アップフェルラント物語
OVA:アップフェルラント物語
監督:湯山邦彦,
キャラクターデザイン:山沢実,
音楽:モーガン・フィッシャー,
アニメーション制作:J.C.STAFF,
製作:徳間書店,徳間ジャパンコミュニケーションズ,
発売日:1992年10月10日,
話数:全1巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『アップフェルラント物語』(アップフェルラントものがたり)は、田中芳樹による日本の冒険小説。これを原作とした舞台公演・漫画・OVAも制作されている。
20世紀初頭の中央ヨーロッパの架空の小国・アップフェルラント王国(独: Apfelland、林檎の国)を舞台にしている。
概要
1905年、中央ヨーロッパの小国「アップフェルラント」。主人公の少年ヴェルギール・シュトラウス(ヴェル)は、悪党に監禁されていた少女、フリーダ・レンバッハを助け出したことによって、大冒険に巻き込まれる。
『SFアドベンチャー』(徳間書店)にて、1989年12月号から1990年4月号にかけて連載された。作者の田中芳樹は本作の連載に先立ち、本作のような作品を分類するための定義として「ルリタニア・テーマ」という冒険小説のジャンルを提唱し、これを「近代または現代のヨーロッパ大陸の一角に、架空の小国を設定し、そこを舞台に大冒険をくりひろげるお話」と位置づけている。この呼称はアンソニー・ホープの小説『ゼンダ城の虜』からの着想であるという(詳細は「#ルリタニア・テーマ」を参照)。
あらすじ
登場人物
主要人物
ヴェルギール・シュトラウス
フリーダ・レンバッハ
13歳。ロシア在住のドイツ人少女。両親を早くに失い、化学者である祖父に育てられた。
故人である祖父から、「超兵器」に成り得る鉱石が含有された、オーバーケルテンの鉱山の所有権を受け継いだため、デンマンやノルベルトから狙われることとなる。ヴェルに助けられたことに感謝し、彼との距離を縮めていく。
活発な性格であり、自らオーバーケルテン廃鉱への探検隊に志願している。また、物事の本質を理解することに長けており、ヴェルの本業がスリと知った後も、その信頼を揺るがせることは無かった。レーンホルム博士に出会ったのをきっかけに「女飛行士になる」という夢を抱くようになる。
小説版のカバーや口絵では青色を基調とした服とリボンをつけることが多いが、コミック版やアニメ映画版ではピンク色を基調とした服とリボンを身に着けている。また、アニメ映画版のラストでは、成長して飛行士になった姿が描かれた。
アルフレット・フライシャー
アリアーナ・ヴィシンスカ
27~28歳のポーランド人女性。祖国を分割占領したロシア、オーストリア、そしてドイツの三国を憎んでおり、独立活動のための資金を得るべく、デンマンと組んでフリーダを誘拐する。
ヴェルやフライシャーと一戦交えながらも、オーバーケルテン鉱山の採掘権を示す印章を手に入れ、ノルベルトに高値で売り付け、活動資金を得ようとしたが、印章を奪われ地下室に監禁されてしまう。隙を見て脱出するが、その際フライシャーに助けられたことから奇妙な縁が出来た。
その後、ワレフスキーの自宅に匿われていたが、ドイツ軍侵攻の混乱に紛れてアッチラを救い出すため街に向かうが、ドイツ兵に襲われた所を再びフライシャーに助けられる。そのまま行動を共にし、凶暴化したアッチラに出会い、フリーダを守るためアッチラを射殺した。一連の騒動の終結後、パリへと旅立った。
アップフェルラント王国
カロリーナ・フォン・シュタウピッツ
クラウス・ボイスト
ツェーレンドルフ
ヘルムート・フォン・レーンホルム
ゴッドリープ・フォン・ノルベルト
55歳。アップフェルラント王国の陸軍大臣で、侯爵の爵位を持つ貴族でもある。陸軍での階級は中将であるが、これはアップフェルラント王国の軍隊は小規模なので、大将や元帥の階級が存在しないためである。陸軍大臣の他に陸軍総司令官・王室顧問官・貴族院議員を兼ねている。大の親独派で、アップフェルラント王国はドイツ帝国の一部となるべきと考えており、その実現のため、ドイツ帝国と共謀して様々な工作を行っている。
ドイツ軍と共謀しクーデターを起こすが、デル・ウェンゼ将軍に裏切られ拘束される。隙を付いて屋敷の地下室に逃げ込み、ドイツ兵を襲わせるためにアッチラを檻から出し本能を呼び起こすために自分を襲わせ、アッチラに食い殺される。
コミック版では拘束されることを拒み拳銃自殺した。
副官
警視総監
ワレフスキー
アリアーナ・デンマン一味
ヨーク・デンマン
武器のブローカーとしてウォール街の資本家たちに重宝されているアメリカ人。アリアーナとは打算のための協力関係であり、「独立運動の資金を提供する」とうそぶいて行動を共にしている。傲岸不遜な性格で公使が相手であっても尊大に振る舞うが、わざわざ人目に付くような派手な行動を取ったり、ヴェルに財布を盗まれるなど、やや間の抜けた一面を持つ。
一度フライシャーに逮捕されるが、アメリカ公使館の助力で釈放される。その後、オーバーケルテン廃鉱でヴェルたちと死闘を繰り広げる。廃鉱の中で副官と掴み合いになり転落し脚を折る重傷を負い、ヴェルたちに拘束される。その後、国外追放となった。
アニメ映画版では銃を発砲したことで生じた落盤に巻き込まれ重傷を負う。コミック版ではアッチラに襲われ重傷を負う。
ゴルツ
ドイツ帝国
ウィルヘルム2世
将軍
出版
- 徳間書店 1990年3月 ISBN 4-19-154154-4
- 徳間書店〈徳間文庫〉 1995年2月出版 ISBN 4-19-890271-2
- 解説の代わりに、吉岡平による、吉岡本人が現代のアップフェルラントを訪問した紀行文という趣向のパスティーシュ「シャルロッテンブルク訪問記」が付されている。
- 光文社ハードカバー 2001年11月 ISBN 4-334-92345-3
- 光文社〈光文社文庫〉 2003年11月出版 ISBN 4-334-73584-3
解説の代わりに、吉岡平による、吉岡本人が現代のアップフェルラントを訪問した紀行文という趣向のパスティーシュ「シャルロッテンブルク訪問記」が付されている。
ミュージカル
1991年、OSK日本歌劇団により、近鉄劇場と名古屋で上演された。第64期生初舞台公演。
スタッフ
主な配役
構成
第1幕
第2景 小さな仲間 (音楽:南安雄・橋本允・鞍富真一、振付:中川久美)
第3景 事件 (音楽:南安雄・橋本允・鞍富真一)
第4景 フリーダを探せ! (音楽:南安雄・鞍富真一、振付:大谷盛雄)
第5景 愛国者 (音楽:南安雄・鞍富真一)
第6景 嵐の予感 (音楽:南安雄、振付:中川久美)
第7景 野望 (音楽:南安雄・鞍富真一、振付:矢倉鶴雄)
第8景 幼い夢 (音楽:南安雄・鞍富真一、振付:矢倉鶴雄)
第9景 3つのF (音楽:南安雄)
第10景 謎 (音楽:南安雄、振付:中川久美)
第2幕
第12景 侵略
第13景 博士の大発明 (音楽:橋本允)
第14景 逆転 (音楽:南安雄、振付:大谷盛雄)
第15景 歪んだ憎しみ (音楽:中川昌、振付:矢倉鶴雄)
第16景 剣士の死 (音楽:南安雄)
第17景 別れ (音楽:南安雄・鞍富真一)
第18景 大奇術師 (音楽:中川昌、振付:矢倉鶴雄)
第19景 フィナーレA (音楽:中川昌、振付:矢倉鶴雄)
第20景 フィナーレB (音楽:南安雄・中川昌、振付:大谷盛雄)
漫画
ふくやまけいこの作画で『月刊アニメージュ』に1992年2月号から1992年11月号まで連載された。
- 徳間書店アニメージュコミックス版 1993年1月 ISBN 4-19-773020-9
- 講談社版 2007年3月 ISBN 978-4-06-372264-2
アニメ
1992年10月10日に、90分のOVA作品として発売された。後日の同年12月12日には劇場でも公開されている。
スタッフ
主題歌
「ONE DAY AT A TIME」
声の出演
ルリタニア・テーマ
ルリタニア・テーマは、冒険小説のジャンルの1つとして、田中芳樹が提唱した造語である。ルリタニア・テーマという名前は、アンソニー・ホープの小説『ゼンダ城の虜』に登場する架空の国ルリタニア王国に由来している。
田中は『パステルクラブ』誌1989年春季号において、「ルリタニア・テーマ」という単語を、その年の年末から『SFアドベンチャー』誌での連載を予定していた、20世紀初頭の中央ヨーロッパの小国を舞台にした「題未定の長編」のジャンルを定義するために、『ゼンダ城の虜』から着想を得て自ら「でっちあげた」造語であると説明している。ただし米英においては、『ゼンダ城の虜』の舞台であるルリタニア王国というのは冒険とロマンの王国の代名詞として広く知られており、「ルリタニア・テーマ」に近い概念として「ルリタニアン・ロマンス」という用語も存在している。
なお、田中は同記事で紹介した「題未定の長編」が本作『アップフェルラント物語』であるとは、直接的には明言していない。しかし『SFアドベンチャー』1989年12月号から連載が開始された本作の単行本の巻末には、あとがきと共に『パステルクラブ』1989年春季号の記事がそのまま収録されている。
主なルリタニア・テーマの作品