シュマリ
以下はWikipediaより引用
要約
『シュマリ』は、手塚治虫による日本の漫画。『ビッグコミック』(小学館)1974年6月号から1976年4月号まで連載された。
概要
明治政府によって次第に開拓され、アイヌも自然も追いやられている明治の初めの北海道を、一人の男の目から描ききる大作。映画的な描写と壮大な歴史背景の下、魅力的な男女のキャラクターが交錯する一大歴史ロマンである。
連載開始は虫プロダクションの倒産の翌年で、復活をかけて、手塚治虫が『ブラック・ジャック』や『三つ目がとおる』の連載を開始した時期である。
あらすじ
大月祥馬に妻お妙を奪われた和人シュマリは、東京と改名されたばかりの江戸から北海道へ渡ってきた。アイヌの族長から狐を意味するアイヌ語のシュマリという名前を与えられ、過去と決別してシュマリは北海道の原野をさまよい続ける。ひょんなことから、五稜郭の戦いで隠された黄金3万両の隠し場所を知ったシュマリは、太財一族から土地を買い受け開拓を始める。北海道王国を築こうとする父の意思を受け継ぐ太財弥七は、黄金のありかを聞き出すべく、妹お峯をシュマリの許にさしむける。一冬を過ごすうちに、すっかり妻となってしまったお峯だったが、自分がシュマリの以前の妻お妙と瓜二つであることを知る。自分は身代わりであったと憤慨したお峯は、シュマリを開拓使に売る。
集治監の囚人となったシュマリは、脱獄を試みた十兵衛といつしか深い友情を築く。黄金にこだわり続ける太財弥七により、鉱山にもらいうけられたシュマリと十兵衛は、大落盤を契機に自由の身となる。ようやくお峯とポン・ションの待つシュマリ牧場に戻る2人。しかし、そこにはアイヌの財宝を狙う野盗団が待っていた。銃で武装した野盗との死闘の末に、十兵衛は討ち死にをし、シュマリも山にこもってしまう。
山から毛皮を売りに下りてきたシュマリの前に、お妙を妻とした郡書記官、華本男爵が現れる。お妙への愛が忘れられないシュマリは山を降り、また牧場を開こうとする。一人で産んだシュマリの実子、弥三郎を連れたお峯は、シュマリの妙への思いを知りながら、押しかけではあっても女房の幸せを一時味わう。しかし、歴史の流れはシュマリたちを置いていってはくれない。華本を潰そうとする薩摩閥の陰謀の前に弥七が倒れ、弥七の鉱山で再び死闘を演じたシュマリは行方不明となる。
そして歳月は流れ、ポン・ションは大人になり、日清戦争に従軍した。そのポン・ションから、お峯に手紙が届く。「朝鮮半島で生きていた父シュマリと再会した。老いてなお壮健なシュマリは北海道に帰る気はなく朝鮮も文明化されて住みづらくなったから、さらなる北の辺境を目指す」と…。
登場人物
主要人物
シュマリ
お妙
太財兄弟の父
太財弥十
太財弥七
太財峯
ポン・ション(首麻里 善太郎)
十兵衛
華本要(はなもと かなめ)
男爵、郡書記官(どの郡かは不明)。公卿華本実篤の次男。クリスチャン。被災した妙を見初め、結婚する。のちにシュマリと妙を争うような形になる。
木戸孝允らの知己を得、若くして中央の官界に身を置く。明治初年にカリフォルニアに渡り、教養と開拓精神を身につけて帰国。育ちがよく物腰がおだやかである一方で、プライドが高く、あまり感情を顔に出そうとしない。カリフォルニアで人種差別を受けた経験がトラウマとなっており、ときおり錯乱して奴隷主のように尊大な態度をとったり、奴隷のように卑屈な態度をとったりする。こうした性格のため、妻の妙を深く愛しながらも、互いに心が通じ合えずにいた。
北有社の大株主であったため、薩摩閥の堀基らと対立し、書記官を解任される。妻の妙と弥七との密通に気づき(妙の目的は窮地にあった華本を救うためであったのだが)、許すことができず妙を射殺、殺人罪で収監される。
仮出獄後は農民として第二の人生を歩む。妙を殺したことででシュマリに命を狙われる結果になり、峯の機転で助けられる。弥七亡き後のポン・ションの後見人ともなっている。
その他の登場人物
イメカノ
吉兵衛
大月祥馬
清兵衛
なつめ
実在の人物
堀基(ほり もとい)
田中平八
単行本
- 小学館文庫『シュマリ』(小学館)全4巻
- 手塚治虫漫画全集『シュマリ』(講談社)全4巻
- 角川文庫『シュマリ』上・中・下巻(角川書店) 1995年 ISBN 4041851262, ISBN 4041851270, ISBN 4041851289
- 手塚治虫文庫全集『シュマリ』(講談社)全2巻
- ハードコミックス『シュマリ』上・中・下巻(大都社)