アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
以下はWikipediaより引用
要約
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(アンドロイドはでんきひつじのゆめをみるか、原題: Do Androids Dream of Electric Sheep?)は、フィリップ・K・ディックによるアメリカ合衆国のSF小説。1968年にダブルデイ(Doubleday)から出版された。人間とアンドロイドとの区別や両者の関わりが中心的な主題となっている。
日本では、浅倉久志による日本語訳が、早川書房のハヤカワ・SF・シリーズより1969年(昭和44年)に初出版、ハヤカワSF文庫より1977年に出版、改訳され1994年に出版された。
概要
第三次大戦後の未来、サンフランシスコを舞台に賞金稼ぎのリック・デッカードが、火星から逃亡してきた8体のアンドロイドを「処理」するというあらすじ。電気動物やムードオルガン、マーサー教などディック独自の世界観の上に描かれている。この世界では自然が壊滅的打撃を受けているために、生物は昆虫一匹と言えども法によって厳重に保護されている。一方で科学技術が発達し、本物そっくりの機械仕掛けの生物が存在している。そしてその技術により生み出された人造人間は感情も記憶も持ち、自分自身ですら自分が機械であることを認識できないほどのものすら存在している。主人公は、他者への共感の度合いを測定するテスト「フォークト=カンプフ感情移入度測定法」によって人造人間を判別し、廃棄する賞金稼ぎである。この世界での生物は無条件の保護を受ける一方で、逃亡した人造人間は発見即廃棄という扱いとなっており、主人公のような賞金稼ぎの生活の糧となっている。
題名は、一見すると奇妙な問いかけの形式がとられている。主人公は人造人間を処理していく中であまりに人間らしい人造人間と出会ったため、両者の区別を次第に付けられなくなってゆく。「人間とは何か?」「人間と人工知能(アンドロイド)との違いは?」、作品の根源的な思想を素朴な問いかけに集約した、主人公のこの一言が、そのまま本作品の題名となっている。
また特徴のある邦題は、「アンドロイドは電気◯◯の夢を見るか?」や「◯◯は△△の夢を見るか?」といった体裁の数多くのパロディを生んだ。
あらすじ
主人公のリック・デッカードは、サン・フランシスコ警察署に所属していて、逃亡アンドロイドを「処理」するバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)である。妻とともに暮らしているが、夫婦仲はあまりよくない。自室の在るビルの屋上に、ロボット羊(タイトルにある、いわゆる電気羊)を飼っているが、本物の羊を持つまでの経済力は、未だ無い。
デッカードは警察署で、8人のアンドロイドが火星脱走して地球に侵入し、2人はサン・フランシスコ警察署主任のデイヴ・ホールデンにより処理されたが、残った6人の一人マックス・ポロコフがデイヴ・ホールデンに重傷を負わせ、逃走しているというニュースを知らされる。ハリイ・ブライアント警視は、部下であるデッカードに残りの6人の処理を命じる。
デッカードは、逃走したアンドロイドたちに搭載されていたネクサス6型脳ユニットを開発したシアトルのローゼン協会を訪問し、重役のエルドン・ローゼンの姪、レイチェル・ローゼンに、フォークト=カンプフ感情移入度検査法で試験を行う。デッカードは、レイチェルがアンドロイドであり、ネクサス6型脳ユニットが装着されていることを見破る。
再びサン・フランシスコに戻ったデッカードは、捜査を始める。ポロコフがいたという住居に入ると、世界警察機構所属のソ連の刑事サンドール・カダリイを名乗る男が、デッカードに近づいて来る。しかしその正体は、逃走したアンドロイドのマックス・ポロコフであった。殺されかけたデッカードは、レーザー銃でポロコフを射殺する。
サン・フランシスコ歌劇団に所属し、この日はモーツァルトの歌劇『魔笛』に出演しているソプラノ歌手ルーバ・ラフトを訪問したデッカードは、彼女に検査を行おうとして逆に変質者とみられ、警察のクラムズ巡査に連行される。見たことも無い建物に着くと、そこでガーランド警視に引き合わされる。警視は、部下の賞金稼ぎフィル・レッシュを呼ぶが、彼は、上司のガーランド警視が実はアンドロイドである事を見抜いて、警視を射殺する。デッカードとフィル・レッシュは、ルーバ・ラフトを追跡して、美術館で発見し、射殺する。
アンドロイドに対するフィル・レッシュの言動から、彼をアンドロイドではないかと疑ったデッカードは、フォークト=カンプフ感情移入度検査法で試験を行うが、結果は人間であった。
アンドロイド3体分の賞金3,000ドルを手にしたデッカードは、それを頭金に本物の山羊を購入して帰り、妻・イーランに誇らしげにお披露目する。
ジョン・イシドアは模造動物修理店の集配用トラックの運転手。知能が弱く、特殊者(スペシャル)として、廃墟のビルに一人きりで住んでいる。同じビルに、プリス・ストラットンと名乗る女性が住み着き、ジョンと親しくなっていく。実はプリス・ストラットンは逃亡してきた8人の一味で、レイチェル・ローゼンと同型の女アンドロイドであった。
プリスの住居に、ロイ・ベイティーとアームガード・ベイティーという夫婦のアンドロイドが同居する。ベイティー夫妻の夫、ロイ・ベイティーが、脱走した8人のアンドロイドのリーダーであった。ジョン・イジドアは3人がアンドロイドと知らされるが、孤独だった彼は受け入れ、その上匿おうとする。
デッカードは、残った3人のアンドロイドの居場所を遂に特定する。レイチェル・ローゼンに止められたものの、廃墟のビルに突入したデッカードは、激しい戦闘の末、階段でプリス・ストラットンを射殺し、部屋の中でロイ・ベイティーとアームガード・ベイティー夫婦を射殺する。
史上初めて、一日で6体ものアンドロイドを倒したデッカードは、疲労困憊して家に帰る。すると妻・イーランから、彼の留守中にレイチェルがやって来て、彼の山羊を屋上から転落死させた、と知らされる。 その後デッカードは荒野を流離いヒキガエルを拾うも、結局家で電気カエルと判明。しかしそれでも家で飼うことになり、消沈した彼の就寝後妻が手入れをするのだった。
登場人物
用語
ペンフィールド情調オルガン
適格者(レギュラー)
特殊者(スペシャル)
マーサー教
共感(エンパシー)ボックス
バウンティ・ハンター
フォークト=カンプフ感情移入(エンパシー)度検査法
ネクサス6型脳ユニット
ローゼン協会(シアトル)
シドニー社
生きた動物のカタログを発行。
受賞
- 1968年 ネビュラ賞にノミネート
- 1998年 ローカス賞 (All-Time Best SF Novel before 1990)
映画化
- 『ブレードランナー』(1982年、監督:リドリー・スコット、主演:ハリソン・フォード)
- 原作の物語の内容を大幅に脚色したもので、主人公・デッカードが次第に自身の仕事(アンドロイドを処分する仕事)に疑問を持ちはじめる点などは共通するものの、人造ペット「電気羊」なども登場せず、小説の登場人物が割愛されていたり、設定も異なるところもあり、別作品に近いものとなっている。
- この映画をきっかけに、亡きディックの知人だったK・W・ジーターが続編小説『ブレードランナー2 レプリカントの墓標』(Blade Runner 2: The Edge of Human)を1995年に発表し、翌1996年には『ブレードランナー3 レプリカントの夜』(Blade Runner 3: Replicant Night)、2000年には『ブレードランナー4』(Blade Runner 4: Eye and Talon)を発表した。
- 原作の物語の内容を大幅に脚色したもので、主人公・デッカードが次第に自身の仕事(アンドロイドを処分する仕事)に疑問を持ちはじめる点などは共通するものの、人造ペット「電気羊」なども登場せず、小説の登場人物が割愛されていたり、設定も異なるところもあり、別作品に近いものとなっている。
- この映画をきっかけに、亡きディックの知人だったK・W・ジーターが続編小説『ブレードランナー2 レプリカントの墓標』(Blade Runner 2: The Edge of Human)を1995年に発表し、翌1996年には『ブレードランナー3 レプリカントの夜』(Blade Runner 3: Replicant Night)、2000年には『ブレードランナー4』(Blade Runner 4: Eye and Talon)を発表した。
- 『ブレードランナー 2049』(2017年、監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ、主演:ライアン・ゴズリング)
- 上記映画の続編。ハリソン・フォードも伝説のブレードランナーとして登場。
- 上記映画の続編。ハリソン・フォードも伝説のブレードランナーとして登場。
書誌情報
- 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 浅倉久志訳、早川書房ハヤカワ・SF・シリーズ3223、1969年6月
- 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 浅倉久志訳、ハヤカワ文庫SF229、1977年3月。新版刊