カルバニア物語
以下はWikipediaより引用
要約
『カルバニア物語』(カルバニアものがたり)は、TONOによる日本の漫画作品。徳間書店の漫画雑誌『Chara』で連載中。
概要
1993年に徳間書店の『Noel』誌に、短編ファンタジーのシリーズの一編として掲載され、その後同じ世界観に基づいた作品が発表され徐々に連作としての形を取り始めていった。翌1994年、隔月刊漫画雑誌『Chara』の創刊に伴って同誌に移行し正式に『カルバニア物語』と銘打って連載が開始された。フェミニズムをテーマにし「非常に政治的に公正で、ユーモラスで、マイノリティへの配慮が行き届いている」こと、作家が同人誌出身であるという共通項から、しばしばよしながふみの『大奥』と比較されることもあるが、主にBL作品を掲載するマイナー雑誌で連載されていることや、刊行速度の遅さもあり、『大奥』ほどの知名度はない。
カルバニア王国の若い国王が亡くなり、急遽即位した十代の女王タニアと、父の跡を継いで初の女公爵になることを目指す男勝りな公爵令嬢エキュー・タンタロットをメインキャラに、二人が慣習や常識と奮闘しながら少しずつ女性の地位と権利を確立していく様を描く連作マンガ。一つ一つのエピソードは比較的短い。現在の時間軸の二人のストーリーに加え、幼少期や、カルバニア王国と周辺国の関係者が主役の話もあり、現在も『Chara』誌で連載中である。
王族と貴族が支配者の社会であるため、中世ヨーロッパ的な世界ととらえられがちだが、国際情勢は安定しており、戦争を匂わせる描写はない。各国の物・人・金の交流が急増する時代として描かれており、中世から商売と外交で勝負をする近世への過渡期のようなイメージで描かれている。
軽やかでコミカル、繊細なフェミニズム・ファンタジー作品で、女性だけでなく男性からの評価も高く、「それぞれに意見も価値観も違う複数の人物を公正に描こうとする寛容さが、この作品の最大の魅力」と評されている。また、主要キャラに若い女性が多く、作品世界に現代のような生理用品がまだ存在しないこともあり、生理に関するエピソードも多い。
あらすじ
主な登場人物
主人公
エキュー・タンタロット
カルバニア王国に2つある公爵家の一方「タンタロット家」の息女。公爵令嬢にして跡継ぎ。女王タニアの乳姉妹で幼馴染。母がエキュー出産時に亡くなり、父が後添いを貰うのを拒否したため、長く一人っ子として育つ。
金髪碧眼で美貌の持ち主だが、幼少期から活発で喧嘩好きであり、自分らしさを貫く人物として描かれている。成長してからも、普段は男装し活発に駆け回っている。喧嘩と剣は強いが、弓の腕はひどい。動きにくいドレスが苦手だが、必要な時には着飾って社交を行う。クロスチアで教育を受け、公爵になることを強く望み努力してきた。保守的でエキューの爵位継承に反対していたタキオ・バスクからも、「公正で勇気があって努力家」と評される。
幽霊などのオカルトが大の苦手。胸が全くないのがコンプレックス。かわいい女の子が好きだが、同性愛者ではない。恋愛に興味がなかったが、急に恋愛熱が盛り上がり、子供時代に因縁のあったライアン・ニックス公爵と恋人同士になった。だが、結婚願望はまったくない。STORY48でタンタロット公爵家を継承し、王国初の女公爵となる。
タニア・カルバニア
カルバニア王国第21代国王にして初めての女王。即位時はまだ16歳であった。若い女君主として苦労しつつ、悩みながらも持ち前の明るく前向きな性格で乗り切っている。過酷だった幼少期から、家族への愛情が深いと同時に、それに溺れない大局的視点を持ち、誇り高く意志が強い人物として描かれている。母親の命を救う代わりに、自ら王室から追放した過去を持つ。
エキューとは乳姉妹かつ幼馴染みであり、女王となった現在でもプライベートでは気の置けない女友達として親しく付き合っている。両親を失い支え手がないことを心配され、公爵家のライアンと引き合わされ、父や兄のような存在として慕っている。
セピア色の髪に暗いみどりの瞳、Dカップ巨乳の持ち主で、美貌で知られた母に似ている。結婚に関しては非常に冷めており、女王の仕事の一つと割り切ろうとしていたが、ナジャルが原因で自分が心を許せる人間でないと駄目だと思い直した。ほとんどの人間に寛容でフレンドリーだが、エキューを慕う美女アナベルとは仲が悪い。
カルバニア王国の人々
カルバニア王家関連
リカルド・カルバニア
プラティナ・カルバニア
リカルド王の正妃で、「世界一美しい」と言われていた。その美貌から13歳で王妃となり、14歳でタニアを出産する。夫のリカルドに恋していたが、娘のタニアは「母の片思い」と評している。若くして思いもよらず王妃になったこともあり人間的に未熟で、浪費が激しく、夫の愛情や男子の跡取りに恵まれない不安から、だんだんとオカルトに傾倒していき、周囲に苦々しく思われていた。リカルドの死の際にトラブルを起こして処刑されかかるが、タニアの手腕により他国に追放されることで極刑を逃れた。長らく消息不明だったが、クロスチアで「カルチェ・シュート」(後述の#クロスチアの人々参照)と名前を変え、一人の女性として生き直し再婚していた。
ナジャル・フラコス・カルバニア
スプーナの息子。正妃ではなく愛人との間の子で、タニアとは同い年。幼い頃は利発で美形だったため、リカルド王の再来になるのではと期待されたが、8歳の時に落馬し、脚に怪我をして以来、中央からは離れて暮らしていた。10年ぶりに戻り、ライアンの後釜(教育係兼結婚相手候補)としてタニアの家庭教師となるが、タニアに不埒を働いたため、これは2回で終了する。複雑な家庭環境と不自由な脚が原因で性格はかなり捻くれているが、王族としては色々と有能。タニアと近しくなり、彼女に惹かれたことで徐々に考え方や性格が変わっていっている。人知れず脚の治療に耐えているが、努力していることを人に知られるのが嫌いなため公言していない。幽霊が出る古い離宮に住んでいる。
スプーナ・フラコス・カルバニア
タンタロット公爵家関連
カイル・タンタロット
ハニー・ハットン伯爵夫人
ナタリー・ホーン
ニックス公爵家関連
ライアン・ニックス公爵
カルバニア王国でタンタロット公爵家と並ぶ、ニックス公爵家の若き当主。華やかで人目を惹く美貌と豊かな赤毛の持ち主。娼婦との間に息子(早逝)がいたが、父親が隠していたため本人は知らなかった。
愛のない政略結婚の両親から愛情を感じることなく育ち、自身も過去に女性関係のトラブルに巻き込まれたことから、女嫌いで人嫌いであり、若いときは退廃的な少年愛者として知られていた。幼少のエキューに出会い、あるがままを貫く姿に衝撃を受けプロポーズした。その後、成長したエキューと無事両思いになり、恋人同士に。
エキューがクロスチアに留学していた時に、タニアの教育係(兼夫候補)として親しく過ごし、精神的にも支えになっていた。タニアに近づくコンラッド王子やナジャルを敵視しているが、これは恋愛感情ではなく、タニアとは父娘や兄妹のような関係でお互いを大切に思っている。ライアンはあくまでもエキューのことを好いており、結婚したいと考えている。そのためエキューの公爵就任にも、結婚が困難になるという理由から反対していた。
バスク領関連
タンタロット公爵家領。
タキオ・バスク
フラン・バスク
リアンダ・パルセット
カフ・スタン・ストーク
ホルグ領関連
その他
ロプス・ダゴル
ハイゼン侯爵
パーマー王国の人々
コンラッド・パーマー
ミネルバ・パーマー
フレイア・パーマー
クロスチアの人々
ビス・シュート
カルチェ・シュート
書誌情報
- TONO 『カルバニア物語』、 徳間書店〈キャラコミックス〉、既刊20巻(2022年12月23日現在)
- 1995年6月23日発売、ISBN 4-19-960002-7
- 1996年8月24日発売、ISBN 4-19-960027-2
- 1997年10月25日発売、ISBN 4-19-960052-3
- 1998年10月24日発売、ISBN 4-19-960083-3
- 2000年1月25日発売、ISBN 4-19-960118-X
- 2001年4月25日発売、ISBN 4-19-960155-4
- 2002年8月24日発売、ISBN 4-19-960196-1
- 2003年8月25日発売、ISBN 4-19-960229-1
- 2004年12月25日発売、ISBN 4-19-960270-4
- 2005年12月24日発売、ISBN 4-19-960305-0
- 2007年8月25日発売、ISBN 978-4-19-960353-2
- 2009年10月24日発売、ISBN 978-4-19-960419-5
- 2010年10月25日発売、ISBN 978-4-19-960456-0
- 2012年8月25日発売、ISBN 978-4-19-960523-9
- 2013年12月25日発売、ISBN 978-4-19-960574-1
- 2015年8月25日発売、ISBN 978-4-19-960643-4
- 2017年8月25日発売、ISBN 978-4-19-960727-1
- 2019年3月25日発売、ISBN 978-4-19-960786-8
- 2020年5月25日発売、ISBN 978-4-19-960831-5
- 2022年12月23日発売、ISBN 978-4-19-960927-5