シルバー事件
以下はWikipediaより引用
要約
発売日一覧 Win,OS XINT 201610062016年10月6日INT 201610072016年10月7日PS4 201704182017年4月18日 201704212017年4月21日 201803152018年3月15日LinuxINT 201708012017年8月1日Switch 202002182020年2月18日
『シルバー事件』(シルバーじけん)は、1999年10月7日に日本のアスキーから発売されたPlayStation用3Dアドベンチャーゲーム。
開発はグラスホッパー・マニファクチュアが行い、ディレクターは同社代表の須田剛一、音楽は高田雅史が担当している。ゲーム内容は経済主導型社会主義国家「カントウ」の中心部である新興都市「24区」の警察署である24署の凶悪犯罪課を舞台とし、主人公の「アキラ」を操作して収容中の病院から脱走した殺人犯「ウエハラカムイ」を捕獲する事を目的としている他、サイドストーリーにおいてフリーライター「モリシマトキオ」を操作して「ウエハラカムイ」が起こしたとされる「シルバー事件」の謎を解く事を目的としている。
後に続編となる携帯電話アプリゲーム『シルバー事件25区』(2005年)が配信された他、2016年10月6日にはWindows PC向けに日本語・英語両対応したHDリマスター版『The Silver Case』がSteamとPLAYISMでダウンロード発売された。日本国外でのリリースはこのPC版が初となる。こちらは有料DLCのエクストラコンテンツとしてアートブック、デジタルコミック、オリジナルサウンドトラックも同時配信されている。2018年3月15日には本作品と『シルバー事件25区』を同時収録したPlayStation 4版『シルバー2425』が発売された。2021年2月18日にはNintendo Switch版『シルバー2425』が発売予定。
本作はゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」にてシルバー殿堂入りを獲得した。またファミ通文庫からノベライズ版『case#4.5』が刊行されている。
ゲーム内容
FILM WINDOW(フィルム・ウィンドウ)
フィルム・ウィンドウとは、タイプの異なる7種類の情報をウィンドウ単位で組み合わせて表現する手法。そのため個々の異なる情報を一画面内で表示することが可能。さらに、ひとりの登場人物の"言葉"と"心情"を同時に提示したり、複数の登場人物の心情を同時に表示することで、"ふたつの物語をひとつの時間で表現する"ことも可能となる。
画面内に複数のウィンドウを表示し、場面ごとにそれらの表示位置や大きさを変える手法。「フィルム・ウィンドウの種類」として解説書に載っているものは以下の通り。
3Dウィンドウ
ムービー・ウィンドウ
グラフィック・ウィンドウ
テキスト・ウィンドウ
フェイス・ウィンドウ
メニュー・ウィンドウ
ウィンドウが表示される背景もシナリオ毎にデザインが異なり、ほとんどの場面でアニメーションし続ける。これらの背景は流れている音楽のリズムにあわせ、動き方や表示速度が変わるという演出がなされている。
ゲームオーバーやシナリオ分岐といったものは存在しない。また、作中幾つか存在する謎解きの場面は付属説明書にヒントが記載されている。
設定
ストーリー
街の陰謀を巡るミステリであり、それぞれ個別に主人公が存在するとの2サイドから成る。前者が本筋で、後者は前者を別の視点から考察するような構成になっている。プロローグとエピローグを除き、編のシナリオを一つクリアすると次の編のシナリオと、クリアしたシナリオに対応する編のシナリオが出現する。編は必ずしもクリアする必要は無いが、前述の通り物語の全貌を解き明かす上で重要となる。
24区で伝説となっている事件「シルバー事件」の犯人、ウエハラカムイが収容中の病院から脱走した。カムイ捕獲に向け出動した公安特殊部隊の一員である主人公はその後凶悪犯罪課に配属され、その面々と共に奇妙で不条理な数々の事件と遭遇する。
その後トキオは深夜、閉店後のショッピングセンターでウエハラカムイと邂逅。以来、彼は自分の中で誰かが囁くような声を聴くようになる。
基本的にはウエハラカムイと伝説の事件「シルバー事件」の謎を解き明かしていく過程を描いたものである。
また、刑事モノのサスペンスとして物語が提示されている一方、以下の点においてサイエンス・フィクション的な要素が含まれている。
犯罪力
これは「犯罪力」と呼ばれ、テレビ等のマスコミを通じて伝染、拡大する傾向がある。
凶悪犯罪課はそれを防ぐため、現場においていち早く犯人を処分し、報道機関への展開を絶つ事を目的としている。
残留思念
また、犯罪等に関わらない民間人も死後そうした思念は残っており、それを観ることのできる人間も存在する。
舞台
舞台は1999年の架空の国「カントウ」の架空の新興都市24区。当時の同時代だが日本にはないような近未来をイメージした世界観。首長はハチスカカヲル。人口10万人。複数の政党や市民団体が存在し、それらの勢力が両立あるいは拮抗して街を形成しているため、一見穏やかに見えるが市民それぞれに(凶悪犯罪課の面々も例外ではない)先鋭的な政治的対立が存在している。それに反映されるように治安維持機構なども複数存在、裏では反目しあっている。7割の低級情報層と3割の高級情報層という歴然とした階級差が存在、所得云々よりも情報差が階級を形成している。近年は凶悪犯罪が激増しており、それらはマスコミを伝って「伝染」するため、凶悪犯罪課は「処分」と呼ばれる被疑者射殺の権利を有しており、作中でも見られる。
政党及び市民団体
FSO
TRO
CCO
※現在はTROとCCOが連立政権を担当。FSOが完全に駆逐された格好で市民の政治的対立を煽っている。TRO/CCO連合主席はカイ ダイザブロウ。
治安維持機構
※「行政監査警察局」内に2つの治安維持機構が存在する。
中央警察部
公安警察部
登場人物
主人公
名はプレイヤーの任意だが、体験版・サウンドトラック等によるとデフォルトネームはアキラ。
当初は公安傘下の特殊部隊「リパブリック」隊員として登場する。ウエハラカムイ脱走事件に際しその捕獲作戦に参加。その後の事情聴取で24署凶悪犯罪課の面々と出会い、程なくして凶悪犯罪課特別捜査官に推挙される。凶犯課での立場は微妙で、時には運転手や使い走りのような扱いを受け、誰も関わりたがらない事件を人身御供のような形で押し付けられる場合もある。全編通して全くセリフがない(或いはプレイヤーは聞くことができない)。姿を見ることもほとんどないため、主人公というよりはプレイヤーの分身、観客としての役割が付与された人物だといえる。後にクサビ(後述)によって「デカチン」とニックネームをつけられ、呼ばれるようになる。
クサビ テツゴロウ(楔 鉄五郎)
コダイ スミオ(古代 純夫)
コトブキ シンジ(寿 進二)
モリカワ キヨシ(森川 聖志)
ハチスカ チズル(蜂須賀 千鶴)
ナカテガワ モリチカ(仲手川 盛近)
サカグチ ダイキチ
ムナカタ リュウ
サカモト
「リパブリック」隊員。元ヤクザで組の鉄砲玉だったところをナツメにスカウトされた。
イノマタ
「リパブリック」隊員。直情的な性格で、序盤に犯人を深追いして負傷するなど失敗も多い。
ナツメ サクラ
24署凶悪犯罪課特別捜査官。ナツメの娘。物語後半にミコシバとともに凶犯課に補充される。シルバー事件25区にも登場。
モリシマ トキオ
ユカワ エリカ
移植版
本作と携帯コンテンツ『シルバー事件25区』(2005年)はニンテンドーDSに移植される予定があったが、後に須田が発売中止を明言した。
開発
本作は当初、オーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーが3本入ったゲームとして企画されており、タイトルは『イグジット・コール』として開発がスタートしていた。しかし、本作のディレクターである須田剛一は、旧態依然としたゲームシステムで制作する事に疑問を持ち、また自身のオリジナル作品の第一弾という事も考慮し、既存とは違う形でゲーム制作する事を検討する。
既存のゲームシステムに多くの疑問を抱いていた須田は、キャラクターの移動方法やウィンドウの出し方、絵の見せ方など全て既存にはない方法でのシステムを採用する事を決定。また、プログラマーにはプログラムだけでなくデザインも兼業できるようにデザインに関する事を学習させた。さらに絵に関しては、イラストレーターの宮本崇に対し、1枚の絵を時間を掛けて描くのではなく、方法論を確立した上で効率良く描いていくよう要請した。
フィルム・ウインドウに関しては、発売元のアスキーより動きやテンポの良さを要求されたため、全ての情報をウインドウで管理する事を検討した結果であり、また、宮本の描く絵と3Dポリゴンとが画面内でうまく融合しない事もあり、それぞれを別枠のウインドウで表示させることとなった。
ストーリーに関しては、須田の妻の父親が警察官だった事から、刑事モノを題材にする事を決定していた。本作以前に須田がディレクターを担当した『ムーンライトシンドローム』(1997年)にて犯罪を取り扱った際に、若者からの視点しかなかったため、本作では事件を担当する刑事からの視点で犯罪を描く事を模索する事となった。また、須田は自治体の危うさや住民基本台帳ネットワークシステムに懸念を抱いており、適応性が高くいつの間にか管理社会に適応してしまう日本人への恐怖感があり、本作では管理された世界を前提としてストーリーを構築する事となった。須田は本作のストーリーに関して、『ムーンライトシンドローム』の時と同様に、本来重いテーマの話にするつもりはなかったが、結果として重いテーマになってしまったと語っている。
ストーリー構成に関しては、結末は決定せずに書いており、話の大筋は決めているものの、想定していた結末にはならない事が多いという。本来は最後のシチュエーションは観覧車が登場するはずであったが、登場せずにストーリーが終結したという。また、観覧車は『ムーンライトシンドローム』においても登場するはずであったが機会がなかったという。さらに須田は、ヒューマンから独立し会社を設立した事で、ゲームクリエイターと経営者という役割を同時に抱えた事もあり、ヒューマン所属時代では書けなかったストーリーであると語っている。
須田は本作の意図するところとして、「行き先不明感」を重視したと語り、初めてコンピュータゲームが世に登場した時の印象や、『エレベーターアクション』(1983年)のクリア後にクルマで脱出するシーンでの「行き先不明感」が神秘的であった事などから、本作においても後のストーリー展開が分からない物を目指したという。また、皮膚感覚で感じる事を作品にて表現したいとも語っている。
須田は本作の意義として、プレイ後に余韻を残す事、現実の世界との共有や繋がりを持たせる事を実現させたいと語っている。また、本作を全5部作で制作する事を検討していたとも語っている。
スタッフ
- エグゼクティブ・プロデューサー:吉田穂積
- トータル・プロデューサー:スズキヒサシ
- プロデューサー:タムラヒロユキ
- システム・プログラム:渡辺和寿
- CGプログラム:キムラトオル
- タイトル・プログラム:オオサワケンジ
- アクティブ・プログラム:松崎昇
- プログラム:オガワユウイチ、ニワノマサシ、藤川敏浩
- グラフィック:石坂明彦、折笠圭介
- イラストレーション:宮本崇
- 「バイアンサヤカ」:ヒロタケ
- 「プラシーボ」:マサテル
- アートワーク:渡部久巳彦
- ムービー (CG) :イトウマサキ、ホサカケンジ、タカムラマコト
- CGデザイン:須田圭一、テライジュン
- CGアニメーション:イケダマサノリ
- プロダクション・マネージャー:マツウラユタカ
- ムービー(アニメーション)
- アニメーション・プロデューサー:石川真一郎
- ビジュアル・ディレクター:安藤義信
- オリジナル・アート:向山祐治、野口木ノ実
- アニメーション・チェック:砂原昭一
- アニメーション:吉田浩美、岩田竜治、下田功一、松村康功、藤澤泰朗、山本淳
- 背景:谷村心一、新井邦晴
- カラー・セッティング、チェック:今井亜津子
- デジタル・ペインティング:鈴木寿枝、川口恵美、小崎英剛、関沢友紀
- コンピューターグラフィック・ディレクター:林康次郎
- デジタル・コンポジション:吉岡宏夫、唐戸光博、北村直樹
- 3Dデザイン「DDZ」:マツダショウジ、タカオアキテル、篠原勇人、栗原ハジメ
- プロダクション・マネージャー:梶田浩司
- プロダクション・コーディネーター:立崎孝史、小田茂政
- アニメーション:所智一
- ムービー(ビデオ)
- ビデオ・プランナー:高橋守
- ビデオ・プロデューサー:クラハシユウコ
- P.A.:高沼育代、オオニシトモオ
- カメラ・オペレーター:トダヤスアキ
- VE:タケカワアキラ、オオノノリアキ
- ドライバー:フルヤツネミツ
- ライトニング・テクニシャン:カナザワマサキ、オバタヒロアキ、チカモリジュンジ
- プロダクション・デザイナー:ナカジマミツオ、コヤマカズト
- キャスティング:タテイシトオル
- 写真ディレクター:サコダタカシ
- アクター
- 「ユキムラ」:ウメダヒロシ
- 「リポーター」:イガラシユカ
- 「インタビューA」:キタジマツカサ
- 「インタビューB」:キノシタトモミ
- 「インタビューC」:サトウマサフミ
- 「バイアンサヤカ」:オオキヒカル
- 「コバヤシヒカル」:ワカバヤシヨシユキ
- 「スギタコウイチ」:マスオジュン
- 「ソノダユリコ」:セキヤマチコ
- サウンドトラック:高田雅史
- サンクス:(株)クレコ、(株)リング、横浜ドリームランド
- プロダクション協力:K2ファクトリー、ディジメーション、ダーク・コーポレーション
- スクリーンプレイ:須田剛一、大岡まさひ、加藤さこ
- アシスタント・ディレクター:ハラダヨシカズ、ナガミネユタカ
- ディレクター:須田剛一
- 「バイアンサヤカ」:ヒロタケ
- 「プラシーボ」:マサテル
- CGデザイン:須田圭一、テライジュン
- CGアニメーション:イケダマサノリ
- プロダクション・マネージャー:マツウラユタカ
- アニメーション・プロデューサー:石川真一郎
- ビジュアル・ディレクター:安藤義信
- オリジナル・アート:向山祐治、野口木ノ実
- アニメーション・チェック:砂原昭一
- アニメーション:吉田浩美、岩田竜治、下田功一、松村康功、藤澤泰朗、山本淳
- 背景:谷村心一、新井邦晴
- カラー・セッティング、チェック:今井亜津子
- デジタル・ペインティング:鈴木寿枝、川口恵美、小崎英剛、関沢友紀
- コンピューターグラフィック・ディレクター:林康次郎
- デジタル・コンポジション:吉岡宏夫、唐戸光博、北村直樹
- 3Dデザイン「DDZ」:マツダショウジ、タカオアキテル、篠原勇人、栗原ハジメ
- プロダクション・マネージャー:梶田浩司
- プロダクション・コーディネーター:立崎孝史、小田茂政
- アニメーション:所智一
- ビデオ・プランナー:高橋守
- ビデオ・プロデューサー:クラハシユウコ
- P.A.:高沼育代、オオニシトモオ
- カメラ・オペレーター:トダヤスアキ
- VE:タケカワアキラ、オオノノリアキ
- ドライバー:フルヤツネミツ
- ライトニング・テクニシャン:カナザワマサキ、オバタヒロアキ、チカモリジュンジ
- プロダクション・デザイナー:ナカジマミツオ、コヤマカズト
- キャスティング:タテイシトオル
- 写真ディレクター:サコダタカシ
- 「ユキムラ」:ウメダヒロシ
- 「リポーター」:イガラシユカ
- 「インタビューA」:キタジマツカサ
- 「インタビューB」:キノシタトモミ
- 「インタビューC」:サトウマサフミ
- 「バイアンサヤカ」:オオキヒカル
- 「コバヤシヒカル」:ワカバヤシヨシユキ
- 「スギタコウイチ」:マスオジュン
- 「ソノダユリコ」:セキヤマチコ
評価
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集計結果 | |
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媒体 | 結果 |
Metacritic | 67/100 (PC) (9 reviews) |
レビュー結果 | |
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ファミ通 | 30/40点 (PS) (シルバー殿堂) |
GameSpot | 5/10 (PC) |
PC Gamer US | 50% (PC) |
Hardcore Gamer | 4/5 (PC) |
RPGFan | 88% (PC) |
PlayStation版
レビュアーからは「フィルムウインドウ」や画面構成に関して「はっきり言って見にくい。見た目はいいけど機能性が」、「画面に表示される壁紙部分はハッキリ言って邪魔。いい雰囲気は出してるんだけど、文字を読むのに集中できません」といった意見が出た。
また、ストーリー展開に関しては、「裏と表という二面的なストーリーの娯楽性は浮いている気が」と一部で不満の声が聞かれた。
ゲーム性や演出面に関しては「ただテキストを追うだけのアドベンチャーではなく、ウインドウを駆使したテンポある演出によって、世界に深く浸れる」、「ビデオゲームでしかなし得ない演出がクールな雰囲気を醸し出している」との意見が出た。
グラフィックや世界観設定に関しては、「『MONSTER』風のストーリーと『神宮寺』タッチの絵が織りなす世界観は〇」、「グラフィック渋め、ストーリーもサイコ系が多く、個人的にはかなり心引かれる内容」と概ね肯定的に評価されている。