アマルフィ (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『アマルフィ』(Amalfi)は、真保裕一による日本の小説。題名はイタリアのユネスコ世界遺産・アマルフィ海岸のある町アマルフィより。「外交官シリーズ」の第1作。
概要
真保がプロット作りに参加した2009年のフジテレビ開局50周年記念映画『アマルフィ 女神の報酬』の最初のプロットを基にした作品。
イタリアを舞台として、日本人少女の誘拐に端を発した事件に、日本の外交官・黒田康作が立ち向かう。外務省や大使館の組織内部や官僚批判も鋭く描かれ、キリスト教やイスラム教の宗教観や国際情勢を含んだ、社会問題を絡めたスケールの大きな物語が展開する。また、イタリアならではのバチカン専用列車やユーロスターも登場する。
映画と同じ物語ではなく最初のプロットで執筆したのは、本人いわく「最初のアイデアが気に入っていたので諦めがたかった」とのこと。そのため、映画とは登場人物の設定や物語の展開が大きく異なる。
映画の脚本については、スタッフがロケハンをしてきた資料をもとに話の整合性を整えていくのが真保の役割だったため「一人で書き上げたわけではない」「小説家仲間にこれが自分の脚本だとは思われたくない」との理由で「脚本」という肩書を辞退し、「原作」とのみクレジットされている。最終的に脚本を仕上げたはずのフジテレビの西谷弘監督もなぜか辞退したため、「脚本」のクレジットなしで公開され、物議をかもした。
講談社文庫版で「外交官シリーズ」のシリーズタイトルが付された。
あらすじ
クリスマスが間近に迫ったイタリア・ローマで、1人の日本人少女が誘拐される。
邦人保護担当特別領事として外務省職員の黒田は協力を申し出る。黒田とは逆になるべく関わらずに済ませたい腰の重い日本大使館(イタリア語版)の職員。娘の危機に動転する母・紗江子。身代金の受け渡しの場所に犯人が指定してきたのは、ローマから遠く離れたアマルフィ。だが、金の受け渡しは失敗に終わり、少女は戻らない。
紗江子が掴んだ情報を元に、黒田は独自に調査を進めていく。そして、犯人の真の狙いが判明していく。
登場人物
黒田 康作(くろだ こうさく)
矢上 紗江子(やがみ さえこ)
西野 利明(にしの としあき)
川越 亘(かわごえ わたる)
映画版との相違点
本作は映画版の初期プロットを元にしているため、映画版と設定や展開が大幅に違う。
- 主人公の黒田康作の肩書は、映画では駐イタリア日本大使館一等書記官である。
- 矢上紗江子の職業は、映画では元看護師である。
- バルトリーニの肩書は、映画では地方警察であるローマ市警の警部であるが、アマルフィの捜査も担当する。
- 映画では光永鞠子、紗江子の上司のアンソニー・ハーディング、イアン・ルージンと彼にまつわる話などは登場しない。
- 映画では紗江子の娘が目に障害を持っている。
- 映画では武藤暁彦、今村直也、田宮一正公使やイタリア人運転手のロレンツォは登場しない。
- 映画では紗江子の知人にロンドンに勤務する商社マン藤井昌樹が登場する。
- 映画では黒田と旧知の間柄のフリーライター佐伯章悟が登場し、黒田に事件に関連する情報をいろいろ提供する。
- 本作の冒頭のギリシャでの話は、映画では登場しない。
- 娘を誘拐した場所が本作ではホテルであるが、映画では美術館である。
- 警備会社で警備システムを乗っ取るのは、本作では警備会社契約社員の光永鞠子だが、映画では矢上紗江子。
- 外務大臣川越亘は、本作では日伊共同開発事業の調印式でイタリアに訪問するが、映画ではクリスマスだがローマで開かれるG8外務大臣会合へ出席するため。また、日本大使館で軍事政権が実質支配するバルカニア共和国(ストーリー上でのみ存在する、実在しない国)への政府資金援助のための会見を開く。
- アマルフィへ向かう移動手段が、本作ではユーロスターだが、映画ではレンタカー。
- 本作でコンサートで歌う歌手が、映画ではサラ・ブライトマンになっている。
- 事件の目的が、本作ではチェチェン虐殺を指揮したロシア外相の暗殺であるが、映画で狙われるのは、虐殺をしたバルカニア共和国の軍事政権ではなく、そこに資金援助をした川越亘である。
- 本作で描かれるバチカン専用列車での銃撃戦が、映画では日本大使館の占拠である。
- 本作で描かれるチェチェン紛争の話は、映画では架空の国での軍事政権の虐殺になっている。
- 本作で“ルーク”と“ビショップ”の実行する犯行計画名「アマルフィ」が、映画では登場せず、映画での犯行計画名にアマルフィの名は付いていない。
- 映画で登場する藤井昌樹は愛する妻の復讐のために犯行を決起するが、なぜか紗江子に好意を寄せ、同行する黒田に嫉妬する。
- 映画では黒田と紗江子が同じホテルの部屋に泊まる。
- 映画では事件解決後に黒田と紗江子がアマルフィ海岸に行き、紗江子が黒田の連絡先を聞こうとして断られるシーンがある。
- 映画では事件解決後に黒田は空港でバルトリーニに見送られ、その際、唐突に「うちで働かないか」と誘われるが断るシーンがある。
書誌情報
- 真保裕一『アマルフィ』 (上製本、扶桑社、2009年4月30日発行) ISBN 978-4-59-405938-5
- 真保裕一『アマルフィ』 (新書版、講談社ノベルス、2010年11月3日発売) ISBN 978-4-06-182751-6
- 真保裕一『アマルフィ 外交官シリーズ』 (講談社文庫、2013年1月16日発売)ISBN 978-4-06-277449-9