アダルト・ウルフガイ
以下はWikipediaより引用
要約
「アダルト・ウルフガイ・シリーズ」は、平井和正が連作で発表した、『狼男だよ』に始まるSFハードボイルド小説の総称。同作者の大河小説『ウルフガイ』とは別作品。
概要
本作の主人公・犬神明の初登場は、1969年(昭和44年)3月『プレイコミック』に掲載された「夜と月と狼」(プロトタイプ版)。同年5月「狼は死なず」(プロトタイプ版)の『ボーイズライフ』掲載を経て、同年11月『狼男だよ』が書籍として刊行される。以降『小説推理』『小説宝石』『宝石』『問題小説』『GORO』と多くの雑誌を渡り歩いて発表された。なお、外伝的な「ウルフガイ・イン・ソドム」は『奇想天外』、「若き狼の肖像」は『SFアドベンチャー』への掲載を経て書籍化されている。
書籍は掲載雑誌の出版社とは関係なく、立風書房から『狼男だよ』を出版した後は、すでに「ウルフガイ・シリーズ」で人気を得ていたハヤカワSF文庫から「ウルフガイ別巻シリーズ」として4冊を刊行した。その後、早川書房「SFマガジン」編集長であった森優の退社を期にシリーズ全作品の刊行を祥伝社ノン・ノベルに移籍し「アダルト・ウルフガイ・シリーズ」と称されるようになる。
1979年(昭和54年)6月まで『GORO』に連載された『人狼天使 第III部 魔王の使者』を最後に以降新作は発表されず、平井が2015年(平成27年)に死去したため本シリーズは未完となった。書籍はノン・ノベルの後、角川文庫、ハルキ文庫からも出版された。
小説
同作者のほぼ同名の作品『ウルフガイ』(少年ウルフガイ)シリーズとは、主人公の名前(犬神明)と基本設定(主人公=狼男)の図式のみ同じだが、世界観などが大きく異なる。
- 一人称小説である(少年ウルフガイは三人称)。
- ウルフガイは、アダルト・ウルフガイを元にしている。
- ウルフガイの犬神明(登場時、中学生)と区別するため、便宜上「アダルト犬神明」と呼称される。
- アダルト犬神明は大人(30代)である。性格も、アダルトな雰囲気とシニカルさを醸し出すものである。
- 作者いわく、犬神明の外見は「ジャン=ポール・ベルモンドを痩せぎすにした感じ」とのことで、「アウシュビッツ帰りのジャン=ポール・ベルモンド」と表現されたこともある。
- 本作の犬神明は、少年ウルフガイに登場する神明(じん あきら)と、ほぼ同じ性格。
- 愛車は本人曰く「ドブネズミ色」の510型ブルーバードSSS。
作品一覧
- 祥伝社ノン・ノベル版の『魔境の狼男』は、ハヤカワSF文庫版『リオの狼男』収録「リオの狼男」と『人狼地獄篇』を合わせて本来の長編に再構成したもの(章分け以外に異同はない)。
- 角川文庫版とハルキ文庫版の『ウルフガイ 不死の血脈』は、祥伝社ノン・ノベル版の『狼は泣かず』収録「狼は泣かず」と『人狼白書』から「凶眼の女」「祟り神の村」の2章(「闇のストレンジャー」へ改題)を収録したもの(章分け以外に異同はない)。
漫画化作品
狼男だよ
同名作品のコミック化(「夜と月と狼」「狼は死なず」「狼狩り」を収録)。
ケン月影のアレンジ(作風)により、原作よりも成人向け描写が増えている(『狼のバラード』も同様)。
ラストが少し加筆されている。
狼のバラード
同名作品のコミック化(「地底の狼男」「狼よ、故郷を見よ」を収録)。
帯には「俺はウルフガイシリーズの主人公」と明記されている(表紙には、タイトルの上部に「Adult Wolf Guyシリーズ」と書かれている)。
解説(佐々木君紀)には、「このコミック版は、犬神明の『黄金の心』を、小説に忠実に表現しているとは言えない部分がある」と書かれている。
Wolf Guy
『ヤングテイオー』1995年№3~4、1996年№1~10、№13~1997年№4、及び『コミックまぁるまん』1997年5月号~1998年3月号にて連載。
小説版のコミック化(「夜と月と狼」「狼は死なず」「人狼、暁に死す」)。内容はアレンジされている。成人向け描写も増えている(掲載誌の関係と思われる)。
映画化作品
『ウルフガイ 燃えろ狼男』
- 1975年(昭和50年)4月5日公開 86分
- 配給:東映
- 製作:東映東京撮影所
- スタッフ
- 監督:山口和彦
- 脚本:神波史男
- 他
- キャスト
- 犬神明:千葉真一
- 緒方ミキ:奈美悦子
- ケイティ・青木:カニー小林
- たか:渡辺やよい
- 他
- 監督:山口和彦
- 脚本:神波史男
他
- 犬神明:千葉真一
- 緒方ミキ:奈美悦子
- ケイティ・青木:カニー小林
- たか:渡辺やよい
他
関連作品
スパイダーマン
背後の虎
8マン
サイボーグ・ブルース
悪徳学園
ウルフガイ
ウルフガイ・シリーズ(小説)
ウルフランド
新幻魔大戦
真幻魔大戦
女神變生
月光魔術團
ウルフガイDNA
幻魔大戦DNA
幻魔大戦deep トルテック
『狼男だよ』改竄事件
1969年11月に出版された『狼男だよ』(ウルフガイ第1作)の初版は、著者の平井和正に無断で、立風書房の編集者によって786か所にわたり原稿に手を入れられていた。無断改稿の事実を知った平井が抗議し、立風書房のみならず親会社の学習研究社とも揉めることとなった。7か月間の当事者同士の話し合いでは解決に至らず、1970年5月に平井が弁護士に任せたことで決着し、1970年8月に正本が出版された。この事件によりしばらくの間、平井は大手出版社で小説の執筆・発表ができなくなった(リム出版『夜にかかる虹 上』より。ただし当該書は通常の「慰謝料」を「慰籍料」と記述している)。