ケルベロスの肖像
以下はWikipediaより引用
要約
『ケルベロスの肖像』(ケルベロスのしょうぞう)は、2012年に宝島社から刊行された海堂尊の長編小説。
概要
『このミステリーがすごい』大賞を受賞した『チーム・バチスタの栄光』から続く『田口・白鳥シリーズ』の第6作にして最終作。7月6日に単行本化されるのに先立って別冊宝島から4月21日に発行された「『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしmagazine」に『ケルベロスの肖像(抄)』と題して収録されている。ケルベロスとはギリシア神話に登場する三つの頭をもつ冥界の番犬で、「ケルベロスの塔」は「死への入り口」を意味する。
本作は東城大学医学部付属病院に脅迫文を送り込んだのかは誰なのかの特定が主眼のフーダニットの他に、全編を通じてAiセンターが稼働に乗り上げるまでとその結末が描かれる。そして『螺鈿迷宮』から主人公・天馬大吉が、作者が「バブル三部作」と形容する『ブラックペアン1988』『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』からその作中で語られる高階の贖罪が登場するなど、著者の作品の中で明かされてきた過去と現在の東城大の因縁が集束されていく構成となっている。2014年3月29日には『チーム・バチスタシリーズ』として映画化が成された。
ストーリー
Aiセンター稼働を巡る司法と医療の対立が表層化した東城大学医学部付属病院を襲った未曾有の危機「アリアドネ・インシデント」から一月後の7月。不定愁訴外来責任者の田口は高階病院長から、先方の依頼で院長宛に送られた「八の月、東城大とケルベロスの塔を破壊する」と綴られた脅迫状の調査協力を依頼される。しかも、田口に協力を要請した先方とは高階にこの件を相談を受けていた白鳥の部下・姫宮香織だった。姫宮からこの脅迫状が、桜宮市の医療の闇の領域を背負いつつ2年前に紅蓮の炎に包まれた碧翠院桜宮病院の生き残りが絡んでいると聞かされた田口は、生き残りの特定調査に乗り出すことに。そして同時に田口は建築が済んだAiセンター稼働に向け、アリアドネ・インシデントで停滞したエーアイセンター運営会議の再開を進めていく。
運営会議はアンチAi派の思惑も取り込みつつも着々と稼働に向けて進行し、ついに稼働にまで漕ぎ着けていった。しかし、脅迫状が指し示す来る八月のシンポジウムの日、東城大を奈落の危機に突き落とす事態が発生する。
登場人物
東城大学医学部付属病院
Aiセンター運営連絡会議
東堂 文昭
マサチューセッツ医科大学上席教授。高階の学生時代の友人。Aiセンターに副センター長として招聘されたが、本人の意向でウルトラ・スーパーバイザー(超上席相談員)の肩書を名乗ることに。MRI診断領域の第一人者で、現在もその世界の頂点に君臨し続けており、日本人で最もノーベル医学賞に近い人物と称される。カウボーイハットを被り口髭を蓄えた外国人張りの大柄な体躯で、革ジャンを羽織ったヤンキー然とした風貌をしている。だが性格は相当ピーキーであり、語学堪能でありながらメディアの対応が面倒だという理由で出身の日本であってもその言葉を話すのが苦手なフリをしたり、説明の意図が伝わりづらかったりと平時自分のペースで周りを振り回し、マサチューセッツでは「オリエント・ビュレット・エクスプレス(極東の弾丸列車)」の渾名で呼ばれていた。派手なパフォーマンスを好む。顕微鏡レベルの解像度を誇る世界に3台しかない9テスラのスペックを備えたMRI「リヴァイアサン」を所有し、Aiセンターに寄贈した。
天馬 大吉
西園寺 さやか
医療ジャーナリスト。網膜色素変性症を患っているため、顔をアクリル製の白いマスクで覆い、黄色いサングラスを着用している。声帯ポリープを手術したため、声が出ない代わりに携帯用PCから発せられる電子音で会話する。
陣内 宏介
厚生労働省
映画
『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』のタイトルで東宝配給にて、2014年3月29日公開。2009年に公開された映画『ジェネラル・ルージュの凱旋』の続編ではなく、関西テレビ・MMJ制作のドラマチーム・バチスタシリーズの最終作として制作される。