン - 中谷仁美
- 巨漢のZQN - おむすび
- メジロ - ピンボケたろう(ザ・パーフェクト)
- 佐田 - 高橋洋
- 加藤 - 大塚ヒロタ
- みーちゃん - 栗田恵美
- 長野克弘
- セクシーなZQN - 寺田伽藍
- スギウチタカシ
- 営業マンのZQN - 日下部千太郎
- 怖い顔のZQN - 播田美保
- 撮影者 - 眼鏡太郎
- カジ
- 末広透
- つちうち潤
- 小宮たかとし
- ZQN - カズレーザー※「カネコ」名義(メイプル超合金)
- ZQN - 安藤なつ(メイプル超合金)
- 陸上選手のZQN - Lee Yonghoon
スタッフ
- 原作 - 花沢健吾『アイアムアヒーロー』(小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』)
- 監督 - 佐藤信介
- 脚本 - 野木亜紀子
- 音楽 - ニマ・ファクララ(英語版)
- 劇中歌・エンディング - Allie Goetz「home on the range」
- 製作 - 市川南
- 共同製作 - 寺島ヨシキ、久保雅一、中村理一郎、田中晃、岩田天植、弓矢政法、髙橋誠、千代勝美、吉川英作、都築伸一郎、板東浩二、宮本直人
- エグゼクティヴ・プロデューサー - 山内章弘
- プロデューサー - 山﨑倫明、城戸史朗
- 共同プロデューサー - 岡本順哉
- 音楽プロデューサー - 志田博英
- プロダクション統括 - 佐藤毅
- ラインプロデューサー - 竹山昌利、桜井勉
- 韓国ユニットラインプロデューサー - 鈴木勇
- 撮影監督 - 河津太郎
- 美術 - 斎藤岩男
- 特撮 - 神谷誠
- 録音 - 横野一氏工
- 編集 - 今井剛
- 助監督 - 藤江儀全
- カメラオペレーター - 田中悟
- ガファー - 中野創平
- 装飾 - 大坂和美、篠田公史
- CGディレクター - 土井淳
- アクションコーディネーター - 下村勇二
- 特殊メイク・特殊造形統括 - 藤原カクセイ
- 衣装デザイン - 宮本まさ江
- スクリプター - 田口良子
- 製作担当 - 大谷直哉
- 音楽コーディネーター - 杉田寿宏
- 配給 - 東宝
- 製作プロダクション - 東宝映画
- 製作 - 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会(東宝、エイベックス・ピクチャーズ、小学館、電通、WOWOW、博報堂DYメディアパートナーズ、ジェイアール東日本企画、KDDI、TOKYO FM、日本出版販売、小学館集英社プロダクション、ひかりTV、GYAO)
製作
静岡県浜松市および韓国のアウトレットモールにおいて2014年夏に撮影が行われた。
韓国ロケ中においては発砲シーンで実銃が使用され、主演の大泉は本物の散弾銃の撃ち方や構え方をトレーナーの指示を受けながら練習していた。
受賞
- 第34回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭
- ゴールデン・レイヴン賞
- 第48回シッチェス・カタロニア国際映画祭(2015年)
- コンペティション部門・観客賞
- コンペティション部門・最優秀特殊効果賞
- 第36回ポルト国際映画祭(2016年)
- コンペティション部門・観客賞
- コンペティション部門・オリエンタルエキスプレス特別賞
- SXSW 2016(2016年)
- ミッドナイターズ部門・観客賞
- ジャパンアクションアワード(2017年)
- ベストアクション作品賞 最優秀賞
- ゴールデン・レイヴン賞
- コンペティション部門・観客賞
- コンペティション部門・最優秀特殊効果賞
- コンペティション部門・観客賞
- コンペティション部門・オリエンタルエキスプレス特別賞
- ミッドナイターズ部門・観客賞
- ベストアクション作品賞 最優秀賞
ドラマ
『アイアムアヒーロー はじまりの日』(アイアムヒーロー はじまりのひ)と題した映画版のスピンオフ作品で、長澤まさみ演じる藪(小田つぐみ)が主人公となる。2016年4月から「dTV」で配信。「アイアムアヒーロー」の前日譚で小田つぐみの看護師時代のエピソードが描かれている。
スタッフ
- 原作・監修 - 花沢健吾
- 監督 - 長江俊和
- 放映期間 - 2016年04月09日~2016年04月09日
- 放映回数 - 計5回
リアル脱出ゲーム
2016年3月から東京水道橋にある常設スタジオ後楽園ヒミツキチオブスクラップにてSCRAP主催の体感型謎解きイベントであるリアル脱出ゲーム『ある病院からの脱出』が約5か月のロングランで開催。参加者は受付時に貸与したタブレット端末に表示される情報を頼りに様々な謎を駆使して、1時間以内に廃墟になった病院内をくまなく探索し、ZQNを銃殺(脱出)することがクリア条件。また制限時間内にクリアできなかった場合でも追加料金を支払うだけで制限時間を延長してもらえるサービスを導入している。
関連カテゴリ
- 漫画作品 あ
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