アタゴオル
漫画
作者:ますむらひろし,
出版社:朝日ソノラマ,スコラ,メディアファクトリー,
映画:アタゴオルは猫の森
監督:西久保瑞穂,
制作:デジタル・フロンティア,
以下はWikipediaより引用
要約
『アタゴオル』(ATAGOAL) は、ますむらひろしの漫画作品シリーズ。ますむらひろしのライフワークとも言えるシリーズで、猫と人間が同じ言葉を喋る空想世界を舞台としている。傍若無人な主人公ヒデヨシが巻き起こす数々の騒動を描く。後述のように主人公は良識の外に存在する怪物であるが、どこか憎めない存在であり、また一般常識に囚われないことで逆に物事の本質を明るみに出す役割を与えられている、いわゆるトリックスターである。
これまでにシリーズ合わせて600万部を売り上げたとされている。
シリーズ一覧
「アタゴオル」シリーズ本編
アタゴオル物語(全6巻)
アタゴオル玉手箱(全9巻)
アタゴオル(全2巻)
アタゴオルは猫の森(全18巻)
なお、本作単行本8巻までタイトルの英字表記は「ATAGOUL」だった。
外伝的作品
ヨネザアド物語
過去にヨネザアド大陸を支配していたクルメル王の再侵略に立ち上がるヨネザアド連合軍の戦いを描く。
ヒデヨシ、テンプラ(この時のテンプラは口ひげを生やしている)、ギルバルス、パンツなど、「物語」以後に登場するキャラクターの多くが登場するが、その役回りは大きく異なっている。
アタゴオル・ゴロナオ通信
「物語」と掲載時期が重なっているためか、「物語」で語りきれなかった後日談や設定に関する物語が多い。
ジャングル・ブギ
ギルドマ
ジャリア
登場キャラクター
※キャラクター名の横の()内は、CG映画『アタゴオルは猫の森』における声優名。
初出が初期作品群〜「アタゴオル物語」のキャラクター
ナゾノ・ヒデヨシ(山寺宏一)
そのキャラクターとしての歴史は長く、アタゴオル以前の初期作品群ですでに登場している。でっぷり太り、細目と黄色い毛並みを持つお騒がせ猫。読み書き出来るのは独自に彼が考案したスミレ文字のみ。大好物は紅マグロ、酢ダコ、銀クジラの干物、生ダコ、生イカ、ウドン、セミ、カタツムリ。アタゴオル物語からのシリーズでは、蛇腹沼のほとりのひょうたんの家に住んでいる。
やるなと言われたことは必ずやってみないと気が済まない臍曲がりであり、また友人や知人を裏切ることも、出任せの嘘を並べることも平気の大悪猫である。その反面、はた迷惑な行動が逆に人助けになってしまうことも少なくない。また、独特の感性から味のある深い言葉もしばしば発し、哲学者や芸術家を感心させるほか、ときには持ち前の溢れる生命力と合わさって、世界的な危機さえうち破ってしまう。その強さはギルバルス並みと言ってもいい。
怪力の持ち主で非常にタフ、かついつも陽気。常人とは異なった味覚、嗅覚を持っており、腐敗した食べ物や毒物を食べても(『ブドウの森』他多数)平然としている(食べ過ぎると腹痛を起こすことがある)。他人が不快に感じる匂いや味も大好きで、クサヤ葉巻がお気に入り(『SMELL』『南腹乱魚』『王様だけの冬の味』)。高い所から落ちても怪我ひとつしないうえ、催眠術などの魔術にも強い耐性を持っているなど、ある意味で最強クラスのキャラクターとなっている。一方で頭脳面ではどうしようもなく、ことに記憶力の無さはさすがの仲間たちも驚くほどで、友人知人でもしばらく合わないと顔も名前も忘れてしまう。生活のだらしなさは凄まじいばかりで、家の中は散らかりほうだい、風呂嫌いで着ている服(マント)も1度も洗濯したことがなく、悪臭に耐えかねた友人や友猫がたまに洗濯してくれるほどである。
大酒飲みで底なしの大飯ぐらいで行動の原理は空腹であり、腹を満たすためなら文字通り何でも(雪、土、毒キノコなど)食べる。親に捨てられ、小さい頃から食い逃げ、たかり、万引きの常習犯である。アタゴオルにはヒデヨシが原因で閉店した店がいくつかあり、多くの店は「ヒデヨシお断り」の看板を掲げている。
また、借金の踏み倒しも数知れず、借金取りに追われる場面もよく出てくる(『銀貨8枚』)。借金取りは借金を返済しないヒデヨシに業を煮やし、最近では専門の取立て屋を雇って、家に大砲を放つという過激な取り立てをしており(『胸底晩花』)、ガッポリ商会に至っては戦車まで投入した(『取り立て戦記』)。しかし、ヒデヨシの方も抜け穴を用意するなど対抗している。
一方、強靱な体を活かして、危険な所にある薬草や珍しい鉱物の採集のほか、発明の実験台になるなどで高収入を得ることもたびたびある。ヒデヨシの汗に含まれる物質「ヒデニラ」が難病に効くことが近年判明した。
通常は新しい物を見るととりあえず食べてみようとするが、寒気を操るジャミロという生物の卵を拾って孵した後、ヒデヨシは「トト」「ドス」と名付け育てた。家族の情とは縁遠いヒデヨシだが、トトとドスはいい遊び相手になったらしくかわいがっていた。成体になったトトとドスがヒデヨシの元を去った後も、2匹が残した粘土細工をベッドに置いてトトとドスの代わりにして絵本を読み聞かせていた(『トト&ドス』)。また、「猫の森」シリーズでは知らぬ間にトリキリ・トウ鳥の卵を孵し、「コンタ」と名づけて飼っていた。また、あまりの食欲のために「テンシン」という物語の一時的なキーマンであった大きな魚の長老のようなキャラクターを殆ど暗殺のような速度で食べて殺害してしまったこともあるほどである(結果的にテンシンの魂は生きていた)。
欠点だらけの迷惑猫だがリズム感は天性のものを持ち、打楽器の名手。特にボンゴはアタゴオル最高の腕前とされ、ヒジリヤマの修業している時計店で製造している猫の目時計は、ヒデヨシのボンゴのリズムをもとに調整されている(『ボデ腹のサンバ』)。狂ってしまった大時計・柄満堂もヒデヨシの太鼓を聞かせることで直った。花びらにまきこまれた者は石化して死ぬという音網花も、ヒデヨシが規則正しいリズムで太鼓を叩いているうちは襲ってこなかった。波待ち岬にある波を操る太鼓を叩いて遊んでいるうちに竜巻を起こし、そのおかげで万病に効く薬「効々卵」を引き出し岩に発生させた(『効々卵』)。
対照的に音感は壊滅的で、歌、弦楽器(ギター、バイオリン)、笛の腕は最悪。大声で歌い、馬鹿力で楽器を弾くため彼の演奏を聞いた者は必ず耳を塞ぎ、赤ん坊は泣き出し、唐あげ丸の飼っているカニは痙攣し、ちょっかいづるは逃げ、金色の魚はツバを吐く。なぜか銀ハープだけは別のようで、名人級の腕前を持ち、テンプラや仲間たちと一緒に演奏している場面も多い。作者が傾倒したビートルズのポール・マッカートニーを真似て左利き用ギターを使う。
大河ドラマ『国盗り物語』で困難な状況でも笑いを絶やさなかった羽柴秀吉(演じたのは火野正平)が作者の印象に残り、ヒデヨシの名前の元になった。
ホシノミヤ・スミレ博士
ヒデヨシが付け髭と眼鏡で変装(スミレ博士になっているときはヒデヨシのことは友人と呼んでいる)した自称作家・詩人・研究家。ヒデ丸と自分しか読めない「スミレ文字」(でたらめな線にしか見えない文字であるが、どうやらアタゴオル語にある程度対応した書記言語の体系であるらしく、ヒデ丸がスミレ文字でメモを取ることもある)で前衛文学を執筆し、出版社「カタツムリ社」を倒産させ、巻貝出版社を倒産寸前に追い込んだ前歴がある。
他に主にタコについての研究(内容は本人にしか理解できない)を行い、研究会に自分の論文(ワイロとしてかじった酢だこや紅マグロも共に)を送っているが相手にされていない。またまじめな研究者が重大な発見をする場面に出くわすと、紅マグロやタコ1匹や金銭で自分のものにしようとする。主な著書は『あつい体を涼しくする呪文集』『春夏秋冬タコばやし』『ピンピン髭のサンバ』(いずれもカタツムリ社、絶版)『生イカ大王の腹くらべ』(巻貝出版社)。
ススキノ・テンプラ(内田朝陽)
少年時代からのヒデヨシの知り合いで唯一の親友。髪は明るい茶色で、登場初期は世相に合わせてウェーブのかかった長髪だったが、現在は肩につかないぐらいの直毛。普段は帽子を被っている人間の青年。良識溢れる穏やかな人物で、アタゴオルの多くの住人から信望を寄せられており、友達(今まで登場した友人はヒデヨシの知人とほとんどかぶるが)も多い。ヒデヨシのしでかした悪業の後始末にいつも追われており、住人の多くはテンプラがヒデヨシの友人(知人)だと言う事実に常に首をひねっている。クロマチック・ハーモニカ(原作では銀ハープと呼ばれるハーモニカ)の名手で、アタゴオルでも一番の腕前。記憶力にも優れ、僅かな間に古代の長々とした呪文を正確に覚え、暗唱できてしまうほどである。
ヒデヨシと初めて出会ったのは子供の頃。小さなヒデヨシが万引きを働いて木に縛り上げられていたのを発見したときで、涙を流して助けを乞うヒデヨシの縄を解くと、ヒデヨシはテンプラを縛って逃げたという。
作者は当時の世に流行った「命懸けで何かと戦うガツガツした熱血系」とは対極のキャラクターを作ったつもりだったが、「キリエラ戦記」では銀ハープの名手という才能を生かしてキリエラを使い、網樹と果敢に戦った。
作者自身の分身ともいえる存在で、「テンプラ」という名も作者があがり症であることからきている(テンプラ=揚がる、という洒落。)。
ヤニ・パンツ
タクマ
オクワさん
「オクワ酒屋」を経営する、眼鏡と髭が特徴の、気のいい人間のオヤジさん。中々の博識家で、初期にはトラブルを抱えたテンプラたちが、彼を頼りにオクワ酒屋に駆け込むなどの場面も見られた(『影切り森の銀ハープ』)。また、古い文献で見つけた未知の名酒を作るために、材料を探して歩き回る(『雪待ち草の酒』)など、研究熱心な酒造家でもある。
テンプラたちは何かというとオクワ酒屋に集まっており、ときにはオクワさん自身も彼らの騒動に巻き込まれ、さらには店ごと船旅に出る羽目になったこともある(『果てしなき水の旅』、詳細は「ショップ」を参照)。ヒデヨシにツケで呑ませてやったりと面倒見もいい。
初期作品群から登場している。作者が漫画家として駆け出しの頃によく酒や食事をおごってもらった知人「大桑さん」がモデル。
フーコ
糠の目博士
ギルバルス(田辺誠一)
戦闘において活躍する、いわゆる「トリックスター」タイプのキャラクターで「アタゴオル物語」から登場していたが、「玉手箱」では一度も登場しない。「ギルドマ」や「猫の森」シリーズから中心キャラになることが多くなり、登場場面も増えた。
弟をエスガルという妖術使いの狐に殺され、敵を討つためにアタゴオルを訪れた(『ギルバルス』)。
言動は常に冷静沈着で、強力な魔力を持つさすらいの超猫。いつも眼帯をしているため一見隻眼に見えるが、実は右目は健在。ツキミ姫とともに飛行能力を持つ数少ないキャラ。左利きで横笛が得意。「月の光がある限り不死身」と公言している(『植物見張り塔』)。また、彼の名が呪文の一部に含まれるなど、強いだけでなく非常に神秘的なキャラクターである。
キャラクターの原型は初期作品「ヨネザアド物語」に登場する、レジスタンス組織「嵐牙党」の首領。
唐あげ丸(大林隆介)
フルネームはハサミ夜・コミ夜・唐あげ丸。銀しぶき海の青猫島からアタゴオルに移住してきた床屋(『唐あげ床屋』)。夢のスープで客を眠らせ、その間にバイオリンでカニを操って散髪する。カニは、リーダー格のプク松の他に、タテミ、アワ太、ツメの助がいる。
「感動は自分の手から生み出される」と公言する、超一流のバイオリン奏者だが、非常に繊細な神経の持ち主であるため躁鬱の気を持つ、ヒデヨシとは違う意味でのお騒がせ猫。鷹床丸という弟がいる。
葉をこすると美しい旋律が流れる桐王の木が、開墾されていく地で枯れかかっていることを聞いただけで倒れたり(『みるつちいろみる』)、部屋に閉じこもって亀の甲羅をかぶった一人遊びをヒデヨシに見られ、その秘密が不幸な偶然でばれたときはショックで廃猫状態になったり(『ウッツメ』)、現実世界ではレコードかCDにあたる「モスモスッ葉」に演奏を録音するときも、満足いく演奏ができず繰り返し演奏していくうち、皆が自分を嘲笑していると被害妄想の果てに逃走したり(『モスモスッ葉』)など、感情の起伏が激しく、表情もコロコロと変化する。躁状態のときはヒデヨシ以上に過激な行動(人を川に突き飛ばす、爆弾を撒き散らすなど)を見せる他、かつては桃色三日月の夜になると、ある事情から正気を失い、猫の目時計をバラバラにしたり、所構わず爆弾をまき散らすなど理性のかけらもない行動を取っていた(そのたびにヒデ丸に丸太や金づちでなぐられて気絶していた)(『PINK BANANA MOON』)。桃色三日月の謎が解明されてしばらくはおとなしかったが、「玉手箱」の後半や「猫の森」シリーズでは三日月とは関係なしに暴れるようになり、特に作曲に行き詰まったときやプレッシャーがかかったときは、以前よりも過激な行動を取るようになった。
猫が毛を刈らない冬場は喫茶店「粉雪亭」経営が主たる生業。先祖にも有名なバイオリニストがいたらしい。高価なバイオリンをいくつか所有(中にはストラディヴァリウス級の名器「月耳」も)。アタゴオルには日を追うごとに彼の演奏の愛好者が増えている。
ますむらが深く敬愛する舞踏家で演出家の唐十郎がモデル。
ヒデ丸(ゆりん)
欠食ドラ猫団
「物語」から登場しているゴロツキ猫(実質窃盗集団。「猫の森」からはどちらかと言うと何でも屋)グループ。ヒデヨシのライバルで、結成直後にいきなり大喧嘩をした(『しゅるしゅるぱあん』)。その名のとおり、いつも空腹で、「欠食ドラ猫団の歌」(ますむらによると、「少年探偵団」のテーマの替え歌らしい)を歌いながら、腹を鳴らして歩く。
メンバーはリーダー格のブチ丸(黒のぶち猫)、茶々丸(葉模様のサングラスをかけている)、カツラ(大猫)の三匹組。ブチ丸は「親分」と呼ばれるが、茶々丸は人称代名詞で呼ばれてばかりである。カツラは大食いで怪力の持ち主で、「玉手箱」ではヒデヨシと珍物毒物食い(毒キノコ、腹痛どんぐり等)勝負をしているが、瀕死の金色の魚を救いたいと主張するやさしい面もある。また、ツキミ姫から「不思議な力を持っている」と言われており、彼女が持ってる楽器を鳴らすことができる。三匹の中では唯一、カツラのみ字の読み書きができないが、カツラはヒデヨシに比べ、はるかに義理堅く常識を持っている。
3匹のモデルはいずれも作者の飼い猫だったが、欠食ドラ猫団の登場後、1980年に全員行方不明になってしまった。以降、愛猫をモデルにすることはやめたという。
くねくね
葉魔
かつてヨネザアド大陸を支配した黒髪王朝の末裔。両親を殺して何かを奪っていった三人組の賊をギルドマジャングルまで追って殺し、奪い返した箱の中にあった地図から黒髪王朝の残した遺産を知り、サーカス団に似せた一味を引き連れてアタゴオルに現れた。全身に包帯を巻いており、海草から作ったあやつり液を打ち込まれた者は、同じ海草で作った包帯を巻いている彼の思い通りに操られる。王国の秘宝の1つである緑止液(使用者は定期的に一定時間緑死海の海水に全身を浸す必要がある)を飲んだため、年をとっていない。包帯を取った彼の黒髪を見たときのテンプラ達の反応から見ると、黒髪はアタゴオルでは珍しいらしい。
アタゴオルで最後の秘宝を手に入れ、仲間たちとともに旅立っていった(『冬のサーカス団』)。
牙
「物語」シリーズでは時間に関わる能力を持っている。腰に剣を携え、額に鎌のような模様を持つ猫。「船が去っていく姿を見たものはいない」と言われる海賊船「赤い牙」号の船長。ヒデヨシ達との戦闘で砲撃を受けた後、甲板の大時計から発する極無砲で桃色リンゴ丸の時間を止め、時が止まった領域でも動ける腕輪をつけて桃色リンゴ丸の積荷を奪っていった。
はるかな昔、アタゴオルの滑りの森にある大量の時計を製作した。長い時を経て、すべて止まってしまった森の時計を動かすため、密かにアタゴオルを訪れる。ワラビ採りに来たついでに時計を調べようとしたヒデヨシとパンツに目撃されたため、二人を捕らえる(『時間城』)。
何か目的を持っていたらしいが「物語」シリーズは中盤以降ゆったりした雰囲気の世界を形成し、再登場の機会は自然消滅したようである。
「ジャングル・ブギ」ではベリナや里透と共に紅ドクロ王の配下で、医術を含む様々な技術を持った科学者。
紅ドクロ王
魔女
つばのない帽子を被った長い髪で黒服の女。武器は吹き矢。ギルバルス曰く、「オレと同種の銀色の血を持つ者」。アタゴオルの植物見張り塔で密かに天龍の卵を孵し、はるか昔に滅びた紅どくろ王を復活させようと企み、それを阻止すべくやってきたギルバルスと戦う。しかし二人の技量は拮抗し、決着の着かないまま、天龍に乗って鳥霧山の火口に逃走した(『植物見張り塔』)。「ジャングル・ブギ」では紅どくろ王の部下でベリナと呼ばれていた。世界征服を企む紅どくろ王の指令で、牙や里透と共に人の欲望や憎悪を糧にする群青剣を探し、鳴門やギルバルスと戦った。
アタゴオルの原型である「ヨネザアド物語」には、よく似た女・ラドが登場し、ヨネザアドの砲兵隊を天龍の砲撃で蹂躙する。
初出が「アタゴオル玉手箱」のキャラクター
ツキミ姫(平山あや)
「玉手箱」シリーズから登場。三日月石を探しに来たヒデヨシによって谷底の岩の中にあった透明なカプセルから目覚めた(『ツキミ姫のお菓子』)。
冷静かつ聡明な人物で、古代のアタゴオル森の王女だったらしい。強力な超能力(魔術?)の使い手で、タルダリ大帝の目を見ても術にかからず、「キリエラ戦記」では、勇敢に敵と戦う姿も見られる。
当初ゲストキャラの予定だったが、謎の植物に近づこうとするヒデヨシを想念の力で止めたり(『ムラサキホタル草』)、沼から聞こえてくる謎の言葉を聞き取ったり(『水色の切符』)、頭痛の原因を解明するために地面を爆破したり(『野苺スケッチ』)、風鱗キノコから水の中でも息ができる薬を作ったり(『水色の避暑』)、ヒデヨシの怪力でも開かない箱を開けたり(『ミイト緯度の指』)、時間のすき間に入り込んだり(『時の小箱』)と様々な場面で力を発揮してレギュラーに昇格している。
星の光を釣るときに空気の流れが速い場所を見つけたり、星街では人目につかぬよう地下で営業している金星コーヒー店を見つけたり(『銀色の花粉』)、風に乗って紡がれる糸のような言葉の流れを見たり(『ミイト緯度の指』)、光の猫が変形した立体地図を再現したり(『キリエラ戦記』)、危険な所に入っていくヒデヨシの姿を草鏡の術で大きな葉に映し出したり(『夏のお出かけ』)、空中に漂う人魂のようなものを見る能力をテンプラと共有したり(『みるつちいろみる』)、クラゲのような形をした生き物・ミラフカバによって父王の幻影を見たときは、その幻視能力を超えてすぐにミラフカバ本体が見えてしまって盛り上がらなかったり(『神様、お願い!』)、折れて力を失った寒々杖の力を取り戻すための策を幻視したり(『寒々杖』)、見えない樹木が腕や脚から伸びてヒデヨシとテンプラが空中を歩いているように見えるタネ明かしをしたり(『キホ』)、特に透視や幻視などの『見る』能力に優れている。
ヒデヨシの無軌道さを気に入っており、頻繁につるんで遊んでいる。ただし、ヒデヨシが大金を持っているにもかかわらず、借金の踏み倒しを図ったときはさすがに怒り、ヒデヨシの手助けを途中で放棄した(『取り立て戦記』)。ヒデヨシもかなり彼女のことは気に入っているようで、目新しい玩具を手に入れると取り敢えず彼女に見せびらかしに行くことが多い。
昔はヒデヨシに似たブンダという家来の猫がいたらしい(「コスモス楽園記」に登場するヒデヨシそっくりの文太との関係は不明)。トレードマークは三角帽子。
作者のますむらは原田知世の熱烈なファンで、ツキミ姫は執筆当時の彼女をイメージしたと語っている。
テマリ(谷山浩子)
切手屋
鷹床丸
霧尾
銀波船長
黒いバイオリンの旗を掲げた海賊船「闇のバイオリン号」に乗る凶悪海賊のボス。キリエラの謎を知り、ヒデヨシが墓場で見つけた水晶の棒によって呼び寄せられた光の猫を巡り、ヒデヨシ達と敵対する。
バイオリンをこよなく愛し、バイオリン弾きには一切手を出さないことで知られる(そのため村中がバイオリン弾きになった島まであると言う)。ヒデヨシと共に「闇のバイオリン号」に侵入した唐あげ丸の演奏を気に入り左舷音楽師に任命したが、唐あげ丸は先祖が盗まれたバイオリンを取り返した上、船にあった高価なバイオリンを全部盗んで逃げた(唐あげ丸は「バイオリンが私についてきた」と主張している)。ヒデヨシのデタラメな演奏で、光の猫からキリエラに関するヒントを聞きだす。
その後ヒデヨシを猫質に取ってテンプラにキリエラを吹かせ、網樹を復活させる。網樹を操り長年攻略できなかったゴランドア大陸の都を壊滅させたが、仕返しに来たヒデヨシのせいで網樹の脳は暴走して、網樹に捕まり吸収されてしまった。
その後キリエラを奪いにテンプラの前に現れるが、既に人間ではなく網樹の一部であると見破られる。
葉座
初出が「アタゴオル」のキャラクター
初出が「アタゴオルは猫の森」のキャラクター
4.初出がその他のシリーズのキャラクター
鳴門
ピレア・イノチェダ(夏木マリ)
輝彦宮(かがやきひこのみや)= ヒデコ(小桜エツ子)
「ギルドマ」に登場。ピレアとは対の立場にある植物の王。はるか古代にピレアを倒して封印した際、同時に自らも封印され眠りについていたが、ピレアの復活と同時に目覚める。目覚めた後、一番力があると自らが見込んだ者を「父親」として付き、その者の人格や知力をもとに成長するが、ヒデヨシを「父親」としたために、体は小さくラグビーボールに短い手足をつけたような、見るからに弱々しい姿になってしまう(ピレアの言葉によれば、はるか昔にピレアと戦った輝彦宮はピレアよりはるかに大きく立派だったらしい)が、小さいままでも潜在能力は高い。植物にした者たちに服従を誓わせるピレアの印を、ヒデヨシの顔に描き変えたりさまざまな能力を有する。ヒデヨシからは「ヒデコ」と呼ばれる。
網弦(あみげん)(谷啓)
地名・アイテムなど
地名
アタゴオル
ヨネザアド
銀しぶき海
青猫島
燈宮島
パロパロ島
海底島
波待ち岬
緑死海
鳥霧山
ギルドマ・ジャングル
蛇腹沼
花梨島
ほうずき沼
浮島通り
伝言林
植物見張り塔
星街
アンジリア
エカイゾシア
バンドゲル帝国
ショップ
オクワ酒屋
海賊古本屋
ランポンのマフラー屋
マント屋
粉雪亭
金星コーヒー店
美茶(びっちゃ)のかき氷屋
アイテム
桃色リンゴ丸
「猫の森」シリーズではツキミ姫と時王の力によって自動操縦可能な水晶製の船に改造された(『テルウテ』)。
月見ハウス(ももんぐあ、ヒデヒデ号)
もともとカブトムシの形状だが、『タルダリ大帝』編では飛行船となって海底島に向かう途中、酒に酔ったヒデヨシが中枢部に頭を突っ込み、ヒデヨシの意思と一体化して毛だらけの巨大なモモンガ状の船と化した(『ももんぐあ』)。
『キリエラ戦記』では、ヒデ丸が作成した設計図を読み込んで猫型の潜水艦「ヒデヒデ号」に変形した。客室や食堂の他に自動操縦装置、砲座を備えており『キリエラ戦記』の後、アタゴオルに帰還してから元のカブトムシ形状に戻った。
最近は三日月の形を取っている。ツキミ姫の吹く笛に合わせて自由に形状が変化する不思議な家である。
猫正宗
紅マグロ(べにまぐろ)
仙丹豆
アタゴオルでは絶滅しているが、青猫島には現在も仙丹酒屋(仙丹酒を飲ませてプラネタリウム体験をさせる店)があり、ヒデヨシとテンプラは青猫島を訪れた際、仙丹酒屋でプラネタリウム体験を楽しんだ(『仙丹豆』)。
星笛
クサヤの葉巻
ヒデヨシがアタゴオルに帰った後も折に触れて吸っているところを見ると、海底島からわざわざ取り寄せているらしい。
また、カナブン島の禁断のブツとも言われる「大ハラワタ80号」という銘柄もある。その匂いは海賊すら逃げ出し、ヒデヨシですら少し涙目になる(『キホ』)。
ネズミトランプ
青猫島製ネズミトランプは、青猫島近海に生息する「生命魚」の液をしみこませてあり、その日が誕生日の者がいるとゲームができない、とされている。この特徴を使って不明だったヒデヨシの誕生日を突き止めたことがある(『誕生日』)。
銀クジラの干物
パナ豆
ちょっかいづる
中でもたちの悪いジェガ種は、完璧と思われた唐あげ丸の演奏のわずかな音の狂いを指摘して、精神的に脆い唐あげ丸に次々と追い討ちをかけて潰したが、ヒデヨシには何を言っても効かなかったばかりか、撃退されてしまった。
眠り花粉
猫の目時計
説舌バナナ
リンゴ笛
古代の祭り「パクパク魚」を出現させるアイテムでもある(『静けさと熱の魚』)。
マタタビ煙草
銀ハープ
キリエラ
噴火杖
群青剣
その他
桃色三日月の夜
豆猫族
以前に度重なるヒデヨシの襲撃を受け、備蓄していた食料を全て食い尽くされ難儀していたが、一族のシャーマンであるペジナの帰還によりヒデヨシの撃退に成功した。(『夏のお出かけ』)。
タルダリ大帝編やキリエラ戦記などでヒデヨシが海底島に行き、長期間アタゴオルに不在だったときは、ヒデヨシの家をまるごと奪った(『砂の海』)。
単行本
アタゴオル物語
朝日ソノラマより「ますむら・ひろし作品集 第1期」として刊行。A5判。
- アタゴオル物語 第1巻 影切り森の銀ハープ (1987/10) ISBN 4257900938
- アタゴオル物語 第2巻 ボテ腹のサンバ (1987/11) ISBN 4257900954
- アタゴオル物語 第3巻 ぱるぱらん (1987/12) ISBN 4257900962
- アタゴオル物語 第4巻 左ききの楽園 (1988/01) ISBN 4257900997
- アタゴオル物語 第5巻 水晶散歩 (1988/02)ISBN 4257901004
- アタゴオル物語 第6巻 風を編む (1988/03) ISBN 4257901012
- ヨネザアド物語 (1988/07) ISBN 4257901020
- アタゴオル・ゴロナオ通信 (1988/08) ISBN 4257901039
- ジャングル・ブギ (1988/09) ISBN 4257901047
- 夢のスケッチ (1988/10) ISBN 4257901055
他にも以下の単行本が刊行されている。
- スコラ社バーガーコミックス 全9巻
- MFコミックスより「アタゴオル」として刊行された全7巻のうち、1-6巻が「物語」に該当する(7巻は後述の「ギルドマ」)。
アタゴオル玉手箱
偕成社ファンタジーコミックスより刊行。全9巻
- 第1巻 ISBN 4030140408
- 第2巻 ISBN 4030140505
- 第3巻 ISBN 4030140602
- 第4巻 ISBN 4895943143
- 第5巻 ISBN 4895943151
- 第6巻 ISBN 489594316X
- 第7巻 ISBN 4895943178
- 第8巻 ISBN 4030145108
- 第9巻 ISBN 4030145205
アタゴオル
スコラ社バーガーコミックスより刊行。全2巻
- 第1巻 ISBN 4796243453
- 第2巻 ISBN 4796243674
アタゴオルは猫の森
メディアファクトリーよりMFコミックスとして刊行。
- 第1巻 ISBN 978-4-88991-765-9
- 第2巻 ISBN 978-4-88991-779-6
- 第3巻 ISBN 978-4-8401-0419-7
- 第4巻 ISBN 978-4-8401-0456-2
- 第5巻 ISBN 978-4-8401-0483-8
- 第6巻 ISBN 978-4-8401-0912-3
- 第7巻 ISBN 978-4-8401-0959-8
- 第8巻 ISBN 978-4-8401-0999-4
- 第9巻 ISBN 978-4-8401-1338-0
- 第10巻 ISBN 978-4-8401-1626-8
- 第11巻 ISBN 978-4-8401-1686-2
- 第12巻 ISBN 978-4-8401-1987-0
- 第13巻 ISBN 978-4-8401-2263-4
- 第14巻 ISBN 978-4-8401-2578-9
- 第15巻 ISBN 978-4-8401-2968-8
- 第16巻 ISBN 978-4-8401-3380-7
- 第17巻 ISBN 978-4-8401-4012-6
- 第18巻 ISBN 978-4-8401-4425-4
外伝
- JARIA ISBN 4030148204
- ギルドマ ISBN 4840110174
傑作選集
- 「物語」の傑作選集。いずれも、朝日ソノラマ社から刊行。
- アタゴオルは猫の森(巻末にヨネザアド物語が収録されている)
- ヒデヨシ印の万華鏡
CG映画
『アタゴオルは猫の森』(アタゴオルはねこのもり)のタイトルで2006年10月14日に上映された。原作は「アタゴオルは猫の森」となっているが、「ギルドマ」がモチーフになっている。
スタッフ
- 原作 : ますむらひろし(メディアファクトリー)
- CGプロデューサー : 豊嶋勇作
- CG制作 : デジタル・フロンティア
- 音響監督 : 鶴岡陽太
- 製作 : ミコット・エンド・バサラ、デジタル・フロンティア、エイベックス・エンタテインメント、ティー・ワイ・オー、WISH、アミューズメントメディア総合学院、読売広告社、メディアファクトリー
ギルドマとの相違点
- 映画ではテンプラとツキミ姫が登場して、タクマはエンディングの1シーンでしか登場していない。
- 原作設定では超能力者で冷静なツキミ姫が「気が強い武闘ヒロイン」に変更されている。