アルルカンと道化師
以下はWikipediaより引用
要約
『アルルカンと道化師』(アルルカンとどうけし、ARLEQUIN et PIERROT)は、池井戸潤による日本の経済小説。2020年9月17日に単行本が講談社より刊行された。
半沢直樹シリーズの第5作目で、時系列的にはシリーズ第1作『オレたちバブル入行組』の前日譚にあたる。半沢が東京中央銀行大阪西支店へ赴任して間もない頃に起こった美術出版社の買収案件に端を発する物語。
Audibleにてオーディオブックが書籍発売と同日に、吉田健太郎の朗読で配信された。
あらすじ
西大阪スチールに対する5億円の債権回収騒動が起こる前年、東京中央銀行東京本部の審査部調査役として辣腕をふるっていた半沢直樹は、業務統括部長の宝田信介と事ある毎に対立し揉め事を起こしていた。だが、半沢は毎回のように宝田を論破したことで、彼の反感を買う羽目になり僻地へ異動させられる圧力を掛けられたことから、人事部の計らいでほとぼりが冷めるまでの間、大阪西支店の融資課長として異動することになる。
大阪西支店に赴任して1ヶ月経った9月の月初め、半沢は支店長の浅野匡経由で大阪営業本部の伴野篤からオファーを掛けた企業名を伏せられたまま、大阪西支店の取引先である老舗美術出版社・仙波工藝社の買収案件の交渉の場に同行してほしいと要請を受け、伴野を伴い仙波工藝社を訪問する。
伴野は「他社の傘下に入れば資金繰りに困ることもないだろう」と、社長の仙波友之や彼の妹ハルたちの足元をみて脅迫じみたやり口で買収話を切り出す。伴野の失礼な申し出に仙波社長は買収話を拒否し、半沢は伴野の非礼をすぐさま謝罪するが、買収の話に含みを持たせたまま伴野がその場を引き上げたことで、交渉は一旦終了する。
後日、半沢は同期の渡真利忍から、仙波工藝社の買収オファーを掛けたのは新進IT企業・ジャッカルであると伝え聞く。IT企業と美術出版社という関連性のなさそうな企業間の買収案件を半沢は不思議に感じるが、ジャッカルの社長・田沼時矢が世界的に有名な絵画コレクターであったことから、美術に関連した買収話であるとも思われたが、大阪営業本部に探りを入れた渡真利に確認しても、なぜ負債を抱える美術出版社を買収しようとしているのか真意は掴めず、謎のままであった。
仙波社長が買収に応じる意思がないことを確認した半沢は、資金繰りに苦しむ仙波工藝社を救済すべく仙波工藝社の融資担当である融資課の新人・中西英治や課長代理の南田努らと、二億円の融資の稟議を作成し承認を待つ。しかし、大阪営業本部からは仙波工藝社が5年前にある会社の計画倒産に加担した疑惑があることを理由に稟議が突き返される。
稟議が突き返されたその裏には、東京中央銀行の重要取引先であるジャッカルの社長・田沼が熱望する仙波工藝社の買収話を、何としてでも成立させようとする大阪営業本部副部長の和泉康二と彼の同期入行の仲間・宝田、大学の後輩にあたる浅野たちが結託して圧力をかけて稟議を突き返させ、資金繰りに困った仙波工藝社が買収話に応じるように仕向ける動きがあった。
半沢たちは仙波工藝社に赴き、融資の拒絶理由である5年前の計画倒産への関与疑惑を仙波社長に確認することとなる。
今回の不審な美術出版社の買収話の秘密は、今は亡きモダンアート界の寵児・仁科譲の代表的なモチーフ「アルルカンとピエロ」が握っていた。
登場人物
主人公と親友
半沢直樹(はんざわ なおき)
渡真利忍(とまり しのぶ)
東京中央銀行
大阪西支店
四ツ橋筋と中央大通りが交差する大阪市内の一等地に立地している。月初めに銀行ビル屋上にある土佐稲荷神社から分祀された東京中央稲荷に稲荷参拝することが習わしとなっている。
江島浩(えじま ひろし)
大阪営業本部
和泉康二(いずみ こうじ)
東京本部
岸本真治(きしもと しんじ)
宝田信介(たからだ しんすけ)
杉田(すぎた)
仙波工藝社
売上高50億円ほどの創業から百年近く続く一族経営の老舗美術出版社。建築やデザインの専門誌の発刊や、美術館などでの特別展示会やイベントの企画など、芸術分野とその周辺事業に根ざした業態だが、出版不況の煽りを受け資金繰りに苦しんでいる。
仙波ハル(せんば ハル)
ジャッカル
大阪の人々
堂島政子(どうじま まさこ)
本居竹清(もとおり たけきよ)
アート界の関係人物
仁科譲(にしな じょう)