小説

サイボーグ・ブルース


題材:サイボーグ,

主人公の属性:サイボーグ,



以下はWikipediaより引用

要約

『サイボーグ・ブルース』は、平井和正のSF連作短編小説。1968年から1969年にかけて『S-Fマガジン』に発表され、単行本は1971年に発売された。

後年、秋本シゲルにより漫画化された(徳間書店の雑誌『リュウ』に掲載)。

概要

時代は未来、世界連邦が発足していた。各国の軍隊の解体と同時に、クライム・シンジケートに凶悪犯や社会不適合者、超兵器が流出、世界の脅威は増大した。これに対処すべく、サイボーグ特捜官が誕生した。

黒人警官アーネスト・ライトは、同僚に狙撃され殉職したが、サイボーグ特捜官として再生させられた。クライム・シンジケートばかりではなく、腐敗した警察機構をも憎むアーネストは、サイボーグ特捜官(警察機構の一員)である事を嫌悪し、辞職する。

「魂」を持ったアンドロイドとの出会い、不可思議な「ダーク・パワー」との接触を経て、アーネストは、シンジケートと対立する。忘れようとしていた過去との対面を経て、彼はシンジケートと連邦の真実を知らされた。アーネストは、シンジケートの手に陥るが、その時、ダーク・パワーが彼を捕らえた…。

章題
  • 第1章 ブラック・モンスター (S-Fマガジン1968年5月号)
  • 第2章 サイボーグ・ブルース (S-Fマガジン1968年10月号)
  • 暗闇への間奏曲 (S-Fマガジン1969年6月号)
  • 第3章 ダーク・パワー (S-Fマガジン1968年11月号)
  • 第4章 シンジケート・マン (S-Fマガジン1969年2月号)
  • 第5章 ゴースト・イメージ (S-Fマガジン1969年3月号)

※本作はアーネスト・ライトの一人称小説であるが、「暗闇への間奏曲」は三人称で書かれており、アーネスト・ライトは登場しない。

執筆の経緯

『8マン』の小説化として構想されたが、設定の一部を除いて別物となった。作者は「8マンへの鎮魂歌」として本作を執筆したと言う(星新一の解説による)。

書誌情報
  • サイボーグ・ブルース(単行本(日本SFノベルズ)、早川書房、1971年)
  • サイボーグ・ブルース(角川文庫、1974年)
  • 平井和正全集9 サイボーグ・ブルース(単行本、リム出版、1991年)
  • 日本SF傑作選4 平井和正 虎は目覚める/サイボーグ・ブルース(日下三蔵編集、ハヤカワ文庫JA、2018年)
8マンとの対比

共通点
殉職警官である。 加速性能を持っている。 ナイフを使用することがある。
相違点

8マンとの対比(相違点) 8マン サイボーグ・ブルース 時代 連載当時の現代 未来(早くとも21世紀中盤から後半) 舞台 日本(連載誌が発行されている国) アメリカ ボディ 電子頭脳を備えたロボット(アンドロイド) 人の頭脳を持つサイボーグ 性描写 掘り下げた描写はない。 「性」はキーワードとなっており、アーネストは「暖かい肉体を持っていない」事をコンプレックスとしている。 組織・同僚 8マンの製造者である谷博士を除き協力者と呼べる同類がいない。 サイボーグ特捜官は組織の一員であり、複数の同僚が存在し、上司の指揮下にある。 上司 直接的な上司ではないが警視庁の田中課長は、人情に厚い。 サイボーグ特捜官を仕切るブリュースター長官は、冷徹な政治家である。

後発作品への影響

本作は一人称小説である。この後、『アダルト・ウルフガイ』シリーズや、『8マン 魔人コズマ篇最終回』も一人称で書かれている。

平井によれば、「生身の体で人間と交われる犬神明は、8マンの憧れ」である。

備考
  • 地域国家は存在している。国家や州によっては、法律が違う。アメリカでは「人間そっくりのアンドロイド」は違法。
  • アーネストはブルース歌手を目指したことがある。「ブルースには魂(ソウル)が必要」であり、サイボーグとして蘇生した彼の声帯では、ブルースは歌えない。ロボット(アンドロイド)にはブルースは歌えない、とアーネストは思っていた(後述)。
  • サイボーグ特捜官の天敵として、殺し屋サイボーグも存在する。サイボーグ特捜官には殺し屋サイボーグが見抜けるが、その逆は不可能という(殺し屋サイボーグによる)。
  • ニューヨークが「古都」的な扱いを受けている。
高性能のアンドロイド

本作には、高性能のアンドロイド(超A級、特A級)が4体登場する。

特A級(1体)
第2章「サイボーグ・ブルース」に登場する黒人の執事。ブルースを歌うことができる(そのことにアーネストは衝撃を受ける)。

超A級(3体)
1体目は第1章「ブラック・モンスター」に登場。描写が短いため詳細は不明。ただし「恐怖を感じる能力があるようだ」とアーネストに推測されている。 2体目は第2章「サイボーグ・ブルース」に登場。セックスも行っているが、誰にもアンドロイドだとは気付かれていない。 3体目は「暗闇への間奏曲」に登場。「自己防衛(自己保存)」の本能(?)を持っており、殺人を行う。

以上4体のうち、特A級はアンドロイドだとすぐに見抜かれているが、超A級は見抜かれていない(ただし、アーネストが出会った超A級は2体目のみ)。「超A級」は、外見や能力・行動からは見抜けないぐらい精巧にできている。3体目の超A級アンドロイドによると、アメリカでは、「人間そっくりのアンドロイド」は非合法、とのことである。