アニメ 小説

グイン・サーガ


小説

著者:栗本薫,

出版社:早川書房,

レーベル:ハヤカワ文庫,

巻数:既刊175巻,

アニメ

原作:栗本薫,

監督:若林厚史,

シリーズ構成:米村正二,

キャラクターデザイン:皇なつき,

音楽:植松伸夫,

アニメーション制作:サテライト,

製作:Project Guin,

放送局:NHK BS2,

話数:全26話,



以下はWikipediaより引用

要約

『グイン・サーガ』は、栗本薫による日本のヒロイック・ファンタジー小説。1979年9月の第1巻『豹頭の仮面』の刊行以来、コンスタントに巻数を重ね、100巻を越えてなお多くの読者を獲得しているベストセラー小説シリーズである。2022年1月時点で累計発行部数は3300万部を突破している。

自身の出生さえ分からない豹頭の戦士であるグインを主人公として、架空の世界、架空の時代に生きる、彼を中心とするさまざまな人物の生と死の波乱を描いたサーガ(大河小説)。国と国とのあいだで繰り広げられる戦争、策謀、興亡の歴史を背景として、その宮廷、あるいは市井に生きるさまざまな人物の野望、妄執、友情、決別、恋愛といった愛憎が織りなす壮大な人間模様を紡ぎだしていく。

作品史

ヒロイックファンタジーの執筆を準備していた栗本薫が高千穂遙の『美獣』を読み、予定していたキャラクターのインパクトの弱さを痛感して改めて本作を書き下ろすに至った。シリーズ開幕当初から正伝のみで全100巻という構想が明かされており、2005年4月には第100巻となる『豹頭王の試練』が刊行された。もっとも、100巻で構想通りには物語は完結せず、それどころか、完結に至るまでにはまだ多くの展開が残されていることは確実で、どこまで続くかは作者自身にも予想がついていないとされていた。作者の死去により、正伝が130巻、外伝が22巻(上下巻1編を含むため23冊)刊行された時点で中断したが、その後は複数の作家により執筆が再開され、続篇の刊行が続いている(詳細については、下記の「作者死去後の動向」を参照)。

発表形態としては、ハヤカワ文庫から書き下ろしで発売される(第1巻『豹頭の仮面』および外伝の一部は、先行して雑誌(主に『S-Fマガジン』)や関連書籍に掲載された)。表紙、口絵、本文イラストは加藤直之(正伝1 - 19巻、外伝1 - 5巻)、天野喜孝(正伝20 - 56巻、外伝6 - 9巻)、末弥純(正伝57 - 87巻、外伝10 - 16巻)、丹野忍(正伝88 - 、外伝17 - )が手がけている。

2003年には、アメリカ合衆国Vertical社より英語版の発売が開始された。続いて、2005年にはBlanvalet Taschenbuchverl社よりドイツ語版、Editrice Nord社よりイタリア語版、БИТВА В НОСФЕРУСЕ社よりロシア語版、2006年にはFleuve Noir社よりフランス語版の出版が開始された。2009年にはDAIWON C. I.社より朝鮮語版が3巻まで同時刊行で出版が開始されたものの、2010年の6巻を最後に事実上出版は中止、その後6巻全巻が絶版になった。中国語版の出版も予定されている。

2000年には柳澤一明の作画により、外伝『七人の魔道師』の漫画化が開始された。作品はメディアファクトリー発行の『コミックフラッパー』誌に2003年まで連載後、単行本化された。2006年9月にジャイブ社から出版された『栗本薫 THE COMIC グイン・サーガ』には沢田一の作画によって漫画化された正伝の一部が収録されており、2007年1月にはそれに新たに書き下ろしを加えたものが同社から『グイン・サーガ1』として出版された。その後、同社刊の漫画雑誌『月刊コミックラッシュ』で2008年4月号から2010年6月号まで新章が連載された。

著名な日本のファンタジー小説であるにもかかわらず、刊行開始以来30年弱にわたり映像化されなかったが、2009年4月にテレビアニメ化された(グイン・サーガ (テレビアニメ)を参照)。

作者死去後の動向

2009年5月26日、栗本がすい臓がんのため死去し、本作は未完成作品となった。栗本は生前に病床で130巻のちょうど半分の地点まで原稿執筆を終えており、遺作となった第130巻「見知らぬ明日」(同年12月発売)まで予定通り刊行された(第2章第4節に「未完」の文字がある)。130巻あとがきで夫の今岡清は、新装版後書きでの栗本の「誰かがこの物語を語り継いでくれればよい」という言葉に心を動かされたこと、そしてグイン・サーガが今後さまざまな形で語り継がれてもよい、と発言している。なお、『グイン・サーガ・ワールド 5』での今岡のあとがきによれば、絶筆部分以降のプロットは残っておらず、今後の展開のための覚書のみが残されているという。

同年12月、このシリーズに日本SF大賞特別賞が、翌2010年8月には星雲賞日本長編部門が与えられた。

2011年、早川書房は同年5月より雑誌形式の文庫本『グイン・サーガ・ワールド』を季刊ペースで刊行すると発表した。前述した「『グイン・サーガ』を様々な人に語り継いでもらいたい」という栗本の遺志を受け、久美沙織や牧野修がグイン・サーガを外伝形式で執筆するほか、栗本の未完原稿の一部が公開された。

2012年9月に発売された『グイン・サーガ・ワールド 5』より、五代ゆう、宵野ゆめによる正編の続編の発表が行われ、2013年11月からは、この続編を文庫化した書籍が正編のナンバリングを受け継ぎ、第131巻「パロの暗黒」(五代ゆう)・132巻「サイロンの挽歌」(宵野ゆめ)として刊行された。以降は随時続巻され、絶筆部分の直接の続きも133巻「魔聖の迷宮」(五代ゆう)より刊行されるという、複数作家による巨大なグイン・サーガ・ワールドの様を呈している。本作はかなりの長編作品となっており途中の巻で未読状態になってしまう読者も少なくないが、五代はどの巻から読み始めても前後が分かるように意識して書いていると自身のTwitterでコメントしている。

2013年〜2016年(131巻〜140巻)の間は奇数巻を五代ゆうが(主にパロ・ヤガ・沿海州の話を担当)、偶数巻を宵野ゆめが(主にケイロニアの話を担当)執筆した。2017年以降(141巻〜)は五代ゆうによる一人体制となっている。

あらすじ

首都クリスタルへのモンゴール軍の奇襲により、中原の歴史ある国パロは滅亡の危機に瀕していた。国王、王妃までもがモンゴール兵の手により殺害されるという状況の中、家臣はパロ王家に太古より伝わる古代機械(物質転送装置)を用いて、国王の長男にして王太子であるレムスと、その双子の姉リンダを友邦国アルゴスへ移送しようとした。が、古代機械の座標設定に狂いが生じ、2人はあろうことか敵勢力のまっただ中、モンゴール辺境にある魑魅魍魎の跋扈するルードの森へと転送されてしまった。

身を守るすべとてなく、ただ怯えて身を隠すしかなかったレムスとリンダを、ついにモンゴール軍の小隊が発見し、絶体絶命の危機に追いつめる。しかしその時、突如として現われた豹頭人身の異形の超戦士が小隊を全滅させ、双子は難を逃れる。自分自身の名と「アウラ」「ランドック」という2語を除き、全ての記憶を失っていたこの豹頭の男グインは、戦いの後で憔悴し切って倒れるが、リンダの介護によって間もなく体力を取り戻し、以後2人と行動をともにすることとなる。

死霊を始めとする魑魅魍魎の襲撃から、一夜の間は辛くも逃れた彼らだったが、翌朝には一帯を支配するモンゴールの出城・スタフォロス城の軍勢に再び発見され、衆寡敵せず投降を余儀なくされる。全身を業病に冒された「黒伯爵」こと城主ヴァーノン伯爵により投獄されたグインらは、隣の牢に収監されていた“紅の傭兵”の異名を持つ若き傭兵・イシュトヴァーンと出逢う。その夜、半獣半人の蛮族セム族がスタフォロス城に攻め入った混乱に乗じ、獄中でリンダと知り合ったセム族の娘スニを加えた4人は、スタフォロス城から眼下に流れる暗黒の河・ケス河へと身を投じて脱出に成功する。そして翌朝、彼らより先に脱出に成功していたイシュトヴァーンが一行に加わり、川の対岸・妖しい瘴気渦巻く砂漠の地ノスフェラスを最初の舞台として、レムスとリンダの、故国を目指す苦難の旅が始まるのである。(以上、第2巻『荒野の戦士』冒頭部まで)

登場人物

この物語の主人公は、タイトルが示す通りグインに他ならないが、物語はグインを含めた群像劇の要素が強く、それゆえ常にグインを中心に語られるわけではない。したがって、20巻以上にわたってグインが不在のままに物語が進行する場合もあり、その時には、他に主役級とされる登場人物や、中原の三大国をはじめとした諸国の宮廷、ときには庶民や脇役の視点までをも交えながら物語が展開することになる。

物語中、歴史はよく運命神ヤーンの織るタペストリーに例えられる。ヤーンは、物語のカギを握る人物を糸とし、彼らをたぐり寄せ、絡ませあうことによって、愛憎や因縁を生みながら、大きな運命の模様を描いていくのである。

世界観
既刊一覧
関連メディア
一次作品に基づく二次作品(作者本人による同人誌も含む)

詳細は「グイン・サーガの関連作品」を参照

テレビアニメ

詳細は「グイン・サーガ (テレビアニメ)」を参照

話題
「豹頭の仮面」改訂版発行の経緯

第1巻「豹頭の仮面」に登場する、全身を極めて伝染性の高い業病に冒されたヴァーノン伯爵は、当初、その業病を「癩病」、人物の通称を「癩伯爵」と記されていた。だが、その病の描写が、本来の「癩病(ハンセン病)」のものとは著しく異なり、人々の間にいまだ流布している病に対する誤解とそれに基づく差別をさらに助長しかねないものであるとして、全国ハンセン病患者協議会より、作者及び出版社に対する抗議があった。

その抗議に対し、作者及び出版社は全面的に謝罪し、1982年3月以降の重版分から、作中の病の描写はフィクションとしてのものであり、実際の病とはまったく異なる関係のないものであることなどを記した文を巻末に註記することで、協議会と和解した。

その後、作者及び出版社は該当する部分について自主的に全面改訂を行い、「癩病」→「黒死病」、「癩伯爵」→「黒伯爵」等と書き換えた改訂版を1983年1月に発行し、以前の版を絶版とした。

ギネスブックへの申請

正伝第93巻が発行された2004年4月、早川書房が米国の英語版を元に算出した3022万5000文字の「世界最長の小説」としてギネス・ワールド・レコーズ社に申請したが、1冊にまとめられた作品ではないという理由で却下された。早川書房は3000万文字以上の作品を1冊にまとめるのは事実上不可能であるとして、複数冊にわたる作品に関するカテゴリーの新設を求めたが、これも拒否された。

なお、ギネスブック認定の世界最長の小説は、2004年版まではマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の960万9000文字、2005年版ではサイモン・ロバーツの『ニカーズ』の1415万6074文字である。2007年版では『失われた時を求めて』が「世界最長の小説」とされる。

百の大典

2005年4月9日、《グイン・サーガ》100巻達成記念イベント「百の大典」が、 九段会館にて開催された。

  • 第1部 栗本薫インタビュー

聞き手:小谷真理
ゲスト:高千穂遙

  • 第2部 歴代イラストレーター座談会

出席者:加藤直之、天野喜孝、丹野忍
司会:田中光

  • 第3部 中島梓ライブ

出演者:中島梓(p)、花木佐千子 (Vo)、山下弘治 (Bs)、岡田佳大 (Dr)

  • 第4部 グイン・サーガ・クイズ大会

来場者には、作品の表紙イラストをモチーフとした特製ポストカードなどが配布された。また、会場では、正伝第100巻『豹頭王の試練』特装版サイン本の販売が行われた。あわせて、グイン・サーガの電子出版およびグイン・サーガのアニメーション化についての発表が行われた。

直筆原稿電子化・閲覧

2010年、栗本の夫・今岡清は散逸防止のために約1万5千枚の『グイン・サーガ』直筆原稿を、栗本の生誕地である葛飾区の区立中央図書館に寄贈した。図書館は単に保存するだけではなく、数年をかけてスキャニングを行い、2013年4月から館内に設置した専用パソコンで電子ファイルとして閲覧できるようになった。これは閲覧専用であり、データのコピーや館外貸出しは不可能である。なお、全体の約10%程度が図書館のサイト内にある「かつしかデジタルライブラリー」にアップロードされており、こちらは日本国中でインターネットにアクセス可能な環境があれば誰でも見ることができる。

オーディオブック・朗読版

株式会社アールアールジェイより、朗読サイト「kikubon(キクボン)」にて朗読版が2017年4月から発表されている。読み手は下山吉光・浅井晴美。2021年1月現在、正伝7巻までの7冊が配信中。シリーズページと1巻の責任者コメントによると、外伝を含めた全巻の朗読化が予定されているとのこと。

評価

ウェブサイト「シネマトピックス」は本作について、「ヒロイック・ファンタジーの要素と『三国志』的な群像青春小説の要素を融合した、躍動感あふれる物語」であると表現している。また同サイトは、多数の魅力的な登揚人物が様々な要素を含む劇的な物語展開のなかで翻弄され、成長や破滅をしていく様が描かれていると評している。

ウェブサイト「あにぶ」の井之上は本作の特徴について、「ページ全体において改行のないセリフで埋め尽くされており、小説を読むのが苦手な人は眩暈がするような紙面の黒さ」であるとしている。また、同氏は本作の印象について、「本格的なシルクスクリーン絵画が挿し絵が美しくもなんとなく近寄りがたい」と述べている。

ゲームライター・編集者の石井ぜんじは上述の通り群像劇となっている点や異世界そのものを描き構築することが意識されている点が現代ファンタジーでも違和感のないゲーム世界的な感覚を覚え、これらの要素を鑑みると本作を「ライトノベルの元祖」と呼んでも不思議ではないと評している。

コラボレーション

東京(神田)の早川書房1階にある「カフェ クリスティ」では「バー・ロング・グッドバイ」「パブ・シャーロック・ホームズ」「PKD酒場」「カフェ エルキュール・ポアロ」「カフェ アルジャーノンに花束を」「居酒屋グイン亭」など様々なコラボレーションが展開されている。