ガフールの勇者たち
以下はWikipediaより引用
要約
『ガフールの勇者たち』(ガフールのゆうしゃたち、Guardians of Ga'Hoole)は、アメリカ合衆国の作家キャスリン・ラスキーによる、フクロウ世界の冒険と戦いを描いたファンタジー小説。全15巻、外伝3冊。
概要
2003年~2008年、Scholastic Press社より発行。表紙イラストは Richard Cowdrey。アメリカ国内では500万部を突破している。
日本語訳はメディアファクトリーから発行されている。訳者は食野雅子(めしの まさこ、本編)、中村佐千江(エピソード0、特別編)。挿絵は有田満弘。
2005年にワーナー・ブラザースが映画化権を取得、第3巻までの物語を基にしたフルCGアニメ映画が制作された。VFX制作は『ハッピー フィート』を手がけたアニマル・ロジックが担当。『300 〈スリーハンドレッド〉』のザック・スナイダーが監督として起用され、2010年9月24日に劇場公開された(日本公開は同年10月1日)。邦題は小説と異なり『ガフールの伝説』になっている。
シリーズ一覧
本編
- 第1巻 悪の要塞からの脱出 ISBN 978-4840115803
1: The Capture ISBN 978-0439405577
- 第2巻 真の勇気の目覚め ISBN 978-4840117517
2: The Journey ISBN 978-0439405584
- 第3巻 恐怖の仮面フクロウ ISBN 978-4840118149
3: The Rescue ISBN 978-0439405591
- 第4巻 フール島 絶体絶命 ISBN 978-4840118859
4: The Siege ISBN 978-0439405607
- 第5巻 決死の逃避行 ISBN 978-4840120951
5: The Shattering ISBN 978-0439405614
- 第6巻 聖エゴリウス 運命の戦い ISBN 978-4840121996
6: The Burning ISBN 978-0439405621
- 第7巻 宿命の子 ナイロック ISBN 978-4840123631
7: The Hatchling ISBN 978-0439739504
- 第8巻 〈新しい王〉の誕生 ISBN 978-4840126106
8: The Outcast ISBN 978-0439739511
- 第9巻 「ガフール伝説」の誕生 ISBN 978-4840134637
9: The First Collier ISBN 978-0439795685
- 第10巻 「ガフール伝説」と炎の王子 ISBN 978-4840135221
10: The Coming of Hoole ISBN 978-0439795692
- 第11巻 「ガフール伝説」と真実の王 ISBN 978-4840136549
11: To Be a King ISBN 978-0439795708
- 第12巻 コーリン王 対決の旅 ISBN 978-4840138468
12: The Golden Tree ISBN 978-0439888066
- 第13巻 風の谷の向こうの王国 ISBN 978-4840139663
13: The River of Wind ISBN 978-0439888073
- 第14巻 神木に迫る悪の炎 ISBN 978-4840143158
14: Exile ISBN 978-0439888080
- 最終巻 〈炎の石〉を賭けた大戦 ISBN 978-4840145138
15: The War of the Ember ISBN 978-0439888097
外伝
2015年3月現在、3冊発行されている。2015年4月にオツリッサを語り手にした短編集「失われた6つの物語」が日本語訳で発行された。
- A Guide Book to the Great Tree ISBN 978-0439931885
- 特別編 失われた6つの物語 ISBN 978-4040676036
Lost Tales Of Ga'Hoole ISBN 978-0545102445
- エピソード0 はじまりの物語 ISBN 978-4040667232
The Rise of a Legend ISBN 978-0545509787
あらすじ
とある時代、とある場所。はるか昔に地球上を支配していた異生物たちは既に滅び去り、フクロウたちが高度な文化を育む世界の物語。
メンフクロウのソーレンは、ティト森林王国で家族と暮らしていたが、ある日、何者かによって巣から蹴り落とされ、聖エゴリウス孤児院に連れ去られてしまう。そこでは、さらわれてきた数百羽もの子フクロウが「月光麻痺」と呼ばれる催眠術にかけられ、奴隷のように働かされていた。ソーレンは、小さなサボテンフクロウのジルフィーと共に、月光麻痺から逃れ、命がけの脱出を図る。
自由を取り戻したソーレンとジルフィーは、故郷に戻って家族を探すが、巣は既にもぬけの殻だった。しかも、偶然再会したメクラヘビの家政婦ミセス・プリサイバーから、ソーレンは自分を蹴り落とした者の正体と、妹のエグランタインが拉致されたことを知らされ、大きな衝撃を受ける。帰る場所を失ってしまった2羽と1匹は、同じように孤児となったカラフトフクロウのトワイライト、アナホリフクロウのディガーと共に、伝説の地・フール島を目指す。その島にある「ガフールの神木」では、「ガフール伝説」に語られる伝説の王・フールの志を受け継ぎ、世の中の悪を正し、弱きを助け正義を守る「ガフールの勇者たち」が住むと言い伝えられていた。
苦難の末にフール島にたどり着き、ガフールの神木に温かく迎えられたソーレンたちは、さまざまな知識や技術を学び、ガフールの勇者になるための訓練を重ねていく。
登場キャラクター
主要キャラクター
ソーレン(Soren)
主人公。ティト森林王国出身のメンフクロウ。雛の頃に何者かに巣から蹴り落とされ、聖エゴリウス孤児院に連れ去られてしまう。
メンフクロウ特有の鋭い聴覚と視力を持つ。また、夢を通して未来を予見し、見ていないものを知る能力(夢視力)を持っている。
聖エゴリウス孤児院脱出後はガフールの神木へと行き着き、気象班とファイアキャッチ班の二重任務になる。
後にペリモアとつがい(夫婦)になり、3羽のメスの子フクロウ(ブライズ・バーシャ・ベル)の父親になる。
聖エゴリウス孤児院内では十二ノ一号という番号名をもらい、ペリットリウム、孵化室、エッグリウムに配属された。月光麻痺の回避方法や睡眠行進のカラクリを見破るなど頭の良い一面もある。
ソーレンの家族
ガフールの勇者(Guardians of Ga'Hoole)
伝説の王・フールの高潔な精神を受け継ぎ、弱きを助け、世の中の悪を正す正義の代行者たち。フール島にある「ガフールの神木」と呼ばれる大樹で共同生活を営んでいる。厳しい規則や種類による差別が一切なく、さまざまな種類のフクロウたちが自由に知識や技術を学んでいる。また、家政婦やハープ演奏家として大勢のヘビたちも一緒に暮らしている。
聖エゴリウス孤児院(St. Aegolius Academy for Orphaned Owls)
聖エゴリウス峡谷を本拠地とする孤児院。大勢の子フクロウや卵を誘拐し、奴隷のように働かせている。不思議な力を持ったかけらを大量に収集している。
純血団(The Pure Ones)
メンフクロウ属(ティト)による世界征服をもくろむ選民主義的な武装集団。「ティト・アルバ」と呼ばれるメンフクロウを筆頭に、純血度に基づき、種類によって位階が厳しく定められている。世界征服の最大の障害であるガフールの勇者たちや、聖エゴリウス孤児院と何度も激しい抗争を繰り広げている。
その他キャラクター
ガフール伝説(Legend of Ga'Hoole)
フクロウ世界に遍く伝わっている伝承の一つ。はるか昔、フクロウたちに火を使うこと、正義を守ることを教えた伝説の王・フールの物語。黄金の王冠こそかぶっていなかったものの、フクロウたちは彼を王とみなし、敬ったという。彼が世を去った後も、その高潔な精神と志は「ガフールの勇者」たちによって現在も受け継がれている。なお、「ガフール伝説」とフールの生涯を記した「いにしえの書」については、シリーズ本編9巻~11巻で詳しく描かれている。
登場キャラクター
フール(King Hoole)
炎視力の持ち主でガフールの神木の創始者でもある。少々頑固だが、両親に似て前向きで好奇心旺盛な性格。
月食の夜、古い年が新しい年に変わる瞬間に特別な力を持って生まれ、最果ての地で燃える石を拾い上げてフクロウたちの王となる。
燃える石の所有者となったが、石の力に依存することはなく、あくまでも自らの理性と行動をもって国を治めた。
グランク(Grank)
炎視力の持ち主で戦闘は得意ではないが、知識と交渉術によって国王ラースを補佐してきた。密かに王妃シブに思いを寄せており、誰ともつがわず生涯を独り身で通した。初代ファイアキャッチ班リーダーであり、「いにしえの書」第一巻の著者。
ラース(King H'rath)
自らの身に危険が迫っているのを察知し、親友のグランクに卵を託すよう、シブに言い残した。
シブ(Queen Siv)
セオ(Theo)
グランクの第一の弟子で、フールにとっては兄弟子にあたる。フクロウ世界初の鍛冶でもあり、戦闘爪を始めとした武具やさまざまな道具を発明した。初代鍛冶班リーダーで、「いにしえの書」第二巻の著者ではないかと推測されている。
後年、中の国に渡り、求道院の初代大師(The First H'ryth)となった。また、「和をもって制す」の精神に基づき、武器を使わない武術「ダンヤー」を考案した。
フィニアス(Phineas)
フェンゴ(Fengo)
ナマラ・マクナマラ(Namara MacNamara)
スベンカ(Svenka)
スノーローズ(The Snow Rose)
後にガフールの初代歌姫となり、その役目を代々引き継ぐプロンク家の始祖となった。
ストリクス・ストルマイエン(Strix Strumajen)
つがいの相手のストリクス・ハースウェル(Strix Hurthwell)を戦争で亡くしている。
エメリラ(Emerilla)
後にフールとつがいになり、ガフールの初代王妃となった。
アリン(Lord Arrin)
ペンリック(Penryk)
プリーク(Pleek)
イグリク(Ygryk)
クリース(Kreeth)
「燃える石」を欲しており、そのために自ら造り出した変身フクロウのラッタをガフールの神木に送り込んだ。
ラッタ(Lutta)
行方不明になったエメリラに変身し、ガフールの神木に忍び込むが、そこで出会ったフールに一目惚れしてしまう。
ストリクス・エメリラ(Strix Emerilla)
外伝
エピソード0 はじまりの物語
ライズ(Lyze)
モス(Moss)
ソーラ(Thora)
リリアム
ビリリック
イフガー
グラッグ
特別編 失われた6つの物語
フリン(Flinn)
つがいの相手を亡くし男手一つでひとり娘を育ててきたが、彼女の賢さを悪事に利用されるのを良しとせず、あえて故郷から追い出し神木に行くように命じた。第2話に登場。
ソールとトリクシー(Saul & Trixie)
クレイモア(Claymore)
クラーカー一族の後継者として生まれるが、武術や飛行術に優れる弟とは対照的に学問や芸術に秀でていた。第6話の主人公。
関連用語
- 砂嚢(さのう、gizzard)
鳥の胃袋。フクロウたちの間では、様々な感情や直感、強い精神力「ガー」(Ga')が砂嚢に宿ると信じられている。
- グロー(Glaux)
フクロウ世界において、神のように崇められる存在。全てのフクロウの祖先であるという。
クマやオオカミにも同様の存在があり、それぞれ「大アーサ」(Great Ursa)、「ルーパス」(Lupus)と呼ばれる。
- 月光麻痺(げっこうまひ、moon blinked)
月光を用いた催眠術(マインドコントロール)の一種。これにかかると自我を失い、自分が誰であるのか分からなくなってしまう。
- 異生物
はるか昔、高度な文明を築き、地球を支配していた生物。現存している動物たちと全く違う姿をしており、火を使うこともできたという。
既に地上から滅び去ってしまっているが、彼らが建造した城や教会などの建築物や使っていた品物の一部は現在でも残されている。
- ファイアキャッチャー(collier)
山火事や火山の噴火の中に飛び込み、火種となる燃えさしやボンクと呼ばれる石炭などを採取する技術を持った者。
高度の飛行術と気象学の知識が必要とされるため、誰にでもなれるものではない。ガフールでファイアキャッチ班(気象班との二重任務)に選ばれることは非常に名誉なこととされている。ちなみにソーレンはメンフクロウとして初めて二重任務に選ばれている。
- スリップギズル(slipgizzle)
諜報活動を行う情報屋。仕事柄多くの情報を得やすい、はぐれ鍛冶や一匹狼のファイアキャッチャーなどがこれを兼ねていることが多い。
- 不思議なかけら
聖エゴリウス孤児院や純血団が躍起になって収集している石。フクロウを始めとした生き物の心身に多大な影響を及ぼしており、この石の鉱床がある場所で生まれた者の中には、透視能力などの特殊能力を得る者や、正気を失うなどの障害を持つ者が多数出現している。
ホーテンスも鉱床の近くで生まれたため、翼の骨が曲がってしまい、身体の成長も途中で止まってしまった。鍛冶のブボ曰く、磁力を帯びた鉱石のかけらか砂鉄のようなものらしい。
- キールヘビ(Kielian snake)
北の王国に生息するヘビの一種。メクラヘビに似ているが、筋肉質で鋭い牙と青緑色の鱗を持っている。また、寒さや水にも強く、牙で穴を掘って永久凍土の下に潜り込んだり、流氷が浮かぶ海でも自在に泳ぐことが出来る。北の王国を二分した戦争ではフクロウたちの背に乗って共に戦った。
- 月食(lunar eclipse)
月食の夜に孵化したフクロウは、月食の魔力で、飛び抜けて崇高な精神の持ち主に成長するか、徹底的に邪悪に染まる者になるかのいずれかであるという。「ガフール伝説」に語られる伝説の王・フール、ナイラとその息子ナイロックは月食の夜の生まれ。
- スコッグ(skog)
北の王国において、歌によって部族の歴史を伝承する語り部。どの部族にも必ず1羽は語り部がいる。ほとんどがシロフクロウだが、稀にコミミズクのスコッグもいる。
- クラール(Kraal)
北の王国を根城にしている海賊で、全身の羽毛を派手な色に染めている。
略奪や汚れ仕事を請け負う無法者の集団ではあるが、団結心は非常に強く、「炎の石を賭けた大戦」では放浪フクロウたちと共にガフールの勇者たちに加勢した。
- 黄金の儀式
純血団幹部に昇進するための特別な儀式。通称「タプシ」。自分にとって親しいと思う者をいけにえにすることで、幹部の一員として認められる。
- 炎視力(ほのおしりょく、firesight)
炎を通して真実を看破する能力。過去や未来、遠い場所で起こった出来事をかいま見ることが出来る。同時期に炎視力の持ち主が複数いた場合、炎の中の情景は炎視力が最も強い者の前に現れ、先に読まれてしまった情景はその時点で消失してしまう。
- フールの燃える石(Ember Of Hoole)
フールが火山の火口から拾い出したとされる不思議な石。フール亡き後は最果ての地にある火山に封印され、聖ウルフによって守られている。後の世にこの石を再び拾い出し、フクロウ世界に平和と繁栄をもたらす「真の王」が現れることが予言されている。
- 聖ウルフ
「フールの燃える石」を守るダイアウルフの一団。特別な力の持ち主として崇められるが、生まれつき身体に障害を持っている者にしかなることができない。
- 黒フクロウ(hagsfiend)
カラスでもフクロウでもない邪悪な生き物。黒魔術と妖術によって北の王国に数々の戦乱を引き起こしてきた。殺した相手の身体をバラバラにし、頭部を持ち帰る習性がある。
フクロウよりもずっと大柄で全身の羽が黒く、黄色い目と長い尾羽を持つ。小鬼鳥(こおにどり)とは共生関係にあり、彼らが吐き出す毒は塩分と混ざると氷になってしまうため、海水が大の苦手。
- 放浪フクロウ(gadfeather)
特定のねぐらを持たず、物乞いなどをしながら流浪するフクロウの集団。他の鳥の羽やレース状の苔で着飾っている。
他のフクロウからは見下されているが、歌や踊りに長けており、さまざまな行事に招かれている。
- ガフールの神木(The Great Ga'Hoole Tree)
フールが生き別れとなった母を思って流した涙から芽を出した特別な木。「強い精神力(ガー)を宿すフールの木」という意味。
- プロンク家
ガフールの初代歌姫スノーローズを始祖とするシロフクロウの一族。代々の神木の歌手「マダム・プロンク」はこの一族の若い独身の者から選出される。
- 中の国(Middle Kingdom)
「ジューゼンキン」(Jouzhenkyn)とも。果てなき海の彼方にある国。この国の住民である青いフクロウたちは、姿形は普通のフクロウと変わらないが、全身の羽が青く変化しており、非常に長命である。
- 求道院(きゅうどういん)
中の国にある僧院。最高位の僧である大師は「セオサン」(Theosang)の称号で呼ばれている。
- ドラゴンフクロウ(Blue dragon Owl)
中の国の宮殿に暮らす青いフクロウたち。羽の生え代わりがなくいつまでも伸び続けるため、自分の力で飛ぶことができず、誰かの手助けなしでは生きていけない。彼らは前世の業のために不自由な身体にされたのだといい、業が尽きるまで飼い殺しのような暮らしを余儀なくされているらしい。