サイケまたしても
漫画
作者:福地翼,
出版社:小学館,
掲載誌:週刊少年サンデー,
レーベル:少年サンデーコミックス,
巻数:全15巻,
話数:全141話,
以下はWikipediaより引用
要約
『サイケまたしても』は、福地翼の日本の漫画。『週刊少年サンデー』(小学館)にて、2014年32号から2019年4・5合併号まで連載された。集中連載のあとに休載期間を挟む不定期連載の形態を取っている。ある事件をきっかけにタイムリープ能力を手に入れることになった少年と、特異な能力を悪用しようとする者との間で展開されるバトル漫画。2016年、『ダ・ヴィンチ』とNiconicoによる「第2回 次にくるマンガ大賞」のコミックス部門にノミネートされ、7位にランクインした。
2017年3月に『サンデーうぇぶり』でコミックス第8巻発売記念として「うえきの法則」とのコラボ漫画を掲載。
あらすじ
平凡な中学生葛代斎下は、何の夢も持たず、地味に目立たず控えめに毎日を過ごしていた。そんなある日、幼なじみの枸橘蜜柑に誘われて訪れたモグラ池からの帰り道に、蜜柑が交通事故で亡くなってしまう。悲しみに暮れるサイケだったが、突然地面が崩れて池に転落してしまう。溺れて意識を失ったサイケが再び目を覚ますと、なぜか蜜柑が亡くなる日の朝をもう一度迎えていた。蜜柑との会話でそれが自分の能力だと気付いたサイケは試行錯誤の末に蜜柑を救うことに成功し、『ヒーロー』として能力を人助けに使おうと決意する。その一方で、悪意を持った能力者同士の争いに、サイケは否応なく巻き込まれていく。
登場人物
主要人物
葛代斎下(くずしろ サイケ)
主人公。中学3年生。自分の殻に籠って無気力に生きてきた結果、斜に構えた生き方をこじらせてしまった少年。ある日、幼馴染である枸橘蜜柑の事故死をきっかけに、自分が時間逆行の能力を持つことを知る。その能力を使って蜜柑の救出に成功したことを契機に、能力を使った人助けを始め、さらに氷頭と出遭ったことで、子供のころに夢見た「弱きを助け、悪を挫くヒーロー」になることを決意する。身体的には非力な一方で、平然と何百回も溺死と時間逆行を繰り返す、『能力消去』で与えられた激痛にも耐え抜くなど、時に周囲を戦慄させるほどの精神力を見せるようになるが、その根源にあるのは「誰かを救うことで、何も出来なかったかつての自分を救うこと」だと氷頭に看破されており、能力を失い元の無力な自分に戻ることを何よりも恐れている。そんな動機もあり、他人を助けるために自分が引き受ける苦痛については、その帳尻まで含めて全く頓着しない一方、他人(悪人を除く)を傷つけることについては過剰とも言えるぐらいの躊躇いを見せる。黒田ユメヲ率いる『ネガティブレイン』に狙われたことを皮切りに、何度も「正しさ」や「ヒーロー」とは何かを問われることになり、また生命の危機にも晒されて、その度に揺らいだり折れかけたりしながら、何度も立ち上がって「ヒーロー」活動を継続している。大きな戦いに決着がつき、その後の世界を救うための活動も終わった3年後、ユメヲに頼んで能力を消去した。
時間逆行
分類は「操作種(コントロール)」。正確に言えば『発動した日の午前7時に戻れる』能力。発動条件はモグラ池で溺れ死ぬこととされているが、実際には溺死さえすれば場所を問わず発動できる。発動のスイッチはサイケの精神ではなく、肉体の死にある模様。
逆行の際にはサイケだけが意識や記憶を持ち越せるため、世界全体がほぼ同じ行動を繰り返すなかで、サイケには起きる出来事の改変が可能となる。サイケはこの能力を活用して事故や事件の発生を防ぐように立ち回っている。能力保持者との戦闘では、敗北・失敗するたびに何回でも逆行を繰り返して相手の行動を逐一記憶していき、状況が許せば戦闘力のある氷頭やアナに適切な戦術を授ける戦法を主に行う。自由を奪われたりその場で殺害されれば発動不可能であるため、戦闘での使用時には逃亡手段の確保が不可欠となる。
肉体の状態は完全にリセットされているように見えるが、意識や記憶の保持のため脳(の記憶を司る部分)だけは例外的に酷使され続けているため、使用を重ねることでその「矛盾」が不可逆的に命を蝕み、突如鼻血が出る、昏倒するといった不調が現れ始め、最終的には死に至るという致命的なリスクを持つ。それによって一度は余命を使い切ったが、「癒やし神」の能力によって回復。その後も多数使用した描写はあるが、不調を来すまでには至っていない模様。
時間逆行
分類は「操作種(コントロール)」。正確に言えば『発動した日の午前7時に戻れる』能力。発動条件はモグラ池で溺れ死ぬこととされているが、実際には溺死さえすれば場所を問わず発動できる。発動のスイッチはサイケの精神ではなく、肉体の死にある模様。
逆行の際にはサイケだけが意識や記憶を持ち越せるため、世界全体がほぼ同じ行動を繰り返すなかで、サイケには起きる出来事の改変が可能となる。サイケはこの能力を活用して事故や事件の発生を防ぐように立ち回っている。能力保持者との戦闘では、敗北・失敗するたびに何回でも逆行を繰り返して相手の行動を逐一記憶していき、状況が許せば戦闘力のある氷頭やアナに適切な戦術を授ける戦法を主に行う。自由を奪われたりその場で殺害されれば発動不可能であるため、戦闘での使用時には逃亡手段の確保が不可欠となる。
肉体の状態は完全にリセットされているように見えるが、意識や記憶の保持のため脳(の記憶を司る部分)だけは例外的に酷使され続けているため、使用を重ねることでその「矛盾」が不可逆的に命を蝕み、突如鼻血が出る、昏倒するといった不調が現れ始め、最終的には死に至るという致命的なリスクを持つ。それによって一度は余命を使い切ったが、「癒やし神」の能力によって回復。その後も多数使用した描写はあるが、不調を来すまでには至っていない模様。
枸橘蜜柑(からたち みかん)
美術部所属の中学3年生でサイケの幼なじみ。孤独な生き方から抜け出せなくなったサイケにただ1人変わらず接している活発な少女で、サイケとは対称的に自分は絵を描くことが好きだと公言して自分の進む道を見据えて生きているが、サイケの目の前で交通事故により死亡してしまう。その日は異様にモグラ池へ向かうことにこだわりを見せ、結果何度も同じように交通事故で命を落とすが、それはちょうど10年前にサイケと2人でタイムカプセルをモグラ池に埋めており、「10年後の今日、タイムカプセルのことを覚えていて、2人が大切な友達でいられていたら、2人で掘り起こしに来よう」と約束していたためだった。サイケの決死の行動で死の運命から逃れた後、(結局サイケは約束を忘れていたが)2人でタイムカプセルを開け、その中にあった10年前のサイケの言葉は彼に「ヒーロー」を目指させる決め手となる。また、10年前のその時、溺れていた自分をサイケが身を挺して助けてくれたことが大切な思い出であり、「あの日からサイケは私のヒーロー」と特別な感情を抱いている。
サイケがヒーロー活動をしていることは長きにわたって知らなかったが、何かしらの歪みを背負ってしまっていることにはすぐに勘付いており、能力の酷使によって倒れた際は涙を流して糾弾している。『M』こと能力保持者の存在が噂として広まり始めた際にはサイケに対して何の気なしに「『M』が怖い」と発言してしまい、それがサイケを苦悩させる要因の一つとなってしまう。その後、ヨハンに取引のための人質として攫われたことでサイケの素性を知ることとなり、その際には前述の発言のことを謝罪。サイケに対する思いは変わることはなかった。3年後には本格的に画家の道に進み、弱冠18歳にして初の個展を開いている。
単行本1巻が蜜柑を救うまでのエピソードで構成されている一方、2巻収録のエピソードで早々に出番がわずかになるなどしていることから、単行本のおまけ漫画などでは出番が少ないことを嘆く描写がしばしばある。
氷頭栄治(ひず えいじ)
サイケとともに「ヒーロー」活動に勤しむ仲間。無表情とマロ眉が印象的な、恵まれた体格の青年。無愛想な言動や強面の人相などで勘違いされがちだが、頑固なほどにスジはしっかり通すタイプ。猫より犬派。名門の生まれだが既に勘当されており、今はアパートで一人暮らしをしながら、謎なアルバイトを多数こなして生活している。能力保持者からのみ出ている「力の煙」を見ることができる。
家の名誉に固執し自分を道具としか見ない親、見た目や生まれで勝手なレッテルを貼る連中ばかりに囲まれていた過去を持ち、生きる意味を見出だせないまま退廃的に毎日を過ごしていた。退屈を紛らわせるために能力保持者を狩っており、新たに見つけた能力保持者であるサイケに勝負を挑んだが、数十回のループの末に敗れる。自分の中の常識を壊していくサイケに興味を覚え、本人が言うところ「サイケの最期を看取るため」に共に行動する相棒となった。ループを駆使したトライ&エラーで攻略法を見つけ出すというサイケの戦術を理解し、サイケを逃がすことに全力を注ぎサイケの攻略法を実践する、矛と盾の役割を愚直にこなしている。サイケがヒーロー活動をリタイアすると決めた時は自分が代わりに引き継ぐとアナに宣言したり、サイケが記憶を失った際はサイケから離れてでも戦いから遠ざけようとする一方、サイケの迷いに対してはお前が決めることだと突き放したような発言もするなど、時に厳しくも見えるほどサイケの意志を最優先で尊重している。
ヒ号探索の際のカリムとの戦闘において、自分と似た境遇のカリムを改心させて倒すためにリスクを負った結果、両目に濃硫酸を浴びて失明する。サイケによる時間逆行も可能な状況であったが、カリムを救うために必要な無茶であったと考えておりそれを拒否。手術を受け、将来的に回復の可能性がある状態にはなっており、後に回復している。ウィルの計画によって『万物の記録』の中の情報を流し込まれかけた結果、記録の一部が記憶に残っており、3年後に火山の噴火によって人類が滅亡すること、能力とはその噴火を止めるために誕生したものであることを知り、それに立ち向かうためにサイケや仲間たちと共に3年を費やすこととなった。その後は能力保持者を斡旋する会社を立ち上げ、その社長となった。
発泡スチロール化
「変質種(チェンジ)」。発動条件は物体に触れること。靴や衣服を通して触れても発動は可能。重さや脆さを発泡スチロールに変えることで、電柱など本来は数百kgはあるような物を軽々ともぎ取って持ち運べるようになる。戦闘ではこの電柱などを振り回し、相手に接触する寸前に能力を解除して本来の重量を叩きつけるのが最大の攻撃手段となり、他には足場を崩したりクッションにする、拘束具を破壊するなどの使い方をしている。発泡スチロール化した武器は、能力を解除しなければ相手にとっても発泡スチロールでしかないため、意図したタイミングに先んじて不意に攻撃されたりすると簡単に破壊されてしまう弱点がある。また、液体や気体、生物は発泡スチロール化できず、「有害な液体が入った物品」を使うことで破壊を牽制するという対策を度々取られている。
アナ・エガートン
サイケとともに「ヒーロー」活動に勤しむ仲間。ゴシックロリータ風の衣服を着ているツインテールの少女。サイケより1つ下の中学2年生で、身長は143cmと小柄。イギリス生まれ。普段は無表情に近い仏頂面がデフォルトだが、感情と表情自体は豊か。変な顔を見せられるとすぐに吹き出してしまう弱点がある。漫画が大好きで漫画が読み放題のネカフェも大好き。アニメやゲームも好きで、服装の趣味もゲームキャラに由来したもの。
元々は『ネガティブレイン』メンバーの一人で、最初の刺客としてサイケの前に立ち塞がった。親友を想うあまりに能力で不正を働いたことで親友の名誉と心を傷つけてしまった過去があり、自身も含めた能力そのものに嫌悪を抱いていた。『時間逆行』を用いたトライ&エラーの持久戦に持ち込まれ、227回のループの末に自分も知らなかった能力の弱点を看破されて敗北。さらに、追い詰められて転落死する運命を八乙女とサイケの命懸けの行動により回避した後、サイケから「どうせ他人の運命を捻じ曲げるなら良い方向に曲げてみよう」と説得され、『ネガティブレイン』を脱退、サイケたちの仲間になる。サイケには一転して好意を寄せており、氷頭とはしばしば口喧嘩に発展するも実際は誰よりも尊敬しており、戦闘においても抜群の連携を見せる。
ガムテープ化
「変質種(チェンジ)」。発動条件は対象に触れること。発動した場所から「ガムテープ」を引き出し、さらに巻き尺のようにテープの先端側へ巻き取れる。ガムテープという名称に反して、一度どこかに粘着すれば強い力でも剥がせない粘着力があり、テープ自体も斬撃、圧壊、貫通、溶解、焼却などあらゆる方法での破壊に耐えるが、「繊維の向きに対して45°の角度で切断される」のが唯一の弱点。目の前に伸ばして盾にする、遠方に貼り付けて巻き取ることで高速で移動する、その勢いを使った打撃といった用途にもしばしば使われる。無機物だけでなく生物の身体からも引き出すことが可能で、ガムテープの着脱や巻き取るタイミングの操作はアナだけが自由に行える。
ガムテープ化
「変質種(チェンジ)」。発動条件は対象に触れること。発動した場所から「ガムテープ」を引き出し、さらに巻き尺のようにテープの先端側へ巻き取れる。ガムテープという名称に反して、一度どこかに粘着すれば強い力でも剥がせない粘着力があり、テープ自体も斬撃、圧壊、貫通、溶解、焼却などあらゆる方法での破壊に耐えるが、「繊維の向きに対して45°の角度で切断される」のが唯一の弱点。目の前に伸ばして盾にする、遠方に貼り付けて巻き取ることで高速で移動する、その勢いを使った打撃といった用途にもしばしば使われる。無機物だけでなく生物の身体からも引き出すことが可能で、ガムテープの着脱や巻き取るタイミングの操作はアナだけが自由に行える。
ネガティブレイン
黒田ユメヲ率いる能力保持者集団の組織。主な活動内容は、能力を悪用する者を探し出し、ボスであるユメヲの『能力消去』で能力を消し去ること。メンバーは十数名を数え、大型のヘリを所有しているなど資金力もある。『ネガティブレイン』は『ネガティブ』と『ブレイン』を合わせた『マイナス思考』の意味がある。
黒田ユメヲ(くろだ ユメヲ)
『ネガティブレイン』のボス。超が付くネガティブ思考の持ち主。普段は、普通のサラリーマンとして働いているらしい。『ネガティブレイン』のメンバーは彼が直に勧誘して引き入れた者たちで、仲間となった者には全面的な信頼を置く一方で、離反者が出た場合には即座に姿をくらますという、両極端に徹底したやり方をとっている。白髪だが、これはストレスによるもので地毛は黒髪であり、後に元に戻っている。
妹のミユキが何者かの能力によって昏睡状態に陥ってしまったことで能力を嫌悪するようになり、ミユキを救うためもあって強硬に能力保持者を襲い続けていた。サイケとの初邂逅時には、『時間逆行』を「失敗から学ぶ人の成長を消してしまう悪魔の能力」と断じて『能力消去』で消去しようとしたが、激痛にも折れないサイケの意志を汲み取り、サイケと氷頭を見逃す形で撤退した。サイケの協力でミユキを救出してからは、能力を悪用しない者には手を出さないことを約束し、サイケ達とは付かず離れずの関係を保っている。ヨハンが突如裏切り、ウィルによってメンバーが洗脳されたことで殆どのメンバーが彼から離反してしまったが、時間経過とともに洗脳の解けたメンバー達は逐次彼の元に集結している。
本作の連載前(2010年)に、彼を主人公に据えた本作の数年前の過去に当たる読切『ネガティブレイン』がビッグコミックスピリッツに掲載されている。そこで描かれた人物像は現在と変わらないマイナス思考の他、世の中のリア充への羨望と敬意を抱いており、人は変われることを身を以って証明しようとするなど現在よりは前向きな部分も散見された。この時点で既に『余地夢』の能力を持っており、いくつかの悲劇を回避していた。
余地夢(よちむ)
八乙女研二(やおとめ けんじ)
『ネガティブレイン』メンバーの一人。グラサンに短パン、素肌にカラフルなシャツという妙な服装をした、チャラい言動の男。騙されやすい性格らしい。手柄を立てれば後に建国するユメヲ王国での地位を得られるという、あからさまな仲間の嘘を信じていたが、単純に騙されやすいのか、『説得力』の効果によるものであったのかは不明。アナとサイケ達の戦いに突然割り込む形で参戦し、氷頭とのタイマン勝負に持ち込んだ。能力を得たことで自由を得たと標榜しつつ能力を使用することを楽しみ、地形を利用し有利に立ち回っていたが、氷頭に地形を逆用されてしまいカウンターを叩き込まれて敗北した。とにかく言動がチャラいため、一見すると信用の置けない人間に見えるが、アナの転落を身を以て助けるなど非常に義理堅いタイプ。サイケに命を救われるも「助けたことを後悔するんだな」と言い残し逃走するが、ユメヲにはサイケ達の詳細な情報までは伝えなかった。理由は不明だがヨハン達の洗脳は受けておらず、以降は長らく消息を絶っていた。実は氷頭と同じく「力の煙」を見ることができ、そして氷頭より教え上手だったため、久しぶりに戻ってきた際に、能力者探しのために仲間たちに「力の煙」を見るコツを教えることができた。
十条魔胡(じゅうじょう まこ)
『ネガティブレイン』メンバーの一人。9歳の少女。主に、能力を活用した諜報活動を行っている。ユメヲが探していた「眠らせ魔」逆神の所在を報せるが、その結果、ユメヲ達は返り討ちに遭ってしまう。打つ手がなくなった彼女はサイケに助けを求め、サイケの協力者としてサポートに回ることで逆神の打倒に成功した。ヨハンの裏切りと共にメンバーが洗脳された際も、諜報活動により単独で行動していた彼女は洗脳を免れてたため、全編を通してユメヲの元にいる。諜報活動時以外ではユメヲと行動することが多い。
ハムスター化
「変質種(チェンジ)」。発動条件は対象物を掌で包むこと。物体を彼女の思い通りに動くハムスターに変化させる能力だが、生み出されるのはただのハムスターではなく、広域探査やヒマワリの種を利用した狙撃を行うなど、かなり多機能な能力を有している。
ヨハン・ディートリッヒ
『ネガティブレイン』最古参のメンバーである、涼やかな美貌の青年。若くして考古学の教授をしていたドイツ人。突如ユメヲを裏切り、ウィルの『説得力』でメンバーの殆どを自分の勢力に引き入れた。能力を進化の証、能力保持者を『次の人間(ネクスト)』と呼称し、「能力保持者達のヒーロー」として新たな世界を造るべく活動を開始。能力を持たない旧人類はいずれ能力保持者である自分達に牙を剥くと語りつつ、すべての人間を能力保持者にすることで「世界を平らにする」のが目的と語る。友情をバカにしながら友情ごっこの芝居でサイケを手に入れようと画策するなど下劣な行いを繰り返しており、サイケからは洗脳でしか仲間を作れない最低のクズだと軽蔑された。
かつては「能力の起源」を知ることを夢見てシルヴァと共に研究に励む純真な若者だったが、同志として出会った初恋の人・三色スミレの非業の死をきっかけに、現在の思想や性格に至ってしまった。その思想はスミレが能力保持者だったことが影響しており、能力保持者を守るという目的は偽りではない。サイケとの複数回にわたる戦いの末に「ヒーロー」としての敗北を認め、そしてスミレの遺志を知ったことで改心し、本性を露わにしたウィルとの最終決戦には仲間として同行した。その中で、拘束を脱するためにバックスの能力で子供に若返ったため、以降は外見年齢相応の子供として生活している。
回転(ロンド)
物体を回転させる能力。主な使い方は、攻撃を逸らす、円を描くように超高速移動する「回転移動(スピログラフ)」、金属片を掌の中で回転させ、手を払うだけで近距離の物体を切断する「回転刃(テンソー)」、鉄球を手元で周回させ、弧を描く軌道で放つ「公転(レボリューション)」といったもので、非常に高い戦闘力を発揮できる。有効な対策を取るのは難しい能力だが、ヨハンは能力が露見しないように注意を払っており、劇中で内容が明らかになったのはかなり後のこととなった。主な使い方が示すように直接触れていない物体でも回転させ続けることができるようで、上空にある無人のヘリのプロペラを回転させて飛行させたことすらあるため、効果範囲はかなり広いと思われる。
ウィル・クルーニー
『ネガティブレイン』メンバーの一人。無邪気な子供のように振る舞っているが、能力で他人の心を操ることに躊躇がなく、ヨハンの真の目的を知りながらも協力するなど善良とは言い難い人物。夕日が海に落ちるのを見るのが好き。
実年齢は120歳。アメリカ・ペンシルバニア州生まれで、あらゆる面において平凡な人間であったが、能力に目覚めたことで全てを思うままにして人生を謳歌するも、洗脳した人間にどれだけ自分を持て囃させても虚無感は拭えなかった。バックスに出会ったことで自分を6歳の子供の状態に留め置かせることを思いつき、大人相応の技能を子供の立場で披露して「神童」として持て囃されることで欲求を満たしている。しかし脳の酷使による寿命が迫っているため、その解決策を探し求め、ヨハンが所有していた「箱」の中身である『万物の記録』を掠め取るために協力していた。記録そのものには全く関心がなく、入れ物としての「超大容量の記憶媒体」という性質のみを利用し、生き長らえることを目論む。これまで通りに過ごして、永遠に「神童」として他者から持て囃され続けることだけが目的であり、そのためにあらゆるものを利用し、「普通じゃない」人間に嫉妬して思うままに貶めて愉悦を得るなど、野望こそ小さいが肥大化しきった邪心の持ち主。
カリム・クリスタンヴァル
『ネガティブレイン』のメンバーの一人。フランスの名家に生まれた美少年。なにかにつけて状況をロールプレイングゲームのテキストのように解説し、自分を「勇者」に喩える。家柄に縛られた人生に嫌気が差して15歳の時に出奔し、能力に目覚めてからはゲーム感覚で能力者狩りをすることを唯一の生き甲斐にしており、ヨハン・ウィルのそれぞれの裏切りの際にはその欲のため自分の意思でそちらについている。自分を倒した氷頭の言葉の数々を一度は拒絶したものの、心中には変化があり、後にウィルに敗れて死亡したサイケらを救うために2つ目の能力を使用し、ウィルへの協力を放棄してその場を去った。
鎖化
発動条件は不明。体の様々な部位や持っているものが起点となり、複数同時に出すこともできる。離れたところから鎖を操作して敵を拘束したり、自分の髪の毛を鎖に変えて前方の壁に突き刺し、身体を勢い良く引っぱることでワイヤーアクションのように猛スピードで突進することも可能。
勇者の特権(セーブ&コンティニュー)
ヒ号捜索時に噛みつかれたことで発現した、サイケと同じ時間逆行能力。氷頭に敗北して「コンティニューする限り勇者である自分に負けはない」と念じていた時のことであったため、このような能力となった。発動時から1,2,3時間前のいずれかを選んで巻き戻ることができる。発動条件は特にないと思われる反面、一度の発動で寿命を年単位で消費する。発動する際にはゲーム機のコントローラーが現れてそれを操作し、ロールプレイングゲームのコンティニュー画面を模したような選択肢が表示される。
鎖化
峰岸マサムネ(みねぎし マサムネ)
無敵優子(むてき ゆうこ)
椎名町雪(しいなまち ゆき)
東雲静丸(しののめ しずかまる)
ウーズラ
その他の能力保持者
黒髪のロン毛男
モヒカン男
Dr.ミュウトン
猫カフェの店長
田谷(たたに)
逆神夕貴(さかがみ ゆうき)
「眠らせ魔」として原因不明の眠り病を引き起こしている張本人。一見すると長身のイケメンだが、その内面は極めて利己的かつ身勝手。自分の思い通りにならない現実から逃避し、眠り病に陥らせた人々が己に媚びる様を見るのが何よりの愉しみで、その被害人数は1,000人に迫っている。仲間と共に一度はユメヲ、氷頭、アナを返り討ちにしたが、魔胡に助けを求められたサイケのループ戦法によって、能力や手の内を全て暴かれ敗北。夢の中なら全てが思いのままと豪語しつつ、能力解除は出来ないことを盾になおも挑発的な態度を崩さなかったが、最後はユメヲの『能力消去』によって能力を手放した。
夢SNS(ゆめソーシャルネットワークサービス)
「世界種(ワールド)」。近年、巷で騒がれている眠り病の原因である能力。発動条件は『相手に目を閉じさせる』『相手のアゴに触れる』『合言葉(「ドリームランドへようこそ」)を言う』の3つを同時にクリアすること。能力が発動すると、相手の魂を自分の頭の中にある『ドリームランド』に取り込める。取り込まれた魂はドリームランドの中で逆神の従順な下僕になり、彼にひたすら媚びて奉仕するだけの存在になってしまう。また、取り込んだ魂の特技(空手家の回し蹴り、ボクサーのスウェーなど)をコピーして現実で使うことも可能。一旦取り込んだ魂を解放することはできない、というよりする気が全くないため、眠り病を治すにはこの能力自体を消去するしかない。
王 澤(ワン チウ)
イゴール・アシモフ
ラジュ
クマリ / ランビデ
癒やし神 / プン
完全治癒の能力保持者であるネパールの山奥の村の長老。90歳だが、能力の代償で赤ん坊の姿になっており、登場時にはあと1回の行使が限界と見込まれる状態。村の繁栄を何より願う良識的な人物であり、目覚めた当初は能力を分け隔てなく使用していたが、使用回数が有限と知って方針を変更し、対価として多くの金銭を得ることで村を富ませることを選んだ。結果、村は山奥にありながら首都カトマンズと見紛うほどに発展している。対外交渉の手札としてヨハンに狙われており、洗脳が解けた峰岸から情報を得たサイケらも死に瀕するサイケを回復してもらうために彼を探すこととなり、両者の間でその身柄を奪い合われることとなる。村のため、当初はサイケに能力を使うことを拒否したが、争奪戦の後に寿命を使い果たしたサイケに能力を使用。使用すると胎児の状態まで若返った結果死ぬものと考えられていたが、実際には能力が失われるだけで、肉体はむしろ正常に加齢し始めるようになり、無事に終わっている。
平安英雄(ひらやす ひでお)
神宮寺甲太郎(じんぐうじ こうたろう)
町でサイケとアナが出会った兄弟の兄。トンガリ頭で常にタンクトップ姿、筋肉質な肉体を持つ。常に仰々しく、弟・乙二郎に対しては偉大な兄として振る舞い、漫才じみた掛け合いを日常のように披露する、義に篤い正義漢。両親が他界しており貧乏暮らしであり、御針勇童に能力を使った犯罪行為に誘われているが断固拒否するも、乙二郎を人質に取られてやむなく協力、結局失敗したうえに罪をなすりつけられる結果に終わるが、サイケに助けられて事前に御針を打倒し、兄弟揃って救われた。その後もあくまで一般人として過ごしているが、ヨハンとの戦いにおいて助力している。
後に、普段から披露していた乙二郎との兄弟ラップを「甲乙☆丙丁」の名義で動画サイトにアップロードしたところ人気を博し、ファンイベントが開催されるほどになった。この時に現れた暴漢に対して躊躇なく能力を使って撃退した姿は、彼の人徳のおかげもあって能力保持者に対する差別を和らげる大きなきっかけになった。
神宮寺乙二郎(じんぐうじ おつじろう)
御針勇童(みばり ゆうどう)
ヒ号
三色スミレ(さんしき スミレ)
大学時代のヨハンとシルヴァが「能力の起源」を探るために参加した、メキシコ・マナ遺跡の研究チームのメンバーの1人である女性。ヨハンとシルヴァと同様に「能力の起源」に関心を持っている能力保持者だが、能力保持者ゆえの苦悩を感じさせない明るい性格。「力の煙」を見ることができ、2人に自分から声をかけて能力を明かしたことから打ち解けていき、2人の初恋の人となった。実は肺の病を患っていて余命幾許もなく、古代の遺物である「箱」を3人で発掘している最中に倒れ、危篤の状態となってしまう。必死に箱を発掘した2人が、その行動を訝しんだ発掘チームによる妨害を跳ね除けて病院に駆けつけるも「箱」は開けることができないまま間もなく事切れてしまい、この一連の出来事がヨハンを豹変させる原因となった。
バックス
チューリップハットを被り、所々抜けた歯並びの目立つ、貧相な男。70年以上前から能力を活用して金銭と引き換えに顧客を若返らせるビジネスを営んでいた。客として訪れたウィルの能力で洗脳され、「1年ごとにウィルを1年若返らせ、永遠に6歳の姿でいさせる」ことを命じられる。保有する能力の強力さに反して、腰の低い言動と地道な生き方をしていた、能力に溺れていない常識人。
対象を若返らせる能力(仮称)
「操作種(コントロール)」。発動条件は特にないと思われる。どの程度若返らせるかは自由自在だが、一旦若返らせた対象を元に戻すことを含め、対象の時間を前向きに進めることはできない。自分自身も対象に出来るようで、ウィルに命じられて、70年以上変わらない外見を保っている。より正確には「物体の時間を巻き戻す」能力。目立った発動条件がなく、どんな致命傷も事実上無効化させ、病や肉体の欠損も後天性なら完治可能、さらに死の直後なら身体の修復による蘇生まで出来るというきわめて強力な能力。ただし、『時間逆行』と同様に記憶の保持による脳の酷使は伴ってしまうため、若返り続けても無限の寿命を得ることはできない。
対象を若返らせる能力(仮称)
ルカ・ヴァレンティノ
ウィルの協力者の一人。ぱっつん頭で糸目の青年。マゾヒスト(ただし、能力を利用したうえでのこと)で女嫌い。頻繁に肩を鳴らすが、これは肩こり持ちなのが原因な様子。変態呼ばわりされても開き直るなどコミカルな振る舞いもするが、性根は残虐非道。能力は攻撃に寄与しないため、ナイフを凶器として戦う。アナの苛烈な攻めに惚れ込むが途中で興醒めし、能力に適切に対処して殺害。巻き戻し後はサイケと戦い、調子に乗って攻撃を受け続けている間にアナが合流して拘束され、全身を負傷した状態で快感を伴う肩もみをされることで「能力を適用すれば肩もみの快感で、解除すれば肉体のダメージで激痛が襲う」という状態に追い込まれ、先に進むための暗証番号を聞き出されつつ倒れた。
ペドロ・バルセラータ
ウィルの協力者の一人。職業は悪役レスラーで、屈強な肉体の持ち主。若い頃から悪役レスラーを志していたが、心優しくぬいぐるみ作りが趣味という善良そのものな人物であり、恋人のカリナに「悪役レスラーになるのを諦めるか私と別れるか、5秒以内に選んで」と問われ、答えられなかったために別れることとなった経験がトラウマとなり、その時に欠けていた「決断力」を何よりも重んじるようになり、決断力を磨き上げるために能力を用いた戦闘を繰り返している。初戦では慎重を期し過ぎたヨハンを打突の一撃で殺害するが、巻き戻し後はアナと戦い、向かってくることを見越して能力で張り巡らされた罠に引っかかり敗北。アナから「決断力も大事だけど、『相手の気持ちを考える』ことも大事」と指摘されたことで、本当に必要だったものはそちらだったのだと自省した。
シグ・ユンファ
その他の人物
眼鏡の少年
黒田ミユキ(くろだ ミユキ)
用語
能力(オラクル)
本編より3年後に起こる、「火山の一斉噴火による人類滅亡」を阻止するために何らかの原因で誕生・増加しているものとされる。
力の煙
一部の能力保持者が視覚、あるいは嗅覚で感知することができる、能力保持者の肉体から常時発せられるもの。この感知は必ずしも先天的ではなく、感知できる者が伝授してコツさえ掴めば後天的にも得ることができる。実は能力保持者が持つエネルギーそのものであり、これを結集することで火山噴火を一つ一つ阻止することが可能となる。
力の煙
モグラ池
箱
万物の記録(アカシックレコード)
書誌情報
- 福地翼『サイケまたしても』 小学館〈少年サンデーコミックス〉、全15巻
- 2014年11月23日発行(2014年11月18日発売)、ISBN 978-4-09-125523-5
- 2015年2月23日発行(2015年2月18日発売)、ISBN 978-4-09-125609-6
- 2015年8月23日発行(2015年8月18日発売)、ISBN 978-4-09-126218-9
- 2016年1月23日発行(2016年1月18日発売)、ISBN 978-4-09-126700-9
- 2016年6月22日発行(2016年6月17日発売)、ISBN 978-4-09-127169-3
- 2016年9月21日発行(2016年9月16日発売)、ISBN 978-4-09-127336-9
- 2017年1月23日発行(2017年1月18日発売)、ISBN 978-4-09-127487-8
- 2017年3月22日発行(2017年3月17日発売)、ISBN 978-4-09-127514-1
- 2017年7月23日発行(2017年7月18日発売)、ISBN 978-4-09-127673-5
- 2017年11月22日発行(2017年11月17日発売)、ISBN 978-4-09-127874-6
- 2018年2月21日発行(2018年2月16日発売)、ISBN 978-4-09-128086-2
- 2018年6月23日発行(2018年6月18日発売)、ISBN 978-4-09-128259-0
- 2018年9月23日発行(2018年9月18日発売)、ISBN 978-4-09-128398-6
- 2018年12月23日発行(2018年12月18日発売)、ISBN 978-4-09-128596-6
- 2019年2月23日発行(2019年2月18日発売)、ISBN 978-4-09-128788-5