シュピーゲル・シリーズ
小説:オイレンシュピーゲル
著者:冲方丁,
出版社:角川書店,
掲載誌:ザ・スニーカー,
レーベル:角川スニーカー文庫,
巻数:全4巻,
小説:スプライトシュピーゲル
著者:冲方丁,
出版社:富士見書房,
掲載誌:ドラゴンマガジン,
レーベル:富士見ファンタジア文庫,
巻数:全4巻,
小説:テスタメントシュピーゲル
著者:冲方丁,
出版社:角川書店,
レーベル:角川スニーカー文庫,
巻数:全5巻,
漫画:オイレンシュピーゲル
原作・原案など:冲方丁,
作画:二階堂ヒカル,
出版社:講談社,
掲載誌:月刊少年シリウス,
発表期間:2009年12月26日 - 2012年12月26日,
巻数:全7巻,
漫画:スプライトシュピーゲル
原作・原案など:冲方丁,
作画:中嶋ヤマト,
出版社:少年画報社,
掲載誌:ヤングキングアワーズ,
レーベル:ヤングキングコミックス,
発表期間:2011年3月30日 - 2012年12月28日,
巻数:全3巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『シュピーゲル・シリーズ』は、冲方丁による日本のライトノベル。『オイレンシュピーゲル』(EULEN SPIEGEL)と『スプライトシュピーゲル』(SPRITE SPIEGEL)と『テスタメントシュピーゲル』の3つの作品にまたがって展開されている。『オイレンシュピーゲル』、『テスタメントシュピーゲル』は角川スニーカー文庫(角川書店)より刊行され、イラストはオイレンシュピーゲルが白亜右月(原案:島田フミカネ)、テスタメントシュピーゲルが島田フミカネ。『スプライトシュピーゲル』は富士見ファンタジア文庫(富士見書房)より刊行され、イラストははいむらきよたかが手がける。
概要
舞台は西暦2016年の国連管理都市ミリオポリス(かつてのウィーン)。極度の少子高齢化と犯罪・テロの増加を背景に児童労働と身体障害児に対するサイボーグ化が認められている。サイバーパンク的な架空の近未来が舞台ではあるが、9・11等の事件や国際問題、差別・貧困・テロリズムなどの現実の社会情勢を豊富に盛り込むことで、現在の世界の先にありえるかもしれない未来社会として描写している。
『オイレンシュピーゲル』は、警察組織MPBの飼い犬となり、機械の手足を得て街を縦横無尽に駆けめぐる「黒犬」「紅犬」「白犬」と呼ばれる3人の少女の物語である。『スプライト』に比べ、戦闘シーンや主役3人の過去における残酷な描写が目立つ。また掲載誌の『ザ・スニーカー』(角川書店)で読者からアイディア募集を行い(衣裳など)、実際に作中に登場させている。『エースアサルト』2007 WINTER号から2008 SUMMER号まで曽我部修司の作画による漫画版が連載され、『月刊少年シリウス』(講談社)では二階堂ヒカルによる作画の漫画版が2010年2月号から2013年2月号まで連載。タイトルの「オイレンシュピーゲル」はドイツ語で「フクロウと鏡」(どちらも知性の象徴)の意味。ドイツの伝説的ないたずら者ティル・オイレンシュピーゲルから。作中では「死に至る悪ふざけ」のルビが振られている。
『スプライトシュピーゲル』は、公安警察MSSに所属し、電子の羽根を得て街を翔び回る〈紫火〉〈青火〉〈黄火〉と呼ばれる3人の少女の物語である。『オイレン』に比べ、主役3人に限らず脇役の大人たちに対する描写にも頁を割き、MSSという組織全体としての活躍を描いている。各章冒頭+作中でギリシア神話に関する三択クイズが出される。タイトルの「スプライトシュピーゲル」はsprite(=英語で「妖精・小鬼、雷雲上の発光現象」)、spiegel(=ドイツ語で「鏡」(「物語」の意味でも使われる))の意味。作中では「妖精たちの物語」のルビが振られている。
『テスタメントシュピーゲル』は、『オイレンシュピーゲル』・『スプライトシュピーゲル』の合流となるシリーズ完結篇である。非常に登場人物が多く、巻頭の登場人物リストには総計52人が記載されている。『オイレン』以上に残酷な描写が強く、『マルドゥック・ヴェロシティ』にて使用されたビジョンの表現が導入されている。挿絵は口絵以外にはない。
『オイレンシュピーゲル』と『スプライトシュピーゲル』で世界設定やキャラクター等がリンクしている。さらに『オイレン』第弐巻と『スプライト』第II巻、『オイレン』第肆巻と『スプライト』第IV巻では同一の事件がそれぞれのシリーズの視点から展開される。
もともとは著者が第1回の受賞者であるスニーカー大賞の10周年特集の読み切り短編として、「オイレンシュピーゲル」が角川書店の雑誌『ザ・スニーカー』2004年12月号に掲載された。著者はその世界の中に別の物語を見出し、2つの物語の絡み合いを書くために『ザ・スニーカー』の「オイレンシュピーゲル」と富士見書房の雑誌『ドラゴンマガジン』の「スプライトシュピーゲル」の2誌同時連載が2006年4月に開始した。2007年2月1日に角川スニーカー文庫の『オイレンシュピーゲル』、富士見ファンタジア文庫の『スプライトシュピーゲル』それぞれの第1巻が同時発売され、2009年現在続刊中。2009年から最終章の『テスタメントシュピーゲル』が展開されている。
『カオス レギオン』・『マルドゥック・ヴェロシティ』でも使用された「/」「=」「+」などの記号やルビを多用した特徴的な文体が10年後の未来の物語に向き合うために使用され、疾走感やキャラクターの属性を強調した独特の文章を作り上げている。
冲方丁は『テスタメントシュピーゲル1』において、シュピーゲル・シリーズ完結をもってライトノベル作家を引退することを宣言し、帯には「最後のライトノベル」と書かれた。
登場人物
〈猋(ケルベルス)〉
『オイレンシュピーゲル』の主役3人が所属する、MPB遊撃小隊の一つ。14歳の特甲少女3人から構成。主な任務は犯罪者の制圧確保及びド派手な衣裳によるMPBの広報キャンペーン。
涼月(スズツキ)・ディートリッヒ・シュルツ
〈猋〉の小隊長・突撃手(スターマン)。コードネーム「黒犬(シュヴァルツ)」。通称「対甲鉄拳(パンツァーファウスト)の涼月」。黒髪短髪・黒眼・貧乳。
超振動型雷撃器内蔵の両手足で肉弾戦を挑むボクサー。
短気。目立つ敵にはすぐにつっかかる。無類の一騎討ち好き。戦闘前にしばしばファックサインをする。
父親はトルコ系移民、母親はオーストリア貴族。先天性の末端神経障害のため、物を掴むことも歩くこともできずにいたが、娘の障害を認めなかった両親が医師に見せなかったため病状が悪化。逃げ出して病院まで這っていき、機械化児童となる。この際のガッツを買われ、小隊長に任命された。機械化後もトラウマから自ら手を開くことができなかったが、〈子供工場〉で出会った夕霧により心を開く。
実際は移民であった父は市民権を獲得しておらず、保険の適用外であったため、涼月の治療には莫大な治療費がかかり、親権を抹消して労働児童として登録することを両親から離れることを嫌がった涼月自身が拒否した。父親は莫大な借金をすることで涼月を治療したが、福祉局の判断で子供を育てる能力がないとして親権を剥奪されてしまった。
「幸福な家庭」を心の底で渇望しており、自分が得られなかった「幸福な家庭」に育った人間に、激しい嫉妬と劣等感を抱えている。
14歳にしてヘビースモーカー。銘柄はショートホープ(=「はかない希望」)。
「A.S.A.P.(=As Soon As Possible: 可能な限りさっさとやれ)」の刻印入りジッポーを愛用。
特甲児童としての労働期間を短縮するためにこっそり勉強している(得意科目は語学)。実は整理魔。乱視が入っており、非番時は眼鏡っ子。
『スプライトシュピーゲル』の主人公の一人、鳳(アゲハ)がかつて人格改変プログラムの影響で暴走した際にそれを食い止めたことがあるらしい(ただし、その記憶は抹消されている模様)。
陽炎(カゲロウ)・サビーネ(ザビーネ)・クルツリンガー
〈猋〉の狙撃手(スナイパー)。コードネーム「紅犬(ロッター)」。通称「魔弾の射手(フライシュッツ)の陽炎」。赤髪・灰眼・発達した超モデル体型。
右腕と一体化した巨大な超伝導式ライフルと各種探査能力による精密射撃を行う。
「S∽I」(=「彼女 (Sie) 」と「私 (Ich) 」は相似である)マークのケースレス弾を使用。
冷静沈着なニヒリストの「私」の中に直情的で奔放な「彼女」という別人格(心の声?)を持つ。
幼少時から自分のことを「彼女」と呼ぶ癖があった。8歳の時狩猟中の父親に過失で撃たれ、四肢麻痺となる。奴隷のように尽くす父と2人きりで暮らすうちに近親相姦に陥り、また目前で父の自殺を見届けたことで激しいショックを受け、解離症状を呈する。〈子供工場〉で覚えた「S∽I」をキーワードに、自我の統一を図っている。ここで出会った夕霧を追って警察入隊。
「父様」の面影のある男を誘惑し、父と同じような破滅に追い込みたいという強迫観念がある。
「克服あれ」(父所属のライフル友愛会の標語)と囁く声が心の奥の6000万光年ほどの彼方から聞こえるらしい。
情報マニアで、解説役。ガムを正確な八拍子で噛む。片付け下手で自室はカオス。おっさん趣味。乙女化進行中(対ミハエル中隊長限定)。
夕霧(ユウギリ)・クニグンデ・モレンツ
〈猋〉の遊撃手(ショート)。コードネーム「白犬(ヴァイス)」。通称「悪ふざけ(オイレンシュピーゲル)の夕霧」。金髪・碧眼・ユダヤ系。
腰の特大パイルバンカーと両手指から放射する幅2ミクロンのワイヤー10本で相手を切断する、歌って踊れる殺人ミキサー。
天真爛漫を通り越した重度の天然ボケ電波娘。心優しい性格で常に笑顔を絶やさない。
歌とダンスと平和が大好き。「銀行強盗シンフォニー」「テロリストソング」等、不謹慎な歌を全チャンネル無線で歌っては通信班にフィルターを掛けられている。
母親と2人で極貧ながら幸せに暮らしていたが、夕霧の学費を得るために麻薬取引の金を掠め取った事で追われた母が娘を逃がすため、孤児の機械化児童として市の所有物とする道を選択。夕霧を児童福祉局前のビルから転落させる。収容された〈子供工場〉で涼月・陽炎と出会う。手足の操縦訓練では抜群の成績を叩き出し、専門職コースから警察に入隊。
今でも母にもらった電池切れの携帯電話で「ママと話ができる」と信じている。
ミュージカル調空想癖あり。三人娘の一番人気でマスコミに引っ張りだこ。
テレパシー並みの電波的直感で他人の心を察するが、第参巻の白露との出会いを通じ、あらゆる人間の「痛み」(悲しみ、恐怖など負の感情の総称)をも感じるようになる。
〈焱の妖精(フォイエル・スプライト)〉
『スプライトシュピーゲル』の主役3人が所属する、MSS要撃小隊。特殊空戦機動型(〈燐晶羽(フェデール)〉と呼ばれる昆虫の羽根をモデルにした高機動特甲を装備)の特甲少女3人で構成。〈羽〉は脳への負荷と中枢神経系へのストレスが大きく、代償として過度の味覚刺激を求める副作用がある。
鳳(アゲハ)・エウリディーチェ・アウスト
小隊長・要撃手(サプライザー)。コードネーム〈紫火(アメテュスト)〉。15歳。
ウェーブがかかったロングヘア。紫色の瞳。紫のリボンベルト。紫のピンストライプのタイと紫ずくめ。〈転送〉後は紫のアゲハチョウの羽が背中に生える。
左目に海賊傷(人格改変プログラムを適用され暴走した時のもの、鳳自身は当時の記憶を抹消されている)。
身長より大きい12.7ミリ超伝導式重機関銃を片手で抱え、掃射攻撃を行う。副次装備としてリボルバー式グレネードも使用。
上品な優等生だが勝ち気で口も達者、キレると非常に怖い。9ミリ拳銃を常時携行、やる気のない乙と雛に活を入れる。
由緒正しいドイツ家庭に生まれたが、遺伝病のため学校にも通えず家で過ごした。両親が没頭していたカルト教団の砦から餓死寸前の弟妹を救うため一人逃げ出すが、オルフェウスの様に途中で振り返って戻ってしまい、砦の自爆に巻き込まれる。その後児童福祉局で機械化され、螢・皇らとチームを組む。当時は泣き虫だった。
犯罪者や暴力を振るう人間には厳しい反面、たとえテロリストでも子供に対して非常に甘く、命令違反することも珍しくない。
星占い好き。出撃前のおまじないを欠かさない。毎回ギリシア神話に関する三択クイズを出す(これらはかつてのチームメイトたちの習慣をそのまま継承している)。
将来は国連調停官になり、世界の争いをなくすのが夢。スクリーンセーバーには父に教わった胡蝶の夢を使用。極辛党。Fカップらしい(本人は大きすぎて悩んでいる)。
かつて人格改変プログラムの影響で暴走した際、『オイレンシュピーゲル』の主人公の一人である涼月(スズツキ)の手で暴走を止められたらしい(ただし、その記憶は抹消されている模様)。
乙(ツバメ)・アリステル・シュナイダー
小隊の迫撃手(モータル)。コードネーム〈青火(ザーフィア)〉。
蒼い眼。ツインテールの髪。青いスカート。ニーソックス。〈転送〉後は青いトンボの羽が生える。
肉弾戦が得意。両肘から伸びる超高熱の灼刃(ヒートブレイド)で相手を溶解・切断する。
理由なき反抗娘。目立ちたがり。不良口調。ニヒリストで口が悪い。その性格ゆえよく鳳と衝突する。
胸の中で“時計ワニ”がチクタクチクタクと時を刻んでおり(実際にはペースメーカーの音)「このままドキドキし続ければパパとママにもう一度会えるかもしれない」と囁いているらしい。
8歳時に両親が離婚、乙を親戚に預けるため3人で乗った飛行機がハイジャックされ墜落(軍による撃墜の噂もある)。両親を含む乗客乗員はシートベルトで身体を両断され死亡。シートベルトに“縛られている”と感じ、直前にベルトを外して走り出した乙一人だけが、乗客の遺体がクッションとなって一命を取り留める。
この「ルフトハンザ391便ハイジャック事件」はある男を殺すために仕組まれた事件であり、墜落の原因はホイテロートによる爆破。
この事故の“ドキドキ”の記憶と両親の思い出は乙の内面で不可分のものとなっており、両親に再会するためのさらなる“ドキドキ”を渇望している。
香港でカンフー映画に出演するのが夢。ゲーム好き。極甘党。いつもロリポップを齧っている。三択では必ずBを選ぶ。
雛(ヒビナ)・イングリッド・アデナウアー
小隊の爆撃手(ボンバー)。コードネーム〈黄火(トパス)〉。13歳。
琥珀の目。金色のショートヘア。黄のリボンタイ。芥子(からし)色のスカート。〈転送〉後は黄色のスズメバチの羽が生える。
武器は右手の火炎放射器と左腕の円筒形ポッドから展開する連結式爆雷。他にもプラスチック爆薬・手榴弾・対人地雷・トラップ等を使用。両手指は工作機械化も可能。
他人の話を聞かない自己完結電波娘。内向的で人間不信気味。危険を感じると「黄色い」「夕日」「ぶんぶん鳴ってる」等表現する。
過去の経験から男性不振の傾向があり、性的危険に敏感なためか一人称がボクで自分を男の子だと主張している。
幼少時から電波的直感が非常に鋭く、カルト信者の父親含む周囲の男性から自分に降りかかるであろう危険を察知していたが、性格ゆえその根拠を明確に言語化して説明できなかったため、誰にも信じてもらえないということが続いていた。ある日、映画『ターミネーター』で「危険の原因は全て未来にあり、それを知らないものには説明も解決もできない」と言う観点を得て自らの不安に形をつける。危険に対抗するため、作中で使われたパイプ爆弾の製造法を検索するうち、偶然繋がったプリンチップ社のサイトで爆弾製造技術を催眠学習するが、自作爆弾を持ち込んだスクールバスが事故に遭い暴発、重傷を負う。
常にヘッドホンと旧式iPodを装着し、大音量で音楽(主にクラシック)を聴いている。CDショップを開き、一日中音楽を聴くのが夢。酸味党。三択では必ずCを選ぶ。
MPB(ミリオポリス憲兵大隊)
オーストリア国家憲兵隊の一部隊。突出した重武装で凶悪犯罪に対処する。
吹雪(フブキ)・ペーター・シュライヒャー
フランツ・利根(トネ)・エアハルト
ミハエル・宮仕(ミヤシ)・カリウス
MPB〈怒濤(ドランク)〉中隊長。経験豊かな凄腕の狙撃手。漢字の「中(アタル)」マークのケースレス弾を使用。
〈特憲〉の斥候狙撃部隊〈赤のジャック(ロートバオアー)〉元隊長。傭兵となって世界を股にかけ大金を稼いでいたが、「ライフルの汚れ」を自覚し脱退。狙撃手として見込んだ陽炎に、傭兵仲間の証であった「中」の麻雀牌を贈る。
アフリカ南部で活動していた際にゲリラと戦っていたミハエルは、その末端である児童たちを殺してしまったことから、ライフルに汚れがこびりついている幻覚に苛まれていた。それを見かねた〈赤のジャック〉のメンバーは、ミハエルにもう一度子供を撃たせることでそのトラウマを払拭しようと考えた。そしてベルナルド・ジュリーニとその血縁とアルブレヒト・アイスラー殺害の依頼を受け、「ルフトハンザ391便ハイジャック事件」と「医師狙撃事件」を実行した。そして「医師狙撃事件」の罪をライフル友愛会になすりつけるため、友愛会のメンバーの娘が父親の過失で銃撃されたという状況を演出した。つまり〈赤のジャック〉こそが幼い陽炎を狙撃した真犯人。それを機に再びライフルを握れるようになったミハエルだったが、ある日他のメンバーが陽炎が生存していることを知る。陽炎にとどめを刺そうとする仲間と対立したミハエルは3人と殺し合い、左肺を失う重傷を負ったものの生き残り、オーギュストに拾われてMPBに所属することになった。
ミゲル・千々石(チヂワ)・ベイカー
MSS(ミリオポリス公安高機動隊)
情報収集と要撃による都市全域警備を目指す独立部隊。情報収集のエキスパート。長く実戦力を持てずにくすぶっていたが、第I巻で公安局マスターサーバー〈晶(バク、正確には瞐:3つの目と書く)〉の独占使用を認められたため、〈焱の妖精〉の公式出撃が可能となった。
冬真(トウマ)・ヨハン・メンデル
トマス・ルートヴィヒ・バロウ神父
ニナ・潮音(シオン)・シュニービッテン
ヘルガ・不知火(シラヌイ)・クローネンブルグ
水無月(ミナヅキ)・アドルフ・ルックナー
シャーリーン・巫(カンナギ)・フロイト
旧要撃小隊
当時最年少の鳳を「お嬢様(フロイライン)」と呼び、出撃前のクイズや星占いを教えるなど可愛がっていた。人格改変プログラムを適用されたが、互いに殺し合うという事故が発生、公式記録上は行方不明。現在はトラクルへの復讐を誓いミリオポリスに潜伏しつつも、成長した鳳を遠くから見守っている。
オーストリア政府
BVT(憲法擁護テロ対策局)
エゴン・ポリ
国民党
社会党
テロリスト・敵対組織
プリンチップ株式会社 (Princip Inc.)
テロリストや犯罪傾向のある一般市民にプリンチップの刻印入りの高性能武器を供給する、ダミー会社を装ったテロ支援組織(ミリオポリスの法律では企業は刑事罰の対象にならないため)。
リヒャルト・トラクル
プリンチップ社のエージェント。禿頭。緑の目。陽気な口調の中年男性。小さな黒い手の模様のネクタイ(=黒手組)。自分の境遇に鬱屈している人間に突然接触し破壊活動を扇動する、劇場型テロの演出家。全ての人間に戦争をする理由を提供することを自らの使命とする。『スプライトシュピーゲル』『オイレンシュピーゲル』両シリーズの黒幕。
※両作第4巻現在、異なる2人が存在する。「トラクルおじさん」=国際空港で大演説をぶった方。象牙色のスーツ。自分では運転しない。『オイレン肆』ラストで顔の右半面に火傷。「リヒャルトさん」=『スプライトIII』で逮捕された方。漆黒のスーツ。自分で運転する。
特甲猟兵
〈キャラバン〉
テロ組織
各グループはプリンチップ社の計画の元に連携、〈アンタレス1140号〉を落下させ、強奪した原子炉からコードネーム〈666〉=核弾頭を製造、〈ヴィエナ・タワー〉への輸送リレーを行う。
〈待望の会〉
〈白き盾(ヴァイスシルト)〉
ヴェンツェル・エルメンライヒ
〈蟲(チオン)〉
その他
オットー・千代田(チヨダ)・ワイニンガー
カール・マキシム・フォルメルハウゼン
スレーブン
シュテファン・丈蛇(タケダ)・ツヴァイク
ウィリー・ココシュカ
ヨーゼフ・ハース
チェイス=ザ・サードアイ
他国機関
ターナー・カルテンボーン
パトリック・イングラム
デーヴィット・デューク・ブラックストーン
イザベロ・カンパネッロ
ピエール・バスティーユ
戦犯法廷
証人たち
虐殺の資金源について証言するため、国際法廷の証人として集まった7人の要人たち。ハルツーム政権の解体を通してアフリカ全土の兵器売買ネットワークをも解体し、50年後のアフリカに平和をもたらすことが彼らの真の狙いである。
マイトガング・ヴィッテルス
ブリギッテ・シュタイン
フランツ=ヨーゼフ・フェルディナント・フォン・ハプスブルク・ミッターマイヤー
ジャック・パーキンス(シモン・オルメルト)
ハロルド・レイバース
趙迅妹(チャオ・シュンメイ)
被告
アブドル・アツィム将軍
その他の登場人物
ゲオルグ・ヘンリケ・フォン・クルツリンガー
夕霧の母
鳳の家族
杜麟太郎
マルグリッテ・ルックナー
アダー・ガウス
ベルナルド・ジュリーニ
用語
機械化児童/特甲児童
また、機械化を受けた児童の中でも、〈特殊転送式強襲機甲義肢〉=通称〈特甲〉を国から支給され、治安維持に当たる少年少女のことを〈特甲児童〉と呼ぶ。
(〈特甲〉は国のマスターサーバーから〈転送〉を受けなければ使用できないが、破損した〈特甲〉は再度の〈転送〉を受ければ一瞬で無傷状態に復帰できる。また特甲には痛覚がない)
男子は軍属となることが多く、主に女子が都市治安を担っている。本来のコンセプトはプリンチップ社発案の人間兵器。
児童福祉局
貧窮した親が特に障害のない子供を向かいのビルから突き落とす事件が後を絶たない。
文化委託
またこの一つに、ランダムに決定される日本の漢字名(キャラクターネーム)を名乗れば毎月の保全金と社会保障が支払われる制度がある。漢字名は25歳(準成人時)にミドルネーム、35歳(成人時)にセカンドネームとなる。
マスターサーバー
超高度な演算能力と強力なアクセス権限を持ち、都市内の電子網を監視し、あらゆる電子機器へ干渉できる。 そのため、都市内での大規模破壊兵器の運用に対する抑止力となっている。
国家防衛を担う各省庁がそれぞれ保有しており、MPBの所有する<刕(レイ)>、MSSが1巻より独占使用を認められた<瞐(バク)>、兵器開発局が所有する<叒(カムキ)>などがある。
接続官(コーラス)
犠脳体兵器
機体に脳を移植するためには、生きている人間の脳を使用しなければならず、贄となる献体者を必要とする。
脳摘出後も肉体との電気信号を中継することで人間的な活動は可能だが、これが途絶えた場合(肉体自体が損傷して機能的な死を迎えたとき)、脳は人間としての機能を失い、兵器の中枢部となって破壊活動を開始する。
未成年兵士
また、もともと戦争と身体障害者(傷痍軍人)、肉体のサイボーグ化(義肢、パワードスーツ等)には密接な関係があった。
孤児の身体障害児であるヒロインたちが高価な機械の手足で生活できるのは、テロリズムに対する戦いを対テロ戦争として「常に世界中が戦時下にある状況」と見なした時、優秀な兵士がいくらでも必要とされるためでもある。
クーデター事件
“身代わり(ズュンデンボック)”
揺籃状態
EI(イースター・エッグ)兵器
“4JO(フィアー・ヨット・オー)”
特甲レベル3
レベル1は地上戦用、レベル2は空中戦用。基本装備では『オイレン』の3人はレベル1・B、『スプライト』の3人はレベル2・Aに相当。
特甲レベル4
人格改変プログラム
特甲児童たちの心身を“無モード”によって守ると同時に、何の苦痛もない“無モード”への過剰適応をも防止するはずであった。
だがプログラムが適用されたレベル3で、激しい攻撃意欲・他者認識能力の喪失による同志討ち等が認められたため、適用中断されている。
人格改変化も変通抑制も非常時において人間の心に起こるべくして起こることであり、レベル3の暴走においても何らかの引き金ではないかと推測されているが、真相は未だ不明である。
人格改変化
変通抑制
人格の時間面
フロー状態
リヴァイアサン(世界統一ゲーム)
“アイギス”
“サテュロス”
“アルキオネウス”
ブリリアント・モデル
ガラテア・コンプレックス
内的導引性ビジョン
ローデシア
アルレッキーノ
既刊一覧
角川スニーカー文庫
- オイレンシュピーゲル壱 Black & Red & White ISBN 978-4-04-472901-1 2007年2月1日初版発行
- オイレンシュピーゲル弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!! ISBN 978-4-04-472902-8 2007年6月1日初版発行
- オイレンシュピーゲル参 Blue Murder ISBN 978-4-04-472905-9 2007年11月1日初版発行
- アンタレス事件が解決し、束の間の休暇を得た3人。だが「吹雪との思い出」「古い子猫のぬいぐるみ」「バイオリン弾きの少年」を介して過去に向き合った彼女たちは、自分たちの記憶の空白に気づいていく。「初出撃の記憶」をキーに、3人の内面に迫る連作短編集。巻末におまけストーリーあり。
- オイレンシュピーゲル肆 Wag The Dog ISBN 978-4-04-472908-0 2008年5月1日初版発行
- 5月1日メーデー、ウィーン国際空港でエル・アル航空のジャンボジェットがハイジャック。実行犯はすぐに鎮圧されるが、直後空港内で同時多発テロが発生。さらに中国の最新鋭戦闘機が強行着陸、パイロットは亡命を希望するが直後に拉致される。ドナウ川氾濫で国際空港は孤立。一般人200人、空港職員たち、そしてパイロットと戦闘機を、MPBと〈特憲〉は守り抜けるのか?
- テスタメントシュピーゲル1 ISBN 978-4-04-472909-7-C0193 2009年12月1日初版発行
- 法廷事件の終結後、つかの間の平和を味わう涼月。吹雪とデートをして、幸福な時間を堪能していた。その最中起こった囚人護送バス襲撃事件。些細な事件かと思われたそれは、ヴァチカンの枢機卿暗殺事件とヘンリー王子射殺事件を巻き込んで大きくなる。捜査によって自らの過去に触れていく特甲児童達。
- そして、一人の少女が虚無へと墜落し、特甲児童に予期せぬ悲劇と狂気が襲い掛かる。
- テスタメントシュピーゲル2(上) ISBN 978-4-04-472911-0 2015年4月28日初版発行
- テスタメントシュピーゲル2(下) ISBN 978-4-04-103098-1 2015年5月30日初版発行
- テスタメントシュピーゲル3(上) ISBN 978-4-04-472912-7 2016年12月28日初版発行
- テスタメントシュピーゲル3(下) ISBN 978-4-04-105181-8 2017年7月1日初版発行
- アンタレス事件が解決し、束の間の休暇を得た3人。だが「吹雪との思い出」「古い子猫のぬいぐるみ」「バイオリン弾きの少年」を介して過去に向き合った彼女たちは、自分たちの記憶の空白に気づいていく。「初出撃の記憶」をキーに、3人の内面に迫る連作短編集。巻末におまけストーリーあり。
- 5月1日メーデー、ウィーン国際空港でエル・アル航空のジャンボジェットがハイジャック。実行犯はすぐに鎮圧されるが、直後空港内で同時多発テロが発生。さらに中国の最新鋭戦闘機が強行着陸、パイロットは亡命を希望するが直後に拉致される。ドナウ川氾濫で国際空港は孤立。一般人200人、空港職員たち、そしてパイロットと戦闘機を、MPBと〈特憲〉は守り抜けるのか?
- 法廷事件の終結後、つかの間の平和を味わう涼月。吹雪とデートをして、幸福な時間を堪能していた。その最中起こった囚人護送バス襲撃事件。些細な事件かと思われたそれは、ヴァチカンの枢機卿暗殺事件とヘンリー王子射殺事件を巻き込んで大きくなる。捜査によって自らの過去に触れていく特甲児童達。
- そして、一人の少女が虚無へと墜落し、特甲児童に予期せぬ悲劇と狂気が襲い掛かる。
富士見ファンタジア文庫
- スプライトシュピーゲルI Butterfly & Dragonfly & Honeybee ISBN 978-4-8291-1897-9 2007年2月5日初版発行(2007年2月1日発売)
- スプライトシュピーゲルII Seven Angels Coming ISBN 978-4-8291-1949-5 2007年7月25日初版発行(2007年7月20日発売)
- スプライトシュピーゲルIII いかづちの日と自由の朝 ISBN 978-4-8291-1973-0 2007年11月5日初版発行(2007年11月1日発売)
- 復活祭前のお祭り気分にはしゃぐミリオポリスで、次々に起こる高官暗殺、ウイルス感染、爆破テロ、そして裏切り───2016年3月24日聖木曜日の12時から、翌日聖金曜日の12時までの、MSSの嵐のような24時間を描く。巻末にタイムテーブルとおまけストーリーあり。
- スプライトシュピーゲルIV テンペスト ISBN 978-4-8291-3281-4 2008年4月25日初版発行(2008年4月19日発売)
- 5月1日メーデー、ミリオポリス内国連都市でエルファシルの虐殺(新たなダルフール紛争)を裁くため国際戦犯法廷が開かれる。証人の護衛を担うMSSだが、開廷目前に国連ビル内で同時多発テロが発生。敵は爆弾犯、第一の射殺犯、第二の射殺犯、2つの武装組織、そして2人の特甲猟兵。ドナウ川氾濫で国連都市は孤立、証人たちが一人また一人と殺される中、MSSと〈特憲〉の絶望的な攻防戦が始まる。『オイレン肆』と表裏一体の事件を追う長編「テンペスト」+鳳と冬真の初デート中編「フロム・ディスタンス 彼/彼女までの距離」を収録。巻末におまけストーリーあり。
- 復活祭前のお祭り気分にはしゃぐミリオポリスで、次々に起こる高官暗殺、ウイルス感染、爆破テロ、そして裏切り───2016年3月24日聖木曜日の12時から、翌日聖金曜日の12時までの、MSSの嵐のような24時間を描く。巻末にタイムテーブルとおまけストーリーあり。
- 5月1日メーデー、ミリオポリス内国連都市でエルファシルの虐殺(新たなダルフール紛争)を裁くため国際戦犯法廷が開かれる。証人の護衛を担うMSSだが、開廷目前に国連ビル内で同時多発テロが発生。敵は爆弾犯、第一の射殺犯、第二の射殺犯、2つの武装組織、そして2人の特甲猟兵。ドナウ川氾濫で国連都市は孤立、証人たちが一人また一人と殺される中、MSSと〈特憲〉の絶望的な攻防戦が始まる。『オイレン肆』と表裏一体の事件を追う長編「テンペスト」+鳳と冬真の初デート中編「フロム・ディスタンス 彼/彼女までの距離」を収録。巻末におまけストーリーあり。
文庫未収録
- オイレンシュピーゲル(イラスト:島田フミカネ、『ザ・スニーカー』2004年12月号掲載)
漫画版
オイレンシュピーゲル
- 画:曽我部修司、角川書店〈角川コミックス・エース〉全1巻
- ISBN 978-4-04-715253-3 2009年6月発行
- 画:二階堂ヒカル、講談社〈シリウスKC〉全7巻
- ISBN 978-4-06-376217-4 2010年4月2日発売
- ISBN 978-4-06-376242-6 2010年10月8日発売
- ISBN 978-4-06-376249-5 2011年1月7日発売
- ISBN 978-4-06-376269-3 2011年5月9日発売
- ISBN 978-4-06-376308-9 2011年11月9日発売
- ISBN 978-4-06-376341-6 2012年6月8日発売
- ISBN 978-4-06-376380-5 2013年2月8日発売
スプライトシュピーゲル
共に『ヤングキングアワーズ』(少年画報社)連載。
- 画:さめだ小判、少年画報社〈YKコミックス〉、全1巻
- ISBN 978-4-7859-3351-7 2010年4月2日発売
- 画:中嶋ヤマト、少年画報社〈ヤングキングコミックス〉、全3巻
- ISBN 978-4-7859-3733-1 2011年11月9日発売
- ISBN 978-4-7859-3857-4 2012年6月8日発売
- ISBN 978-4-7859-4014-0 2013年2月8日発売