ギース・ハワード外伝
以下はWikipediaより引用
要約
『ギース・ハワード外伝』(ギース・ハワードがいでん)は、SNKの格闘ゲーム『餓狼伝説』シリーズと『龍虎の拳2』に登場するギース・ハワードを主人公とした天獅子悦也 による日本の漫画。新声社の漫画雑誌「コミックゲーメスト」およびその増刊に、1994年から1996年にかけて不定期に掲載された。単行本は、新声社からゲーメストコミックスとして1996年に全1巻で発売されている。
外伝とあるものの、『ギース・ハワード外伝』では16歳時(『龍虎の拳』以前)から死亡する少し前(『餓狼伝説3』直前)までを扱っており、ギース・ハワードの伝記に近い。ただしSNK公式とは違う部分がある 。
初出誌一覧
初出順。
ストーリー
「CHAPTER:1 神童」と「CHAPTER:2 殺気」の間に、『龍虎の拳』と『龍虎の拳2』が展開されている。
CHAPTER:1 神童
そのゴッドファーザーは老いていた。チャイナタウンとの抗争には劣勢を強いられ、ミスタービッグを擁する「組織」が台頭してくる中、彼の息子たちも抗争により次々に死亡。頼れるのは養子同然のギースだけだった。
ゴッドファーザーは、サウスタウンの争いを収めるためにギースを後継者に望んでいたが、古株の大幹部、ジャンニーニ・ナルディーニとその配下はそれに反感を持っていた。表立っては反論できない彼は、「組織」の大幹部・ミスタービッグと手を握り、ギース暗殺を目論んだ。
「組織」を切り崩し、直属の配下を集めて会議を行っていたギースは、「組織」の奇襲を受ける。部下が制圧された中、「組織」の指揮官である日本人武道家と1対1で戦う。武道家はギースの天才ぶりに舌を巻き、その師匠となることを約束する。そしてファミリーの裏切り者・ジャンニーニの名を告げた。
武道家は「気」の使い方を伝授した。ギースは2日で「気」を使えるようになったが、その強さのコントロールまでは出来なかった。そこを指摘されても「必要ない」と即答するギース。
武道家はミスタービッグの送り込んだ刺客だった。だが、彼はギースの天才ぶりを見るうちにその育成に務めたい、と思うようになっていたのだった。しかし、ビッグは暗殺の催促を行った。その一方、武道家の決意の揺らぎを目の当たりにし、別の暗殺者を用意していた。
武道家はギースの元に現れる。そこで過去を指摘される武道家。彼は日本で、試合中に相手を殺したため、海外に逃亡していたのだった。ギースの指導を再開しようとする武道家をギースは拒絶。武道家の口から3本の秘伝書の話が出るが、直後に狙撃者により彼は致命傷を受ける。彼はギースを庇ったつもりだったが、ギースは彼を盾にしていた。狙撃者の追跡を部下に命じるギース。
ジャンニーニの裏切りを知らされたゴッドファーザーは狼狽する。ギースは、ジャンニーニの作戦を利用し、ジャンニーニを粛正した後、ファミリーごと「組織」の配下になる提案をゴッドファーザーに提案した。ファミリー自体が傘下に入れば、その存在をミスタービッグも無視できないだろう、と。老いたゴッドファーザーはギースを正式に後継者に指名、事後を任せた。そしてギースは、10年以内に「組織」を手中に収める、と決心していた。
CHAPTER:2 殺気
刑務所では勝手が違っていた。刑務官たちは0番囚(孤島の鬼)に対し敬語を使っていたのだ。共を連れず、対面すべく赴いた部屋へ入るなり、ギースは面食らう。その余りに豪華な部屋は、とても囚人のものではない。すると、部屋の隅のソファに座る老人から声が上がった。重罪犯収容の刑務所とは仮の姿であり、自分の城なのだ、と。その老人こそ「孤島の鬼」だった。彼は60年余り、国家と契約して暗殺者としての腕を奮ってきたのだった。
暗殺依頼を受けよう、と申し出る老人に、ギースは腕試しを挑む。「気」の正体を探り、身に着けるのが目的だからだ。圧倒的な技量を誇る老人は、ギースの学んだ流派を見抜き、未だ殺人を犯していないことまで指摘する。その傍ら、ギースの才能には惹かれるものを感じていた。技の伝授を思い立った彼は、そうとは告げずにギースに同行を命じる。暗殺実行の場で実技を見せよう、というのだ。
しかし、それは刑務所の罠だった。国家の汚点である老人を秘密裏に葬ろう、としたのだ。日本語を解すため、ギースも共に殺害されようとしたが、老人もギースも卓越した技を使い、刺客を倒していく。躊躇なく相手を殺害していく老人に対し、ギースは制圧するに留まった。ギースの甘さを再度指摘する。「無差別殺人の必要はない」と告げるギースは、再び老人と対決。その殺気を受け止め、瞬時に技を自らのものとした彼は、新技で老人を屠る。これがギースの最初の殺人であり、また必殺技「当て身投げ」の開眼だった。
CHAPTER:3 復活
時を同じくして、スペインから闘牛士であり、元貴族でもあるローレンス・ブラッドがやってくる。表向きは親善使節だが、裏ではヴォルフガング・クラウザーの意思が働いていた。ギース機関のメンバーは恐れおののいた、ビリー以外は。ビリーはボガード兄弟への復讐を誓い、路地で荒れ狂うが、謎の人物に制止される。
サウスタウンの歓迎会を終えたローレンスはギース機関を襲撃。拳銃を使う機関の構成員とマントで渡り合い、沈黙させる。残ったビリーとは剣を使って戦うものの、ローレンスの敵ではなかった。ギース機関は彼の手に落ち、ビリーも配下となった。
翌日の夜、歓迎会の答礼にパーティを開くローレンス。そこに羽織袴で鬼の面をつけた人物が飛び入りで参加してくる。そのいで立ちにギースの姿を重ねて見る参加者たち。鬼面の男はローレンスを翻弄し、烈風拳のような技を繰り出し、姿を消す。
ホテルに急ぎ戻ったローレンスを、面を取ったギースが強襲。その影に怯えたローレンスは一矢報いることもなく、捨て台詞を残して敗走する。
ギースの計画通りことは運び、死亡が公式に発表され、その確認に来たクラウザーの使者はギースの影に怯え帰国。ギース機関の頭目となったビリーはクラウザー・コネクションの中に入り込む…という手はずが完了した。
CHAPTER:4 予言
CHAPTER:5 僭主
なお、彼女の祖父についてのやり取りが、ギースとの対決で描かれている。
主な登場人物
ビリーを除き、登場順に説明する。なお、登場キャラクターは、悪人か、真面目(非情含む)か、あるいは常軌を逸しているか、というパターンになり、明るいキャラクターは例外で、ほぼホンフゥだけといえる。
ギース・ハワード
本作の主人公。本来は、ゲーム『餓狼伝説(1)』のボスとして登場したキャラクター。
1991年1月19日(「CHAPTER:3 復活」。『餓狼伝説(1)』のエンディングに当たる)の時点では、サウスタウンの裏社会を牛耳るボス。表向きは広範囲に業務を構える実業家。
ドイツとオーストリアの国境付近 にある城に住むシュトロハイム一族の当主、ルドルフ・クラウザー・フォン・シュトロハイム伯爵(34代目 )の庶子。父と正妻の間に義弟に当たる男児(ヴォルフガング)が生まれたために追放された。ゴッドファーザーは、ギースの母の死後、彼を引き取り、養育していた。
「CHAPTER:1 神童」(1969年、16歳)では、「気」を日本人武道家から学び、烈風拳の原型というべき技を発揮した。
「CHAPTER:2 殺気」(1979年)では、原作(『龍虎の拳2』)から、飛翔日輪斬、烈風拳、エクスプロージョンボール、の3つの必殺技を使用。このエピソードの初めの時点では、学んでいたのは日本の古武道と八極正拳。八極正拳の師匠はタン・フー・ルーだが、本作には登場しない。同門のジェフ・ボガード(ボガード兄弟の義父)も直接は未登場。日本で「孤島の鬼」と呼ばれる老人から当て身投げを習得する。この時、初めての殺人を経験。
「CHAPTER:3 復活」では、ローレンス相手に明星昇天打ち(しゃがみ強パンチ)からレイジングストーム(超必殺技)に繋げる技(原作(『餓狼伝説スペシャル』)通りのキャンセル技)を使用している。烈風拳、当て身投げも炸裂。死亡記録を仕立て、クラウザー抹殺の一環としてビリーをその配下に潜り込ませた(本人はビルから転落した際の背中の傷が深く、クラウザー級の強敵とは戦えない状態だった)。
「CHAPTER:4 予言」(1995年。『餓狼伝説3』の数か月前)では、実業家として、またサウスタウンの裏の支配者として返り咲いている。山崎相手に烈風拳と投げ技、秦王龍相手に疾風拳と邪影拳を使用。
「CHAPTER:5 僭主」(1995年。『餓狼伝説3』の数日前)では、ブルー・マリーに烈風拳、ダブル烈風拳、邪影拳、レイジングストームを使用。
ビリー・カーン
CHAPTER:1 神童
CHAPTER:2 殺気
CHAPTER:3 復活
CHAPTER:4 予言
秘伝書の設定
秦の時代に秦王龍が記した物。内容については、3本揃えた者がいなかったためか、噂が飛び交っていた。
CHAPTER:1 神童
CHAPTER:4 予言
秦王龍「最強を自認する者同士を争わせ、破滅させるための呪いの書」 。
CHAPTER:5 僭主
次巻『ギース・ハワード外伝シリーズ/闇のギース』では、また別の説が紹介されている。
なお、ギースが1本目(タンが所有していた)を入手したのは1974年頃 、2本目(クラウザーが所有していた)を入手したのは1992年 、とされている。
書誌情報
- 天獅子悦也『ギース・ハワード外伝』 新声社〈ゲーメストコミックス〉、全1巻
- 1996年6月発売、ISBN 978-4881992364